説明

電気泳動ディスプレイ装置

電気泳動ディスプレイパネルは、帯電粒子を有する電気泳動媒体と、複数のピクチャ要素と、電位差を受けるための各々のピクチャ要素と関連付けられた電極と、駆動手段とを有する。駆動手段は、複数のピクチャ要素の各々に対して、1つ又はそれ以上の部分を有する画像遷移期間において、粒子が画像情報に対応する部分を占めるようにするために、画像遷移期間の階調駆動部分の間に、階調電位差を与え、駆動手段は、画像遷移期間の前記部分のための最大持続時間より短い持続時間を有する電位差について、画像遷移期間の前記1つ又はそれ以上の部分において電位差の印加のための異なる開始時間を画像遷移期間の前記1つ又はそれ以上の部分の間に与えるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動ディスプレイパネルであって:
− 帯電粒子を有する電気泳動媒体;
− 複数のピクチャ要素;
− 電位差を受けるための各々のピクチャ要素と関連付けられた電極であって、帯電粒子は、電極間の中間の位置及び電極近傍の極限の位置を占めることができ、極限の位置は極限光学状態に関係付けられる、電極;
− 駆動手段であって、粒子が画像情報に対応する位置を占めるようにするために、画像遷移時間期間の階調駆動部分の間、階調電位差を、複数のピクチャ要素の各々に対して、1つ又はそれ以上の部分を有する画像遷移期間内に与えるように備えられている、駆動手段;
を有する、電気泳動ディスプレイパネルに関する。
【0002】
本発明はまた、電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であって、その方法において、電位差が遷移(又は、更新)期間内にディスプレイ装置のピクチャ要素のアレイに適用され、画像遷移期間は、ディスプレイ装置において画像の変化を与えるために、1つ又はそれ以上の部分を有する、方法であり、画像遷移期間内に、画像遷移期間は、粒子が画像情報に対応する位置を占めるようにするために、画像遷移時間期間の階調駆動部分中、階調電位差が供給される複数のピクチャ要素の各々に対して、1つ又はそれ以上の部分を有する、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭の段落に記載されている種類の電気泳動ディスプレイパネルの実施形態については、国際公開第03/079323号パンフレットに記載されている。
【0004】
上記の電気泳動ディスプレイパネルにおいて、各々のピクチャ要素は、ピクチャの表示中、粒子の位置により決定されるアピアランスを有する。画像遷移期間中、画像の変化がもたらされる。駆動手段はピクチャ要素に対して電位差を与える。それらの電位差は帯電粒子に対する効果を有する。画像遷移期間は、特定の効果をもたらす1つ又はそれ以上の部分を有する。画像遷移期間の階調駆動部分の間、帯電粒子が画像情報に従った位置を実質的に占めるようにするために、階調電位差がピクチャ要素に与えられる。基本的には、帯電粒子の位置は、それ故、画像情報に対応する。しかしながら、粒子の位置は、階調駆動部分の間に印加される瞬間的電位差ばかりでなく、電位差の履歴に依存する。先行技術においては、リセット電位差が、画像遷移期間のリセット部分の間に印加され、そのリセット部分は、画像遷移期間内の階調駆動部分に先行する。リセット電位差の印加の結果として、階調電位差が印加される前に、耐電粒子は極限位置の一を実質的に占めることが確実になるため、ピクチャ要素のアピアランスの履歴依存性は低減される。それ故、ピクチャ要素各々は、極限光学状態の一に対する時間リセットである。階調は、リセット要素に対する階調電位差の印加によりマイクロカプセルの上部の対向電極に移動する粒子の量を制御することにより、ディスプレイ装置において生成される。例えば、正電位又は負電位のエネルギーは、電界強度と適用される時間の積として定義され、マイクロカプセルの上部に移動する粒子の量を制御する。“階調”は、本発明の概念の範囲においては、極限光学状態間の何れの中間状態を意味するとして理解される。表示が白黒表示であるとき、“階調”は、実際には、階調の濃淡に関係し、他の種類のカラー要素が用いられるとき、‘階調’は、極限状態間の何れの中間的状態を包含するとして理解される。画像情報が変化するとき、ピクチャ要素はリセットされる。
【0005】
本発明者は、画像遷移期間の間、例えば、リセット電圧及び/又は階調電位差の印加の間、即ち、画像遷移期間のリセット部分及び/又は階調駆動部分の間、表示における画像は、ビューアにとって魅力のない画像において不規則な変化を示すことがある。特に、一の画像から他の画像への切り換えは全く魅力がなく、不規則である可能性がある。
【特許文献1】国際公開第03/079323号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一の画像から他の画像へのスムーズな切り換えを与えることができる、冒頭の段落で述べた何れの種類のディスプレイパネル及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にしたがった装置は、画像遷移期間の1つ又はそれ以上の部分の間、画像遷移期間の部分の最大持続時間より短い持続時間を有する電位差のための遷移期間の1つ又はそれ以上の部分における電位差の印加のための異なる開始時間を与えるように駆動手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
画像遷移期間の一部は、本発明の概念の範囲内で、画像遷移期間のリセット部分、オーバーリセット部分又は階調駆動部分を有する。
【0009】
画像遷移期間のリセット部分の間、リセット電位差が、開始光学状態から極限光学状態にピクチャ要素をもたらすように印加される。オーバーリセット部分はリセット部分に相当するが、リセット電位差が印加される時間が名目上の効果のためには長過ぎるように故意に選択されることのみを違いとして有している。オーバーリセットは、それ故、ピクチャ要素を極限状態にもたらすために名目上、必要とされるより非常に長い持続時間の間、リセット電位が印加される種類のリセットである。
【0010】
画像遷移期間の一部、即ち、リセット部分、オーバーリセット部分又は階調駆動部分において、電位差、例えば、リセット電位差、オーバーリセット電位差又は階調電位差が、ピクチャ要素のために又はピクチャ要素において、特定の効果を生成するようにピクチャ要素に印加される。関連電位差の印加の持続時間は変化を示す。一部のピクチャ要素については、関連電位差は、短い時間の期間、他のピクチャ要素については、より長い時間の期間、そして、他のピクチャ要素については、最も長い時間の期間、適用される。
