説明

電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器

【課題】焼き付きや残像の発生を抑えることができる電気泳動表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、電気泳動粒子と分散媒とを有する電気泳動素子を挟持して対向する第1基板及び第2基板を有し、複数の画素が配列された表示部を備え、各々の画素に電気泳動素子に電圧を印加する第1電極と第2電極とが形成された電気泳動表示装置の駆動方法であって、電気泳動素子に電圧を印加し、第1電極又は第2電極に吸着している電気泳動粒子の少なくとも一部を分散媒中に浮遊させる粒子浮遊ステップを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法、電気泳動表示装置、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帯電粒子を媒体中に分散させた電気泳動素子を駆動して表示を行う電気泳動表示装置として、カプセルや隔壁で電気泳動材料を仕切った構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカプセルや隔壁は、帯電粒子の沈降による偏りを防止することを目的として設けられている。しかし帯電粒子の沈降は、帯電粒子の分散性が低いために生じる現象であり、分散性が改善された帯電粒子を用いた場合には、隔壁等で仕切らなくても沈降を生じにくくすることが可能である。
しかしながら、本願発明者が検討したところ、分散性の改善により帯電粒子の沈降を防止したとしても、隔壁等が設けられていない電気泳動表示装置では、焼き付きや残像が生じることが判明した。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、焼き付きや残像の発生を抑えることができる電気泳動表示装置の駆動方法と、表示品質に優れた電気泳動表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、電気泳動粒子と分散媒とを有する電気泳動素子を挟持して対向する第1基板及び第2基板を有し、複数の画素が配列された表示部を備え、各々の前記画素に前記電気泳動素子に電圧を印加する第1電極と第2電極とが形成された電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記第1電極又は前記第2電極に吸着している前記電気泳動粒子の少なくとも一部を前記分散媒中に浮遊させる粒子浮遊ステップを有することを特徴とする。
【0007】
この駆動方法によれば、粒子浮遊ステップにより第1電極又は第2電極に吸着している電気泳動粒子を分散媒中に浮遊させることができ、電気泳動粒子の分散性を利用して電気泳動粒子の偏在を解消することが可能である。これにより、画像表示動作によって生じる電気泳動粒子の偏りに起因する焼き付きや残像の発生を抑えることができる。
【0008】
前記粒子浮遊ステップの前に、前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記分散媒中に浮遊している前記電気泳動粒子を前記第1電極又は前記第2電極に吸着させる粒子再吸着ステップを有する駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、電気泳動粒子を一旦第1電極又は第2電極に吸着させてから粒子浮遊ステップを実行するので、両方の電極に電気泳動粒子が吸着している状態から粒子浮遊ステップを実行する場合と比較して、より多くの電気泳動粒子を分散媒中に浮遊させることができる。これにより、より効果的に電気泳動粒子を分散均一化することができ、より大きな残像解消効果を得ることができる。
【0009】
前記粒子浮遊ステップの後に、前記第1電極と前記第2電極とに略同一の電圧を印加し、前記電気泳動粒子を制止させる粒子制止ステップを有する駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、粒子浮遊ステップにより分散媒中に浮遊させた電気泳動粒子が、電極に再吸着するのを防止することができるので、効果的に電気泳動粒子を分散均一化することができる。
【0010】
前記粒子浮遊ステップは、当該電気泳動表示装置の電源を遮断する電源遮断ステップにおいて実行される駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、表示動作に影響を与えることなく焼き付きや残像を解消する動作を実行することができる。
【0011】
前記粒子浮遊ステップは、前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが所定回数実行されたときに実行される駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、画像表示動作に伴う電気泳動粒子の偏りが蓄積するのを予防することができ、焼き付きや残像の発生を抑えることができる。
【0012】
前記粒子浮遊ステップの後、前記電気泳動粒子が前記画素のピッチ以上の距離を拡散する時間にわたって前記電気泳動粒子を浮遊状態に保持する駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、少なくとも隣り合う画素間で電気泳動粒子を均一分散させる効果を得ることができ、焼き付きや残像をほぼ確実に低減することができる。
【0013】
前記粒子浮遊ステップにおいて、前記電気泳動素子を構成する前記電気泳動粒子のうち、30%以上の前記電気泳動粒子を前記分散媒中に浮遊させる駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、電気泳動素子に含まれる電気泳動粒子の少なくとも30%程度についての偏在を解消できるため、認識可能な程度以上に焼き付きや残像を解消することができる。
【0014】
前記粒子浮遊ステップの後、当該電気泳動表示装置の電源を遮断する前に、前記電気泳動粒子を前記第1電極又は前記第2電極に吸着させる浮遊後吸着ステップを有する駆動方法としてもよい。
【0015】
前記粒子浮遊ステップにおいて、全ての前記画素を一括選択して前記電気泳動素子への電圧印加を実行する駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、画素を逐次的に選択する場合と比較して高速に電気泳動粒子を浮遊させることができる。
【0016】
前記粒子再吸着ステップにおいて、全ての前記画素を一括選択して前記電気泳動素子への電圧印加を実行する駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、画素を逐次的に選択する場合と比較して高速に電気泳動粒子の再吸着を実行することができる。
【0017】
前記電気泳動素子が正極性の第1電気泳動粒子と、負極性の第2電気泳動粒子とを含み、各々の画素の前記第1基板の領域に形成された前記第1電極が、互いに独立に駆動可能な第1画素電極と第2画素電極とを含み、前記第2基板には前記第2電極が形成されており、前記粒子再吸着ステップにおいて、前記第1画素電極に前記第1電気泳動粒子を吸着させ、前記第2画素電極に前記第2電気泳動粒子を吸着させる駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、2粒子系の電気泳動素子を備えた電気泳動表示装置においても、焼き付きや残像を防止することができる。
【0018】
複数回の前記粒子再吸着ステップを実行するに際して、前記粒子再吸着ステップを実行する毎に又は複数回の粒子再吸着ステップを実行する毎に、前記第1電気泳動粒子を吸着させる電極と前記第2電気泳動粒子を吸着させる電極を入れ替える駆動方法としてもよい。
この駆動方法によれば、第1電極、第2電極、第3電極に印加される電圧が交流電圧となるので、直流電圧の印加による電極の腐食や電気泳動材料の劣化を防止することができる。
【0019】
本発明の電気泳動表示装置は、電気泳動粒子と分散媒とを有する電気泳動素子を挟持して対向する第1基板及び第2基板を有し、複数の画素が配列された表示部を備え、各々の前記画素に前記電気泳動素子に電圧を印加する第1電極と第2電極とが形成され、前記第1電極及び前記第2電極への入力電位を制御する制御部を有する電気泳動表示装置であって、前記制御部は、前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記第1電極又は前記第2電極に吸着している前記電気泳動粒子の少なくとも一部を前記分散媒中に浮遊させる粒子浮遊動作を実行する機能を有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、粒子浮遊動作により第1電極又は第2電極に吸着している電気泳動粒子を分散媒中に浮遊させることができ、電気泳動粒子の分散性を利用して電気泳動粒子の偏在を解消することが可能である。これにより、画像表示動作によって生じる電気泳動粒子の偏りに起因する焼き付きや残像の発生を抑えることができる。
【0021】
本発明の電子機器は、上記の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、高品位の表示が可能な表示手段を備えた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示装置の全体構成及び回路構成を示す図。
【図2】表示部の等価回路図。
【図3】素子基板上における画素構成を示す平面図。
【図4】図3のA−A線に沿う位置における電気泳動表示装置の断面図。
【図5】第1実施形態に係る駆動方法を示すフローチャート。
【図6】第1実施形態に係る駆動方法におけるタイミングチャート。
【図7】画素の動作説明図。
【図8】画素の動作説明図。
【図9】第1実施形態の駆動方法の作用説明図。
【図10】第1実施形態の駆動方法の作用説明図。
【図11】第1実施形態の駆動方法の作用説明図。
【図12】第1実施形態の駆動方法の作用説明図。
【図13】第1実施形態の駆動方法の作用説明図。
【図14】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の画素構造を示す平面図。
【図15】1画素における素子基板上の構成を示す平面図。
【図16】図15のB−B線に沿う位置における断面図。
【図17】第2実施形態の電気泳動表示装置の動作説明図。
【図18】第2実施形態に係る駆動方法を示すフローチャート。
【図19】画素の動作説明図。
【図20】画素の動作説明図。
【図21】第3実施形態に係る電気泳動表示装置の断面図。
【図22】第3実施形態に係る電気泳動表示装置の回路構成図。
【図23】画素の平面図及び電気泳動表示装置の断面図。
【図24】第3実施形態に係る駆動方法におけるタイミングチャート。
【図25】画素の動作説明図。
【図26】画素の動作説明図。
【図27】画素の動作説明図。
【図28】第1変形例の電気泳動表示装置の動作説明図。
【図29】第2変形例の構成例を示す図。
【図30】第3変形例の構成例を示す図。
【図31】第4変形例の電気泳動表示装置の表示部を示す概略図。
【図32】第4変形例の電気泳動表示装置の表示部を示す概略図。
【図33】電子機器の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電気泳動表示装置の全体構成及び回路構成を示す図である。
図1(a)に示すように、電気泳動表示装置100は、素子基板300と、素子基板300上に配置された対向基板310とを有する。素子基板300と対向基板310とが平面視で重なる領域に表示部5が形成されている。
【0025】
素子基板300は対向基板310よりも大きい基板であり、対向基板310の外側に張り出した素子基板300上の領域に2つの走査線駆動回路61と、データ線駆動回路62とが設けられている。素子基板300の一辺縁部に、フレキシブル基板201を介してコントローラ(制御部)70が接続されている。コントローラ70は、図示略の配線を介して走査線駆動回路61及びデータ線駆動回路62に接続されている。
【0026】
図1(b)に示すように、表示部5には、互いに交差する方向に延びる複数の走査線66と複数のデータ線68とが形成されている。走査線66とデータ線68との交差部に対応して画素40が形成されている。複数の画素40は表示部5において平面視マトリクス状に配列されている。
表示部5の周辺に走査線駆動回路61とデータ線駆動回路62とが配置されており、表示部5から延出された複数の走査線66が走査線駆動回路61に接続され、複数のデータ線68はデータ線駆動回路62に接続されている。
【0027】
走査線駆動回路61は、コントローラ70の制御のもと、走査線66を順次選択し、画素40設けられた選択トランジスタ(図2参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。データ線駆動回路62は、コントローラ70の制御のもと、画素40の各々に対応する画素データを規定する画像信号を、データ線68を介して供給する。
【0028】
図2は、表示部5の等価回路図である。
図2に示すように、表示部5には、複数の走査線66(m、m+1、…)と複数のデータ線68(n、n+1、…)と、複数の走査線66のそれぞれに沿って延びる複数の容量線69とが形成されている。各々の画素40には、選択トランジスタTRsと、画素電極(第1電極)35と、電気泳動層(電気泳動素子)32と、共通電極(第2電極)37と、保持容量Csとが設けられている。
【0029】
選択トランジスタTRsのゲートに走査線66が接続され、ソースにデータ線68が接続されている。選択トランジスタTRsのドレインには、接続電極44を介して画素電極35と保持容量Csの一方の電極とが接続されている。保持容量Csの他方の電極は容量線69に接続されている。
【0030】
図3は、素子基板上における画素構成を示す平面図であり、図4は、図3のA−A線に沿う位置における電気泳動表示装置の断面図である。
図3に示すように、画素40には、互いに交差する方向に延びる走査線66とデータ線68とが接続されている。走査線66とデータ線68との交差部近傍に選択トランジスタTRsが形成されている。選択トランジスタTRsは、半導体層41aと、走査線66から半導体層41aと平面視で重なる位置へ延出されたゲート電極41eと、データ線68から分岐されるとともに半導体層41aと接続されたソース電極41cと、半導体層41aと接続電極44とを接続するドレイン電極41dとを有する。
【0031】
