説明

電気泳動用器具および電気泳動装置

【課題】2次元電気泳動法において、得られるデータの解像度、再現性および定量性を充分に高くできる電気泳動用器具を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動用器具100aは、試料を分離する層状の試料分離媒体111が保持される試料分離部110aと、前記試料を含有する試料含有媒体121を試料分離部110aに搬送する試料搬送部120aとを具備し、試料分離部110aおよび/または試料搬送部120aが、試料搬送部120aを試料分離部110aの所定の位置に接続するための位置決め手段を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動用器具およびそれを備える電気泳動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポストゲノムではプロテオーム研究が盛んに行われ、特に構造と機能を対象としたタンパク質の大規模な解析が行われている。ここで、「プロテオーム」とは、特定の細胞、器官、臓器の中で翻訳生産されているタンパク質全体を意味している。
タンパク質を大規模解析する手法として、タンパク質の2次元電気泳動法が広く利用されている。全てのタンパク質は、各々が固有の電荷および分子量を有しているために、生体中に存在するタンパク質混合液を分子量または電荷で分離することで各種タンパク質に分離することが可能である。特に、同じ種類で殆ど同じ分子量のタンパク質であっても翻訳後修飾によって電荷が異なるタンパク質種が存在するため、電荷で分離することは有用である。また、2次元電気泳動法によれば、より多くのタンパク質を高分解能にて分離できるという利点も有している。さらに、2次元電気泳動は、用いる試料を変性剤存在下または非存在下にて行うことも可能であり、数百種類〜数千種類のタンパク質を一度に分離可能である。
【0003】
2次元電気泳動は、タンパク質を電荷に基づいて分離する等電点電気泳動、分子量に基づいて分離するスラブゲル電気泳動(特に、ドデシル硫酸ナトリウム存在下、ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動(以下、「SDS−PAGE」という。))の2つの電気泳動ステップからなる。
具体的に、2次元電気泳動では、タンパク質試料を1次元目ゲルに導入し、等電点電気泳動を行った後、1次元目ゲルを取り出して2次元目ゲルに接続し、分子量に基づいた2次元目の電気泳動による分離を行う。通常、等電点電気泳動を行う1次元目ゲルは、細長くて薄い形状になっている。そのため、ゲルの表裏、pH勾配の方向の識別が困難であるだけでなく、反りや捩れが発生しやすく、2次元目ゲルに接続する際に1次元目ゲルと2次元目ゲルとの隙間を小さくすることが困難であった。1次元目ゲルと2次元目ゲルとの隙間が大きくなると、電気泳動結果の解像度の低下を引き起こすばかりでなく、再現性が低下する傾向にある。さらに、1次元目ゲルの取り扱い性も低く、1次元目ゲルを2次元目ゲルまで移動して接続する際の位置精度を向上させることが困難であった。
上記のように、2次元電気泳動は優れた手法である一方で、工程が煩雑であり、再現性よく定量的なデータを取得することは困難であった。そのため、再現性および定量性は作業者の熟練度に依存していた。特に、2次元目の分離にSDS−PAGEを用いる場合では、1次元目の電気泳動終了後、1次元目ゲル中のタンパク質を2次元目に展開するために、平衡化(SDS化および還元)処理(薬液処理)、アルキル化処理を施す必要がある。1次元目ゲルにこのような処理を施す必要がある点も、作業者によるばらつきを生む原因となっていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、1次元目ゲルと2次元目ゲルとの接触性を高めるために、1次元目ゲルと2次元目ゲルとの隙間をアガロースで固定する方法が提案されている。
また、特許文献2,3には、細長い上に薄い1次元目ゲルの反りや捩れを防止するために、1次元目ゲルを支持体に固定し、2次元目ゲルに接続する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−53745号公報
【特許文献2】実開昭62−115161号公報
【特許文献3】特開2007−64848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の各方法によっても、2次元電気泳動法において、得られるデータの解像度、再現性および定量性が高いとは言えなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、2次元電気泳動法において、得られるデータの解像度、再現性および定量性を充分に高くできる電気泳動用器具および電気泳動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、電気泳動のシミュレートによって、2次元電気泳動法のデータの解像度、再現性および定量性を向上させるためには、ゲルの水平方向および鉛直方向の接続位置が重要であることを見出した。
以下、具体的なシミュレート結果について説明する。
【0008】
[計算例1]
試料分離媒体111における試料含有媒体121の好適な接続位置を検討するために、図42に示す電気泳動装置100をモデルとして、計算機上において試料の電気泳動をシミュレーションした。なお、図42(a)は、電気泳動用器具100の概略構成の断面図であり、図42(b)は、電気泳動用器具100の要部拡大断面上面図である。
図42に示すように、電気泳動用器具100においては、陰電極201と陽電極202との間に、試料分離部110における厚さ2mmの載置部112および保護部113によって挟まれた厚さ1mmの試料分離媒体111が配置されている。保護部113は陰電極201側が短くなっており、試料分離媒体111が陰電極201側において10mmに露出している。その露出した接続部111aに、試料搬送部120の支持部122によって支持された厚さ0.4mm、幅1.2mmの試料含有媒体121を押し付けて接続する。
ここで、接続した際の、保護部113の端部から試料含有媒体121までの距離をX、保護部113の下面から試料分離媒体111の上面までの距離をZとする。
なお、シミュレーションに際しては、試料含有媒体121および試料分離媒体111の誘電率は水と同じとした。試料(荷電粒子)としては、リゾチームをモデル化したものを用いた。モデル化したリゾチームの移動度は、リゾチームのSDS−PAGEの実測値から推定した。モデル化リゾチームは、試料含有媒体121の各頂点および各辺の中点の計8箇所からゲル内部に0.02mm入った位置から、試料分離媒体111に移動するものとした。
【0009】
図43は、Zを0mmとし、Xを0〜3mmの範囲で変化させたときのモデル化リゾチームの移動軌跡のシミュレーション結果を示す図である。なお、図43の各図左側は、試料含有媒体121が接続される側であり、陰極側である(図44〜46も同様である。)。
Xが0mmの場合には、#1に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111内を移動し、試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散しなかった。なお、図43における試料含有媒体121の上辺の中央および右部から出たモデル化リゾチームは、保護部113の下面に衝突した。
Xが0.5mm、0.75mm、1mm、1.5mm、または2mmの場合には、それぞれ#2、#3、#4、#5、または#6に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散した。なお、モデル化リゾチームの保護部113の下面への衝突は無かった。
