説明

電気機械的外科医療用装置

【課題】モータシステムを外科医療用器具から離して設けられる、電気機械的外科医療用
装置を提供する。
【解決手段】ハウジング14と、ハウジング14から伸長し、その先端が外科医療用器具
を着脱可能に接続するように構成される伸長シャフト20と、伸長シャフト20内に配置
され、その各先端が外科医療用器具に接続するように構成される軸回転可能な少なくとも
2つのドライブシャフト30、32と、伸長シャフト20の先端24を操縦するように構
成される操縦ケーブル装置34〜37と、ハウジング14内に配置されて前記ドライブシ
ャフト及び前記操縦装置を駆動するように構成されるモータシステム76、80、84、
90、96と、を含む電気機械的外科医療用装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本発明は、米国出願第09/324,451号(1999年6月2日出願)、第09/
324,452号(1999年6月2日出願)、第09/351,534号(1999年
7月12日出願)、第09/324,452号の一部継続出願である第09/510,9
23号(2000年2月22日出願)及び第09/510,927号(2000年2月2
2日出願)、並びに第09/510,932号(2000年2月22日出願)の一部継続
出願である。
【0002】
〔本発明の技術分野〕
本発明は、電気機械的な外科医療用装置に関する。
【背景技術】
【0003】
外科医療用装置の説明に関する文献は充実している。例えば、Sjostromらの米国特許第
4,705,038号は、動力を備えた器具用の外科医療用システムについて記述してい
る。このシステムは、モータを収納し、かつ複数の外科医療用装置の一つを収容するよう
にした収納部を含む、ハンドピースを含んでいる。収納部内には、1対のリードスイッチ
が配置されており、外科医療用装置の各々は、その装置がハンドピースに取り付けられた
ときに、ある特定の組合せでリードスイッチを作動させるようにした1つ又は2つの磁石
を含む。
組み立てられたハンドピースと外科医療用装置の磁石によって作動させられたリードス
イッチの組合せは、ハンドピースに取り付けられた外科医療用装置をシステムに識別させ
る。このシステムによって識別できる外科医療用装置の数は、2つの磁石により組合せ可
能な4つの組合せに限定される。
【0004】
Amsらによる米国特許第4,995,877号は、回転駆動される外科医療用器具を有
する装置について記述している。この装置は、ツール挿入部を駆動するための駆動モータ
を収納している、ハンドヘルド要素を含む。この装置はさらに、装置のユーザが手動で設
定した操作データを保存するための、保存ユニットを有するコントロールユニットを含ん
でいる。また、このようなデータを、プラグイン部に挿入可能なコードキャリア(code c
arrier)に転送することができる。
【0005】
Mallabyによる米国特許第5,249,583号は、ワイパなし位置センサを有する電
気的生体検査器具について記述している。スロットが設けられたディスクとカムとが、モ
ータにより駆動される駆動シャフトに取り付けられている。そして1対のセンサが配置さ
れ、スロットが設けられたディスクのスロットが、センサの上に位置したときに各センサ
が作動するようになっている。これによって器具のカニョーレ(cannula)及びスタイレ
ット(stylet)の位置を決定するようになっている。器具のハウジング内には、センサ、
スロットが設けられたディスク、カム、モータ、及び器具に動力を供給するための充電式
バッテリーが収納されている。
【0006】
Hoovenによる米国特許第5,383,880号は、検出手段を有する内視鏡外科医療用
システムについて記述している。器具は、ハンドヘルドハウジング内に配置されたモータ
を含んでいる。そして、前記システムの器具の頭部には、近接する細胞組織に含まれる血
中酸素を検出するためのセンサが設けられている。
【0007】
同じように、Bymeらによる米国特許第5,395,033号は、1対の顎部を有する内
視鏡外科医療用器具について記述している。顎部の一方の先端には永久磁石が配置され、
顎部の他方の先端には磁気抵抗センサが配置されている。磁石は、顎部の間に磁場を作り
出してこの磁場の変化をセンサが測定する。これにより顎部間の間隔を測定することがで
きる。
【0008】
Tsurutaらによる米国特許第5,467,911号は、体組織のステープリング(stapl
ing)及び締め付けのための外科医療用装置について記述する。この装置は、オペレーシ
ョン部分と、このオペレーション部分に着脱可能に取り付けられた挿入部分とを含む。
【0009】
Hoovenらによる米国特許第5,518,163号、第5,518,164号及び第5,
667,517号は、ハンドル部分に配置されたモータを含む内視鏡外科医療用システム
について記述する。器具の頭部には、近接する細胞組織の血中酸素成分を検出するために
使用される検出部材が配置されている。器具の頭部にはコンタクト部(contact)も与え
られる。システムのファイヤリングナット(firing nut)が頭部に移動して、そこに外科
用ステープルを打ち込んで整形させたとき、ファイヤリングナットはコンタクト部と係合
して、これによりファイヤリングナットを引き込めるためにモータを逆転させる。
【0010】
Youngらによる米国特許第5,653,374号、Alesiらによる米国特許第5,779
,130号、及びViolaらによる米国特許第5,954,259号は、ハンドヘルド器具
本体内に配置されたモータアセンブリ及び動力源を含む動力内蔵型外科医療用装置につい
て記述する。
【0011】
上述の器具及びシステムは、多数の不利益を被るものである。例えば、上述の器具及び
システムのいくつかでは、モータが器具のハンドル内に配置されている。サイズを考慮す
ると、これらのモータは通常は限られたトルクしか供給できない。上述のある器具及びシ
ステムでは、モータに電力を供給するためのバッテリーがハンドル内に与えられている。
しかしながら、このようなバッテリーシステムは、モータに限られた電力しか与えること
ができないため、モータによるトルク出力を限定することになる。
【0012】
さらに、通常は前述の器具及びシステムの動作要素の位置を正確に確かめることは不可
能である。
【0013】
さらに、上述の器具及びシステムには、このような器具及びシステムは、一般的に手動
で取り扱う、操作する必要があるという不都合がある。このような器具のハンドル部分に
モータが設けられている場合には、手動取り扱い及び手動操作はオペレータにとって扱い
にくく、面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、モータシステムを外科医療用器具から離して設けられる、電気
機械的外科医療用装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明のさらなる目的は、リモートコントロールユニットにより操作可能な電気機械的
外科医療用装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、その構成要素の相対位置を正確に決定できる電気機械的外科医療
用装置を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる他の目的は、複数の動作プログラム又はアルゴリズムを含む電気機械
的外科医療用装置を提供することである。ここに、各動作プログラム又はアルゴリズムは
、前記電気機械的外科医療用装置に取り付け可能な、それぞれの外科医療用器具又はアタ
ッチメントに対応する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
〔発明の概要〕
本発明の、上記及び他の有益な目的並びに効果は、本明細書に記載される電気機械的外
科医療用装置の提供により効果的に達成される。一つの実施例では、電気機械的外科医療
用装置は、ハウジングと、ハウジングから伸長してその先端に外科医療用器具を着脱可能
に接続できる伸長シャフトと、伸長シャフト内に配置され、各々の先端に外科医療用器具
を接続するように構成される、軸回転可能な少なくとも2つのドライブシャフトと、伸長
シャフトの先端を操縦するように構成された操縦ケーブル装置と、ハウジング内に配置さ
れてドライブシャフト及び操縦ケーブル装置を駆動するように構成されるモータシステム
と、を含んでいる。
【0019】
他の実施例では、電気機械的外科医療用装置は、コントロールシステムと、このコント
ロールシステムと通信して、コントロールシステムを介してモータシステムを制御するよ
うに構成されるリモートコントロールユニットと、を含んでいる。リモートコントロール
ユニットは、有線のリモートコントロールユニット及び/又は無線のリモートコントロー
ルユニットを含むこととしてよい。
【0020】
さらなる他の実施例では、電気機械的外科医療用装置は、ドライブシャフトの回転を検
出するように構成されるセンサを含む。コントロールシステムは、検出されたドライブシ
ャフトの回転に基づき、外科医療用器具の要素の位置を決定するように構成される。
【0021】
また他の実施例では、電気機械的外科医療用装置は、複数の動作プログラム又はアルゴ
リズムを保存するように構成される第1のメモリユニットを含む。これらの各動作プログ
ラム又は各アルゴリズムは、それぞれの外科医療用器具の形式に対応している。コントロ
ールシステムは、電気機械的外科医療用装置に取り付けられた外科医療用器具の形式を検
出し、取り付けられた外科医療用器具に対応する動作プログラム又はアルゴリズムの選択
又は読み出しを行うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による電気機械的外科医療用装置の斜視図である。
【図2】図1に示した電気機械的外科医療用装置のフレキシブルシャフトの部分切断した正立面図である。
【図3】図2に示す直線3−3に沿って取得したフレキシブルシャフトの断面図である。
【図4】図2に示すフレキシブルシャフトの第1カップリングの後端を示す図である。
【図5】図2に示すフレキシブルシャフトの第2カップリングの前端を示す図である。
【図6】図1に示す電気機械的外科医療用装置のモータ配置を示す略図である。
【図7】図1に示す電気機械的外科医療用装置の略図である。
【図8】図2及び3に示すフレキシブルシャフトのエンコーダの略図である。
【図9】図1に示す電気機械的外科医療用装置に接続されて使用される、典型的なサーキュラ外科用ステープラアタッチメントの断面側面図である。
