説明

電気泳動用ゲルカセット製造方法及び電気泳動用ゲルの充填方法

【課題】 第1及び第2のゲルを構成する分離ゲルと濃縮ゲルとの界面を水平に形成させることが可能な電気泳動用ゲルカセット製造方法を提供する。
【解決手段】 下端面に端面封止テープ(2)を貼り付けた電気泳動用ゲルカセット本体(1)に第1のゲル溶液(3)を充填後、水系溶媒の重層や遮蔽構造物の設置を行うことなく、超音波による振動(4)をゲルカセット本体に与えることにより、充填した分離ゲル溶液などからなる第1のゲルの界面(5)を水平に形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルカセット本体に電気泳動用ゲルを充填する電気泳動用ゲルカセット製造方法に関し、電気泳動用ゲルを構成する第1のゲルと第2のゲルとの境界面の形成方法に特徴を有する技術である。
【背景技術】
【0002】
動植物の組織や細胞から抽出されたDNA、RNA、タンパク質等の生体高分子をサイズ、性状等の違いに基づいて電気泳動ゲル中に分離する電気泳動技術は、ライフサイエンス分野において非常に重要な技術である。特にタンパク質を電気泳動によって分離する場合には、タンパク質の分子量の違いに基づくSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、および等電点の違いに基づく等電点電気泳動法を組み合わせた二次元電気泳動法が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
上述のような電気泳動法において、再現性の高い電気泳動像を獲得するためには、電気泳動ゲルに供するタンパク質試料の調製、電気泳動において印加する電圧、電流値および時間等の電気泳動条件の設定が重要である。同様に、安定した、再現のある電気泳動用ゲルの作成が重要となる。
通常の方法においては、電気泳動用ゲルを作成するにあたり、まずは、タンパク質試料を分離、展開させるための第1のゲル(分離ゲル)を、電気泳動用ゲルカセット本体に注いで充填する。次に、上記充填した第1のゲルの上端面にイソブタノールあるいは水を重層することにより、ゲル端面を水平に形成させる。分離ゲル重合後に続いて、タンパク質試料を濃縮させるための第2のゲル(濃縮ゲル)を充填、重合させることにより、電気泳動用ゲルを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−64848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分離ゲル界面を水平に形成させるためにはイソブタノールあるいは水を重層するという操作を慎重に行わなければならない。もし誤って勢いよく重層させてしまうと界面が乱れてしまい、水平にならず、界面が不均一に重合してしまう。
また、重層する溶媒として水を用いた場合、充填した分離ゲル溶液と混合する可能性が高いので、再現性よくゲル界面を水平に形成させるためには熟練を要し、操作に手間がかかる。
【0006】
加えて、分離ゲル重合後に、載せたイソブタノールあるいは水を除去する操作が必要となる。このため、充填容器の壁面に溶液の滴が残存するために水洗を行い、ペーパータオル等で吸水させて取り除かなければならない。
ここで、電気泳動用ゲルの充填方法として、上述のようにまず分離ゲルを電気泳動用ゲルカセットに充填、界面を整えて重合させた後で、濃縮ゲル溶液を充填、重合させるという二段階充填方式とは別に、分離ゲル溶液を充填後すぐに濃縮ゲル溶液を続けて充填、重合させるという連続充填方式も実施可能である。この連続充填方法では、イソブタノールあるいは水を重層するという手間を省くことができる。しかしながら、界面を乱さないように、先に充填した分離ゲルの上に慎重に濃縮ゲル溶液を重層させる必要があり、熟練を要するため、再現性よくゲル作成を行うことが難しい。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、充填したゲル界面を水平に、精度よく形成することができる電気泳動用ゲルカセットの製造方法及び電気泳動用ゲルの充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ゲルを収容するゲルカセット本体に電気泳動用ゲルを充填した電気泳動用ゲルカセット製造方法であって、
上記電気泳動用ゲルとして、第1のゲルと、第1のゲルよりも比重が低い第2のゲルとを有して、
上記ゲルカセット本体に上記第1のゲルを充填する第1工程と、第1工程の後に、上記ゲルカセット本体に上記第2のゲルを充填する第2工程とを備え、
第1工程中、若しくは第1工程と第2工程の間において、上記ゲルカセット本体に対し超音波による振動を連続的若しくは断続的に与えることで、充填した第1のゲルのゲル界面を水平若しくは水平に近づける処理を含むことを特徴とするものである。
