説明

電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器及び電子時計

【課題】 DCバランスをとりつつ、画像の更新タイミングを使用者に示し、緩やかに画像を更新する電気泳動表示装置の駆動方法の提供。
【解決手段】 電気泳動表示装置の駆動方法であって、表示部に表示されている画像を反転表示させるように、共通電極と画素電極に印加する電圧を制御する反転工程S2と、反転工程の後に、異なる第2の画像を表示させるように、共通電極と画素電極に印加する電圧を制御する更新工程S3とを含み、反転工程は、共通電極に第1、第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、画素電極に第1、第2の電位のいずれかを印加する第1パルス印加工程を行い、更新工程は、第1パルス印加工程と共通電極および画素電極に同じ電圧を印加する第2パルス印加工程を含み、第1パルス印加工程の後に第2パルス印加工程を行うことを、所与の回数繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器及び電子時計等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源を切っても画像を保持できるメモリー性を有する表示パネルが開発され、電子時計等にも使用されている。メモリー性を有する表示パネルとしては、電気泳動表示装置(Electrophoretic Display)すなわち電気泳動表示装置や、メモリー性液晶表示装置等が知られている。
【0003】
電気泳動表示装置は、視野角の広さ、コントラストの高さ、柔軟性、反射型ディスプレイであるゆえの低消費電力などの優れた利点がある。
【0004】
一方で、特許文献1に記載されているように、電気泳動表示装置において電極間に印加される電界の時間平均がほぼゼロでなければ、装置の動作寿命が短くなる恐れがある。つまり、電気泳動表示装置の長期信頼性を確保するためには、DCバランスがとられること、すなわち印加される電界の時間平均がほぼゼロになることが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−530201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、電気泳動表示装置が様々な機器に適用されるにつれて、表示上の表現力も求められるようになってきている。具体的には、表示画面の切り替えのスピードが制御可能であること、特に、緩やかな表示画面の切り替えが可能であることが求められている。
【0007】
例えば、写真等を表示するディスプレイに適用される場合には、フェードイン、フェードアウトといった視覚効果を備えることが望ましい。
【0008】
また、デジタル表示の電子時計に適用される場合において、瞬時に時刻表示が更新されると、使用者は何が変化したのかを把握できないことがある。さらに、アナログ表示の電子時計に適用される場合においては、時刻更新時の分針の変化はわずかであり、一層、更新された内容を認識することが難しい。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、DCバランスをとりつつ、画像の更新のタイミングを使用者に示し、緩やかな画像の更新を可能にする電気泳動表示装置の駆動方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法であって、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画素を複数配置する表示部を含み、一方の前記基板と前記電気泳動素子との間に前記画素に対応する画素電極が形成され、他方の前記基板と前記電気泳動素子との間に、複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成されており、前記共通電極と前記画素電極との間に生じた電界によって前記電気泳動粒子が移動して前記表示部に表示される画像が変化する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記表示部に表示されている第1の画像を反転させて表示させるように、前記共通電極と前記画素電極とに印加する電圧を制御する反転工程と、前記反転工程の後に、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示させるように、前記画素電極と前記共通電極とに印加する電圧を制御する更新工程と、を含み、前記反転工程は、前記共通電極に第1の電位と第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位および前記第2の電位のいずれかを印加する第1パルス印加工程を行い、前記更新工程は、前記第1パルス印加工程と、前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに同じ電圧を印加する第2パルス印加工程と、を含み、前記第1パルス印加工程の後に前記第2パルス印加工程を行うことを、所与の回数繰り返す。
【0011】
(2)この電気泳動表示装置の駆動方法において、前記更新工程は、前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位を印加する第2パルス印加工程を含んでもよい。
【0012】
(3)この電気泳動表示装置の駆動方法において、前記更新工程は、前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに前記駆動パルス信号に基づく電圧を印加する第2パルス印加工程を含んでもよい。
【0013】
これらの発明の電気泳動表示装置の駆動方法によれば、第1の画像から第2の画像への更新の際に、第1の画像を反転させて(反転工程)から第2の画像を表示させる(更新工程)。そのため、画像が更新されることを事前に使用者に示すことができ、使用者は更新内容に注意を向けることができる。