【図10】図9に示す典型的なサーキュラ外科用ステープラアタッチメントのメモリ装置の略図である。
【図11】図1に示す電気機械的外科医療用装置の無線リモートコントロールユニットの略図である。
【図12】図1に示す電気機械的外科医療用装置の有線リモートコントロールユニットの略図である。
【図13】図1に示す電気機械的外科医療用装置の動作のための、主要動作プログラムのフローチャートである。
【図14a】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントの発射ルーチンのフローチャートである。
【図14b】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントの発射ルーチンのフローチャートである。
【図14c】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントの発射ルーチンのフローチャートである。
【図14d】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントの発射ルーチンのフローチャートである。
【図15a】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントのクランプルーチンのフローチャートである。
【図15b】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントのクランプルーチンのフローチャートである。
【図16】図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメントのクランプ弛緩ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔詳細な説明〕
以下に続く説明を読み、これに併せて図1〜16を含む添付図面を参照することによっ
て、当業者は、本発明について正確な認識を得るであろう。個々の単一の参照符号は、そ
れぞれの図を通して同一又は同様の要素を示す。
【0024】
図1は、本発明の実施例による電気機械的外科医療用装置10の斜視図である。電気機
械的外科医療用装置10は、例えば、前面パネル15を有するハウジング14を含んだリ
モート動力(電力)コンソール12を含むこととしてよい。前面パネル15上には、表示
装置16及びインジケータ18a、18bが取り付けられている(これらは、より十分に
以下に説明する)。
フレキシブル(可撓性)シャフト20は、ハウジング14から伸長して、第1カップリ
ング22を介してハウジング14に着脱可能に固定されることとしてよい。フレキシブル
シャフト20の先端24は、フレキシブルシャフト20の先端24に、外科医療用器具又
はアタッチメントを着脱可能に固定するようになっている第2カップリング26を含むこ
ととしてよい。
外科医療用器具又はアタッチメントは、例えば、外科用ステープラ(surgical stapler
)、外科用カッター(surgical cutter)、外科用ステープラカッター(surgical staple
r-cutter)、リニア外科用ステープラ(linersurgical stapler)、リニア外科用ステー
プラカッター(linersurgical stapler-cutter)、サーキュラ外科用ステープラ(circu
lar surgicalstapler)、サーキュラ外科用ステープラカッター(circular surgical st
apler-cutter)、外科用クリップアプライア(surgicalclip applier)、外科用クリッ
プ結紮器(surgicalclip ligator)、外科用クランピング装置(surgical clamping dev
ice)、管(又は血管)拡張装置(vesselexpanding device)、管腔(又は内腔)拡張装
置(lumenexpanding device)、外科用メス(scalpel)、液体送出装置(fluid deliver
y device)又は他の形式のいかなる外科医療用器具としてもよい。
このような外科医療用器具は、例えば、米国特許出願第09/324,451号(発明
の名称”吻合、ステープリング及び切除器具と共に使用するための電気機械的駆動装置と
共に使用するためのステープリング装置”(A Stapling Device for Use with an Electr
omechanicalDriver Device for Use with Anastomosing, Stapling, and Resecting Ins
truments))、米国特許出願第09/324,452号(発明の名称”吻合、ステープリ
ング及び切除器具と共に使用するための電気機械的駆動装置”(Electromechanical Driv
er Device forUse with Anastomosing, Stapling, and Resecting Instruments))、米
国特許出願第09/351,534号(発明の名称”自動外科医療用ステープリングシス
テム”(AutomatedSurgical Stapling System))、米国特許出願第09/510,92
6号(発明の名称”電気機械的駆動装置と共に使用する管(又は血管)及び管腔(又は内
腔)拡張器アタッチメント”)(A Vessel and Lumen Expander Attachment for Use wit
h anElectromechanical Driver Device)、米国特許出願第09/510,927号(発
明の名称”コンピュータ援用制御能力を有する電気機械的ドライバ及びリモート外科医療
用器具アタッチメント”(Electromechanical Driver And Remote Surgical Instruments
AttachmentHaving Computer Assisted Control Capabilities))、米国特許出願第0
9/510,931号(発明の名称”電気機械的駆動装置と共に使用する(細胞)組織ス
テープリングアタッチメント”(A Tissue Stapling Attachment for Use with an Elect
romechanicalDriver Device))、米国特許出願第09/510,932号(発明の名称
”吻合、ステープリング及び切除器具と共に使用する液体送出装置”(A Fluid Delivery
Mechanismfor Use with Anastomosing, Stapling and Resecting Instruments))、米
国特許出願第09/510,933号(発明の名称”吻合、ステープリング及び切除器具
と共に使用する液体送出装置”(A Fluid Delivery Mechanism for Use with Anastomosi
ng, Staplingand Resecting Instruments))、に記載されている。これら各々の出願内
容の全体は、参照により本願明細書の内容に明確に組み入れられる。
【0025】
図2は、フレキシブルシャフト20の部分切断面側面図である。ある実施例では、フレ
キシブルシャフト20は、管状のシース28を含んでおり、シース28は、その内部チャ
ンネル40と外部環境との間の流体密封シールを与えるコーティング配置又はその他のシ
ーリング配置を含んでいる。シース28は、組織互換性(tissue-compatible)のある材
料、減菌可能なエラストマ材料により形成されることとしてよい。またシース28は、加
圧滅菌(又はオートクレーブ)可能な(autoclavable)材料により形成されることとして
もよい。
第1回転可能ドライブシャフト30、第2回転可能ドライブシャフト32、第1操縦ケ
ーブル34、第2操縦ケーブル35、第3操縦ケーブル36、第4操縦ケーブル37、及
びデータ伝送ケーブル38が、フレキシブルシャフト20の内部チャネル40の内部に、
その全長に沿って伸長して配置される。
図3は、図2に示す線3−3に沿って取得した、フレキシブルシャフト20の断面図で
ある。ここに、それぞれのケーブル30、32、34、35、36、37、38が図示さ
れている。操縦ケーブル34、35、36、37の各先端は、フレキシブルシャフト20
の先端24に貼付される。それぞれのケーブル30、32、34、35、36、37、3
8は、それぞれのシース内部に格納されることとしてよい。
【0026】
図4は、第1カップリング22の後端を示す図である。第1カップリング22は、第1
コネクタ44、第2コネクタ48、第3コネクタ52、及び第4コネクタを含み、これら
はそれぞれ第1カップリング22に回転可能に固定される。各コネクタ44、48、52
、56は、それぞれのくぼみ46、50、54、58をそれぞれ含んでいる。図4に示す
ように、各くぼみ46、50、54、58は、6角形形状をしていることとしてよい。
しかしながら、各くぼみ46、50、54、58は、非回転に結合して、コネクタ44
、48、52、56とハウジング12内に収納されるモータ装置のそれぞれのドライブシ
ャフトとを強固に取り付ける、他の形状及び構造を有することとしてよいと解されるべき
である(以下により十分に説明する)。以下に説明するように、モータ装置のドライブシ
ャフト上のそれぞれには、これと相補してフレキシブルシャフト20のそれぞれの駆動要
素を駆動するための突起部が与えられると解されるべきである。また、くぼみをドライブ
シャフト上に設け、これと相補する突起部をコネクタ44、48、52、56上に設ける
ことも可能であると解されるべきである。コネクタ44、48、52、56と、モータ装
置のドライブシャフトとを非回転的かつ取り外し可能に結合するために構成される、他の
いかなる結合配置を設けることとしてよい。
【0027】
コネクタ44、48、52、56のうちの1つは、第1のドライブシャフト30に非回
転的に固定され、コネクタ44、48、52、56のうちの他の1つは、第2のドライブ
シャフト32に非回転的に固定される。コネクタ44、48、52、56のうちの残りの
2つは、操縦ケーブル34、35、36、37に引っ張り力を与え、これによりフレキシ
ブルシャフト20の先端24を操縦するために構成される伝達要素に係合される。
データ伝送ケーブル38は、データコネクタ60と電気的に及び論理的に(又は論理回
路的に)接続される。データコネクタ60は、例えば、データケーブル38内に収納され
る個々のワイヤの数に対応してこれと同数の電気的接点62を含む。