【0011】
画像遷移期間の特定部分の長さ又は最大持続時間が、前記部分に関連付けられた電位差の印加の最大持続時間により与えられ、それは、前記部分における耐電粒子の一部に最大有効電荷をもたらす持続時間である。本発明にしたがったディスプレイ装置においては、電位差の印加の開始時間は異なる印加の長さに対して異なる一方、全ての印加は最大持続時間に含まれる。これは、関連部分の間の画像における変化を滑らかにすることに繋がる画像遷移期間の特定部分の最大持続時間に亘る及びその最大持続時間内の印加の分配に繋がる。好適には、駆動手段は、電位差の印加のための開始時間が最大持続時間に実質的に等しいか又はそれより短くなるように備えられている。
【0012】
電位差の印加の持続時間は、その印加の前及び後の光学状態が異なる場合でさえ、同じであり得る。好適な実施形態においては、駆動手段は、動作中、開始時間が、前記部分における電位差の印加の持続時間の間、実質的に等しい長さを有するそれらの遷移に対して異なるように備えられている。一見したところでは、同じ持続時間を有する全てのパルス(即ち、電位差の印加)を処理すること、即ち、同じ時間の瞬間にそれらのパルスを開始させる、それ故、終了させることは論理的であるようにみえる。しかしながら、同じ長さを有するパルス間で開始時間の1つ又はそれ以上の差を与えることにより、関連部分全体の画像の変化のより適切な分配、それ故、より滑らかな画像遷移を与えることができる。
【0013】
基本的な又は好適な実施形態における本発明は、種々の実施形態で実施されることができる。
【0014】
本発明の第1の好適な実施形態にしたがった装置は、駆動手段が、階調駆動部分についての最大長さ持続時間より短い印加持続時間を有する階調電位差についての遷移期間の階調駆動部分において階調電位差の印加についての異なる開始時間を与えるために備えられている、ことを特徴とする。
【0015】
好適には、階調電位差について実質的に等しい持続時間を有する遷移のための開始時間は異なる。
【0016】
リセットを用いずに一の階調から他の階調に画像を直接、変化させるとき、駆動期間の長さは、一の状態から他の状態への最大長さ階調電位差により決定される。しかしながら、全ての遷移が、階調電位差の同じ印加持続時間を必要とするのではない。例えば、2つの極限光学状態が存在するとき、ピクチャ要素が一の極限光学状態(黒色又は白色)から他の極限光学状態(黒色又は白色)に進むために、最大長さ持続階調電位差が印加される。中間の“灰色”状態から開始する場合、短い階調電位差を印加することが可能である。開始光学状態及び到達する光学状態に依存して、そのような幾つかの“短い”階調電位差が存在する。幾つかの遷移は、実質的に同じ長さを有し、例えば、濃い灰色から黒色に進むことは、薄い灰色から白色に進む長さと実質的に同じ長さを有する。本発明の概念は、遷移、即ち、最初の状態から最終の光学状態(階調電位差又は駆動パルス)への遷移を考慮し、最大長さより短い長さを有する遷移を比較する場合、それらの階調電位差は、最大長さの駆動期間内の異なるポイントにおいて開始する(及び、それ故また、終了する)。“最大駆動時間より短い”駆動パルスは、最大長さ駆動期間内に分配される。好適には、それらのパルスは全て、前記最大長さ駆動期間内に終了する。
【0017】
先行技術の駆動スキームにおいては、制御手段は、駆動パルス、即ち、階調を決定する電位差は実質的に同時に開始するように備えられる。例えば、全ての駆動波形は、画像更新信号が表示制御器により発せられるとすぐ、実施を開始する。これは、表示を駆動するために都合のよい方法であるが、本発明者は、これは、新たな画像が幾分不規則な様式で現れる影響をもたらすことを認識した。ユーザは、表示において不規則な様式で現れる新たな画像を知覚し、そのことは、ビューアに好まれない、むしろ“断片的な”画像更新をもたらす。異なる駆動波形は異なる持続時間を有する一方、この理由のために、全ての画素の画像更新は、時間的に実質的に同じポイントで開始され、即ち、全ては階調駆動期間の開始ポイントで開始され、新たな画像が現れる時間は、前画像及び新たな画像の細部に依存する要素間で変化し、そのことが新たな画像の“断片的な”アピアランスに繋がるのである。本発明においては、最大階調駆動時間内の印加階調電位差の分配のために、この影響は低減される。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態にしたがった装置においては、駆動手段は、階調駆動部分に先行する画像遷移期間のリセット期間内に、複数のピクチャ要素の各々に対して、粒子が階調電位差の印加前に極限位置を実質的に占めるようにするためのリセット電位差を与えるように設定され、ここで、駆動手段は、リセット電位差の印加の持続時間がリセット部分の最大持続時間より短い遷移のための画像遷移期間のリセット部分においてリセット電位差の印加のための異なる開始時間を与えるように設定されている。画像遷移期間のリセット部分の最大長さは、最大リセット電位差、即ち、一の極限状態から他の極限状態にピクチャ要素を移行させるために必要な時間により決定される。これは、遷移時間のリセット部分の最大持続時間を規定する。しかしながら、全てのリセット遷移が、リセット電位差の印加の同じ長さを必要とするのではない。例えば、2つの極限光学状態が存在するとき、ピクチャ要素が一の極限光学状態(黒色又は白色)から他の極限光学状態(黒色又は白色)に進むときに、リセッティング中、最大長さリセット電位差が印加される。最初の中間“灰色”状態から開始する場合、短いリセット電位差を印加することが可能である。開始光学状態及び到達する光学状態に依存して、そのような幾つかの“短い”リセット電位差が存在する。開始光学状態から極限光学状態への幾つかの遷移は実質的に同じ持続時間を有する。例えば、濃い灰色から黒色へのリセットは、薄い灰色から白色に進む長さと実質的に同じ長さを有する。本発明の概念は、遷移、即ち、最初の状態から極限光学状態(リセット)を介して最終の光学状態(階調電位差又は駆動パルス)への遷移を考慮し、リセット電位差の印加の最大長さを有する遷移に対してリセット電位差の印加の最大長さより短い長さを有する遷移を比較する場合、最大の印加より小さい印加のためのリセット電位差の印加は、最大リセット部分内の、即ち、遷移期間の最大リセット部分内の異なるポイントで開始する(及び、それ故また、終了する)。“最大リセット時間より短い”リセットパルスは、それ故、最大長さリセット期間内に分配される。好適には、それらのパルスは全て、前記最大長さリセット期間内に終了する。好適には、リセット部分の実質的に等しい長さを有する遷移の開始時間は異なる。
