説明

電気掃除機

【課題】使用者に不快感を与えること無く掃除作業ができる電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を発生する電動送風機2と、前記電動送風機2を収納する電動送風機室20と、前記電動送風機室20を内蔵した掃除機本体1と、塵埃を吸引する吸込具10と、前記電動送風機室20とは分離された場所に配されると共に、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置33を収納する静電霧化装置収納室21と、前記電動送風機室20と前記静電霧化装置収納室21とを連通すると共に、前記電動送風機2の排気風の一部を前記静電霧化装置収納室21内に流入させる連通通路50と、前記吸込具10の着脱を検知し、その検知情報に基づいて前記静電霧化装置33への通電を制御する制御部30を備えたもので、静電霧化装置33でのオゾン濃度の上昇を抑制することができるため、使用者に不快感を与えることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機においては、電動送風機の排気経路にイオン発生器を配置させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図7は、上記特許文献1に記載された従来の電気掃除機における掃除機本体の断面図である。図7において、電動送風機102を内蔵する電動送風機室103と、電動送風機室103の前方に配置されており、塵埃を捕集する集塵袋104を内蔵する集塵室105とを有する電気掃除機本体101において、電気掃除機本体101の後方の上部には、イオン発生器135が配置されており、イオン発生器135で発生させた大量のイオンを、電動送風機102の排気の一部を利用して大気に放出させて、浮遊する塵埃を広範囲に帯電させた後、このイオンで帯電された塵埃を集塵袋104で捕集させる構成が提案されている。
【0003】
また、近年は、被付着物に付着し当該被付着物の脱臭及び除菌を行う脱臭及び除菌作用を有するナノメータサイズのマイナスイオンミスト(帯電微粒子水)を生成させる静電霧化装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。図8は、上記特許文献2に記載された従来の静電霧化装置の断面図である。
【0004】
すなわち、図8に示すように、従来の静電霧化装置204は、放電極201と、放電極201に対向して位置する対向電極202と、放電極201に空気中の水分を結露又は氷結させて水を供給する水供給手段203とを備え、水供給手段203は、冷却部205と放熱部206とを有するペルチェユニット207の冷却部205に、放電極201を設けて構成されており、放電極201と対向電極202との間に高電圧を印加することで放電極201に保持された水を霧化させ、ナノメータサイズのマイナスイオンミスト(帯電微粒子水)を生成する構成が提案されている。
【0005】
上述の特許文献1に記載された従来の電気掃除機においては、イオン発生器135によって発生されたイオンを電動送風機102の排気の一部を利用して部屋中に放出させ、室内で対流させることにより、空気中に浮遊している塵埃を帯電させ捕集する構成であるため、イオンにより帯電した空気中の塵埃が被清掃面に落下するまでに時間が必要であった。また、上述の特許文献1に記載の従来の電気掃除機においては、空中に浮遊しているウィルス、雑菌、及びカビ菌などを十分に脱臭及び除菌することができず、十分な空気清浄効果が得られない場合があった。
【0006】
そのため、空気中の塵埃を被清掃面に早く落下させるとともに、空中に浮遊しているウィルス、雑菌、及びカビ菌などを十分に脱臭及び除菌し、空気清浄効果を向上させるべく、上述の特許文献1に記載の従来の電気掃除機に、上述の特許文献2に記載の従来の静電霧化装置を組み合わせた構成を有する電気掃除機が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−212389号公報
【特許文献2】特開2006−68711号公報
【特許文献3】特開2009−254786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、単に、上述の特許文献1に記載の従来の電気掃除機に、上述の特許文献2に記載の従来の静電霧化装置を組み合わせただけでは、使用者に不快感を与えることを十分に防止するという観点からは、未だ改善の余地があることを本発明者らは見出した。
【0009】