第1カップリング22は、第1カップリング22と、ハウジング12上に配置される接
合及び相補的結合装置との方向を適切に合わせるための鍵構造42を含む。このようなキ
ー構造42は、第1カップリング22と、ハウジング12上に配置される接合及び相補的
結合装置とのいずれか一方又は両方に設けられることとしてよい。第1カップリング22
は、クイック接続タイプのコネクタ(例えば、簡単な押し動作によって第1カップリング
22とハウジング12とを係合させることのできるコネクタ)を含むこととしてよい。
それぞれのコネクタ44、48、52、56、60のいずれに関しても、第1カップリ
ング22の内部と外部環境との間との液体密封シールを設けるためのシールが設けられる
こととしてよい。
【0028】
図5は、フレキシブルシャフト20の第2カップリング26の前端を示す図である。第
2カップリング26は、第1コネクタ66及び第2コネクタ68を含み、各コネクタは、
第2カップリング26に回転可能に固定されて、第1及び第2ドライブシャフト30、3
2のそれぞれの先端に、非回転的にそれぞれ固定される。
第2カップリング26には、外科医療用器具又はアタッチメントを着脱可能に固定する
ための、クイック接続タイプの接続金具64が設けられる。クイック接続タイプの接続金
具64は、例えば、回転クイック接続タイプ接続金具やバヨネットタイプ接続金具などと
してよい。
第2カップリング26には、外科医療用器具又はアタッチメントを第2カップリング2
6に適切に位置合わせするための鍵構造74が設けられる。外科医療用器具又はアタッチ
メントとフレキシブルシャフト20との適切な位置合わせのための鍵構造又は他の構成は
、第2カップリング26、及び外科医療用器具又はアタッチメントのいずれか一方または
両方に設けられることとしてよい。さらに、外科医療用器具又はアタッチメントには、ク
イック接続タイプの接続金具が設けられてもよい。
第2カップリング26には、電気的接点72を有するデータコネクタ70も設けられる
。第1カップリング22のデータコネクタ60と同様に、第2カップリング26のデータ
コネクタ70は、データ伝送ケーブル38のそれぞれのワイヤ及びデータコネクタ60の
接点62へ、電気的に及び論理的に(又は論理回路的に)接続される接点72を含む。コ
ネクタ66、68、70に関して、第2カップリング26の内部と外部環境との間との液
体密封シールを設けるためのシールが設けられることとしてよい。
【0029】
リモート動力コンソール12のハウジング14内部には、電気機械的外科医療的装置1
0及び第2カップリング26に取り付けられる外科医療用器具又はアタッチメントを操作
するためのドライブシャフト30、32、及び操縦ケーブル34、35、36、37を駆
動するために構成される機械的駆動要素が配置される。
図6に概略的に示す実施例では、電源によってそれぞれ動作する5つの電気的モータ7
6、80、84、90及び96が、リモート動力コンソール12内に配置されている。し
かしながら、モータは適切な数だけ設けることが可能であり、これらのモータは、バッテ
リー電源、家庭用電源などの電線電源(line current)、DC電源装置、電子制御式DC
電源装置等により動作可能である解されるべきである。モータはDC電源装置に接続され
、次はモータに動作電流を供給するこのDC電源装置が電線電源に接続されることとして
もよい。
【0030】
図6は、1つの考えられるモータ配置の略図である。第1カップリング22が(したが
って、及びフレキシブルシャフト20が)ハウジング14に係合して、これによって第1
ドライブシャフト30と第2カップリング26の第1コネクタ66とを駆動するときに、
第1モータ76の出力シャフト78が、第1カップリング22の第1コネクタ44と係合
する。
同様に、第1カップリング22が(したがって、及びフレキシブルシャフト20が)ハ
ウジング14に係合して、これによって第2ドライブシャフト32と第2カップリング2
6の第2コネクタ68とを駆動するときに、第2モータ80の出力シャフト82が、第1
カップリング22の第2コネクタ48と係合する。
第1カップリング22が(したがって、及びフレキシブルシャフト20が)ハウジング
14に係合して、これによって第1及び第2操縦ケーブル34、35が、第1プーリ装置
88によって駆動されるときに、第3モータ84の出力シャフト86が、第1カップリン
グ22の第3コネクタ52と係合する。
第1カップリング22が(したがって、及びフレキシブルシャフト20が)ハウジング
14に係合して、これによって第3及び第4操縦ケーブル36、37が、第2プーリ装置
94によって駆動されるときに、第4モータ90の出力シャフト92が、第1カップリン
グ22の第4コネクタ56と係合する。
第3及び第4モータ84、90は可動台100に固定されている。可動台100は、第
5モータ96の出力シャフト98によって、第1位置と第2位置との間を選択的に移動可
能である。これによって必要に応じて、第3及び第4モータ84、90とそれぞれのプー
リ装置88及び94とを選択的に係合及び離脱して、フレキシブルシャフト20を緊張さ
せて操縦可能とし、または弛緩させることが可能となる。
他の機械的、電気的、又は電気機械的機構も、操縦機構を選択的に係合及び離脱するた
めに使用されることができると解すべきである。モータは、例えば米国特許出願第09/
510,923号(発明の名称”フレキシブルシャフト内の操縦ワイヤを制御するための
可動台アセンブリ”(A Carriage Assembly for Controlling a Steering Wire Mechanis
m Within aFlexible Shaft))、に記載されるように配置され、構成することができる
。この出願内容の全体は、参照により本願明細書の内容に明確に組み入れられる。
【0031】
図7は、電気機械的外科医療用装置10の斜視図である。コントローラ122が、リモ
ート動力コンソール12のハウジング14に設けられ、電気機械的外科医療用装置10の
全ての機能及び動作、及びフレキシブルシャフト20に取り付けられたいずれの外科医療
用器具又はアタッチメントの全ての機能及び動作をも制御するように構成される。
ROM構成要素132及び/又はRAM構成要素134のようなメモリ装置を含んでい
ることとしてよいメモリユニット130が設けられる。ROM構成要素132は、回線1
36によってコントローラ122と電気的、論理的にやりとりを行う。そして、RAM構
成要素134は、回線138によってコントローラ122と電気的、論理的にやりとりを
行う。RAM構成要素134は、例えば、磁気メモリ装置、光メモリ装置、光磁気メモリ
装置、電気的メモリ装置等といった、いかなるタイプの読み書き可能メモリをも含むこと
としてよい。ROM構成要素132は、例えば、PCカード又はPCMCIAタイプ装置
のような取り出し可能なメモリ装置といった、いかなるタイプの読み出し専用メモリをも
含むこととしてよい。
ROM構成要素132とRAM構成要素134とは、1つのユニットとして実現しても
よく、又は別個のユニットとしてもよいと解されるべきである。そして、ROM構成要素
132及び/又はRAM構成要素134はPCカード又はPCMCIAタイプ装置の形に
設けられることができると解されるべきである。さらにコントローラ122は、ハウジン
グ14の前面パネル15と、より具体的には、回線154によって表示装置16と、及び
回線156、158によってインジケータ18a、18bとそれぞれ接続される。回線1
16、118、124、126、128は、それぞれ、第1、第2、第3、第4及び第5
モータ76、80、84、90及び96と、コントローラ122とを電気的及び論理的に
接続する。
有線のリモートコントロールユニット(RCU: Remote Control Unit)150は、回線1
52によってコントローラ122と電気的及び論理的に接続される。また、回線144に
よってトランシーバ140に接続された送受信ユニット146による、無線リンク160
を経由して通信を行う無線RCU148も設けられる。トランシーバ140は、回線14
2によってコントローラ122と電気的及び論理的に接続される。無線リンク160は、
例えば赤外線リンクのような光学的リンク、ラジオリンク、又は他のいかなる形式の無線
通信としてもよい。
【0032】
例えばDIPスイッチのアレイとしてよいスイッチ装置186は、回線188によって
コントローラ122と接続される。スイッチ装置186は、例えば、表示装置16上のメ
ッセージ及びプロンプトの表示に使用する複数言語のうちの1つを選択するために使用さ
れる。メッセージ及びプロンプトは、例えば、電気機械的外科医療用装置10及び/又は
これに取り付けられるいかなる外科医療用器具又はアタッチメントの動作及び/又は状態
に関するものとしてもよい。
【0033】
本発明の実施例によれば、第2カップリング26内に第1エンコーダ106が設けられ
て、第1ドライブシャフト30の回転に応答して及びこれに従って、信号を出力するよう
に構成される。第2カップリング26内に第2エンコーダ108が設けられて、第2ドラ
イブシャフト32の回転に応答して及びこれに従って、信号を出力するように構成される

各エンコーダ106、108による信号出力は、それぞれのドライブシャフト30、3
2の回転位置及びその回転方向を示すこととしてよい。このようなエンコーダ106、1
08は、例えばホール効果装置、光学装置等としてよい。またエンコーダ106、108
を第2カップリング内に配置されるように記載したが、エンコーダ106、108は、モ
ータシステムと外科医療用器具又はアタッチメントとの間のいかなる場所に設けてもよい
と解するべきである。
【0034】
図8は、ホール効果装置を含むエンコーダ106、108の略図である。ドライブシャ
フト30、32には、N極242及びS極244を有する磁石240が、非回転的に取り
付けられる。エンコーダ106、108は、さらに第1センサ246及び第2センサ24
8を含み、これらはドライブシャフト30、32の軸について、約90度の経度的又は回
軸的な間隔をもって配置される。センサ246、248の出力は絶え間なく出力され、そ
の状態を、センサの検出範囲内における磁場の極性の変化の関数として変化させる。した
がって、エンコーダ106、108からの出力信号に基づいて、1/4回転の範囲内でド
ライブシャフト30、32の角度位置を決定することができ、ドライブシャフト30、3
2の回転方向を決定することができる。
各エンコーダ106、108の出力は、データ伝送ケーブル38のそれそれの回線11
