説明

電気接続箱

【課題】本発明は、小型化された電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱10は、ケース11と、ケース11内に配索された電線22と、ケース11内に収容された回路基板12と、ケース11内に回路基板12と間隔を空けて回路基板12の板面に対して平行に配されると共に電線22が配索される板状の配索部材14と、ケース11内に配索部材14の板面に垂直に配されると共に電線22が配索される配索板28と、配索板28に配設されると共に電線22及び回路基板12に電気的に接続されたリレー16Bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気接続箱として特許文献1に記載のものが知られている。この電気接続箱は、ケースと、ケース内に配索された電線と、ケース内に収容された回路基板と、ケース内において回路基板の板面と平行に配されると共に電線が配索される中底と、を備える。
【0003】
中底にはL字状をなす端子の一方の端部が、中底を貫通した状態で取り付けられている。ケースにはリレーを取り付けるための、リレー用のコネクタが配設されている。リレー用のコネクタにはリレーが嵌合可能になっている。上記した端子の他方の端部は、リレー用のコネクタを貫通して、リレー用コネクタの内部に位置して配されている。リレー用コネクタにリレーが嵌合されると、リレーのリードと端子とが電気的に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−92661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によると、特許文献1の図2に示されるように、端子の一方の端部は、リレー用のコネクタからケース内に突出し、中底に向かって直角に屈曲している。更に、端子はリレー用コネクタにおいて上下方向に二段に並んで配されており、上段に配された端子は、下段に配された端子と干渉しないように、リレーの嵌合方向(図2における左右方向)についてずれて配されている。この結果、リレーの嵌合方向について、端子の占有する領域が増大し、電気接続箱が大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化された電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電気接続箱であって、ケースと、前記ケース内に配索された電線と、前記ケース内に収容された回路基板と、前記ケース内に前記回路基板と間隔を空けて前記回路基板の板面に対して平行に配されると共に前記電線が配索される板状の配索部材と、前記ケース内に前記配索部材の板面に垂直に配されると共に前記電線が配索される配索板と、前記配索板に配設されると共に前記電線及び前記回路基板に電気的に接続されたリレーと、を備える。
【0008】
本発明によれば、配索部材の板面に垂直に配された配索板にリレーを配設できるので、リレーを接続するためのコネクタ及びコネクタと接続される端子が不要となる。この結果、リレーと配索部材とを電気的に接続する際に、リレーに接続された端子を直角に曲げ加工する必要がなく、更に、端子が互いに干渉しないようにずらして配さなくてもよいので、電気接続箱を小型化できる。
【0009】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記配索部材及び前記配索板は合成樹脂製であって、前記配索部材と前記配索板とは可撓性を有するヒンジ部を介して一体に形成されていることが好ましい。
【0010】
上記の態様によれば、配索部材と配索板とを一体に形成できるので、部品点数を削減できる。
【0011】
前記配索板には可撓性を有する配索板側ヒンジ部が形成されており、前記配索板は前記配索板側ヒンジ部において屈曲された姿勢で前記ケース内に配されていることが好ましい。
【0012】
上記の態様によれば、配索板を配索板側ヒンジ部において屈曲させることで、ケース内の空間に対応させて、配索板の形状を変えることができる。これにより、ケース内の空間を有効に利用できるので、電気接続箱のスペース効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気接続箱を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す側面図
【図2】電気接続箱のケースを取り外した状態を示す斜視図
【図3】電気接続箱を示す拡大図
【図4】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す斜視図
【図5】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す底面図
【図6】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す側面図
【図7】制御用バスバーと、電線と、タブとの接続構造と示す斜視図