【0019】
遷移期間のリセット部分と協働する先行技術の駆動スキームにおいては、制御手段は、リセットパルス、即ち、リセットをもたらす電位差が実質的に同時に開始する、例えば、全てのリセット波形は、画像更新信号が表示制御器により発せられるとすぐに実施を開始するように備えられ、それにより、滑らかな画像切り換えに比べて劣化する。先行技術の駆動スキームにおいては、全てのピクチャ要素は、それ故、リセット部分の開始時にそれらのアピアランスの変化が開始し、そのリセット部分の後半の間に、殆ど全てのピクチャ要素は極限光学状態になる。これは、画像の異常な切り換えをもたらす。本発明においては、リセット電位差の印加のための開始時間は異なるピクチャ要素に対して異なり、画像のより緩やかな切り換えが提供される。このプラス効果は、全てのリセットが最大リセット部分内に実行されるため、画像遷移期間のリセット部分を長くすることなく、得られる。
【0020】
対照的に、本発明にしたがった駆動スキームにおいては、“最大持続時間より短い”パルスは、画像遷移期間のリセット又は階調駆動部分の最大持続時間全体にそれらのパルスを分配する異なる開始時間を有する。
【0021】
本発明の手段のためのリセットパルス又は階調パルスの一時的な散らばりは、殆どの画像更新時間の間、全てのピクチャ要素の少なくともサブセットは、画像遷移期間のリセット部分及び/又は階調駆動部分の間、それらの視覚的アピアランスを変化させる。このように、画像遷移はより滑らかになり、視覚的に少ない突然の画像更新が実現される。しかしながら、画像遷移時間期間は長くならない。
【0022】
2つのパラメータのみが、それ故、開始時間、即ち、関連電位差の印加前及び後の光学状態を決定する。
【0023】
リセット部分に関連する実施形態においては、駆動手段はリセット電位差の印加の開始時間は開始光学状態及び極限光学状態のみに依存して異なるように設定される。
【0024】
リセットパルスの先行印加を用いることのない階調駆動部分に関する実施形態においては、駆動手段は、それ故、階調電位の開始時間は開始光学状態及び最終光学状態のみに依存して異なるように設定される。
【0025】
それらの好適な実施形態は、画像遷移期間の階調のそれぞれリセット部分の間に、階調電位差及び/又はリセット電位差の印加のための簡単なスキームを与える。例えば、最初の薄い灰色の光学状態から中間の白色状態まで、ピクチャ要素を変化させるリセットパルスの長さ(即ち、リセット部分におけるリセット電位差の印加の持続時間)は、濃い灰色から黒色まで、ピクチャ要素を変化させるリセットパルスの長さと略同じである(4つの異なる状態が存在する場合)。このような簡単なスキームにおいては、リセットパルスは、他の遷移のためでなく、時間的に異なるポイントにおいて一の遷移のために開始するが、その差は、2つのパラメータのみ、即ち、飽和時間を大きく上回るリセットパルス、即ち、インクが現状態から完全に白色/黒色状態に切り換えわるために必要な時間が用いられるオーバーリセット電圧パルスをそれらの実施形態が用いる前の光学状態のみには依存しない。更に、最も低い残像性を認識するために、一連の短いACパルス、所謂、プリセットパルス又はシェーキングパルスは、好適な実施形態においては、滞留時間及び/又は画像履歴の影響を低減するように、それ故、画像残像を低減するように、リセットパルス及び/又は駆動パルスに先行して供給される。一般に、全体的な駆動スキームが複雑になればなる程、一の画像から次の画像への遷移時間の長さにおける変化は要素間で大きくなり、本発明が克服するために探る問題点は大きくなり、本発明は有利になる。
【0026】
本発明の異なる実施形態は類似する問題点に対処し、それらの類似する問題点、類似する手段を解決するように与えられ、それら実施形態の全ては共通の単一の発明的洞察に基づいている。
【0027】
本発明の上記の及び他の特徴については、以下、図を参照して説明することにより明らかになる。
【0028】
全ての図で、対応する構成要素には、通常、同じ参照番号を付けている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1及び2は、第1基板8と、対向する第2基板と、複数のピクチャ要素2とを有するディスプレイパネル1の実施形態を示している。好適には、ピクチャ要素2は、実質的に直線に沿って二次元構造に配列されている。ピクチャ要素2の他の配列、例えば、ハニカム配列が、代替として可能である。帯電粒子6を有する電気泳動媒体5は各々のピクチャ要素2と関連付けられている。電極3、4は、電位差を受けることができる。図2においては、第1基板2は各々のピクチャ要素2のために第1電極3を有し、第2基板9は各々のピクチャ要素2のために第2電極4を有する。帯電粒子6は、電極3、4近傍の極限位置と、電極3、4間の中間位置とを占めることができる。各々のピクチャ要素2は、ピクチャを表示するために電極3、4間の帯電粒子の位置により決定されるアピアランスを有する。電気泳動媒体5それ自体については、米国特許第5,961,804号明細書、米国特許第6,120,839号明細書及び米国特許第6,130,774号明細書により知られていて、例えば、E Ink社製のものがある。例としては、電気泳動媒体5は、白色流体中に負に帯電した黒色粒子6を有するものがある。帯電粒子6が第1極限位置に、即ち、第1電極3近傍にあるとき、例えば、15Vである電位差の結果として、ピクチャ要素2のアピアランスは、例えば、白色である。ここで、ピクチャ要素2が第2基板9の側から観測されることを考慮する。帯電粒子6が第2極限位置に、即ち、第2電極近傍にあるとき、逆極性、即ち、−15Vである電位差の結果として、ピクチャ要素2のアピアランスは黒色である。帯電粒子6が中間位置の一に、即ち、電極3、4間にあるとき、ピクチャ要素2は中間アピアランス、即ち、薄い灰色、中間の灰色及び濃い灰色の一を有し、それは白色と黒色との間の階調である。駆動手段100が、粒子6が極限位置の一を実質的に占めることを可能にするために、リセット値及びリセット持続時間を有するリセット電位差であるように、そして、実質的に、粒子6が画像情報に対応する位置を占めることを可能にするための階調電位差であるように、各々のピクチャ要素2の電位差を制御するために備えられている。
【0030】