0、112によって、コントローラ122に送信される。コントローラ122は、エンコ
ーダ106、108からの出力信号に基づいて、ドライブシャフト30、32の角度位置
及び回転方向を監視することによって、電気機械的外科医療用装置10に接続された外科
医療用器具またはアタッチメントの構成要素の位置及び/又は状態を決定することができ
る。すなわち、ドライブシャフト30、32の回転数をカウントすることによって、コン
トローラ122は電気機械的外科医療用装置10に接続された外科医療用器具またはアタ
ッチメントの構成要素の位置及び/又は状態を決定することができる。
【0035】
例として、図9に外科用ステープラアタッチメント250の断面図を示す。サーキュラ
外科用ステープラアタッチメント250は、フレキシブルシャフト20の第2カップリン
グ26と協働して、これにサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250を着脱可能
に取り付けるように、サイズ及び構成が適合されたカップリング260を含む。サーキュ
ラ外科用ステープラアタッチメント250は、金床ステム258の先端に取り付けられた
金床256を有する金床部254を含む。
金床ステム258は、金床駆動シャフト262の動作によって伸長及び後退される。金
床駆動シャフト262は、サーキュラ外科用ステープラアタッチメント250の本体部分
252内部に、回転可能に固定されている。金床駆動シャフト262の近位端は、第2カ
ップリング26の第1コネクタ66と結合するように、サイズ及び構成が適合される第1
コネクタ268を含む。
さらにサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250は、ステープルドライバ/カ
ッター駆動シャフト266の回転によって駆動されるステープルドライバ/カッター26
4を含む。ステープルドライバ/カッター駆動シャフト266の近位端は、第2カップリ
ング26の第2コネクタ68と結合するように、サイズ及び構成が適合される第2コネク
タ270を含む。
したがって、図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250の例では、
金床256の伸長及び後退は、第1モータ76の動作によって達成され、ステープルドラ
イバ/カッター264の伸長及び後退は、第2モータ80の動作によって達成される。
金床駆動シャフト262のピッチと、ステープルドライバ/カッター駆動シャフト26
6のピッチは、予め定められてその量は既知である。すなわち金床256とステープルド
ライバ/カッター264の前進距離は、それぞれのドライブシャフト30、32の回転数
の関数であり、この回転数に基づいて確認することができる。
ある時点における金床256及びステープルドライバ/カッター264の絶対位置を確
認しておくことによって、エンコーダ106、108の出力信号、金床駆動シャフト26
2及びステープルドライバ/カッター駆動シャフト266の既知のピッチに基づく金床2
56及びステープルドライバ/カッター264の相対移動量を用いて、その後いつでも金
床256及びステープルドライバ/カッター264の絶対位置を確認することができる。
金床256及びステープルドライバ/カッター264の絶対位置が固定され、確認され
るのは、サーキュラ外科用ステープラアタッチメント250が、最初にフレキシブルシャ
フト20に結合された時点としてよい。または代わりに、例えば本体部分252に対する
金床256及びステープルドライバ/カッター264の相対位置を、エンコーダ106、
108からの出力信号に基づいて定めてもよい。
【0036】
さらにサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250は、第2カップリング26の
コネクタ70と電気的及び論理的に接続するように、サイズ及び構成が適合されたデータ
コネクタ272を含む。実施例では、データコネクタ272は、コネクタ70のリード線
72の数と同数の接点(図示せず)を含む。サーキュラ外科用ステープラアタッチメント
250内部には、データコネクタ272と電気的及び論理的に接続されるメモリユニット
174が収納される。メモリユニット174は、例えばEEPROMやEPROM等で形
成され、例えばサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250の本体部分252内部
に収納されることとしてよい。
【0037】
図10は、メモリユニット174の略図である。図10に示すとおり、データコネクタ
272は接点276を含んでおり、接点276はそれぞれの回線278によってメモリユ
ニット174と電気的及び論理的に接続されている。メモリユニット174は、例えばシ
リアルナンバーデータ180、アタッチメントタイプ(形式)識別(ID)データ182
、及び使用データ184を保存するように構成される。メモリユニット174はこれに加
えて他のデータを保存することとしてよい。
シリアルナンバーデータ180及びIDデータ182は、両方とも読み出し専用データ
として構成されてよい。実施例では、シリアルナンバーデータ180は、特定の外科医療
用器具又はアタッチメントを、一意的に識別するデータであり、IDデータ182は、サ
ーキュラ外科用ステープラアタッチメント、リニア外科用ステープラアタッチメント等と
いったアタッチメントの形式を識別するデータである。使用データ184は、特定のアタ
ッチメントの使用状態、例えばサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250の金床
256を前進させた回数、又はサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250のステ
ープルドライバ/カッター264を前進させた回数、若しくはステープルドライバ/カッ
ター264によりステープルを発射した回数を示す。
【0038】
各形式のフレキシブルシャフト20の先端24に取り付け可能な外科医療用器具又はア
タッチメントは、1回使用されるように設計及び構成されていてもよく、又は複数回使用
されるように設計及び構成されていてもよいと解されるべきである。また、外科医療用器
具又はアタッチメントは所定回数だけ使用されるように設計及び構成されていてもよい。
したがって使用データ184を、外科医療用器具又はアタッチメントが使用されたかどう
かを判断するため、及び使用した回数が、最大許容使用回数を超えているかどうかを判断
するために使用してもよい。以下により十分に説明するように、最大許容使用回数に達し
た後に外科医療用器具又はアタッチメントを使用しようとすると、エラー状態を生成する
こととする。
【0039】
図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250は、単に電気機械的外科
医療用装置10と共に使用される外科医療用アタッチメントの例として示されていると解
するべきである。さらに、前述に列挙したような、いかなる他のタイプの外科医療用器具
又はアタッチメントも、電気機械的外科医療用装置10と共に使用できると解するべきで
ある。
本発明の実施例においては、外科医療用器具又はアタッチメントの特定のタイプに関係
なく、外科医療用器具又はアタッチメントは、その適正な動作のために必要なカップリン
グ要素268、270、272と、メモリユニット174とを含む。
ここに、駆動シャフト及びモータは、サーキュラ外科用ステープラアタッチメント25
0の特定の機能をもたらすように記載されるが、駆動シャフト及びモータは、他のタイプ
の外科医療用器具又はアタッチメントの、同様の又は他の機能を果たすことが可能である
と解するべきである。
【0040】
図7を再び参照すると、本発明の実施例によって、外科医療用器具又はアタッチメント
がフレキシブルシャフト20に初めに接続されたときに、コントローラ122がIDデー
タ182を外科医療用器具又はアタッチメントのメモリユニット174から読み出すよう
に構成される。メモリユニット174は、データ伝送ケーブル38の回線120によって
コントローラ122に、電気的及び論理的に接続される。
コントローラ122は、読み出したIDデータ182に基づいて、メモリユニット13
0から、フレキシブルシャフト20に接続された外科医療用器具又はアタッチメントの形
式に対応する動作プログラム又はアルゴリズムを、読み出す又は選択するように構成され
る。
メモリユニット130は、利用可能な外科医療用器具又はアタッチメントの形式の動作
プログラム又はアルゴリズムを保存するように構成され、コントローラ122は、取り付
けられた外科医療用器具又はアタッチメントのメモリユニット174から読み出したID
データ182によって、メモリユニット130から動作プログラム又はアルゴリズムを選
択及び/又は読み出す。
前述のとおり、メモリユニット130は、取り外し可能なROM要素132及び/又は
RAM要素134を含むこととしてよい。したがって、メモリユニット130に保存され
る動作プログラム又はアルゴリズムは、必要に応じて更新、追加、削除、改良又は訂正す
ることが可能である。
シリアルナンバーデータ180及び/又は使用データ184もまた、メモリユニット1
30から読み出され、又は選択される複数の動作プログラム又はアルゴリズムを決定する
ために使用できると解されるべきである。またその代わりに、動作プログラム又はアルゴ
リズムを外科医療用器具又はアタッチメントのメモリユニット174に保存して、データ
伝送ケーブル38によってコントローラ122に送信することも可能であると解するべき
である。
適切な動作プログラム又はアルゴリズムがコントローラ122に読み出し若しくは選択
、又は送信されると、コントローラ122は、有線のRCU150及び/又は無線のRC
U148を介してユーザにより実行される操作に従って、動作プログラム又はアルゴリズ
ムを実行させる。
前述のようにコントローラ122は、第1モータ76、第2モータ80、第3モータ8
4、第4モータ90及び第5モータ96と、それぞれ回線116、118、124、12
6、128によって電気的及び論理的に接続されており、回線116、118、124、
126、128を介して読み出し、選択又は送信される動作プログラム又はアルゴリズム
に従い、これらのモータ76、80、84、90及び96をコントロールする。
【0041】
図11は、無線のRCU148の略図である。無線のRCU148は、4方向揺動子(
