説明

電気泳動表示装置の駆動方法

【課題】電気泳動表示装置において、多階調表示を高精度に行う。
【解決手段】電気泳動表示装置の駆動方法は、第1電極(22)と第2電極(21)との間に電気泳動層(23)が挟持された画素(20)を複数備えた電気泳動表示装置の駆動方法であって、第1及び第2の極性のうち一方の極性の第1の電圧パルス(P1)を、第1表示状態と第2表示状態との間の第3表示状態にある第1の画素(PX1)に供給するステップ(ST30)と、第1及び第2の極性のうち他方の極性の第2の電圧パルス(Pb1)を、第1の画素に供給するステップ(ST50)と、第1の電圧パルスの極性と同じ極性を有し、且つ第1の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第3の電圧パルス(P2)を、第3表示状態にある第2の画素(PX2)に供給するステップ(ST30)と、第2の電圧パルスを第2の画素に供給するステップ(ST50)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置の駆動方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気泳動表示装置では、複数の画素の各々において、画素電極及び共通電極間に挟持された例えば白色と黒色の電気泳動粒子を含む電気泳動層に駆動電圧を印加することにより、電気泳動粒子を移動させることで画像を表示する。また、各画素において駆動電圧を電気泳動層に印加する時間を変更することにより、中間調(例えば灰色)を表示する多階調表示を行うことができる。多階調表示を高精度に行うためには、駆動電圧の印加時間を高精度に制御する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、電気泳動表示装置において、表示色を切り替える場合、切替前の表示色の連続表示時間に応じて、駆動電圧の印加時間を変化させることにより、色の不均一表示を回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−79170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の電気泳動表示装置では、駆動電圧の印加時間を高精度に制御する必要がある多階調表示を高精度に行うことが困難であるという技術的問題点がある。特に、駆動電圧が印加された際の電気泳動粒子の挙動が例えば温度や湿度などの環境によって異なるため、各画素において表示すべき中間調が表示されるように駆動電圧の印加時間を制御することが困難である。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、多階調表示を高精度に行うことが可能な電気泳動表示装置の駆動方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法は上記課題を解決するために、第1電極と第2電極との間に電気泳動層が挟持された画素を複数備え、前記第1電極の電位が前記第2電極の電位よりも高い場合を第1の極性とし、前記第1電極の電位が前記第2電極の電位よりも低い場合を第2の極性としたとき、前記画素の表示状態として、前記第1の極性の電圧が前記画素に供給されることによって第1表示状態が選択され、前記第2の極性の電圧が前記画素に供給されることによって第2表示状態が選択され、前記画素に供給される電圧パルスの持続時間に応じて、前記第1表示状態と前記第2表示状態との間の中間調状態が選択される電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記第1及び第2の極性のうち一方の極性の第1の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第1表示状態と前記第2表示状態との間の第3表示状態にある第1の画素に供給するステップと、前記第1及び第2の極性のうち他方の極性の第2の電圧パルスを、前記第1の画素に供給するステップと、前記第1の電圧パルスの極性と同じ極性を有し、且つ前記第1の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第3の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第3表示状態にある第2の画素に供給するステップと、前記第2の電圧パルスを前記第2の画素に供給するステップとを含む。
【0008】
本発明に係る駆動方法によれば、例えば、先ず、第1及び第2の画素に同一の電圧パルスを供給することにより、第1及び第2の画素を第1表示状態(例えば黒色)と第2表示状態(例えば白色)との間の第3表示状態(例えば灰色、即ち、中間調状態)とする。次に、第3表示状態になっている第1の画素に、第1の電圧パルス及び該第1の電圧パルスとは極性が異なる第2の電圧パルスを順番に供給する。これにより、第1の画素を表示すべき中間調状態とする。即ち、第1の画素において例えば第1の濃度の灰色である第1の中間調が表示される。尚、第2の電圧パルスは、典型的には、第1の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有するが、同じ持続時間を有していてもよい。更に、本発明に係る駆動方法によれば、第1の画素と同様に第3表示状態になっている第2の画素に、第1の電圧パルスと同じ極性を有し、且つ第1の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第3の電圧パルスを供給し、更に、第1の画素と同様に、第2の電圧パルスを供給する。これにより、第2の画素において例えば第1の濃度とは異なる第2の濃度の灰色である第2の中間調が表示される。
【0009】
このように、本発明では、第1及び第2の画素に互いに異なる中間調を表示させる際、第3表示状態にある第1の画素に第1の電圧パルスを供給すると共に、第3表示状態にある第2の画素に第3の電圧パルス(即ち、第1の電圧パルスと同じ極性を有し、且つ第1の電圧パルスとは異なる持続時間を有する電圧パルス)を供給し、且つ、第1及び第2の画素に第2の電圧パルス(即ち、第1及び第3の電圧パルスとは異なる極性を有する電圧パルス)を供給する。