図3は、2つの基板33、34の間に存在している電子インク、例えば、ポリエチレンを有する電気泳動フィルム、ベース基板32を有する、例えば、数個の表示要素のサイズの電気泳動ディスプレイ装置31の更なる実施例の一部の断面であって、基板33は透明なピクチャ電極35を備え、他の基板34は透明な対向電極36を備えている、断面を示している。電子インクは、約10乃至50μmの複数のマイクロカプセルを有する。各々のマイクロカプセル37は、流体Fに浮遊している正に帯電した白色粒子38と負に帯電した黒色粒子39とを有する。静電界が画素電極35に適用されるとき、白色粒子38は、対向電極36に方向付けられたマイクロカプセル37の側に移動し、表示要素はビューアにとって可視的になる。同時に、黒色粒子39は、それらがビューアにとって見えないマイクロカプセル37の反対側に移動する。画素電極に負電界を適用することにより、黒色粒子39は対向電極36の方に方向付けられたマイクロカプセル37の側に移動し、表示要素はビューア(図示せず)にとって暗くなる。電界が除去されるとき、粒子38、39は取得された状態に維持され、ディスプレイは、双安定特性を示し、実質的に電力は消費されない。粒子が黒色及び白色であることが可能であるが、また、着色されていることが可能である。この点で、“階調”は、何れの中間的状態を意味すると理解されるべきであることが理解できる。ディスプレイが白黒のディスプレイであるとき、“階調”は、実際には、灰色色調に関係し、他の種類の着色要素が用いられるとき、‘階調’は、極限状態間の何れの中間的状態を包含すると理解されるべきである。
【0031】
図4は、アクティブなスイッチング要素と、行ドライバ46と、列ドライバ40とを備えたベース基板32において積層された電気泳動フィルムを有するピクチャディスプレイ装置31の等価回路を示している。好適には、対向電極36が、カプセル化された電気泳動インクを有するフィルムにおいて備えられるが、面内電解を用いる動作の場合には、ベース基板において備えられる。ディスプレイ装置31は、アクティブスイッチング要素であって、この実施例においては、薄膜トランジスタ49により駆動される。ディスプレイ装置31は、行又は選択電極47と列又はデータ電極41との交差領域において表示要素のマトリクスを有する。行ドライバ46は、行電極47を連続的に選択する一方、列ドライバ40は、列電極41にデータ信号を供給する。好適には、処理器45は、先ず、入力データをデータ信号に処理する。列ドライバ40と行ドライバ46との間の相互同期化が駆動ラインを介して行われる。行ドライバ46からの選択信号は、ゲート電極50が行電極47に電気的に接続され、ソース電極51が列電極41に電気的に接続されている、薄膜トランジスタ49により画素電極42を選択する。列電極41に存在するデータ信号は、TFTを介してドレイン電極に結合された表示要素の画素電極52に転送される。その実施形態においては、図3のディスプレイ装置はまた、各々の表示要素48における位置に付加コンデンサ53を有する。この実施形態においては、付加コンデンサ53は、1つ又はそれ以上の記憶コンデンサライン54に接続されている。TFTに代えて、他のスイッチング要素、例えば、ダイオード、MIM等を適用することができる。
【0032】
実施例としては、リセット電位差の適用前には、サブセットのピクチャ要素のアピアランスは薄い灰色であり、G2で表されている。更に、同じピクチャ要素の画像情報に対応するピクチャアピアランスは濃い灰色であり、G1で表されている。この実施例においては、ピクチャ要素の電位差は、図5Aにおいては時間の関数として示されている。リセット電位差は、例えば、15Vの値を有し、時間tから最大リセット持続時間、即ち、リセット期間プリセットである時間t、tまでを有する。リセット持続時間及び最大リセット持続時間は、例えば、それぞれ、50msec及び300msecである。その結果、ピクチャ要素は実質的に白色であり、Wで表されている。ピクチャ電位差(階調電位差)はtからtまで存在し(Pgrey−scale driving)、例えば、−15Vの値及び、例えば、150msecの持続時間を有する。その結果、ピクチャ要素は、ピクチャを表示するために濃い灰色(G1)のアピアランスを有する。リセット電位差と階調電位差との間には、Pshakingで図に示されている、一連のシェーキング電位差がtとtとの間に適用される。
【0033】
サブセットの各々のピクチャ要素のための最大リセット持続時間、即ち、完全なリセット期間は実質的に等しく、オーバーリセットが適用されるとき、極限位置の一のから他の極限位置の一にそれぞれのピクチャ要素の粒子6の一を変化させるために時間を必要とする。例示としてのピクチャ要素については、基準の持続時間は、例えば、300msecである。
【0034】
他の実施例としては、図5Bにおいて、ピクチャ要素の電位差が時間の関数として示されている。ピクチャ要素のアピアランスは、リセット電位差の適用の前には、濃い灰色(G1)である。更に、ピクチャ要素の画像情報に対応するピクチャのアピアランスは薄い灰色(G2)である。リセット電位差は、例えば、15Vの値を有し、時間tから時間tまで存在する。リセット持続時間は、例えば、150msecである。その結果、ピクチャ要素は、実質的に白色(W)であるアピアランスを有する。ピクチャ電位差はtからtまで存在し、例えば、−15Vの値及び、例えば、50msecの持続時間を有する。その結果、ピクチャ要素は、ピクチャを表示するために、薄い灰色(G2)であるアピアランスを有する。本発明にしたがった装置においては、オーバーリセットパルスが実施形態において適用されることが可能であり、即ち、tとtとの間のリセットパルスの長さ及び/又は振幅は、要素を所望の極限状態に移行させるために名目上、必要とされるものに比べてより強力である。オーバーリセットの適用は、何れの残像履歴の影響が削除される有利点を有する。要素が極限状態にあることは全く確かである。
【0035】