すなわち、上述の特許文献1に記載の電気掃除機においては、電動送風機102の排気の一部によってイオンを空気中に放出させているため、例えば、吸込口(図示せず)が密閉されることによって、排気風量が低下すると、静電霧化装置に供給される排気風の風量も少なくなる。特に、電気掃除機から吸込具(図示せず)を取り外し、ホース(図示せず)の先端等を吸込口として掃除をしている際には、より密閉されやすい状況となる。
【0010】
静電霧化装置に供給される排気風の風量が少なくなると、静電霧化装置の高電圧部で発生したオゾンの濃度が高くなり、静電霧化装置の電極部周辺のオゾン濃度が極小的に高くなり、樹脂の劣化を加速させるという課題があった。また、オゾン濃度が高い状態のまま空気中へ放出されると、使用者の呼吸器系統、眼、粘膜等へ刺激を与える場合があり、使用者に不快感を与えるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記従来技術が有する課題を解決するもので、使用者に不快感を与えることを十分に防止し、快適に掃除作業ができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機を収納する電動送風機室と、前記電動送風機室を内蔵した掃除機本体と、塵埃を吸引する吸込具と、前記電動送風機室とは分離された場所に配されると共に、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置を収納する静電霧化装置収納室と、前記電動送風機室と前記静電霧化装置収納室とを連通すると共に、前記電動送風機の排気風の一部を前記静電霧化装置収納室内に流入させる連通通路と、前記吸込具の着脱を検知し、その検知情報に基づいて前記静電霧化装置への通電を制御する制御部を備えたもので、静電霧化装置でのオゾン濃度の上昇を抑制することができるため、使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気掃除機は、使用者に不快感を与えることを防止し、快適に掃除作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の斜視外観図
【図2】同電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図3】同電気掃除機の静電霧化装置の外観図
【図4】同電気掃除機の制御ブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図6】同電気掃除機の制御ブロック図
【図7】従来の電気掃除機の掃除機本体の断面図
【図8】従来の静電霧化装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機を収納する電動送風機室と、前記電動送風機室を内蔵した掃除機本体と、塵埃を吸引する吸込具と、前記電動送風機室とは分離された場所に配されると共に、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置を
収納する静電霧化装置収納室と、前記電動送風機室と前記静電霧化装置収納室とを連通すると共に、前記電動送風機の排気風の一部を前記静電霧化装置収納室内に流入させる連通通路と、前記吸込具の着脱を検知し、その検知情報に基づいて前記静電霧化装置への通電を制御する制御部を備えたもので、静電霧化装置でのオゾン濃度の上昇を抑制することができるため、使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明の連通通路に流れる風量を検知する風量検知手段を備え、制御部は、前記風量検知手段で検知した風量に応じて静電霧化装置への通電を間欠制御するもので、静電霧化装置収納室へ流入する排気風の風量を正確に検出することができるため、オゾン濃度の上昇をより確実に抑制することができるとともに、帯電微粒子水を安定して発生させることができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の静電霧化装置収納室内に、外気を吸気し帯電微粒子水を空気中へ排出させる送風機を備えたもので、電動送風機の排気風に加えて送風機による外気風でもオゾンを拡散させることができるため、オゾン濃度の上昇をより確実に抑制することができる。
【0018】