【0010】
ここで、例えば、第1及び第3の電圧パルスが第2の極性を有する場合には、第3表示状態にある第1の画素に第1の電圧パルスが供給されることにより、第1の画素は第3表示状態とは異なる第1の中間調状態となり、第3表示状態にある第2の画素に第3の電圧パルスが供給されることにより、第2の画素は第3表示状態及び第1の中間調状態とは異なる第2の中間調状態となる。
【0011】
本発明では特に、このように第1及び第3の電圧パルスが供給されることにより互いに異なる表示状態(例えば中間調状態)となった第1及び第2の画素に、第1及び第3の電圧パルスとは異なる極性を有する第2の電圧パルスを供給する。これにより、第1及び第2の画素の表示状態(例えば中間調状態)を互いに近づけることができる。よって、第1及び第2の画素において階調を細かく制御することができる。即ち、例えば、第1表示状態にある第1の画素に第1の電圧パルスのみを供給すると共に第1表示状態にある第2の画素に第3の電圧パルスのみを供給することにより、第1及び第2の画素において表示する階調を制御する場合と比較して、第1及び第2の画素において表示可能な階調の階調数を多くすることができる。従って、多階調表示を高精度に行うことが可能となる。
【0012】
尚、本発明のように、第1及び第3の電圧パルスが供給されることにより互いに異なる表示状態となった第1及び第2の画素に、第1及び第3の電圧パルスとは異なる極性を有する第2の電圧パルスを供給することにより、第1及び第2の画素の表示状態が互いに近づくことは、本願発明者等の実験によって判明している。
【0013】
更に本発明では特に、第1及び第2の画素に互いに異なる中間調を表示させる際、上述したように、例えば、先ず、第1及び第2の画素に同一の電圧パルスを供給することにより、第1及び第2の画素を第1表示状態(例えば黒色)と第2表示状態(例えば白色)との間の第3表示状態(例えば灰色、即ち、中間調状態)とする。即ち、第1及び第2の画素に互いに異なる中間調を表示させる際、第1及び第2の画素の各々が表示すべき中間調に例えば第1表示状態や第2表示状態よりも近い第3表示状態を、第1及び第2の画素に表示させる。よって、複数の画素において中間調を含む画像を表示する際、表示すべき画像を、表示すべき階調よりも粗い階調で迅速に表示することができる。言い換えれば、中間調を含む画像を表示する際、初期の段階で、表示すべき画像に近い画像を表示することができる。従って、表示すべき画像の内容を、ユーザー(使用者)が早期に視認することが可能となる。
【0014】
以上説明したように、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、多階調表示を高精度に行うことが可能となる。更に、中間調を含む画像を表示する際、初期の段階で、表示すべき画像に近い画像を表示することができる。
【0015】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一態様では、前記第1及び第2の極性のうち一方の極性の第4の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第2表示状態と前記第3表示状態との間の第4表示状態にある第3の画素に供給するステップと、前記第1及び第2の極性のうち他方の極性の第5の電圧パルスを、前記第3の画素に供給するステップと、前記第4の電圧パルスの極性と同じ極性を有し、且つ前記第4の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第6の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第4表示状態にある第4の画素に供給するステップと、前記第5の電圧パルスを前記第4の画素に供給するステップとを更に含む。
【0016】
この態様によれば、第3及び第4の画素に互いに異なる中間調を表示させる際、第4表示状態にある第3の画素に第4の電圧パルスを供給すると共に、第4表示状態にある第4の画素に第6の電圧パルス(即ち、第4の電圧パルスと同じ極性を有し、且つ第4の電圧パルスとは異なる持続時間を有する電圧パルス)を供給し、且つ、第3及び第4の画素に第5の電圧パルス(即ち、第4及び第6の電圧パルスとは異なる極性を有する電圧パルス)を供給する。
【0017】
ここで、例えば、第4及び第6の電圧パルスが第1の極性を有する場合には、第4表示状態にある第3の画素に第4の電圧パルスが供給されることにより、第3の画素は第4表示状態とは異なる第3の中間調状態となり、第4表示状態にある第4の画素に第6の電圧パルスが供給されることにより、第4の画素は第4表示状態及び第3の中間状態とは異なる第4の中間調状態となる。
【0018】
この態様では特に、このように第4及び第6の電圧パルスが供給されることにより異なる表示状態(例えば中間調状態)となった第3及び第4の画素に、第4及び第6の電圧パルスとは異なる極性を有する第5の電圧パルスを供給する。これにより、第3及び第4の画素の表示状態(例えば中間調状態)を互いに近づけることができる。よって、第3及び第4の画素において階調を細かく制御することができる。言い換えれば、第3及び第4の画素において表示可能な階調の階調数を多くすることができる。従って、多階調表示を高精度に行うことが可能となる。
【0019】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の他の態様では、前記第1の画素に前記第2の電圧パルスが供給された後の、前記第1の画素の表示状態は、前記第3の画素に前記第5の電圧パルスが供給された後の、前記第3の画素の表示状態と、前記第1表示状態と、の間の表示状態である。
【0020】
この態様によれば、第2の電圧パルスが第1の画素に供給され、第5の電圧パルスが第3の画素に供給された後において、表示すべき画像に近い画像を確実に表示することができる。従って、表示すべき画像の内容を、ユーザーが早期に視認することが可能となる。