画素40の中央部へ延びる接続電極44の端部には、平面視矩形状の第1容量電極44aが接続されている。第1容量電極44aと平面視で重なる位置に、容量線69を部分的に拡幅してなる第2容量電極69aが形成されている。第1容量電極44aと第2容量電極69aと、これらの間に形成されたゲート絶縁膜(図4参照)とが保持容量Csを形成している。第2容量電極69aは、データ線68を跨いで形成された配線部69bを介して、隣の画素40の第2容量電極69aと接続され、走査線66に沿って延びる容量線69を形成している。
接続電極44及び第1容量電極44aを平面視で覆うように、画素電極35が形成されている。画素電極35はコンタクトホールH1を介して接続電極44と接続されている。
【0032】
図4に示す断面構造を見ると、素子基板300と対向基板310との間に、電気泳動層32が形成されている。
素子基板300は、例えば厚さ0.5mmのガラス基板又はPET(ポリエチレンテレフタラート)基板からなる第1基板30を有する。第1基板30上に、ゲート電極41e(走査線66)及び第2容量電極69a(容量線69)が、例えば厚さ300nmのアルミニウム膜を用いて同層に形成されている。これらの電極及び配線を覆って、例えば厚さ400nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜41bが形成されている。ゲート絶縁膜41bを介してゲート電極41eと対向する位置に、例えば厚さ50nmのa−IGZO(アモルファス構造のインジウムガリウム亜鉛酸化物)からなる半導体層41aが形成されている。
【0033】
半導体層41aに一部乗り上げるようにして、ソース電極41c(データ線68)とドレイン電極41d(接続電極44、第1容量電極44a)とが、例えば厚さ300nmのアルミニウム膜を用いて同層に形成されている。これらの電極及び配線を覆って、例えば厚さ400nmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜42が形成されている。層間絶縁膜42上に、例えば厚さ50nmのカーボンナノチューブ膜からなる画素電極35が形成されている。画素電極35は、厚さ500nmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜42を貫通して形成されたコンタクトホールH1を介して、下層側の接続電極44と接続されている。
【0034】
なお、選択トランジスタTRsとしては、a−IGZOを半導体層として備える酸化物TFTに限られるものではなく、a−SiTFT、ポリSiTFT、有機TFT等も使用可能である。また本実施形態ではボトムゲート構造である場合について説明したが、トップゲート構造であってもよい。
【0035】
対向基板310は、例えば厚さ0.5mmのガラス基板又はPET(ポリエチレンテレフタラート)基板からなる第2基板31を有する。第2基板31の内面側(電気泳動層32側)には、例えば厚さ500nmのカーボンナノチューブ膜からなる共通電極(第2電極)37が形成されている。共通電極37は、表示部5の全ての画素40に共通の電極であり、少なくとも表示部5を含む平面領域に形成されている。
【0036】
ここで画素電極35と共通電極37はそれらのフェルミ準位差が小さくなるように材料選定されている。その差分が直流電圧となり、電極の腐食を引き起こすからである。例えばITO(インジウム錫酸化物)の電極と、アルミニウムの電極とを形成した場合には、上記直流電圧により腐食が起こることが知られている。このため、例えば両電極の材料を同一とすることが最も望ましい。なお、上記に挙げた各構成要素の材質や厚さは一例であり、適宜に変更することが可能である。
【0037】
素子基板300と対向基板310との間にはシール材(図示略)が配置され、素子基板300と対向基板310とが所定の間隔に保持されている。シール材としては液晶装置と同様のものが用られ、例えばUV硬化型のアクリル系材料が用いられる。あるいは熱硬化型のエポキシ系樹脂を用いても構わない。
【0038】
素子基板300、対向基板310、シール材によって囲まれた領域に電気泳動材料が封入され、電気泳動層32を構成している。電気泳動材料は、分散媒21と、分散媒21中に分散された無帯電の白色粒子26と、プラス帯電の黒色粒子(電気泳動粒子)27とからなる。分散媒21は例えばシリコンオイルであり、白色粒子26は例えばチタニア粒子であり、黒色粒子27は例えばカーボン粒子の表面に帯電基を形成したものである。電気泳動材料の帯電制御、分散制御は、電気泳動材料に添加する帯電剤及び分散剤により行うことができる。
【0039】
帯電粒子である黒色粒子27は、画素電極35と共通電極37との電位差に基づいて両電極間を移動可能であり、図4に示すように画素電極35に対して電気的に吸着可能である。一方、無帯電の白色粒子26は電極に吸着することなく分散媒21中に常に浮遊している。本実施形態の電気泳動表示装置100では、電気泳動層32を領域毎に区画するためのマイクロカプセルや隔壁は形成されていない。
【0040】
なお、電気泳動粒子の「吸着」は、電気的な力、例えば電気鏡像力やクーロン力等により電気泳動粒子が電極その他の部材にくっついている状態を指す。ただし、電気的な力以外の物理的吸着力などを含む作用により吸着していたとしても、最終的に電極に印加する電圧により電気泳動粒子の吸着、離脱を制御できれば問題ない。
【0041】
[駆動方法]
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図5は、第1実施形態に係る駆動方法を示すフローチャートである。図6は、第1実施形態に係る駆動方法におけるタイミングチャートである。図7及び図8は画素の動作説明図である。図9〜図13は、本実施形態の駆動方法の作用説明図である。
【0042】
本実施形態の駆動方法は、図5に示すように、画像消去ステップS10と、画像表示ステップS11と、電荷除去ステップS12と、画像保持ステップS13と、粒子再吸着ステップS14と、粒子浮遊ステップS15と、粒子制止ステップS16と、電源オフ実行ステップS17と、を有する。図6には、当該駆動方法を用いてグレー表示を行った後、画像保持動作と電源遮断動作とを実行する場合におけるデータ線68、走査線66への入力電位の遷移が示されている。
【0043】
なお、以下では、説明の簡単のために、共通電極37の電位Vcomがグランド電位であるとする。また、画素電極35に印加される正の電圧のうち、共通電極37の電位Vcomを基準とし、絶対値が最大となる電圧を電圧VH(以下、正の最大値とも称する)、負の電圧のうち絶対値が最大となる電圧を電圧VL(以下、負の最大値とも称する)とする。
なお、「電極に電圧を印加する」とは、「電極に対して、グランド電位との間で当該電圧を生じさせるような電位を入力する」ことと同義である。
【0044】
画像消去ステップS10では、全ての画素40を同一の表示状態(階調)に移行させることにより、表示部5の全体を白表示とし、表示部5を実質的に消去状態とする。
具体的には、図6に示すように、走査線66が選択されている期間に、データ線68に負の電圧VLが供給される。そうすると、選択された画素40において、選択トランジスタTRsを介して画素電極35に電圧VLが印加される。これにより、図7(a)に示すように、正帯電の黒色粒子27が、画素電極35に引き寄せられ、吸着される。
【0045】
図7(a)に示す表示状態では、共通電極37側から入射する外光Lは、分散媒21中に浮遊している白色粒子26により散乱され、共通電極37側の面から再び外部へ射出される。これにより、画素40が白表示となる。
【0046】
次に、画像表示ステップS11では、表示部5に対する画像の表示が行われる。
具体的には、走査線66が選択されている期間に、表示階調に応じた画像信号が画素40に入力され、選択トランジスタTRsを介して画素電極35に信号電圧が印加される。本実施形態の場合、この画像表示ステップS11により、図9に示すように、表示部5の画素40が白表示、グレー表示、又は黒表示され、モノクロ画像又は中間調を含む画像が、表示部5に表示される。
【0047】
グレー表示される画素40では、図6に示すように、データ線68から選択トランジスタTRsを介して画素電極35に電圧Vh1が印加される。この電圧Vh1は正の電圧であり、かつ画素40を黒表示させるときの電圧VH(正の最大値)よりも低い電圧である。
【0048】
このような電圧Vh1を画素電極35に印加すると、画像消去ステップS10において画素電極35に吸着されていた黒色粒子27の一部が共通電極37側へ引き寄せられ、図7(c)に示すように、電気泳動層32の厚さ方向に広く分布した状態となる。すなわち、一部の黒色粒子27は共通電極37に吸着し、他の一部の黒色粒子27は白色粒子26とともに分散媒21中に浮遊した状態となる。さらに他の一部の黒色粒子27は、画素電極35に吸着したままとなる。
【0049】
上記の状態の画素40に外光Lが入射すると、共通電極37の近傍や分散媒21中に位置する黒色粒子27に外光Lが一部吸収されるため、分散媒21中に入射する外光Lが減少する。分散媒21中に入射した外光Lの一部は、白色粒子26で散乱されて共通電極37側の面から再び外部へ射出される。このときにも、共通電極37近傍や分散媒21中に位置する黒色粒子27により一部の光が吸収され、外部へ射出される光量が白表示の場合よりも少なくなる。これらにより、画素40がグレー表示される。
【0050】
また、タイミングチャートの図示は省略するが、画像表示ステップS11において白表示される画素40では、データ線68から選択トランジスタTRsを介して画素電極35に負の電圧VLが印加される。この電圧VLは画像消去ステップS10の全面白表示時に画素電極35に印加された電圧と同一であるため、画素40の状態は図7(a)に示した状態から変化せず、画素40は白表示を維持する。
【0051】
また、黒表示される画素40では、データ線68から選択トランジスタTRsを介して画素電極35に正の電圧VHが印加される。この電圧VHはグレー表示時の電圧Vh1よりも高く、画素電極35に印加される正の最大電圧であるため、図7(b)に示すように、ほぼ全ての黒色粒子27が共通電極37に引き寄せられ、吸着される。この表示状態では、画素40の共通電極37側の面が黒色粒子27でほぼ覆われているため、外光Lは共通電極37近傍で黒色粒子27に吸収されてしまい、反射光はほとんど発生しない。その結果、画素40が黒表示されることになる。
【0052】
次に、電荷除去ステップS12では、全ての画素40において、走査線66が選択されている期間に、選択トランジスタTRsを介して画素電極35に電位Vcomと同一の電位(グランド電位)が入力される。これにより、画素電極35と共通電極37とが同電位となり、電気泳動層32は電圧が印加されない状態となる。
【0053】
電荷除去ステップS12は、保持容量Csに保持された電荷により表示状態が変化してしまうのを防止するために実行される。本実施形態の場合、画像表示ステップS11における画像信号入力に伴い、保持容量Csが信号電圧で充電されており、選択トランジスタTRsがオフ状態に移行した後も電気泳動層32に電圧が印加され続ける。このような電圧が長時間印加されると表示面に視認される黒色粒子27の量が変化し、表示階調が変化してしまうことがある。
【0054】
そこで本実施形態では、電荷除去ステップS12を実行することにより、保持容量Csの保持電荷を除去し、画素電極35と共通電極37を同電位としている。これにより、意図しない表示階調の変化を防止することができる。
【0055】
次に、画像保持ステップS13では、画素電極35及び共通電極37は、いずれもVcomが接続された状態となる。これにより、ほとんど電力を消費することなく表示画像が保持される。本実施形態の画像保持ステップS13は、電源遮断動作又は画像書き換え動作が開始されるまでの間、表示部5の状態を維持する動作である。
画像保持ステップS13の実行中に電気泳動表示装置100の電源遮断動作が開始されると、電源遮断ステップS1が実行される。一方、画像書き換え動作が開始されると、画像消去ステップS10に戻り、画像消去ステップS10〜電荷除去ステップS12が実行される。
【0056】
なお、本実施形態では、画像保持ステップS13の実行中に電源遮断動作が開始された場合について説明するが、電源遮断動作は任意のタイミングで開始することができ、電源遮断動作が開始された場合には、実行中の処理を中止又は完了させた後に、電源遮断ステップS1が実行されることになる。例えば、画像表示ステップS11の実行中に電源遮断動作が開始された場合には、画像表示動作を中止するか、あるいは画像表示動作の完了を待って、電源遮断ステップS1が開始される。
【0057】
電源遮断ステップS1は、粒子再吸着ステップS14と、粒子浮遊ステップS15と、粒子制止ステップS16と、電源オフ実行ステップS17と、を含む。本実施形態の電源遮断ステップS1では、上記各ステップを実行することにより、電気泳動表示装置100において生じうる焼き付きや残像を解消することができる。
【0058】
ここで、電気泳動表示装置100において生じる焼き付きや残像について、図9及び図10を参照しつつ詳細に説明する。
図9の断面図には、画像表示ステップS11により、隣り合う3つの画素40を白表示、グレー表示、黒表示させた状態が示されている。電気泳動層32は記憶性を有しているため、画素電極35への電位入力を停止した後も、表示部5の表示状態は維持される。しかし、図9に示すような複数の階調の画素40が混在した状態で放置した後、他の画像を生じさせてみると、焼き付きのような前画像の残像が生じてしまう。
【0059】
これは、1つの画像を長時間表示させることにより、画素40間で黒色粒子27の偏りが生じてしまうためであると考えられる。本実施形態の電気泳動表示装置100では、画素40以下の小さい領域毎に電気泳動材料を区画するマイクロカプセルや隔壁は形成されていないため、黒色粒子27(電気泳動粒子)は画素40に関係なく自在に移動することが可能である。そして、図9に示すように、隣り合う画素40で黒色粒子27の配置状態が大きく異なる場合、分散媒21中に黒色粒子27の濃度分布が形成される。
【0060】
具体的には、グレー表示の画素40では、浮遊している黒色粒子27が存在するため、黒色粒子27の分散濃度が高くなる。一方、白表示又は黒表示の画素40では、ほとんどの黒色粒子27が画素電極35又は共通電極37に吸着されているため、黒色粒子27の分散濃度は非常に低くなる。
そして、上記のような濃度差があると、図9、図7(d)に示すように、グレー表示の画素40において分散媒21中に浮遊している黒色粒子27が、時間の経過とともに分散濃度の薄い隣の白表示や黒表示の画素40に移動する。その結果、図10、図8(e)に示すようにグレー表示の画素40に含まれる黒色粒子27の数が減少してしまう。
