電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器
【課題】表示を維持する際の消費電流を低減させることができる電気泳動表示装置の駆動方法及び電気泳動表示装置。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、表示を変化させる画素40に属する画素電極SEG0にハイレベル(H)とローレベル(L)とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない画素40に属する画素電極SEG1にハイレベルの電位を入力し、共通電極COMには、表示を変化させない画素40に属する画素電極SEG1と同電位(ハイレベル)を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、表示を変化させる画素40に属する画素電極SEG0にハイレベル(H)とローレベル(L)とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない画素40に属する画素電極SEG1にハイレベルの電位を入力し、共通電極COMには、表示を変化させない画素40に属する画素電極SEG1と同電位(ハイレベル)を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶液中に電気泳動粒子を分散させてなる分散液に電界を印加した際に、クーロン力によって電気泳動粒子が泳動する現象(電気泳動現象)が知られており、当該現象を利用した電気泳動表示装置が開発されている。このような電気泳動表示装置は、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−70791号公報
【特許文献2】特開2003−140199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気泳動表示装置は、共通電極と複数に分割された画素電極との間に電位差を生じさせることにより、表示色を所望の色に変化させることが可能となる。一方、特許文献1に開示されているように、共通電極と画素電極との間に電位差を生じさせないように画素電位をコントロールすることにより、まったく表示変化させず、それまで表示されていた色を保持する手法も提案されている。
【0005】
特許文献1記載の駆動方法では、共通電極に周期的にローレベルとハイレベルとを繰り返すパルスを入力する駆動方法(コモン振り駆動)を採用していた。そして、一部のセグメントのみの書き換えを行う場合には、表示を書き換える画素の画素電極に表示色に対応する定電位を入力し、表示を書き換えない画素の画素電極には共通電極と同調した同位相、同電位のパルスを入力していた。
【0006】
しかし、上記の駆動方法では、セグメント電極及び共通電極とともに、これらの電極と接続された配線の電位も周期的にローレベルとハイレベルとを繰り返すことになる。そのため、電極や配線を強制的に充放電させていることになり、表示を変化させないセグメントにおける消費電流が大きくなる。その結果、一部のセグメントのみを書き換えているにも関わらず消費電力が高くなるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、表示を維持する際の消費電流を低減させることができる電気泳動表示装置の駆動方法及び電気泳動表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
この駆動方法によれば、表示を変化させない画素の画素電極と共通電極とを同電位とするため、表示を変化させない画素はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、従来の駆動方法における消費電流の課題を解決し、省電力性に優れた電気泳動表示装置の駆動方法とすることができる。
【0010】
前記画像表示ステップが、前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動ステップを含むこともできる。
このような駆動方法とすれば、画像表示に際して、画素電極パルス駆動ステップと共通電極パルス駆動ステップとを、用途に応じて選択可能とすることができ、より効果的に消費電力を低減することが可能になる。
【0011】
表示を更新される前記画素の割合に基づいて前記画素電極パルス駆動ステップ又は前記共通電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
画素電極パルス駆動ステップでは、表示を更新しない画素の電力消費や表示品質では有利であるが、表示部のほとんどの画素を更新する場合には、共通電極をパルス駆動した方が消費電力が少なくなる。そこで、表示を更新される画素の割合に基づいて駆動モードを選択することとすれば、より効果的に消費電力を低減することができる。
【0012】
表示を更新される前記画素の割合が全ての前記画素に対して50%以下であるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
このような駆動方法とすれば、画素電極パルス駆動ステップをより効果的に使用して消費電力を低減することができる。
【0013】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、前記指示体の軌跡を表示させるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
すなわち、タッチパネル等の座標入力装置が設けられている場合に、指示体の軌跡を電気泳動表示装置に表示させるときに、画素電極パルス駆動ステップを用いることが好ましい。指示体の軌跡は典型的には細い線幅の線画であるため、軌跡を表示させる際には表示部のごく一部のみが更新されることになる。このような場合に、画素電極パルス駆動ステップを選択することで、効果的に消費電力を低減することが可能である。
【0014】
表示を更新される前記画素の割合が100%であるときにのみ、前記共通電極パルス駆動ステップが実行される駆動方法とすることもできる。
このような駆動方法とすれば、駆動モードの切り換えに係る制御を簡素化することができ、電気泳動表示装置を安価に提供可能となる。
【0015】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力端子と前記第1及び第2の制御線とに接続されたスイッチ回路と、が設けられており、前記画素電極パルス駆動ステップにおいて、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような駆動方法とすれば、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置においても、表示を更新しない画素の電力消費を抑えることができる。
【0016】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記共通電極パルス駆動ステップにおいて、前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような駆動方法とすれば、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置においても、表示を更新しない画素の電力消費を抑えることができる。
【0017】
本発明の電気泳動表示装置は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、前記制御部は、前記表示部に画像を表示させるに際して、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、表示を変化させない画素の画素電極と共通電極とを同電位とするため、表示を変化させない画素はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、従来の駆動方法における消費電流の課題を解決し、省電力性に優れた電気泳動表示装置を実現することができる。
【0019】
前記制御部は、前記表示部に画像を表示させるに際して、前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動動作を実行することが好ましい。
このような構成とすれば、画像表示に際して、画素電極パルス駆動動作と共通電極パルス駆動動作とを、用途に応じて選択可能とすることができ、より効果的に消費電力を低減することが可能になる。
【0020】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記制御部は、前記画素電極パルス駆動動作において、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような構成とすれば、表示を更新しない画素の電力消費が抑えられ、省電力性に優れたアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置を提供することができる。
【0021】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記制御部は、前記共通電極パルス駆動動作において、前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような構成とすれば、表示を更新しない画素の電力消費が抑えられ、省電力性に優れたアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置を提供することができる。
【0022】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、前記制御部は、前記画素電極パルス駆動動作によって前記表示部に前記指示体の軌跡を表示させることが好ましい。
すなわち、タッチパネル等の座標入力装置が設けられている場合に、指示体の軌跡を電気泳動表示装置に表示させるときに、画素電極パルス駆動動作を用いることが好ましい。指示体の軌跡は典型的には細い線幅の線画であるため、軌跡を表示させる際には表示部のごく一部のみが更新されることになる。このような場合に、画素電極パルス駆動動作を選択することで、効果的に消費電力を低減することができる。
【0023】
本発明の電子機器は、先に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、省電力性に優れた表示手段を具備した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図2】電気泳動表示装置の要部の断面構造を示す図。
【図3】電気泳動素子の動作説明図。
【図4】第1実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図。
【図5】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図6】第2実施形態に係る画素回路を示す図。
【図7】コントローラーの詳細を示すブロック図。
【図8】第2実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図。
【図9】図8に対応するフローチャート。
【図10】電子機器の一例を示す図。
【図11】電子機器の一例を示す図。
【図12】電子機器の一例を示す図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図。
【図14】本実施形態に係る記憶性表示体の構成を示す図。
【図15】本発明の他の実施形態に係る記憶性表示体の駆動を示すタイミングチャート。
【図16】本実施形態に係る記憶性表示体の駆動の様子を示す図。
【図17】本実施形態に係る記憶性表示体の駆動の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の電気泳動表示装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気泳動表示装置100の概略構成図である。図2(a)は、電気泳動表示装置100の断面構造とともに電気的構成を示した図である。
【0027】
電気泳動表示装置100は、複数の画素(セグメント)40が配置された表示部5と、コントローラー(制御部)63と、コントローラー63と接続された画素電極駆動回路60とを備えている。画素電極駆動回路60は、それぞれの画素40と画素電極配線61を介して接続されている。また、表示部5には、各々の画素40に共通の共通電極37(図2参照)が設けられている。なお、図1では共通電極37を便宜的に配線として表示している。
【0028】
電気泳動表示装置100は、コントローラー63から画素電極駆動回路60に画像データを転送し、かかる画像データに基づく電位を、個々の画素40に直接入力するセグメント駆動方式の電気泳動表示装置である。
【0029】
図2(a)に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5は、第1基板30と第2基板31との間に、電気泳動素子32を挟持した構成である。第1基板30の電気泳動素子32側に複数の画素電極(セグメント電極;第1電極)35が形成され、第2基板31の電気泳動素子32側には共通電極(第2電極)37が形成されている。電気泳動素子32は、電気泳動粒子を内部に封入した複数のマイクロカプセル20を平面的に配列した構成である。電気泳動表示装置100は、電気泳動素子32により形成された画像を共通電極37側に表示する。
【0030】
第1基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。
第2基板31は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、MgAg(マグネシウム銀)、ITO、IZO(登録商標;インジウム・亜鉛酸化物)などを用いて形成される透明電極である。
【0031】
各々の画素電極35には、画素電極配線61を介して画素電極駆動回路60が接続されている。画素電極駆動回路60には、各々の画素電極配線61に対応するスイッチング素子60sが設けられており、スイッチング素子60sの動作により画素電極35に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
一方、共通電極37には、共通電極配線62を介して共通電極駆動回路64が接続されている。共通電極駆動回路64には、共通電極配線62と接続されたスイッチング素子64sが設けられており、スイッチング素子64sの動作により共通電極37に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0032】
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ第2基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の剥離シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された第1基板30(画素電極35などが形成されている)に対して、剥離シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
【0033】
図2(b)は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば30〜50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図2に示したように共通電極37と画素電極35との間に挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0034】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0035】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0036】
図3は、電気泳動素子の動作説明図である。図3(a)は、画素40を白表示する場合、図3(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
図3(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図3(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
【0037】
[駆動方法]
次に、上記構成を備えた電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図4は、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図である。図4(a)及び図4(b)は、以下に説明する駆動方法における画素40の状態遷移を示す平面図(左側)及び断面図(右側)である。図4(c)は、画素電極及び共通電極に入力される電位を示すタイミングチャートである。
【0038】
本実施形態では、図4(a)に示す白表示された2つの画素40のうち、画素電極SEG0(画素電極35)が属する画素40のみを図4(b)に示すように黒表示に移行させる場合の駆動方法について説明する。
【0039】
図4(a)に示す白表示の画素40では、画素電極SEG0、SEG1側に黒色粒子26が引き寄せられ、共通電極37側に白色粒子27が引き寄せられている。かかる表示状態に移行させる駆動方法としては、後述する本発明の駆動方法を採用してもよく、従来公知の駆動方法を採用することもできる。例えば、2つの画素電極SEG0、SEG1にローレベル(例えば0V)の電位を入力し、共通電極COM(共通電極37)にローレベルの電位とハイレベル(例えば15V)の電位を周期的に繰り返すパルスを入力することで、2つの画素40をいずれも白表示状態とすることができる。
【0040】
次に、図4(a)に示す白表示状態から図4(b)に示す白表示と黒表示とが混在した状態とするには、図4(c)に示すように、共通電極COMにローレベル(例えば0V)の電位を入力する。また、画素電極SEG0に、ローレベル(例えば0V)とハイレベル(例えば15V)を周期的に繰り返す矩形波状のパルスを入力し、画素電極SEG1にローレベルの電位を入力する。
【0041】
これにより、画素電極SEG0がハイレベルである期間に、画素電極SEG0と共通電極COMとの電位差により電気泳動素子32が駆動される。そして、図4(b)に示すように、画素電極SEG0が属する画素40が黒表示される。
一方、画素電極SEG1が属する画素40では、画素電極SEG1と共通電極COMとがいずれもローレベルであるため、表示は変化しない。
【0042】
以上に説明した本実施形態の駆動方法では、表示部5を構成する画素40のうち、表示を更新する画素40に属する画素電極35にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力し、表示を変化させない画素40に属する画素電極35と共通電極37には、同一の定電位を入力する。
このように本実施形態の駆動方法では、表示を変化させない画素40の画素電極35と共通電極37とを同一の定電位とするため、表示を変化させない画素40はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、特許文献1記載の駆動方法における消費電流の課題を解決することができる。
【0043】
また、表示を変化させる画素40では、画素電極35に周期的なパルスを入力するため、共通電極37に周期的なパルスを入力して駆動した場合(コモン振り駆動)と同様の動作で画像が表示され、コモン振り駆動と同等の品質の表示が得られる。
【0044】
(第2の実施形態)
先の第1実施形態では、セグメント方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用した場合について説明した。本実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用し、さらに詳細に説明する。
【0045】
図5は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の概略構成を示す図である。図6は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の画素回路を示す図である。
なお、図5及び図6において、先の第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略することとする。
【0046】
図5に示すように、電気泳動表示装置200は、画素140がマトリクス状に配列された表示部5と、走査線駆動回路161と、データ線駆動回路162と、コントローラー163(制御部)と、共通電源変調回路164と、を備えている。コントローラ163は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、電気泳動表示装置200を総合的に制御する。
【0047】
表示部5には、走査線駆動回路161から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路162から延びる複数のデータ線68とが形成されており、それぞれ画素140に接続されている。
また表示部5には、共通電源変調回路164から延びる低電位電源線49、高電位電源線50、共通電極配線55、第1の制御線91、及び第2の制御線92が設けられており、それぞれの配線も画素140と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラ63の制御のもと、上記の配線の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0048】
走査線駆動回路161は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラ163の制御のもと、1行目からm行目までの走査線66を順次選択し、画素140に設けられた選択トランジスタ41(図6参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。
【0049】