Xが3mmの場合には、#7に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散し、また、保護部113の下面に衝突した。
以上のように、Zが0mmの場合には、試料含有媒体121から出た全てのモデル化リゾチームが試料分離媒体111内を移動したのは、Xが0mmの場合のみであった。
【0010】
図44は、Zを0.3mmとし、Xを0〜3mmの範囲で変化させたときのモデル化リゾチームの移動軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
Xが0mm、0.5mm、または0.75mmの場合には、#8、#9、または#10に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散せず、また、モデル化リゾチームの保護部113の下面への衝突は無かった。
Xが1mm、1.5mm、または2mmの場合には、#11、#12、または#13に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散した。なお、モデル化リゾチームの保護部113の下面への衝突は無かった。
Xが3mmの場合には、#14に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散し、また、保護部113の下面に衝突した。
以上のように、Zが0.3mmの場合には、試料含有媒体121から出た全てのモデル化リゾチームが試料分離媒体111内を移動したのは、Xが0.75mm以下の場合であった。
【0011】
図45は、Zを0.6mmとし、Xを0〜3mmの範囲で変化させたときのモデル化リゾチームの移動軌跡のシミュレーション結果を示す図である。
Xが0mmの場合には、#15に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111内を移動し、試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散しなかった。なお、図45における試料含有媒体121の下辺左部から出たモデル化リゾチームは、保護部113の下面に衝突した。
Xが0.5mm、0.75mm、1mm、または1.5mmの場合には、#16、#17、#18、または#19に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111内を移動し、試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散しなかった。なお、図45における試料含有媒体121の下辺から出た3個のモデル化リゾチームは、載置部112の上面に衝突した。
Xが2mmの場合には、#20に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散した。また、図45における試料含有媒体121の下辺から出た3個のモデル化リゾチームは、載置部112の上面に衝突した。
Xが3mmの場合には、#21に示すように、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散した。また、図45における試料含有媒体121の上辺の中央から出たモデル化リゾチームは保護部113の下面に、試料含有媒体121の下辺から出た3個のモデル化リゾチームは載置部112の上面に衝突した。
以上のように、Zが0.6mmの場合には、試料含有媒体121から出た全てのモデル化リゾチームが試料分離媒体111内を移動したのは、Xが1.5mm以下の場合であった。
【0012】
上記の結果を表1にまとめて示す。上記のシミュレーション等の結果より、下記式(1)を満たす場合に良好に電気泳動が行われることが判明した。
Z ≧ 0.4 × X ・・・ (1)
【0013】
【表1】

【0014】
[計算例2]
計算例1におけるシミュレーションに対する試料分離媒体111の厚さの影響を検討するために、計算例1において用いたモデルにおいて試料分離媒体111の厚さを変化させてモデル化リゾチームの移動軌跡のシミュレーションを行った。
図46は、Xを1mmとし、Zを0.6mmとし、試料分離媒体111の厚さを1〜9mmの範囲で変化させたときのモデル化リゾチームの移動軌跡のシミュレーション結果を示す図である。#31〜#34は、試料分離媒体111の厚さをそれぞれ1mm、3mm、6mm、または9mmとした場合の結果を示す。
#31〜#34に示すように、試料分離媒体111はどのような厚さであっても、モデル化リゾチームは試料分離媒体111の外側の緩衝液に拡散しなかった。#31では、図46における試料含有媒体121下辺から出た3個のモデル化リゾチームが載置部112の上面に衝突したが、#32〜#34では、試料含有媒体121が厚いため、モデル化リゾチームの載置部112の上面および保護部113の下面への衝突は無かった。
なお、試料分離媒体111が厚い#32〜#34では、#31に比べ、試料含有媒体121から出た直後のモデル化リゾチームの下方向への軌道のふくらみが大きかったが、これは試料含有媒体121の厚さの違いによるものではないと考えられる。すなわち、試料含有媒体121の付近では、電気力線が支持部122に遮られ下方にゆがむ。#41では、試料含有媒体121の直下に載置部112が存在するため、電気力線の下方へのゆがみが抑えられる。しかし、#32〜#34では試料含有媒体121が厚いため、電気力線の下方向へのゆがみは抑制されず、その結果、モデル化リゾチームの軌道が試料含有媒体121から出た直後に下方向にゆがむと考えられる。
以上のことから、モデル化リゾチームの電気泳動の軌跡は、試料分離媒体111の厚さによって変わらないと考えられる。
【0015】
[試験例1]
上記結果を検証するための試験を行った。図43に示す電気泳動用器具100を用い、式(1)におけるXおよびZのパラメータを変化させて実際に電気泳動を行い、電気泳動により分離した試料を蛍光により検出した。試料含有媒体としては、IPGゲルにマウス肝臓可溶性タンパク質を一次元電気泳動したものを用いた。
図47は、Zを0.3mmとし、Xを0〜2mmの範囲で変化させたときの、電気泳動後に得られた蛍光スポットを示す図である。図47に示すように、Xが増加するにつれて全体のタンパク質強度が減少する傾向が見られた。また、XおよびZが上記式(1)を満たす場合、すなわち、Xが0mm、または0.5mmである場合、#8、または#9にそれぞれ示すように、スポットの縦方向の伸びは見られず、Xが1mmである場合、#11に示すように、僅かにスポットの伸びが見られた。
一方、XおよびZが上記式(1)を満たさない場合、すなわち、Xが1.5mmまたは2mmである場合、#12または#13にそれぞれ示すように、スポットに引きずりが見られた。
【0016】
[試験例2]
また、Xが、保護部113の端部から試料分離媒体111の端部までの範囲内にある場合と、試料分離媒体111の端部を超え、試料含有媒体121が試料分離媒体の端面に接する場合とで、比較実験を行った。この実験においても、電気泳動器具100を使用し、サンプル含有媒体としては、IPGゲルにマウス肝臓可溶性タンパク質を一次元電気泳動したものを用いた。
試料含有媒体121を接続部111aに鉛直方向に押圧して接続し、保護部113の端部から試料分離媒体111の端部までの範囲内として、2次元目の電気泳動を行った場合には、図48(a)に示すように、解像度が優れていた。
一方、試料含有媒体121の側面を、試料分離媒体111の端面に水平方向に押圧して接続した場合には、図48(b)に示すように、解像度が低かった。
