説明

電気接続箱

【課題】箱本体をカバー内でより安定的に支持することが出来ると共に、箱本体を収容する際の電線の損傷のおそれを低減することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供すること。
【解決手段】箱本体12を下方から覆うロアカバー16の周壁20a〜20dを部分的に凹ませることによってカバー内方に突出する複数の補強リブ24a〜24gを形成すると共に、該補強リブ24a〜24gの上端面を下方に傾斜するテーパ面26とする一方、該テーパ面26におけるカバー内方への突出先端縁部28を、該ロアカバー16に組み付けられた該箱本体12の外周縁部59よりもカバー内方に位置させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱に係り、特に、電気部品が装着される箱本体がカバー内に収容される構造を有する電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等において、ジャンクションボックスやリレーボックス等の電気接続箱が用いられている。このような電気接続箱は、特開平9−284950号公報(特許文献1)に記載されているように、コネクタやヒューズ等の電気部品が装着される箱本体に対してアッパカバーとロアカバーが上下方向から重ね合わされて、これらアッパカバーとロアカバーの間に箱本体が収容される構造とされている。
【0003】
ところで、近年では、自動車の高性能化に伴い、電気接続箱の箱本体に取り付けられる電気部品の数が増加している。それ故、箱本体の重量も増加しつつあり、カバーには、より大きな壁面強度が要求される。壁面強度が不足すると、車両走行中の振動等による電気接続箱全体の振幅が大きくなって、箱本体やこれに設けられた電気部品の損傷のおそれが高くなるからである。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の電気接続箱においては、ロアカバーの周壁の内面に、カバー内方に突出する厚肉板状のリブを形成することにより、ロアカバーの壁面強度の向上が図られている。しかし、特許文献1に記載の構造では、厚肉板状のリブを形成することから樹脂のヒケを生じるおそれがあり、却ってロアカバーの寸法精度が低下して、箱本体を安定的に支持出来なくなるおそれがあった。そして、箱本体を安定的に支持出来なくなった場合、箱本体をロアカバー内に落下させてしまうおそれもあった。また、箱本体には、コネクタ等によって多数の電線が接続されているが、特許文献1に記載の電気接続箱においては、箱本体をロアカバー内に収容するに際して、リブと箱本体の間で電線を挟み込んでしまい、電線を損傷するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−284950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、箱本体をカバー内でより安定的に支持することが出来ると共に、箱本体を収容する際の電線の損傷のおそれを低減することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、電気部品が装着される箱本体と、該箱本体を下方から覆うロアカバーとを備えた電気接続箱において、前記ロアカバーの周壁には、該周壁が部分的に凹まされることによりカバー内方に突出する複数の補強リブが形成されていると共に、該補強リブの上端面が、下方に行くに連れてカバー内方への突出寸法が次第に大きくなるテーパ面とされている一方、該テーパ面におけるカバー内方への突出先端縁部が、前記ロアカバーに組み付けられた前記箱本体の外周縁部よりもカバー内方に位置されていることを、特徴とする。
【0008】
本発明に従う構造とされた電気接続箱においては、ロアカバーの周壁を部分的に凹ませることによって、補強リブが形成されている。これにより、周壁を凹凸断面形状として、複数箇所に角部を形成することによって、ロアカバーの壁面強度を向上することが出来る。これにより、樹脂のヒケを生じるおそれも軽減されて、ロアカバーの寸法精度を向上することが出来る。その結果、箱本体をより安定的に支持することが出来る。
【0009】
また、ロアカバーの内方に突出された補強リブの上端面が、テーパ面とされている。これにより、箱本体をカバー内に収容するに際して、電線を補強リブの上端面上から逃がすことが出来て、箱本体と補強リブの間で電線を挟みこんで損傷するおそれも軽減することが出来る。
【0010】