【図8】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図9】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図10】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図11】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図12】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図13】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図14】本発明の実施形態2に係る電気接続箱のケースを取り外した状態を示す斜視図
【図15】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図16】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図17】本発明の御実施形態3に係る電気接続箱を示す側面図
【図18】電気接続箱のケースを取り外した状態を示す斜視図
【図19】電気接続箱を示す拡大図
【図20】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す斜視図
【図21】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す斜視図
【図22】リレーと、ヒューズ端子と、コモンバスバーと、制御用バスバーとの接続構造を示す側面図
【図23】制御用バスバーと、電線と、タブとの接続構造を示す斜視図
【図24】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図25】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図26】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図27】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【図28】電気接続箱の製造工程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図13を参照しつつ説明する。本実施形態は、図示しない車両に搭載される電気接続箱10である。この電気接続箱10は、電源(図示せず)と、モータ、ランプ等の負荷(図示せず)との間に配設されて、電源からの電力を、負荷に対して通電又は断電する。電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11と、ケース11内に収容された回路基板12と、を備える。なお、以下の説明においては、上下方向については図1を基準とする。
【0016】
ケース11の下部には、プリント配線技術により導電路(図示せず)が形成された回路基板12が収容されている。回路基板12は、その板面がケース11の底壁に平行な姿勢で配されている。回路基板12の上面には、電子部品13が実装されており、回路基板12に形成された導電路と電気的に接続されている。
【0017】
ケース11内には、回路基板12の上方の位置に、回路基板12と間隔を空けて、回路基板12の板面に対して平行な姿勢で、板状をなす合成樹脂製の配索部材14が配されている。配索部材14は上方から見て略長方形状をしている。配索部材14の四隅には、下方に突出する脚部15が形成されている。脚部15の下端部は回路基板12の板面に上方から当接するようになっている。
【0018】
配索部材14の下面には、複数のリレー16Aが配設されている。図9に示すように、リレー16Aには、比較的に大きな電流が流れる電力端子17Aと、この電力端子17Aのオンオフが制御される制御信号が流れる制御端子(図示せず)と、を備える。
【0019】
制御端子には制御用バスバー19Aが接続されている。制御用バスバー19Aは、リレー16A側に向かって直角に曲げ加工されている(図9参照)。制御用バスバー19Aは、図1に示すように、リレー16Aが配索部材14に配設された状態で回路基板12側に延びている。制御用バスバー19Aの端部は回路基板12を貫通して半田付け等の公知の手法により回路基板12に形成された導電路と電気的に接続されている。
【0020】
電力端子17Aには電力用バスバー20Aが接続されている。電力用バスバー20Aの端部は二股に分かれた圧接端子とされている。電力バスバーの端部は略直角に曲げ加工されて配索部材14を貫通している。図2に示すように、配索部材14の上面には一対のガイド部21Aが上方に突出している。このガイド部21Aの内部に圧接端子が配設されている。
【0021】