【0009】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記超音波による振動は、ゲルカセット本体の表面、側端面、下端面ならびに上記ゲルカセットに充填した第1のゲル溶液界面における少なくとも一つの場所に与えることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、ゲルを収容するゲルカセット本体に電気泳動用ゲルを構成する第1ゲルを充填した後に、電気泳動用ゲルを構成し且つ第1ゲルよりも比重が低い第2のゲルを上記ゲルカセット本体に充填し、上記第2のゲルを充填する前に、上記ゲルカセット本体に超音波の振動を与えることで上記充填した第1ゲルの界面を水平に形成することを特徴とする電気泳動用ゲルの充填方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分離ゲル溶液等となる第1のゲルを充填した電気泳動用ゲルカセット本体に超音波による振動を与えるだけで、充填した第1のゲルの界面が水平若しくは水平に近い状態となる。この結果、充填した第1のゲルの上端面に水系溶媒を重層するという煩雑な操作を行うことなく、電気泳動用ゲル界面を水平に、再現よく、且つ、平易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る電気泳動用ゲルカセットの構造を示す図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る電気泳動用ゲルカセットの製造方法の一実施形態を示す図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る電気泳動用ゲルカセットの製造方法における、第1のゲルを充填した後に振動を与える方法の実施形態を示す図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る電気泳動用ゲルカセットの製造方法の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に基づく実施形態について図面を参照して説明する。
(電気泳動用ゲルカセット本体)
本実施形態の電気泳動用ゲルカセット本体(1)は、図1に示すように、第1の電気泳動用ゲルカセット基材(1a)、第2の電気泳動用ゲルカセット基材(1b)、及び電気泳動用ゲルカセットスペーサー(1c)を備える。そしてまず、図1に示すように、第1の電気泳動用ゲルカセット基材(1a)と第2の電気泳動用ゲルカセット基材(1b)を対向配置さ
せ、それらの間の端に位置するように電気泳動用ゲルカセットスペーサー(1c)を挟んで組み立てることで、電気泳動用ゲル形成領域を確保した電気泳動用ゲルカセット本体(1)とする。
【0013】
また、ゲル溶液の充填前に、電気泳動用ゲルカセット本体(1)の下端面に対し、端面封止テープ(2)を貼り付けて塞いでおく。
上記第1および第2の電気泳動用ゲルカセット基材(1a、1b)の材質は、公知のガラス、PMMAなどのアクリル、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの材質が利用可能である。但し、ゲル形成ならびに電気泳動等に影響を与えない材質であれば、これらに限定されない。
【0014】
また、電気泳動用ゲルカセット本体(1)は、上述のような、それぞれ板状からなる第1および第2の電気泳動用ゲルカセット基材(1a、1b)と、電気泳動用ゲルカセットスペーサー(1c)とで電気泳動用ゲルカセット本体(1)を構成することに限定されない。ゲルカセット本体(1)として、特許文献1にあるような、電気泳動バッファー槽一体型のものを利用しても差し支えない。
【0015】
さらに、上述した電気泳動用ゲルカセット本体(1)の材質は、アクリルなどの材質のように疎水性のものでも構わないが、親水化処理を施したものでも差し支えない。親水化処理を施した電気泳動用ゲルカセット本体(1)の基材を用いたほうが、第1のゲル溶液を充填したときの端面の乱れを抑えることができるため、より好適である。
【0016】
(封止テープ)
上記端面封止テープ(2)の材質としては、ゴム系、アクリル系、シリコン系ならびにウレタン系いずれも利用可能である。密着性ならびに密封性が高いものであれば特に限定されないが、電気泳動用ゲルカセットにゾル状のゲル溶液を充填すること、また、充填した電気泳動用ゲルカセットの保存性の観点から、水系溶媒に耐性のあること、ならびに、使用直前に着脱することの容易な材質がより好ましい。
【0017】
(電気泳動用ゲル)
本実施形態の電気泳動用ゲルは、サンプルをゲル中において電気泳動することによって、サンプルのサイズ、性状等の違いに基づいて分離するものである。この電気泳動用ゲルを、単にゲルと称することもある。電気泳動用ゲルは、ゲル中をサンプルが移動できるように、重合体分子が複雑な網目構造を形成している。ゲルを構成する主材料としては、ポリアクリルアミドまたはアガロースのように、従来から一般に電気泳動に用いられるゲル材料を好適に使用可能である。
【0018】
ここで、ゲルカセット本体(1)に充填する電気泳動用ゲルとして、第1のゲル及び第2のゲルを用意する。