さらに、カバー内に突出された補強リブの上端面が、カバー内に収容された箱本体の外周縁部よりも内方に突出されている。これにより、補強リブの上端面が箱本体の下方に位置されており、何等かの原因で箱本体の支持が解除された場合でも、補強リブの上端面に箱本体を接触させて、補強リブで箱本体の落下を阻止することが出来る。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記ロアカバーの周壁における角部に前記補強リブが形成されているものである。
【0012】
本態様によれば、ロアカバーの周壁の角部の強度を向上することが出来る。これにより、ロアカバーの全体的な強度をより向上することが出来て、箱本体をより安定的に支持することが出来る。また、箱本体の支持が解除されて箱本体が落下した場合には、箱本体の角部を補強リブで支持出来ることから、より安定的に支持することが出来る。なお、本態様において、補強リブは、必ずしも周壁の全ての角部に形成されている必要はなく、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記補強リブが、前記箱本体に装着された前記電気部品から外れた位置に形成されているものである。
【0014】
本態様においては、カバー内に収容された箱本体に装着される電気部品と接触しない位置に補強リブが設けられている。これにより、箱本体をカバー内に収容する際の、箱本体に装着された電気部品と補強リブとの干渉を回避して、箱本体のカバー内への収容を容易に行うことが出来る。
【0015】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記補強リブの前記テーパ面が、前記ロアカバーに組み付けられた前記箱本体に対して隙間を隔てて位置されているものである。
【0016】
本態様によれば、箱本体がカバー内で正常に支持されている状態では、補強リブと接触しないようにされている。これにより、補強リブを通じて箱本体に不要な振動が伝達される等のおそれを回避することが出来る。
【0017】
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記箱本体を上方から覆うアッパカバーを備え、該アッパカバーに前記箱本体が組み付けられると共に該アッパカバーが前記ロアカバーに組み付けられることによって、該箱本体が前記アッパカバーを介して前記ロアカバーに組み付けられているものである。
【0018】
本態様によれば、箱本体がアッパカバーに支持される。これにより、箱本体をアッパカバーに一体的に組み付けた状態で、アッパカバーをロアカバーに組み付けることにより、両カバー相互の組み付けと箱本体のカバー内への収容を同時に行なうことが出来る。これにより、組立作業性の向上を図ることが出来る。また、車両への取り付け状態において、ロアカバーと箱本体の間にアッパカバーを介在させることにより、ロアカバーの振動の箱本体への伝達を軽減することも出来る。
【0019】
そして、本態様においては、箱本体が、アッパカバーから吊り下げられるようにして、カバー内で支持される。従って、何等かの原因で箱本体のアッパカバーへのロック状態が解除された場合には、箱本体がロアカバー内に落下するおそれがある。しかし、本発明によれば、ロアカバーの補強リブを箱本体に接触させて箱本体を支持することにより、箱本体のロアカバー内への落下を阻止して、箱本体の損傷のおそれを軽減することが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、ロアカバーの周壁を部分的に凹ませることにより、カバー内方に突出する補強リブを設けた。これにより、周壁の断面形状を凹凸形状として、壁面強度を向上することが出来る。それと共に、樹脂のヒケが生じるおそれを軽減して、ロアカバーの寸法精度を向上することが出来る。その結果、箱本体をより安定的に支持することが出来る。また、補強リブの上端面をテーパ面としたことにより、箱本体と補強リブの間で電線を挟み込むおそれを軽減することが出来る。更に、補強リブの上端面が箱本体の下方に位置されている。これにより、振動等により箱本体のカバーへのロック状態が解除された場合でも、補強リブで箱本体を支持することが出来て、箱本体のロアカバーへの大きな落ち込みを阻止して、箱本体の損傷のおそれを軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の分解斜視図。
【図2】ロアカバーの平面図。
【図3】図1に示した電気接続箱の、図2におけるIII−III断面に相当する断面図。
【図4】(a)は図3におけるA部の拡大図、(b)は図3におけるB部の拡大図。
【図5】図1に示した電気接続箱の、図2におけるV−V断面に相当する断面図。
【図6】図1に示した電気接続箱の、図2におけるVI−VI断面に相当する断面図。