図2に示すように、配索部材14の上面には複数の電線(配索部材側電線)22が配索されている。電線22は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属からなる単芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる。電線22は、一対のガイド部21Aの間に挟持されている。電線22がガイド部21Aの間に挟持されることにより、ガイド部21A内に配設された圧接端子が絶縁被覆を破ると共に、圧接端子と単芯線とが電気的に接続されている。これにより電線22と、リレー16Aの電力端子17Aとが電気的に接続される。
【0022】
ケース11の側面には、2つのコネクタブロック23と、1つのヒューズブロック24と、が配されている。コネクタブロック23は合成樹脂製であって、図示しない相手側コネクタが嵌合可能になっている。コネクタブロック23の内部には棒状をなす端子金具25Aの一方の端部が配されている。端子金具25Aの他方の端部はコネクタブロック23を貫通してケース11内に突出して、回路基板12に向かって下方に略直角に曲げ加工されている。端子金具25Aの他方の端部は、回路基板12を貫通して半田付け等の公知の手法により回路基板12に形成された導電路と電気的に接続されている。
【0023】
ケース11内には、コネクタブロック23の内側の位置に、合成樹脂製の板状をなす圧接端子台26が配されている。圧接端子台26の上面には上方に突出する一対のガイド部21Cが形成されている。一対のガイド部21Cの内部には、一方の端部に二股に分かれた圧接端子が形成された端子金具25Bが配されている。一対のガイド部21Cの間に電線22が挟持されることにより、圧接端子によって絶縁被覆が破られると共に圧接端子と単芯線とが電気的に接続される。また、図13に示すように、端子金具25Bの他方の端部は、コネクタブロック23の上端部寄りの位置に配される。これにより、電線22と相手側コネクタとが電気的に接続される。
【0024】
図1に示すように、配索部材14のうちヒューズブロック24側に位置する端縁には、可撓性を有するヒンジ部27が形成されている。このヒンジ部27のうち配索部材14と反対側の端部には、合成樹脂製の配索板28が、配索部材14と一体に形成されている。配索部材14と、ヒンジ部27と、配索板28と、は合成樹脂によって一体に成形されてなる。成形方法としては、射出成形、トランスファーモールド等、必要に応じて任意の手法を用いることができる。
【0025】
ヒンジ部27は、配索部材14の厚さ寸法、及び配索板28の厚さ寸法よりも薄く形成されていることにより、折り曲げ可能になっている。このヒンジ部27が折り曲げられることにより、配索部材14の板面と、配索板28と板面とが、垂直になっている。
【0026】
ヒューズブロック24は合成樹脂製であって、図示しないヒューズが嵌合可能になっている。ヒューズブロック24の内部にはヒューズ端子29Aの一方の端部が配されている。ヒューズ端子29Aの他方の端部は、ヒューズブロック24を貫通してケース11内に突出している。
【0027】
図3に示すように、ヒューズブロック24の上端部寄りの位置に配されたヒューズ端子29Aの他方の端部は、配索板28の上端部寄りの位置に、ケース11の内方(図3における左方)に突出して形成された一対のガイド部21Bの内部に配されている。ガイド部21Bの内部に配されたヒューズ端子29Aの他方の端部は、先端が二股に分かれた圧接端子とされている。一対のガイド部21Bの内部に電線(配索板側電線)22が挟持されることにより、圧接端子が絶縁被覆を破り、圧接端子と単芯線とが電気的に接続されるようになっている。
【0028】
配索板28には、上下方向の略中央付近に、ケース11の内方(図3における左方)に突出すると共に、リレー16Bが配設されるリレー台座30が形成されている。リレー台座30には、ヒューズブロック24の上下方向について中央付近に配されたヒューズ端子29Bの他方の端部が配されると共に、リレー16Bが配設されている。リレー16Bは、配索板28に対して、ヒューズブロック24と反対側に配されている。
【0029】
図4に示すように、ヒューズ端子29Bの一方の端部には、二股に分かれた複数の音叉端子が形成されている。この音叉端子は、ヒューズブロック24内に配されて、ヒューズと接続されるようになっている。ヒューズ端子29Bの他方の端部は板状をなしており、音叉端子に対して直角に曲げ加工されている。このヒューズ端子29Bの他方の端部には、リレー16Bの電力端子17Bが半田付け等の公知の手法により接続されている。
【0030】
また、図5及び図6に示すように、リレー16Bの電力端子17Bには、電源に接続されるコモンバスバー31が半田付け等の公知の手法により接続されている。コモンバスバー31には複数のリレー16Bが接続されており、電源からの電力が複数のリレー16Bに分岐されている。
【0031】