データ線駆動回路162は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラ163の制御のもと、画素140の各々に対応する1ビットの画素データを規定する画像信号を画素140に供給する。
【0050】
なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合にはローレベル(L)の画像信号を画素140に供給し、画素データ「1」を規定する場合はハイレベル(H)の画像信号を画素140に供給するものとする。
【0051】
画素140には、図6に示すように、選択トランジスタ41(画素スイッチング素子)と、ラッチ回路(メモリー回路)70と、スイッチ回路80と、電気泳動素子32と、画素電極35と、共通電極37とが設けられている。これらの素子を取り囲むように、走査線66、データ線68、低電位電源線49、高電位電源線50、第1の制御線91、及び第2の制御線92が配置されている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成である。
【0052】
選択トランジスタ41は、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。選択トランジスタ41のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0053】
ラッチ回路70のデータ入力端子N1及びデータ出力端子N2は、スイッチ回路80と接続されている。さらにスイッチ回路80は、画素電極35と接続されるとともに第1及び第2の制御線91、92と接続されている。画素電極35と共通電極37との間に電気泳動素子32が挟持されている。
【0054】
ラッチ回路70は、転送インバータ70tと帰還インバータ70fとを備えている。転送インバータ70t及び帰還インバータ70fはいずれもC−MOSインバータである。転送インバータ70tと帰還インバータ70fとは、互いの入力端子に他方の出力端子が接続されたループ構造を成しており、それぞれのインバータには、高電位電源端子PHを介して接続された高電位電源線50と、低電位電源端子PLを介して接続された低電位電源線49とから電源電圧が供給される。
【0055】
転送インバータ70tは、それぞれのドレイン端子をデータ出力端子N2に接続されたP−MOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ71とN−MOSトランジスタ72とを有している。P−MOSトランジスタ71のソース端子は高電位電源端子PHに接続され、N−MOSトランジスタ72のソース端子は低電位電源端子PLに接続されている。P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72のゲート端子(転送インバータ70tの入力端子)は、データ入力端子N1(帰還インバータ70fの出力端子)と接続されている。
【0056】
帰還インバータ70fは、それぞれのドレイン端子をデータ入力端子N1に接続されたP−MOSトランジスタ73とN−MOSトランジスタ74とを有している。P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74のゲート端子(帰還インバータ70fの入力端子)は、データ出力端子N2(転送インバータ70tの出力端子)と接続されている。
【0057】
上記構成のラッチ回路70において、ハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶されると、ラッチ回路70のデータ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力される。一方、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶されると、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力される。
【0058】
スイッチ回路80は、第1のトランスミッションゲートTG1と、第2のトランスミッションゲートTG2とを備えて構成されている。
第1のトランスミッションゲートTG1は、P−MOSトランジスタ81とN−MOSトランジスタ82とからなる。P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のソース端子は第1の制御線91に接続され、P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のドレイン端子は画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ81のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1(選択トランジスタ41のドレイン端子)に接続され、N−MOSトランジスタ82のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続されている。
【0059】
第2のトランスミッションゲートTG2は、P−MOSトランジスタ83とN−MOSトランジスタ84とからなる。P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のソース端子は第2の制御線92に接続され、P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のドレイン端子は、画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ83のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続され、N−MOSトランジスタ84のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0060】
ここで、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶され、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力された場合、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91を介して供給される電位S1が画素電極35に入力される。
一方、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶され、データ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力された場合、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92を介して供給される電位S2が画素電極35に入力される。
【0061】
図7は、電気泳動表示装置200に備えられたコントローラー163の詳細を示すブロック図である。
コントローラー163は、CPU(Central Processing Unit)としての制御回路261と、記憶部262と、電圧生成回路263と、データバッファー264と、フレームメモリー265と、メモリー制御回路266と、を備えている。
【0062】
制御回路261は、クロック信号CLK、水平同期信号Hsync、垂直同期信号Vsync等の制御信号(タイミングパルス)を生成し、制御回路261の周辺に配置された各回路にこれらの制御信号を供給する。また、制御回路261には、図示しない上位装置からの制御信号Cmdが入力され、制御装置261は制御信号Cmdに基づいて各回路を制御し、各種の画像表示動作を実行する。
【0063】
記憶部262は、例えばEEPROM(Electrically-Erasable and Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリー等からなる不揮発性メモリーであり、制御回路261による各回路の動作制御に必要な設定値(モード設定値やボリューム値)等を記憶している。例えば、動作モードごとの駆動シーケンスの設定値をLUT(Look Up Table)として記憶している。
また記憶部262には、電気泳動表示装置の動作に用いるプリセットの画像データが記憶されていてもよい。例えば、電気泳動表示装置200の起動時に用いられるロゴの画像データ、警告表示用の画像データなどを記憶してもよい。
【0064】
電圧生成回路263は、走査線駆動回路161、データ線駆動回路162、及び共通電源変調回路164に駆動電圧を供給する回路である。
データバッファー264は、コントローラー163における上位装置とのインターフェース部であり、上位装置から入力される表示画像の画像データDを保持するとともに、制御回路261に対して画像データDを送信する。
【0065】
フレームメモリー265は、表示部5の画素140の配列に対応する読み書き可能のメモリー空間を有する読み書き自在のメモリーである。メモリー制御回路266は、制御回路261から供給される画像データDを、制御信号に従って表示部5の画素配列に対応させて展開し、フレームメモリー265に書き込む。フレームメモリー265は、記憶された画像データDからなるデータ群を、画像信号として順次データ線駆動回路162に送信する。
データ線駆動回路162は、制御回路261から供給される制御信号に基づいてフレームメモリー265から送信される画像信号を一ライン分ずつラッチする。そして、走査線駆動回路161による走査線66の順次選択動作に同期して、ラッチした画像信号をデータ線68に供給する。
【0066】
[駆動方法]
図8は、上記構成を備えた電気泳動表示装置の駆動方法による画像表示動作を示す説明図である。図8(a)は表示部5に転送される画像データを概念的に示す図であり、図8(b)は、図8(a)に対応する表示部5の表示状態を示す図である。図8(c)は、図8(a)及び図8(b)に対応する共通電極37、第1の制御線91、及び第2の制御線92の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0067】
図9は、図8に示すステップS101〜S105を含むフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態の駆動方法は、黒消去ステップS101と、白消去ステップS102と、白黒画像表示ステップS103と、中間調表示ステップS104と、前景画像表示ステップS105とを含む。
【0068】
黒消去ステップS101及び白消去ステップS102は、表示部5の全体を黒表示、白表示することで、前フレームの画像を消去するステップである。これらの消去ステップは、必要に応じて設けられ、黒消去ステップS101と白消去ステップS102のいずれか一方のみであってもよい。さらに、黒消去ステップS101と白消去ステップS102を交互に複数回実行してもよい。
【0069】
白黒画像表示ステップS103、中間調表示ステップS104、及び前景画像表示ステップS105は、更新画像を表示部5に表示させるステップである。
本実施形態の場合、図9に示すように、白黒画像表示ステップS103と中間調表示ステップS104とにより、中間階調を含む背景画像を表示している。前景画像表示ステップS105は、すでに表示されている背景画像の一部に前景画像を重ね合わせることで、更新画像を表示するステップである。
【0070】
なお、ステップS103〜S105の構成は一例であり、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、背景画像がモノクロ二値の画像である場合には、中間調表示ステップS104は不要である。また、前景画像表示ステップS105を、白黒画像表示ステップと中間調表示ステップとにより構成し、中間階調を含む前景画像を表示してもよい。
さらに、背景と前景の2つのレイヤーに分割することなく1レイヤーとして更新画像を表示させてもよいし、3レイヤー以上に分割して順次表示を行ってもよい。
【0071】
以下、図8から図10を参照しつつ、本実施形態の駆動方法について詳細に説明する。
【0072】
[黒消去ステップS101(共通電極パルス駆動)]
まず、黒消去ステップS101では、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD1が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を、共通電極パルス駆動モードで全面黒表示する制御信号Cmdが入力される。
共通電極パルス駆動モードは、画素電極35を所定の定電位に保持した状態で共通電極37にハイレベルとローレベルを繰り返すパルスを入力することで電気泳動素子32を駆動する動作モードである。
【0073】
なお、画像データD1において黒く表示された部分(黒データ)が画素データ「0」(ローレベル(L)の画像信号)に対応する。一方、画像データD1において白く表示された部分(白データ)が画素データ「1」(ハイレベル(H)の画像信号)に対応する。
【0074】
制御回路261は、入力された画像データD1をメモリー制御回路266に転送する。メモリー制御回路266は、入力された画像データDをフレームメモリー265のメモリ空間に展開する。これにより、フレームメモリー265からデータ線駆動回路162に対して画像データDに対応する画像信号を供給可能な状態となる。
【0075】
その後、制御回路261は、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162に制御信号を送信する。走査線駆動回路161は、制御信号に基づいて走査線66に選択信号であるパルスを入力する。一方、データ線駆動回路162は、走査線駆動回路161による選択動作に同期してフレームメモリー265から供給される画像信号を選択された画素140に供給する。
【0076】
これにより、図9(b)に示す画像データD1が表示部5の画素140に入力される。
画像データD1の黒データに対応する画素140では、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号が保持され、ラッチ回路70からの出力によりオン状態とされたトランスミッションゲートTG1を介して第1の制御線91と画素電極35とが接続される。
一方、画像データD1の白データに対応する画素140では、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号が保持され、トランスミッションゲートTG2を介して第2の制御線92と画素電極35とが接続される。
【0077】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92を所定の同電位とする制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91(電位S1)と第2の制御線92(電位S2)の両方をハイレベル(H;例えば15V)に保持し、共通電極37(電位Vcom)にハイレベルとローレベル(L;例えば0V)とを周期的に繰り返す矩形波状のパルスを入力する。
【0078】
そうすると、表示部5の全ての画素140では、第1又は第2の制御線91、92と画素電極35とが接続されているから、ラッチ回路70に保持された電位によらず、全ての画素140の画素電極35に対して、第1又は第2の制御線91、92からハイレベルの電位が入力される。
【0079】
その結果、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35(ハイレベル)と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。これにより、黒色粒子26が共通電極37側に、白色粒子27が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図9(b)に示すように、表示部5の全面が黒表示状態となる。
【0080】
本実施形態の電気泳動表示装置200では、上述したように、画素140に第1及び第2の制御線91,92と接続されたスイッチ回路80を備えているため、第1及び第2の制御線91,92の電位を制御することで画素電極35の電位を直接制御できる。そのため、表示部5に画素データ「0」「1」の混在した画像データD1が保持されていても、表示部5を全面黒表示することができる。
【0081】
なお、黒消去ステップS101では、表示部5に何らかの画像データが保持されていればよいため、表示部5に転送する画像データは、図示の画像データD1でなくても構わない。例えば、黒データ(画素データ「0」)又は白データ(画素データ「1」)のみからなる画像データであってもよい。
【0082】
また、黒消去ステップS101の開始時に表示部5に画像データが保持されている場合には、表示部5に画像データD1を転送しなくてもよく、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。この場合には、画像データD1の転送動作を行わず、第1及び第2の制御線91、92の電位操作と共通電極37のパルス駆動のみで表示部5を全面黒表示する。
【0083】
[白消去ステップS102(共通電極パルス駆動)]
次に、白消去ステップS102に移行すると、制御回路261に対して、表示部5を共通電極パルス駆動モードで全面白表示させる制御信号Cmdが入力される。データバッファー264を介して制御回路261に入力される画像データD1は黒消去ステップS101と同様である。
【0084】
その後、制御回路261の制御下で画像データD1が表示部5に転送される。
なお、白消去ステップS102においても、表示部5に何らかの画像データが保持されていればよいため、黒消去ステップS101で転送された画像データD1を表示部5が保持し続けている場合には、画像データD1の転送動作は不要であり、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。
【0085】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92を所定の同電位とする制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91と第2の制御線92の両方をローレベルに保持し、共通電極37にハイレベルとローレベルとを繰り返す矩形波状のパルスを入力する。
【0086】
上記のように電位が入力されると、全ての画素140において、画素電極35に第1及び第2の制御線91、92の電位が入力され、全ての画素電極35がローレベルとなる。そして、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35(ローレベル)と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。これにより、白色粒子27が共通電極37側に、黒色粒子26が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図9(b)に示すように、表示部5の全面が白表示状態となる。
【0087】
[白黒画像表示ステップS103(画素電極パルス駆動)]
次に、白黒画像表示ステップS103に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD1が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を画素電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。
画素電極パルス駆動モードは、先の第1実施形態と同様の駆動モードであり、共通電極を所定の定電位に保持した状態で画素電極35にハイレベルとローレベルを繰り返すパルスを入力することで電気泳動素子32を駆動するモードである。
【0088】
その後、制御回路261の制御下で画像データD1が表示部5に転送される。
なお、黒消去ステップS101又は白消去ステップS102で表示部5に転送された画像データD1を表示部5が保持し続けている場合には、画像データD1の転送動作は不要であり、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。
【0089】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37及び第1の制御線91を所定の同電位とし、第2の制御線92をパルス駆動する制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持し、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0090】
黒データ(画素データ「0」)が入力された画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してローレベルの電位が入力される。かかる画素140では、画素電極35と共通電極37のいずれもローレベルであるから、電気泳動素子32は駆動されず、図9(b)に示すように、白表示を維持する。
【0091】
一方、白データ(画素データ「1」)が入力された画素140では、画素電極35に第2の制御線92を介してハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返すパルスが入力される。そうすると、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37(ローレベル)との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動され、図9(b)に示すように、白表示から黒表示に移行する。
【0092】
以上の白黒画像表示ステップS103により、全面白表示されていた表示部5の一部に黒表示部分が書き込まれる。その後、中間調表示ステップS104に移行する。
【0093】
[中間調表示ステップS104(共通電極パルス駆動)]
次に、中間調表示ステップS104に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD2が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を共通電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。その後、制御回路261の制御下で画像データD2が表示部5に転送される。