rocker)310の下に配置された複数のスイッチ302、304、306及び308を有
する操縦コントローラ300を含む。揺動子310によるスイッチ302、304の操作
は、第3モータ84による第1及び第2操縦ケーブル34、35の動作をコントロールす
る。同様に、揺動子310によるスイッチ306、308の操作は、第4モータ92によ
る第3及び第4操縦ケーブル36、37の動作をコントロールする。揺動子310及びス
イッチ302、304、306、308は、スイッチ302、304の操作がフレキシブ
ルケーブル20を南北方向に操縦し、スイッチ306、308の操作がフレキシブルケー
ブル20を東西方向に操縦するように配置されると解されるべきである(ここにいう東西
南北は、相対座標系にあわせて設けたものである。)。
その代わりに、ディジタルジョイスティック、アナログジョイスティック等を揺動子3
10及びスイッチ302、304、306、308の位置に設けてもよい。または、ポテ
ンショメータ又は他のタイプのアクチュエータをスイッチ302、304、306、30
8の位置に設けてもよい。
【0042】
無線のRCU148は、さらに操縦係合/離脱スイッチ312を含み、操縦係合/離脱
スイッチ312の動作は、操縦機構を選択的に係合又は離脱するための第5モータ96の
動作をコントロールする。また無線のRCU148は、第1及び第2スイッチ316、3
18を有する2方向揺動子314を含み、第1及び第2スイッチ316、318は2方向
揺動子314により操作可能である。
これらのスイッチ316、318の動作は、取り付けられた外科医療用器具又はアタッ
チメントがあるときは、これに対応する動作プログラム又はアルゴリズムに従って、電気
機械的外科医療用装置10及びフレキシブルシャフト20に取り付けられたいかなる外科
医療用器具又はアタッチメントの特定の機能をもコントロールする。例えば、外科医療用
器具が、図9に示すような上述のサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250であ
る場合には、2方向揺動子314の動作は、金床256の前進及び引き込みをコントロー
ルすることとしてよい。
また、無線のRCU148は、他のスイッチ320を備える。スイッチ320の動作は
、さらに取り付けられた外科医療用器具又はアタッチメントがあるときは、これに対応す
る動作プログラム又はアルゴリズムに従って、電気機械的外科医療用装置10及びフレキ
シブルシャフト20に取り付けられたいかなる外科医療用器具又はアタッチメントの動作
をもコントロールすることとしてよい。例えば、サーキュラ外科用ステープラアタッチメ
ント250がフレキシブルシャフト20に取り付けられている場合には、スイッチ320
の動作は、ステープルドライバ/カッター264の前進シーケンス又は発射(firing)シ
ーケンスを開始する。
【0043】
無線のRCU148はコントローラ322を含み、コントローラ322は、回線324
によってスイッチ302、304、306、308と、回線326によってスイッチ31
6、318と、回線328によってスイッチ312と、回線330によってスイッチ32
0と、電気的及び論理的に接続する。無線のRCU148は、前面パネル15のインジケ
ータ18a、18bに対応するインジケータ18a’、18b’と、前面パネル15の表
示装置16に対応する表示装置16’を含むこととしてよい。
インジケータ18a’、18b’と表示装置16’が設けられる場合には、インジケー
タ18a’、18b’は、回線332、334によって電気的及び論理的にコントローラ
322に接続され、表示装置16’は回線336によって電気的及び論理的にコントロー
ラ322に接続される。コントローラ322は、回線340によってトランシーバ338
に電気的及び論理的に接続されて、トランシーバ338は、回線344によって送受信部
342に電気的及び論理的に接続される。
例えばバッテリのような電源(図示せず)は、無線のRCU148に電源を供給するた
めに、その内部に設けられる。
以上により、無線のRCU148は、無線リンク160によって電気機械的外科医療用
装置10及びフレキシブルシャフト20に接続された外科医療用器具又はアタッチメント
の動作をコントロールするために使用可能となる。
【0044】
無線のRCU148は、回線348によってコントローラ322に接続されたスイッチ
346を含むこととしてよい。スイッチ346の動作は、無線リンク160を介して送受
信部146にデータ信号を送信する。データ信号には、無線のRCU148を一意的に識
別するための識別データを含む。この識別データは、電気機械的外科医療用装置10が不
当な動作を行うことを防止し、他の無線のRCUによって電気機械的外科医療用装置10
の動作と干渉することを防止するために、コントローラ122が使用する。
無線のRCU148及び電気機械的外科医療用装置10の間に、順次生じる各通信に識
別データを含むこととしてもよい。これにより、コントローラ122は、複数の無線のR
CUと、電気機械的外科医療用装置10及びフレキシブルシャフト20に取り付けられた
いかなる外科医療用器具の動作をもコントロールすることができる、ただ1つの識別可能
な無線のRCUとを区別することができる。
【0045】
コントローラ122は、エンコーダ106、108の出力信号に従って決定される、ド
ライブシャフト20に取り付けられた外科医療用器具又はアタッチメントの構成要素の位
置に基づいて、取り付けられた外科医療用器具又はアタッチメントに対応する動作プログ
ラム又はアルゴリズムに定められたとおりに、選択的に電気機械的外科医療用装置10の
機能を有効又は無効にする。
例えば、外科医療用器具又はアタッチメントが、図9に示すサーキュラ外科用ステープ
ラアタッチメント250である場合には、金床256と本体部分252の間の間隔又は空
隙が許容範囲内にあると判断されなければ、スイッチ320の動作によりコントロールさ
れる発射機能(firingfunction)が無効にされる。金床256と本体部分252の間の
間隔又は空隙は、より十分に上述したように、エンコーダ106、108からの出力信号
に基づいて判断される。ここでは、スイッチ320自身は動作可能のままであるが、コン
トローラ122において、間隔又は空隙が許容範囲内にあると判断されなければ、対応す
る機能を生じさせないものと解するべきである。
【0046】
図12は、有線のRCU150の略図である。この実施例では、有線のRCU150は
、無線のRCU148と実質的に同様のコントロール要素を含んでいるため、これらの要
素について更なる説明は省略する。同様の要素には、プライム記号を付加して図12に示
される。電気機械的外科医療用装置10及びフレキシブルシャフト20に取り付けられる
いかなる外科医療用器具又はアタッチメントの機能も、有線のRCU150及び/又は無
線のRCU148によって制御可能であると解するべきである。
また、有線のRCU150、無線のRCU148における、例えばバッテリー故障とい
った事象も、電気機械的外科医療用装置10及びフレキシブルシャフト20に取り付けら
れるいかなる外科医療用器具又はアタッチメントの機能をもコントロールするために使用
されることとしてよい。
【0047】
上述のとおり、ハウジング14の前面パネル15は、表示装置16及びインジケータ1
8a、18bを含む。表示装置16は、LCD表示装置のような英数字表示装置を含むこ
ととしてよい。また、表示装置16は、例えばスピーカ、ブザーのような音声出力装置を
含むこととしてよい。表示装置16は、外科医療用器具又はアタッチメントがフレキシブ
ルシャフト20に取り付けられているときは、これに対応する動作プログラム又はアルゴ
リズムに従ってコントローラ122によって動作、制御される。外科医療用器具又はアタ
ッチメントが取り付けられていないときは、表示装置16の動作、及び電気機械的外科医
療用装置10の他の状態及び機能を、コントローラ122によって制御するために、デフ
ォルトの動作プログラム又はアルゴリズムが、コントローラ122に読込まれ、選択され
、又は送信されることとしてよい。
図9に示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250がフレキシブルシャフト
20に取り付けられている場合、表示装置16は例えば、上述に十分に説明したようなエ
ンコーダ106、108の出力信号に従って決定された、金床256と本体部分252と
の間の空隙を示すデータを表示することとしてよい。
【0048】
同様に、インジケータ18a、18bは、外科医療用器具又はアタッチメントがフレキ
シブルシャフト20に取り付けられているときは、これに対応する動作プログラム又はア
ルゴリズムに従ってコントローラ122によって動作、制御される。インジケータ18a
及び/又はインジケータ18bは、例えばスピーカ、ブザーのような音声出力装置、及び
/又はLED、ランプ、ライト等のような視覚的指示装置を含むこととしてよい。図9に
示すサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250がフレキシブルシャフト20に取
り付けられている場合には、インジケータ18aは、例えば電気機械的外科医療用装置1
0が電源ONの状態にあることを示し、インジケータ18bは、例えば(上記に十分に説
明されたような)金床256と本体部分252との間の空隙が許容範囲内にあると判断さ
れるか否かを示すこととしてよい。
また、ここには2つのインジケータ18a及び18bだけが記載されているが、必要に
応じていくつのインジケータであっても追加して設けることもできると解されるべきであ
る。さらに、ここには1つの表示装置16だけが記載されているが、必要に応じていくつ
の表示装置であっても追加して設けることもできると解されるべきである。
【0049】
無線のRCU150の表示装置16’及びインジケータ18a’、18b’、並びに有
線のRCU148の表示装置16”及びインジケータ18a”、18b”も同様に、外科
医療用器具又はアタッチメントがフレキシブルシャフト20に取り付けられているときは
、これに対応する動作プログラム又はアルゴリズムに従って、それぞれのコントローラ3
22、322’によって動作、制御される。
【0050】
図13は、本発明による主要動作プログラムのフローチャートである。主要動作プログ
ラムは、ステップ1000で開始し、電気機械的医療用装置10が初期化される間にステ
ップ1002に進む。
ステップ1002は、例えばメモリポピュレーション(memory population)やメモリ