また、図5及び図6に示すように、リレー16Bの制御端子18Bには制御用バスバー19Bが半田付け等の公知の手法により接続されている。図4に示すように、制御用バスバー19Bの一方の端部には二股に分かれた圧接端子が形成されている。図8に示すように、制御用バスバー19Bの圧接端子は、配索板28に形成された一対のガイド部21Bの間に挿入される。一対のガイド部21Bの間に電線22の一方の端部が挟持されることにより、圧接端子が絶縁被覆を破り、圧接端子と単芯線とが電気的に接続される。図7に示すように、この電線22の他方の端部は、上端に二股に分かれた圧接端子が形成されたタブ33と電気的に接続される。タブ33の下端部は回路基板12に貫通して半田付け等の公知の手法により回路基板12に形成された導電路と電気的に接続されている。
【0032】
図12に示すように、ヒューズブロック24の下端部寄りの位置には、接続端子32の一方の端部がヒューズブロック24の内部に配されている。接続端子32の他方の端部は、下方に曲げ加工されている。図3に示すように、接続端子32の他方の端部は回路基板12を貫通して半田付け等の公知の手法により回路基板12に形成された導電路に電気的に接続されている。
【0033】
(製造工程の一例)
続いて、本実施形態に係る電気接続箱10の製造工程の一例を説明する。まず、合成樹脂によって配索板28、ヒンジ部27、及び配索部材14を成形する。この状態では、ヒンジ部27はまだ折り曲げられていない。次いで、配索板28及び配索部材14の上面に電線22を配索する。また、圧接端子台26の上面にも電線22を配索する(図8参照)。
【0034】
次いで、リレー16Aと、電力用バスバー20A、及び制御用バスバー19Aと、をリフローはんだ付けする。また、リレー16Bと、ヒューズ端子29B、コモンバスバー31、及び制御用バスバー19Bと、をリフロー半田付けする。
【0035】
続いて、図8に示すように、ヒューズ端子29B等が接続されたリレー16Bを、配索板28の上方から配索板28に配設する。
【0036】
次に、図9に示すように、配索部材14、配索板28、及び圧接端子台26の裏側から、配索部材14に対してリレー16Aを配設する。
【0037】
続いて、図10及び図11に示すように、ヒンジ部27を折り曲げることにより、配索板28の板面が、配索部材14の板面に対して垂直になるようにする。配索部と配索部材14とは、電線22によって電気的に接続されている。このため、ヒンジ部27を折り曲げる際に電線22も折り曲げることにより、配索部と配索部材14との電気的な接続を維持しつつ、配索板28と配索部材14とを垂直に配することができる。
【0038】
次に、図12に示すように、ヒューズ端子29A,29B、コモンバスバー31、接続端子32が配設されたヒューズブロック24を、配索板28に配設する
【0039】
その後、図13に示すように、回路基板12に対して、コネクタブロック23と、ヒューズブロック24が配された配索部材14等と、を配設する。この段階における構成を図2に示す。この構成をケース11内に収容することにより、電気接続箱10が完成する。
【0040】
(本実施形態の作用、効果)
本実施形態によれば、配索板28にはリレー16Bが配設されており、この配索板28の板面と、配索部材14の板面とは垂直になっている。これにより、リレー16Bを接続するためのコネクタ及び端子が不要となる。この結果、リレー16Bと配索部材14とを電気的に接続する際に、リレー16Bに接続された端子を直角に曲げ加工する必要がなく、更に、端子が互いに干渉しないようにずらして配さなくてもよいので、電気接続箱10を小型化できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、配索部材14と配索板28とは、ヒンジ部27を介して一体に形成されている。これにより、配索部材14と配索板28とが別体に形成されている場合に比べて、部品点数を削減できる。
【0042】
また、本実施形態によれば、配索板28と、配索部材14とに、リレー16A,16Bを分散させて配することができる。これにより、通電時にリレー16A,16Bから発生する熱がケース11内で分散されるので、ケース11内において局所的に高温になることが抑制される。
【0043】
更に、本実施形態によれば、配索板28に配されたリレー16Bは、コモンバスバー31、及びヒューズ端子29Bによってヒューズブロック24と接続されている。これにより、ヒューズブロック24からリレー16Bに至る経路における発熱量を減少させることができる。この結果、ケース11内が局所的に高温になることを一層抑制できる。
【0044】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図14ないし図16を参照しつつ説明する。本実施形態2においては、図14に示すように、配索部材14の上面にリレー16Cが配設されている。図15に示すように、このリレー16Cに接続された制御用バスバー19Cはリレー16Cと反対側に向かって直角に曲げ加工されている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