【図7】箱本体の組み付け状態における、箱本体に装着されたコネクタとロアカバーを併せ示す平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示す。電気接続箱10は、箱本体12と、アッパカバー14と、ロアカバー16とを含んで構成されている。そして、箱本体12の両側からアッパカバー14とロアカバー16が重ね合わされて組み付けられるようになっている。なお、以下の説明において、特に断りのない場合には、上方とは、電気接続箱10の車体への組付状態における鉛直上方であって、アッパカバー14が位置する図1中の上方、下方とは、同組付状態における鉛直下方であって、ロアカバー16が位置する図1中の下方をいうものとする。
【0024】
ロアカバー16は、合成樹脂から形成されている。図2に示すように、ロアカバー16は、底壁18の外周縁部から全周に亘って連続する略矩形の周壁20a〜20dが上方に突出して一体形成された、箱本体12側に開口部22を有する箱体形状とされている。
【0025】
周壁20a〜20dには、複数の補強リブ24a〜24gが周壁20a〜20dの周方向で適当な間隔を隔てて形成されている。周壁20aの周方向の中間部分には補強リブ24a,24bが形成されており、周壁20a〜20dの矩形の角部となる周壁20aと周壁20bとの連結部分に補強リブ24cが形成されている。また、周壁20bの周方向の中間部分に補強リブ24d,24eが形成されており、周壁20a〜20dの矩形の角部となる周壁20bと周壁20cとの連結部分に補強リブ24fが形成されている。更に、周壁20dの周方向の中間部分に補強リブ24gが形成されている。従って、各周壁20a〜20dには、補強リブ24a〜24gの少なくとも1つが形成されている。各補強リブ24a〜24gは、互いに略同様の構造とされていることから、以下、特に区別する必要のない場合には、補強リブ24として説明する。
【0026】
補強リブ24は、周壁20a〜20dが部分的にロアカバー16の内方に凹まされることによって形成されている。これにより、周壁20a〜20dの横断面(上下方向に直交する、左右方向の断面)形状は凹凸形状とされている。補強リブ24は、周壁20a〜20dの周方向で所定の幅寸法をもって周壁20a〜20dの内方に突出して上下方向に延出されている。なお、補強リブ24a〜24gの周壁20a〜20dの周方向での幅寸法は、後述する箱本体12の形状等に応じて適宜に設定されるものであり、互いに異なる大きさに設定されていても良い。また、周壁20a〜20dの外面において、補強リブ24a〜24gの下端縁部はロアカバー16の下方に開放されている。更にまた、補強リブ24cは、周壁20aの内方に窪まされた部分が周壁20bに回り込まされることによって、周壁20aと周壁20bに跨って形成されている。同様に、補強リブ24fは、周壁20cの内方に窪まされた部分が周壁20bに回り込まされることによって、周壁20cと周壁20bに跨って形成されている。
【0027】
図3〜図5に示すように、補強リブ24の上端面は、下方に行くに連れてカバー内方(図4における補強リブ24fについて右方、補強リブ24gについて左方)への突出寸法が次第に大きくなるテーパ面26とされている。テーパ面26におけるカバー内方への突出先端縁部28は、後述するように、ロアカバー16に組み付けられた箱本体12の外周縁部となる周壁59よりもカバー内方に位置されるようになっている。
【0028】
また、周壁20a〜20dには、必要に応じて、追加リブ30が形成されても良い。本実施形態においては、周壁20cの周方向の中間部分に、2つの追加リブ30,30が形成されている。これら追加リブ30は、補強リブ24と略同様に、周壁20a〜20dがカバー内方に凹まされることによって形成されている。また、追加リブ30の上端面は補強リブ24のテーパ面26と略同様のテーパ面32とされることが好ましく、本実施形態における追加リブ30のテーパ面32は、補強リブ24のテーパ面26よりも下方に位置されている。
【0029】
さらに、周壁20a,20cの外面には、上方に突出する複数(本実施形態においては、周壁20a,20cのそれぞれにおいて2つ)のロック部34が形成されている。また、周壁20a,20cの外面には、ロアカバー16の外方に突出して延びる取付脚部36,38が形成されている。これら取付脚部36,38にはボルト挿通孔40が貫設されている。
【0030】
このようなロアカバー16に対して、アッパカバー14を介して箱本体12が組み付けられる。アッパカバー14は合成樹脂から形成されている。図4に拡大して示すように、アッパカバー14は、ロアカバー16側に向けて開口する開口部42を備えた箱体形状とされており、略矩形平板形状とされた上壁44の全周に亘って、外周壁46が突出されている。外周壁46の内側には、外周壁46よりも上壁44からの突出寸法の大きな内周壁48が形成されている。これにより、内周壁48の上壁44からの突出端部によって、ロアカバー16の開口部22と略対応する形状の開口部42が形成されている。更に、外周壁46と内周壁48の間によって、アッパカバー14の外周部分で全周に亘って延びる嵌合溝50が形成されている。