【0021】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の他の態様では、前記第2の電圧パルスとは異なる極性を有する第7の電圧パルスを、前記第1及び第2の画素に供給するステップを更に含む。
【0022】
この態様によれば、例えば、第1及び第2の画素に第2の電圧パルスを供給した後に、該第2の電圧パルスとは異なる極性を有する第7の電圧パルスを第1及び第2の画素に供給する。これにより、第1及び第2の画素の表示状態(例えば中間調状態)をより一層互いに近づけることができる。よって、第1及び第2の画素において階調をより一層細かく制御することができる。
【0023】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の他の態様では、前記第5の電圧パルスとは異なる極性を有する第8の電圧パルスを、前記第3及び第4の画素に供給するステップを更に含む。
【0024】
この態様によれば、例えば、第3及び第4の画素に第5の電圧パルスを供給した後に、該第5の電圧パルスとは異なる極性を有する第8の電圧パルスを第3及び第4の画素に供給する。これにより、第3及び第4の画素の表示状態(例えば中間調状態)をより一層互いに近づけることができる。よって、第3及び第4の画素において階調をより一層細かく制御することができる。
【0025】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図3】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】マイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図5】複数の中間調を含む画像の一例を表示した状態の電気泳動表示装置の表示部を示す模式図である。
【図6】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す各ステップが行われた際の画素PX1〜PX12の表示状態を示す模式図(その1)である。
【図8】図6に示す各ステップが行われた際の画素PX1〜PX12の表示状態を示す模式図(その2)である。
【図9】図6に示す各ステップが行われた際の画素PX1〜PX12の表示状態を示す模式図(その3)である。
【図10】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を説明するための概念図(その1)である。
【図11】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を説明するための概念図(その2)である。
【図12】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の動作を示す概念図である。
【図13】ステップST20’を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0028】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図1から図11を参照して説明する。
【0029】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、表示部3と、コントローラー10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路220とを備えている。
【0032】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
【0033】
コントローラー10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220の動作を制御する。コントローラー10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
【0034】
走査線駆動回路60は、コントローラー10から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号を供給する。
【0035】
データ線駆動回路70は、コントローラー10から供給されるタイミング信号に基づいて、データ線X1、X2、…、Xnにデータ信号を供給する。データ信号は、高電位VH(例えば15V)又は低電位VL(例えば0V)の2値的な電位をとる。
【0036】
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcomを供給する。
【0037】
尚、コントローラー10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0038】
図2は、画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0039】
図2において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24及びコンデンサー(保持容量)27を有する画素回路(即ち、1T1C型の画素回路)と、画素電極21と、共通電極22と、電気泳動層23とを備えている。
【0040】
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及びコンデンサー27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図1参照)からデータ線50を介して供給されるデータ信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介して供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及びコンデンサー27に出力する。
【0041】
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ信号が供給される。画素電極21は、電気泳動層23を介して共通電極22と互いに対向するように配置されている。
【0042】
共通電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