本実施形態に係る電気接続箱10を製造する際には、図15に示すように、制御用バスバー19C、及び電力用バスバー20Cと接続されたリレー16Cは、配索部材14の上面から、配索部材14に配設される。これにより、配索板28にリレー16Cを配設する工程を実行した後に、配索板28、及び配索部材14を裏返す必要がないので、電気接続箱10の製造工程を簡略化できる。また、配索板28、及び配索部材14にリレー16Cを配設する工程を同一工程で実行できるので、作業効率を向上させることができる。
【0046】
その後、図16に示すように、ヒンジ部27を折り曲げることで配索板28の板面と、配索部材14の板面とが垂直になるようにする。
【0047】
上記以外の製造工程については、実施形態1と略同様なので、重複する説明を省略する。
【0048】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を、図17ないし図28を参照しつつ説明する。図17に示すように、配索部材14のうちヒューズブロック24側に位置する端縁には、可撓性を有するヒンジ部27が形成されている。このヒンジ部27のうち配索部材14と反対側の端部には、合成樹脂製の配索板28が、配索部材14と一体に形成されている。配索部材14と、ヒンジ部27と、配索板28と、は合成樹脂によって一体に成形されてなる。成形方法としては、射出成形、トランスファーモールド等、必要に応じて任意の手法を用いることができる。
【0049】
ヒンジ部27は、配索部材14の厚さ寸法、及び配索板28の厚さ寸法よりも薄く形成されていることにより、折り曲げ可能になっている。このヒンジ部27が折り曲げられることにより、配索部材14の板面と、配索板28と板面とが、垂直になっている。
【0050】
図19に示すように、配索板28には、上下方向に並んで、2つの配索板側ヒンジ部40が形成されている。この配索板側ヒンジ部40の厚さ寸法は、配索板28のうち、他の部分の厚さ寸法よりも薄く形成されている。これにより、配索板側ヒンジ部40は折り曲げ可能になっている。
【0051】
これらの配索板側ヒンジ部40を折り曲げることにより、配索板28はクランク状に折り曲げられた姿勢になっている。具体的に説明すると、配索板28は、ヒンジ部27が折り曲げられることにより上方に折り曲げられ、更に、下側に位置する配索板側ヒンジ部40においてヒューズブロック24側に向かって折り曲げられ、更に、上側に位置する配索板側ヒンジ部40において上方に向かって折り曲げられている。これにより、配索板28には、下側に位置して配索部材14の板面と垂直な姿勢となっている下側垂直部41と、下側垂直部41の上方に位置して配索部材14の板面と垂直な姿勢となっている上側垂直部42と、を備える。
【0052】
上側垂直部42には、ケース11の内方(図19における右方)に突出する一対のガイド部21Bが形成されている。この一対のガイド部21Bの内部には、ヒューズ端子29Aの端部に形成された圧接端子が収容されている。
【0053】
図17に示すように、下側垂直部41には、ヒューズブロック24側の面にリレー16Dが配設されている。図17及び図18に示すように、本実施形態においては、配索部材14に配設されたリレー16Aと、配索板28に配設されたリレー16Dとは、配索部材14及び配索板28のうち電線22が配索された領域には配設されないようになっている。
【0054】
図20に示すように、ヒューズ端子29Dの一方の端部には、二股に分かれた複数の音叉端子が形成されている。この音叉端子は、ヒューズブロック24内に配されて、ヒューズと接続されるようになっている。ヒューズ端子29Dの他方の端部は板状をなしており、音叉端子に対して直角に曲げ加工されている。図21に示すように、このヒューズ端子29Dの他方の端部には、リレー16Dの電力端子17Dが半田付け等の公知の手法により接続されている。
【0055】
また、図21及び図22に示すように、リレー16Dの電力端子17Dには、電源に接続されるコモンバスバー31が半田付け等の公知の手法により接続されている。コモンバスバー31には複数のリレー16Dが接続されており、電源からの電力が複数のリレー16Dに分岐されている。
【0056】
また、図21及び図22に示すように、リレー16Dの制御端子18Dには制御用バスバー19Dが半田付け等の公知の手法により接続されている。図21に示すように、制御用バスバー19Dの一方の端部には二股に分かれた圧接端子が形成されている。制御用バスバー19Dの圧接端子は、配索板28に形成された一対のガイド部21Dの間に挿入される。一対のガイド部21Dの間に電線22の一方の端部が挟持されることにより、圧接端子が絶縁被覆を破り、圧接端子と単芯線とが電気的に接続される。図23に示すように、この電線22の他方の端部は、上端に二股に分かれた圧接端子が形成されたタブ33と電気的に接続される。タブ33の下端部は回路基板12に貫通して半田付け等の公知の手法により回路基板12に形成された導電路と電気的に接続されている。
【0057】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
(製造工程の一例)