【0017】
上記のように、本発明者らは、上記式(1)を満たすと高い解像度が得られることを見出し、その知見に基づき、上記式(1)を容易に満足させるために、試料含有媒体を位置決めする具体的手段について検討した。その結果、以下の電気泳動用器具および電気泳動装置を発明した。
【0018】
[1] 試料を分離する層状の試料分離媒体が保持される試料分離部と、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部に搬送する試料搬送部とを具備し、
前記試料分離部および/または前記試料搬送部が、前記試料搬送部を該試料分離部の所定の位置に接続するための位置決め手段を備えていることを特徴とする電気泳動用器具。
[2] 試料を分離する層状の試料分離媒体が載置された載置部、および前記試料分離媒体上に配置された保護部を有し、前記保護部は、試料分離媒体の一部が露出するように設けられた試料分離部と、
試料を含有する試料含有媒体が接着される支持部を有し、前記試料含有媒体を試料分離部に搬送する試料搬送部とを具備し、
前記試料分離部および/または前記試料搬送部が、前記試料分離媒体の露出している部分の所定の位置に前記試料含有媒体を接続するための位置決め手段を備えていることを特徴とする電気泳動用器具。
[3] 位置決め手段が、試料分離媒体の露出している部分に形成され、試料含有媒体を嵌合可能な溝であることを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[4] 位置決め手段が、試料搬送部に設けられた嵌合凸部と、試料分離部の保護部に設けられ、前記嵌合凸部を嵌合可能な嵌合凹部とから構成されていることを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[5] 位置決め手段が、試料分離部に設けられた嵌合凸部と、試料搬送部に設けられ、前記嵌合凸部を嵌合可能な嵌合凹部とから構成されていることを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[6] 位置決め手段が、試料分離部の保護部の一部であり、試料搬送部の支持部の底面が当接する移動規制部であることを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[7] 位置決め手段が、試料分離部に設けられ、試料搬送部の支持部の底面が当接する移動規制部であることを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[8] 前記移動規制部に、試料搬送部の一部を挿入する溝が形成されたガイド部が設けられていることを特徴とする[7]に記載の電気泳動用器具。
[9] 位置決め手段が、試料分離部に備えられ、前記試料分離媒体の表面に対して垂直方向に溝が形成されたガイド部と、試料搬送部に備えられ、前記溝に挿入される凸部とから構成され、ガイド部の溝は、前記凸部が当接して試料搬送部の移動を規制する終端を有することを特徴とする[2]に記載の電気泳動用器具。
[10] 保護部に、試料含有媒体を挿入可能な開口部が形成されていることを特徴とする[2]〜[9]のいずれかに記載の電気泳動用器具。
[11] 該試料含有媒体は試料の一次元電気泳動を行ったものであり、該試料分離媒体は該試料の2次元目の分離を行うものであることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の電気泳動用器具。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の電気泳動用器具と、該電気泳動用器具の試料分離媒体に電位を面方向に沿って生じさせる一対の電極とを備えることを特徴とする電気泳動装置。
[13] 試料含有媒体は、試料分離媒体よりも弾性率が高いことを特徴とする[12]に記載の電気泳動装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気泳動用器具では、試料を分離する試料分離媒体に対して、試料を含有する試料含有媒体を所定の位置に正確にかつ簡便に接続できるため、2次元電気泳動法において、得られるデータの解像度、再現性および定量性を充分に高くできる。
本発明の電気泳動装置によれば、得られるデータの解像度、再現性および定量性を充分に高くできる
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の電気泳動用器具を構成する接続部およびその近傍を、第2側壁部と平行に切断した際の拡大断面図である。
【図3】第1実施形態の電気泳動用器具を構成する試料分離部を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の電気泳動用器具を構成する試料分離部を示す上面図である。
【図5】第1実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図6】第1実施形態の電気泳動用器具において試料含有媒体に被覆部が取り付けられた形態を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す上面図である。
【図8】図7のI−I’断面図である。
【図9】図7のII−II’断面図である。
【図10】第2実施形態の電気泳動用器具において試料分離媒体を形成する際の形態を示す拡大断面図である。
【図11】第2実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図12】第2実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第1側壁部と平行に切断した際の図である。
【図13】第2実施形態の電気泳動用器具の変形例を示す拡大断面図である。
【図14】第2実施形態の電気泳動用器具の変形例を示す拡大断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る電気泳動用器具の接続部およびその近傍を、第1側壁部と平行に切断した際の拡大断面図である。
【図16】第3実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図17】第3実施形態の電気泳動用器具の変形例を示す拡大断面図である。
【図18】第3実施形態の電気泳動用器具の変形例を示す拡大断面図である。
【図19】第3実施形態の電気泳動用器具の変形例を示す拡大断面図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す上面図である。
【図21】図20のIII−III’断面図である。
【図22】図20のIV−IV’断面図である。
【図23】第4実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図24】第4実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第1側壁部と平行に切断した際の図である。
【図25】本発明の第5実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す上面図である。
【図26】図25のV−V’断面図である。
【図27】図25のVI−VI’断面図である。
【図28】第5実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図29】第5実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第1側壁部と平行に切断した際の図である。