【0094】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、第1及び第2の制御線91、92にそれぞれ所定の電位を入力し、共通電極37をパルス駆動する制御信号を出力する。共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を入力し、第2の制御線92にローレベルの電位を入力する。また、共通電極37にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0095】
黒データ(画素データ「0」)が入力された図8(b)の領域A2、A4に属する画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してハイレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差により電気泳動素子32が駆動される。
【0096】
このとき、電気泳動素子32は黒表示動作するが、図8(c)に示すように、中間調表示ステップS104は電圧印加期間が短くなっているため、元が白表示であった領域A2の画素140は黒表示にはならず、淡いグレー表示となる。一方、元が黒表示であった領域A4の画素140の表示は変化しない。
【0097】
白データ(画素データ「1」)が入力された画素140(領域A1、A3、A5)では、画素電極35に第2の制御線92を介してローレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
【0098】
このとき、電気泳動素子32は白表示動作するが、中間調表示ステップS104の電圧印加期間が短いため、元が黒表示であった領域A3の画素140は白表示にはならず、濃いグレー表示となる。一方、元が白表示であった領域A1、A5の画素140の表示は変化しない。
【0099】
以上の中間調表示ステップS104により、白黒画像表示ステップS103で黒表示されていた領域の一部(領域A3)が濃いグレーの中間調表示とされ、白表示されていた領域の一部(領域A2)が淡いグレーの中間調表示となる。その結果、中間階調を含む4階調表示が実現される。その後、前景画像表示ステップS105に移行する。
【0100】
[前景画像表示ステップS105(画素電極パルス駆動)]
次に、前景画像表示ステップS103に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD3が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を画素電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。その後、制御回路261の制御下で画像データD3が表示部5に転送される。
【0101】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37及び第1の制御線91を所定の同電位とし、第2の制御線92をパルス駆動する制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持し、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0102】
黒データ(画素データ「0」)が入力された画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してローレベルの電位が入力される。かかる画素140では、画素電極35と共通電極37のいずれもローレベルであるから、電気泳動素子32は駆動されず、中間調表示ステップS104における中間調を含んだ表示を維持する。
【0103】
一方、白データ(画素データ「1」)が入力された画素140(時刻表示部分)では、画素電極35に第2の制御線92を介してハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返すパルスが入力される。そうすると、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動され、白表示の背景に黒表示の時刻表示がなされる。
【0104】
以上のステップS101〜S105により、中間階調を含む背景画像と、時刻表示からなる前景画像とが重ね合わされた画像を表示部5に表示することができる。
【0105】
上述したように、本実施形態の駆動方法では、表示部5に対して部分書き換えを行う白黒画像表示ステップS103と前景画像表示ステップS105において、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持する一方、第2の制御線92にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスを入力している。
【0106】
これにより、第2の制御線92と画素電極35とが接続される画素140(白データ(画素データ「1」)を入力された画素140)の電気泳動素子32のみを選択的に駆動し、所望の部分書き換えを行うことができる。また、表示を変化させる際に、電気泳動素子32に間欠的に電圧が印加されるため、共通電極パルス駆動を行う他のステップS101、S102、S104等と同等の表示品質が得られる。
【0107】
一方、書き換えを行わない画素140では、画素電極35と共通電極37とが同電位に保持されるため、電気泳動素子32に電圧が印加されず、電力をほとんど消費しない状態とすることができる。また、表示の濃さが変化したり、正負の電流バランスが崩れて電気泳動素子32や電極が劣化するのを防止することができる。
【0108】
また本実施形態では、表示部5の全体を書き換える黒消去ステップS101、白消去ステップS102及び中間調表示ステップS104では、共通電極37にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動を行う。
これにより、表示部5の全体を書き換える際に画素電極パルス駆動モードで動作させた場合よりも消費電力を抑えることができる。
【0109】
画素電極パルス駆動モードでは、第1の制御線91又は第2の制御線92にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスが入力されるため、グローバル配線である第1及び第2の制御線91、92の容量が充放電されることになる。第1及び第2の制御線91、92は、配線層が積層された第1基板30上に形成されており、他の配線とも近接しているため、配線容量が大きく、共通電極37と比較すると容量が10倍程度もある。したがって、表示部5の全体を書き換える場合には、共通電極パルス駆動を行った方が消費電力を低く抑えることができる。
【0110】
上記の配線容量の観点から、画素電極パルス駆動モードは、表示部5の50%以下の画素140を書き換える場合に適用することが好ましい。このような駆動方法とすることで、部分書き換えと全面書き換えの双方で電力消費を抑えることができ、表示品質を確保することができる。
【0111】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気泳動表示装置を、電子機器に適用した場合について説明する。
【0112】
[時計]
図10は、腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備えている。
時計ケース1002の正面には、上記実施形態の電気泳動表示装置100(200)からなる表示部1005と、秒針1021と、分針1022と、時針1023とが設けられている。時計ケース1002の側面には、操作子としての竜頭1010と操作ボタン1011とが設けられている。竜頭1010は、ケース内部に設けられる巻真(図示は省略)に連結されており、巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。表示部1005では、背景となる画像、日付や時間などの文字列、あるいは秒針、分針、時針などを表示することができる。
【0113】
[電子ペーパー]
図11は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記各実施形態の電気泳動表示装置100(200)を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0114】
図12は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0115】
以上の腕時計1000、電子ペーパー1100、及び電子ノート1200によれば、表示部に本発明に係る電気泳動表示装置100(200)が採用されているので、省電力性に優れた表示部を備える電子機器となっている。
なお、各図に示した電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0116】
[ペン入力デバイス]
図13は、本実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
先の実施形態の電気泳動表示装置は、図13に示すペン入力デバイス(座標入力装置)を備えた情報処理システム1500の表示手段としても好適に用いることができる。
【0117】
情報処理システム1500は、指示体(操作デバイス)であるペン702を有するホスト装置703と、ホスト装置703の処理結果の表示と操作に用いられるクライアント装置701とを備えている。
ホスト装置703とクライアント装置701とは、操作デバイス(ペン702及び操作ボタン)による操作に伴って接続される。ホスト装置703はイベント駆動型の情報処理装置であり、クライアント装置701に対するペン操作に伴って発生するイベントに基づいて所定の処理を実行する方式である。
なお、1台のホスト装置703に対して複数のクライアント装置701を切り換えつつ接続することが可能である。
【0118】
ホスト装置703及びクライアント装置701には、相互に信号を送受信する通信手段が備えられている。
本実施形態の場合、クライアント装置701の通信手段は、操作ボタン109a、109b、109cと、操作ボタン109a〜109cと接続された処理部103とを含んで構成される。一方、ホスト装置703の通信手段は、ホスト装置703に有線又は無線により接続されたペン702を含んで構成される。
ペン702と、例えば操作ボタン109aとを接触させると、クライアント装置701の処理部103とホスト装置703の文書処理部160との間で所定の通信情報が相互にやり取りされる。
【0119】
なお、本実施形態では、ペン702と操作ボタン109a〜109cとが接触(タッチ)したときに、クライアント装置701とホスト装置703との通信が開始される構成が採用されているが、通信の開始条件は上記のタッチ以外にも種々の動作に対して設定することができる。例えば、ペン702が接触しないまでも、操作ボタン109a〜109cのいずれかに対して接近したときに通信が開始されるようにしてもよい。
また、操作ボタン109a〜109cとペン702とを介した通信方式ではなく、クライアント装置701とホスト装置703とが有線接続又は無線接続される構成であってもよい。無線接続の場合には、中継局を介して接続される構成であってもよい。この場合にはクライアント装置701とホスト装置703とが常時通信可能であるため、ペン702や操作ボタン109a〜109cに通信手段を設ける必要はない。
【0120】
<クライアント装置>
クライアント装置701は、記憶性表示体101と、不揮発性記憶部102と、処理部103と、表示制御部104と、インターフェース部105と、を備えて構成されている。記憶性表示体101には、タッチパネル180が備えられている。
クライアント装置701は、記憶性表示体101への表示データに基づく画像表示を行う画像表示機能と、ペン702や他の指示体により記憶性表示体101(タッチパネル180)上をタッチしたときの軌跡を記憶性表示体101に表示させるペン入力機能と、を備えている。
【0121】
記憶性表示体101は、先の実施形態の電気泳動表示装置200と、電気泳動表示装置200の前面側に配設されたタッチパネル180(図14参照)と、を備えて構成されており、クライアント装置701における画像表示手段並びに座標入力手段として機能する。
記憶性表示体101は、表示制御部104を介してクライアント装置701のシステムバスに接続されている。表示制御部104は、電気泳動表示装置200のコントローラー163(図5参照)と接続され、コントローラー163に対して画像データを送信する。
【0122】
ここで、図14は、本実施形態のクライアント装置701に適用される記憶性表示体101の概略構成を示す図である。
図14に示すように、電気泳動表示装置200の表示部5上にタッチパネル180が配設されている。電気泳動表示装置200の表示部5には、走査線駆動回路161と、データ線駆動回路162とが接続されている。
【0123】
本実施形態の場合、走査線駆動回路161は、図示上下方向に延びる2つの回路素子列161A、161Bを有して構成されており、回路素子列161A、161Bのそれぞれに複数のスタートパルス入力端子240が設けられた構成を備えている。スタートパルス入力端子240には、走査線駆動回路161に順次選択動作を開始させるスタートパルスがコントローラー163から供給される。
【0124】
上記構成により、走査線駆動回路161は、図示Y方向に沿って配列された走査線66を双方向に順次選択可能に構成されている。すなわち、走査線駆動回路161において、回路素子列161Aのスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力されると、走査線駆動回路161は、走査線66を順方向(図13の場合の下側から上側に向かう方向Y)に順次選択する。一方、回路素子列161Bのスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力された場合、走査線駆動回路161は、走査線66を逆方向(図中Y方向と逆方向)に順次選択する。
【0125】
本実施形態の場合、回路素子列161Aに属する4つのスタートパルス入力端子240は、回路素子列161Aを走査線66の配列方向に4等分したときの各部分の下端にそれぞれ配置されている。一方、回路素子列161Bに属する4つのスタートパルス入力端子240は、回路素子列161Bを4等分した各部の上端にそれぞれ配置されている。なお、スタートパルス入力端子240の配設位置は任意に設定することができる。
【0126】
複数のスタートパルス入力端子240には選択的にスタートパルスを入力可能であり、スタートパルスを入力されたスタートパルス入力端子240から走査線66の順次選択動作が開始される。例えば、回路素子列161Bのほぼ中央に位置するスタートパルス入力端子240aにスタートパルスを入力すると、かかるスタートパルス入力端子240aに対応する走査線66から逆方向(データ線駆動回路162側;矢印Yと逆方向)に向かって順次選択動作が実行される。
【0127】
電気泳動表示装置200の表示部5上に設けられたタッチパネル180は、クライアント装置701における位置検出手段(座標入力手段)であり、ペン702等の指示体の接触又は接近を検出することにより、指示された表示部5上の位置情報(タッチ点の位置情報)を検出する。
詳細は後述するが、タッチパネル180により検出された位置情報は表示制御部104に送信され、表示制御部104は入力された位置情報に基づいてタッチの軌跡を記憶性表示体101に表示させる。
【0128】
タッチパネル180としては、種々の方式を採用可能であり、検出精度と装置の大きさ、コスト、重量等に応じてその方式を選択することができる。例えば、オペレーターがタッチした点における通電によって生じる電気抵抗の変化を検出する抵抗膜方式や、オペレーターが指でタッチしたときに生じる静電容量の変化によってタッチを検出する静電容量方式を採用することができる。あるいは、タッチパネル180にペン702等がタッチあるいは近接したことによって生じる超音波や赤外光の変化を検知することで、オペレーターによって指定された点を検出する超音波表面弾性波方式や赤外線遮光方式を利用することもできる。
また、タッチパネル180は、表示部5上の座標と対応する座標が設定されたものであれば、表示部5の直上に配置されていなくてもよい。例えば、表示部5の周辺にタッチパネル180が配置されており、かかるタッチパネル180への入力操作を行うことで表示部5上の座標を指定する方式であってもよい。
【0129】
図13に戻り、クライアント装置701の記憶性表示体101の近傍には、操作ボタン109a、109b、109cが設けられている。操作ボタン109a〜109cには、クライアント装置701に対するオペレーターの操作が割り当てられる。例えば、記憶性表示体101に表示されている画面の書換え(ページ捲り、ページ戻し、初期画面移行)等の操作が割り当てられる。
【0130】
操作ボタン109a〜109cは、後述するホスト装置703のペン702とともにクライアント装置701とホスト装置703との間の通信インターフェースとしても機能する。本実施形態の場合、操作ボタン109a〜109cには、赤外線受発光部を備える光通信モジュールが設けられている。一方、ペン702には、赤外線を照射する赤外照射部、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受信部、反射光を赤外線受信部に結像する撮像光学系が設けられている。
なお、操作ボタン109a〜109cとペン702との局所的な通信方式としては、上記赤外線等の光による方式のほか、電磁波による方式や電磁誘導による方式等を用いることもできる。
【0131】
また、操作ボタン109a〜109c及びペン702には、光通信モジュールに電力を供給する機構が設けられている。具体的には、操作ボタン109a〜109cとペン702のそれぞれにコイルが設けられており、ペン702を操作ボタン109a〜109c上に接触させると、両者のアンテナコイルが電磁的に結合し、ホスト装置703側から、ペン702を介して、クライアント装置701に電力が供給される。
これにより、操作ボタン109a〜109cの光通信モジュールと、ペン702の赤外線照射部及び赤外線受信部とが通信可能な状態となる。そして、クライアント装置701の処理部103において、タッチされた操作ボタンを特定するための信号が生成され、かかる信号に対応する通信情報がペン702を介してホスト装置703に送信される。
【0132】
クライアント装置701とホスト装置703との間の情報入出力を赤外線で行うようにした本実施形態は、電磁誘導による場合に比べて低消費電力であって、かつ高速(16Mbps等)な通信が可能になる。また、電磁カプリングを設けてクライアント装置701へ給電する場合の通信への影響を抑えることができる。
【0133】
次に、不揮発性記憶部102は、記憶性表示体101に表示させるコンテンツのデータや、動作制御用のコマンド、パラメーターなどを保持する記憶装置である。不揮発性記憶部102は、例えばEEPROM(Electrically-Erasable and Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリー等からなる不揮発性メモリーにより構成することができる。
【0134】
不揮発性記憶部102には、表示データ110、反応マップ111、処理状態データ112、及び文書データ113が保持されており、その他のデータやパラメーターが保持されていてもよい。
表示データ110は、文書データ113に基づいてホスト装置103で生成された表示画像のデータであり、ホスト装置703から表示制御部104を介して記憶性表示体101に入力され、記憶性表示体101に表示される。
処理状態データ112は、ホスト装置703による文書データ105の処理方法や処理履歴を記録したデータであり、処理の継続の際に参照されるべき処理コンテキスト情報等を含んでいる。
【0135】
反応マップ111は、操作ボタン109a、109b、109cに対応づけられているコマンドや、記憶性表示体101の各座標に表示されている文書要素や対話要素(文字列、画像、リンク情報、実行指図)を示すマップである。反応マップ111を備えていることで、操作に対応して行うべき反応をクライアント装置701で取得することができ、ホスト装置703に実行指示することができる。
なお、反応マップ111は、操作ボタン109a〜109cに割当てられた所定の指示に関する反応マップと、文書要素の抽出に関する反応マップの二種類を含んでいる。所定の指示に関する反応マップは、所定の動作の実行を指示するものであって、一方、文書要素の抽出に関する反応マップは記憶性表示体101の各座標位置に割当てられた文書要素や対話要素(文字列、画像、リンク情報、実行指図)を抽出するためのものである。
【0136】
処理部103は、表示実行部114と、反応抽出部115とを備えている。
表示実行部114は、不揮発性記憶部102に記憶されている表示データ110の更新に応じて記憶性表示体101を制御し、更新された表示データ110を記憶性表示体101に入力し表示させる。
反応抽出部115は、操作ボタン109a、109b、109cのいずれかが操作されたか、あるいはペン702がタッチした点の座標(位置情報)を反応マップ111に対照し、コマンドや記憶性表示体101に表示されている文書要素や対話要素のデータを取得する。そして、取得したデータを、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してホスト装置703の文書処理部160に出力する。
【0137】
表示制御部104は、タッチパネル180によって検出された位置情報に基づいて画像を描画する軌跡処理部142(クライアント側画像描画手段)と、軌跡処理部142によって描画された画像と表示データ110に基づく画像とを重ねてディスプレイに表示する合成・分離部141(クライアント側画像合成手段)と、を備えている。
【0138】
軌跡処理部142は、タッチパネル180によって検出されたタッチ点に相当する記憶性表示体101の画素を描画色に変更した画像を生成する。すなわち、記憶性表示体101上におけるタッチペン180の軌跡(点、線)を描画した画像を生成する。生成された画像(線画)は、表示制御部104において不揮発性記憶部102の表示データ110とは別のレイヤーの画像(レイヤー画像)として管理される。