【0043】
電気泳動層23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0044】
コンデンサー27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。コンデンサー27によってデータ信号を一定期間だけ維持することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0046】
図3は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【0047】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動層23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0048】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して上述した画素スイッチング用トランジスター24、コンデンサー27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0049】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0050】
電気泳動層23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動層23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
【0051】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0052】
図4は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図4では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0053】
図4において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0054】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0055】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0056】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0057】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0058】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0059】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0060】
図3及び図4において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、表示部3の表示面にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、表示部3の表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0061】
尚、以下では、共通電極22の電位が画素電極21の電位よりも高い場合に共通電極22と画素電極21との間に生じる電位差(即ち、電圧)を「正極性の電圧」と適宜称し、共通電極22の電位が画素電極21の電位よりも低い場合に共通電極22と画素電極21との間に生じる電位差を「負極性の電圧」と適宜称する。尚、共通電極22は本発明に係る「第1電極」の一例であり、画素電極21は本発明に係る「第2電極」の一例である。また、正極性は本発明に係る「第1の極性」の一例であり、負極性は本発明に係る「第2の極性」の一例である。
【0062】
即ち、画素20に正極性の電圧を印加することにより、該画素20に白色を表示させることができ、画素20に負極性の電圧を印加することにより、該画素20に黒色を表示させることができる。尚、画素20が白色を表示する状態は本発明に係る「第1表示状態」の一例であり、画素20が黒色を表示する状態は本発明に係る「第2表示状態」の一例である。
【0063】
尚、共通電極22を本発明に係る「第2電極」とし、画素電極21を本発明に係る「第1電極」としてもよい。
【0064】
更に、画素電極21及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間調(即ち、中間階調)である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することができる。例えば、画素電極21と共通電極22との間に相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧を印加することで(即ち、正極性の電圧を印加することで)、マイクロカプセル80の表示面側に白色粒子82を集めると共に画素電極21側に黒色粒子83を集めた後に、表示すべき中間調に応じた所定期間だけ、画素電極21と共通電極22との間に相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧を印加することで(即ち、負極性の電圧を印加することで)、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83を所定量だけ移動させると共に画素電極21側に白色粒子82を所定量だけ移動させる。この結果、表示部3の表示面に白色と黒色との中間調である灰色を表示することができる。
【0065】
尚、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
【0066】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図5から図11を参照して説明する。
【0067】