【0014】
また、これらの発明の電気泳動表示装置の駆動方法によれば、更新工程は、第1パルス印加工程と第2パルス印加工程とを含む。第1パルス印加工程は、電気泳動表示装置の共通電極と画素電極の間(以下、電極間)に電界を生じさせて、表示画像を変化させる工程である。そして、第2パルス印加工程は、電気泳動表示装置の全ての電極に同じ電圧を印加することで電極間に電界を生じさせず(電界をゼロにし)、表示画像を変化させない工程である。
【0015】
更新工程では、第1パルス印加工程に続いて第2パルス印加工程を行うことを、所定の回数だけ繰り返す。画像を変化させない第2パルス印加工程を含むため、更新工程における第1の画像から第2の画像への更新は緩やかに行われることになる。したがって、使用者に何が変化したのかを容易に把握させることができ、また、電気泳動表示装置の表現力を向上させることができる。
【0016】
なお、第2パルス印加工程では、電極間に電界を生じさせない。そのため、第2パルス印加工程が加わることで、DCバランスが崩れることはない。したがって、第1の画像から第2の画像への更新を緩やかにしつつも、DCバランスをとることが可能である。
【0017】
ここで、第2パルス印加工程において、電気泳動表示装置の全ての電極に印加される電圧は、固定の電位であってもよい。例えば、第1パルス印加工程では、第1の電位(例えば、ローレベルV)と第2の電位(例えば、ハイレベルV)とを繰り返す駆動パルス信号が用いられる。第2パルス印加工程においても、前記の固定の電位として第1の電位を用いてもよいし、第2の電位を用いてもよい。
【0018】
このとき、第2パルス印加工程では、駆動パルスが停止するために、消費電力を抑えることが可能になる。
【0019】
また、第2パルス印加工程においては、電気泳動表示装置の全ての電極に、駆動パルス信号に基づく電圧が印加されてもよい。このとき、共通電極には、第1パルス印加工程でも第2パルス印加工程でも駆動パルス信号に基づく電圧が印加されることになる。そのため、共通電極に対して駆動パルスを停止させる制御が不要になるので、制御を単純化できる。
【0020】
(4)本発明は、電気泳動表示装置であって、一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画素を複数配置する表示部と、前記表示部を制御する制御部と、を含み、一方の前記基板と前記電気泳動素子との間に前記画素に対応する画素電極が形成され、他方の前記基板と前記電気泳動素子との間に、複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成されており、前記共通電極と前記画素電極との間に生じた電界によって前記電気泳動粒子が移動して前記表示部に表示される画像が変化し、前記制御部は、前記表示部に表示されている第1の画像を反転させて表示させるように、前記共通電極と前記画素電極とに印加する電圧を制御する反転制御と、前記反転制御の後に、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示させるように、前記画素電極と前記共通電極とに印加する電圧を制御する更新制御と、を行い、前記反転制御において、前記共通電極に第1の電位と第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位および前記第2の電位のいずれかを印加する第1パルス印加制御を行い、前記更新制御において、前記第1パルス印加制御と、前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに同じ電圧を印加する第2パルス印加制御と、を行い、前記第1パルス印加制御の後に前記第2パルス印加制御を行うことを、所与の回数繰り返す。
【0021】
本発明の電気泳動表示装置によれば、第1の画像から第2の画像への更新の際に、制御部は第1の画像を反転させて(反転制御)から第2の画像を表示させる(更新制御)。そのため、画像が更新されることを事前に使用者に示すことができ、使用者は更新内容に注意を向けることができる。
【0022】
また、本発明の電気泳動表示装置によれば、制御部は、更新制御において、第1パルス印加制御と第2パルス印加制御とを行う。第1パルス印加制御は、電気泳動表示装置の電極間に電界を生じさせて、最終的に第2の画像が表示されるように、画像を変化させる制御である。そして、第2パルス印加制御は、電気泳動表示装置の全ての電極に同じ電圧を印加することで電極間に電界を生じさせず(電界をゼロにし)、画像を変化させない制御である。
【0023】
制御部は、更新制御において、第1パルス印加制御に続いて第2パルス印加制御を行うことを、所定の回数だけ繰り返す。画像を変化させない第2パルス印加制御を含むため、更新制御における第1の画像から第2の画像への更新は緩やかに行われることになる。したがって、使用者に何が変化したのかを容易に把握させることができ、また、電気泳動表示装置の表現力を向上させることができる。
【0024】
(5)本発明は、前記電気泳動表示装置を含む電子機器であってもよい。
【0025】
(6)本発明は、前記電気泳動表示装置を含む電子時計であって、前記表示部は、少なくとも、時桁と分桁を含む時刻表示を行い、前記制御部は、分桁上げがある場合に、分桁上げ前の前記時刻表示を前記第1の画像とし、分桁上げ後の時刻表示を前記第2の画像としてもよい。
【0026】
これらの発明によれば、DCバランスをとりつつ、画像の更新のタイミングを使用者に示し、緩やかな画像の更新を可能にする電気泳動表示装置を含む電子機器、電子時計を提供できる。このとき、使用者は更新される内容を容易に把握することができる。また、表示上の表現力も向上している。
【0027】
特に電子時計においては、時刻表示において分桁上げの場合の変化(例えば、「10:00」から「10:01」への変化)を緩やかに使用者に示すことができる。そのため、使用者は時刻がどのように変化したかを容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態における電気泳動表示装置のブロック図。