合成・分離部141は、軌跡処理部142で生成された線画のレイヤー画像とホスト装置703から入力された表示データ110のレイヤー画像とを重ね合わせた画像を生成する。生成された合成画像は記憶性表示体101に送信され、記憶性表示体101に表示される。このように線画のレイヤー画像と表示データ110のレイヤー画像とを重ねて表示することにより、表示データ110上にマーカや注釈等を追記するような操作感をオペレーターに与えることができる。
また、合成・分離部141は、線画のレイヤー画像と表示データ110に基づくレイヤー画像とが重ね合わされて表示されている場合に、いずれか一方のレイヤー画像を非表示とする処理を行い、2つのレイヤー画像を分離することもできる。
【0139】
なお、軌跡処理部142には、タッチパネル180と記憶性表示体101との位置合わせのための補正情報が保持されていてもよい。これにより、ペン702の軌跡をより正確に記憶性表示体101に表示させることができる。
また、合成・分離部141は、線画のレイヤー画像を削除(初期化)する機能を備えていることが好ましい。例えば、連続した軌跡の入力が終了し軌跡が確定された後、後述するホスト装置703による合成画像の確定の際に、軌跡処理部142によって描画された線図をクリアすることが望ましい。
また、軌跡処理部142は、タッチパネル180によって検出された位置に基づいて線画を描画する構成に限定されるものでなく、ポインタ等の画像を描画するものであってもよい。このような構成によれば、電子ペーパーにおいてもオペレーターが目視している位置やコマンドの実行範囲を速やかに示し、情報処理システムの操作性を高めることができる。
【0140】
なお、本実施形態では、ペン702により記憶性表示体101上の任意の位置をタッチしたときに、ホスト装置703においてもタッチ位置の検出とその結果の保存が行われる。タッチ位置の検出は、記憶性表示体101に座標パターン(位置情報コード)を予め設定しておき、この座標パターンをペン702を介して読み取ることにより行われる。つまり、ペン702により記憶性表示体101をタッチしたときに、ペン702の赤外照射部で記憶性表示体101を照明し、ペン702に併設された赤外線受光部で座標パターンを光学的に読み取る。そして、読み取った座標パターンがホスト装置703の位置検出部150に入力され、タッチ位置の情報がホスト装置703にも保持される。
【0141】
インターフェース部105は、二次電池131と、操作部132とを備えている。二次電池131は、以上述べた各構成に電力を供給するための電池である。操作部132は、ホスト装置703を介することなくクライアント装置701に直接指示を入力するためのユーザーインターフェースであり、操作ボタンやスライドスイッチ等を含む構成である。
【0142】
<ホスト装置>
次に、ホスト装置703は、位置検出部150と、文書処理部160と、情報サービス部170と、電源190とを備えている。
【0143】
位置検出部150は、観測部151と演算部152とを有する。観測部151は、ペン702から送信される赤外線受信部の受光結果に基づいてペン702がタッチしている点の座標パターンを検出する。検出された座標パターンは、演算部152に出力される。演算部152は、座標パターンに対して情報図形をデコードする等の演算をしてタッチ点の座標を特定し、座標を文書処理部160に送出する。
【0144】
文書処理部160は、情報処理システム全体を制御する中央制御部である。文書処理部160は文書応用プログラム161を備えている。文書応用プログラム161は、指示内容の判断、内容に対応する処理ルーチンの読出し、実行に係るプログラムである。
文書処理部160は、文書応用プログラム161の実行により、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介して取得した各種の処理の指示に従い、予め記憶されている指示に対応する処理ルーチンを読み出して実行する。具体的な処理ルーチンとしては、表示データ110を生成し、生成された表示データ110をペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してクライアント装置701に送信する処理である。
【0145】
より詳細には、例えば、記憶性表示体101に表示中の画像の次ページを表示する指示(ページ捲り)が発生した場合に、文書応用プログラム161は、まず、記憶性表示体101に現在表示されているページに関する情報である処理状態データ112と文書データ113とを、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介して不揮発性記憶部102から取得する。そして、処理状態データ112と文書データ113とに基づいて次ページのレイアウト処理を実行し、次ペー。、ジの表示データ110と反応マップ111とを生成する。その後、生成した表示データ110及び反応マップ111を、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してクライアント装置701に送信し、不揮発性記憶部102に記憶させる。
【0146】
文書処理部160はまた、位置検出部150から得たタッチ点の座標を、文書応用プログラム161の処理指示に応じて処理する。例えば、タッチ点に相当する軌跡を、文書データ113に追記する処理を実行する。この場合、文書処理部160は、まず、ペン702を介して順次取得されるタッチ点の座標を一時メモリーに蓄え、オペレーターによる指示操作に備える。そして、オペレーターがクライアント装置701上の合成画像を見ながら一連の軌跡を描いた後に、その軌跡を反映させる確定の操作に対応する操作ボタン109a〜109cをタッチすると、ホスト装置703において当該操作が行われたことが判定される。すると、対応する文書応用プログラム161が呼び出され、一時メモリーに蓄えられた軌跡の座標データ列が処理される。この際、文書処理部160では、文書応用プログラム161での指示に基づき、例えば、タッチ点に相当する軌跡を追記した結果の表示データ110を生成し、かかる表示データ110をクライアント装置701に送信する。
【0147】
上記の構成において、文書処理部160は、ペン702の軌跡からなる軌跡画像を描画するホスト側画像描画手段、描画された軌跡画像と画像データに基づく表示画像とを合成した合成画像を生成するホスト側画像合成手段、及び、生成された合成画像を、クライアント装置701で生成したレイヤー画像に代えて記憶性表示体101に表示させる表示制御手段として機能する。
【0148】
情報サービス部170は、クライアント装置701に送信可能な文書データを管理する文書管理部171と、他のネットワーク資源と接続するネットワーク通信部172とを備えて構成されている。文書管理部171は、多数の文書データ113を保持する記憶部であり、ネットワーク通信部172は、有線又は無線のネットワーク通信を提供するものである。
【0149】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム1500では、クライアント装置701にペン702のタッチに即したレイヤー画像を生成して速やかに軌跡を表示させる機能が備えられているため、オペレーターに優れた操作性を提供することができる。
さらに、ホスト装置703においてペン702の軌跡を表示データ110に重ね合わせた合成画像を生成し、かかる合成画像を記憶性表示体101に表示させることができる。このようにホスト装置703で生成される合成画像は、クライアント装置701で生成されるレイヤー画像と比較して画質を高めることができるため、先のクライアント装置701単体による迅速なペン軌跡の表示と併せて用いることで、優れた操作性と高画質の表示とを両立できる構成となる。
【0150】
なお、ホスト装置703でより高画質の合成画像を生成できるのは、携帯性が求められるクライアント装置701では、処理部103や表示制御部104等について小型化、軽量化する必要があるが、ホスト装置703では小型化、軽量化の必要性が低く、より高性能の画像処理回路を搭載可能だからである。
【0151】
<駆動方法>
次に、本実施形態の情報処理システム1500において、クライアント装置701の記憶性表示体101に対するタッチ入力を行う場合の駆動方法について説明する。
図15は、タッチパネル180に対するタッチ入力に伴って電気泳動表示装置200に指示体の軌跡を表示させる場合における電気泳動表示装置200のタイミングチャートである。
【0152】
クライアント装置701において、電気泳動表示装置200に指示体の軌跡を表示させるには、まず、図15に示すステップS21において、全ての画素140のラッチ回路70に保持された画像信号をリセットする。
具体的には、表示制御部104の合成・分離部141から画素データ[0]のみからなる表示データ110が記憶性表示体101の電気泳動表示装置200に供給される。その後、電気泳動表示装置200において、走査線駆動回路161から走査線66にハイレベル(4V)の走査信号が順次入力され、データ線駆動回路162からデータ線68にローレベル(0V)の画像信号が入力される。これにより、表示部5の全ての画素140のラッチ回路70にローレベル(0V)の画像信号が保持される。
【0153】
上記動作により、表示部5の全ての画素140において、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91と画素電極35とが電気的に接続された状態となる。しかし、ステップS21において第1の制御線91及び共通電極37はいずれもハイインピーダンス状態(Hi−Z)であるため、実際の表示は変化しない。
【0154】
その後、ステップS22に移行すると、共通電極37にローレベル(0V)が入力され、第1の制御線91にローレベル(0V)が入力され、第2の制御線92にハイレベル(4V)とローレベル(0V)とを周期的に繰り返す矩形波が入力される。そして、ステップS22の期間中、走査線66の選択動作が繰り返し行われ、タッチ入力に伴い変更された合成画像が表示部5へ順次転送される。これにより、タッチパネル180への指示体(ペン702等)によるタッチ入力が表示に反映されるようになる。
ペン702等の指示体によるタッチ入力が有効な期間であるステップS22の期間は、例えば20〜30フレーム程度の長さに設定することが好ましい。
【0155】
タッチ入力の表示への反映動作は以下のようにして成される。
クライアント装置701において、タッチパネル180は、ペン702等の指示体が接触したことを検出し、接触位置(タッチ点)の座標を示す座標データ(位置情報)を表示制御部104に出力する。
タッチ点の位置情報が入力されると、表示制御部104の軌跡処理部142は、タッチ点に対応する画素を描画色(画素データ[1])に変更する描画を行い、タッチ入力の軌跡に対応するレイヤー画像を生成する。次いで、生成されたレイヤー画像(タッチ入力の軌跡の画像)が、合成・分離部141において表示データ110のレイヤー画像(画素データ[0]のみからなる背景画像)と合成される。その後、生成された合成画像が、電気泳動表示装置200に入力される。
【0156】
電気泳動表示装置200では、ステップS22の期間中、画像データの表示部5への転送動作が繰り返し行われるため、上記合成画像は、電気泳動表示装置200に入力される都度、順次表示部5へ転送される。
これにより、タッチ入力の軌跡に対応する画素140に、画素データ[1]に対応するハイレベル(4V)が入力され、それ以外の画素140には画素データ[0]に対応するローレベル(0V)が入力される。
そして、ハイレベルの画像信号が入力された画素140では、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となって第2の制御線92と画素電極35とが電気的に接続される。そうすると、画素140の画素電極35(図15に示す電位VB)に、ハイレベル(4V)とローレベル(0V)とを周期的に繰り返す矩形波が入力される(画素電極パルス駆動モード)。
その結果、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37(ローレベル)との間に生じる電位差により電気泳動素子32が駆動され、タッチ入力の軌跡に対応する画素140が黒表示に変更される。
なお、画素データ[0]が入力された画素140では、画素電極35は第1の制御線91の電位(ローレベル)となり、共通電極37(ローレベル)との電位差が生じないため、表示が更新されない。
したがって、上記動作によれば、表示部5に予め表示されていた画像に対して、タッチ入力の軌跡が追記された画像が表示されることになる。
【0157】
また、本実施形態の場合、図14に示したように、走査線駆動回路161が双方向に走査可能に構成されているので、クライアント装置701は、表示制御部104に入力される位置情報の変化からタッチ点の移動方向(軌跡の延びる方向)が、走査線66の配列方向(図14の上下方向)の2方向のうちいずれの方向であるかを検出する。そして、表示制御部104は、タッチ点の座標と上記移動方向とから、走査線駆動回路161による走査線66の選択開始位置(スタートパルスの入力位置)を決定し、電気泳動表示装置200に送信する。
【0158】
例えば、図16に示すように、タッチパネル180上でペン702を図中上方向に移動させた場合には、走査線駆動回路161は、図示下側の走査線66から上側の走査線66へ順に選択し、走査信号を入力する。この動作により、ペン702による接触領域W2の移動する方向に向かって、表示部5の表示画像が更新されることになる。
さらに具体的には、図中右側の回路素子列161Aに属する4つのスタートパルス入力端子240のうち、タッチパネル180上の最初のタッチ点である接触領域W2に最も近く、かつ接触領域W2よりも移動方向上流側に位置するスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力される。図16に示す例では、下から2番目のスタートパルス入力端子240bにスタートパルスが入力される。これにより、表示部5のうち、タッチ入力の軌跡を表示させるべき領域の表示を迅速に更新することができ、タッチ入力から表示までのタイムラグが短縮される。
【0159】
なお、図16に示す例では、ステップS22において画像データを転送する際に、接触領域W2の走査線66配列方向の長さが、接触領域W2の水平方向(走査線66延在方向)の幅L1に対応する長さとなるように、複数本(図示では8本)の走査線66を同時に選択して画像信号を入力している。このように複数本の走査線66を同時に選択する駆動方法は、スタートパルス入力端子240に入力するスタートパルスのパルス幅を変更する(あるいは複数のスタートパルスを連続入力する)ことで容易に実現できる。
【0160】
次に、図14に示すステップS23に移行すると、高電位電源線50の電位Vddが4Vから20Vに引き上げられる。これにより、タッチ入力の軌跡に対応する位置の画素140において、画素電極35に入力されるハイレベルの電位が20Vに引き上げられる。そうすると、電気泳動素子32が20Vで駆動され、タッチ入力の軌跡に対応する線画のコントラストが上昇する。
その後、ステップS24に移行すると、画素140に接続されている各配線がハイインピーダンス状態とされ、表示された画像が電力を消費することなく保持される。なお、ステップS24を実行することなくステップS21に戻り、再度タッチ入力可能な状態に移行させてもよい。
【0161】
以上の説明では、ペン702等の指示体を図16の上下方向(走査線66の配列方向に沿った方向)に動かす場合について説明したが、図17に示すように、ペン702等の指示体をタッチパネル180上で斜め方向に動かす場合にも、上記と同様に図中下側の走査線66から図示上側の走査線66に向かって順次選択動作がなされる。ただし、この場合に図16と同様の大きさの接触領域W2を移動させるように表示させると、図17に示すように斜め方向に延びる線(画像W1)の幅L2は、接触領域W2の水平方向の幅L1(走査線66の延在方向に沿う幅)よりも大きいため、タッチ入力の移動方向によって線幅の異なる軌跡が表示されてしまう。
【0162】
そこで、走査線66の配列方向に対して斜め方向にタッチ入力を移動させる場合には、移動方向に応じて寸法(同時選択する走査線66の本数)を調整し面積を縮小した接触領域W4を用いて表示を行う。接触領域W4は、これを斜め方向にさせたときの軌跡(画像W3)の線幅L3が、接触領域W2の水平方向の幅L1と一致するように設定される。すなわち、接触領域W4は、その水平方向(走査線66延在方法)の幅L4が、L4=L1×(L3/L2)となるように設定され、同時選択する走査線66の本数も幅L4に対応する本数に少なくされる。図17に示す例では、同時選択する走査線66の本数を8本から5本に減少させることで、斜め方向に延びる線の画像W3の幅と、上下方向に延びる線の画像W1の幅を一致させることができる。
【0163】
なお、タッチパネル180上の接触位置(接触領域)が移動する場合、例えば不図示のバッファに接触位置についての複数の座標データを記憶させ、これらの複数の座標データによって1つのレイヤー画像(タッチ入力の軌跡の画像)を生成するようにしても構わない。この場合、複数のデータ線68にまとめて画像信号が供給されることとなる。この駆動方法を複数の走査線66を同時選択する上記の例と組み合わせることにより、一回の走査によって上下左右において複数ラインの範囲を一度に書き換えることができるため、書き換えのタイムラグを極力短縮することができ、よりリアルタイムに表示を書き換えることができる。同時に画像信号を入力されるデータ線68の本数は、例えば同時に走査信号を供給する走査線66の本数と同一本としても構わないし、異なる本数としても構わない。
【0164】
以上詳細に説明したように、本実施形態の情報処理システム1500では、タッチパネル180に対するタッチ入力の軌跡を記憶性表示体101に表示させるに際して、表示部5の画素電極35にハイレベルとローレベルとを繰り返す矩形波を入力している。これにより、表示を更新すべき画素140(タッチ入力の軌跡に対応する画素)のみを駆動して表示を行い、それ以外の画素140では電力を消費することなく表示を維持させることができる。
ペン702等の指示体の軌跡を表示させる場合、表示を更新する領域は表示部5のごく一部である。そのため、表示を更新する画素140のみを駆動できる画素電極パルス駆動モードを用いて軌跡を表示させることで、効果的に消費電力を低減することができる。
【0165】
なお、上記実施形態では、ステップS21において全ての画素140のラッチ回路70にローレベルを入力し、ステップS22においてタッチ入力の軌跡に対応する画素140のラッチ回路70にハイレベルを入力するとともに、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返す矩形波を入力することとしたが、かかる駆動方法には限られない。
例えば、ステップS21においてすべての画素140のラッチ回路70にハイレベルを入力し、ステップS22においてタッチ入力の軌跡に対応する画素140のラッチ回路70にローレベルを入力するとともに、第1の制御線91にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返す矩形波を入力してもよい。
【符号の説明】
【0166】
100,200 電気泳動表示装置、32 電気泳動素子、35 画素電極、37 共通電極、40,140 画素、63,163 コントローラー(制御部)、70 ラッチ回路、80 スイッチ回路、91 第1の制御線、92 第2の制御線、
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶液中に電気泳動粒子を分散させてなる分散液に電界を印加した際に、クーロン力によって電気泳動粒子が泳動する現象(電気泳動現象)が知られており、当該現象を利用した電気泳動表示装置が開発されている。このような電気泳動表示装置は、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−70791号公報
【特許文献2】特開2003−140199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気泳動表示装置は、共通電極と複数に分割された画素電極との間に電位差を生じさせることにより、表示色を所望の色に変化させることが可能となる。一方、特許文献1に開示されているように、共通電極と画素電極との間に電位差を生じさせないように画素電位をコントロールすることにより、まったく表示変化させず、それまで表示されていた色を保持する手法も提案されている。
【0005】
特許文献1記載の駆動方法では、共通電極に周期的にローレベルとハイレベルとを繰り返すパルスを入力する駆動方法(コモン振り駆動)を採用していた。そして、一部のセグメントのみの書き換えを行う場合には、表示を書き換える画素の画素電極に表示色に対応する定電位を入力し、表示を書き換えない画素の画素電極には共通電極と同調した同位相、同電位のパルスを入力していた。
【0006】
しかし、上記の駆動方法では、セグメント電極及び共通電極とともに、これらの電極と接続された配線の電位も周期的にローレベルとハイレベルとを繰り返すことになる。そのため、電極や配線を強制的に充放電させていることになり、表示を変化させないセグメントにおける消費電流が大きくなる。その結果、一部のセグメントのみを書き換えているにも関わらず消費電力が高くなるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、表示を維持する際の消費電流を低減させることができる電気泳動表示装置の駆動方法及び電気泳動表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする。
【0009】
この駆動方法によれば、表示を変化させない画素の画素電極と共通電極とを同電位とするため、表示を変化させない画素はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、従来の駆動方法における消費電流の課題を解決し、省電力性に優れた電気泳動表示装置の駆動方法とすることができる。
【0010】
前記画像表示ステップが、前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動ステップを含むこともできる。