初期化、自己診断チェック等の初期化ステップを含むこととしてよい。
初期化ステップ1002の後のステップ104において、外科医療用器具又はアタッチ
メント(DLU)が存在するか否か、すなわちフレキシブルシャフト20の先端24に取
り付けられているか否かが判断される。ステップ1004において、DLUが存在しない
と判断されると、制御はループ1034に移される。DLUが存在すると判断されると、
動作プログラムはステップ1006へと進む。ステップ1006では、発射キー(FIRE k
ey)が押されているか否かを判断する。ここでは、発射キーは、無線のRCU148及び
/又は有線のRCU150のスイッチの1つを示す。より具体的に、発射キーを例えば無
線のRCU148のスイッチ320及び/又は有線のRCU150のスイッチ320’に
対応付けてもよい。
ステップ1006において、発射キーが押されていると判断されると、制御は、ステッ
プ1008においてルーチンAに移される。ルーチンAは、フレキシブルシャフト20に
取り付けられているDLUに特有のものである。ルーチンAは、以下の説明及び図14a
〜14dにより十分に説明される。ステップ1008のルーチンAの実行の後、制御はル
ープ1034に移される。
【0051】
ステップ1006において、発射キーが押されていないと判断されたときは、ステップ
1010において、クランプキーが押されているか否かが判断される。ここでは、クラン
プキーは、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150のスイッチの1つを示す。
より具体的に、クランプキーを例えば無線のRCU148のスイッチ316及び/又は有
線のRCU150のスイッチ316’に対応付けてもよい。
ステップ1010において、クランプキーが押されていると判断されると、制御は、ス
テップ1012においてルーチンBに移される。ルーチンBは、フレキシブルシャフト2
0に取り付けられているDLUに特有のものである。ルーチンBは、以下の説明及び図1
5a、15bにより十分に説明される。ステップ1012のルーチンBの実行の後、制御
はループ1034に移される。
【0052】
ステップ1010において、クランプキーが押されていないと判断されたときは、ステ
ップ1014において、クランプ弛緩キーが押されているか否かが判断される。ここでは
、クランプ弛緩キーは、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150のスイッチの
1つを示す。より具体的に、クランプ弛緩キーを例えば無線のRCU148のスイッチ3
18及び/又は有線のRCU150のスイッチ318’に対応付けてもよい。
ステップ1014において、クランプ弛緩キーが押されていると判断されると、制御は
、ステップ1016においてルーチンCに移される。ルーチンCは、フレキシブルシャフ
ト20に取り付けられているDLUに特有のものである。ルーチンCは、以下の説明及び
図16により十分に説明される。ステップ1016のルーチンCの実行の後、制御はルー
プ1034に移される。
【0053】
ステップ1014において、クランプ弛緩キーが押されていないと判断されたときは、
ステップ1018において、1又はこれより多い操縦キーが押されているか否かが判断さ
れる。ここでは、操縦キーは、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150のそれ
ぞれのスイッチを示す。より具体的に、操縦キーを無線のRCU148のスイッチ302
、304、306、308及び/又は有線のRCU150のスイッチ302’、304’
、306’、308’に対応付けてもよい。
ステップ1018において、1又はこれより多い操縦キーが押されていると判断される
と、ステップ1020において、それぞれの操縦モータの操作が実行される。操縦モータ
は、上述により十分に説明されるように、第3モータ84及び第4モータ92に対応付け
てもよい。ステップ1020の実行の後、制御はループ1034に移される。
【0054】
ステップ1018において、いずれの操縦キーも押されていないと判断されるときは、
ステップ1022において、離脱キーが押されているか否かが判断される。ここでは、離
脱キーは、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150のスイッチの1つを示す。
より具体的に、離脱キーを無線のRCU148のスイッチ312及び/又は有線のRCU
150のスイッチ312’に対応付けてもよい。
ステップ1022において、離脱キーが押されていると判断されると、ステップ102
4において、それぞれの離脱操作が実行される。ステップ1024の実行の後、制御はル
ープ1034に移される。
【0055】
ステップ1022において離脱キーが押されていないと判断されるときは、ステップ1
026においてアイドルルーチンが実行される。
【0056】
ステップ1028において、主要動作プログラムの動作を終了させるべきか否かが判定
される。ステップ1028において、主要動作プログラムの動作を終了させるべきでない
と判定されると、制御はループ1034に移される。
しかし、ステップ1028で主要動作プログラムの動作を終了させるべきであると判定
されると、ステップ1030でシャットダウンルーチンが実行され、その後主要動作プロ
グラムはステップ1032で終了する。
【0057】
主要動作プログラムは、キーが押されているか否かを、図13に示す順番で判断しても
よいが、いかなる他の適切な順番で判断してもよいと解するべきである。また、図13に
示される主要動作プログラム、及び図14a〜14b、15a、15b及び16に示され
るルーチンは、例えばメッセージングベース(messaging-based)、イベント駆動型、及
び/又はポーリング形式のソフトウェアアプリケーションで実現されることとしてよいと
解するべきである。
【0058】
図14a〜14dは、図9に示されるサーキュラ外科用ステープラアタッチメント25
0に特有の発射ルーチン(firing routine)のフローチャートである。ここに、図14a
〜14dに示す発射ルーチンは、図13に示される主要動作プログラムのステップ100
8のルーチンAを示すものであり、図14a〜14dに示す発射ルーチンは、図9に示さ
れるサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250に特有のものであると解されるべ
きである。さらに、上記に列挙されるような、他の外科医療用器具又はアタッチメントも
、それぞれに使用される他の発射ルーチンを有することとしてよいと解されるべきである

【0059】
ステップ1008から進んでステップ1100に至ると、ここではDLU(サーキュラ
外科用ステープラアタッチメント250)が、十分に開口されているか否かが判断される
。この判断は、上記により十分に説明されるようにエンコーダ106、108により生成
された信号に基づいて行われる。ステップ1100において、DLUが十分に開口されて
いないと判断されると、ステップ1102においてDLUが発射準備できていないとのエ
ラー状態と判断する。その後に制御は1120に移されて、ここで図13に示す主要動作
プログラムに制御が戻される。
【0060】
ステップ1100において、DLUが十分に開口されていると判断された場合には、ス
テップ1104において、DLUが十分クランプされているか否かが判断される。この判
断は、上記により十分に説明されるようにエンコーダ106、108により生成された信
号に基づいて行われる。ステップ1104において、DLUが十分にクランプされていな
いと判断されると、ステップ1106においてDLUが発射のための許容範囲にないとの
エラー状態と判断する。その後に制御は1120に移されて、ここで図13に示す主要動
作プログラムに制御が戻される。
【0061】
ステップ1104において、DLUが十分にクランプされていると判断された場合には
、ステップ1108において、DLUが以前に発射されたか(使用されたか)否かが判断
される。この判断は、エンコーダ106、108により生成された信号に基づいて、及び
/又は使用データ184に従って行われる。ステップ1108において、DLUが以前に
発射された(使用された)と判断されると、ステップ1110においてDLUが使用済み
であるとのエラー状態と判断する。その後に制御は1120に移されて、ここで図13に
示す主要動作プログラムに制御が戻される。ここで、同様の使用に関する判断は、判断ス
テップ1108の代わりに、又はこれに加えて、図13に示される主要動作プログラムに
おいても、例えば初期化ステップ1002やDLU存在判定ステップ1004で、行うこ
ととしてよいと解するべきである。
【0062】
ステップ1108において、DLUが以前に発射済みでないと判断された場合には、ス
テップ1112において使用可能カウントが減少させられる。使用可能回数は、上記によ
り十分に説明される使用データ184に保存される。
ステップ1112において、使用可能カウントの減少を何回か試み、それでも使用可能
カウントの減少に失敗する場合もある。したがって、ステップ1114においてステップ
1112の使用可能カウントの減少が失敗したか否かを判断する。ステップ1114にお
いて、使用可能カウントの減少が失敗したと判断した場合には、ステップ1116におい
てエラー状態と判断される。
その後、ステップ1118において、無線のRCU148及び/又は有線のRCU15
0の全てのキーが解放されるまで待機ルーチンが実行される。その後、ステップ1118
で全てのキーが解放されたと判断された後、制御はステップ1120に移される。その後
図13に示される主要動作プログラムに制御が戻る。
【0063】
ステップ1114において、使用可能カウントの減少が失敗でないと判断されると、ス
テップ1122において発射モータの電流制限が設定される。ここでは、発射モータは、
上記により十分に説明された、第2モータ80に対応することとしてよい。その後ステッ
プ1124において発射モータの回転を開始し、ステープルドライバ/カッター264の
前進を開始する。
【0064】
図14bに示すステップ1126において、タイマーが設定される。その後ステップ1
128において、発射動作のために経過する時間が所定の閾値を超えたか否かを判断する
。ステップ1128において、発射時間が制限を超えたと判断されると、ステップ113
0で発射モータが無効にされて、ステップ1132でエラー状態と判断される。その後制