【図30】本発明の第6実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す上面図である。
【図31】図30のVII−VII’断面図である。
【図32】図30のVIII−VIII’断面図である。
【図33】第6実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図34】第6実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第1側壁部と平行に切断した際の図である。
【図35】本発明の第7実施形態に係る電気泳動用器具の概略構成を示す上面図である。
【図36】図35のIX−IX’断面図である。
【図37】図35のX−X’断面図である。
【図38】第7実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第2側壁部と平行に切断した際の図である。
【図39】第7実施形態の電気泳動用器具において試料搬送部を試料分離部に接続した状態を示す拡大断面図であって、第1側壁部と平行に切断した際の図である。
【図40】第7実施形態の電気泳動用器具を構成する試料搬送部の変形例を示す拡大断面図である。
【図41】第7実施形態の電気泳動用器具を構成する試料搬送部の変形例を示す拡大断面図である。
【図42】本発明の電気泳動装置の一例を示す断面図である。
【図43】計算例1におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図44】計算例1におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図45】計算例1におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図46】計算例2におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図47】試験例1における電気泳動結果を示す図である。
【図48】試験例2における電気泳動結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<電気泳動用器具>
(第1実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第1実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の電気泳動用器具100aの概略構成の断面図を示し、図2に、その一部の拡大断面図を示す。
本実施形態の電気泳動用器具100aは、2次元電気泳動装置の2次元目の電気泳動に使用されるものであり、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110aと、前記試料を含有する試料含有媒体121を試料分離部110aに搬送する試料搬送部120aとを具備する。
【0022】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110aを図3,4に示す。図3は、本実施形態の電気泳動用器具100aの概略構成の斜視図であり、図4は、本実施形態の電気泳動用器具100aの概略構成の上面図である。
本実施形態における試料分離部110aは、試料を分離する層状で矩形状の試料分離媒体111と、試料分離媒体111が載置された台状の載置部112と、試料分離媒体111の上に載置部112と平行に配置された保護部113と、載置部112が設けられた底部114と、底部114の周縁にて立設された側壁部(第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115d)とを有する。載置部112の上面、保護部113の上面および下面は水平面になっている。
また、保護部113の上面の第1側壁部115a側の端部近傍および第3側壁部115c側の端部近傍には、堰部(第1堰部113a,第2堰部113b)が立設されている。
【0023】
試料分離媒体111は、載置部112と保護部113とに挟持されて収納されている。ただし、保護部113は、第1側壁部115a側の試料分離媒体111の端部が露出するように載置部112よりも面積が小さくされている。試料分離媒体111の露出する部分は、試料搬送部120aの試料含有媒体121が接続される接続部111aになる。
接続部111aには、試料含有媒体121が接続され、試料搬送部120aの試料含有媒体121と嵌合可能な溝111b(位置決め手段)が、第1側壁部115aと平行に形成されている。この溝111bは、試料含有媒体121よりも僅かに小さい形状であることが好ましい。
【0024】
試料分離部110aにおいては、第1側壁部115a、第2側壁部115b、第1堰部113aおよび第4側壁部115dに囲まれた部分は、緩衝液が充填される槽(第1緩衝液槽116a)となる。また、第2堰部113b、第2側壁部115b、第3側壁部115cおよび第4側壁部115dに囲まれた部分は、緩衝液が充填される槽(第2緩衝液槽116b)となる。
【0025】
試料分離媒体111の材質としては、電気泳動の際に通常用いられる媒体であればよく、例えば、ポリアクリルアミド、アガロース、寒天、およびデンプンからなる群より選ばれるゲル化剤によりゲル化されたゲルを用いることができる。
【0026】
載置部112および保護部113の材質としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ガラス等の絶縁体が使用される。
載置部112と保護部113とはスペーサー(図示せず)を介して接着されて、試料分離媒体111を収納するための隙間が形成されている。スペーサーを介した載置部112と保護部113との接着は、接着剤の空気中への拡散を防止するという点で、超音波溶着が好ましいが、公知の接着剤を用いた接着であってもよい。
【0027】
[試料搬送部]
試料搬送部120aは、1次元目の電気泳動が終了した試料を含有する試料含有媒体121が底面に接着された支持部122を有する。
試料搬送部120aは、手または移動可能なアームにより支持部122が把持され、支持部122が動かされることによって、試料含有媒体121が接続部111aに搬送されるようになっている。
試料含有媒体121の材質としては、試料分離媒体111と同じものが使用され、支持部122の材質としては、載置部112および保護部113と同様のものが使用される。
ただし、試料含有媒体121は試料分離媒体111よりも弾性率が高いことが好ましい。試料含有媒体121は試料分離媒体111よりも弾性率が高いと、後述の使用方法において試料含有媒体121を試料分離媒体111に接続した際に、試料含有媒体121の形状を容易に保つことができる。そのため、2次元目の電気泳動による分析の精度がより高くなる。
試料分離媒体111および試料含有媒体121の弾性率の調整方法としては、例えば、試料分離媒体111および試料含有媒体121に用いるゲル化剤の種類を変える方法、試料分離媒体111および試料含有媒体121に用いるゲル化剤の含有量を変える方法が挙げられる。これらのうち、ゲル化剤の含有量が好ましく、具体的には、試料含有媒体121に含まれるゲル化剤の含有量を、試料分離媒体111に含まれるゲル化剤の含有量よりも多くすることが好ましい。