【0061】
このように、前に表示されていた画像に依存して画素40間で黒色粒子27の数が異なってしまうと、同じ階調の黒やグレーを次に表示させたときに、前にグレー表示されていた画素40は白っぽく、前に白表示又は黒表示されていた画素40では黒っぽく表示される。すなわち、前の画像に依存した表示の濃さが表示部5に現れてしまい、焼き付いたような表示となる。この分散濃度に起因する黒色粒子27の偏りは、重力や凝集による黒色粒子27の偏在とは異なる現象であるため、黒色粒子27の分散性を向上させたとしても生じうる課題である。
【0062】
また電気泳動表示装置100では、電気泳動層32のメモリー性を利用した表示が特徴の一つであり、比較的長い時間にわたって同一画面が表示され続ける傾向にある。そのため通常の使用形態であっても、上記の黒色粒子27の移動が生じ、使用時間の経過に伴って黒色粒子27の偏在が進行すると考えられる。複数の画面を切り替えて表示する場合はそれらの偏在が複合した、複雑な偏在が生じることになる。なお、同一画面を表示している期間は、ユーザーが画面を見ている可能性が高いため、当該期間中に黒色粒子27の偏在を解消するための表示状態の変更を伴う動作を行うことは好ましくない。
【0063】
そこで本実施形態では、電気泳動表示装置100の電源を遮断する際に、粒子浮遊ステップS15を含む電源遮断ステップS1を実行することで、上記のような黒色粒子27の不均一を解消できるようにした。以下、電源遮断ステップS1の具体的動作について詳細に説明する。
【0064】
まず、粒子再吸着ステップS14では、電気泳動層32に所定の電圧を印加することにより、黒色粒子27を画素電極35に再び吸着させる。具体的には、図6に示すように、表示部5の全ての走査線66が一括して選択されている期間に、データ線68に電圧VLが供給され、全ての画素40の画素電極35に、選択トランジスタTRsを介して電圧VLが印加される。
【0065】
電圧VLは、画素電極35に印加される負の最大電圧であり、図8(f)及び図11に示すように、全ての画素40において、黒色粒子27が共通電極37から画素電極35へ移動して吸着された状態(白表示)となる。このときに、画素40間で黒色粒子27の分布に偏りが生じている場合、図11に示すように、画素40毎に画素電極35に吸着される黒色粒子27の個数が大きく異なることになる。
【0066】
次に、粒子浮遊ステップS15では、電気泳動層32に所定の電圧を印加することにより、画素電極35に吸着している黒色粒子27を分散媒21中に浮遊させる。具体的には、図6に示すように、表示部5の全ての走査線66が一括して選択されている期間に、データ線68に電圧Vsが供給され、全ての画素40の画素電極35に、選択トランジスタTRsを介して電圧Vsが印加される。
【0067】
電圧Vsは、1フィールド期間(表示部5の全ての走査線66を逐次的に1回選択する期間)内に画素電極35から黒色粒子27を離脱させ、かつ共通電極37に到達させることなく分散媒21中に浮遊させる電圧である。本実施形態の場合、電圧Vsは、画素電極35から黒色粒子27を引きはがす(離脱させる)ことができる電圧Vth以上の正の電圧であり、かつグレー表示用の電圧Vh1よりも低い電圧である。
【0068】
また電圧Vsは電圧印加時間(パルス幅)にも依存する。具体的には、電圧印加時間が短ければ電圧Vsは大きくなり、長いと小さくなる。また、電圧印加の立ち上がりの急峻さにも依存しており、電圧の立ち上がりが緩やかになると電圧Vsは大きくなる。すなわち電圧Vsは、黒色粒子27と画素電極35との吸着のメカニズムや、電気泳動層32の構成によって異なるが、一般的に電圧Vs自体は存在し、上記のパラメータを考慮しつつ設定することが可能である。
【0069】
画素電極35に電圧Vsが印加されると、画素電極35に吸着していた黒色粒子27が共通電極37へ向かって移動を開始する。このとき電圧Vsがグレー表示用の電圧Vh1よりも低い電圧であるため、図8(g)及び図12に示すように、画素電極35から引きはがされた黒色粒子27のほとんどは共通電極37に到達することなく分散媒21中に浮遊した状態となる。
【0070】
次に、粒子制止ステップS16では、電気泳動層32を電圧が印加されない状態に移行させ、黒色粒子27を制止させる。具体的には、図6に示すように、表示部5の全ての走査線66が一括して選択されている期間に、データ線68に電位Vcomと同一の電位(グランド電位)が供給され、全ての画素40の画素電極35に、選択トランジスタTRsを介してグランド電位が入力される。これにより、画素電極35と共通電極37とが同電位となり、電気泳動層32は電圧が印加されない状態となる。その結果、黒色粒子27に作用する電界も消失し、黒色粒子27が分散媒21中に制止される。
【0071】
粒子浮遊ステップS15において画素電極35に印加される電圧Vsは、画素電極35から引きはがされた黒色粒子27が共通電極37に到達しない程度の低電圧であるが、選択トランジスタTRsがオフ状態とされた後も保持容量Csにより電気泳動層32に電圧が印加され続ける。そのため、時間の経過とともに黒色粒子27が共通電極37側へ移動し、共通電極37に吸着してしまうことも考えられる。そこで本実施形態では、粒子制止ステップS16を実行することにより黒色粒子27を意図的に分散媒21中に制止させている。
【0072】
次に、電源オフ実行ステップS17では、電気泳動表示装置100の電源が遮断される。その後、再度電源が投入されるまでの間、画素40の画素電極35及び共通電極37はいずれもハイインピーダンス状態に保持される。
ここで本実施形態の駆動方法では、粒子吸着ステップS14〜粒子制止ステップS16により、図8(g)及び図12に示すように、黒色粒子27が分散媒21中に浮遊した状態とされている。図12に示す浮遊状態は、画素40間で黒色粒子27の個数に偏りが生じてしまっている状態であるため、中央のグレー表示されていた画素40では、分散媒21中に浮遊している黒色粒子27の個数が相対的に少なく、相対的に分散濃度が低い状態となる。この状態で再度黒色粒子27の拡散が生じる。
【0073】
そして、このような黒色粒子27の移動が生じる状態に所定時間保持すれば、図13に示すように、複数の画素40を含む領域に黒色粒子27が均一に分散した状態に移行させることができる。
【0074】
黒色粒子27を均一に分散させるための保持時間は、電気泳動層32の構成や特性に応じて適宜設定すればよく、例えば、隣り合う画素40間のピッチに相当する距離を黒色粒子27が拡散できる程度の時間とすることが好ましい。上記の保持時間を確保すれば、隣り合う画素間での分散濃度差をほぼ緩和することができ、焼き付きや残像を解消することが可能である。
【0075】
本実施形態の場合、電源オフ時に黒色粒子27を浮遊状態にし、再び電源が投入されるまでの期間を均一に分散させるための期間としているため、比較的長時間にわたって黒色粒子27を浮遊状態に保持することができる。ただし、電源オフ期間中に電源が投入された場合には、電源オフ実行ステップS17からの経過時間が短くとも、電気泳動表示装置を画像表示可能な状態とするための電源オンシーケンスが即座に実行される。
【0076】
以上詳細に説明したように、本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法によれば、電気泳動表示装置100の電源を遮断する電源遮断ステップS1において、黒色粒子27を浮遊させた状態にしてから電源の遮断を実行することで、電源オフ期間中に黒色粒子27の分散濃度を均一化することができ、画像表示動作によって生じた黒色粒子27の偏りに起因する焼き付きや残像を解消することができる。また、電源遮断ステップS1以降は直前の表示データが消去されているので表示情報の機密保持の点からも好ましい。
【0077】
本実施形態において、粒子浮遊ステップS15で画素電極35から浮遊させる黒色粒子27は、電気泳動層32に含まれる黒色粒子27の一部であってもよい。この場合でも、浮遊させた黒色粒子27の割合に応じて均一化効果を得ることができる。例えば、粒子浮遊ステップS15において電気泳動層32に含まれる黒色粒子27のうちの50%以上を浮遊させれば、黒色粒子27の偏りを半分程度は解消することができる。
30%程度の黒色粒子27のみを浮遊状態とする場合でも、電気泳動表示装置100の使用形態では度々電源が遮断され、その度に黒色粒子27が浮遊状態となるので、浮遊量が少なくても、焼き付きや残像を緩和する効果を得ることが可能である。
一方、電気泳動層32の全体にわたって分散濃度が均一化されることが望ましいのは当然であり、浮遊させる黒色粒子27の割合を70%以上とすることがより好ましい。
【0078】
また本実施形態では、粒子浮遊ステップS15の前に、粒子再吸着ステップS14を実行し、全ての画素40の黒色粒子27を画素電極35へ吸着させている。このように黒色粒子27を画素電極35にのみ吸着させ、共通電極37には吸着していない状態としてから黒色粒子27の浮遊動作を実行することで、より多くの黒色粒子27を浮遊させることができ、分散濃度の偏りを解消しやすくなる。
これは、本実施形態の粒子浮遊ステップS15だけでは共通電極37に吸着している黒色粒子27を浮遊させることができないため、共通電極37に黒色粒子27が残っていると、電気泳動層32全体での分散均一化ができなくなるからである。
【0079】
また本実施形態では、黒色粒子27を分散媒21中に浮遊させた状態で電源を遮断しているが、黒色粒子27の分散濃度を均一化させた後に電源を遮断してもよい。すなわち、図6に示した粒子制止ステップS16の後に、電気泳動層32を所定期間にわたって電圧無印加状態に保持する。そして、黒色粒子27の再分散が完了した後に、粒子再吸着ステップS14と同様の動作(浮遊後吸着ステップ)を実行して黒色粒子27を再び画素電極35に吸着させ、しかる後に電源オフ実行ステップS17を実行する。
このような駆動方法とすれば、黒色粒子27の偏りを解消することができるとともに、浮遊後吸着ステップによって全面を白表示した状態で電源オフ状態に入るため、沈降によって黒色粒子27に偏りが生じてしまうことも防止できる。また電源を再投入して画像を表示させる際に、表示部5のリセット動作が不要になり、迅速に画像を表示させることができる。
【0080】
また本実施形態では、電源遮断ステップS1中に粒子浮遊ステップS15を実行することとしたが、他のタイミングで粒子浮遊ステップS15を実行することもできる。例えば、所定回数の画像表示ステップS11が実行された場合に、粒子浮遊ステップS15を含む黒色粒子27の再分散動作が実行される構成としてもよい。
【0081】
あるいはまた、ユーザーの指示に基づいて黒色粒子27の再分散動作を実行する構成としてもよい。例えば、ユーザーが任意に実行可能な「焼き付き除去機能」として、粒子再吸着ステップS14と粒子浮遊ステップS15と粒子制止ステップS16とを実行し、その後の所定時間にわたって、黒色粒子27を浮遊状態を維持する動作を提供してもよい。
【0082】
また本実施形態では、粒子浮遊ステップS15における画素電極35への電圧印加を1回のみとしたが、画素電極35への電圧印加をパルス的に複数回繰り返して行ってもよい。例えば、図7に示した場合よりも低い電圧Vsを画素電極35に印加する動作を、数回から数十回繰り返して実行することもできる。
【0083】
また本実施形態では、粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15、及び粒子制止ステップS16において、全ての走査線66を一括選択し、全ての画素40の画素電極35に所定の電圧を印加することとしたが、走査線66を順次選択して画素電極35に電圧を印加するようにしてもよい。
【0084】
本実施形態では、粒子浮遊ステップS15の後に、粒子制止ステップS16を設けているが、画素40に保持容量Csが設けられていない場合には、粒子浮遊ステップS15の直後に電源オフ実行ステップS17を実行してもよい。
【0085】
また本実施形態では、粒子再吸着ステップS14において、黒色粒子27を画素電極35にのみ吸着している状態に移行させたが、黒色粒子27を共通電極37のみに吸着させてもよい。この場合には、粒子浮遊ステップS15において、共通電極37から黒色粒子27を引きはがす電圧を画素電極35に印加することで、分散媒21中に浮遊させることができる。
【0086】
本実施形態では、電気泳動粒子として正帯電の黒色粒子27を用いた場合について説明したが、負帯電の粒子を用いてもよい。また、帯電粒子が黒以外の色の粒子であってもよい。さらに、分散媒21は透明であっても、着色されていてもよい。
【0087】
本実施形態では、画像消去ステップS10において表示部5の全面を白表示させることとしたが、全面黒表示により画像消去を実行してもよい。この場合には、全ての画素40が図7(b)に示した状態となるように、画素電極35に正の電圧VHが入力される。あるいは、全面白表示による消去動作と、全面黒表示による消去動作とを交互に切り替えて実行してもよい。切り替えるタイミングは1画面ごとであっても複数画面ごとであってもよい。
【0088】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の電気泳動表示装置とその駆動方法について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0089】
図14は、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の画素構造を示す平面図である。図15は、1画素における素子基板上の構成をより詳細に示す平面図である。図16は、図15のB−B線に沿う位置における断面図である。図17は、第2実施形態の電気泳動表示装置の動作説明図である。
【0090】
本実施形態の電気泳動表示装置110は、図14から図16に示す画素40を備えている。
図14に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置110では、1つの画素40内に、平面視円形状の複数の画素電極35sが配置されている。また、画素40の平面領域に対応して反射電極(反射層)36が形成されている。ここで、画素電極35sの配列は、等間隔に配列されていてもよいが、不規則な配列にしておくことにより、画素電極35sの境界がスジとなって現れる表示スジの発生を防止することができる。
【0091】
図15及び図16に示すように、第1基板30上には画素40ごとに、選択トランジスタTRs、接続電極44、ゲート絶縁膜41b、第1層間絶縁膜42A、第2層間絶縁膜42B、反射電極36、保護層43、及び複数の画素電極35sが設けられている。