他の実施形態の変形においては、駆動手段100は、画像情報に対応する粒子6の位置に最も近い極限位置を粒子6が占めることを可能にするように、各々のピクチャ要素のリセット出に差を制御するために更に備えられている。実施例としては、ピクチャ要素のアピアランスは、リセット電位差の適用前には、薄い灰色(G2)である。更に、ピクチャ要素の画像情報に対応するピクチャのアピアランスは濃い灰色(G1)である。この実施例においては、ピクチャ要素の電位差は、図6Aにおいては、時間の関数として示されている。リセット電位差は、例えば、−15Vの値を有し、時間tから時間tまで存在する。リセット持続時間は、例えば、150msecである。その結果、粒子6は第2極限位置を占め、そのピクチャ要素は、実質的に黒色のアピアランスを有し、Bで表されていて、その第2極限位置は画像情報に対応する粒子6の位置に最も近い、即ち、ピクチャ要素2は濃い灰色のアピアランス(G1)を有する。ピクチャ電位差は時間tから時間tまで存在し、例えば、15Vの値及び例えば、50msecの持続時間を有する。その結果、ピクチャ要素2は、ピクチャを表示するために、濃い灰色(G1)であるアピアランスを有する。他の実施例としては、他のピクチャ要素のアピアランスは、リセット電位差が適用される前には、薄い灰色(G2)である。更に、このピクチャ要素の画像情報に対応するピクチャのアピアランスは実質的に白色(W)である。この実施例については、ピクチャ要素の電位差は、図6Bにおいて時間の関数として示されている。リセット電位差は、例えば、15Vの値を有し、時間tから時間tまで存在する。リセット持続時間は、例えば、50msecである。その結果、粒子6は第1極限位置を占め、ピクチャ要素は、実質的に白色(W)のアピアランスを有し、その第1極限位置は画像情報に対応する粒子6の位置に最も近い、即ち、ピクチャ要素2は実質的に白色のアピアランスを有する。アピアランスは、ピクチャを表示するために、既に実質的に白色であるため、ピクチャ電位差は時間tから時間tまで存在し且つ0Vの値を有する。
【0036】
図7においては、ピクチャ要素は、実質的に直線70に沿って配列されている。粒子6が、極限位置の一、例えば、第1極限位置を実質的に占める場合、ピクチャ要素は、実質的に等しい第1アピアランス、例えば、白色を有する。粒子6が、極限位置の他の一、例えば、第2極限位置を実質的に占める場合、ピクチャ要素は、実質的に等しい第2アピアランス、例えば、黒色を有する。駆動手段は、粒子6が等しくない極限位置を実質的に占めることを可能にする各々の線70に沿って、続くピクチャ要素2のリセット電位差を制御するために更に配列されている。図7は、リセット電位差の結果として、第1アピアランス及び第2アピアランスの平均を表すピクチャを示している。そのピクチャは、実質的に中間の灰色を表す。
【0037】
図8においては、ピクチャ要素2は、実質的に直線状の行71にそって、そして、二次元構造においてそれらの行に対して実質的に垂直である実質的に直線状の列72に沿って配列され、各々の行71は、第1のピクチャ要素の数、例えば、図8においては4を有し、各々の列72は、第2のピクチャ要素の数、例えば、図8においては3を有する。粒子6が、極限位置の一、例えば、第1極限位置を実質的に占める場合、ピクチャ要素は、実質的に等しい第1アピアランスを有する。粒子6が、極限位置の他の一、例えば、第2極限位置を実質的に占める場合、ピクチャ要素は、実質的に等しい第2アピアランスを有する。駆動手段は、粒子6が等しくない極限位置を実質的に占めることが可能であるように各々の行71に沿って、続くピクチャ要素2のリセット電位差を制御するために更に配列され、そして、駆動手段は、粒子6が等しくない極限位置を実質的に占めることが可能であるように各々の列72に沿って、続くピクチャ要素2のリセット電位差を制御するために更に配列されている。図8は、リセット電位差の結果として、第1アピアランス及び第2アピアランスの平均を表すピクチャを示している。そのピクチャは実質的に中間の灰色を示し、上記実施形態に比べて、幾らかスムーズである。
【0038】
その装置の変形においては、駆動手段は、リセット電位差の前に、プリセット電位差のシーケンスであるように各々のピクチャ要素の電位差を制御するために更に備えられている。好適には、プリセット電位差のシーケンスはプリセット値及び関連プリセット持続時間を有し、そのシーケンスのプリセット値は符号が交互に変わり、各々のプリセット電位差は、極限位置の一に存在する粒子6をそれらの位置から開放するには十分であるが、前記粒子が極限位置の他の一に達すようにするには不十分であるプリセットエネルギーを表している。実施例として、ピクチャ要素のアピアランスは、プリセット電位差のシーケンスの適用前には、薄い灰色である。更に、ピクチャ要素の画像情報に対応するピクチャアピアランスは濃い灰色である。この実施例のために、ピクチャ要素の電位差が、図9において、時間の関数として示されている。その実施例においては、プリセット電位差のシーケンスは、時間tからtまでに実質的に、適用される4つのプリセット値、即ち、15V、−15V、15V及び−15Vを有する。各々のプリセット値は、例えば、20msecの間、適用される。続いて、リセット電位差は、例えば、−15Vの値を有し、時間tからtまで存在する。リセット持続時間は、例えば、150msecである。その結果、粒子6は第2極限位置を占め、ピクチャ要素は実質的に黒色のアピアランスを有する。階調電位差は、時間tからtまで存在し、例えば、15Vの値及び、例えば、50msecの持続時間を有する。その結果、ピクチャ要素2は、ピクチャを表示するために、濃い灰色であるアピアランスを有する。プリセットパルスの適用のプラス効果の基礎を成す機構のための特定の説明に結びつけられることなく、プリセットパルスの適用は、電気泳動粒子の運動量を増加させ、それ故、スイッチング時間、即ち、スイッチオーバーを達成するために、即ち、アピアランスを変化させるために必要な時間を短縮する。ディスプレイ装置が所定状態、例えば、黒色状態に切り換えられた後、電気泳動粒子は、それらの粒子の周りの逆符号のイオンにより“凍結”されることがまた、可能である。続いて、白色状態に切り換えられるとき、それらの逆符号のイオンはタイムリーに開放される必要がある、そのことは付加的な時間を必要とする。プリセットパルスの適用は、逆符号のイオンの開放を、それ故、電気泳動粒子の凍結解除を短縮し、したがって、切り換え時間を短縮する。
【0039】
図1乃至9及びそれらに関連する説明は一般原理について述べている。図10乃至14は、負に帯電した白色粒子及び正に帯電した黒色粒子を有する電気泳動ディスプレイの状態に16個の画像繊維波形を有するサブセットの実施例を示している。図10は、先行技術にしたがったリセット駆動スキームをグラフィカルな形式で示している。開始光学状態、中間極限状態及び最終光学状態は、上から下に順に、次のようになり、
W−B−G1
G2−B−G1
G1−B−G1
G2−W−W
G2−W−G2
ここで、Wは白色を表し、G2は薄い灰色を、G1は濃い灰色をそしてBは黒色を表している。基本的には、要素の濃淡は4つのグレード、即ち、白色、薄い灰色、濃い灰色及び黒色を有し、それらの状態の2つは極限状態である。したがって、開始光学状態及び最終光学状態の16この異なる組み合わせが存在し、開始状態から中間の極限状態への8個の異なる遷移が存在し、1つの状態から他の応対への各々の段階が段階として表される場合、リセットパルスが4つの異なる強度(0、1、2、3)にある、即ち、2つの異なる符号(+又は−)を有する、リセット電位差の印加の4つの異なる持続時間が存在する。