本実施形態では、上記第1のゲルは、タンパク質試料を分離、展開させるための分離ゲルを例として説明する。また、第2のゲルは、タンパク質試料を濃縮させるための濃縮ゲルを例として説明する。ただし、本実施形態の第1のゲルおよび第2のゲルは、第1のゲルが第2のゲルより比重が高ければ良い。従って、例えばグリセロールあるいはショ糖を添加して比重を高くすることによりこの条件を満たせば、第1のゲルが濃縮ゲル、第2のゲルが分離ゲルであってもよい。
【0019】
ここで、本実施形態では、後述のように、ゲルカセット本体(1)に対し、先ず第1のゲルを充填したあと、次いで第2のゲルを充填する。これは、第1のゲルが第2のゲルより比重が高いことを前提としている。順番を替えて、まず第2のゲルを充填したあと、第2のゲルより比重が高い第1のゲルを充填した場合、互いに混合してしまい、第1のゲル
と第2のゲルとの境界面を水平に形成させることはできない。このため、第1のゲルよりも第2のゲルの比重が低いことが要求される。
【0020】
(電気泳動用ゲルカセットの製造方法)
電気泳動用ゲルカセット製造方法におけるゲル溶液の充填方法は、次のように実施する。なお、ゲルの充填は公知の方法に従って実施すればよい。
まず、第1工程として、作成した電気泳動用ゲルカセット本体(1)の上端面より、調製した第1のゲル溶液を充填する。
【0021】
次に、中間工程として、第1のゲル溶液を充填したゲルカセット本体(1)に対して超音波等による振動を連続的、あるいは一定間隔毎に与える。これによって、充填した第1のゲル溶液に水系溶媒を重層することなく、ゲル界面部分が水平に形成される。上記超音波による振動は、充填操作を気をつけて行えば、第1のゲル溶液充填中から実施しても良い。
【0022】
上記超音波の振動を発生させる装置としては、例えば、超音波洗浄器を用いればよい。超音波の周波数が40〜50kHzの出力を発する装置であれば装置に限定はない。あるいは、ボルテックスミキサー等により、分離ゲル溶液を充填したゲルカセット本体(1)に振動を与えてもよい。これらによる振動は、ゲル充填直後よりゲルカセットに与え続けてもよく、あるいは一定間隔で、振動させない短時間のインターバルを設けても差し支えない。又は、第1のゲルを充填中から振動を与えても良い。
このように充填した第1のゲルが重合した後、第2工程として、公知の方法に従い、電気泳動用ゲルカセット本体(1)の上端面より、調製した第2のゲル溶液を充填する。
【0023】
(一実施形態)
更に、電気泳動用ゲルカセット製造方法の一実施形態について説明する。
図2は、本発明に基づく電気泳動ゲルカセット製造方法の一実施形態を示す図である。
先ず、図1に示すようにして作成したゲルカセット本体(1)の下端面を端面封止テープ(2)で封止する。
【0024】
次に、第1のゲル3となる分離ゲル溶液をゲルカセット本体(1)の上端面より充填する(図2a))。特に、ゲルカセット本体(1)の材質として疎水性のものを用いた場合、ゲル界面は概して水平にはならず、図2b)に示すように凹凸になる。
【0025】
次に、第1のゲル3となる分離ゲル溶液を充填したゲルカセット本体(1)を、超音波洗浄器等、超音波あるいは振動を発生する装置(不図示)に、振動の勢いで倒れないように設置した後に、振動(4)を与え続けることにより(図2c))、充填した第1のゲル3の上端面(5)を均一に、水平に重合させる(図2d))。
ここで、図3に、第1のゲル3を充填した電気泳動用ゲルカセットに振動を与える方法の例を示す。
【0026】
図3a)は、電気泳動用ゲルカセットの側端面に、図3b)は、電気泳動用ゲルカセットの下端面に振動を与える方法である。図3c)は、電気泳動用ゲルカセットの表面、すなわち、電気泳動用ゲルカセットを構成する第1および第2の電気泳動用ゲルカセット基材(1a、1b)の表面に振動を与える方法である。これらのいずれの方法、さらに、これら図3a〜cに示した方法を組み合わせて振動付与を実施することも可能である。加えて、図3d)に示すように、電気泳動用ゲルカセット本体(1)に充填した第1のゲル3の界面部分にのみ直接振動を与えてもよい。
第1のゲルが重合した後、ゲルカセット本体(1)に対し第2のゲル溶液を充填する。
【0027】
(本実施形態の効果)
このように、本発明に係る電気泳動用ゲルカセット製造方法を用いれば、電気泳動用ゲルカセット本体(1)に対し所定の高さまで第1のゲル3である分離ゲル溶液を充填し、超音波等の振動を与えるという操作のみを行うことにより、第1のゲル3について、水平なゲル界面を形成させることが可能である。したがって、公知の、一連の電気泳動用ゲルカセット製造の工程における煩雑な処理を省略し、処理時間の短縮および労力の削減、そして、再現性のよい電気泳動用ゲルの安定した作成を実現することが可能である。
【0028】
また、上記超音波による振動を、ゲルカセット本体の表面、側端面、下端面ならびに上記ゲルカセットに充填した第1のゲル溶液界面における少なくとも一つの場所に与えることで、確実に、上述のように第1のゲル3の界面を水平若しくは水平に近づけることが出来る。
ここで、本実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0029】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例によって何ら限定されない。