【0028】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100aは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が底面に接着された支持部122を有する試料搬送部120aを、接続部111aの上方に配置した後、図5に示すように、接続部111aの溝111bに試料含有媒体が接続されるように下降させる。本実施形態では、溝111bに試料含有媒体121を密着させることにより、水平方向(X方向、Y方向)および鉛直方向(Z方向)の全てについて試料含有媒体121を位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X(X:試料含有媒体121を試料分散媒体111に接続した際の、保護部113の端部から試料含有媒体121までの距離、Z:保護部113の下面から試料分離媒体111の上面までの距離)」を満たすことができる。
試料分離媒体111に試料含有媒体121を接続させた後、所定の方法で電気泳動を行う。電気泳動を行った後、へら等を用いて、載置部112から保護部113を取り外す。そして、載置部112上の試料分離媒体111を取り出し、別の分析に供する。
本実施形態の電気泳動用器具100aでは、上記のように、接続部111aに溝111bが形成されていることにより、試料搬送部120aの試料含有媒体121を正確に接続でき、また、接続の際に試料含有媒体121の変形を抑制できる。そのため、電気泳動において、得られるデータの解像度、再現性および定量性を充分に高くできる。
【0029】
なお、第1の実施形態において、溝111bは図2に示すものに限らない。例えば、試料分離媒体111の溝111bは、載置部112に達する深さの溝であってもよい。
試料分離媒体111の溝111bが、載置部112に達する深さの溝111bである場合、図6に示すように、載置部112にも、試料分離媒体111の溝111bに対応する溝112bが形成されていてもよい。載置部112に溝112bが形成されている場合には、試料含有媒体121をより正確に位置決めできることから、試料含有媒体121に、少なくとも試料含有媒体121の下面を覆うと共に載置部112の溝112bに嵌合可能な被覆部123が取り付けられていることが好ましい。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第2実施形態について説明する。
図7〜9に、本実施形態の電気泳動用器具を示す。図7は、電気泳動用器具の概略構成を示す上面図であり、図8は図7のI−I’断面図であり、図9は図7のII−II’断面図である。本実施形態の電気泳動用器具100bは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110bと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110bに搬送する試料搬送部120bとを具備する。
【0031】
[試料搬送部]
本実施形態における試料搬送部120bは、1次元目の電気泳動が終了した試料を含有する試料含有媒体121が底面に接着された第1支持部124と、第1支持部124の上に配置され、第1支持部124よりも幅広な第2支持部125とを有する。
【0032】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110bは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、試料分離媒体111に溝111bが形成され、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、本実施形態では、保護部113の第1側壁部115a側の端部と載置部112の第1側壁部115a側の端部とが重なっている。また、保護部113の第1側壁部115a側の端部近傍には、試料搬送部120bの第1支持部124の先端を挿入可能な開口部113cが形成されている。また、保護部113の開口部113cよりも第2側壁部115b側および第4側壁部115d側に凹部113dが形成されている。この凹部113dは、試料搬送部120bの第2支持部125の、第1支持部124より突出した部分である嵌合凸部125aを嵌合可能な嵌合凹部113dである。第2支持部125の嵌合凸部125aの下面および保護部113の嵌合凹部113dの底面は水平面になっている。
【0033】
開口部113cは、第1支持部124を挿入しやすくなり、第2側壁部115bおよび第4側壁部115dに沿った方向(X方向)の位置精度がより高くなることから、下に向かうに従って、X方向の開口幅が狭くなっていることが好ましい。または、段差状になっていることが好ましい。
また、開口部113cのX方向の開口幅は、通常、第1支持部124の厚さよりも大きくされている。開口部113cのX方向の開口幅が第1支持部124の厚さよりも大きくされている場合には、第1支持部124を、開口部113cの第1側壁部115a側または第3側壁部115c側の端部に当接させることにより、X方向の位置決めをより正確にできる。
【0034】
本実施形態において、試料分離媒体111を形成するためには、図10に示すように、載置部112と保護部113との間に試料分離媒体が存在しない状態にて、溝111bを形成するための溝形成用部材131を保護部113の上方から開口部113cに挿入して、載置部112と保護部113との間に配置する。これと共に、載置部112と保護部113との間の第1側壁部115a側の端部を、溝形成用部材131に取り付けられた蓋部132により密閉する。次いで、載置部112と保護部113との間の第3側壁部115c側の端部から、試料分離媒体111になる材料を充填し、載置部112と保護部113との間の第3側壁部115c側の端部をシール等によって封止する。これにより、試料分離媒体111を形成する。
また、載置部112と保護部113との間の第3側壁部115c側の端部をシール等によって封止した後、試料分離媒体を挿入し、最後に蓋部132で密閉して、試料分離媒体111を形成してもよい。
【0035】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100bは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が底面に接着された第1支持部124を有する試料搬送部120bを、保護部113の開口部113cの上方に配置した後、試料含有媒体121および第1支持部124が開口部113cを挿入するように下降させて、試料分離媒体111に試料含有媒体121を接触させる。そして、図11,12に示すように、嵌合凸部125aと嵌合凹部113dとを嵌め合わせて、試料搬送部120bを固定する。
本実施形態では、嵌合凸部125aと嵌合凹部113dとを嵌め合わせることにより、X方向、第1側壁部115aおよび第3側壁部115cに沿った方向(Y方向)および鉛直方向(Z方向)の全てについて試料含有媒体121を位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0036】
なお、第2の実施形態において、嵌合凸部125aおよび嵌合凹部113dは、図8,9に示すものに限らない。図13,14に嵌合凸部および嵌合凹部の変形例を示す。
図13に示す嵌合凸部125bは、下に凸の楔形のものであり、嵌合凹部113eは、嵌合凸部125bを嵌合可能なV字型の谷型形状のものである。
図14に示す嵌合凸部125cは、下に凸の曲面の先端を有する形状のものであり、嵌合凹部113fは、嵌合凸部125cを嵌合可能な曲面状の底面を有する谷型形状のものである。
また、第2の実施形態において、試料分散媒体111に溝111bが形成されていなくてもよい。ただし、溝111bが形成されていれば、試料含有媒体121の変形を防止できるため、接続位置をより正確にできる。
【0037】
(第3実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第3実施形態について説明する。