以下では、図5に示すような複数の中間調を含む画像を表示部3に表示させる場合を例にとる。ここに図5は、複数の中間調を含む画像の一例を表示した状態の電気泳動表示装置の表示部を示す模式図である。図5に示す複数の中間調を含む画像は、12階調の画像であり、第0階調が黒色に相当し、第1から第10階調がそれぞれ濃度の異なる灰色に相当し、第11階調が白色に相当する。また、説明の便宜上、表示部3には12個の画素20(即ち、画素PX1、PX2、…、PX12)が配置されているものとする。
【0068】
即ち、図5に示すように、画素PX1に第11階調を表示させ、画素PX2に第10階調を表示させ、画素PX3に第9階調を表示させ、画素PX4に第8階調を表示させ、画素PX5に第7階調を表示させ、画素PX6に第6階調を表示させ、画素PX7に第5階調を表示させ、画素PX8に第4階調を表示させ、画素PX9に第3階調を表示させ、画素PX10に第2階調を表示させ、画素PX11に第1階調を表示させ、画素PX12に第0階調を表示させる場合を例にとる。
【0069】
図6は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を示すフローチャートであり、図7から図9は、図6に示す各ステップが行われた際の画素PX1〜PX12の表示状態を示す模式図である。
【0070】
図6において、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、例えば図5に示すような中間調を含む画像を表示する際、先ず、白表示へのリセットを行う(ステップST10)。即ち、図7(a)に示すように、表示部3における全ての画素20に正極性の電圧を印加することにより、全ての画素20に白色(即ち、第11階調)を表示させる。より具体的には、各画素20において、画素スイッチング用トランジスター24を介してデータ線50からコンデンサー27にデータ信号を蓄え、画素電極21に高電位VHの電圧を所定時間だけ供給すると共に、共通電位供給回路220から共通電極22に、低電位VLで一定の共通電位Vcomを供給する。
【0071】
次に、図6において、黒側階調の画素を黒表示とする(ステップST20)。即ち、図7(b)に示すように、表示部3における複数の画素20のうち黒色(即ち、第0階調)側に近い階調(即ち、図5の例では、第0階調から第5階調)を表示すべき画素PX7〜PX12に黒色(即ち、第0階調)を表示させる。より具体的には、画素PX7〜PX12の各々において、画素スイッチング用トランジスター24を介してデータ線50からコンデンサー27にデータ信号を蓄え、画素電極21に低電位VLの電圧を所定時間だけ供給すると共に、共通電位供給回路220から共通電極22に、高電位VHで一定の共通電位Vcomを供給する。
【0072】
次に、図6において、初期階調表示を行う(ステップST21)。即ち、図7(c)に示すように、表示部3における白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX1〜PX6のうち第9階調を表示すべき画素PX3と第8階調を表示すべき画素PX4と第7階調を表示すべき画素PX5と第6階調を表示すべき画素PX6とに負極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第9階調を表示すべき画素PX3と第8階調を表示すべき画素PX4と第7階調を表示すべき画素PX5と第6階調を表示すべき画素PX6の各々の画素電極21と共通電極22との間に負極性の電圧を印加することにより、画素PX3〜PX6の各々に第11階調と第6階調との間の階調(例えば第9階調)を表示させる。更に、表示部3における黒色(即ち、第0階調)を表示している画素PX7〜PX10のうち第2階調を表示すべき画素PX10と第3階調を表示すべき画素PX9と第4階調を表示すべき画素PX8と第5階調を表示すべき画素PX7とに正極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第2階調を表示すべき画素PX10と第3階調を表示すべき画素PX9と第4階調を表示すべき画素PX8と第5階調を表示すべき画素PX7の各々の画素電極21と共通電極22との間に正極性の電圧を印加することにより、画素PX7〜PX10の各々に第0階調と第5階調との間の階調(例えば第2階調)を表示させる。
【0073】
ここで本実施形態では特に、例えば図5に示すような中間調を含む画像を表示する際、初期階調表示(ステップST21)において、例えば画素PX3〜PX6の各々が表示すべき中間調に白色(第11階調)よりも近い中間調(例えば第9階調)を、画素PX3〜PX6の各々に表示させると共に、例えば画素PX7〜PX10の各々が表示すべき中間調に黒色(第0階調)よりも近い中間調(例えば第2階調)を、画素PX7〜PX10の各々に表示させる。よって、例えば図5に示すような中間調を含む画像を表示する際、表示すべき画像を、表示すべき階調よりも粗い階調で迅速に表示することができる。言い換えれば、例えば図5に示すような中間調を含む画像を表示する際、初期の段階で、表示すべき画像に近い画像を表示することができる。従って、表示すべき画像の内容を、ユーザーが早期に視認することが可能となる。
【0074】
初期階調表示を行う(ステップST21)において、画素PX3〜画素PX10によって表示させる階調レベルの精度が低いと、最終的に得られる画像における階調表現性が低下する。そこで、ステップST21において画素PX3〜画素PX10によって表示される階調レベルの精度が低い場合には、以下の方法を用いて精度を高めると良い。
【0075】