第4の発明は、特に、第3の発明の制御部が吸込具の着脱を検知し、その検知情報に基づいて送風機の出力を変化させるもので、例えば、制御部が、吸込具が電気掃除機の延長管から外されたことを検知した時に、送風機の出力を上げるようにすれば、延長管から吸引される風量が減って電動送風機の排気風が減少しても、送風機が吸気する外気風を増やして、オゾンを拡散させることができるため、オゾン濃度の上昇を確実に抑制することができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第3又は第4の発明の風量検知手段により検知した風量に応じて、送風機の出力を変化させるもので、オゾン濃度の上昇をより確実に抑制することができるとともに、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の連通通路にフィルターを設けるもので、静電霧化装置収納室内に塵埃が進入しない為、確実に静電霧化装置の制御が行え、帯電微粒子水を安定して発生させることができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における電気掃除機について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、本実施の形態における電気掃除機の斜視外観図、図2は、同電気掃除機の掃除機本体の断面図、図3は、同電気掃除機の静電霧化装置の外観図、図4は、同電気掃除機の制御ブロック図である。
【0023】
図1、図2において、本実施の形態における電気掃除機は、主として、掃除機本体1と、被清掃面の塵埃を吸引する吸込具10と、一端が掃除機本体1に着脱自在に接続されるホース8と、一端がホース8に接続され、他端が吸込具10に接続される伸縮自在或いは継ぎ自在の延長管9とから構成されている。
【0024】
吸込具10は、被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシ11と、ベルト12を介して回転ブラシ11を回転駆動させる電動機13とを内蔵している。ホース8の延長管9側の端部には、手元操作部6が設けられており、この手元操作部6からの信号に基づき、後述する制御部30が、電動送風機2の各種の動作モード(強・中・弱・切などの吸込み力)を
制御している。
【0025】
また、ホース8の掃除機本体1側の端部には、吸込具10から吸い込まれた塵埃の量を検出する塵埃検出部7が設けられている。塵埃検出部7は、発光素子7aと受光素子7bとから構成されており、発光素子7aと受光素子7bとは対向して配置されている。塵埃検出部7は、発光素子7aと受光素子7bとの間を塵埃が通過した際に、受光素子7bによる受光が塵埃によって遮られることで生じるパルス波形を検出しており、このパルス波形によって塵埃の量を検出している。
【0026】
掃除機本体1は、主として、吸引風を発生させる電動送風機2を内蔵する電動送風機室20と、電動送風機2の上流側に着脱自在に配置されており、吸込具10から吸い込まれた塵埃を捕集するエレクトリック加工された集塵袋3とから構成されている。集塵袋3は、ポリプロプレン等の熱可塑性繊維で形成されており、吸引風等で摩擦されることで帯電する。
【0027】
掃除機本体1には、吸込具10の着脱を検知する後述の着脱検知部38を有する制御部30が配置されている。また、掃除機本体1の後方下部の両側には、走行用の車輪4が回転自在に取付けられている。また、掃除機本体1の前方の底面には、同じく走行用のキャスター5が取付けられている。
【0028】
図2に示すように、掃除機本体1の後方の上部、すなわち、電動送風機室20の上方には、電動送風機室20とは樹脂等で分離された静電霧化装置収納室21が設けられている。この静電霧化装置収納室21には、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置33と、静電霧化装置33を制御する静電霧化装置制御部22が内蔵されており、静電霧化装置収納室21の後方には、帯電微粒子水放出口37が設けられている。
【0029】
また、掃除機本体1の後方には、電動送風機2の排気風を排出する主排気口29が設けられており、帯電微粒子水は、この主排気口29から排出された排気風(図中、矢印X)によって室内に拡散されるように構成されている。
【0030】
さらに、電動送風機室20と静電霧化装置収納室21とは、連通通路50によって連通されており、この連通通路50を通って、電動送風機2の排気風の一部(図中、矢印Y)が静電霧化装置収納室21内へと流入し、帯電微粒子水放出口37から放出されるように構成されている。連通通路50には、静電霧化装置収納室21内へと流入する排気風の風量を検出する風量検知手段55が設けられている。また、連通通路50には静電霧化装置収納室21内に塵埃が進入しないようフィルター52が設けられている。
【0031】
図3及び図4に示すように、静電霧化装置33は、ペルチェ素子23と、ペルチェ素子23の冷却側に接続された針状電極25と、ペルチェ素子23の放熱側に接続された放熱フィン24とから構成されている。また、針状電極25の先端側には、アース電極26が配置されている。針状電極25及び放熱フィン24は、ペルチェ素子23と電気的には絶縁されているが、ペルチェ素子23と温度伝達的には接続されている。ペルチェ素子23に電圧が印加されると、ペルチェ素子23の冷却側に接続された針状電極25が冷却されるとともに、ペルチェ素子23の放熱側に接続された放熱フィン24によりペルチェ素子23の放熱側で発生した熱が放熱される。