図15に、本実施形態の電気泳動用器具の一部拡大断面図を示す。本実施形態の電気泳動用器具100cは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110cと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110cに搬送する試料搬送部120cとを具備する。
【0038】
[試料搬送部]
本実施形態における試料搬送部120cは、第2実施形態で使用される試料搬送部120bと同様に、1次元目の電気泳動が終了した試料を含有する試料含有媒体121が底面に接着された第1支持部124と、第1支持部124の上に配置され、第1支持部124よりも幅広な第2支持部125とを有する。
【0039】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110cは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、本実施形態では、第2実施形態における試料分離部110bと同様に、保護部113の第1側壁部115a側の端部と載置部112の第1側壁部115a側の端部とが重なっている。また、保護部113の第1側壁部115a側の端部近傍には、試料搬送部120cの第1支持部124の先端を挿入可能な開口部113cが形成されている。
また、保護部113の開口部113cよりも第2側壁部115b側および第4側壁部115d側には、上に凸の楔形の嵌合凸部113gが形成されている。試料搬送部120cの第2支持部125の、第1支持部124より突出した部分には、保護部113の嵌合凸部113gを嵌合可能な上に向けて狭くなるV字状の底面を有する嵌合凹部125dが形成されている。
なお、第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様に、試料分散媒体111に溝111bが形成されていてもよいし、溝111bが形成されていなくてもよい。
【0040】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100cは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が下面に接着された第1支持部124を有する試料搬送部120cを、保護部113の開口部113cの上方に配置した後、試料含有媒体121および第1支持部124が開口部113cを挿入するように下降させて、試料分離媒体111に試料含有媒体121を接触させる。そして、図16に示すように、嵌合凸部113gと嵌合凹部125dとを嵌め合わせて、試料搬送部120cを固定する。
本実施形態では、嵌合凸部113gと嵌合凹部125dとを嵌め合わせることにより、X方向、Y方向およびZ方向の全てについて試料含有媒体121を位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0041】
なお、第3の実施形態において、嵌合凸部113gおよび嵌合凹部125dは、図15に示すものに限らない。図17〜19に嵌合凸部および嵌合凹部の変形例を示す。
図17に示す嵌合凸部113hは、保護部113にて、頂部が一方向に沿った楔形の凸部が複数形成されものであり、嵌合凹部125eは、第2支持部125に形成され、嵌合凸部113hを嵌合可能な凹凸の底面を有するものである。
図18に示す嵌合凸部113iは、保護部113に形成され、上面が矩形状の台状の凸部であり、嵌合凹部125fは、第2支持部125に形成され、嵌合凸部113iを嵌合可能な矩形状の凹部である。
図19に示す嵌合凸部113jは、保護部113に形成され、上に凸の曲面の先端を有する凸部であり、嵌合凹部125gは、第2支持部125に形成され、嵌合凸部113jを嵌合可能な曲面の底面を有する凹部である。
【0042】
(第4実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第4実施形態について説明する。
図20〜22に、本実施形態の電気泳動用器具を示す。本実施形態の電気泳動用器具100dは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110dと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110dに搬送する試料搬送部120dとを具備する。
本実施形態における試料搬送部120dは、第2実施形態で使用される試料搬送部120bと同様である。
【0043】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110dは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、本実施形態では、保護部113の第1側壁部115a側の端部と載置部112の第1側壁部115a側の端部とが重なっている。また、保護部113の第1側壁部115a側の端部近傍には、試料搬送部120dの第1支持部124の先端を挿入可能な開口部113cが形成されている。
本実施形態では、試料分離部110dの保護部113の、開口部113cよりも第2側壁部115b側および第4側壁部115d側の部分が、試料搬送部120dの第2支持部125の底面125hが当接する移動規制部113k(位置決め手段)になっている。
なお、第4の実施形態においても、試料分散媒体111に溝111bが形成されていてもよいし、溝111bが形成されていなくてもよい。
【0044】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100dは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が下面に接着された第1支持部124を有する試料搬送部120cを、保護部113の開口部113cの上方に配置する。その後、試料含有媒体121および第1支持部124が開口部113cを挿入すると共に第1支持部124が開口部113cの第3側壁部111c側の側面に接触するように下降させて、試料分離媒体111に試料含有媒体121を接触させる。そして、図23,24に示すように、試料搬送部120dの第2支持部125の底面125hが移動規制部113kに当接するまで、試料搬送部120cを下降させる。
本実施形態では、試料搬送部120dの第2支持部125の底面125hを移動規制部113kに当接させることにより、Z方向について試料含有媒体121を位置決めできる。また、開口部113cに第1支持部124を挿入することよってX方向、Y方向について試料含有媒体121を位置決めできる。特にX方向については、第1支持部124を開口部113cの第3側壁部111c側の側面に接触させることで、より正確に位置決めで切る。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0045】
(第5実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第5実施形態について説明する。
図25〜27に、本実施形態の電気泳動用器具を示す。本実施形態の電気泳動用器具100eは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110eと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110eに搬送する試料搬送部120eとを具備する。
本実施形態における試料搬送部120eは、第1実施形態で使用される試料搬送部120aと同様である。