御は1136へと進む。
しかし、ステップ1128において、発射時間が所定の発射時間制限を超えていないと
判断されると、ステップ1134において、ハードウエア電流制限を超過したか否かが判
断される。ハードウエア電流制限は、連続する動作に対する発射モータの抵抗に関連して
おり、ハードウエア電流制限を超過した状態は、ステープリング動作がうまく達成された
ことを示している。したがって、ステップ1134において、ハードウエア電流制限を超
過していないと判断されると、所定の発車時間制限を超過するか、ハードウエア電流制限
を超過するまで、発射モータの動作が継続される。いずれの場合も、その後制御はステッ
プ1136へ進む。
【0065】
ステップ1136は、待機ステップを示す。待機ステップの間、所定の待機時間が経過
することが許される。この待機時間は、発射モータを停止させるステップ1138に処理
が進む前に、電気機械的外科医療用装置10及びサーキュラ外科用ステープラアタッチメ
ント250の駆動要素及び被駆動要素が静止することを可能にする。
【0066】
ステップ1138で発射モータが停止すると、ステップ1140において、モータ電流
制限が最大値に設定されて、ステップ1142において、ステープルドライバ/カッター
264を引き込めて初期位置と同じ場所に戻すために、発射モータを反対方向へ回転させ
始める。
その後、金床256と本体部分252との間の空隙が許容範囲を超えると、ステップ1
144において、範囲内インジケータに対応するインジケータ18a、18bを消灯させ
る。その代わりに、ステップ1142においてモータの逆転が開始されたときに、ステッ
プ1144で範囲内インジケータを消灯させてもよい。ステップ1144で範囲内インジ
ケータが消灯した後にステップ1146でタイマーをリセットする。
【0067】
図14cのステップ1148では、ステップ1146でリセットされたタイマーに基づ
いて、ステープルドライバ/カッター264の引き込みを完了するための所定の制限時間
を超過したか否かを判断する。ステップ1148において、所定の制限時間を超過したと
判断されたときは、許容される所定の制限時間内に引き込み動作を完了することに失敗し
たとのエラー状態がステップ1150において判断される。
しかし、ステップ1148において、所定の制限時間を超過していないと判断されたと
きは、ステップ1152においてステープルドライバ/カッター264の引き込みが完了
したか否かが判断される。ステップ1152において、ステープルドライバ/カッター2
64の引き込みが完了していないと判断されたときは、制御がステップ1148へ戻る。
ステープルドライバ/カッター264の引き込みは、ステップ1148で判断されるよう
に所定の時間制限が超過するか、ステップ1152で判断されるように引き込みが完了す
るまで継続する。ステップ1152でなされる判断は、エンコーダ106、108によっ
て生成される信号に基づいて行われると解されるべきである。
ステップ1152で、ステープルドライバ/カッター264の引き込みが完了したと判
断され、又はステップ1148で所定の制限時間を経過したと判断されたときは、ステッ
プ1154において、クランプ弛緩モータの電流制限が最大値に設定される。ここではク
ランプ弛緩モータは、上述により十分に説明される第1モータ76に対応することとして
よい。
【0068】
ステップ1156において、金床256の現在位置と、金床256の最終的な非クラン
プ弛緩位置との間の中間点が計算される。ステップ1158において、クランプ弛緩モー
タからの最大出力トルクを確保するために、クランプ弛緩モータが最大電流を確実に得る
ための「架空の」目標位置が、所定のバイアス値に加えるための所定の設定値に設定され
る。
ステップ1160において、クランプ弛緩モータの動作が開始される。ステップ116
2においてタイマーがセットされ、ステップ1164において、目標フラグがクリアされ
る。
【0069】
図14dのステップ1166において、ステップ1156で定めた中間点を金床256
が通過したか否かを判断する。ステップ1166において、金床256がステップ115
6で定めた中間点を通過したと判断したときは、ステップ1170において、ステップ1
158で設定された「架空」最終目標位置に代わって、金床256の「本当の」最終目標
位置が設定される。その後、制御はステップ1174に移される。
しかし、ステップ1166において、金床256の位置がステップ1156で定めた中
間点を通過していないと判断したときは、制御は目標位置リセットステップ1170を通
らずに直接ステップ1174に移される。
【0070】
ステップ1174において、ステップ1170で設定された「本当の」最終位置に、金
床256が到達したか否かが判断される。金床256の位置は、上述により十分に説明さ
れる、エンコーダ106、108により出力される信号に従って判断されると解するべき
である。ステップ1174において、ステップ1170で設定された「本当の」最終位置
に、金床256が到達したと判断される場合には、制御は以下に述べるステップ1180
に移される。
しかし、ステップ1174において、金床256が「本当の」最終位置に到達していな
いと判断される場合には、ステップ1162でリセットしたタイマーについて、所定の制
限時間が超過したか否かがステップ1176で判断される。
ステップ1176において、所定の制限時間を超過していないと判断される場合には、
制御はステップ1166に戻り、クランプ弛緩モータは、金床256をさらに弛緩させる
ために動作を継続する。しかし、ステップ1176において、所定の制限時間を超過した
と判断される場合には、金床256が所定の制限時間の間に「本当の」最終目標位置まで
移動できないというエラー状態が、ステップ1178で判断される。その後、制御は操縦
機構を離脱するステップ1180に移される。
上述の電気機械的外科医療装置10の実施例では、操縦機構は、上述により十分に説明
されるように第5モータ96及び/又は可動台100を含むこととしてよい。ステップ1
180で操縦機構が離脱された後は、ステップ1182において、無線のRCU148及
び/又は有線のRCU150の全てのキーが解放されるまで待機ループが実行される。全
てのキーが解放されると、ステップ1184において、図13に示す主要動作プログラム
に制御が戻される。
【0071】
図15a及び図15bは、図9に示されるサーキュラ外科用ステープラアタッチメント
250に特有のクランプルーチンのフローチャートである。図15a及び図15bに示さ
れるクランプルーチンは、図13に示される主要動作プログラムのステップ1012のル
ーチンBを表すと解するべきであり、図15a及び図15bに示されるクランプルーチン
は、図9に示されるサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250に特有のものであ
ると解するべきである。
さらに、上記に列挙されるような、他の外科医療用器具又はアタッチメントも、それぞ
れに使用される他のクランプルーチンを有することとしてよいと解されるべきである。
【0072】
ステップ1012から進んでステップ1200に至ると、ここではDLU開口フラグが
、設定されているか否かが判断される。ステップ1200において、DLU開口フラグが
設定されていないと判断されると、ステップ1202においてDLUがクランプ可能な状
態にないとのエラー状態と判断される。その後ステップ1204において待機ループが実
行されて、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150の全てのキーが解放される
と、ステップ1206において図13に示す主要動作プログラムへ制御が戻される。
【0073】
しかし、ステップ1200において、DLU開口フラグが設定されていると判断される
と、ステップ1208において、金床256と本体部分252との間の間隙が、所定の閾
値G(例えば5mm)よりも大きいかどうかが判断される。この判断は、上記により十
分に説明したエンコーダ106、108により生成される信号に基づいて行われる。
金床256と本体部分252との間の間隙が、所定の閾値Gよりも小さいと判断され
ると制御は1220に進む。しかし、ステップ1208で金床256と本体部分252と
の間の間隙が、所定の閾値Gよりも大きいと判断されると、制御は1210に進み、こ
こではクランプモータのスピード制限及びトルク制限をそれぞれの最大値に設定する。こ
こでクランプモータは、上述により十分に説明した第1モータ76に対応することとして
よい。
ステップ1212でタイマーがリセットされると、空隙が所定の閾値Gより小さくな
るまでに許された所定の期間が経過する、または空隙が所定の閾値Gより小さくなった
と判断されるまで、ステップ1214及び1218の制御ループが実行される。
ステップ1214で所定の期間が経過したと判断されると、ステップ1216において
クランプ動作が失敗したとみなされるとのエラー状態と判断される。ステップ1216が
実行されると、ステップ1204が実行されて無線のRCU148及び/又は有線のRC
U150の全てのキーが解放されるまで待機ループが実行される。その後ステップ120
6において図13に示す主要動作プログラムへ制御が戻される。
【0074】
ステップ1214で所定の期間が経過していないと判断されると、ステップ1218に
おいて、金床256と本体部分252との間の空隙が所定の閾値Gより小さくなる位置
への、金床256の移動が完了したか否かが判断される。ステップ1218においてこの
移動がまだ完了していないと判断されると、クランプモータの動作は継続されて、制御は
ステップ1214へ戻される。しかしステップ1218において移動が完了したと判断さ
れると、制御は1220に進む。
【0075】
ステップ1220では、ステップ1210で設定される最大スピードよりも遅いスピー
ドがクランプモータに設定され、ステップ1210で設定されるトルク制限よりも低いト
ルクがクランプモータに設定される。その後ステップ1222において、ある位置バイア
スを設定して、金床256と本体部分252との間の空隙が前記バイアス値に近付いたと
きに、クランプモータが最大トルクを出力することを確保する。例えばこのバイアス値を
約1.0mmとして、空隙が約1.0mmに等しくなったときに、クランプモータから最
大トルクを出力することを確保することとしてよい。
【0076】
図15bのステップでは、制御がステップ1224に進む。ここではタイマーがリセッ