【0032】
図3及び図4に示すように、静電霧化装置制御部22は、針状電極25とアース電極26との間に高電圧を印加する高電圧発生部27と、ペルチェ素子23に電圧を印加する直流電源部28とから構成されている。
【0033】
図4に示すように、制御部30は、マイクロコンピュータなどで構成されており、吸込具10の着脱を検知する着脱検知部38を有している。制御部30は、使用者が操作する手元操作部6及び塵埃検出部7からの信号を取り込み、その信号をもとに、電動機駆動部32及び電動送風機駆動部31を位相制御するための点弧パルスを出力する制御を行う。電動機駆動部32及び電動送風機駆動部31は、制御部30からの信号に基づき、それぞれ電動機13及び電動送風機2を制御する。電動送風機駆動部31は、双方向性サイリスタなどで構成されており、電動送風機2を位相制御し吸込み力を変化させる。
【0034】
また、制御部30は、静電霧化装置駆動部40を制御することで、静電霧化装置33を動作させる静電霧化装置制御部22に電力を供給し、静電霧化装置33を制御している。静電霧化装置制御部22に電力が供給されると、高電圧発生部27及び直流電源部28に電力が供給され、針状電極25、アース電極26、及びペルチェ素子23のそれぞれに電圧が印加される。
【0035】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作、作用を、以下に説明する。例えば、使用者が手元操作部6を操作して、電動送風機2の動作モードとして、吸引力の強い「強」を選択した場合、制御部30は、手元操作部6からの信号に基づき、電動送風機駆動部31及び電動機駆動部32に予め定められた信号を送り、電動送風機2及び電動機13を駆動させる。これにより、被清掃面上の塵埃が、回転ブラシ11によって掻き揚げられ、電動送風機2で発生された吸引風によって吸込具10から吸引される。吸引された塵埃は、延長管9及びホース8を介して、掃除機本体1内の集塵袋3で捕集される。図2中、矢印Xで示すように、電動送風機2からの排気風は、掃除機本体1の後方に設けられた主排気口29から掃除機本体1の外部へ排気されるとともに、その一部は、図2中、矢印Yで示すように、連通通路50を介して静電霧化装置収納室21内へと流入し、帯電微粒子水放出口37から放出される。
【0036】
制御部30は、電動送風機2及び電動機13を駆動させるのと同時に、静電霧化装置駆動部40に信号を送り、静電霧化装置制御部22に電力を供給し、高電圧発生部27及び直流電源部28を動作させる。直流電源部28は、ペルチェ素子23に電圧を印加し、針状電極25を冷却する。針状電極25が冷却されると、針状電極25の周辺の水分が結露して、針状電極25上に水が生成される。このとき、針状電極25とアース電極26との間には、高電圧発生部27によって高電圧(例えば、約6000V)が印加されているため、針状電極25とアース電極26との間でコロナ放電が発生し、針状電極25上に生成された水に高電圧が印加され、帯電微粒子水(例えば、直径5〜20nm)が生成される。静電霧化装置33によって生成された帯電微粒子水は、連通通路50を介して静電霧化装置収納室21内へと流入した電動送風機2の排気風の一部によって、帯電微粒子水放出口37から掃除機本体1の外部へと放出される。
【0037】
ここで、電気掃除機から吸込具10を取り外し、ホース8もしくは延長管9の先端を吸込口として掃除をしているときのことを考える。このとき、吸込口の先端となるホース8や延長管9は、吸込具10と異なり吸込口の径が小さく、密閉されやすくなる。吸込口が密閉されると、電動送風機2の排気風が低下し、静電霧化装置収納室21内へ流入する排気風も低下する為、帯電微粒子水放出口37近傍でのオゾン濃度が上昇する。
【0038】
そこで、制御部30の着脱検知部38により吸込具10の着脱を検知し、吸込具10が取り外されているときは、静電霧化装置制御部22への通電をOFFにすることで、静電霧化装置33を停止させたり、または、静電霧化装置制御部22への通電を間欠制御して、静電霧化装置33を周期的に停止させる等することで、帯電微粒子水放出口37近傍でのオゾン濃度の増加を抑制することができる。
【0039】
また、風量検知手段55により静電霧化装置収納室21内へ流入する排気風量を検知し、その検知した排気風量に応じて、静電霧化装置制御部22への通電間欠制御の間欠周期を変化させることによって、より確実にオゾン濃度の増加を抑制することができるとともに、帯電微粒子水を安定して発生させることができる。