【図2】第1実施形態における電気泳動表示装置の画素の構成例を示す図。
【図3】図3(A)は電気泳動素子の構成例を示す図。図3(B)、図3(C)は電気泳動素子の動作の説明図。
【図4】図4(A)は比較例の時刻表示を示す図。図4(B)は第1実施形態における時刻表示を示す図。
【図5】第1実施形態のフローチャート。
【図6】図6(A)〜図6(B)は図5のサブルーチンのフローチャート。
【図7】図7(A)は第1実施形態の波形図。図7(B)は第2パルス印加工程が異なる別の波形図。
【図8】第1実施形態においてデジタル時刻表示で更新を行う場合の表示例の図。
【図9】第1実施形態においてアナログ時刻表示で更新を行う場合の表示例の図。
【図10】適用例の電子機器のブロック図。
【図11】図11(A)は電子機器の一例である電子時計の図、図11(B)は電子機器の一例である電子ペーパーの図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態について図1〜図9を参照して説明する。第1実施形態の電気泳動表示装置は様々な画像を表示可能であるが、デジタルおよびアナログの時刻表示を例に説明する。
【0030】
1.1.電気泳動表示装置の構成
図1は、本実施形態のアクティブマトリックス方式の電気泳動表示装置の構成を示す図である。なお、駆動方式はセグメント方式であってもよい。
【0031】
電気泳動表示装置10は、表示制御回路60、表示部3を含む。表示制御回路60は、表示部3を制御する制御部であり、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、コントローラー63、共通電源変調回路64、記憶部160を含む。
【0032】
走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、共通電源変調回路64、記憶部160は、それぞれコントローラー63と接続されている。コントローラー63は、例えば時刻信号等の入力信号(図外)に基づいて、これらを総合的に制御する。
【0033】
記憶部160は、SRAM、DRAM、その他のメモリーであってもよく、少なくとも表示部3に表示させる画像のデータ(画像信号)を記憶している。また、記憶部160には、コントローラー63によって制御に必要な情報が記憶されてもよい。
【0034】
表示部3には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して複数の画素40が設けられている。
【0035】
走査線駆動回路61は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)により各画素40に接続されている。走査線駆動回路61は、コントローラー63の制御に従って1行目からm行目までの走査線66を順次選択することで、画素40に設けられた駆動用TFT48(図2参照)のオンタイミングを規定する選択信号を供給する。
【0036】
データ線駆動回路62は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)により各画素40に接続されている。データ線駆動回路62は、コントローラー63の制御に従って、画素40のそれぞれに対応する1ビットの画像データを規定する画像信号を画素40に供給する。なお、本実施形態では、画素データ「0」を規定する場合には、ローレベルの画像信号を画素40に供給し、画像データ「1」を規定する場合には、ハイレベルの画像信号を画素40に供給するものとする。
【0037】
表示部3には、また、共通電源変調回路64から延びる低電位電源線49(Vss)、高電位電源線50(Vdd)、共通電極配線55(Vcom)、第1のパルス信号線91(S1)、第2のパルス信号線92(S2)が設けられており、それぞれの配線は画素40と接続されている。共通電源変調回路64は、コントローラー63の制御に従って上記配線のそれぞれに供給する各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス化、Hi−Z)を行う。
【0038】
1.2.画素部分の回路構成
図2は、図1の画素40の回路構成図である。なお、図1と同じ配線には同じ番号を付しており、説明は省略する。また、全画素に共通の共通電極配線55については記載を省略している。
【0039】
画素40には、駆動用TFT(Thin Film Transistor)48と、ラッチ回路70と、スイッチ回路80が設けられている。画素40は、ラッチ回路70により画像信号を電位として保持するSRAM(Static Random Access Memory)方式の構成をとる。
【0040】
駆動用TFT48は、N−MOSトランジスタからなる画素スイッチング素子である。駆動用TFT48のゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子はラッチ回路70のデータ入力端子に接続されている。ラッチ回路70は転送インバーター70tと帰還インバーター70fとを備えている。インバーター70t、70fには、低電位電源線49(Vss)と高電位電源線50(Vdd)から電源電圧が供給される。
【0041】
スイッチ回路80は、トランスミッションゲートTG1、TG2からなり、ラッチ回路70に記憶された画素データのレベルに応じて、画素電極35(図3(B)、図3(C)参照)に信号を出力する。なお、Vaは、1つの画素40の画素電極へ供給される電位(信号)を意味する。
【0042】