なお、本実施形態の画素40には保持容量が設けられていないが、第1実施形態の画素40と同様の保持容量を設けてもよいのはもちろんである。
【0092】
選択トランジスタTRsのゲートに走査線66が接続され、ソースにデータ線68が接続され、ドレインに接続電極44が接続されている。本実施形態に係る接続電極44は、選択トランジスタTRsのソース電極41c及びドレイン電極41dと同層に形成されており、走査線66に沿って延びる幹部441と、データ線68とほぼ並行に延びる複数の枝部442とを有する。複数の枝部442の端部が幹部441によって連結され、全体として平面視櫛歯形状を呈している。なお、図15中には6本の枝部442を図示しているがこれに限られるものではない。
【0093】
第1基板30上に、選択トランジスタTRsのゲート電極41eが形成されている。ゲート電極41eを覆うようにしてゲート絶縁膜41bが形成され、ゲート電極41e上に半導体層41aが形成されている。ゲート絶縁膜41b上には、半導体層41aに一部乗り上げるようにしてソース電極41cとドレイン電極41dとが形成されるとともに、ドレイン電極41dと接続された接続電極44が形成されている。
【0094】
選択トランジスタTRsのドレイン電極41d及びソース電極41c、接続電極44を覆うようにして、第1層間絶縁膜42Aが形成されている。第1層間絶縁膜42Aは、例えば厚さ300nm程度のシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなり、選択トランジスタTRs及び接続電極44を覆うようにして基板面全体に形成されている。第1層間絶縁膜42Aには、下層の接続電極44の一部を露出させる貫通孔11aが形成されている。
【0095】
第1層間絶縁膜42Aを覆うようにして、第2層間絶縁膜42Bが形成されている。第2層間絶縁膜42Bは、例えば厚さ300nm程度のシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などからなる。第2層間絶縁膜42Bには、第1層間絶縁膜42Aの貫通孔11aに通じる貫通孔11bが形成されている。
【0096】
第2層間絶縁膜42B上に、各画素40ごとに画素領域の略全体を占める大きさを有する反射電極36が形成されている。反射電極36は、各画素毎に独立して設けられるとともに、同一画素内の画素電極35sと電気的に接続されている。
【0097】
反射電極36は、第1層間絶縁膜42A及び第2層間絶縁膜42Bを貫通して形成された貫通孔11a及び貫通孔11bを介して、下層の接続電極44に接続されている。反射電極36は画素領域の形状に倣って平面視略矩形状を呈する。反射電極36は、例えば厚さ100nmの光反射性のアルミニウム膜からなり、対向基板310側から入射した光を反射させて再び対向基板310側へと戻す機能を有する。反射電極36上には第1基板30の表面全体を覆うようにして光透過性を有する保護層43が形成されている。
【0098】
保護層43は、例えば厚さ3μmの感光性アクリル樹脂からなり、第1基板30上における平坦化層としても機能する。保護層43の接続電極44と対応する位置には、上記した貫通孔11a、11bとともにコンタクトホールH1を形成する貫通孔11cが形成されている。保護層43の表面には複数の画素電極35sが形成されている。画素電極35sは、例えば厚さ50nmのITO(インジウム錫酸化物)からなる。
【0099】
画素電極35sは、保護層43に形成された貫通孔11c内に露出する反射電極36上に形成されており、反射電極36と接続(接触)した状態にある。つまり、各々の画素電極35sは、コンタクトホールH1を介して下層の接続電極44と接続され、選択トランジスタTRsのドレイン電極41dに電気的に接続されている。
本実施形態の画素40は、選択トランジスタTRsのスイッチング動作により、画素40内の全ての画素電極35sと反射電極36とに、データ線68から供給される信号電圧が印加される構成である。
【0100】
画素電極35sは、平面視円形状に形成されており、その直径はセルギャップ(画素電極35sと共通電極37との距離)よりも小さい長さに設定される。本実施形態では、画素電極35sの直径は、セルギャップの1/2以下の長さに設定されている事が望ましい。これにより、第2基板31側から画素40を見たときの最小ドットの大きさを小さくすることができ、明るい表示が可能となる。これは画素電極35sの面積を狭くし、反射電極36の面積を広くするからである。1画素内に配置される複数の画素電極35sの総面積は1画素の面積の1/4以下であることが好ましい。
【0101】
本実施形態の電気泳動表示装置110の対向基板310の基本構成は第1実施形態と共通であるが、画素電極35sがITOからなるものであるから、共通電極37もITOを用いて形成されている。フェルミ準位差に起因する腐食を防止するためである。
【0102】
素子基板300と対向基板310との間に配置される電気泳動層32は、図17に示すように、透明な分散媒21中にプラスに帯電した黒色粒子27(正帯電粒子)が分散された構成であり、第1実施形態のような白色粒子26は含まれていない。黒色粒子27は、電気泳動層32中において、画素電極35sと共通電極37との電位差に基づいて移動する電気泳動粒子として振る舞う。
【0103】
ここで、本実施形態の電気泳動表示装置の動作原理について述べる。
図17(a)、(b)は、画素電極への印加電圧の大きさに応じて黒色粒子27(正帯電粒子)の分布状態が異なる場合を示す説明図である。
【0104】
画素電極35sに対して大きさの異なる電位を入力した場合に、黒色粒子27がどのように共通電極37上に配置されるかについて説明する。以下では、共通電極37には電位Vcomとしてグランド電位が入力されているとする。また本実施形態では、反射電極36には画素電極35sと同じ電圧が印加される。
【0105】
本実施形態の電気泳動表示装置110では、まず画素電極35sに負の電圧を印加し、全ての黒色粒子27を画素電極35s上に電気的に吸着させた後、画素電極35sに大きさの異なる正の電圧を印加して黒色粒子27の電気泳動層32内での分布状態を制御する。
本実施形態では、反射電極36上に保護層43が形成されているため、反射電極36から黒色粒子27に印加される電圧が保護層43の寄与分だけ低減される一方、画素電極35sの電圧はそのまま黒色粒子27に印加される。このため画素電極35s上に効率良く黒色粒子27を吸着させることができる。
【0106】
図17(a)に示すように、画素電極35sに大きな正の電圧VH(正の最大値)を印加すると、画素電極35sと共通電極37との電位差により、画素電極35sと共通電極37との間に大きな電界が生じる。これにより、ほぼ全ての黒色粒子27が共通電極37側へと移動する。
【0107】
このとき黒色粒子27は、画素電極35sからの斜め電界(画素電極35sから、第1基板30の法線に対して傾いた方向に出る電気力線を有する電界)によって、第2基板31の面方向の広い範囲に分散することになる。これにより、図14に示した複数の画素電極35sを有する画素40の全体が黒表示となる。
【0108】
一方、図17(b)に示すように、画素電極35sに中程度の大きさの正の電圧Vh(|Vh|<|VH|)を印加すると、画素電極35sと共通電極37との間の電位差(電圧)は図17(a)の場合より小さくなるため、正に帯電した黒色粒子27は共通電極37側であまり広がらずに分布する。これは、以下の理由による。
【0109】
正帯電の黒色粒子27は、先に述べたように斜め電界でも移動するが、もともとの電界(第1基板30の法線方向の電界)が小さくなると、斜め電界の強度及び広がりも小さくなる。そのため、黒色粒子27の第2基板31の面方向への広がり(移動量)が少なくなり、黒色粒子27が狭い範囲に集中してスポット的な分布となる。また、大きな電圧VHを印加したときに比べて、移動する粒子数も少なくなる。これらにより、図17(a)の場合と比べて小さい面積の黒表示が表現できる。
また、反射電極36に画素電極35sと同じ電位が入力されているため、分散媒21中に浮遊している黒色粒子27が反射電極36に吸着されることはなく、共通電極37側へとスムーズに移動する。
【0110】
なお、共通電極37側に黒色粒子27を移動させない場合、つまり画素電極35sに負の電圧を印加してすべての黒色粒子27を画素電極35s上に集めた場合には、画素40に入射した外光は透明な分散媒21を透過して第1基板30に入射するが、この入射光のうち反射電極36に入射した光は反射電極36で反射され、外部へ射出される。この反射光(白色光)が第2基板31側から視認されるため、画素全体が白表示になる。なお本実施形態では、第1基板30に設けられた反射電極36の反射光により白表示を実現するので、白色粒子26の散乱により白表示する場合と比較して明るい白表示を得ることができる。
【0111】
このように本実施形態の電気泳動表示装置110では、共通電極37上に分布する黒色粒子27の数と分布状態(分布領域)を制御することで、黒表示又は白表示、あるいは黒から白までの中間階調の表示(グレー表示)を自在に制御することができる。また本実施形態では、1つの画素40内に複数の島状の画素電極35sを設けていることにより、より制御性良く表示をコントロールすることができる。
【0112】
[駆動方法]
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図18は、第2実施形態に係る駆動方法を示すフローチャートである。図19及び図20は画素の動作説明図である。
【0113】
本実施形態の駆動方法は、図18に示すように、プリセットステップS20と、画像表示ステップS11と、電荷除去ステップS12と、画像保持ステップS13と、粒子再吸着ステップS14と、粒子浮遊ステップS15と、粒子制止ステップS16と、電源オフ実行ステップS17と、を有する。本実施形態の駆動方法におけるタイミングチャートは、図6に示した第1実施形態のものと共通である。
【0114】
なお、本実施形態においても、説明の簡単のために共通電極37の電位Vcomがグランド電位であるとする。また、画素電極35sに印加される電圧のうち、電圧VHが正の最大値、電圧VLが負の最大値である点も同様である。
【0115】
プリセットステップS20では、全ての画素40を階調制御可能な状態に移行させる。またプリセットステップS20を実行することにより、表示部5の全体が白表示に移行するので、表示部5は実質的に消去された状態となる。
具体的に、プリセットステップS20では、図6に示すように、走査線66が選択されている期間に、データ線68に負の電圧VLが供給される。そうすると、選択された画素40において、選択トランジスタTRsを介して画素電極35sに電圧VLが印加される。これにより、図19(a)に示すように、正帯電の黒色粒子27が画素電極35sに引き寄せられ、吸着される。このような状態とされることで、画素40は、黒色粒子27の移動量を制御することによる階調制御が可能なプリセット状態となる。
【0116】
図19(a)に示す表示状態では、共通電極37側から入射する外光Lは、透明な分散媒21を透過して第1基板30上の画素電極35s又は反射電極36に入射する。ここで、画素電極35sに入射した外光Lは、画素電極35s上に吸着している黒色粒子27に吸収されるが、反射電極36に入射した外光Lは、反射電極36で反射され、共通電極37を透過して外部へ射出される。よって、この状態で共通電極37側から電気泳動層32を見ると、反射光によって画素全体が白表示となる。
【0117】
次に、画像表示ステップS11では、表示部5に対する画像の表示が行われる。具体的に、走査線66が選択されている期間に、表示階調に応じた画像信号が画素40に入力され、画素電極35sに入力される。画像表示ステップS11により、表示部5の画素40が、入力された画像信号に基づいてグレー表示、白表示、又は黒表示され、モノクロ画像又は中間調を含む画像が、表示部5に表示される。
【0118】
例えば、グレー表示される画素40では、図6に示すように、データ線68から選択トランジスタTRsを介して画素電極35sに、正の最大値である電圧VHよりも小さい正の電圧Vh1が印加される。電圧Vh1を画素電極35sに印加すると、プリセットステップS20において画素電極35sに吸着されていた黒色粒子27の一部が共通電極37側へ引き寄せられ、図19(c)に示すように、電気泳動層32の厚さ方向に広く分布した状態となる。すなわち、一部の黒色粒子27は共通電極37に吸着し、他の一部の黒色粒子27は分散媒21中に浮遊した状態となる。さらに他の一部の黒色粒子27は、画素電極35sに吸着したままとなる。
【0119】
上記の状態の画素40に外光Lが入射すると、共通電極37の近傍や分散媒21中に位置する黒色粒子27に外光Lが一部吸収されるため、分散媒21中に入射する外光Lが減少する。分散媒21中に入射した外光Lのうち反射電極36に入射した光は、反射電極36で反射されて共通電極37側の面から再び外部へ射出される。このときにも、共通電極37の近傍や分散媒21中に位置している黒色粒子27により一部の光が吸収され、外部へ射出される光量が白表示の場合よりも少なくなる。その結果、画素40がグレー表示される。
【0120】
白表示される画素40では、画素電極35sに負の電圧VLが印加され、図19(a)に示したプリセット状態(白表示)を維持する。一方、黒表示される画素40では、画素電極35sに正の電圧VHが印加される。これにより図19(b)に示すように、黒色粒子27は共通電極37に引き寄せられ、吸着される。
【0121】
電荷除去ステップS12及び画像保持ステップS13の動作は、先の第1実施形態と同様である。そして、画像保持ステップS13の実行中に電気泳動表示装置110の電源遮断動作が開始されると、電源遮断ステップS1が実行される。一方、画像書き換え動作が開始されると、プリセットステップS20に戻り、プリセットステップS20〜電荷除去ステップS12が実行される。
【0122】
本実施形態の電気泳動表示装置110においても、画像表示ステップS11でグレー表示された画素40には、図19(c)に示すように分散媒21中に浮遊する黒色粒子が存在する。そのため、画像保持ステップS13において電気泳動層32が電圧無印加状態とされると、図19(d)に示すように、グレー表示の画素40から白表示又は黒表示の画素40に向かって黒色粒子27が移動(拡散)する。その結果、図20(e)に示すように、グレー表示の画素40内の黒色粒子27が減少し、白表示又は黒表示の画素40内の黒色粒子27が増加する現象が生じる。