【0046】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110eは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、載置部112の、試料分離媒体111の接続部111aの下方の部分であって、第2側壁部115b側および第4側壁部115d側に、上面112dが水平面にされて試料搬送部120eの支持部122の底面122hが当接する移動規制部112a(位置決め手段)が設けられている。
なお、第5の実施形態においても、試料分散媒体111に溝111bが形成されていてもよいし、溝111bが形成されていなくてもよい。
【0047】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100eは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が下面に接着された支持部122を有する試料搬送部120eを、保護部113の開口部113cの上方に配置する。その後、試料含有媒体121および支持部122が開口部113cを挿入すると共に支持部122が保護部113の第1側壁部111a側の端面に接触するように下降させて、試料分離媒体111に試料含有媒体121を接触させる。そして、図28,29に示すように、試料搬送部120eの支持部122の底面122hが移動規制部112aに当接するまで、試料搬送部120eを下降させる。
本実施形態では、試料搬送部120eの支持部122の底面122hを移動規制部112aに当接させることにより、Z方向について試料含有媒体121を位置決めできる。また、X方向については、支持部122を保護部113の端面に接触させることにより、正確に位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0048】
(第6実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第6実施形態について説明する。
図30〜32に、本実施形態の電気泳動用器具を示す。本実施形態の電気泳動用器具100fは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110fと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110fに搬送する試料搬送部120fとを具備する。
本実施形態における試料搬送部120fは、第1実施形態で使用される試料搬送部120aと同様である。
【0049】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110fは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、本実施形態では、第2側壁部115bおよび第4側壁部115dの、試料分離媒体111の接続部111aに対応する部分に、上面117aが水平面にされて試料搬送部120fの支持部122の底面122hが当接する移動規制部117(位置決め手段)が各々設けられている。また、各移動規制部117に、支持部122の長さ方向の端部を挿入する溝117cが形成されたガイド部117bが設けられている。
なお、第6の実施形態においても、試料分散媒体111に溝111bが形成されていてもよいし、溝111bが形成されていなくてもよい。
【0050】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100fは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が下面に接着された支持部122を有する試料搬送部120eを接続部111上に配置し、図33,34に示すように、支持部122の長さ方向の端部を、ガイド部117bの溝117cに挿入し、試料搬送部120fの支持部122の底面122hが移動規制部117の上面117aに当接するまで下降させる。
本実施形態では、試料搬送部120fの支持部122の底面122hに移動規制部117を当接させることにより、Z方向について試料含有媒体121を位置決めできる。また、支持部122の長さ方向の端部をガイド部117bの溝117cに挿入することによって、X方向、Y方向について試料含有媒体121を位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0051】
(第7実施形態)
本発明の電気泳動用器具の第7実施形態について説明する。
図35〜37に、本実施形態の電気泳動用器具を示す。本実施形態の電気泳動用器具100gは、1次元目の電気泳動が終了した試料を分離する試料分離部110gと、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部110dに搬送する試料搬送部120gとを具備する。
【0052】
[試料搬送部]
本実施形態における試料搬送部120gは、1次元目の電気泳動が終了した試料を含有する試料含有媒体121が下面に接着された支持部122と、支持部122の第3側壁部115c側の面に設けられた2つの凸部126a,126aとを有する。
【0053】
[試料分離部]
本実施形態における試料分離部110gは、第1実施形態における試料分離部110aと同様に、試料分離媒体111と載置部112と保護部113と底部114と第1側壁部115a,第2側壁部115b,第3側壁部115c,第4側壁部115dとを有する。また、保護部113の上面に第1堰部113a,第2堰部113bが立設されている。
ただし、本実施形態では、試料分離部110の第1堰部113aの第1側壁部115a側に試料搬送部120gの凸部126aが挿入される溝113mが形成されている。ここで、溝113mは、試料分離媒体111の表面に対して垂直方向に形成され、また、凸部126aが当接して試料搬送部120gの移動を規制する終端113nを有している。このように溝113mが形成された第1堰部113aは試料搬送部120gのガイド部(位置決め手段)になっている。
なお、第7の実施形態においても、試料分散媒体111に溝111bが形成されていてもよいし、溝111bが形成されていなくてもよい。
【0054】
[使用方法]
本実施形態の電気泳動用器具100gは以下のように使用される。
すなわち、試料含有媒体121が下面に接着された支持部122を有する試料搬送部120gを、保護部113の開口部113cの上方に配置すると共に、図38,39に示すように、支持部122に形成された凸部126aと第1堰部113aに形成された溝113mとを嵌め合わせる。次いで、凸部126aを溝113mに沿って移動させながら試料搬送部120gを下降させ、溝113mの終端113nに凸部126aを当接させて、試料搬送部120gの下降を停止させる。
本実施形態では、凸部126aを溝113mに挿入することによって、X方向、Y方向について試料含有媒体121を位置決めできる。また、凸部126aを溝113mの終端113nに当接させることにより、Z方向について試料含有媒体121を位置決めできる。したがって、試料分離媒体111の所定の位置に正確に試料含有媒体121を接続させることができる。よって、容易に「Z≧0.4×X」を満たすことができる。
【0055】
なお、第7実施形態において、凸部126aは、図36に示すものに限らない。図40,41に凸部の変形例を示す。
図40に示す凸部126bは、ドーム型で、直線上に配置されたものである。図41に示す凸部126cは、直方体で、直線上に配置されたものである。
また、第1堰部113aに設ける凸部126aの数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0056】