トされる。ステップ1226では、金床256と本体部分252との間の空隙の現在値が
表示装置16上に表示される。ステップ1228では、金床256と本体部分252との
間の空隙が、所定の閾値Gより小さいか否かが判断される。この判断は、上述により十
分に説明されたエンコーダ106、108により生成された信号に基づいて行われる。所
定の閾値Gは、例えば2.0mmとすることとしてよい。
ステップ1228において、金床256と本体部分252との間の空隙が所定の閾値G
よりも小さいと判断されると、制御はステップ1230に進み、ここで範囲内インジケ
ータが作動し、DLU準備フラグが設定される。範囲内インジケータはインジケータ18
a、18bの1つと対応させてよく、これらの一方または両方を、例えばLED素子や他
の音声的、視覚的インジケータとしてよい。
ステップ1228において、金床256と本体部分252との間の空隙が所定の閾値G
よりも小さくないと判断されると、制御はステップ1232へ進む。ここでは、金床2
56と本体部分との間の空隙が、他の所定の閾値G以下であるか否かが判断される。こ
の判断は、上述により十分に説明されたエンコーダ106、108により生成された信号
に基づいて行われる。所定の閾値Gは、例えば1.0mmとすることとしてよい。ステ
ップ1232において、金床256と本体部分252との間の空隙が、所定の閾値G
下であると判断されると、制御は以下に示すステップ1238に進む。
しかし、ステップ1232において、金床256と本体部分252との間の空隙が、所
定の閾値Gより大きいと判断されると、ステップ1234において、所定の制限時間の
間、クランプモータの制限電流値に達しているか否かが判断される。所定の制限時間の間
、クランプモータの制限電流値に達していることは、(細胞)組織が、金床256と本体
部分252との間の空隙に十分クランプされていることを示している。この制限時間は例
えば1.0秒としてよい。
ステップ1234において、所定の制限時間の間、クランプモータの制限電流値に達し
ていると判断された場合、制御はステップ1238に進む。しかし、ステップ1234に
おいて、所定の制限時間の間、クランプモータの制限電流値を超えていないと判断された
場合、ステップ1236においてクランプキーが解放されたか否かが判断される。
ステップ1236においてクランプキーが解放されていないと判断されたとき、制御は
1226に戻る。ステップ1236においてクランプキーが解放されたと判断されたとき
、制御はステップ1238へと進む。
【0077】
ステップ1238では、クランプモータの動作を停止する。その後ステップ1240に
おいて、無線のRCU148及び/又は有線のRCU150の全てのキーが解放されるま
で待機ループが実行される。そして全てのキーが解放されると、ステップ1242におい
て図13に示す主要動作プログラムへ制御が戻される。
【0078】
図16は、図9に示されるサーキュラ外科用ステープラアタッチメント250に特有の
クランプ弛緩ルーチンのフローチャートである。図16に示されるクランプ弛緩ルーチン
は、図13に示される主要動作プログラムのステップ1016のルーチンCを表すと解す
るべきであり、図16に示されるクランプ弛緩ルーチンは、図9に示されるサーキュラ外
科用ステープラアタッチメント250に特有ものであると解するべきである。
さらに、上記に列挙されるような、他の外科医療用器具又はアタッチメントも、それぞ
れに使用される他のクランプ弛緩ルーチンを有することとしてよいと解されるべきである

【0079】
ステップ1016から進んでステップ1300に至ると、クランプ弛緩モータのトルク
制限が、その最大値に設定される。クランプ弛緩モータは、上述により十分に説明される
クランプモータに対応することとしてよい。クランプ弛緩モータもまた、上述により十分
に説明される第1モータ76としてよい。
【0080】
ステップ1302において、金床256の目標位置を、クランプが十分に弛緩している
状態の金床256の位置を示す値に設定する。ステップ1304においてクランプ弛緩モ
ータを始動する。ステップ1306において、クランプ弛緩キーが解放されたか否かを判
断する。ステップ1306においてクランプ弛緩キーが解放されたと判断されると、制御
はステップ1314に進む。ステップ1306においてクランプ弛緩キーが解放されてい
ないと判断されると、ステップ1308において、金床256と本体部分252との間の
空隙が、所定の閾値G以上であるか否かが判断される。所定の閾値Gは、ステップ1
302で設定した目標位置に従って定められる。この判断は、上述により十分に説明され
たエンコーダ106、108により生成された信号に基づいて行われる。
ステップ1308において、金床256と本体部分252との間の空隙が、所定の閾値
以上であると判断されると、ステップ1310でDLU開口フラグが設定され、制御
はステップ1312に進む。ステップ1308において、金床256と本体部分252と
の間の空隙が、所定の閾値Gより小さいと判断されると、ステップ1312で、クラン
プ弛緩動作が完了したか否かが判断される。すなわち、ステップ1302で設定した金床
256の目標位置に達したか否かが判断される。
ステップ1312で、金床256の移動が完了していないと判断されると、制御はステ
ップ1306に戻る。ステップ1312で、金床256の移動が完了したと判断されると
、クランプ弛緩モータの動作がステップ1314で停止される。そして制御は、図13に
示す主要動作プログラムのステップ1316に戻る。
【0081】
サーキュラ外科用ステープラアタッチメント250に関して上述した、種々のモータ及
びスイッチ要素の動作は、サーキュラ外科用ステープラアタッチメント250に特有のも
のと理解されるべきである。フレキシブルシャフト20に他の外科医療用器具又はアタッ
チメントが取り付けられたときには、モータ及び/又はスイッチは他の機能を実行するこ
ととしてよい。
【0082】
以上により、様々に上述した本発明の目的及び効果が、非常に効果的に達成される。当
業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上述された典型的な実施例の多
数の修正を行うことが可能であることが明らかであろう。本明細書には、本発明について
1つの典型的な実施例のみを、詳細に記載し開示したが、本発明はこれに限定されること
なく、その範囲は特許請求の範囲により定められると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
10 電気機械的外科医療用装置
12 リモート動力(電力)コンソール
14 ハウジング
15 前面パネル
16 表示装置
18a、18b インジケータ
20 フレキシブルシャフト
22 第1カップリング
24 先端
26 第2カップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械的外科医療用装置用の外科医療用器具であって、前記外科医療用器具は、
前記外科医療用器具を前記電気機械的外科医療用装置に結合するように構成されているカップリングと、
前記外科医療用器具の形式を表す第1のデータを格納するように構成されているメモリユニットと、
前記電気機械的外科医療用装置のそれぞれのドライブシャフトに結合するように構成されている少なくとも1つの回転可能なドライブシャフトと
を含み、
前記カップリングは、前記メモリユニットと前記電気機械的外科医療用装置とを接続するように構成されているデータコネクタを含む、外科医療用器具。
【請求項2】
少なくとも1つの回転可能なドライブシャフトは、回転可能な第1のドライブシャフトと、回転可能な第2のドライブシャフトとを含み、前記ドライブシャフトの各々は、前記電気機械的外科医療用装置のそれぞれのドライブシャフトに結合するように構成されている、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項3】
前記メモリユニットは、前記外科医療用器具の使用状態を表す第2のデータを格納するように構成されている、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項4】
前記第1のデータは、前記電気機械的外科医療用装置のコントロールシステムによって読み出し可能である、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項5】
前記第1のデータおよび前記第2のデータのうちの少なくとも1つは、前記電気機械的外科医療用装置のコントロールシステムによって読み出し可能である、請求項3に記載の外科医療用器具。
【請求項6】
前記データコネクタは、前記メモリユニットを前記電気機械的外科医療用装置のコントロールシステムに電気的および論理的に接続するように構成されている、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項7】
前記カップリングは、前記外科医療用器具を前記電気機械的外科医療用装置に着脱可能に取り付けるように構成されている、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項8】
前記外科医療用器具は、外科用ステープラ/カッター器具を含む、請求項1に記載の外科医療用器具。
【請求項9】
前記外科用ステープラ/カッター器具は、金床部分と、ステープルドライバ/カッター部分とを含む、請求項8に記載の外科医療用器具。
【請求項10】
前記金床部分を開閉するように構成されている回転可能な第1のドライブシャフトと、前記ステープルドライバ/カッター部分を駆動するように構成されている回転可能な第2のドライブシャフトとをさらに含む、請求項9に記載の外科医療用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図14d】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−194257(P2011−194257A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127770(P2011−127770)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2008−261869(P2008−261869)の分割
【原出願日】平成13年11月28日(2001.11.28)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】