このような駆動方法とすれば、画像表示に際して、画素電極パルス駆動ステップと共通電極パルス駆動ステップとを、用途に応じて選択可能とすることができ、より効果的に消費電力を低減することが可能になる。
【0011】
表示を更新される前記画素の割合に基づいて前記画素電極パルス駆動ステップ又は前記共通電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
画素電極パルス駆動ステップでは、表示を更新しない画素の電力消費や表示品質では有利であるが、表示部のほとんどの画素を更新する場合には、共通電極をパルス駆動した方が消費電力が少なくなる。そこで、表示を更新される画素の割合に基づいて駆動モードを選択することとすれば、より効果的に消費電力を低減することができる。
【0012】
表示を更新される前記画素の割合が全ての前記画素に対して50%以下であるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
このような駆動方法とすれば、画素電極パルス駆動ステップをより効果的に使用して消費電力を低減することができる。
【0013】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、前記指示体の軌跡を表示させるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることが好ましい。
すなわち、タッチパネル等の座標入力装置が設けられている場合に、指示体の軌跡を電気泳動表示装置に表示させるときに、画素電極パルス駆動ステップを用いることが好ましい。指示体の軌跡は典型的には細い線幅の線画であるため、軌跡を表示させる際には表示部のごく一部のみが更新されることになる。このような場合に、画素電極パルス駆動ステップを選択することで、効果的に消費電力を低減することが可能である。
【0014】
表示を更新される前記画素の割合が100%であるときにのみ、前記共通電極パルス駆動ステップが実行される駆動方法とすることもできる。
このような駆動方法とすれば、駆動モードの切り換えに係る制御を簡素化することができ、電気泳動表示装置を安価に提供可能となる。
【0015】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力端子と前記第1及び第2の制御線とに接続されたスイッチ回路と、が設けられており、前記画素電極パルス駆動ステップにおいて、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような駆動方法とすれば、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置においても、表示を更新しない画素の電力消費を抑えることができる。
【0016】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記共通電極パルス駆動ステップにおいて、前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような駆動方法とすれば、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置においても、表示を更新しない画素の電力消費を抑えることができる。
【0017】
本発明の電気泳動表示装置は、第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、前記制御部は、前記表示部に画像を表示させるに際して、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、表示を変化させない画素の画素電極と共通電極とを同電位とするため、表示を変化させない画素はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、従来の駆動方法における消費電流の課題を解決し、省電力性に優れた電気泳動表示装置を実現することができる。
【0019】
前記制御部は、前記表示部に画像を表示させるに際して、前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動動作を実行することが好ましい。
このような構成とすれば、画像表示に際して、画素電極パルス駆動動作と共通電極パルス駆動動作とを、用途に応じて選択可能とすることができ、より効果的に消費電力を低減することが可能になる。
【0020】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記制御部は、前記画素電極パルス駆動動作において、表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような構成とすれば、表示を更新しない画素の電力消費が抑えられ、省電力性に優れたアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置を提供することができる。
【0021】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、前記制御部は、前記共通電極パルス駆動動作において、前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することが好ましい。
このような構成とすれば、表示を更新しない画素の電力消費が抑えられ、省電力性に優れたアクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置を提供することができる。
【0022】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、前記制御部は、前記画素電極パルス駆動動作によって前記表示部に前記指示体の軌跡を表示させることが好ましい。
すなわち、タッチパネル等の座標入力装置が設けられている場合に、指示体の軌跡を電気泳動表示装置に表示させるときに、画素電極パルス駆動動作を用いることが好ましい。指示体の軌跡は典型的には細い線幅の線画であるため、軌跡を表示させる際には表示部のごく一部のみが更新されることになる。このような場合に、画素電極パルス駆動動作を選択することで、効果的に消費電力を低減することができる。
【0023】
本発明の電子機器は、先に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、省電力性に優れた表示手段を具備した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図2】電気泳動表示装置の要部の断面構造を示す図。
【図3】電気泳動素子の動作説明図。
【図4】第1実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図。
【図5】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成図。
【図6】第2実施形態に係る画素回路を示す図。
【図7】コントローラーの詳細を示すブロック図。
【図8】第2実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図。
【図9】図8に対応するフローチャート。
【図10】電子機器の一例を示す図。
【図11】電子機器の一例を示す図。
【図12】電子機器の一例を示す図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図。
【図14】本実施形態に係る記憶性表示体の構成を示す図。
【図15】本発明の他の実施形態に係る記憶性表示体の駆動を示すタイミングチャート。
【図16】本実施形態に係る記憶性表示体の駆動の様子を示す図。
【図17】本実施形態に係る記憶性表示体の駆動の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の電気泳動表示装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電気泳動表示装置100の概略構成図である。図2(a)は、電気泳動表示装置100の断面構造とともに電気的構成を示した図である。
【0027】
電気泳動表示装置100は、複数の画素(セグメント)40が配置された表示部5と、コントローラー(制御部)63と、コントローラー63と接続された画素電極駆動回路60とを備えている。画素電極駆動回路60は、それぞれの画素40と画素電極配線61を介して接続されている。また、表示部5には、各々の画素40に共通の共通電極37(図2参照)が設けられている。なお、図1では共通電極37を便宜的に配線として表示している。
【0028】
電気泳動表示装置100は、コントローラー63から画素電極駆動回路60に画像データを転送し、かかる画像データに基づく電位を、個々の画素40に直接入力するセグメント駆動方式の電気泳動表示装置である。
【0029】
図2(a)に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5は、第1基板30と第2基板31との間に、電気泳動素子32を挟持した構成である。第1基板30の電気泳動素子32側に複数の画素電極(セグメント電極;第1電極)35が形成され、第2基板31の電気泳動素子32側には共通電極(第2電極)37が形成されている。電気泳動素子32は、電気泳動粒子を内部に封入した複数のマイクロカプセル20を平面的に配列した構成である。電気泳動表示装置100は、電気泳動素子32により形成された画像を共通電極37側に表示する。
【0030】
第1基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などを用いて形成される。
第2基板31は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、MgAg(マグネシウム銀)、ITO、IZO(登録商標;インジウム・亜鉛酸化物)などを用いて形成される透明電極である。
【0031】
各々の画素電極35には、画素電極配線61を介して画素電極駆動回路60が接続されている。画素電極駆動回路60には、各々の画素電極配線61に対応するスイッチング素子60sが設けられており、スイッチング素子60sの動作により画素電極35に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
一方、共通電極37には、共通電極配線62を介して共通電極駆動回路64が接続されている。共通電極駆動回路64には、共通電極配線62と接続されたスイッチング素子64sが設けられており、スイッチング素子64sの動作により共通電極37に対する電位の入力と電気的切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0032】
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ第2基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の剥離シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された第1基板30(画素電極35などが形成されている)に対して、剥離シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
【0033】
図2(b)は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば30〜50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図2に示したように共通電極37と画素電極35との間に挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0034】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0035】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0036】
図3は、電気泳動素子の動作説明図である。図3(a)は、画素40を白表示する場合、図3(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
図3(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図3(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
【0037】
[駆動方法]
次に、上記構成を備えた電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図4は、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法を示す説明図である。図4(a)及び図4(b)は、以下に説明する駆動方法における画素40の状態遷移を示す平面図(左側)及び断面図(右側)である。図4(c)は、画素電極及び共通電極に入力される電位を示すタイミングチャートである。
【0038】
本実施形態では、図4(a)に示す白表示された2つの画素40のうち、画素電極SEG0(画素電極35)が属する画素40のみを図4(b)に示すように黒表示に移行させる場合の駆動方法について説明する。
【0039】
図4(a)に示す白表示の画素40では、画素電極SEG0、SEG1側に黒色粒子26が引き寄せられ、共通電極37側に白色粒子27が引き寄せられている。かかる表示状態に移行させる駆動方法としては、後述する本発明の駆動方法を採用してもよく、従来公知の駆動方法を採用することもできる。例えば、2つの画素電極SEG0、SEG1にローレベル(例えば0V)の電位を入力し、共通電極COM(共通電極37)にローレベルの電位とハイレベル(例えば15V)の電位を周期的に繰り返すパルスを入力することで、2つの画素40をいずれも白表示状態とすることができる。
【0040】
次に、図4(a)に示す白表示状態から図4(b)に示す白表示と黒表示とが混在した状態とするには、図4(c)に示すように、共通電極COMにローレベル(例えば0V)の電位を入力する。また、画素電極SEG0に、ローレベル(例えば0V)とハイレベル(例えば15V)を周期的に繰り返す矩形波状のパルスを入力し、画素電極SEG1にローレベルの電位を入力する。
【0041】
これにより、画素電極SEG0がハイレベルである期間に、画素電極SEG0と共通電極COMとの電位差により電気泳動素子32が駆動される。そして、図4(b)に示すように、画素電極SEG0が属する画素40が黒表示される。
一方、画素電極SEG1が属する画素40では、画素電極SEG1と共通電極COMとがいずれもローレベルであるため、表示は変化しない。
【0042】
以上に説明した本実施形態の駆動方法では、表示部5を構成する画素40のうち、表示を更新する画素40に属する画素電極35にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力し、表示を変化させない画素40に属する画素電極35と共通電極37には、同一の定電位を入力する。
このように本実施形態の駆動方法では、表示を変化させない画素40の画素電極35と共通電極37とを同一の定電位とするため、表示を変化させない画素40はほとんど電力を消費しない。したがって、本発明によれば、特許文献1記載の駆動方法における消費電流の課題を解決することができる。
【0043】
また、表示を変化させる画素40では、画素電極35に周期的なパルスを入力するため、共通電極37に周期的なパルスを入力して駆動した場合(コモン振り駆動)と同様の動作で画像が表示され、コモン振り駆動と同等の品質の表示が得られる。
【0044】
(第2の実施形態)
先の第1実施形態では、セグメント方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用した場合について説明した。本実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気泳動表示装置に本発明に係る駆動方法を適用し、さらに詳細に説明する。
【0045】
図5は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の概略構成を示す図である。図6は、第2の実施形態に係る電気泳動表示装置200の画素回路を示す図である。
なお、図5及び図6において、先の第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略することとする。
【0046】
図5に示すように、電気泳動表示装置200は、画素140がマトリクス状に配列された表示部5と、走査線駆動回路161と、データ線駆動回路162と、コントローラー163(制御部)と、共通電源変調回路164と、を備えている。コントローラ163は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、電気泳動表示装置200を総合的に制御する。
【0047】
表示部5には、走査線駆動回路161から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路162から延びる複数のデータ線68とが形成されており、それぞれ画素140に接続されている。
また表示部5には、共通電源変調回路164から延びる低電位電源線49、高電位電源線50、共通電極配線55、第1の制御線91、及び第2の制御線92が設けられており、それぞれの配線も画素140と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラ63の制御のもと、上記の配線の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化)を行う。
【0048】
走査線駆動回路161は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラ163の制御のもと、1行目からm行目までの走査線66を順次選択し、画素140に設けられた選択トランジスタ41(図6参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。
【0049】
データ線駆動回路162は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)を介して各々の画素140に接続されており、コントローラ163の制御のもと、画素140の各々に対応する1ビットの画素データを規定する画像信号を画素140に供給する。
【0050】
なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合にはローレベル(L)の画像信号を画素140に供給し、画素データ「1」を規定する場合はハイレベル(H)の画像信号を画素140に供給するものとする。
【0051】
画素140には、図6に示すように、選択トランジスタ41(画素スイッチング素子)と、ラッチ回路(メモリー回路)70と、スイッチ回路80と、電気泳動素子32と、画素電極35と、共通電極37とが設けられている。これらの素子を取り囲むように、走査線66、データ線68、低電位電源線49、高電位電源線50、第1の制御線91、及び第2の制御線92が配置されている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成である。
【0052】
選択トランジスタ41は、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。選択トランジスタ41のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0053】
ラッチ回路70のデータ入力端子N1及びデータ出力端子N2は、スイッチ回路80と接続されている。さらにスイッチ回路80は、画素電極35と接続されるとともに第1及び第2の制御線91、92と接続されている。画素電極35と共通電極37との間に電気泳動素子32が挟持されている。
【0054】
ラッチ回路70は、転送インバータ70tと帰還インバータ70fとを備えている。転送インバータ70t及び帰還インバータ70fはいずれもC−MOSインバータである。転送インバータ70tと帰還インバータ70fとは、互いの入力端子に他方の出力端子が接続されたループ構造を成しており、それぞれのインバータには、高電位電源端子PHを介して接続された高電位電源線50と、低電位電源端子PLを介して接続された低電位電源線49とから電源電圧が供給される。
【0055】
転送インバータ70tは、それぞれのドレイン端子をデータ出力端子N2に接続されたP−MOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ71とN−MOSトランジスタ72とを有している。P−MOSトランジスタ71のソース端子は高電位電源端子PHに接続され、N−MOSトランジスタ72のソース端子は低電位電源端子PLに接続されている。P−MOSトランジスタ71及びN−MOSトランジスタ72のゲート端子(転送インバータ70tの入力端子)は、データ入力端子N1(帰還インバータ70fの出力端子)と接続されている。
【0056】
帰還インバータ70fは、それぞれのドレイン端子をデータ入力端子N1に接続されたP−MOSトランジスタ73とN−MOSトランジスタ74とを有している。P−MOSトランジスタ73及びN−MOSトランジスタ74のゲート端子(帰還インバータ70fの入力端子)は、データ出力端子N2(転送インバータ70tの出力端子)と接続されている。
【0057】
上記構成のラッチ回路70において、ハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶されると、ラッチ回路70のデータ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力される。一方、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶されると、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力される。
【0058】
スイッチ回路80は、第1のトランスミッションゲートTG1と、第2のトランスミッションゲートTG2とを備えて構成されている。