【0031】
さらに、図1等に示したように、外周壁46の外面においてロアカバー16のロック部34と対応する位置には、上壁44からの突出先端部において外方に突出する突起形状のロック爪52が形成されている。また、図4等に示すように、内周壁48の内面には、箱本体12をロックするための鉤状の本体ロック部54が形成されている。
【0032】
このようなアッパカバー14に、箱本体12が組み付けられる。図1に示したように、箱本体12は合成樹脂から形成されており、アッパカバー14およびロアカバー16の開口部22,42と略対応する略矩形の外形状を有している。箱本体12には、電気部品装着部としての複数のコネクタ装着部56やヒューズ装着部58等が形成されており、電気部品としての後述するコネクタ64や図示しないヒューズ等が接続される。また、図4に示したように、箱本体12の外周縁部を構成する周壁59において、ロアカバー16の本体ロック部54と対応する位置には、箱本体12の外方に突出する突起状のロック爪60が形成されている。
【0033】
図5〜図6に併せ示すように、箱本体12の各コネクタ装着部56に対して、電線62の端末に設けられた電気部品としてのコネクタ64が下方から装着される。これにより、箱本体12からは、コネクタ64と接続する複数の電線62が下方に延出されている。また、ヒューズ装着部58に電気部品としての図示しないヒューズが下方から装着される。
【0034】
そして、コネクタ64やヒューズ等の電気部品が装着された箱本体12にアッパカバー14が重ね合わされて、箱本体12がアッパカバー14の開口部42からアッパカバー14の内周壁48内に挿入される。これにより、アッパカバー14の内周壁48に形成された本体ロック部54と箱本体12のロック爪60が係合して、アッパカバー14への収容状態で箱本体12がアッパカバー14に一体的に組み付けられる。なお、アッパカバー14への組付状態で、箱本体12は、内周壁48から下方に突出されている。
【0035】
そして、箱本体12が組み付けられたアッパカバー14がロアカバー16に重ね合わされて、箱本体12がロアカバー16の開口部22内に挿し込まれる。それと共に、図4に示したように、ロアカバー16の周壁20a〜20dの上端縁部が、アッパカバー14の嵌合溝50内に嵌め入れられる。なお、ロアカバー16の周壁20a〜20dの上端部とアッパカバー14の嵌合溝50には段差面66,68がそれぞれ形成されており、これら段差面66,68が互いに接触することによって、アッパカバー14のロアカバー16への重ね合わせ量(周壁20a〜20dの嵌合溝50への差し込み量)が規定されるようになっている。そして、ロアカバー16のロック部34とアッパカバー14のロック爪52(図1参照)が係合することによって、アッパカバー14がロアカバー16に組み付けられる。
【0036】
これにより、アッパカバー14に組み付けられた箱本体12が、ロアカバー16の周壁20a〜20d内に収容される。そして、箱本体12が上方からアッパカバー14で覆われると共に、下方からロアカバー16で覆われることにより、電気接続箱10が形成されている。このように、本実施形態においては、箱本体12がアッパカバー14に一体的に組み付けられることから、アッパカバー14のロアカバー16への組み付けと同時に、箱本体12のロアカバー16への収容を行うことが出来る。なお、箱本体12は、アッパカバー14を介してロアカバー16に組み付けられており、アッパカバー14から吊り下げられるようにして、ロアカバー16内の開口部22側に位置して収容されている。その結果、ロアカバー16の内部において、箱本体12との間には、電線収容空間70が形成されており、箱本体12から延出された電線62において、箱本体12をロアカバー16から引き出すための余長分が、電線収容空間70に収容されるようになっている。そして、電線収容空間70に収容された電線62は、ロアカバー16において周壁20cや底壁18等の適宜の位置に貫設された電線取出口72を通じて、電気接続箱10の外部に取り出されている。
【0037】