ラッチ回路70に画像データ「1」(ハイレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG1がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして信号S1を供給する。一方、ラッチ回路70に画像データ「0」(ローレベルの画像信号)が記憶されて、トランスミッションゲートTG2がオン状態となると、スイッチ回路80はVaとして信号S2を供給する。このような回路構成により、表示制御回路60はそれぞれの画素40の画素電極に対して供給する電位(信号)を制御することが可能である。
【0043】
1.3.表示方式
本実施形態の電気泳動表示装置10は、二粒子系マイクロカプセル型の電気泳動方式であるとする。分散液は無色透明、電気泳動粒子は白色又は黒色のものであるとすると、白色又は黒色の2色を基本色として少なくとも2色を表示できる。ここでは、電気泳動表示装置10は、基本色として黒色と白色とを表示可能であるとして説明する。そして、黒色を表示している画素を白色で表示すること、又は白色を表示している画素を黒色で表示することを反転と表現する。
【0044】
図3(A)は、本実施形態の電気泳動素子132の構成を示す図である。電気泳動素子132は素子基板130と対向基板131(図3(B)、図3(C)参照)との間に挟まれている。電気泳動素子132は、複数のマイクロカプセル120を配列して構成される。マイクロカプセル120は、例えば無色透明な分散液と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)127と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)126とを封入している。本実施形態では、例えば白色粒子127は負に帯電しており、黒色粒子126は正に帯電しているとする。
【0045】
図3(B)は、電気泳動表示装置10の表示部3の部分断面図である。素子基板130と対向基板131は、マイクロカプセル120を配列してなる電気泳動素子132を狭持している。表示部3(図1参照)は、素子基板130の電気泳動素子132側に、複数の画素電極35が形成された駆動電極層350を含む。図3(B)では、画素電極35として画素電極35Aと画素電極35Bが示されている。画素電極35により、画素ごとに電位を供給することが可能である(例えば、Va、Vb)。ここで、画素電極35Aを有する画素を画素40Aとし、画素電極35Bを有する画素を画素40Bとする。画素40A、画素40Bは画素40(図1、図2参照)に対応する2つの画素である。
【0046】
一方、対向基板131は透明基板であり、表示部3において対向基板131側に画像表示がなされる。表示部3は、対向基板131の電気泳動素子132側に、平面形状の共通電極37が形成された共通電極層370を含む。なお、共通電極37は透明電極である。共通電極37は、画素電極35と異なり全画素に共通の電極であり、電位Vcomが供給される。
【0047】
共通電極層370と駆動電極層350との間に設けられた電気泳動表示層360に電気泳動素子132が配置されており、電気泳動表示層360が表示領域となる。共通電極37と画素電極(例えば、35A、35B)との間の電位差に応じて、画素毎に所望の表示色を表示させることができる。
【0048】
図3(B)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも高電位である。このとき、負に帯電した白色粒子127が共通電極37側に引き寄せられ、正に帯電した黒色粒子126が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは白色を表示していると視認される。
【0049】
図3(C)では、共通電極側電位Vcomが画素40Aの画素電極の電位Vaよりも低電位である。このときは逆に、正に帯電した黒色粒子126が共通電極37側に引き寄せられ、負に帯電した白色粒子127が画素電極35A側に引き寄せられるため、画素40Aは黒色を表示していると視認される。なお、図3(C)の構成は図3(B)と同様であり説明は省略する。また、図3(B)、図3(C)ではVa、Vb、Vcomを固定された電位として説明したが、実際にはVa、Vb、Vcomは時間とともに電位が変化する。
【0050】
ここで、図3(B)の後に、図3(C)の状態に変化したとする。このとき、画素40Aは白色の後に黒色が表示されており、印加電界の方向が正反対に変化している。画素40Aについては、印加電界が対称的でありDCバランスがとられている。一方、画素40Bは白色だけが表示されており、印加電界が対称的でなく、DCバランスがとられていない。電気泳動表示装置の長期信頼性を確保するためには、画素40Aのように、反転した表示を行う必要がある。
【0051】
1.4.表示例
ここで、第1実施形態の電気泳動表示装置がデジタルの時刻表示を行う場合について、比較例と対比しながら説明する。
【0052】
1.4.1.比較例の時刻表示
図4(A)は、比較例の電気泳動表示装置の表示部103に表示される時刻表示の変化を表す。時刻表示は、例えば電気泳動表示装置が受け取る時刻を表す時刻信号に基づく、時桁および分桁の表示である。この表示例では、白色の背景に黒色で時刻が表示されている状態を正転とし、DCバランスをとるために黒色の背景に白色で時刻が表示されている状態を反転とする。
【0053】
図4(A)の例では、比較例の電気泳動表示装置は、「10:08」(正転)を表示部103に表示している。そして、時刻信号が表す時刻が10:09:00(10時09分00秒)となったタイミングで「10:09」(反転)を表示し、その後に「10:09」(正転)を表示する。
【0054】
このとき、「10:09」(反転)と「10:09」(正転)とでDCバランスはとられている。しかし、使用者が反転表示によって表示部103に注意を向けたときには、既に時刻の更新が終わっており、使用者は変化のあった箇所(この例では、分一桁の8から9)を知ることが困難である。
【0055】
このように、比較例の電気泳動表示装置では、使用者は更新された内容を認識することが難しいという問題がある。
【0056】
1.4.2.本実施形態の時刻表示