第1のトランスミッションゲートTG1は、P−MOSトランジスタ81とN−MOSトランジスタ82とからなる。P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のソース端子は第1の制御線91に接続され、P−MOSトランジスタ81及びN−MOSトランジスタ82のドレイン端子は画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ81のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1(選択トランジスタ41のドレイン端子)に接続され、N−MOSトランジスタ82のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続されている。
【0059】
第2のトランスミッションゲートTG2は、P−MOSトランジスタ83とN−MOSトランジスタ84とからなる。P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のソース端子は第2の制御線92に接続され、P−MOSトランジスタ83及びN−MOSトランジスタ84のドレイン端子は、画素電極35に接続されている。また、P−MOSトランジスタ83のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ出力端子N2に接続され、N−MOSトランジスタ84のゲート端子は、ラッチ回路70のデータ入力端子N1に接続されている。
【0060】
ここで、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号(画素データ「0」)が記憶され、データ出力端子N2からハイレベル(H)の信号が出力された場合、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91を介して供給される電位S1が画素電極35に入力される。
一方、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号(画素データ「1」)が記憶され、データ出力端子N2からローレベル(L)の信号が出力された場合、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となり、第2の制御線92を介して供給される電位S2が画素電極35に入力される。
【0061】
図7は、電気泳動表示装置200に備えられたコントローラー163の詳細を示すブロック図である。
コントローラー163は、CPU(Central Processing Unit)としての制御回路261と、記憶部262と、電圧生成回路263と、データバッファー264と、フレームメモリー265と、メモリー制御回路266と、を備えている。
【0062】
制御回路261は、クロック信号CLK、水平同期信号Hsync、垂直同期信号Vsync等の制御信号(タイミングパルス)を生成し、制御回路261の周辺に配置された各回路にこれらの制御信号を供給する。また、制御回路261には、図示しない上位装置からの制御信号Cmdが入力され、制御装置261は制御信号Cmdに基づいて各回路を制御し、各種の画像表示動作を実行する。
【0063】
記憶部262は、例えばEEPROM(Electrically-Erasable and Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリー等からなる不揮発性メモリーであり、制御回路261による各回路の動作制御に必要な設定値(モード設定値やボリューム値)等を記憶している。例えば、動作モードごとの駆動シーケンスの設定値をLUT(Look Up Table)として記憶している。
また記憶部262には、電気泳動表示装置の動作に用いるプリセットの画像データが記憶されていてもよい。例えば、電気泳動表示装置200の起動時に用いられるロゴの画像データ、警告表示用の画像データなどを記憶してもよい。
【0064】
電圧生成回路263は、走査線駆動回路161、データ線駆動回路162、及び共通電源変調回路164に駆動電圧を供給する回路である。
データバッファー264は、コントローラー163における上位装置とのインターフェース部であり、上位装置から入力される表示画像の画像データDを保持するとともに、制御回路261に対して画像データDを送信する。
【0065】
フレームメモリー265は、表示部5の画素140の配列に対応する読み書き可能のメモリー空間を有する読み書き自在のメモリーである。メモリー制御回路266は、制御回路261から供給される画像データDを、制御信号に従って表示部5の画素配列に対応させて展開し、フレームメモリー265に書き込む。フレームメモリー265は、記憶された画像データDからなるデータ群を、画像信号として順次データ線駆動回路162に送信する。
データ線駆動回路162は、制御回路261から供給される制御信号に基づいてフレームメモリー265から送信される画像信号を一ライン分ずつラッチする。そして、走査線駆動回路161による走査線66の順次選択動作に同期して、ラッチした画像信号をデータ線68に供給する。
【0066】
[駆動方法]
図8は、上記構成を備えた電気泳動表示装置の駆動方法による画像表示動作を示す説明図である。図8(a)は表示部5に転送される画像データを概念的に示す図であり、図8(b)は、図8(a)に対応する表示部5の表示状態を示す図である。図8(c)は、図8(a)及び図8(b)に対応する共通電極37、第1の制御線91、及び第2の制御線92の電位状態を示すタイミングチャートである。
【0067】
図9は、図8に示すステップS101〜S105を含むフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態の駆動方法は、黒消去ステップS101と、白消去ステップS102と、白黒画像表示ステップS103と、中間調表示ステップS104と、前景画像表示ステップS105とを含む。
【0068】
黒消去ステップS101及び白消去ステップS102は、表示部5の全体を黒表示、白表示することで、前フレームの画像を消去するステップである。これらの消去ステップは、必要に応じて設けられ、黒消去ステップS101と白消去ステップS102のいずれか一方のみであってもよい。さらに、黒消去ステップS101と白消去ステップS102を交互に複数回実行してもよい。
【0069】
白黒画像表示ステップS103、中間調表示ステップS104、及び前景画像表示ステップS105は、更新画像を表示部5に表示させるステップである。
本実施形態の場合、図9に示すように、白黒画像表示ステップS103と中間調表示ステップS104とにより、中間階調を含む背景画像を表示している。前景画像表示ステップS105は、すでに表示されている背景画像の一部に前景画像を重ね合わせることで、更新画像を表示するステップである。
【0070】
なお、ステップS103〜S105の構成は一例であり、本実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、背景画像がモノクロ二値の画像である場合には、中間調表示ステップS104は不要である。また、前景画像表示ステップS105を、白黒画像表示ステップと中間調表示ステップとにより構成し、中間階調を含む前景画像を表示してもよい。
さらに、背景と前景の2つのレイヤーに分割することなく1レイヤーとして更新画像を表示させてもよいし、3レイヤー以上に分割して順次表示を行ってもよい。
【0071】
以下、図8から図10を参照しつつ、本実施形態の駆動方法について詳細に説明する。
【0072】
[黒消去ステップS101(共通電極パルス駆動)]
まず、黒消去ステップS101では、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD1が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を、共通電極パルス駆動モードで全面黒表示する制御信号Cmdが入力される。
共通電極パルス駆動モードは、画素電極35を所定の定電位に保持した状態で共通電極37にハイレベルとローレベルを繰り返すパルスを入力することで電気泳動素子32を駆動する動作モードである。
【0073】
なお、画像データD1において黒く表示された部分(黒データ)が画素データ「0」(ローレベル(L)の画像信号)に対応する。一方、画像データD1において白く表示された部分(白データ)が画素データ「1」(ハイレベル(H)の画像信号)に対応する。
【0074】
制御回路261は、入力された画像データD1をメモリー制御回路266に転送する。メモリー制御回路266は、入力された画像データDをフレームメモリー265のメモリ空間に展開する。これにより、フレームメモリー265からデータ線駆動回路162に対して画像データDに対応する画像信号を供給可能な状態となる。
【0075】
その後、制御回路261は、走査線駆動回路161及びデータ線駆動回路162に制御信号を送信する。走査線駆動回路161は、制御信号に基づいて走査線66に選択信号であるパルスを入力する。一方、データ線駆動回路162は、走査線駆動回路161による選択動作に同期してフレームメモリー265から供給される画像信号を選択された画素140に供給する。
【0076】
これにより、図9(b)に示す画像データD1が表示部5の画素140に入力される。
画像データD1の黒データに対応する画素140では、ラッチ回路70にローレベル(L)の画像信号が保持され、ラッチ回路70からの出力によりオン状態とされたトランスミッションゲートTG1を介して第1の制御線91と画素電極35とが接続される。
一方、画像データD1の白データに対応する画素140では、ラッチ回路70にハイレベル(H)の画像信号が保持され、トランスミッションゲートTG2を介して第2の制御線92と画素電極35とが接続される。
【0077】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92を所定の同電位とする制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91(電位S1)と第2の制御線92(電位S2)の両方をハイレベル(H;例えば15V)に保持し、共通電極37(電位Vcom)にハイレベルとローレベル(L;例えば0V)とを周期的に繰り返す矩形波状のパルスを入力する。
【0078】
そうすると、表示部5の全ての画素140では、第1又は第2の制御線91、92と画素電極35とが接続されているから、ラッチ回路70に保持された電位によらず、全ての画素140の画素電極35に対して、第1又は第2の制御線91、92からハイレベルの電位が入力される。
【0079】
その結果、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35(ハイレベル)と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。これにより、黒色粒子26が共通電極37側に、白色粒子27が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図9(b)に示すように、表示部5の全面が黒表示状態となる。
【0080】
本実施形態の電気泳動表示装置200では、上述したように、画素140に第1及び第2の制御線91,92と接続されたスイッチ回路80を備えているため、第1及び第2の制御線91,92の電位を制御することで画素電極35の電位を直接制御できる。そのため、表示部5に画素データ「0」「1」の混在した画像データD1が保持されていても、表示部5を全面黒表示することができる。
【0081】
なお、黒消去ステップS101では、表示部5に何らかの画像データが保持されていればよいため、表示部5に転送する画像データは、図示の画像データD1でなくても構わない。例えば、黒データ(画素データ「0」)又は白データ(画素データ「1」)のみからなる画像データであってもよい。
【0082】
また、黒消去ステップS101の開始時に表示部5に画像データが保持されている場合には、表示部5に画像データD1を転送しなくてもよく、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。この場合には、画像データD1の転送動作を行わず、第1及び第2の制御線91、92の電位操作と共通電極37のパルス駆動のみで表示部5を全面黒表示する。
【0083】
[白消去ステップS102(共通電極パルス駆動)]
次に、白消去ステップS102に移行すると、制御回路261に対して、表示部5を共通電極パルス駆動モードで全面白表示させる制御信号Cmdが入力される。データバッファー264を介して制御回路261に入力される画像データD1は黒消去ステップS101と同様である。
【0084】
その後、制御回路261の制御下で画像データD1が表示部5に転送される。
なお、白消去ステップS102においても、表示部5に何らかの画像データが保持されていればよいため、黒消去ステップS101で転送された画像データD1を表示部5が保持し続けている場合には、画像データD1の転送動作は不要であり、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。
【0085】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して共通電極37をパルス駆動し、第1及び第2の制御線91、92を所定の同電位とする制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91と第2の制御線92の両方をローレベルに保持し、共通電極37にハイレベルとローレベルとを繰り返す矩形波状のパルスを入力する。
【0086】
上記のように電位が入力されると、全ての画素140において、画素電極35に第1及び第2の制御線91、92の電位が入力され、全ての画素電極35がローレベルとなる。そして、共通電極37がハイレベルである期間に、画素電極35(ローレベル)と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。これにより、白色粒子27が共通電極37側に、黒色粒子26が画素電極35側に引き寄せられ(図3参照)、図9(b)に示すように、表示部5の全面が白表示状態となる。
【0087】
[白黒画像表示ステップS103(画素電極パルス駆動)]
次に、白黒画像表示ステップS103に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD1が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を画素電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。
画素電極パルス駆動モードは、先の第1実施形態と同様の駆動モードであり、共通電極を所定の定電位に保持した状態で画素電極35にハイレベルとローレベルを繰り返すパルスを入力することで電気泳動素子32を駆動するモードである。
【0088】
その後、制御回路261の制御下で画像データD1が表示部5に転送される。
なお、黒消去ステップS101又は白消去ステップS102で表示部5に転送された画像データD1を表示部5が保持し続けている場合には、画像データD1の転送動作は不要であり、コントローラー163に対する画像データD1の供給も不要である。
【0089】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37及び第1の制御線91を所定の同電位とし、第2の制御線92をパルス駆動する制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持し、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0090】
黒データ(画素データ「0」)が入力された画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してローレベルの電位が入力される。かかる画素140では、画素電極35と共通電極37のいずれもローレベルであるから、電気泳動素子32は駆動されず、図9(b)に示すように、白表示を維持する。
【0091】
一方、白データ(画素データ「1」)が入力された画素140では、画素電極35に第2の制御線92を介してハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返すパルスが入力される。そうすると、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37(ローレベル)との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動され、図9(b)に示すように、白表示から黒表示に移行する。
【0092】
以上の白黒画像表示ステップS103により、全面白表示されていた表示部5の一部に黒表示部分が書き込まれる。その後、中間調表示ステップS104に移行する。
【0093】
[中間調表示ステップS104(共通電極パルス駆動)]
次に、中間調表示ステップS104に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD2が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を共通電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。その後、制御回路261の制御下で画像データD2が表示部5に転送される。
【0094】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、第1及び第2の制御線91、92にそれぞれ所定の電位を入力し、共通電極37をパルス駆動する制御信号を出力する。共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、第1の制御線91にハイレベルの電位を入力し、第2の制御線92にローレベルの電位を入力する。また、共通電極37にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0095】
黒データ(画素データ「0」)が入力された図8(b)の領域A2、A4に属する画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してハイレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差により電気泳動素子32が駆動される。
【0096】
このとき、電気泳動素子32は黒表示動作するが、図8(c)に示すように、中間調表示ステップS104は電圧印加期間が短くなっているため、元が白表示であった領域A2の画素140は黒表示にはならず、淡いグレー表示となる。一方、元が黒表示であった領域A4の画素140の表示は変化しない。
【0097】
白データ(画素データ「1」)が入力された画素140(領域A1、A3、A5)では、画素電極35に第2の制御線92を介してローレベルの電位が入力される。そうすると、共通電極37がローレベルである期間に、画素電極35と共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動される。
【0098】
このとき、電気泳動素子32は白表示動作するが、中間調表示ステップS104の電圧印加期間が短いため、元が黒表示であった領域A3の画素140は白表示にはならず、濃いグレー表示となる。一方、元が白表示であった領域A1、A5の画素140の表示は変化しない。
【0099】
以上の中間調表示ステップS104により、白黒画像表示ステップS103で黒表示されていた領域の一部(領域A3)が濃いグレーの中間調表示とされ、白表示されていた領域の一部(領域A2)が淡いグレーの中間調表示となる。その結果、中間階調を含む4階調表示が実現される。その後、前景画像表示ステップS105に移行する。
【0100】
[前景画像表示ステップS105(画素電極パルス駆動)]
次に、前景画像表示ステップS103に移行すると、データバッファー264を介して図9(a)に示す画像データD3が制御回路261に入力される。また、制御回路261に対して、表示部5を画素電極パルス駆動モードで動作させる命令を含む制御信号Cmdが入力される。その後、制御回路261の制御下で画像データD3が表示部5に転送される。
【0101】
次に、制御回路261は、共通電源駆動回路164に対して、共通電極37及び第1の制御線91を所定の同電位とし、第2の制御線92をパルス駆動する制御信号を出力する。
共通電源駆動回路164は、入力された制御信号に基づいて、図8(c)に示すように、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持し、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返すパルスを入力する。
【0102】
黒データ(画素データ「0」)が入力された画素140では、画素電極35に第1の制御線91(電位S1)を介してローレベルの電位が入力される。かかる画素140では、画素電極35と共通電極37のいずれもローレベルであるから、電気泳動素子32は駆動されず、中間調表示ステップS104における中間調を含んだ表示を維持する。
【0103】
一方、白データ(画素データ「1」)が入力された画素140(時刻表示部分)では、画素電極35に第2の制御線92を介してハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返すパルスが入力される。そうすると、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37との間に生じる電位差によって電気泳動素子32が駆動され、白表示の背景に黒表示の時刻表示がなされる。
【0104】
以上のステップS101〜S105により、中間階調を含む背景画像と、時刻表示からなる前景画像とが重ね合わされた画像を表示部5に表示することができる。
【0105】
上述したように、本実施形態の駆動方法では、表示部5に対して部分書き換えを行う白黒画像表示ステップS103と前景画像表示ステップS105において、共通電極37と第1の制御線91とをローレベルに保持する一方、第2の制御線92にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスを入力している。