図3〜図6に示したように、ロアカバー16への収容状態で、箱本体12の下方には、ロアカバー16の内方に突出された補強リブ24a〜24gが位置されるようになっている。そして、補強リブ24a〜24gのカバー内方への突出先端縁部28が、箱本体12の外周縁部となる周壁59よりもカバー内方に位置されている。これにより、補強リブ24a〜24gのテーパ面26が、箱本体12の下方に位置されており、上方からの投影視において、箱本体12と重なり合う程度にカバー内方に突出されている。また、図4に補強リブ24f,24gを例に示すように、本実施形態においては、各補強リブ24a〜24gのテーパ面26が、アッパカバー14で正常に支持された正規位置の箱本体12に対して上下方向で極僅かな隙間:Da〜Dg(図面の明瞭化のため、隙間寸法:Df,Dgのみを図4に示し、Da〜Deの図示は省略している)を隔てて位置されるようになっており、箱本体12が補強リブ24a〜24gへの非接触状態でロアカバー16内に収容されている。各補強リブ24a〜24gと箱本体12との隙間寸法:Da〜Dgは互いに略等しくされることが好ましく、本実施形態においては、0.3mm程度に設定されている。
【0038】
また、箱本体12に装着されたコネクタ64は、箱本体12から下方に突出した状態で装着されている。そして、図7に示すように、補強リブ24a〜24gは、箱本体12に装着された各コネクタ64と干渉しない位置に形成されている。例えば、補強リブ24aと補強リブ24bは、コネクタ64aを挟む両側に外れて位置されている。また、補強リブ24fと補強リブ24gは、周壁20cと周壁20dの周方向でコネクタ64b,64c,64d,64eを挟む両側に外れて位置されている。このように、各補強リブ24a〜24gは、箱本体12に装着された各コネクタ64と接触しない位置に形成されている。これにより、箱本体12をロアカバー16内に円滑に収容することが出来る。
【0039】
このような電気接続箱10は、ロアカバー16の取付脚部36,38が、図示しない自動車のエンジンルーム内の車体パネルに重ね合わされると共に、それぞれのボルト挿通孔40,40に図示しないボルトが挿通されて車体パネルに固定されることにより、車体に取り付けられる。
【0040】
本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10によれば、ロアカバー16の周壁20a〜20dを部分的に凹ませることによって、補強リブ24a〜24gが形成されている。これにより、周壁20a〜20dを周方向で凹凸断面形状として多数の角部を形成して、ロアカバー16の壁面強度を向上することが出来る。従って、ロアカバー16の成形時の樹脂のヒケ等の問題を軽減することが出来て、ロアカバー16を優れた寸法精度をもって形成することが出来る。その結果、アッパカバー14延いては箱本体12の組み付け精度を向上して、箱本体12をアッパカバー14とロアカバー16の内部で安定的に支持することが出来る。
【0041】
また、補強リブ24a〜24gの上端面が、テーパ面26とされている。これにより、箱本体12をロアカバー16に収容するに際して、箱本体12から延出する電線62が箱本体12と補強リブ24a〜24gの間で挟まれそうになった場合でも、テーパ面26で電線62をロアカバー16の内方に案内することによって、箱本体12と補強リブ24a〜24gの間から逃がすことが出来る。その結果、箱本体12のロアカバー16への組み付けに際して電線62を補強リブ24a〜24gとの間で噛み込んで損傷するおそれも軽減することが出来る。
【0042】
さらに、補強リブ24a〜24gのテーパ面26が、箱本体12の下方に位置されている。これにより、車両走行時の振動等、何等かの原因でアッパカバー14と箱本体12の係合が解除されて箱本体12がアッパカバー14から落下した場合には、補強リブ24a〜24gで箱本体12を支持することによって、箱本体12のロアカバー16内への落ち込みを防いで、正規位置に近い位置に保持することが出来る。その結果、箱本体12がロアカバー16内で非固定状態で大きく動かされることを防止して、ロアカバー16への強い打ち当たりによる箱本体12の損傷や、箱本体12に装着されたコネクタ64やヒューズ等の脱落のおそれを軽減することが出来る。
【0043】
特に本実施形態においては、箱本体12が直接にはアッパカバー14のみに固定されている。これにより、車体に固定されたロアカバー16からの振動が、箱本体12に直接に伝達しないようにされており、振動に起因する箱本体12の変形や、コネクタ64等の脱落のおそれが軽減されている。そして、箱本体12が、ロアカバー16で直接には支持されておらず、アッパカバー14から吊り下げられるようにしてロアカバー16内に配設されていることから、何等かの原因でアッパカバー14との係合が解除された場合には、箱本体12がロアカバー16内に落下し易い。しかし、本実施形態によれば、補強リブ24a〜24gによって、箱本体12のロアカバー16内への大きな落ち込みを効果的に阻止することが出来る。
【0044】