図4(B)は、本実施形態の電気泳動表示装置の表示部3(図1の表示部3に対応)に表示される時刻表示の変化を表す。時刻表示は、例えば時刻信号に基づく、時桁および分桁の表示である。また、正転と反転についても図4(A)と同じである。
【0057】
図4(B)の例では、本実施形態の電気泳動表示装置は、時刻信号が10:09:00となるタイミングの前に「10:08」(反転)を表示部3に表示する。そして、時刻信号が10:09:00となった後で「10:09」(正転)を表示する。
【0058】
そして、時刻信号が10:10:00となるタイミングの前に「10:09」(反転)を表示部3に表示する。これにより、時刻信号が10:09:00となった後で表示された「10:09」(正転)との間でDCバランスがとられる。つまり、「10:09」(反転)を表示する工程(後述の反転工程)における電極間に電界を印加する時間と、「10:09」(正転)を表示する工程(後述の更新工程)における電極間に電界を印加する時間とを同じにすることができる。このとき、電界の方向は反対であるため、DCバランスがとられる。
【0059】
本実施形態の電気泳動表示装置では、使用者が反転表示によって表示部3に注意を向けるのは、時刻表示が更新される前である。そのため、使用者は変化のある箇所(この例では、分一桁の8から9)を知ることが容易である。
【0060】
このように、本実施形態の電気泳動表示装置は、比較例が有する更新された内容を認識することが難しい、という問題を解決することができる。
【0061】
1.5.フローチャート
図5は、本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法における工程を説明するフローチャートである。本実施形態の電気泳動表示装置では、例えば表示制御回路(図1参照)によってこれらの工程が行われる。
【0062】
最初に、分桁上げの所定時間前であるか否かが判断される(S1)。所定時間とは数秒であってもよく、例えば2秒である。そして、分桁上げの所定時間前でなければS1に戻る(S1N)。
【0063】
分桁上げの所定時間前であれば(S1Y)、反転工程が行われる(S2)。反転工程とは、表示部に表示されている内容(分桁上げ前の時刻表示)を反転して表示する工程である。反転工程によってDCバランスがとられるとともに、使用者に表示部へ注意を向けさせることができる。
【0064】
そして、その後に更新工程が行われる(S3)。更新工程とは、表示部の表示内容を更新して、分桁上げ後の時刻表示を表示する工程である。
【0065】
図6(A)は、反転工程(図5のS2)の詳細を表すフローチャートである。反転工程では、第1パルス印加工程(S21)を停止条件になるまで続ける(S22)。第1パルス印加工程(S21)は電極間に電界を生じさせて、表示画像を変化させる工程である。具体的には、共通電極に第1の電位と第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、複数の画素電極のそれぞれに第1の電位および第2の電位のいずれかを印加する。
【0066】
反転工程(図5のS2)の第1パルス印加工程(S21)は、分桁上げ前の時刻表示が反転されるまで継続される必要がある(S22N)。例えば、第1パルス印加工程(S21)は、反転表示が行われるのに十分な時間の経過を停止条件としてもよい。具体例としては、駆動パルス信号が第1、第2の電位を所定の回数繰り返すことを停止条件としてもよい。
【0067】
そして、駆動パルス信号が第1、第2の電位を所定の回数繰り返して(S22Y)反転表示がされると反転工程は終了し、更新工程(図5のS3)に移る。なお、停止条件は、駆動パルス信号に基づくものでなく、例えば20msといった通常の時間で定められてもよい。
【0068】
図6(B)は、更新工程(図5のS3)の詳細を表すフローチャートである。更新工程では、第1パルス印加工程(S21)と続く第2パルス印加工程(S31)とを1つの工程の単位として、それを所与の回数繰り返す(S32)。第1パルス印加工程(S21)は反転工程(図5のS2)と同じである。なお、更新工程の第1パルス印加工程が継続する期間は、反転工程の第1パルス印加工程が継続する期間と異なっていてもよい。
【0069】
第2パルス印加工程(S31)は、電気泳動表示装置の全ての電極に同じ電圧を印加することで電極間に電界を生じさせず、表示画像を変化させない工程である。第2パルス印加工程(S31)は所定の期間継続する。例えば、第1パルス印加工程の継続期間と同じだけ継続してもよい。
【0070】
更新工程の第1パルス印加工程(S21)、第2パルス印加工程(S31)は、分桁上げ後の時刻が表示されるまで繰り返されて(S32N)、所与の回数を繰り返して(S32Y)分桁上げ後の時刻表示がされると、再び図5のS1の工程に戻る。
【0071】
1.6.波形図
図7(A)は第1実施形態の波形図である。Vcomは駆動パルス信号に基づく電圧であり共通電極に印加される。また、Vaは画素電極35Aに印加され、Vbは画素電極35Bに印加される(図3(B)、図3(C)参照)。
【0072】
図7(A)は、反転工程の後に更新工程が行われる場合の例を表している。時刻tより前の反転工程では、第1パルス印加工程を行い、画素40Aが白色で表示され、画素40Bが黒色で表示されるようにする。第1パルス印加工程において、駆動パルス信号は第1の電位Vと第2の電位Vとを繰り返している。また、反転工程の第1パルス印加工程では、Vaには第1の電位Vが印加され、Vbには第2の電位Vが印加されている。
【0073】
このとき、例えば時刻t〜tでは、画素40Aの白色粒子(図3(A)参照)が共通電極側に引き寄せられる。また、例えば時刻t〜tでは、画素40Bの黒色粒子(図3(A)参照)が共通電極側に引き寄せられる。
【0074】
時刻t以降の更新工程では、第1パルス印加工程(時刻t〜t)に続いて第2パルス印加工程(時刻t〜t)が行われる。そして、所与の回数になるまで、第1パルス印加工程(時刻t〜t)、第2パルス印加工程(時刻t以降)の順に工程が繰り返される。