【0106】
これにより、第2の制御線92と画素電極35とが接続される画素140(白データ(画素データ「1」)を入力された画素140)の電気泳動素子32のみを選択的に駆動し、所望の部分書き換えを行うことができる。また、表示を変化させる際に、電気泳動素子32に間欠的に電圧が印加されるため、共通電極パルス駆動を行う他のステップS101、S102、S104等と同等の表示品質が得られる。
【0107】
一方、書き換えを行わない画素140では、画素電極35と共通電極37とが同電位に保持されるため、電気泳動素子32に電圧が印加されず、電力をほとんど消費しない状態とすることができる。また、表示の濃さが変化したり、正負の電流バランスが崩れて電気泳動素子32や電極が劣化するのを防止することができる。
【0108】
また本実施形態では、表示部5の全体を書き換える黒消去ステップS101、白消去ステップS102及び中間調表示ステップS104では、共通電極37にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動を行う。
これにより、表示部5の全体を書き換える際に画素電極パルス駆動モードで動作させた場合よりも消費電力を抑えることができる。
【0109】
画素電極パルス駆動モードでは、第1の制御線91又は第2の制御線92にハイレベルとローレベルとを繰り返すパルスが入力されるため、グローバル配線である第1及び第2の制御線91、92の容量が充放電されることになる。第1及び第2の制御線91、92は、配線層が積層された第1基板30上に形成されており、他の配線とも近接しているため、配線容量が大きく、共通電極37と比較すると容量が10倍程度もある。したがって、表示部5の全体を書き換える場合には、共通電極パルス駆動を行った方が消費電力を低く抑えることができる。
【0110】
上記の配線容量の観点から、画素電極パルス駆動モードは、表示部5の50%以下の画素140を書き換える場合に適用することが好ましい。このような駆動方法とすることで、部分書き換えと全面書き換えの双方で電力消費を抑えることができ、表示品質を確保することができる。
【0111】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気泳動表示装置を、電子機器に適用した場合について説明する。
【0112】
[時計]
図10は、腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備えている。
時計ケース1002の正面には、上記実施形態の電気泳動表示装置100(200)からなる表示部1005と、秒針1021と、分針1022と、時針1023とが設けられている。時計ケース1002の側面には、操作子としての竜頭1010と操作ボタン1011とが設けられている。竜頭1010は、ケース内部に設けられる巻真(図示は省略)に連結されており、巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。表示部1005では、背景となる画像、日付や時間などの文字列、あるいは秒針、分針、時針などを表示することができる。
【0113】
[電子ペーパー]
図11は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記各実施形態の電気泳動表示装置100(200)を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0114】
図12は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0115】
以上の腕時計1000、電子ペーパー1100、及び電子ノート1200によれば、表示部に本発明に係る電気泳動表示装置100(200)が採用されているので、省電力性に優れた表示部を備える電子機器となっている。
なお、各図に示した電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0116】
[ペン入力デバイス]
図13は、本実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
先の実施形態の電気泳動表示装置は、図13に示すペン入力デバイス(座標入力装置)を備えた情報処理システム1500の表示手段としても好適に用いることができる。
【0117】
情報処理システム1500は、指示体(操作デバイス)であるペン702を有するホスト装置703と、ホスト装置703の処理結果の表示と操作に用いられるクライアント装置701とを備えている。
ホスト装置703とクライアント装置701とは、操作デバイス(ペン702及び操作ボタン)による操作に伴って接続される。ホスト装置703はイベント駆動型の情報処理装置であり、クライアント装置701に対するペン操作に伴って発生するイベントに基づいて所定の処理を実行する方式である。
なお、1台のホスト装置703に対して複数のクライアント装置701を切り換えつつ接続することが可能である。
【0118】
ホスト装置703及びクライアント装置701には、相互に信号を送受信する通信手段が備えられている。
本実施形態の場合、クライアント装置701の通信手段は、操作ボタン109a、109b、109cと、操作ボタン109a〜109cと接続された処理部103とを含んで構成される。一方、ホスト装置703の通信手段は、ホスト装置703に有線又は無線により接続されたペン702を含んで構成される。
ペン702と、例えば操作ボタン109aとを接触させると、クライアント装置701の処理部103とホスト装置703の文書処理部160との間で所定の通信情報が相互にやり取りされる。
【0119】
なお、本実施形態では、ペン702と操作ボタン109a〜109cとが接触(タッチ)したときに、クライアント装置701とホスト装置703との通信が開始される構成が採用されているが、通信の開始条件は上記のタッチ以外にも種々の動作に対して設定することができる。例えば、ペン702が接触しないまでも、操作ボタン109a〜109cのいずれかに対して接近したときに通信が開始されるようにしてもよい。
また、操作ボタン109a〜109cとペン702とを介した通信方式ではなく、クライアント装置701とホスト装置703とが有線接続又は無線接続される構成であってもよい。無線接続の場合には、中継局を介して接続される構成であってもよい。この場合にはクライアント装置701とホスト装置703とが常時通信可能であるため、ペン702や操作ボタン109a〜109cに通信手段を設ける必要はない。
【0120】
<クライアント装置>
クライアント装置701は、記憶性表示体101と、不揮発性記憶部102と、処理部103と、表示制御部104と、インターフェース部105と、を備えて構成されている。記憶性表示体101には、タッチパネル180が備えられている。
クライアント装置701は、記憶性表示体101への表示データに基づく画像表示を行う画像表示機能と、ペン702や他の指示体により記憶性表示体101(タッチパネル180)上をタッチしたときの軌跡を記憶性表示体101に表示させるペン入力機能と、を備えている。
【0121】
記憶性表示体101は、先の実施形態の電気泳動表示装置200と、電気泳動表示装置200の前面側に配設されたタッチパネル180(図14参照)と、を備えて構成されており、クライアント装置701における画像表示手段並びに座標入力手段として機能する。
記憶性表示体101は、表示制御部104を介してクライアント装置701のシステムバスに接続されている。表示制御部104は、電気泳動表示装置200のコントローラー163(図5参照)と接続され、コントローラー163に対して画像データを送信する。
【0122】
ここで、図14は、本実施形態のクライアント装置701に適用される記憶性表示体101の概略構成を示す図である。
図14に示すように、電気泳動表示装置200の表示部5上にタッチパネル180が配設されている。電気泳動表示装置200の表示部5には、走査線駆動回路161と、データ線駆動回路162とが接続されている。
【0123】
本実施形態の場合、走査線駆動回路161は、図示上下方向に延びる2つの回路素子列161A、161Bを有して構成されており、回路素子列161A、161Bのそれぞれに複数のスタートパルス入力端子240が設けられた構成を備えている。スタートパルス入力端子240には、走査線駆動回路161に順次選択動作を開始させるスタートパルスがコントローラー163から供給される。
【0124】
上記構成により、走査線駆動回路161は、図示Y方向に沿って配列された走査線66を双方向に順次選択可能に構成されている。すなわち、走査線駆動回路161において、回路素子列161Aのスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力されると、走査線駆動回路161は、走査線66を順方向(図13の場合の下側から上側に向かう方向Y)に順次選択する。一方、回路素子列161Bのスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力された場合、走査線駆動回路161は、走査線66を逆方向(図中Y方向と逆方向)に順次選択する。
【0125】
本実施形態の場合、回路素子列161Aに属する4つのスタートパルス入力端子240は、回路素子列161Aを走査線66の配列方向に4等分したときの各部分の下端にそれぞれ配置されている。一方、回路素子列161Bに属する4つのスタートパルス入力端子240は、回路素子列161Bを4等分した各部の上端にそれぞれ配置されている。なお、スタートパルス入力端子240の配設位置は任意に設定することができる。
【0126】
複数のスタートパルス入力端子240には選択的にスタートパルスを入力可能であり、スタートパルスを入力されたスタートパルス入力端子240から走査線66の順次選択動作が開始される。例えば、回路素子列161Bのほぼ中央に位置するスタートパルス入力端子240aにスタートパルスを入力すると、かかるスタートパルス入力端子240aに対応する走査線66から逆方向(データ線駆動回路162側;矢印Yと逆方向)に向かって順次選択動作が実行される。
【0127】
電気泳動表示装置200の表示部5上に設けられたタッチパネル180は、クライアント装置701における位置検出手段(座標入力手段)であり、ペン702等の指示体の接触又は接近を検出することにより、指示された表示部5上の位置情報(タッチ点の位置情報)を検出する。
詳細は後述するが、タッチパネル180により検出された位置情報は表示制御部104に送信され、表示制御部104は入力された位置情報に基づいてタッチの軌跡を記憶性表示体101に表示させる。
【0128】
タッチパネル180としては、種々の方式を採用可能であり、検出精度と装置の大きさ、コスト、重量等に応じてその方式を選択することができる。例えば、オペレーターがタッチした点における通電によって生じる電気抵抗の変化を検出する抵抗膜方式や、オペレーターが指でタッチしたときに生じる静電容量の変化によってタッチを検出する静電容量方式を採用することができる。あるいは、タッチパネル180にペン702等がタッチあるいは近接したことによって生じる超音波や赤外光の変化を検知することで、オペレーターによって指定された点を検出する超音波表面弾性波方式や赤外線遮光方式を利用することもできる。
また、タッチパネル180は、表示部5上の座標と対応する座標が設定されたものであれば、表示部5の直上に配置されていなくてもよい。例えば、表示部5の周辺にタッチパネル180が配置されており、かかるタッチパネル180への入力操作を行うことで表示部5上の座標を指定する方式であってもよい。
【0129】
図13に戻り、クライアント装置701の記憶性表示体101の近傍には、操作ボタン109a、109b、109cが設けられている。操作ボタン109a〜109cには、クライアント装置701に対するオペレーターの操作が割り当てられる。例えば、記憶性表示体101に表示されている画面の書換え(ページ捲り、ページ戻し、初期画面移行)等の操作が割り当てられる。
【0130】
操作ボタン109a〜109cは、後述するホスト装置703のペン702とともにクライアント装置701とホスト装置703との間の通信インターフェースとしても機能する。本実施形態の場合、操作ボタン109a〜109cには、赤外線受発光部を備える光通信モジュールが設けられている。一方、ペン702には、赤外線を照射する赤外照射部、照射された赤外線の反射光を受光する赤外線受信部、反射光を赤外線受信部に結像する撮像光学系が設けられている。
なお、操作ボタン109a〜109cとペン702との局所的な通信方式としては、上記赤外線等の光による方式のほか、電磁波による方式や電磁誘導による方式等を用いることもできる。
【0131】
また、操作ボタン109a〜109c及びペン702には、光通信モジュールに電力を供給する機構が設けられている。具体的には、操作ボタン109a〜109cとペン702のそれぞれにコイルが設けられており、ペン702を操作ボタン109a〜109c上に接触させると、両者のアンテナコイルが電磁的に結合し、ホスト装置703側から、ペン702を介して、クライアント装置701に電力が供給される。
これにより、操作ボタン109a〜109cの光通信モジュールと、ペン702の赤外線照射部及び赤外線受信部とが通信可能な状態となる。そして、クライアント装置701の処理部103において、タッチされた操作ボタンを特定するための信号が生成され、かかる信号に対応する通信情報がペン702を介してホスト装置703に送信される。
【0132】
クライアント装置701とホスト装置703との間の情報入出力を赤外線で行うようにした本実施形態は、電磁誘導による場合に比べて低消費電力であって、かつ高速(16Mbps等)な通信が可能になる。また、電磁カプリングを設けてクライアント装置701へ給電する場合の通信への影響を抑えることができる。
【0133】
次に、不揮発性記憶部102は、記憶性表示体101に表示させるコンテンツのデータや、動作制御用のコマンド、パラメーターなどを保持する記憶装置である。不揮発性記憶部102は、例えばEEPROM(Electrically-Erasable and Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリー等からなる不揮発性メモリーにより構成することができる。
【0134】
不揮発性記憶部102には、表示データ110、反応マップ111、処理状態データ112、及び文書データ113が保持されており、その他のデータやパラメーターが保持されていてもよい。
表示データ110は、文書データ113に基づいてホスト装置103で生成された表示画像のデータであり、ホスト装置703から表示制御部104を介して記憶性表示体101に入力され、記憶性表示体101に表示される。
処理状態データ112は、ホスト装置703による文書データ105の処理方法や処理履歴を記録したデータであり、処理の継続の際に参照されるべき処理コンテキスト情報等を含んでいる。
【0135】
反応マップ111は、操作ボタン109a、109b、109cに対応づけられているコマンドや、記憶性表示体101の各座標に表示されている文書要素や対話要素(文字列、画像、リンク情報、実行指図)を示すマップである。反応マップ111を備えていることで、操作に対応して行うべき反応をクライアント装置701で取得することができ、ホスト装置703に実行指示することができる。
なお、反応マップ111は、操作ボタン109a〜109cに割当てられた所定の指示に関する反応マップと、文書要素の抽出に関する反応マップの二種類を含んでいる。所定の指示に関する反応マップは、所定の動作の実行を指示するものであって、一方、文書要素の抽出に関する反応マップは記憶性表示体101の各座標位置に割当てられた文書要素や対話要素(文字列、画像、リンク情報、実行指図)を抽出するためのものである。
【0136】
処理部103は、表示実行部114と、反応抽出部115とを備えている。
表示実行部114は、不揮発性記憶部102に記憶されている表示データ110の更新に応じて記憶性表示体101を制御し、更新された表示データ110を記憶性表示体101に入力し表示させる。
反応抽出部115は、操作ボタン109a、109b、109cのいずれかが操作されたか、あるいはペン702がタッチした点の座標(位置情報)を反応マップ111に対照し、コマンドや記憶性表示体101に表示されている文書要素や対話要素のデータを取得する。そして、取得したデータを、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してホスト装置703の文書処理部160に出力する。
【0137】
表示制御部104は、タッチパネル180によって検出された位置情報に基づいて画像を描画する軌跡処理部142(クライアント側画像描画手段)と、軌跡処理部142によって描画された画像と表示データ110に基づく画像とを重ねてディスプレイに表示する合成・分離部141(クライアント側画像合成手段)と、を備えている。
【0138】
軌跡処理部142は、タッチパネル180によって検出されたタッチ点に相当する記憶性表示体101の画素を描画色に変更した画像を生成する。すなわち、記憶性表示体101上におけるタッチペン180の軌跡(点、線)を描画した画像を生成する。生成された画像(線画)は、表示制御部104において不揮発性記憶部102の表示データ110とは別のレイヤーの画像(レイヤー画像)として管理される。
合成・分離部141は、軌跡処理部142で生成された線画のレイヤー画像とホスト装置703から入力された表示データ110のレイヤー画像とを重ね合わせた画像を生成する。生成された合成画像は記憶性表示体101に送信され、記憶性表示体101に表示される。このように線画のレイヤー画像と表示データ110のレイヤー画像とを重ねて表示することにより、表示データ110上にマーカや注釈等を追記するような操作感をオペレーターに与えることができる。
また、合成・分離部141は、線画のレイヤー画像と表示データ110に基づくレイヤー画像とが重ね合わされて表示されている場合に、いずれか一方のレイヤー画像を非表示とする処理を行い、2つのレイヤー画像を分離することもできる。
【0139】
なお、軌跡処理部142には、タッチパネル180と記憶性表示体101との位置合わせのための補正情報が保持されていてもよい。これにより、ペン702の軌跡をより正確に記憶性表示体101に表示させることができる。
また、合成・分離部141は、線画のレイヤー画像を削除(初期化)する機能を備えていることが好ましい。例えば、連続した軌跡の入力が終了し軌跡が確定された後、後述するホスト装置703による合成画像の確定の際に、軌跡処理部142によって描画された線図をクリアすることが望ましい。
また、軌跡処理部142は、タッチパネル180によって検出された位置に基づいて線画を描画する構成に限定されるものでなく、ポインタ等の画像を描画するものであってもよい。このような構成によれば、電子ペーパーにおいてもオペレーターが目視している位置やコマンドの実行範囲を速やかに示し、情報処理システムの操作性を高めることができる。
【0140】
なお、本実施形態では、ペン702により記憶性表示体101上の任意の位置をタッチしたときに、ホスト装置703においてもタッチ位置の検出とその結果の保存が行われる。タッチ位置の検出は、記憶性表示体101に座標パターン(位置情報コード)を予め設定しておき、この座標パターンをペン702を介して読み取ることにより行われる。つまり、ペン702により記憶性表示体101をタッチしたときに、ペン702の赤外照射部で記憶性表示体101を照明し、ペン702に併設された赤外線受光部で座標パターンを光学的に読み取る。そして、読み取った座標パターンがホスト装置703の位置検出部150に入力され、タッチ位置の情報がホスト装置703にも保持される。
【0141】
インターフェース部105は、二次電池131と、操作部132とを備えている。二次電池131は、以上述べた各構成に電力を供給するための電池である。操作部132は、ホスト装置703を介することなくクライアント装置701に直接指示を入力するためのユーザーインターフェースであり、操作ボタンやスライドスイッチ等を含む構成である。
【0142】
<ホスト装置>
次に、ホスト装置703は、位置検出部150と、文書処理部160と、情報サービス部170と、電源190とを備えている。
【0143】
位置検出部150は、観測部151と演算部152とを有する。観測部151は、ペン702から送信される赤外線受信部の受光結果に基づいてペン702がタッチしている点の座標パターンを検出する。検出された座標パターンは、演算部152に出力される。演算部152は、座標パターンに対して情報図形をデコードする等の演算をしてタッチ点の座標を特定し、座標を文書処理部160に送出する。
【0144】
文書処理部160は、情報処理システム全体を制御する中央制御部である。文書処理部160は文書応用プログラム161を備えている。文書応用プログラム161は、指示内容の判断、内容に対応する処理ルーチンの読出し、実行に係るプログラムである。
文書処理部160は、文書応用プログラム161の実行により、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介して取得した各種の処理の指示に従い、予め記憶されている指示に対応する処理ルーチンを読み出して実行する。具体的な処理ルーチンとしては、表示データ110を生成し、生成された表示データ110をペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してクライアント装置701に送信する処理である。
【0145】
より詳細には、例えば、記憶性表示体101に表示中の画像の次ページを表示する指示(ページ捲り)が発生した場合に、文書応用プログラム161は、まず、記憶性表示体101に現在表示されているページに関する情報である処理状態データ112と文書データ113とを、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介して不揮発性記憶部102から取得する。そして、処理状態データ112と文書データ113とに基づいて次ページのレイアウト処理を実行し、次ペー。、ジの表示データ110と反応マップ111とを生成する。その後、生成した表示データ110及び反応マップ111を、ペン702及び操作ボタン109a〜109cを介してクライアント装置701に送信し、不揮発性記憶部102に記憶させる。