第11階調を表示している画素PX3〜画素PX6に対して、まず初めに正極性の補償電圧パルスPc1を印加する。正極性の補償電圧パルスPc1を印加することによって、白色粒子82に対して共通電極22側(即ち、表示面側)に向かうクーロン力を加えると共に黒色粒子83に対して画素電極21側に向かうクーロン力を加える。その後、第9階調を表示するための負極性の電圧パルスを画素PX3〜画素PX6に印加する。第9階調を表示するための負極性の電圧パルスと補償電圧パルスPc1との間隔が短いほど、階調レベルの精度が高くなる。一方、第0階調を表示している画素PX7〜画素PX10に対しては、まず初めに負極性の補償電圧パルスPc2を印加する。負極性の補償電圧パルスPc2を印加することによって、黒色粒子83に対して共通電極22側(即ち、表示面側)に向かうクーロン力を加えると共に白色粒子82に対して画素電極21側に向かうクーロン力を加える。その後、第2階調を表示するための正極性の電圧パルスを画素PX7〜画素PX10に印加する。第2階調を表示するための正極性の電圧パルスと補償電圧パルスPc2との間隔が短いほど、階調レベルの精度が高くなる。
【0076】
階調レベルの精度を高くするためには、次に説明する第2の方法を用いても良い。まず初めに、第11階調を表示している画素PX3〜画素PX6に対して、負極性の電圧パルスを印加する。次に、正極性の補償電圧パルスPc3を画素PX3〜画素PX6に印加する。一方、第0階調を表示している画素PX7〜画素PX10に対しては、初めに正極性の電圧パルスを印加する。次に、負極性の補償電圧パルスPc4を画素PX7〜画素PX10に印加する。第2の方法により、階調レベルの精度が高くなる。
【0077】
図12を用いて本発明による作用を説明する。図12は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の動作を示す概念図である。尚、図12は、黒書き込み(ステップST220)及び白書き込み(ステップST230)による、第9階調を表示すべき画素に表示される色の濃度の変化を概念的に示している。時刻t1から時刻t2はステップST220に対応し、時刻t3から時刻t4はステップST230に対応している。また、プロット1はたとえば画素PX3における明るさ(色の濃度)の変化を示し、プロット2はたとえば画素PX4における明るさ(色の濃度)の変化を示し、プロット3はたとえば画素PX5における明るさ(色の濃度)の変化を示している。また、Δtは負極性の電圧を印加してから明るさが変化し始めるまでの遅れ時間であり、Δt201は画素PX3におけるステップST20での遅れ時間であり、Δt202は画素PX4におけるステップST20での遅れ時間であり、Δt203は画素PX5におけるステップST20での遅れ時間であり、Δt301は画素PX3におけるステップST30での遅れ時間であり、Δt302は画素PX4におけるステップST30での遅れ時間であり、Δt303は画素PX5におけるステップST30での遅れ時間である。
【0078】
ここで、画素PX3において表示すべき階調と画素PX4において表示すべき階調と画素PX5において表示すべき階調は、いずれも第9階調(G0)であり、画素PX3と画素PX4と画素PX5各々に互いに同一の持続時間を有する負極性の駆動電圧を印加するものとする。本来、ステップST220において、画素PX3と画素PX4と画素PX5各々に、階調G0を表示するために互いに同一の持続時間を有する負極性の駆動電圧を印加した場合、ステップST220が終了する時刻t2において、画素PX3の明るさと画素PX4の明るさと画素PX5の明るさとはいずれもG0になるはずである。しかし、実際には図12に示したように、画素によって遅れ時間Δtが異なる場合があるため、時刻t2において、画素PX3の明るさはG1となり、画素PX4の明るさはG2となり、画素PX5の明るさはG3(G0)となる。明るさG1と明るさG3(G0)との差が階調表示の精度を低下させる原因である。階調表示の精度の低下は、階調を表示するために印加する電圧の持続時間が短いほど顕著である。
【0079】
そこで、ステップST220の後にステップST230を実行する。まず、ステップST220において、前述したように画素PX3と画素PX4と画素PX5各々に互いに同一の持続時間を有する負極性の駆動電圧を印加する。次に、ステップST230において、画素PX3と画素PX4と画素PX5各々に互いに同一の持続時間を有する正極性の補償電圧Pc3を印加すると、画素PX3の明るさは遅れ時間Δt301の後に明るい方向に向かって変化し始め、画素PX4の明るさは遅れ時間Δt302の後に明るい方向に向かって変化し始める。しかしここでは、ステップST230の継続時間は画素PX5の遅れ時間Δt303と等しく設定されているため、画素PX5の明るさはステップST230の間に変化することはなく、明るさG0を維持する。
【0080】
発明者の実験によれば、遅れ時間が生じる原因は、電気泳動粒子が動き始めるための閾値電圧が存在するということと、コンデンサー27に十分な電荷が蓄えられなければ電気泳動層に十分な電圧が印加されない、ということが関係していると考えられる。電気泳動粒子が動き始めるために十分な電圧が画素に印加されるためには、コンデンサー27に十分な電荷が蓄えられなければならない。しかし、製造上のばらつきのためにコンデンサー27の充電速度に個体差があれば、コンデンサー27に電圧を印加してから画素に十分な電圧が印加されるまでに必要な時間が、画素によって異なると考えられる。この現象が画素による遅れ時間Δtの差の原因の1つと考えられる。そして、遅れ時間Δt201は遅れ時間Δt301とほぼ等しく、遅れ時間Δt202は遅れ時間Δt302とほぼ等しく、遅れ時間Δt203は遅れ時間Δt303とほぼ等しい。
【0081】
かくしてステップST230の終了時刻t4においては、画素PX3の明るさと画素PX4の明るさと画素PX5の明るさはいずれもほぼ同じとなり、画素PX3と画素PX4と画素PX5各々において、目的とする階調G0と同じかほぼ同じ階調を表示することができる。すなわち、階調表示の精度を高くすることができる。
【0082】
ステップST230において、2つの画素各々に印加する補償電圧の持続時間が互いに異なっていても、2つの画素各々の明るさの差を小さくすることができるため、階調表示の精度を高くする効果が得られる。
【0083】