本実施形態の電気泳動表示装置110の駆動方法においても、電源遮断ステップS1を実行することにより、上記した黒色粒子27の偏在を解消し、焼き付きや残像を解消することができる。
【0123】
電源遮断ステップS1の具体的な動作は、先の実施形態と同様である。すなわち、まず、粒子再吸着ステップS14により、図20(f)に示すように、全ての画素40の黒色粒子27を画素電極35sのみに吸着させた状態とする。次いで、粒子浮遊ステップS15により、図20(g)に示すように、画素電極35sに吸着している黒色粒子27の少なくとも一部を、分散媒21中に浮遊させる。次いで、粒子制止ステップS16を実行することにより、黒色粒子27の移動を停止させ、分散媒21中に浮遊させた状態とする。その後、電源オフ実行ステップS17により電気泳動表示装置110の電源を遮断する。
【0124】
電源遮断ステップS1を実行することにより、電源遮断後に、黒色粒子27を分散媒21中に浮遊させた状態で保持することができる。これにより、図20(h)に示すように、黒色粒子27をその分散濃度が高い画素40(白表示又は黒表示されていた画素40)から、分散濃度の低い画素40(グレー表示されていた画素40)へ移動させることができ、電気泳動層32の全体で分散濃度を均一化することができる。その結果、画像表示ステップS11や画像保持ステップS13において生じた黒色粒子27の偏りを解消することができ、焼き付きや残像が解消される。したがって、本実施形態の電気泳動表示装置110においても、先の実施形態と同様に高品位の表示を得ることができる。
【0125】
本実施形態の場合、画素40の平面領域に対応して反射電極36が形成され、反射電極36で反射させた光を白表示光として用いている。これにより、高輝度の明るい表示が可能となり、電気泳動表示装置の視認性を改善することができる。また反射電極36は、対向基板310側から見て選択トランジスタTRsを覆うように形成することができるため、選択トランジスタTRsへの光入射を防止でき、トランジスタの誤動作防止に寄与する。また、選択トランジスタTRsが形成された領域を有効表示領域とすることができるので、明るさの向上にも寄与する。
【0126】
なお、本実施形態においても、先の第1実施形態と同様の変更を加えることができる。
【0127】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の電気泳動表示装置とその駆動方法について、図21から図26を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態において、第1及び第2実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0128】
図21は、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の断面図である。図22は、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の回路構成図である。図23は、1画素における素子基板上の構成をより詳細に示す平面図である。
【0129】
本実施形態の電気泳動表示装置120は、図21に示すように、素子基板300と対向基板310との間に、2粒子系の電気泳動層32を挟持した構成を備えている。電気泳動層32は、透明な分散媒21中に、正に帯電した黒色粒子27と、負に帯電した黒色粒子28とが混合分散したものである。正負に帯電した黒色粒子27、28はいずれも電気泳動粒子として振る舞う。
【0130】
素子基板300は、第1基板30上に、反射電極38と、反射電極38を覆って形成された保護層43と、保護層43上に形成された第1画素電極35A及び第2画素電極35Bと、を有する。対向基板310は、第1実施形態と同様に、第2基板31上に共通電極37が形成された構成である。
【0131】
図22に示すように、電気泳動表示装置120の表示部5には、複数の走査線66(m、m+1、…)と複数の第1データ線68A(N(A)、N+1(A)、…)、及び第2データ線68B(N(B)、N+1(B)、…)とが、互いに交差する方向に延在している。ここで、本実施形態の走査線66は、表示部5において2本に分岐された第1走査線66Aと第2走査線66Bとからなる。
【0132】
図22に示す各々の画素40には、選択トランジスタ(第1のトランジスタ)TR1及び選択トランジスタ(第2のトランジスタ)TR2と、電気泳動材料としての電気泳動層32と、第1画素電極(第1電極)35A及び第2画素電極(第1電極)35Bと、共通電極(第2電極)37と、接続電極(第1接続電極)44A及び接続電極(第2接続電極)44Bと、が設けられている。
【0133】
選択トランジスタTR1のゲートに第1走査線66Aが接続され、ソースには第1データ線68Aが接続され、ドレインには接続電極44Aを介して第1画素電極35Aが接続されている。
選択トランジスタTR2のゲートには第2走査線66Bが接続され、ソースには第2データ線68Bが接続され、ドレインには接続電極44Bを介して第2画素電極35Bが接続されている。
【0134】
より詳細には、表示部5のm行、N列に位置する画素40Aでは、選択トランジスタTR1、選択トランジスタTR2のそれぞれのゲートにm行目の走査線66が接続されている。選択トランジスタTR1のソースにN(A)行の第1データ線68Aが接続され、選択トランジスタTR2のソースにN(B)行の第2データ線68Bが接続されている。一方、表示部5の(m+1)行、N列に位置する画素40Bでは、選択トランジスタTR1、選択トランジスタTR2のそれぞれのゲートに(m+1)行目の走査線66が接続されている。
【0135】
ここで、画素40に、第1実施形態と同様の保持容量を設けることもできる。本実施形態の場合、第1画素電極35A及び第2画素電極35Bのそれぞれに対応して保持容量を設けることになる。すなわち、第1の保持容量の一方の電極は選択トランジスタTR1のドレイン及び第1画素電極35Aに接続され、第2の保持容量の一方の電極は選択トランジスタTR2のドレイン及び第2画素電極35Bに接続される。第1及び第2の保持容量の他方の電極はいずれも容量線又は他の行の走査線66に接続すればよい。また、電気泳動層32に電圧を印加するための、保持容量以外の手段を具備した構成としてもよい。
【0136】
画素40は、例えば図23に示す構成を採用することができる。
図23(a)に示す画素40において、第1走査線66A及び第2走査線66Bと、第1データ線68A及び第2データ線68Bが画素40の辺縁に沿って配置されており、これらの配線に囲まれた矩形状の領域に、選択トランジスタTR1、TR2、接続電極44A、44B、第1画素電極35A、第2画素電極35Bが形成されている。
【0137】
第1画素電極35A、第2画素電極35Bは、1画素内においてそれぞれ複数ずつ設けられており、第1走査線66A(第2走査線66B)の延在方向と、第1データ線68A(第2データ線68B)の延在方向の2方向に沿って交互にパターン配列されている。すなわち、画素40内に、複数の第1画素電極35Aと複数の第2画素電極35Bとが市松状に配置されている。複数の第1画素電極35Aは、いずれも平面視櫛歯形状の接続電極44Aに接続されている。一方、複数の第2画素電極35Bは、いずれも平面視櫛歯形状の接続電極44Bに接続されている。
【0138】
接続電極44A、44Bは、いずれも平面視櫛歯形状に形成されており、互いに噛み合うようにして画素40内に配置されている。
接続電極44Aは、第1走査線66Aと第2データ線68Bとに沿ったL形の幹部441aと、幹部441aから斜め方向に伸びる複数の枝部442aとを有する。第1走査線66Aと第1データ線68Aとの交差部近傍に位置する幹部441aの端部に、選択トランジスタTR1のドレインが接続されている。枝部442aは、幹部441aの延在方向とは異なる斜め方向(ここでは、枝部442aの各辺に対して約45°〜60°の方向。図示では略45°の方向)に、互いに平行して延在しており、枝部442aのそれぞれの延在長さは画素40の形状に応じて適切な長さに設定される。本実施形態の場合、L形の幹部441の屈曲部(角部)付近から延出された枝部442aが相対的に長く、上記屈曲部から離れた位置の枝部442aが相対的に短い長さに形成されている。
【0139】
接続電極44Bは、第2走査線66Bと第1データ線68Aに沿ったL形の幹部441bと、幹部441bから斜め方向に延びる複数の枝部442bとを有する。第2走査線66Bと第2データ線68Bとの交差部近傍に位置する幹部441bの端部に、選択トランジスタTR2のドレインが接続されている。枝部442bは、接続電極44Aの枝部442a同士の間の領域に、枝部442aとほぼ平行に延びて形成されている。
【0140】
接続電極44Aの枝部442a上に複数の第1画素電極35Aが形成されており、各々の第1画素電極35Aと接続電極44AとはコンタクトホールH1を介して接続されている。また、接続電極44Bの枝部442b上に複数の第2画素電極35Bが形成されており、各々の第2画素電極35Bと接続電極44BとはコンタクトホールH2を介して接続されている。
【0141】
なお、図示の例では枝部442a、442bを、一様な線幅を有する配線状の電極として記載しているが、部位により異なる線幅を有する形状としてもよい。例えば、枝部442a(442b)において、コンタクトホールH1(H2)が形成される領域の線幅を相対的に太く、それ以外の領域の線幅を相対的に細く形成してもよい。このような構成とすれば、第1画素電極35A(第2画素電極35B)との接続性を確保しつつ、反射電極38と接続電極44A(44B)との間の寄生容量を低減することができる。
【0142】
上記構成の画素40では、複数の第1画素電極35Aに対して、選択トランジスタTR1を介して第1データ線68Aから供給される画像信号に基づく電圧が印加される一方、複数の第2画素電極35Bに対しては、選択トランジスタTR2を介して第2データ線68Bから供給される画像信号に基づく電圧が印加される。すなわち、本実施形態の画素40は、複数の第1画素電極35Aと複数の第2画素電極35Bとを互いに独立に駆動可能に構成されている。一方、反射電極38は、第1画素電極35A、第2画素電極35Bのいずれにも接続されておらず、表示部5全体に共通の反射電極38が形成されている。反射電極38に対しても電位入力可能に構成されている。
【0143】
図23(b)は、(a)のD−D線に沿う位置における素子基板の断面図である。なお、同図には選択トランジスタTR1とそれに接続された接続電極44A及び第1画素電極35Aのみが示されているが、選択トランジスタTR2とそれに接続された接続電極44B及び第2画素電極35Bも図示と同様の構成である。
【0144】
図23(b)に示すように、例えば厚さ0.4mmのガラス基板からなる第1基板30上に、選択トランジスタTR1の一部を構成するゲート電極41eが形成されている。ゲート電極41eは、例えば厚さ300nmのアルミニウムからなる。ゲート電極41eを覆うようにして、例えば厚さ300nmの酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜41bが形成され、ゲート電極41e上に、例えば厚さ50nmのa−IGZO(インジウムガリウム亜鉛酸化物)からなる半導体層41aが形成されている。
ゲート絶縁膜41b上に、例えば厚さ300nmのアルミニウムからなるソース電極41c及びドレイン電極41dと、接続電極44Aとが形成されている。接続電極44Aは、ドレイン電極41dと一体に形成されている。
【0145】
選択トランジスタTR1及び接続電極44A上には、これらを覆うようにして、例えば厚さ300nmの酸化シリコン膜からなる第1層間絶縁膜42Aと、例えば厚さ300nmシリコン窒化膜から成る第2層間絶縁膜42Bとが、この順に積層されている。第2層間絶縁膜42Bの表面には例えば厚さ100nmのアルミニウムなどの金属材料からなる反射電極38が形成されている。反射電極38には、第1画素電極35Aの形成位置に対応して貫通孔38aが設けられている。
【0146】
反射電極38を覆って、例えば厚さ30μmの感光性アクリル樹脂からなる保護層43が形成されている。保護層43は光透過性を有した平坦化層として機能する。保護層43上に、例えば厚さ50nmのITOからなる第1画素電極35Aが形成されている。第1画素電極35Aは、保護層43、第2層間絶縁膜42B、第1層間絶縁膜42A、及びゲート絶縁膜41bを貫通して形成されたコンタクトホールH1を介して、接続電極44A(選択トランジスタTR1のドレイン電極41d)に接続されている。
【0147】
なお、コンタクトホールH1は、反射電極38に設けられた貫通孔38aの内側に、反射電極38と接触しないようにして形成されている。これにより、コンタクトホールH1と反射電極38との間に保護層43が介在する構成となるので、コンタクトホールH1と反射電極38との絶縁性が確保される。
【0148】
なお、選択トランジスタTR1(TR2)としては、a−SiTFT、ポリSiTFT、有機TFT、酸化物TFT等が使用可能である。構造もトップゲート、ボトムゲート構造共に可能である。
また、第1層間絶縁膜42A、42B及び保護層43は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、及び感光性アクリル樹脂により構成されていたが、上記以外の無機絶縁膜又は有機絶縁膜を用いてもよい。また、配線や絶縁膜の材料は上記に限らない。
また、第1画素電極35A及び第2画素電極35Bを設けない構成とすることもできる。この場合は、接続電極44AのうちコンタクトホールH1の底部に露出する部分と、接続電極44BのうちコンタクトホールH2の底部に露出する部分とが、電気泳動層32に電圧を印加する電極となる。
【0149】
[駆動方法]
次に、本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
図24は、第3実施形態に係る駆動方法におけるタイミングチャートである。図25及び図26は画素の動作説明図である。
【0150】
本実施形態の駆動方法のフローは、図18に示したものと同様である。すなわち、本実施形態の駆動方法は、プリセットステップS20と、画像表示ステップS11と、電荷除去ステップS12と、画像保持ステップS13と、粒子再吸着ステップS14と、粒子浮遊ステップS15と、粒子制止ステップS16と、電源オフ実行ステップS17と、を有する。
図24のタイミングチャートには、当該駆動方法を用いて、当該駆動方法を用いてグレー表示を行った後、画像保持動作と電源遮断動作とを実行する場合におけるデータ線68、走査線66への入力電位の遷移が示されている。