【0040】
また、吸引力として標準の「中」を選択した場合及び吸引力の低い「弱」を選択した場合についても、使用者が電動送風機2の動作モードとして「強」を選択した場合と同様の制御を行うことで、各種の動作モードにおいて確実に帯電微粒子水放出口37近傍のオゾン濃度を抑制することができる。
【0041】
また、連通通路50にフィルター52を設けることで、静電霧化装置収納室21内への塵埃の進入を防止し、確実に静電霧化装置33の制御が行える為、帯電微粒子水を安定して発生させることができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態においては、吸込具10が電気掃除機から取り外された場合においては、制御部30が、静電霧化装置制御部22への通電をOFFないしは間欠制御し、静電霧化装置33の動作を調節することで、帯電微粒子水放出口37近傍のオゾン濃度を抑制することができ、使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0043】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における電気掃除機について、図5及び図6を加えて説明する。図5は、本実施の形態における電気掃除機の掃除機本体の断面図、図6は、同電気掃除機の制御ブロック図である。なお、上述した実施の形態1と重複する構成については、同一部品には同一符号を付与し、その説明を省略する。
【0044】
図5、6に示すように、本実施の形態においては、静電霧化装置収納室21内前方に、外気を吸気し帯電微粒子水を空気中へ放出し拡散させる気流を発生させる送風機35が内蔵されている。また、静電霧化装置収納室21の上部には吸気口36が設けられており、送風機35は、この吸気口36から外気を吸気する。吸気口36には、外気フィルター51が着脱自在に設けられており、送風機35が外気を吸気する際に、吸気口36から静電霧化装置収納室21内に空気中の塵埃が侵入することを防止している。送風機35は制御部30からの出力信号により動作する。
【0045】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。例えば、使用者が手元操作部6を操作して、電動送風機2の動作モードとして、吸引力の強い「強」を選択した場合、制御部30は、手元操作部6からの信号に基づき、電動送風機駆動部31及び電動機駆動部32に予め定められた信号を送り、電動送風機2及び電動機13を駆動させる。これにより、被清掃面上の塵埃が、回転ブラシ11によって掻き揚げられ、電動送風機2で発生された吸引風によって吸込具10から吸引される。吸引された塵埃は、延長管9及びホース8を介して、掃除機本体1内の集塵袋3で捕集される。図5中、矢印Xで示すように、電動送風機2からの排気風(塵埃が除去された後電動送風機2を通過した吸引風)は、掃除機本体1の後方に設けられた主排気口29から掃除機本体1の外部へ排気されるとともに、その一部は、図5中、矢印Yで示すように、連通通路50を介して静電霧化装置収納室21内へと流入し、帯電微粒子水放出口37から放出される。
【0046】
制御部30は、電動送風機2及び電動機13を駆動させるのと同時に、送風機35を動作させる。これにより、図5中の矢印Zで示されるように、吸気口36から外気が吸気され、吸気された外気は、静電霧化装置33へと送風され、帯電微粒子水放出口37から掃除機本体1の外部へと放出される。
【0047】
また、制御部30は、送風機35を動作させるとともに、静電霧化装置駆動部40に信号を送り、静電霧化装置制御部22に電力を供給し、高電圧発生部27及び直流電源部28を動作させる。直流電源部28は、ペルチェ素子23に電圧を印加し、針状電極25を冷却する。針状電極25が冷却されると、針状電極25の周辺の水分が結露して、針状電極25上に水が生成される。このとき、針状電極25とアース電極26との間には、高電圧発生部27によって高電圧が印加されているため、針状電極25とアース電極26との間でコロナ放電が発生し、針状電極25上に生成された水に高電圧が印加され、帯電微粒子水が生成される。
【0048】
静電霧化装置33によって生成された帯電微粒子水は、送風機35によって吸気された外気及び連通通路50を介して、静電霧化装置収納室21内へと流入した電動送風機2の排気風の一部によって、帯電微粒子水放出口37から掃除機本体1の外部へと放出される。
【0049】