図12においては、ステップST230の継続時間は画素PX5の遅れ時間Δt303と等しく設定されているが、必ずしも等しくする必要はない。ステップST230の継続時間は、少なくとも画素PX5の遅れ時間Δt301よりも長ければ階調表示の精度を高くする効果が得られる。また、ステップST230の継続時間が画素PX5の遅れ時間Δt303よりも長ければ、画素PX3の明るさと画素PX4の明るさと画素PX5の明るさはいずれも波線に示したように明るい状態に向かって変化するが、ステップST230が終了したときには、画素PX3の明るさと画素PX4の明るさと画素PX5の明るさはいずれもほぼ同じ階調を表示することができる。すなわち、階調表示の精度を高くすることができる。
【0084】
また、図12においては、ステップST220とステップST230との間に間隔が空いているが、その間隔は短い方がより効果的に階調表示の精度を高くすることができる。好ましくは、その間隔がない方がよい。
【0085】
階調レベルの精度を高くするためには、次に説明する第3の方法を用いても良い。図7(b)で示した例では、黒側階調の画素を黒表示とする(ステップST20)において、画素PX7〜画素PX12の表示状態を第0階調としたが、そのかわりにステップST20’として、図13に示したように、画素PX3〜画素PX6と画素PX11と画素PX12の表示状態を第0階調とする。そしてステップST21において、画素PX3〜画素PX6に対しては、第9階調を表示するための正極性の電圧パルスを印加し、画素PX7〜画素PX10に対しては、第2階調を表示するための負極性の電圧パルスを印加する。つまり、初期階調表示において目的とする階調レベルが白に近い階調であれば、ステップST20では、その階調から遠い黒を書き込み、初期階調表示において目的とする階調レベルが黒に近い階調であれば、ステップST20では、その階調から遠い白を書き込む。既に述べたように、階調表示の精度の低下は、階調を表示するために印加する電圧の持続時間が短いほど顕著である。第3の方法によれば、図7で説明した方法と比較して、ステップST21において画素PX3〜画素PX10において表示される階調レベルの変化が大きいため、画素PX3〜画素PX10に印加される電圧の持続時間は長い。そのため、図7で説明した方法よりも画素PX3〜画素PX10における階調の精度を高くすることができる。
【0086】
次に、図6において、超過方向白予備駆動を行う(ステップST30)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち第11階調を表示すべき画素20と第10階調を表示すべき画素20とに正極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第11階調を表示すべき画素20と第10階調を表示すべき画素20の各々の画素電極21と共通電極22との間に正極性の電圧を印加することにより、白色粒子82に対して共通電極22側(即ち、表示面側)に向かうクーロン力を加えると共に黒色粒子83に対して画素電極21側に向かうクーロン力を加える。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第11階調を表示すべき画素PX1に正極性の電圧パルスP1(後述する図10参照)を供給し、第10階調を表示すべき画素PX2に正極性の電圧パルスP2(後述する図10参照)を供給する。尚、画素PX1は本発明に係る「第1の画素」の一例であり、画素PX2は本発明に係る「第2の画素」の一例であり、電圧パルスP1は本発明に係る「第1の電圧パルス」の一例であり、電圧パルスP2は本発明に係る「第3の電圧パルス」の一例である。よって、図7(d)に示すように、画素PX1及びPX2は、第11階調を表示している状態よりも、白色粒子82が共通電極22側に寄った状態(以下、説明の便宜上、第11階調よりも高い階調の状態として適宜説明する)となる。ここで、第11階調を表示すべき画素20に供給する正極性の電圧パルスの持続時間と第10階調を表示すべき画素20に供給する正極性の電圧パルスの持続時間とは互いに異なる。本実施形態では、第11階調を表示すべき画素PX1に供給する正極性の電圧パルスP1の持続時間T1は、第10階調を表示すべき画素PX2に供給する正極性の電圧パルスP2の持続時間T2よりも長い。よって、画素PX1は、画素PX2よりも、白色粒子82が共通電極22側に寄った状態となる。従って、図7(d)に示すように、画素PX1は例えば第15階調の状態となり、画素PX2は例えば第13階調の状態となる。尚、ここでの第15階調及び第13階調は、白色粒子82が共通電極22側に寄った状態の度合いを示すための便宜上のものであり、表示状態としての第0階調から第11階調とは異なる。例えば第15階調の状態の画素PX1及び例えば第13階調の状態の画素PX2のいずれも、白色(即ち、第11階調)を表示する。
【0087】
次に、図6において、超過方向黒予備駆動を行う(ステップST40)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち第0階調を表示すべき画素20と第1階調を表示すべき画素20とに負極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第0階調を表示すべき画素20と第1階調を表示すべき画素20の各々の画素電極21と共通電極22との間に負極性の電圧を印加することにより、黒色粒子83に対して共通電極22側(即ち、表示面側)に向かうクーロン力を加えると共に白色粒子82に対して画素電極21側に向かうクーロン力を加える。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第0階調を表示すべき画素PX12に負極性の電圧パルスP12(後述する図11参照)を供給し、第1階調を表示すべき画素PX11に負極性の電圧パルスP11(後述する図11参照)を供給する。尚、画素PX12は本発明に係る「第3の画素」の一例であり、画素PX11は本発明に係る「第4の画素」の一例であり、電圧パルスP12は本発明に係る「第4の電圧パルス」の一例であり、電圧パルスP11は本発明に係る「第6の電圧パルス」の一例である。よって、図7(e)に示すように、画素PX11及びPX12は、第0階調を表示している状態よりも、黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態(以下、説明の便宜上、第0階調よりも低い階調の状態として適宜説明する)となる。