【0151】
なお、本実施形態においても、説明の簡単のために共通電極37の電位Vcomがグランド電位であるとする。また、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに印加される電圧のうち、電圧VHが正の最大値、電圧VLが負の最大値である点も同様である。
【0152】
まず、プリセットステップS20では、図24に示すように、走査線66が選択されている期間に、第1データ線68Aに負の電圧VLが供給され、第2データ線68Bには正の電圧VHが供給される。そうすると、選択された画素40において、選択トランジスタTR1を介して第1画素電極35Aに電圧VLが印加され、選択トランジスタTR2を介して第2画素電極35Bに電圧VHが印加される。これにより、図25(a)に示すように、正帯電の黒色粒子27が第1画素電極35Aに引き寄せられ、吸着される一方、負帯電の黒色粒子28は第2画素電極35Bに引き寄せられ、吸着される。このような状態とされることで、画素40は、黒色粒子27、28の移動量を制御することによる階調制御が可能なプリセット状態となる。
【0153】
図25(a)に示す表示状態では、共通電極37に黒色粒子27、28は吸着していないため、共通電極37側から入射する外光Lは、透明な分散媒21を透過して第1基板30上の第1画素電極35A、第2画素電極35B、又は反射電極38に入射する。かかる光のうち、反射電極38に入射した外光Lが、反射電極38で反射され、共通電極37を透過して外部へ射出される。よって、この状態で共通電極37側から電気泳動層32を見ると、反射光によって画素全体が白表示となる。
【0154】
次に、画像表示ステップS11では、表示部5に対する画像の表示が行われる。
画像表示ステップS11では走査線66が逐次的に選択され、1つの走査線66が選択されている期間に、表示階調に応じた画像信号が、選択された画素40に入力される。本実施形態の場合、第1データ線68Aを介して第1画素電極35Aに画像信号電圧が入力されるとともに、第2データ線68Bを介して第2画素電極35Bにも画像信号電圧が入力される。これにより、表示部5の画素40が、入力された画像信号に基づいてグレー表示、白表示、又は黒表示され、モノクロ画像又は中間調を含む画像が、表示部5に表示される。なお、第1画素電極35Aへの電圧印加と、第2画素電極35Bへの電圧印加を異なるフィールドで行ってもよい。
【0155】
グレー表示される画素40では、図24に示すように、第1データ線68Aから第1画素電極35Aに電圧Vh1が印加される。この電圧Vh1は正の電圧であり、かつ電圧VH(正の最大値)よりも絶対値の小さい電圧である。また、第2データ線68Bから第2画素電極35Bに電圧Vl1が印加される。この電圧Vl1は負の電圧であり、かつ電圧VL(負の最大値)よりも絶対値の小さい電圧である。
【0156】
このような電圧Vh1、Vl1を第1画素電極35A、第2画素電極35Bに印加すると、プリセットステップS20において第1画素電極35A、第2画素電極35Bに吸着されていた黒色粒子28、27のそれぞれ一部が、共通電極37側へ引き寄せられ、図25(c)に示すように、分散媒21中にも黒色粒子27、28が広く分布した状態となる。
【0157】
すなわち、第1画素電極35Aに吸着していた正帯電の黒色粒子27のうち、一部の黒色粒子27は共通電極37に吸着され、他の一部の黒色粒子27は分散媒21中に浮遊した状態となり、さらに他の一部の黒色粒子27は、第1画素電極35Aに吸着したままの状態となる。
同様に、第2画素電極35Bに吸着していた負帯電の黒色粒子28も、一部は共通電極37に吸着され、他の一部は分散媒21中に浮遊し、さらに他の一部は第2画素電極35Bに吸着した状態となる。
【0158】
上記の状態の画素40に外光Lが入射すると、共通電極37の近傍又は分散媒21中に位置する黒色粒子27、28に外光Lが一部吸収されるため、分散媒21中に入射する外光Lが減少する。分散媒21中に入射した外光Lのうち反射電極38に入射した光は、反射電極38で反射されて共通電極37側の面から再び外部へ射出される。このときにも、共通電極37の近傍又は分散媒21中に位置する黒色粒子27、28により一部の光が吸収され、外部へ射出される光量が白表示の場合よりも少なくなる。その結果、画素40がグレー表示される。
【0159】
図示は省略しているが、画像表示ステップS11において白表示される画素40では、走査線66が選択されている期間に、第1データ線68Aから第1画素電極35Aに負の電圧VLが印加され、第2データ線68Bから第2画素電極35Bに正の電圧VHが印加される。これらの印加電圧は、プリセットステップS20の全面白表示時に第1画素電極35A、第2画素電極35Bに印加された電圧と同一であるため、画素40の状態は図25(a)に示したプリセット状態から変化せず、画素40は白表示を維持する。
【0160】
また、画像表示ステップS11において黒表示される画素40では、走査線66が選択されている期間に、第1データ線68Aから第1画素電極35Aに正の電圧VHが印加され、第2データ線68Bから第2画素電極35Bに負の電圧VLが印加される。そうすると、図25(b)に示すように、第1画素電極35Aに吸着していた正帯電の黒色粒子27と、第2画素電極35Bに吸着していた負帯電の黒色粒子28は、双方ともに共通電極37に引き寄せられ、吸着される。この表示状態では、画素40の共通電極37側の面が黒色粒子27、28で覆われているため、外光Lは共通電極37近傍で黒色粒子27、28に吸収されてしまい、反射光はほとんど発生しない。その結果、画素40が黒表示されることになる。
【0161】
次に、電荷除去ステップS12では、走査線66が選択されている期間に、第1データ線68Aから第1画素電極35Aに、共通電極37の電位Vcomと同一の電位(グランド電位)が入力され、第2データ線68Bから第2画素電極35Bにグランド電位が入力される。これにより、第1画素電極35A、第2画素電極35Bと、共通電極37とが同電位となり、電気泳動層32は電圧が印加されない状態となる。
なお、電荷除去ステップS12は、画素40に設けられた保持容量の電荷を除去するために実行されるものであり、画素40に保持容量が設けられていない場合には実行しなくてもよい。
【0162】
次に、画像保持ステップS13では、第1画素電極35A、第2画素電極35B、及び共通電極37は、Vcomが印加された状態となる。これにより、電力を消費することなく表示画像が保持される。そして、画像保持ステップS13の実行中に、図18に示すように、電気泳動表示装置100の電源遮断動作が開始されると、電源遮断ステップS1が実行される。一方、画像書き換え動作が開始された場合にはプリセットステップ20に戻り、プリセットステップ20〜電荷除去ステップS12が実行される。
【0163】
本実施形態の電気泳動表示装置120においても、画像表示ステップS11でグレー表示された画素40には、図25(c)に示すように分散媒21中に浮遊する黒色粒子27、28が存在する。そのため、画像保持ステップS13において電気泳動層32が電圧無印加状態とされると、図25(d)に示すように、グレー表示の画素40から白表示又は黒表示の画素40に向かって黒色粒子27、28が移動(拡散)する。その結果、図26(e)に示すように、グレー表示の画素40内の黒色粒子27、28が減少し、白表示又は黒表示の画素40内の黒色粒子27、28が増加する現象が生じる。このような黒色粒子27、28の偏在を電源遮断ステップS1を実行することにより解消することができ、焼き付きや残像を解消することができる。
【0164】
電源遮断ステップS1の具体的な動作は、先の実施形態とほぼ同様である。
まず、粒子再吸着ステップS14において、全ての走査線66が一括して選択されている期間に、図24に示すように、第1データ線68Aを介して第1画素電極35Aに電圧VLが印加され、第2データ線68Bを介して第2画素電極35Bに電圧VHが印加される。これにより、図26(f)に示すように、全ての画素40の黒色粒子27、28を画素電極35のみに吸着した状態となる。
【0165】
次いで、粒子浮遊ステップS15において、全ての走査線66が一括して選択されている期間に、第1画素電極35Aに正の電圧である電圧Vshが印加され、第2画素電極35Bに負の電圧である電圧Vslが印加される。電圧Vshは正帯電の黒色粒子27を第1画素電極35Aから脱離させるが、黒色粒子27を共通電極37に到達させることはできない大きさの電圧であり、グレー表示用の電圧Vh1よりも絶対値の小さい電圧である。また電圧Vslは負帯電の黒色粒子28を第2画素電極35Bから脱離させるが、共通電極37に到達させることはできない大きさの電圧であり、グレー表示用の電圧Vl1よりも絶対値の小さい電圧である。この動作により、図26(g)に示すように、画素電極35に吸着している黒色粒子27、28それぞれの少なくとも一部を、分散媒21中に浮遊させることができる。
【0166】
次いで、粒子制止ステップS16において、全ての走査線66が一括して選択されている期間に、第1画素電極35A、及び第2画素電極35Bにグランド電位(電位Vcomと同じ電位)を入力する。これにより、電気泳動層32に電圧が印加されない状態とすることで黒色粒子27、28の移動を停止させ、分散媒21中に浮遊させた状態とする。その後、電源オフ実行ステップS17により電気泳動表示装置120の電源を遮断する。
【0167】
本実施形態の駆動方法においても、上記の電源遮断ステップS1を実行することにより、電源遮断後に、黒色粒子27、28を分散媒21中に浮遊させた状態で保持することができる。これにより、図26(h)に示すように、黒色粒子27、28を、それらの分散濃度が高い画素40(白表示、黒表示されていた画素40)から、分散濃度の低い画素40(グレー表示されていた画素40)へ移動させることができ、電気泳動層32の全体で分散濃度を均一化することができる。その結果、画像表示ステップS11や画像保持ステップS13において生じた黒色粒子27の偏りを解消することができ、焼き付きや残像が解消される。したがって、本実施形態の電気泳動表示装置120においても、先の実施形態と同様に高品位の表示を得ることができる。
【0168】
また本実施形態では、反対の極性の2種類の電気泳動粒子(黒色粒子27、28)を分散媒21中に分散させた電気泳動層32を用いているので、表示画像の明度の制御をより詳細に行うことができる。また、カラーの電気泳動粒子や分散媒21と組み合わせた場合には、表示画像の彩度、色彩の制御をより詳細に行うことが可能である。
【0169】
また本実施形態では、粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15、及び粒子制止ステップS16において、表示部5の全ての走査線66を一括して選択することとしている。これにより、走査線66を逐次的に選択する場合と比較して、粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15、及び粒子制止ステップS16に要する時間を短縮することができ、高速な画像表示が可能となる。
なお、走査線66の一括選択は、粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15、及び粒子制止ステップS16のいずれか1つ又は2つのみで行ってもよい。
また、走査線66を逐次的に選択して画像信号入力を行ってもよいのはもちろんである。このような駆動方法とすれば、第1画素電極35A、第2画素電極35Bへの印加電圧を画素40毎に細かく制御することができる。
【0170】
また本実施形態においても、画素40の平面領域に対応して反射電極38が形成されており、反射電極38で反射させた光を白表示光として用いている。これにより、明るい白表示が可能となり、電気泳動表示装置の視認性を改善することができる。また反射電極38は、対向基板310側から見て選択トランジスタTR1、TR2を覆うように形成することができるため、選択トランジスタTR1、TR2への光入射を防止できるとともに、有効表示領域の拡大にも寄与する。
【0171】
なお、本実施形態の電気泳動表示装置において、表示部5に次の画像を表示させる場合には、図24に示したプリセットステップS20から電荷除去ステップS12までの一連の動作が実行されるが、このときに、前画像の表示動作時に対して、第1画素電極35Aと第2画素電極35Bの極性を入れ替えることが好ましい。すなわち、次画像の表示動作におけるプリセットステップS20では、第1画素電極35Aに電圧VHを印加し、第2画素電極35Bには電圧VLを印加することが好ましい。
【0172】
そうすると、図27(a)に示すように、第1画素電極35Aに負帯電の黒色粒子28が引き寄せられて吸着し、第2画素電極35Bには正帯電の黒色粒子27が引き寄せられて吸着する。すなわち、図25(a)に示したプリセット状態に対して、黒色粒子27、28の吸着先の第1画素電極35A、第2画素電極35Bが逆になる。この場合にも、黒色粒子27、28は第1画素電極35A、第2画素電極35Bに吸着されているため、画素40は白表示される。
【0173】
このような駆動方法を採用することで、第1画素電極35A、第2画素電極35Bと、共通電極37との間に直流電圧が印加されるのを防止することができ、電極の腐食や電気泳動材料の劣化を防止することができる。
プリセットステップS20における第1画素電極35A、第2画素電極35Bへの印加電圧の極性反転は、1回の画像表示動作毎に行ってもよく、複数回の画像表示動作毎に行ってもよい。
また、画像表示動作の態様に応じて極性反転の頻度を異ならせてもよい。例えば、同一の画像を連続して表示させる場合には、各々の画素40の階調が固定され、第1画素電極35A、第2画素電極35Bと共通電極37との間に直流電圧が印加されやすくなる。このような場合には、上記複数回の表示動作が行われる期間内に、第1画素電極35A、第2画素電極35Bへの印加電圧の極性反転を1回以上行うこととすればよい。
【0174】
また本実施形態において、プリセットステップS20と、粒子再吸着ステップS14とは同じ動作である。したがって、粒子再吸着ステップS14を実行する毎に第1画素電極35A、第2画素電極35Bへの印加電圧の極性反転を行ってもよく、複数回ごとに極性反転を行うこととしてもよい。
あるいは、プリセットステップS20と粒子再吸着ステップS14を区別せずに、これらを実行する毎に極性を反転させてもよい。すなわち、第1のプリセットステップS20の後に粒子再吸着ステップS14が実行され、その後に第2のプリセットステップS20が実行される場合には、第1のプリセットステップS20及び第2のプリセットステップS20において第1画素電極35Aに正帯電の黒色粒子27を吸着させ、これらのステップの間に実行される粒子再吸着ステップS14では第1画素電極35Aに負帯電の黒色粒子28を吸着させるようにしてもよい。