加えて、各補強リブ24a〜24gが、アッパカバー14に支持された正規位置の箱本体12に対して、上下方向で僅かな隙間:Da〜Dgを隔てて位置されている。これにより、正規位置の箱本体12に対して補強リブ24a〜24gが接触しないようにされており、箱本体12のロアカバー16への収容を円滑に行うことが出来ると共に、車体に直接に固定されているロアカバー16の振動が、補強リブ24a〜24gを介して箱本体12に伝達されるおそれも軽減されている。また、各補強リブ24a〜24gと箱本体12との隙間:Da〜Dgが極めて小さくされていることから、アッパカバー14との係合が解除された場合でも、箱本体12を正規位置に近い位置で保持することが出来る。更に、各補強リブ24a〜24gと箱本体12との隙間:Da〜Dgが互いに略等しい大きさとされていることから、各補強リブ24a〜24gのうちの特定のものに偏って箱本体12が支持されるおそれを軽減して、箱本体12を安定的に支持することが出来る。
【0045】
また、略矩形箱体形状とされたロアカバー16の角部となる周壁20aと周壁20bとの接続部分、および周壁20bと周壁20cとの接続部分に補強リブ24c,24fがそれぞれ形成されている。これにより、ロアカバー16を角部で効果的に補強することが出来る。更に、ロアカバー16の角部を凹ませることによって、電気接続箱10の小型化を図ることも出来る。そして、何等かの原因でアッパカバー14との係合が解除されて箱本体12が落下した場合には、補強リブ24c,24fで箱本体12の角部を支持出来ることから、箱本体12をより安定的に支持することが出来る。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、箱本体は、ロアカバーに直接に組み付けられるものでも良いのであって、ロアカバーに形成した段差面に箱本体を載置したり、前記アッパカバー14と箱本体12における本体ロック54とロック爪60のような係合機構で箱本体をロアカバーに組み付ける等しても良い。
【0047】
また、補強リブは、必ずしも正規位置の箱本体に対して非接触状態とされるものに限定されず、カバーに組み付けられて正規に位置された箱本体に対して接触していてもよい。更に、箱本体に対して上下方向で隙間を隔てて補強リブが位置される場合において、箱本体との離隔距離は、各補強リブ間で互いに異ならされていても良い。
【符号の説明】
【0048】
10:電気接続箱、12:箱本体、14:アッパカバー、16:ロアカバー、20a〜d:周壁、24a〜g:補強リブ、26:テーパ面、28:突出先端縁部、59:周壁(箱本体の外周縁部)、62:電線、64:コネクタ(電気部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品が装着される箱本体と、該箱本体を下方から覆うロアカバーとを備えた電気接続箱において、
前記ロアカバーの周壁には、該周壁が部分的に凹まされることによりカバー内方に突出する複数の補強リブが形成されていると共に、
該補強リブの上端面が、下方に行くに連れてカバー内方への突出寸法が次第に大きくなるテーパ面とされている一方、
該テーパ面におけるカバー内方への突出先端縁部が、前記ロアカバーに組み付けられた前記箱本体の外周縁部よりもカバー内方に位置されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記ロアカバーの周壁における角部に前記補強リブが形成されている
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記補強リブが、前記箱本体に装着された前記電気部品から外れた位置に形成されている
請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記補強リブの前記テーパ面が、前記ロアカバーに組み付けられた前記箱本体に対して隙間を隔てて位置されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記箱本体を上方から覆うアッパカバーを備え、該アッパカバーに前記箱本体が組み付けられると共に該アッパカバーが前記ロアカバーに組み付けられることによって、該箱本体が前記アッパカバーを介して前記ロアカバーに組み付けられている請求項1〜4の何れか1項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74682(P2013−74682A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210819(P2011−210819)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】