【0075】
更新工程の第1パルス印加工程では、画素40Aが黒色で表示され、画素40Bが白色で表示されるようにする。このとき、更新工程の第1パルス印加工程では、反転工程の第1パルス印加工程とは逆に、Vaには第2の電位Vが印加され、Vbには第1の電位Vが印加されている。
【0076】
そして、第2パルス印加工程では、Va、Vb、Vcomには第1の電位Vが印加されている。そのため、電気泳動粒子は移動せず、表示が維持されることになる。ここで、第2パルス印加工程は、電極間に電界を生じさせないので、DCバランスには影響を与えない。また、固定電位を印加するので消費電力が抑えられる。なお、第1の電位Vに代えて、Va、Vb、Vcomに第2の電位Vが印加されてもよい。
【0077】
図7(A)の例では、更新工程における第1パルス印加工程の期間(例えば時刻t〜t)は駆動パルス信号の4パルス分であり、第2パルス印加工程の期間(例えば時刻t〜t)も同じである。しかし、第1パルス印加工程の期間を所望する表示画面の切り替えの滑らかに応じて変化させてもよい。また、第2パルス印加工程の期間を所望する表示画面の切り替えのスピードに応じて変化させてもよい。このとき、第1パルス印加工程の期間との相対的な比率によって期間を定めてもよい。例えば、図7(A)では、比率(第2パルス印加工程/第1パルス印加工程)は1である。
【0078】
具体例としては、第1パルス印加工程の期間を駆動パルス信号の2パルス分として、より短くすると、表示画面の切り替えはより滑らかになる。また、前記の比率を2として、より大きくすると、表示画面の切り替えのスピードは低下する。
【0079】
本実施形態の電気泳動表示装置における表示制御回路(図1参照)は、図5のフローチャートに従って、このような駆動パルス信号を電極に印加する。なお、表示制御回路(制御部)が、反転工程を行うことを反転制御、更新工程を行うことを更新制御、第1、第2パルス印加工程を行うことを第1、第2パルス印加制御という。
【0080】
なお、第2パルス印加工程では電極間に電界を生じさせなければよいので、図7(B)のようにVa、Vb、Vcomに駆動パルス信号を与えてもよい(時刻t〜t、時刻t以降)。このとき、Vcomへの駆動パルス信号を途中で停止する必要がないので、Vcomに対する制御が簡単になる。
【0081】
また、これらの例に限らず、時刻tより前の反転工程においても第2パルス印加工程が実行されてもよい。このとき、ゆっくりと表示が反転することになるので、使用者に表示部へ注意を向けさせる効果が大きくなる。また、使用者は、表示が反転するまでの変化の様子を詳細に見ることができる。そのため、使用者を飽きさせない表示も可能になる。
【0082】
1.7.第2パルス印加工程の表示上の効果
図8〜図9は、更新工程が第2パルス印加工程を含むことによる、表示上の効果を説明する図である。図8、図9は、第1実施形態においてそれぞれ、デジタル時刻表示、アナログ時刻表示をする場合の表示例である。
【0083】
図8は、時刻信号が表す時刻の変化と、対応する表示画像の背景色およびデジタル時刻表示(表示例)を示している。時刻が10:00:02〜10:00:58では、背景色は白色であり、黒色で「10:00」が表示されている(表示例(A))。
【0084】
時刻が10:00:58、すなわち、分桁上げの所定時間(2秒)前になると、表示制御回路は表示を反転し、黒色の背景色に白色で「10:00」を表示する(表示例(B))。このとき、表示例(A)とDCバランスがとられるとともに、使用者に表示部へ注意を向けさせることができる。
【0085】
時刻が10:01:00となり、分桁上げが行われると、表示制御回路は更新された時刻を表示する。このときの更新工程には、前記のように表示を維持する第2パルス印加工程を含む。そのため、緩やかにデジタル時刻表示が更新される。
【0086】
例えば、時刻が10:01:00〜10:01:01では、第1パルス印加工程によって背景色が中間色(図8ではダークグレー)に変化し、白色の「10:00」の分一桁の位置に重なって中間色(図8ではライトグレー)の「1」が表示される。そして、第2パルス印加工程によって、この表示が維持される(表示例(C))。
【0087】
そして、時刻が10:01:01〜10:01:02では、第1パルス印加工程によって背景色が中間色(図8ではライトグレー)に変化し、黒色の「10:01」の分一桁の位置に重なって白色の「0」が見える。そして、第2パルス印加工程によって、この表示が維持される(表示例(D))。
【0088】
時刻が10:01:02になると、白色の背景色に黒色で「10:01」が表示されるが(表示例(E))、分桁上げが行われてから緩やかにデジタル時刻表示が変化し、しかも、分一桁の変化の様子を使用者に伝えることができる。
【0089】
したがって、本実施形態の電気泳動表示装置のデジタル時刻表示は、使用者に何が変化したのかを容易に把握させることができ、また、電気泳動表示装置の表現力を向上させることができる。
【0090】
図9は、時刻信号が表す時刻の変化と、対応する表示画像の背景色およびアナログ時刻表示(表示例)を示している。なお、図8と同じ要素については説明を省略する。
【0091】
時刻が10:00:02〜10:00:58では、背景色は白色であり、黒色で「10:00」を針で指すアナログ時計が表示されている(表示例(A))。
【0092】
時刻が10:00:58、すなわち、分桁上げの所定時間(2秒)前になると、表示制御回路は表示を反転し、黒色の背景色に白色で「10:00」を針で指すアナログ時計を表示する(表示例(B))。このとき、表示例(A)とDCバランスがとられるとともに、使用者に表示部へ注意を向けさせることができる。
【0093】
時刻が10:01:00となり、分桁上げが行われると、表示制御回路は更新された時刻を表示する。このとき、図8の場合と同様に、緩やかにアナログ時刻表示が更新される。