【0175】
また本実施形態では、反射電極38はグランド電位に固定されているものとして説明したが、反射電極38に任意の電位入力が可能な構成としてもよい。この場合に、例えば、粒子の移動を補助または粒子をはじくような電圧を反射電極38に印加する構成とすることができる。
具体的には、例えば図25(a)の白表示状態から図25(b)の黒表示状態に移行させる際に、第1のステップで、第1画素電極35A、第2画素電極35B、及び反射電極38に、電圧VHを印加する。すると、第1画素電極35Aに吸着している正帯電の黒色粒子27が引きはがされて共通電極37へ移動する。このとき、第2画素電極35B及び反射電極38も電圧VHに保持されているため、より円滑かつ高速に黒色粒子27を移動させることができる。
その後、第2のステップで、第1画素電極35A、第2画素電極35B、反射電極38に、電圧VLを印加する。すると、第2画素電極35Bに吸着している負帯電の黒色粒子28が引きはがされて共通電極37へ移動する。このときにも、第1画素電極35A、反射電極38との反発作用により黒色粒子28の移動が促進される。
【0176】
なお、本実施形態においても、先の第1実施形態と同様の変更を加えることができる。
【0177】
(変形例)
上述した電気泳動表示装置の駆動方法は、先に記載の構成にのみ適用されるものではなく、種々の構成の電気泳動表示装置に適用することができる。以下にいくつかの変形例を示し、図面を参照しつつ説明する。
【0178】
[第1変形例]
図28は、同一の基板に画素電極35と共通電極37Aの双方が形成された構成を備えた電気泳動表示装置において、本発明の駆動方法を適用した場合の動作説明図である。図28において、(a)は黒表示、(b)は白表示、(c)はグレー表示、(d)は粒子浮遊状態の画素40を示している。
【0179】
図28に示す電気泳動表示装置では、一方の基板(素子基板)に、画素電極35と、共通電極37Aとが形成されている。
画素電極35は、アルミニウム等の光反射性を有する金属からなる電極、あるいはアルミニウム等からなる反射層上にITO等からなる透明導電膜を積層した電極とされる。
共通電極37Aは、複数の画素40に共通の電極であり、画素40の表示領域外に配置されている。共通電極37Aは、例えば画素電極35と共通の材料を用いて形成される。他方の基板(対向基板)には電極は形成されていない。
電気泳動層32は分散媒21中に1種類の正帯電の黒色粒子27を分散させた構成である。
【0180】
上記構成を備えた電気泳動表示装置において、画素40を黒表示させるには、例えば共通電極37Aにグランド電位を入力した状態で、図28(a)に示すように、負の電圧VLを印加する。そうすると、正帯電の黒色粒子27が画素電極35に引き寄せられ、吸着する。この状態では光反射性を有する画素電極35が黒色粒子27で覆われているため、画素40に入射した外光は黒色粒子27で吸収され、反射光はほとんど生じない。これにより、画素40が黒表示となる。
【0181】
一方、図28(b)に示す白表示では、画素電極35に正の電圧VHが印加される。そうすると、正帯電の黒色粒子27が相対的に低電位の共通電極37Aに引き寄せられ、共通電極37A上に吸着する。この状態の画素40では、分散媒21を透過して画素電極35に入射する外光Lが、画素電極35で反射されて外部に射出されるので、白表示として視認される。
【0182】
図28(b)に示す白表示状態(プリセット状態)から、図28(c)に示すように、画素電極35に電圧Vlを印加すると、画素40はグレー表示となる。電圧Vlは負の電圧であり、かつ黒表示時に画素電極35に印加される電圧VLよりも絶対値の小さい電圧である。このような電圧Vlを画素電極35に印加すると、共通電極37A上に吸着している黒色粒子27の一部が画素電極35に引き寄せられて吸着する一方、他の一部の黒色粒子27は分散媒21中に浮遊した状態となり、さらに他の一部の黒色粒子27は共通電極37A上に残ったままになる。
このような状態の画素40では、黒色粒子27は画素電極35の表面を部分的に覆った状態であるため、図28(b)に示した白表示時よりも反射率が低くなり、グレー表示として視認される。
【0183】
図28(c)に示すように、本例の電気泳動表示装置においても、グレー表示動作によって分散媒21中に浮遊する黒色粒子27が発生する。この浮遊する黒色粒子27を長時間放置すると、先の実施形態の電気泳動表示装置と同様に、画素40間で黒色粒子27の移動が生じる。したがって、本例の電気泳動表示装置においても、粒子浮遊ステップを有する本発明の駆動方法を好適に用いることができる。
【0184】
具体的には、電気泳動表示装置の電源を遮断する電源遮断ステップにおいて以下の動作を実行する。
まず、粒子再吸着ステップとして、図28(a)と同様に、画素電極35に電圧VLを印加する動作を実行する。これにより、画素40内の全ての黒色粒子27を画素電極35に吸着させる。
次いで、図28(d)に示すように、画素電極35に正の電圧Vsを印加する。電圧Vsは、画素電極35に吸着している黒色粒子27を脱離させるが、共通電極37Aまでは到達させることができない大きさの電圧である。このような電圧Vsを画素電極35に印加することで、画素電極35に吸着している黒色粒子27を分散媒21中に浮遊させることができる。
その後、電源オフ実行ステップにより、電気泳動表示装置の電源を遮断する。
【0185】
以上の動作を実行することにより、電源オフ期間中に黒色粒子27を分散媒21中に浮遊させた状態で保持することができる。黒色粒子27は、分散媒21中の分散濃度の差異を解消するように電気泳動層32内に均一に分散されるので、画像表示動作によって生じる黒色粒子27の偏りを解消することができる。その結果、焼き付きや残像の発生を抑えることができる。
【0186】
[第2変形例]
図29は、電気泳動粒子が1種類のみである場合の複数の構成例を示す図である。
【0187】
図29(a)に示す例は、対向基板側にカラーフィルターCFが設けられるとともに、黒色の分散媒21に正帯電の白色粒子27Wを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。
本例では、共通電極37上にカラーフィルターCFが形成されている。カラーフィルターCFは、例えば、3色(R、G,B)のカラーフィルターを画素40毎に配列した構成とすることができ、シアンやイエローを含む4色以上のカラーフィルターとしてもよい。
このようにカラーフィルターCFを備えた構成とすることにより、カラー表示の電気泳動表示装置とすることができる。
【0188】
なお、カラーフィルターCFは顔料タイプでも染料タイプでもよい。また、カラーフィルターCF上に共通電極37が形成された構成としてもよい。また電気泳動層32を、透明な分散媒21中に黒色粒子27が分散された構成としてもよい。
【0189】
図29(b)に示す例は、黒色の分散媒21に正帯電の白色粒子27Wを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、画素電極35に白色粒子27Wを吸着した状態で画素40が黒表示され、共通電極37へ移動させる白色粒子27Wの量を制御することにより、画素40の表示階調を制御することができる。
【0190】
図29(c)に示す例は、赤色の分散媒21に正帯電の黒色粒子27を分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、画素電極35に黒色粒子27を吸着した状態で画素40が赤表示され、共通電極37へ移動させる黒色粒子27の量を制御することにより、画素40の表示階調(赤〜暗い赤〜黒)を制御することができる。
なお、分散媒と電気泳動粒子の色の組み合わせは一例であり、任意の色の分散媒と電気泳動粒子とを組み合わせて用いることができる。
【0191】
図29(d)に示す例は、透明な分散媒21中に、正帯電の黒色粒子27と、無帯電の赤色粒子26Rとを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、画素電極35に黒色粒子27を吸着した状態で、赤色粒子26Rの散乱光によって画素40が赤表示され、共通電極37へ移動させる黒色粒子27の量を制御することにより、画素40の表示階調(赤〜暗い赤〜黒)を制御することができる。
なお、分散媒と電気泳動粒子の色の組み合わせは一例であり、任意の色の分散媒と電気泳動粒子とを組み合わせて用いることができる。
【0192】
[第3変形例]
図30は、電気泳動粒子が2種類である場合の複数の構成例を示す図である。
【0193】
図30(a)は、マゼンタの分散媒21に、負帯電のシアン粒子28Cと、正帯電のイエロー粒子27Yとを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、第1画素電極35Aにイエロー粒子27Yを吸着させ、第2画素電極35Bにシアン粒子28Cを吸着させた状態(プリセット状態;マゼンタ表示)から、第1画素電極35A及び第2画素電極35Bに対して、吸着粒子を共通電極37側へ移動させる電圧を印加し、シアン粒子28Cとイエロー粒子27Yとを共通電極37へ吸着させる。
共通電極37へ吸着させるシアン粒子28Cとイエロー粒子27Yの量を制御することで、画素40をフルカラー表示させることができる。
【0194】
図30(b)は、緑色の分散媒21に、負帯電の赤色粒子28Rと、正帯電の青色粒子27Bとを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに赤色粒子28R及び青色粒子27Bを吸着させた状態(プリセット状態;緑色表示)から、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに吸着粒子を共通電極37側へ移動させる電圧を印加し、共通電極37へ吸着させる赤色粒子28Rと青色粒子27Bの量を制御することで、画素40をフルカラー表示させることができる。
【0195】
図30(c)は、透明な分散媒21に、負帯電のシアン粒子28Cと、正帯電のイエロー粒子27Yと、無帯電のマゼンタ粒子26Mとを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、第1画素電極35A、第2画素電極35Bにシアン粒子28C及びイエロー粒子27Yを吸着させた状態(プリセット状態;マゼンタ表示)から、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに吸着粒子を共通電極37側へ移動させる電圧を印加し、共通電極37へ吸着させるシアン粒子28Cとイエロー粒子27Yの量を制御することで、画素40をフルカラー表示させることができる。図30(a)に示した構成と異なるのは、プリセット状態のマゼンタ表示が、マゼンタ粒子26Mの散乱光により実現される点である。
【0196】
図30(d)は、透明の分散媒21に、負帯電の赤色粒子28Rと、正帯電の青色粒子27Bと、無帯電の緑色粒子26Gとを分散させた電気泳動層32を備えた電気泳動表示装置である。この構成では、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに赤色粒子28R及び青色粒子27Bを吸着させた状態(プリセット状態;緑色表示)から、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに吸着粒子を共通電極37側へ移動させる電圧を印加し、共通電極37へ吸着させる赤色粒子28Rと青色粒子27Bの量を制御することで、画素40をフルカラー表示させることができる。図30(b)に示した構成と異なるのは、プリセット状態の緑色表示が、緑色粒子26Gの散乱光により実現される点である。
【0197】
[第4変形例]
図31、図32は、第4変形例の電気泳動表示装置の表示部を示す概略図である。
図31(a)に示す電気泳動表示装置では、画素40が縦横に配列された表示部5に、電気泳動層32を4画素〜6画素に相当する面積の領域毎に区画する隔壁400が設けられている。
一方、図31(b)に示す電気泳動表示装置では、表示部5を2画素分程度の面積を有する領域毎に区画する隔壁401が設けられている。
図32に示す電気泳動表示装置では、画素40がマトリクス状に配列された表示部5を、画素40の各列毎に区画する平面視ストライプ状の隔壁402が設けられている。隔壁402は、複数列毎に形成されていてもよく、表示部5を各行毎又は複数行毎に区画するストライプ状のものであってもよい。
【0198】
先に述べた各実施形態及び変形例では、電気泳動層32がカプセルや隔壁で仕切られていない構成の電気泳動表示装置について説明したが、電気泳動粒子の濃度分布に起因する粒子の偏在の課題は、図31及び図32に示す構成の電気泳動表示装置においても生じうる。分散媒21中に浮遊する電気泳動粒子の量は画素40の表示階調に依存するため、隔壁400、401、402により区画された領域が画素40よりも大きい場合には、当該領域内で粒子濃度の差異が生じ、電気泳動粒子の移動が生じてしまうからである。これは、隔壁400、401、402がカプセルである場合も同様である。
【0199】
したがって、図31及び図32に示すように、1画素よりも大きい領域を区画する隔壁400、401、402を備えた電気泳動表示装置においても、粒子浮遊ステップを有する本発明の駆動方法を好適に用いることができ、これにより残像が抑制された高品位の表示を得ることができる。
【0200】
[その他]
さらに、上記各変形例に挙げた以外の構成も適宜採用することができる。
【0201】
上記各実施形態及び変形例では、帯電粒子(電気泳動粒子)の数(種類)と、帯電粒子を駆動する画素電極35(35s、35A、35B)の数(種類)が一致している場合について説明した。すなわち、帯電粒子が1種類の場合には、画素40内に1つの画素電極35又は同電位が入力される複数の画素電極35sが設けられている構成とし、帯電粒子が2種類の場合には、画素40内に互いに独立に駆動される第1画素電極35Aと第2画素電極35Bとが設けられている構成とした。これは、上記構成の電気泳動表示装置では、粒子浮遊動作に際して、一方の電極から電気泳動粒子を浮遊させればよいため、電気泳動粒子の分散均一化動作に有利なためである。