ここで、電気掃除機から吸込具10を取り外し、ホース8もしくは延長管9の先端を吸込口として掃除をしているときのことを考える。このとき、吸込口の先端となるホース8や延長管9は、吸込具10と異なり吸込口の径が小さく、密閉されやすくなる。吸込口が密閉されると、電動送風機2の排気風が低下し、静電霧化装置収納室21内へ流入する排気風も低下するが、送風機35によって吸気された外気も静電霧化装置収納室21内へ流入している為、帯電微粒子水放出口37近傍でのオゾン濃度の増加を抑制することができる。
【0050】
また、制御部30の着脱検知部38により、吸込具10の着脱を検知し、吸込具10が取り外されているときは、制御部30から送風機35に信号を送り送風機35の出力を上げることで、より多くの外気を静電霧化装置収納室21内へ流入させることができる為、より確実に帯電微粒子水放出口37近傍でのオゾン濃度の増加を抑制することができる。
【0051】
さらに、風量検知手段55により、静電霧化装置収納室21内へ流入する排気風量を検知し、その検知した排気風量に応じて、送風機35の出力を変化させることによって、例えば、検知した排気風量が少ないときは送風機35の出力を上げて、排気風量が多いときは、送風機35の出力を下げる等することにより、より確実にオゾン濃度の増加を抑制することが出来るとともに、無駄な電力の消費を抑制することができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態においては、静電霧化装置収納室21内へ外気を流入させる送風機35を備えることで、吸込口が密閉され、静電霧化装置収納室21内へ流入する排気風量が少なくなってしまった場合においても、帯電微粒子水放出口37近傍のオゾン濃度を抑制することができ、使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0053】
また、吸込具10が取り外されたときには、送風機35の出力を上げることにより、より確実に帯電微粒子水放出口37近傍でのオゾン濃度の増加を抑制することができ、使用者に不快感を与えることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の電気掃除機は、掃除の際に、使用者に不快感を与えることが無いもので、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置を搭載した各種家庭用、業務用電気掃除機の分野・用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 掃除機本体
2 電動送風機
8 ホース
9 延長管
10 吸込具
20 電動送風機室
21 静電霧化装置収納室
30 制御部
33 静電霧化装置
35 送風機
50 連通通路
52 フィルター
55 風量検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生する電動送風機と、前記電動送風機を収納する電動送風機室と、前記電動送風機室を内蔵した掃除機本体と、塵埃を吸引する吸込具と、前記電動送風機室とは分離された場所に配されると共に、帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置を収納する静電霧化装置収納室と、前記電動送風機室と前記静電霧化装置収納室とを連通すると共に、前記電動送風機の排気風の一部を前記静電霧化装置収納室内に流入させる連通通路と、前記吸込具の着脱を検知し、その検知情報に基づいて前記静電霧化装置への通電を制御する制御部を備えることを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
連通通路に流れる風量を検知する風量検知手段を備え、制御部は、前記風量検知手段で検知した風量に応じて静電霧化装置への通電を間欠制御することを特徴とした請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
静電霧化装置収納室内に、外気を吸気し帯電微粒子水を空気中へ排出させる送風機を備えることを特徴とした請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
制御部が吸込具の着脱を検知し、その検知情報に基づいて送風機の出力を変化させることを特徴とした請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
風量検知手段により検知した風量に応じて、送風機の出力を変化させることを特徴とした請求項3又は4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
連通通路にフィルターを設けることを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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