【実施例】
【0030】
〔1.材料および方法〕
(1−1.電気泳動用ゲルカセット本体の作成)
上述の特許文献1(特開2007−64848 自動化2次元電気泳動装置および装置構成器具)に記載のゲルカセット本体のフタならびに基板部材を、超音波溶着装置にて溶着することで作成した。
【0031】
(1−2.電気泳動用ゲルの組成)
10%アクリルアミド、375mMトリス塩酸・pH8.8、0.1%過硫酸アンモニウム、0.1%テトラメチルエチレンジアミンを含むポリアクリルアミドゲル溶液を第1のゲル溶液として用いた。29.2%アクリルアミド・0.8%メチレンビスアクリルアミド混合溶液を用いて、ポリアクリルアミドゲル中のアクリルアミドの最終濃度が10%になるように調製した。
【0032】
(1−3.電気泳動用ゲルの充填)
上記1−1.に示すようにして作成した電気泳動用ゲルカセット本体の下端部をテープにて封止した後、上端部より上記1−2.のポリアクリルアミドゲル溶液(第1のゲル溶液)を所定の高さまで充填した。
【0033】
(1−4.超音波振動)
上記1−3.でゲル溶液を充填したゲルカセット本体を超音波洗浄装置(アズワン社製)に固定、超音波を発生させて、ゲル溶液を充填したゲルカセット本体の下端面及びゲルカセット表面に振動を20分間与え続けた。
【0034】
(2.結果)
本発明に係る電気泳動用ゲルカセットを用いて、ゲル形成試験を実施した。
図2に示す作成工程に従い、電気泳動用分離ゲル溶液を電気泳動用ゲルカセット本体(1)に所定の高さまで充填、さらに、図3に示すように超音波振動を与え続けて第1のゲル(3)を重合させた。その結果を図4に示す。
【0035】
図4a)に示した模式図において、破線部で囲った部分、すなわち、分離ゲル界面部分
を拡大した部分の状態を図4b)に示す。超音波振動を与え続けたゲルカセット本体(1)において、充填、重合させた分離ゲルの界面が均一に形成されることを示した(図4b)-1参照)。一方、ゲル溶液充填後に超音波振動を与えずに静置させたゲルカセット本体(1)では、分離ゲル上端部界面は、ゲルカセット材質の疎水性が影響したことも考えられるが、凹凸のひどい形状になった(図4b)-2参照)。
【0036】
このように、本発明によれば、ゲルカセット本体(1)の親水処理がなくとも、分離ゲルの界面を均一に形成することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明を用いれば、電気泳動ゲルの界面を水平に形成することが可能で、且つ、電気泳動ゲルの作成を容易に、再現よく行うことが可能になる。よって、再現のよい電気泳動像を得ることが可能になる。さらに、DNA、RNA、タンパク質等の生体高分子の研究をより発展させることによって、特に医学、生物学、化学分野の産業の発展に貢献し得る。
【符号の説明】
【0038】
1 電気泳動用ゲルカセット本体
1a 第1の電気泳動用ゲルカセット基材
1b 第2の電気泳動用ゲルカセット基材
1c スペーサー
2 端面封止テープ
3 第1のゲル
4 超音波による振動
5 第1のゲルの上端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルを収容するゲルカセット本体に電気泳動用ゲルを充填して製造する電気泳動用ゲルカセット製造方法であって、
上記電気泳動用ゲルとして、第1のゲルと、第1のゲルよりも比重が低い第2のゲルとを有して、
上記ゲルカセット本体に上記第1のゲルを充填する第1工程と、第1工程の後に上記ゲルカセット本体に上記第2のゲルを充填する第2工程とを備え、
第1工程中、若しくは第1工程と第2工程の間において、上記ゲルカセット本体に対し超音波による振動を連続的若しくは断続的に与えることで、充填した第1のゲルのゲル界面を水平若しくは水平に近づける処理を含むことを特徴とする電気泳動用ゲルカセット製造方法。
【請求項2】
上記超音波による振動は、ゲルカセット本体の表面、側端面、下端面ならびに上記ゲルカセットに充填した第1のゲル溶液界面における少なくとも一つの場所に与えることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動用ゲルカセット製造方法。
【請求項3】
ゲルを収容するゲルカセット本体に電気泳動用ゲルを構成する第1ゲルを充填した後に、電気泳動用ゲルを構成し且つ第1ゲルよりも比重が低い第2のゲルを上記ゲルカセット本体に充填し、上記第2のゲルを充填する前に、上記ゲルカセット本体に超音波の振動を与えることで上記充填した第1ゲルの界面を水平に形成することを特徴とする電気泳動用ゲルの充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−80930(P2011−80930A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234932(P2009−234932)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)