【0040】
n個のグレードが存在する場合、開始光学状態−終了光学状態の組み合わせの数はnであり、開始状態−中間極限状態の組み合わせの数は2nであり、そして、リセットパルスの強度は2つの異なる符号においてn個の異なる強度がある。
【0041】
図10に示すスキームにおいて、リセット部分P RESETの最大持続時間が示され、それは、一の極限光学状態の白色(W)から他の極限光学状態の黒色(B)まで光学要素を移行させるようにリセット電位差の印加の持続時間に等しい。全てのリセットパルスは、画像遷移期間の最大リセット部分P RESETの開始時に開始する。また、換言すれば、全ての遷移について、リセット電位差の印加の開始時間は同じである。したがって、複数のピクチャ要素における全ての変化は、画像遷移期間のリセット部分P RESETの開始直後に生じ、画像遷移期間のリセット部分の終了時に、画像は静止状態にある。これは、オーバーリセットパルスが用いられる場合、更に維持される。リセット部分P RESETの開始時の非常に速い変化画像及びリセット部分P RESETの終了時の静止画像は、画像の滑らかな遷移に比べて劣るものを与える。
【0042】
図11は、本発明にしたがったスキームを示している。図10に示すスキームとの差異は、リセットパルスのため、即ち、リセット電位差の印加のための開始時間が異なることであり、特に、同じ長さ(この実施例においては、遷移G1−B−G1、G2−W−W、G2−W−G2)のリセットパルスを有するそれらの遷移は、最大第リセット時間期間P RESET内の異なる時間において開始することである。視覚的に少ない突然の画像更新が達成される。他のスキームは別として、本発明により設定される特徴は、リセットパルスのための開始時間は、リセットパルスの実質的に同じ長さを有する遷移が比較されるときに異なることに留意する必要がある。各々のP RESETにおいて又はP RESETの各々の瞬間近傍において、一部の画像の変化が可視的である。先行技術における単純な駆動スキームにおいては一見したところ、等しい長さのパルスは同時に開始し、そのことは論理的にみえ、しかしながら、このことは、リセットパルスが等しい長さを意味する“等しい”状態にあるにも拘わらず、本発明の好適な実施形態にしたがった装置には適切でなく(少なくとも、全ての遷移に対して)、それ故、短いリセット又はオーバーリセットパルス(即ち、最大リセット又はオーバーリセットパルス)の少なくとも一部は、最長リセット時間期間全体において分配されている。
【0043】
図11においては、リセットパルスの開始時間は、開始光学状態及び中間光学状態に依存する。1つのみに代えて、2つのパラメータを用いる場合、パルスの長さは、パルスが同じ持続時間を有するにも拘わらず、プリセットパルスG1−B(第3ライン)は時間的に異なるポイントから開始し、それから、リセットパルスG2−Wに移行することを可能にする。図12においては、開始時間が開始光学状態及び中間極限光学状態にまさに依存しないが、最終状態に依存する、より複雑なスキームが示されている。これは、リセットパルスの開始時間における更なる変化、それ故、更に滑らかな画像更新を可能にする。更に、図12は、リセットパルスの適用に先行してプリセット又はシェーキングパルスS1の適用を示している。好適な実施形態においては、プリセット又はシェーキングパルスが、リセット電位差及び/又は階調電位差の適用に先行して適用される。画像遷移期間は1つの画像とテキストとの間の時間期間である。この遷移画像期間は一の画像と次の画像との間の時間期間である。この遷移画像期間は1つ又はそれ以上の部分を有する。それらの部分はシェーキング部分S1、特に、リセット部分P RESET及び階調駆動部分P DRIVEを有することが可能である。
【0044】
図13は、先行技術にしたがった、リセットを伴わない駆動スキームをグラフィカルな形式で示している。ここでは、前画像の階調から後続画像の階調への直接的遷移が得られる。開始光学状態及び終了光学状態は、上から下に順に、次のようになる。
W−B
G2−G1
G1−G2
G2−W
G1−B
図13に示すスキームにおいては、全ての階調パルスは、画像遷移期間の階調駆動部分P DRIVEの開始時から開始している。したがって、要素における全ての変化は、駆動期間の開始直後に起こり、駆動期間の終了時には、画像は静止状態にある。開始画像及び駆動期間の終了は、画像の滑らかな遷移より劣る遷移を与える。
【0045】
図14は、本発明にしたがったスキームを示している。図11に示すスキームとの差異は、遷移についての階調パルスは同じ長さの階調パルス及びP DRIVEより短い持続時間を有することであり、この実施例においては、遷移
G2−G1
G1−G2
G2−W
G1−B
は、最大駆動期間P DRIVEにおいて異なる時間に開始する(及び、それ故また、終了する)。それ故、階調パルスの適用は、最長駆動時間期間P DRIVEにおいて分配されている。可視的に少ない突然の画像更新が達成される。他のスキームは別として、本発明により設定される特徴は、階調パルスのための開始時間は、遷移が比較されるときに、最大持続時間の階調駆動パルスにおける開始時間と異なるとことであることに留意する必要がある。特に、好適な実施形態においては、階調パルスの長さと実質的に同じ長さを有する遷移が互いに比較されるとき、開始時間の差がみられる。一見したところ、先行技術の簡単な駆動スキームにおいては、等しい長さのパルスは同時に開始し、そのことは論理的にみえるが、階調パルスが“等しい”、即ち、等しい長さを有するにも拘わらず、これは、本発明にしたがった好適な実施形態の装置において(少なくとも、全ての遷移に対して)は真でなく、異なる時間に開始し、それ故、短い階調パルス(即ち、最大階調パルス持続時間より短い)の少なくとも一部は最長の駆動時間期間において分配される。全ての実施形態においては、階調パルス及びリセットパルスは単一パルス、即ち、単一の開始ポイント及び終了ポイントを有するパルスのままである。
【0046】