(他の実施形態)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態において、試料含有媒体は1次元目の電気泳動が終了した試料を含有するものであったが、電気泳動されておらず、試料を均一に含有するものであっても構わない。
また、保護部113においては、開口部113cよりも第1側壁部115a側の部分が存在していなくてもよい。
また、第2〜第4の実施形態例においては、保護部113の第1側壁部115a側の端部と載置部112の第1側壁部115a側の端部とが重なっていなくてもよく、例えば、保護部113の第1側壁部115a側の端部が載置部112の第1側壁部115a側の端部よりも第3側壁部115c側になっていてもよい。
【0057】
<電気泳動装置>
本発明の電気泳動装置は、図42に示す断面図のように、上記電気泳動用器具100と、電気泳動用器具100の試料分離媒体111に電位を面方向に沿って生じさせる一対の電極201,202とを備える。通常、電気泳動の上流側の電極を陰電極201とし、電気泳動の下流側の電極を陽電極202とする。陰電極201の位置は、試料分離媒体111の電気泳動の上流側の端面近傍であることが好ましく、陽電極202の位置は、試料分離媒体111の電気泳動の下流側の端面近傍であることが好ましい。さらに、陰電極201と陽電極202とは、試料分離媒体111を挟んで、直線上に配置されることが好ましい。
【0058】
本発明の電気泳動装置を用いた電気泳動方法としては、例えば、まず、第1緩衝液槽および第2緩衝液槽に緩衝液を充填し、次いで、試料含有媒体を支持部に接着した試料搬送部を接続部に向けて下降させる。そして、位置決め手段によって、試料搬送部を試料分離部の接続部の所定の位置に接続させ、電極間に電圧を印加して電気泳動を行う。
本発明の電気泳動装置を用いることにより、試料含有媒体を試料分離媒体の所定の位置に正確に接続できるため、上記電気泳動方法により得たデータは、解像度、再現性および定量性が充分に高かった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の電気泳動用器具および電気泳動装置は、例えば、生体分子分析、食品検査、診断等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0060】
100 電気泳動装置
100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g 電気泳動用器具
110,110a,110a,110b,110c,110d,110e,110f,110g 試料分離部
111 試料分離媒体
111a 接続部
111b 溝
112 載置部
112a 移動規制部
112b 溝
113 保護部
113a 第1堰部
113b 第2堰部
113c 開口部
113d,113e,113f 嵌合凹部
113g,113h,113i,113j 嵌合凸部
113k 移動規制部
113m 溝
113n 終端
114 底部
115a 第1側壁部
115b 第2側壁部
115c 第3側壁部
115d 第4側壁部
116a 第1緩衝液槽
116b 第2緩衝液槽
117 移動規制部
117b ガイド部
117c 溝
120,120a,120a,120b,120c,120d,120e,120f,120g 試料搬送部
121 試料含有媒体
122 支持部
122h 底面
123 被覆部
124 第1支持部
125 第2支持部
125a,125b,125c 嵌合凸部
125d,125e,125f,125g 嵌合凹部
125h 底面
126a,126b,126c 凸部
201 陰電極
202 陽電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を分離する層状の試料分離媒体が保持される試料分離部と、前記試料を含有する試料含有媒体を試料分離部に搬送する試料搬送部とを具備し、
前記試料分離部および/または前記試料搬送部が、前記試料搬送部を該試料分離部の所定の位置に接続するための位置決め手段を備えていることを特徴とする電気泳動用器具。
【請求項2】
試料を分離する層状の試料分離媒体が載置された載置部、および前記試料分離媒体上に配置された保護部を有し、前記保護部は、試料分離媒体の一部が露出するように設けられた試料分離部と、
試料を含有する試料含有媒体が接着される支持部を有し、前記試料含有媒体を試料分離部に搬送する試料搬送部とを具備し、
前記試料分離部および/または前記試料搬送部が、前記試料分離媒体の露出している部分の所定の位置に前記試料含有媒体を接続するための位置決め手段を備えていることを特徴とする電気泳動用器具。
【請求項3】
位置決め手段が、試料分離媒体の露出している部分に形成され、試料含有媒体を嵌合可能な溝であることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項4】
位置決め手段が、試料搬送部に設けられた嵌合凸部と、試料分離部の保護部に設けられ、前記嵌合凸部を嵌合可能な嵌合凹部とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項5】
位置決め手段が、試料分離部に設けられた嵌合凸部と、試料搬送部に設けられ、前記嵌合凸部を嵌合可能な嵌合凹部とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項6】
位置決め手段が、試料分離部の保護部の一部であり、試料搬送部の支持部の底面が当接する移動規制部であることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項7】
位置決め手段が、試料分離部に設けられ、試料搬送部の支持部の底面が当接する移動規制部であることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項8】
前記移動規制部に、試料搬送部の一部を挿入する溝が形成されたガイド部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の電気泳動用器具。
【請求項9】
位置決め手段が、試料分離部に備えられ、前記試料分離媒体の表面に対して垂直方向に溝が形成されたガイド部と、試料搬送部に備えられ、前記溝に挿入される凸部とから構成され、ガイド部の溝は、前記凸部が当接して試料搬送部の移動を規制する終端を有することを特徴とする請求項2に記載の電気泳動用器具。
【請求項10】
保護部に、試料含有媒体を挿入可能な開口部が形成されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の電気泳動用器具。
【請求項11】
該試料含有媒体は試料の一次元電気泳動を行ったものであり、該試料分離媒体は該試料の2次元目の分離を行うものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電気泳動用器具。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電気泳動用器具と、該電気泳動用器具の試料分離媒体に電位を面方向に沿って生じさせる一対の電極とを備えることを特徴とする電気泳動装置。
【請求項13】
試料含有媒体は、試料分離媒体よりも弾性率が高いことを特徴とする請求項12に記載の電気泳動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2011−133311(P2011−133311A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292323(P2009−292323)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)