続いて、本実施形態に係る電気接続箱10の製造工程の一例を説明する。まず、合成樹脂によって配索板28、ヒンジ部27、及び配索部材14を成形する。この状態では、ヒンジ部27はまだ曲げられていない。次いで、配索板28及び配索部材14の上面に電線22を配索する。また、圧接端子台26の上面にも電線22を配索する(図24参照)。
【0059】
次いで、リレー16Aと、電力用バスバー20A、及び制御用バスバー19Aと、をリフローはんだ付けする。また、リレー16Dと、ヒューズ端子29D、コモンバスバー31、及び制御用バスバー19Dと、をリフロー半田付けする。
【0060】
続いて、図25に示すように、電線22が配索された配索板28及び配索部材14を裏返し、リレー16A,16Dを、配索板28及び配索部材14の裏側から配設する。
【0061】
次に、図26に示すように、配索板28及び配索部材14を、再び裏返す。続いて、図27に示すように、ヒンジ部27を折り曲げると共に、配索板側ヒンジ部40を折り曲げることにより、配索板28をクランク状に折り曲げる。
【0062】
次に、図28に示すように、ヒューズ端子29A、コモンバスバー31、接続端子32が配設されたヒューズブロック24を、配索板28に配設し、更に、回路基板12に対して、コネクタブロック23と、ヒューズブロック24が配された配索部材14等と、を配設する。この段階における構成を図18に示す。この構成をケース11内に収容することにより、電気接続箱10が完成する。
【0063】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態によれば、配索板28には可撓性を有する配索板側ヒンジ部40が形成されており、配索板28は配索板28側ヒンジにおいて屈曲された姿勢でケース11内に配されている。これにより、配索板28を配索板28側ヒンジにおいて屈曲させることで、ケース11内の空間に対応させて、配索板28の形状を変えることができる。この結果、ケース11内の空間を有効に利用できるので、電気接続箱10のスペース効率を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、配索板28には複数(本実施形態では2つ)の配索板側ヒンジ部40が形成されており、配索板28は複数の箇所において折り曲げられている。これにより、ケース11内の空間に対応させて、配索板28の形状を自由に変更できるので、電気接続箱10のスペース効率を更に向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、上側配索板28にヒューズ端子29Aが配設されている。この上側配索板28は、クランク状に折り曲げられてヒューズブロック24に近づけて配されているので、ヒューズ端子29Aの長さ寸法を短くすることができる。この結果、ヒューズ端子29Aの配索経路における発熱量を小さくすることができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、配索部材14と配索板28とはヒンジ部27を介して一体に形成される構成としたが、これに限られず、配索部材14と配索板28とは別体に形成される構成としてもよい。
(2)本実施形態においては2つの配索板側ヒンジ部40が形成される構成としたが、これに限られず、配索板側ヒンジ部40は、1つでもよく、また、3つ以上の複数でもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…電気接続箱
11…ケース
12…回路基板
14…配索部材
16…リレー
22…電線
27…ヒンジ部
28…配索板
40…配索板側ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に配索された電線と、前記ケース内に収容された回路基板と、前記ケース内に前記回路基板と間隔を空けて前記回路基板の板面に対して平行に配されると共に前記電線が配索される板状の配索部材と、前記ケース内に前記配索部材の板面に垂直に配されると共に前記電線が配索される配索板と、前記配索板に配設されると共に前記電線及び前記回路基板に電気的に接続されたリレーと、を備えた電気接続箱。
【請求項2】
前記配索部材及び前記配索板は合成樹脂製であって、前記配索部材と前記配索板とは可撓性を有するヒンジ部を介して一体に形成されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記配索板には可撓性を有する配索板側ヒンジ部が形成されており、前記配索板は前記配索板側ヒンジ部において屈曲された姿勢で前記ケース内に配されている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−228113(P2012−228113A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95095(P2011−95095)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】