上記の実施形態は本発明を限定するものではなく、当業者は本発明の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態をデザインすることができることに更に留意する必要がある。例えば、本発明にしたがった殆どの実施形態については、電気泳動インクディスプレイに関連して説明したが、本発明はまた、一般的な電気泳動ディスプレイ及び双安定ディスプレイについて適切である。通常、電気泳動インクディスプレイは、白色、黒色及び中間階調状態の光学状態を得ることを可能にする白色粒子及び黒色粒子を有する。2つの中間の階調のみが示されているが、更に多くの中間階調を有することが可能である。粒子が白色及び黒色以外の他の色を有する場合、中間状態は階調と呼ばれる。双安定ディスプレイがディスプレイとして規定され、画素に対する電力/電圧が取り除かれた後、画素は階調/輝度を実質的に維持する。
【0047】
本発明は、上記のように特定の図に示して詳述したことに限定されないことを、当業者は理解するであろう。本発明は、各々の及び全ての新規な特徴及び各々の及び全ての新規な特徴の組み合わせに備わっている。表現“を有する”及びその表現の派生の表現は、請求項に記載されている要素又は段階以外の要素又は段階の存在を排除するものではない。要素の単数表現はそのような要素の複数の存在を排除するものではない。
【0048】
本発明はまた、本発明のための特定の機能を実行するために、前記プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに本発明にしたがった方法を実行するためのプログラムコード手段を有する何れのコンピュータプログラムにおいて、プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに、本発明にしたがった方法を実行するためのコンピュータ読み出し可能媒体に記憶されているプログラムコード手段を有する何れのコンピュータプログラムプロダクトにおいて、並びに、本発明にしたがってディルプレイパネルで用いるプログラムコード手段を有する何れのプログラムプロダクトにおいて具現化される。特に、駆動手段は、ハードウェア形式、ソフトウェア又はそれらの組み合わせにおいて実施されることが可能である。
【0049】
要約すると、本発明は次のようになる。
電気泳動ディスプレイパネルのための駆動スキームは、リセットパルス及び/又は階調パルスが最大リセット期間又は最大駆動期間に対して分配されるように設定される。それにより、より滑らかな遷移が与えられる。
【0050】
本発明については特定の実施形態に関して説明したが、それらの実施形態は本発明の例示であり、制限的なものでないとみなされる。例えば、実施例は、リセットパルスか又は階調パルスのどちらかが画像遷移期間のリセット部分及び軌道部分において分配されている場合、他の実施形態においては、リセットパルス及び階調パルスの両方は、同じ波形のリセット部分及び駆動部分それぞれにおいて分配されることができることが明らかである。本発明は、ハードウェア、ファームウェア又はソフトウェア若しくはそれらの組み合わせにおいて実施されることが可能である。他の実施形態は、同時提出の特許請求の範囲における範囲内にある。
【0051】
本発明の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内で多くの変形を実施することが可能であることは明らかである。
【0052】
本発明を用いることは、波形を決定する又はコンピュータパラメータを分析する手段、波形の形成のための回路により確立されることに留意する必要がある。しかしながら、多くの画素について、光出力を測定することが一様に可能であり、即ち、一の光学状態と他の光学状態との間で遷移がなされることが可能であり、それにより、時間的な拡大及び最大遷移期間を確立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ディスプレイパネルの平面図である
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】電気泳動ディスプレイ装置の他の実施例の一部の断面図である。
【図4】図3のピクチャディスプレイ装置の等価回路を示す図である。
【図5A】一駆動スキームのためのピクチャ要素についての時間の関数として、電位差を示す図である。
【図5B】他の駆動スキームのためのピクチャ要素についての時間の関数として、電位差を示す図である。
【図6A】他の駆動スキームのためのピクチャ要素についての時間の関数として、電位差を示す図である。
【図6B】他の駆動スキームのための他のピクチャ要素についての時間の関数として、電位差を示す図である。
【図7】他の実施形態の変形においてリセット電位差の結果としての第1アピアランス及び第2アピアランスの平均を表すピクチャを示す図である。
【図8】他の実施形態の変形においてリセット電位差の結果としての第1アピアランス及び第2アピアランスの平均を表すピクチャを示す図である。
【図9】ピクチャ要素について時間の関数として電位差を示す図である。
【図10】先行技術にしたがった駆動スキームを示す図である。
【図11】本発明にしたがった駆動スキームを示す図である。
【図12】本発明の好適な実施形態にしたがった他の駆動スキームを示す図である。
【図13】先行技術にしたがった灰色から灰色への駆動スキームを示す図である。
【図14】本発明にしたがった灰色から灰色への駆動スキームを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動ディスプレイパネルであって:
帯電粒子を有する電気泳動媒体;
複数のピクチャ要素;
電位差を受けるための各々のピクチャ要素と関連付けられた電極であって、前記帯電粒子は、前記電極近傍の極限位置及び前記電極の間の中間位置を占めることができ、前記極限位置は極限光学状態と関連付けられる、電極;並びに
駆動手段であって、前記複数のピクチャ要素の各々に対して、1つ又はそれ以上の部分を有する画像遷移期間において、前記粒子が画像情報に対応する部分を占めるようにするために、前記画像遷移期間の階調駆動部分の間に階調電位差を与える、駆動手段;
を有する電気泳動ディスプレイパネルであり、
前記駆動手段は、前記画像遷移期間の前記部分のための最大持続時間より短い持続時間を有する電位差について、前記画像遷移期間の前記1つ又はそれ以上の部分において、前記電位差の印加のための異なる開始時間を、前記画像遷移期間の前記1つ又はそれ以上の部分の間に、与えるように設定されている;
ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、最大持続時間に実質的に等しい又はその最大持続時間より短い前記電位差の印加のための前記開始時間が異なるように設定されている、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、前記階調駆動部分のための前記最大持続時間より短い持続時間を有する階調電位差についての前記画像遷移期間の前記階調駆動部分において、前記階調電位差の印加のために異なる開始時間を与えるように設定されている、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、前記複数のピクチャ要素の各々に対して、前記階調駆動部分に先行する前記画像遷移期間のリセット部分において、前記階調電位差の印加前に、前記粒子が極限位置を実質的に占めるようにするためのリセット電位差を与えるように設定される、電気泳動ディスプレイパネルであり、前記駆動手段は、前記リセット電位差の前記印加の前記持続時間が前記リセット部分のための前記最大持続時間より短い遷移のための前記画像遷移期間の前記リセット部分において、前記リセット電位差の印加のための異なる開始時間を与えるように設定されている、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、前記開始時間が、前記電位差の印加前の開始光学状態及び前記電位差の印加後の最終光学状態のみに依存して異なるように設定される、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項6】
請求項3又は5に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、リセット電位差の印加の前記開始時間が前記リセット電位差の印加前の開始光学状態及びリセット後の極限光学状態のみに依存して異なるように設定される、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項2又は5に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、階調電位差の印加の前記開始時間が前記階調電位差の印加前の開始光学状態及び前記印加後の最終光学状態のみに依存して異なるように設定される、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項8】
請求項3又は5に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、前記開始時間が、開始光学状態、リセット後の極限光学状態及び最終光学状態に依存して異なるように設定される、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項9】
請求項5に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、オーバーリセット電位差を印加するように設定され、オーバーリセット電位差はピクチャ要素を極限光学状態に移行させるために必要な持続時間より実質的に長い持続時間の間に印加されるリセット電位差である、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項10】
請求項1乃至3の何れ一項に記載の電気泳動ディスプレイパネルであって、前記駆動手段は、各々のピクチャ要素に対して、リセットの適用に先行するプリセット電位差及び/又は階調電位差を与えるように設定され、プリセット電位差は一連の短いパルスを有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項11】
電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であって、リセット電位差及び階調電位差が前記ディスプレイ装置において画像の変化を与えるように画像遷移期間において前記ディスプレイ装置のピクチャ要素のアレイに印加される、方法であり、画像遷移期間において、複数のピクチャ要素の各々に対して、粒子が画像情報に対応する位置を示すようにするために、前記画像遷移期間の階調駆動部分の間、階調電位差は1つ又はそれ以上の部分を有する前記画像遷移期間を与えられ、前記画像遷移期間の前記1つ又はそれ以上の部分の間、異なる開始時間が、前記画像遷移期間の前記部分のための最大持続時間より短い持続時間を有する電位差について、前記画像遷移期間の前記少なくとも1つ又はそれ以上の部分において、前記電位差の前記印加のために与えられる、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項12】
請求項11に記載の電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であって、前記開始時間は、最大持続時間に実質的に等しいか又はその最大持続時間より短い電位差の印加のために異なる、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であって、階調電位差が前記画像遷移期間の前記階調部分において印加され、階調電位差についての前記遷移期間の前記階調駆動部分における前記階調電位差の印加のための異なる開始時間は、前記階調駆動部分のための最大持続時間より短い印加持続時間を有する、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であって、前記階調電位差の印加前に、前記粒子が極限位置を実質的に占めるようにするためのリセット電位差が、前記画像遷移期間の前記階調駆動部分に先行して前記画像遷移期間のリセット部分において設定される、電気泳動ディスプレイ装置を駆動するための方法であり、異なる開始時間は、前記リセット電位差の印加の前記持続時間が前記リセット部分のための最大持続時間より短い遷移のための前記画像遷移期間の前記リセット部分において、前記リセット電位差の前記印加のために設定される、ことを特徴とする電気泳動ディスプレイパネル。
【請求項15】
請求項1又は10の何れ一項に記載の電気泳動ディスプレイ装置のためであることを特徴とする駆動手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−523390(P2007−523390A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500330(P2007−500330)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050592
【国際公開番号】WO2005/086131
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】