【0146】
文書処理部160はまた、位置検出部150から得たタッチ点の座標を、文書応用プログラム161の処理指示に応じて処理する。例えば、タッチ点に相当する軌跡を、文書データ113に追記する処理を実行する。この場合、文書処理部160は、まず、ペン702を介して順次取得されるタッチ点の座標を一時メモリーに蓄え、オペレーターによる指示操作に備える。そして、オペレーターがクライアント装置701上の合成画像を見ながら一連の軌跡を描いた後に、その軌跡を反映させる確定の操作に対応する操作ボタン109a〜109cをタッチすると、ホスト装置703において当該操作が行われたことが判定される。すると、対応する文書応用プログラム161が呼び出され、一時メモリーに蓄えられた軌跡の座標データ列が処理される。この際、文書処理部160では、文書応用プログラム161での指示に基づき、例えば、タッチ点に相当する軌跡を追記した結果の表示データ110を生成し、かかる表示データ110をクライアント装置701に送信する。
【0147】
上記の構成において、文書処理部160は、ペン702の軌跡からなる軌跡画像を描画するホスト側画像描画手段、描画された軌跡画像と画像データに基づく表示画像とを合成した合成画像を生成するホスト側画像合成手段、及び、生成された合成画像を、クライアント装置701で生成したレイヤー画像に代えて記憶性表示体101に表示させる表示制御手段として機能する。
【0148】
情報サービス部170は、クライアント装置701に送信可能な文書データを管理する文書管理部171と、他のネットワーク資源と接続するネットワーク通信部172とを備えて構成されている。文書管理部171は、多数の文書データ113を保持する記憶部であり、ネットワーク通信部172は、有線又は無線のネットワーク通信を提供するものである。
【0149】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム1500では、クライアント装置701にペン702のタッチに即したレイヤー画像を生成して速やかに軌跡を表示させる機能が備えられているため、オペレーターに優れた操作性を提供することができる。
さらに、ホスト装置703においてペン702の軌跡を表示データ110に重ね合わせた合成画像を生成し、かかる合成画像を記憶性表示体101に表示させることができる。このようにホスト装置703で生成される合成画像は、クライアント装置701で生成されるレイヤー画像と比較して画質を高めることができるため、先のクライアント装置701単体による迅速なペン軌跡の表示と併せて用いることで、優れた操作性と高画質の表示とを両立できる構成となる。
【0150】
なお、ホスト装置703でより高画質の合成画像を生成できるのは、携帯性が求められるクライアント装置701では、処理部103や表示制御部104等について小型化、軽量化する必要があるが、ホスト装置703では小型化、軽量化の必要性が低く、より高性能の画像処理回路を搭載可能だからである。
【0151】
<駆動方法>
次に、本実施形態の情報処理システム1500において、クライアント装置701の記憶性表示体101に対するタッチ入力を行う場合の駆動方法について説明する。
図15は、タッチパネル180に対するタッチ入力に伴って電気泳動表示装置200に指示体の軌跡を表示させる場合における電気泳動表示装置200のタイミングチャートである。
【0152】
クライアント装置701において、電気泳動表示装置200に指示体の軌跡を表示させるには、まず、図15に示すステップS21において、全ての画素140のラッチ回路70に保持された画像信号をリセットする。
具体的には、表示制御部104の合成・分離部141から画素データ[0]のみからなる表示データ110が記憶性表示体101の電気泳動表示装置200に供給される。その後、電気泳動表示装置200において、走査線駆動回路161から走査線66にハイレベル(4V)の走査信号が順次入力され、データ線駆動回路162からデータ線68にローレベル(0V)の画像信号が入力される。これにより、表示部5の全ての画素140のラッチ回路70にローレベル(0V)の画像信号が保持される。
【0153】
上記動作により、表示部5の全ての画素140において、第1のトランスミッションゲートTG1がオン状態となり、第1の制御線91と画素電極35とが電気的に接続された状態となる。しかし、ステップS21において第1の制御線91及び共通電極37はいずれもハイインピーダンス状態(Hi−Z)であるため、実際の表示は変化しない。
【0154】
その後、ステップS22に移行すると、共通電極37にローレベル(0V)が入力され、第1の制御線91にローレベル(0V)が入力され、第2の制御線92にハイレベル(4V)とローレベル(0V)とを周期的に繰り返す矩形波が入力される。そして、ステップS22の期間中、走査線66の選択動作が繰り返し行われ、タッチ入力に伴い変更された合成画像が表示部5へ順次転送される。これにより、タッチパネル180への指示体(ペン702等)によるタッチ入力が表示に反映されるようになる。
ペン702等の指示体によるタッチ入力が有効な期間であるステップS22の期間は、例えば20〜30フレーム程度の長さに設定することが好ましい。
【0155】
タッチ入力の表示への反映動作は以下のようにして成される。
クライアント装置701において、タッチパネル180は、ペン702等の指示体が接触したことを検出し、接触位置(タッチ点)の座標を示す座標データ(位置情報)を表示制御部104に出力する。
タッチ点の位置情報が入力されると、表示制御部104の軌跡処理部142は、タッチ点に対応する画素を描画色(画素データ[1])に変更する描画を行い、タッチ入力の軌跡に対応するレイヤー画像を生成する。次いで、生成されたレイヤー画像(タッチ入力の軌跡の画像)が、合成・分離部141において表示データ110のレイヤー画像(画素データ[0]のみからなる背景画像)と合成される。その後、生成された合成画像が、電気泳動表示装置200に入力される。
【0156】
電気泳動表示装置200では、ステップS22の期間中、画像データの表示部5への転送動作が繰り返し行われるため、上記合成画像は、電気泳動表示装置200に入力される都度、順次表示部5へ転送される。
これにより、タッチ入力の軌跡に対応する画素140に、画素データ[1]に対応するハイレベル(4V)が入力され、それ以外の画素140には画素データ[0]に対応するローレベル(0V)が入力される。
そして、ハイレベルの画像信号が入力された画素140では、第2のトランスミッションゲートTG2がオン状態となって第2の制御線92と画素電極35とが電気的に接続される。そうすると、画素140の画素電極35(図15に示す電位VB)に、ハイレベル(4V)とローレベル(0V)とを周期的に繰り返す矩形波が入力される(画素電極パルス駆動モード)。
その結果、画素電極35がハイレベルである期間に共通電極37(ローレベル)との間に生じる電位差により電気泳動素子32が駆動され、タッチ入力の軌跡に対応する画素140が黒表示に変更される。
なお、画素データ[0]が入力された画素140では、画素電極35は第1の制御線91の電位(ローレベル)となり、共通電極37(ローレベル)との電位差が生じないため、表示が更新されない。
したがって、上記動作によれば、表示部5に予め表示されていた画像に対して、タッチ入力の軌跡が追記された画像が表示されることになる。
【0157】
また、本実施形態の場合、図14に示したように、走査線駆動回路161が双方向に走査可能に構成されているので、クライアント装置701は、表示制御部104に入力される位置情報の変化からタッチ点の移動方向(軌跡の延びる方向)が、走査線66の配列方向(図14の上下方向)の2方向のうちいずれの方向であるかを検出する。そして、表示制御部104は、タッチ点の座標と上記移動方向とから、走査線駆動回路161による走査線66の選択開始位置(スタートパルスの入力位置)を決定し、電気泳動表示装置200に送信する。
【0158】
例えば、図16に示すように、タッチパネル180上でペン702を図中上方向に移動させた場合には、走査線駆動回路161は、図示下側の走査線66から上側の走査線66へ順に選択し、走査信号を入力する。この動作により、ペン702による接触領域W2の移動する方向に向かって、表示部5の表示画像が更新されることになる。
さらに具体的には、図中右側の回路素子列161Aに属する4つのスタートパルス入力端子240のうち、タッチパネル180上の最初のタッチ点である接触領域W2に最も近く、かつ接触領域W2よりも移動方向上流側に位置するスタートパルス入力端子240にスタートパルスが入力される。図16に示す例では、下から2番目のスタートパルス入力端子240bにスタートパルスが入力される。これにより、表示部5のうち、タッチ入力の軌跡を表示させるべき領域の表示を迅速に更新することができ、タッチ入力から表示までのタイムラグが短縮される。
【0159】
なお、図16に示す例では、ステップS22において画像データを転送する際に、接触領域W2の走査線66配列方向の長さが、接触領域W2の水平方向(走査線66延在方向)の幅L1に対応する長さとなるように、複数本(図示では8本)の走査線66を同時に選択して画像信号を入力している。このように複数本の走査線66を同時に選択する駆動方法は、スタートパルス入力端子240に入力するスタートパルスのパルス幅を変更する(あるいは複数のスタートパルスを連続入力する)ことで容易に実現できる。
【0160】
次に、図14に示すステップS23に移行すると、高電位電源線50の電位Vddが4Vから20Vに引き上げられる。これにより、タッチ入力の軌跡に対応する位置の画素140において、画素電極35に入力されるハイレベルの電位が20Vに引き上げられる。そうすると、電気泳動素子32が20Vで駆動され、タッチ入力の軌跡に対応する線画のコントラストが上昇する。
その後、ステップS24に移行すると、画素140に接続されている各配線がハイインピーダンス状態とされ、表示された画像が電力を消費することなく保持される。なお、ステップS24を実行することなくステップS21に戻り、再度タッチ入力可能な状態に移行させてもよい。
【0161】
以上の説明では、ペン702等の指示体を図16の上下方向(走査線66の配列方向に沿った方向)に動かす場合について説明したが、図17に示すように、ペン702等の指示体をタッチパネル180上で斜め方向に動かす場合にも、上記と同様に図中下側の走査線66から図示上側の走査線66に向かって順次選択動作がなされる。ただし、この場合に図16と同様の大きさの接触領域W2を移動させるように表示させると、図17に示すように斜め方向に延びる線(画像W1)の幅L2は、接触領域W2の水平方向の幅L1(走査線66の延在方向に沿う幅)よりも大きいため、タッチ入力の移動方向によって線幅の異なる軌跡が表示されてしまう。
【0162】
そこで、走査線66の配列方向に対して斜め方向にタッチ入力を移動させる場合には、移動方向に応じて寸法(同時選択する走査線66の本数)を調整し面積を縮小した接触領域W4を用いて表示を行う。接触領域W4は、これを斜め方向にさせたときの軌跡(画像W3)の線幅L3が、接触領域W2の水平方向の幅L1と一致するように設定される。すなわち、接触領域W4は、その水平方向(走査線66延在方法)の幅L4が、L4=L1×(L3/L2)となるように設定され、同時選択する走査線66の本数も幅L4に対応する本数に少なくされる。図17に示す例では、同時選択する走査線66の本数を8本から5本に減少させることで、斜め方向に延びる線の画像W3の幅と、上下方向に延びる線の画像W1の幅を一致させることができる。
【0163】
なお、タッチパネル180上の接触位置(接触領域)が移動する場合、例えば不図示のバッファに接触位置についての複数の座標データを記憶させ、これらの複数の座標データによって1つのレイヤー画像(タッチ入力の軌跡の画像)を生成するようにしても構わない。この場合、複数のデータ線68にまとめて画像信号が供給されることとなる。この駆動方法を複数の走査線66を同時選択する上記の例と組み合わせることにより、一回の走査によって上下左右において複数ラインの範囲を一度に書き換えることができるため、書き換えのタイムラグを極力短縮することができ、よりリアルタイムに表示を書き換えることができる。同時に画像信号を入力されるデータ線68の本数は、例えば同時に走査信号を供給する走査線66の本数と同一本としても構わないし、異なる本数としても構わない。
【0164】
以上詳細に説明したように、本実施形態の情報処理システム1500では、タッチパネル180に対するタッチ入力の軌跡を記憶性表示体101に表示させるに際して、表示部5の画素電極35にハイレベルとローレベルとを繰り返す矩形波を入力している。これにより、表示を更新すべき画素140(タッチ入力の軌跡に対応する画素)のみを駆動して表示を行い、それ以外の画素140では電力を消費することなく表示を維持させることができる。
ペン702等の指示体の軌跡を表示させる場合、表示を更新する領域は表示部5のごく一部である。そのため、表示を更新する画素140のみを駆動できる画素電極パルス駆動モードを用いて軌跡を表示させることで、効果的に消費電力を低減することができる。
【0165】
なお、上記実施形態では、ステップS21において全ての画素140のラッチ回路70にローレベルを入力し、ステップS22においてタッチ入力の軌跡に対応する画素140のラッチ回路70にハイレベルを入力するとともに、第2の制御線92にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返す矩形波を入力することとしたが、かかる駆動方法には限られない。
例えば、ステップS21においてすべての画素140のラッチ回路70にハイレベルを入力し、ステップS22においてタッチ入力の軌跡に対応する画素140のラッチ回路70にローレベルを入力するとともに、第1の制御線91にハイレベルとローレベルを周期的に繰り返す矩形波を入力してもよい。
【符号の説明】
【0166】
100,200 電気泳動表示装置、32 電気泳動素子、35 画素電極、37 共通電極、40,140 画素、63,163 コントローラー(制御部)、70 ラッチ回路、80 スイッチ回路、91 第1の制御線、92 第2の制御線、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記画像表示ステップが、
前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
表示を更新される前記画素の割合に基づいて前記画素電極パルス駆動ステップ又は前記共通電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
表示を更新される前記画素の割合が全ての前記画素に対して50%以下であるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、
前記指示体の軌跡を表示させるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項4に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
表示を更新される前記画素の割合が100%であるときにのみ、前記共通電極パルス駆動ステップが実行されることを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力端子と前記第1及び第2の制御線とに接続されたスイッチ回路と、が設けられており、
前記画素電極パルス駆動ステップにおいて、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記共通電極パルス駆動ステップにおいて、
前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項9】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、
前記制御部は、
前記表示部に画像を表示させるに際して、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記表示部に画像を表示させるに際して、
前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする請求項9に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記制御部は、
前記画素電極パルス駆動動作において、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項9又は10に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記制御部は、
前記共通電極パルス駆動動作において、
前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項10又は11に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、
前記制御部は、
前記画素電極パルス駆動動作によって前記表示部に前記指示体の軌跡を表示させることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極とを有する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記画像表示ステップが、
前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
表示を更新される前記画素の割合に基づいて前記画素電極パルス駆動ステップ又は前記共通電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
表示を更新される前記画素の割合が全ての前記画素に対して50%以下であるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、
前記指示体の軌跡を表示させるときに、前記画素電極パルス駆動ステップが選択されることを特徴とする請求項4に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
表示を更新される前記画素の割合が100%であるときにのみ、前記共通電極パルス駆動ステップが実行されることを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の出力端子と前記第1及び第2の制御線とに接続されたスイッチ回路と、が設けられており、
前記画素電極パルス駆動ステップにおいて、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記共通電極パルス駆動ステップにおいて、
前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項9】
第1基板と第2基板との間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を挟持してなり、複数の画素を配列してなる表示部を備え、各々の前記画素に対応して前記第1基板の前記電気泳動素子側に形成された画素電極と、前記第2基板の前記電気泳動素子側に形成され、複数の前記第1電極と対向する共通電極と、前記画素電極及び前記共通電極に入力する電位を制御する制御部と、を有する電気泳動表示装置であって、
前記制御部は、
前記表示部に画像を表示させるに際して、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極に第1の電位と第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極に前記第1の電位又は前記第2の電位を入力し、前記共通電極には、表示を変化させない前記画素に属する前記画素電極と同電位を入力する画素電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記表示部に画像を表示させるに際して、
前記画素電極に更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力し、前記共通電極には前記第1の電位と前記第2の電位とを周期的に繰り返すパルスを入力する共通電極パルス駆動動作を実行することを特徴とする請求項9に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記制御部は、
前記画素電極パルス駆動動作において、
表示を変化させる前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線に、前記第1の電位と前記第2の電位を周期的に繰り返すパルスを入力する一方、表示を保持する前記画素に属する前記画素電極と接続される前記第1又は第2の制御線には、前記共通電極と同電位である前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項9又は10に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記表示部に、各々の前記画素と接続された第1及び第2の制御線が形成され、前記画素ごとに、画素スイッチング素子と、前記画素スイッチング素子と接続されたラッチ回路と、前記ラッチ回路の2つの出力端子とともに前記第1及び第2の制御線に接続されたスイッチ回路とが設けられており、
前記制御部は、
前記共通電極パルス駆動動作において、
前記第1及び第2の制御線に、更新後の表示色に対応する前記第1又は第2の電位を入力することを特徴とする請求項10又は11に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
前記電気泳動表示装置に、指示体による入力を行う座標入力装置が備えられており、
前記制御部は、
前記画素電極パルス駆動動作によって前記表示部に前記指示体の軌跡を表示させることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−204629(P2010−204629A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198110(P2009−198110)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]