ただし、例えば負帯電の白色粒子と、正帯電の黒色粒子を画素電極35と共通電極37との間で入れ替えながら表示を行う構成(帯電粒子が2種類であり、画素40内に1つの画素電極35が設けられている構成)であっても、本発明の駆動方法を適用することは可能である。そして、分散媒中に2種類の帯電粒子の少なくとも一部を浮遊させることができれば、浮遊した粒子の割合に応じた分散均一化効果を得ることが可能である。
【0202】
また、上述した粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15、粒子制止ステップS16は連続した各1フィールドの時間内での動作であることを前提に説明してきたがそれに限らない。例えば粒子再吸着に要する時間が長い場合は粒子再吸着ステップS14を複数フィールドに渡って設けてもよい。その複数フィールドの間に、画素電極35s、35A、35Bに対して電圧を複数回書き込んでもよいし、1回だけの書き込みでもよい。また、各ステップ間にその時の状態を維持するホールドステップを入れてもよい。
さらに電荷除去ステップS12、粒子制止ステップS16は、それぞれ画像表示ステップS11、粒子浮遊ステップS15で生じさせた粒子の移動をそれ以上進行させないために適用するが、支障となる移動が発生しないなら適用しなくても良い。
また、粒子再吸着ステップS14、粒子浮遊ステップS15において全画素を一括選択して駆動することとしたが、走査線66を順次選択して駆動しても良い。
【0203】
また、動画のように連続して表示を切り替える場合は、画像消去ステップ(プリセットステップ)と画像表示ステップの繰り返しを行なうことで表示画面の早い切り替えを行うことができる。この場合には最後の画像を書いた後に電荷除去以降のステップを行なう。
【0204】
第1基板30及び第2基板31としては、PET基板以外の有機絶縁基板を用いることもできる。また薄ガラス等の無機ガラス基板のほか、無機材料と有機材料の複合基板を用いることもできる。
【0205】
また画素構造において、画素電極35(35s、35A、35B)、共通電極37(37A)、及びその他の層の膜厚、材料等も、先に記載のものに限定されない。画素電極35s、35A、35Bの平面視における形状は円である必要はなく、多角形、楕円形等でもよい。また、画素電極35s、35A、35Bを設けず、接続電極44、44A、44Bのうち、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホールH1、H2の底部に露出する部分を画素電極として機能させる構成としてもよい。
【0206】
また、分散媒21が画素電極35(35s、35A、35B)や共通電極37(37A)、保護層43等に直接接しないようにそれらの間に薄膜層を用いてもよい。これは帯電粒子が電界による吸着と離脱を確実に行なえるようにするためにも用いられる。この薄膜層に用いる材料は有機膜でも無機膜でも良い。
【0207】
また、分散媒21は液体でなく、気体、真空でも良い。
分散媒21としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
例えば、水(蒸留水、純水、イオン交換水等)、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、流動パラフィンなどの鉱物油類、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の植物油類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系液体またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0208】
また、分散媒中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等カップリング剤の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0209】
電気泳動粒子としての帯電粒子には、それぞれいかなるものをも用いることができる。特に限定はされないが、染料粒子、顔料粒子、樹脂粒子、セラミックス粒子、金属粒子、電子粉流体、金属酸化物粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有する。
電気泳動粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.02〜5μm程度であるのがより好ましい。
【0210】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫化亜鉛、亜鉛華等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料、フェロシアン化第二鉄等のシアン色顔料、あるいは無機酸化鉄等のマゼンタ色顔料等が挙げられる。無機顔料、有機顔料を用いることもできる。れらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記顔料の代わりに染料を用いて染料粒子を構成することもできる。この場合は白色顔料に染料を混入させても良いし、着色の顔料と混ぜて用いてもよい。例えばカルボニウム系のマゼンタ等の染料を用いることもできる。
【0211】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、スチレンとアクリロニトリルを共重合したAS樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0212】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
【0213】
また、このような電気泳動粒子の分散媒21中における分散性を向上させることを目的に、各粒子の表面に、分散媒21と相溶性の高い高分子を物理的に吸着させたり、化学的に結合させたりすることができる。これらの中でも、電気泳動粒子の表面からの離脱着の問題から、高分子が化学的に結合しているものが特に好ましい。かかる構成とすれば、電気泳動粒子の見かけの比重が小さくなる方向に作用して、電気泳動粒子の分散媒での親和性、すなわち分散性を向上させることができる。
【0214】
このような高分子としては、例えば、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基を有する高分子、電気泳動粒子と反応性を有する基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子、および、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子等が挙げられる。
【0215】
上述したような高分子において、電気泳動粒子と反応性を有する基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アルコキシシラン基、シラノール基、アルキルアミド基、アジリジン基、オキサゾン基、およびイソシアネート基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を選択して用いることができるが、用いる電気泳動粒子の種類等に応じて、選択するようにすればよい。
【0216】
(電子機器)
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置を電子機器に適用した場合について説明する。
図33は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図33(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック(電子機器)1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
【0217】
図33(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計(電子機器)1100は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
【0218】
図33(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー(電子機器)1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0219】
例えば電子ブックや電子ペーパーなどは、白地の背景上に文字を繰り返し書き込む用途が想定されるため、消去時残像や経時的残像の解消が必要とされる。
なお、本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0220】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、高品位の表示手段を備えた電子機器となる。
【0221】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0222】
5…表示部、21…分散媒、27…黒色粒子(電気泳動粒子)、30…第1基板、31…第2基板、32…電気泳動層(電気泳動素子)、35,35s…画素電極(第1電極)、35A…第1画素電極(第1電極)、35B…第2画素電極(第1電極)、37…共通電極(第2電極)、40,40A,40B…画素、70…コントローラ(制御部)、100,110,120…電気泳動表示装置、S1…電源遮断ステップ、S11…画像表示ステップ、S14…粒子再吸着ステップ、S15…粒子浮遊ステップ、S16…粒子制止ステップ、1000…電子ブック(電子機器)、1100…腕時計(電子機器)、1200…電子ペーパー(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動粒子と分散媒とを有する電気泳動素子を挟持して対向する第1基板及び第2基板を有し、複数の画素が配列された表示部を備え、各々の前記画素に前記電気泳動素子に電圧を印加する第1電極と第2電極とが形成された電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記第1電極又は前記第2電極に吸着している前記電気泳動粒子の少なくとも一部を前記分散媒中に浮遊させる粒子浮遊ステップを有することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記粒子浮遊ステップの前に、前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記分散媒中に浮遊している前記電気泳動粒子を前記第1電極又は前記第2電極に吸着させる粒子再吸着ステップを有することを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記粒子浮遊ステップの後に、前記第1電極と前記第2電極とに略同一の電圧を印加し、前記電気泳動粒子を制止させる粒子制止ステップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記粒子浮遊ステップは、当該電気泳動表示装置の電源を遮断する電源遮断ステップにおいて実行されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記粒子浮遊ステップは、前記表示部に画像を表示させる画像表示ステップが所定回数実行されたときに実行されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記粒子浮遊ステップの後、前記電気泳動粒子が前記画素のピッチ以上の距離を拡散する時間にわたって前記電気泳動粒子を浮遊状態に保持することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記粒子浮遊ステップにおいて、前記電気泳動素子を構成する前記電気泳動粒子のうち、30%以上の前記電気泳動粒子を前記分散媒中に浮遊させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記粒子浮遊ステップの後、当該電気泳動表示装置の電源を遮断する前に、前記電気泳動粒子を前記第1電極又は前記第2電極に吸着させる浮遊後吸着ステップを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記粒子浮遊ステップにおいて、全ての前記画素を一括選択して前記電気泳動素子への電圧印加を実行することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記粒子再吸着ステップにおいて、全ての前記画素を一括選択して前記電気泳動素子への電圧印加を実行することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記電気泳動素子が正極性の第1電気泳動粒子と、負極性の第2電気泳動粒子とを含み、
各々の画素の前記第1基板の領域に形成された前記第1電極が、互いに独立に駆動可能な第1画素電極と第2画素電極とを含み、前記第2基板には前記第2電極が形成されており、
前記粒子再吸着ステップにおいて、前記第1画素電極に前記第1電気泳動粒子を吸着させ、前記第2画素電極に前記第2電気泳動粒子を吸着させることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項12】
複数回の前記粒子再吸着ステップを実行するに際して、
前記粒子再吸着ステップを実行する毎に又は複数回の粒子再吸着ステップを実行する毎に、前記第1電気泳動粒子を吸着させる電極と前記第2電気泳動粒子を吸着させる電極を入れ替えることを特徴とする請求項11に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項13】
電気泳動粒子と分散媒とを有する電気泳動素子を挟持して対向する第1基板及び第2基板を有し、複数の画素が配列された表示部を備え、各々の前記画素に前記電気泳動素子に電圧を印加する第1電極と第2電極とが形成され、前記第1電極及び前記第2電極への入力電位を制御する制御部を有する電気泳動表示装置であって、
前記制御部は、前記電気泳動素子に電圧を印加し、前記第1電極又は前記第2電極に吸着している前記電気泳動粒子の少なくとも一部を前記分散媒中に浮遊させる粒子浮遊動作を実行する機能を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−177839(P2012−177839A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41564(P2011−41564)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】