【0094】
例えば、時刻が10:01:00〜10:01:01では、第1パルス印加工程によって背景色がダークグレーに変化し、白色で0分を指す長針に加えて、1分を指す長針が黒で表示される。このとき、重複部分はライトグレーに変化する。また、短針、アナログ時計の枠、そして長針に近い数字(この例では12)がライトグレーに変化する。そして、第2パルス印加工程によって、この表示が維持される(表示例(C))。
【0095】
時刻が10:01:01〜10:01:02では、第1パルス印加工程によって背景色がライトグレーに変化し、表示例(C)でライトグレーであった部分(長針の重複部分、短針、アナログ時計の枠、数字の12)がダークグレーに変化する。そして、第2パルス印加工程によって、この表示が維持される(表示例(D))。
【0096】
時刻が10:01:02になると、白色の背景色に黒色で「10:01」を針で指すアナログ時計が表示されるが(表示例(E))、分桁上げが行われてから緩やかに表示画像が変化することでアナログ時計の変化する様子を使用者に伝えることができる。具体的には、表示例(C)、(D)において、時刻更新前の長針が白色で、長針の重複部分、短針、アナログ時計の枠、数字の12がライトグレー、ダークグレーで表示されることで、アナログ時計の変化がわかる。
【0097】
したがって、本実施形態の電気泳動表示装置のアナログ時刻表示も、使用者に何が変化したのかを容易に把握させることができ、また、電気泳動表示装置の表現力を向上させることができる。
【0098】
このように、本実施形態の電気泳動表示装置は、第1の画像(前記の例では、更新前の時刻表示)から第2の画像(前記の例では、更新後の時刻表示)への更新の際に、第1の画像を反転させてから第2の画像を表示させる。そのため、画像が更新されることを事前に使用者に示すことができ、使用者は更新内容に注意を向けることができる。
【0099】
そして、続いて行われる画像の更新において、画像を変化させない制御(第2パルス印加制御)を含むために、第1の画像から第2の画像への更新を緩やかに行い、使用者に何が変化したのかを容易に把握させ、また、電気泳動表示装置の表現力を向上させることができる。
【0100】
2.適用例
本発明の適用例について図10〜図11(B)を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態の電気泳動表示装置は、例えば時刻表示を行う電子時計などの電子機器に適用できる。
【0101】
2.1.電子機器のブロック図
図10は適用例に係る電子機器1のブロック図である。電子機器1は、CPU2、入力部4、記憶部5、電気泳動表示装置10を含む。電気泳動表示装置10は、第1実施形態の電気泳動表示装置であって、様々な画像を表示する表示部3を含む。
【0102】
CPU2は、他のブロックを制御し様々な演算や処理を行う。CPU2は、例えば記憶部5からプログラムを読み込み、プログラムに従って電気泳動表示装置10に時刻信号などを入力してもよい。
【0103】
入力部4は、例えば電子機器1の使用者からの指示を受け取り、指示に応じた信号を他のブロックに出力してもよい。
【0104】
記憶部5は、例えばDRAMやSRAMなどのメモリーであってもよいし、ROMを含んでいてもよい。CPU2が使用するプログラムは、例えば記憶部5が含むROMに書かれていてもよい。
【0105】
表示部3は、電気泳動表示装置10の一部であって、例えば時刻を表示したり、文字、写真などを表示したりしてもよい。
【0106】
電子機器1は、第1実施形態の電気泳動表示装置10を含むことで、表示画像のDCバランスをとりつつ、画像の更新のタイミングを使用者に示し、緩やかな画像の更新を可能にする。このとき、使用者は更新される内容を容易に把握することができる。また、優れた表現力の表示を行うことができる。
【0107】
2.2.電子機器の具体例
図11(A)〜図11(B)に、電子機器の具体例を示す。図11(A)は電子機器の1つである電子時計1000の正面図である。電子時計1000は、例えば腕時計であり、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備える。時計ケース1002の正面には、電気泳動表示装置10の表示部3(図10参照)である表示部1004が設けられ、時刻表示1005を行っている。時計ケースの側面には、2つの操作ボタン1011と1012とが設けられ、入力部4(図10参照)として機能する。
【0108】
また、例えば図11(B)は電子機器の1つである電子ペーパー1100の斜視図である。電子ペーパー1100は可撓性を有し、電気泳動表示装置10の表示部3(図10参照)である表示領域1101と、本体1102とを備えている。例えば、表示領域1101に文章が表示されて、フェードアウトしてから別の文章が表示される、といった使い方が可能になる。
【0109】
第1実施形態の電気泳動表示装置は、これらの具体例を含む、様々な電子機器に適用できる。そして、そのような電子機器は、DCバランスが取れていることで表示部の長期信頼性を確保でき、画像の更新のタイミングを使用者に示すことができ、緩やかな画像の更新によって更新の内容を示すことができる。また、表示上の表現力も向上する。
【0110】
3.その他
前記の実施形態においては、電気泳動表示装置は、黒粒子および白粒子による白黒二粒子系の電気泳動が行われるものに限られず、青白等の一粒子系の電気泳動を行っても良く、また、白黒以外の組み合わせでも構わない。
【0111】
そして、電気泳動表示装置に限らず、メモリー性の表示手段に前記の駆動方法が適用されてもよい。例えば、ECD(Electrochromic Display=エレクトロクロミックディスプレイ)、強誘電性液晶ディスプレイ、コレステリック液晶ディスプレイ等である。
【0112】
さらに、前記の適用例の電子時計は、腕時計に限らず、置き時計、掛け時計、懐中時計などの時計機能を有する機器に広く適用できる。
【0113】
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0114】
1…電子機器、2…CPU、3,103…表示部、4…入力部、5…記憶部、10…電気泳動表示装置、35,35A,35B…画素電極、37…共通電極、40,40A,40B…画素、48…駆動用TFT(Thin Film Transistor)、49…低電位電源線(Vss)、50…高電位電源線(Vdd)、55…共通電極配線(Vcom)、60…表示制御回路、61…走査線駆動回路、62…データ線駆動回路、63…コントローラー、64…共通電源変調回路、66…走査線、68…データ線、70…ラッチ回路、80…スイッチ回路、91…第1のパルス信号線(S)、92…第2のパルス信号線(S)、120…マイクロカプセル、126…黒色粒子、127…白色粒子、130…素子基板、131…対向基板、132…電気泳動素子、160…記憶部、350…駆動電極層、360…電気泳動表示層、370…共通電極層、1000…腕時計、1002…時計ケース、1003…バンド、1004…表示部、1005…時刻表示、1011…操作ボタン、1012…操作ボタン、1100…電子ペーパー、1101…表示領域、1102…本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画素を複数配置する表示部を含み、一方の前記基板と前記電気泳動素子との間に前記画素に対応する画素電極が形成され、他方の前記基板と前記電気泳動素子との間に、複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成されており、前記共通電極と前記画素電極との間に生じた電界によって前記電気泳動粒子が移動して前記表示部に表示される画像が変化する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記表示部に表示されている第1の画像を反転させて表示させるように、前記共通電極と前記画素電極とに印加する電圧を制御する反転工程と、
前記反転工程の後に、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示させるように、前記画素電極と前記共通電極とに印加する電圧を制御する更新工程と、を含み、
前記反転工程は、
前記共通電極に第1の電位と第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位および前記第2の電位のいずれかを印加する第1パルス印加工程を行い、
前記更新工程は、
前記第1パルス印加工程と、
前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに同じ電圧を印加する第2パルス印加工程と、を含み、
前記第1パルス印加工程の後に前記第2パルス印加工程を行うことを、所与の回数繰り返す電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記更新工程は、
前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位を印加する第2パルス印加工程を含む電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記更新工程は、
前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに前記駆動パルス信号に基づく電圧を印加する第2パルス印加工程を含む電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
電気泳動表示装置であって、
一対の基板間に電気泳動粒子を含む電気泳動素子を狭持し、画素を複数配置する表示部と、
前記表示部を制御する制御部と、を含み、
一方の前記基板と前記電気泳動素子との間に前記画素に対応する画素電極が形成され、他方の前記基板と前記電気泳動素子との間に、複数の前記画素電極と対向する共通電極が形成されており、前記共通電極と前記画素電極との間に生じた電界によって前記電気泳動粒子が移動して前記表示部に表示される画像が変化し、
前記制御部は、
前記表示部に表示されている第1の画像を反転させて表示させるように、前記共通電極と前記画素電極とに印加する電圧を制御する反転制御と、
前記反転制御の後に、前記第1の画像とは異なる第2の画像を表示させるように、前記画素電極と前記共通電極とに印加する電圧を制御する更新制御と、を行い、
前記反転制御において、
前記共通電極に第1の電位と第2の電位とを繰り返す駆動パルス信号に基づく電圧を印加し、複数の前記画素電極のそれぞれに前記第1の電位および前記第2の電位のいずれかを印加する第1パルス印加制御を行い、
前記更新制御において、
前記第1パルス印加制御と、
前記共通電極および複数の前記画素電極のそれぞれに同じ電圧を印加する第2パルス印加制御と、を行い、
前記第1パルス印加制御の後に前記第2パルス印加制御を行うことを、所与の回数繰り返す電気泳動表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気泳動表示装置を含む電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の電気泳動表示装置を含む電子時計であって、
前記表示部は、
少なくとも、時桁と分桁を含む時刻表示を行い、
前記制御部は、
分桁上げがある場合に、分桁上げ前の前記時刻表示を前記第1の画像とし、分桁上げ後の時刻表示を前記第2の画像とする、電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−208303(P2012−208303A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73578(P2011−73578)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】