ここで、第0階調を表示すべき画素20に供給する負極性の電圧パルスの持続時間と第1階調を表示すべき画素20に供給する負極性の電圧パルスの持続時間とは互いに異なる。本実施形態では、第0階調を表示すべき画素PX12に供給する負極性の電圧パルスP12の持続時間T12は、第1階調を表示すべき画素PX11に供給する負極性の電圧パルスP11の持続時間T11よりも長い。よって、画素PX12は、画素PX11よりも、黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態となる。従って、図7(e)に示すように、画素PX12は例えば第−4階調の状態となり、画素PX11は例えば第−2階調の状態となる。尚、ここでの第−4階調及び第−2階調は、黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態の度合いを示すための便宜上のものであり、表示状態としての第0階調から第11階調とは異なる。例えば第−4階調の状態の画素PX12及び例えば第−2階調の状態の画素PX11のいずれも、黒色(即ち、第0階調)を表示する。
【0088】
次に、図6において、第1黒書き込みを行う(ステップST50)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、超過方向白予備駆動(ステップST30)によって、表示すべき階調よりも高い階調の状態とされた画素20に負極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、超過方向白予備駆動(ステップST30)が行われた画素PX1及びPX2に負極性の電圧パルスPb1(後述する図10参照)を供給する。尚、電圧パルスPb1は本発明に係る「第2の電圧パルス」の一例である。これにより、図8(a)に示すように、画素PX1に第11階調(即ち、白色)を表示させ、画素PX2に第10階調を表示させることができる。即ち、画素PX1及びPX2に表示すべき階調を表示させることができる。
【0089】
次に、図6において、第1白書き込みを行う(ステップST60)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、超過方向黒予備駆動(ステップST40)によって、表示すべき階調よりも低い階調の状態とされた画素20に正極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、超過方向黒予備駆動(ステップST40)が行われた画素PX12及びPX11に正極性の電圧パルスPw1(後述する図11参照)を供給する。尚、電圧パルスPw1は本発明に係る「第5の電圧パルス」の一例である。これにより、図8(b)に示すように、画素PX12に第0階調(即ち、黒色)を表示させ、画素PX11に第1階調を表示させることができる。即ち、画素PX12及びPX11に表示すべき階調を表示させることができる。
【0090】
次に、図6において、順方向黒予備駆動を行う(ステップST70)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち第9階調を表示すべき画素20と第8階調を表示すべき画素20と第7階調を表示すべき画素20と第6階調を表示すべき画素20とに負極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第9階調を表示すべき画素20と第8階調を表示すべき画素20と第7階調を表示すべき画素20と第6階調を表示すべき画素20との各々の画素電極21と共通電極22との間に負極性の電圧を印加することにより、黒色粒子83を共通電極22側(即ち、表示面側)に移動させると共に白色粒子82を画素電極21側に移動させる。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第9階調を表示すべき画素PX3と第7階調を表示すべき画素PX5とに負極性の電圧パルスP3(後述する図10参照)を供給し、第8階調を表示すべき画素PX4と第6階調を表示すべき画素PX6とに負極性の電圧パルスP4(後述する図10参照)を供給する。画素PX3及びPX5は本発明に係る「第1の画素」の一例であり、画素PX4及びPX6は本発明に係る「第2の画素」の一例であり、電圧パルスP3は本発明に係る「第1の電圧パルス」の一例であり、電圧パルスP4は本発明に係る「第3の電圧パルス」の一例である。ここで、第9階調を表示すべき画素20と第7階調を表示すべき画素20とに供給する負極性の電圧パルスの持続時間と、第8階調を表示すべき画素20と第6階調を表示すべき画素20とに供給する負極性の電圧パルスの持続時間とは互いに異なる。本実施形態では、第8階調を表示すべき画素PX4と第6階調を表示すべき画素PX6とに供給する負極性の電圧パルスP4の持続時間T4は、第9階調を表示すべき画素PX3と第7階調を表示すべき画素PX5とに供給する負極性の電圧パルスP3の持続時間T3よりも長い。よって、画素PX4及びPX6は、画素PX3及びPX5よりも、黒色(即ち、第0階調)に近い表示状態となる。従って、図8(c)に示すように、画素PX3及びPX5は例えば第6階調を表示し、画素PX4及びPX6は例えば第4階調を表示する。
【0091】
次に、図6において、順方向白予備駆動を行う(ステップST80)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち第5階調を表示すべき画素20と第4階調を表示すべき画素20と第3階調を表示すべき画素20と第2階調を表示すべき画素20とに正極性の電圧パルスを供給することにより、つまり、第5階調を表示すべき画素20と第4階調を表示すべき画素20と第3階調を表示すべき画素20と第2階調を表示すべき画素20との各々の画素電極21と共通電極22との間に正極性の電圧を印加することにより、白色粒子82を共通電極22側(即ち、表示面側)に移動させると共に黒色粒子83を画素電極21側に移動させる。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第2階調を表示すべき画素PX10と第4階調を表示すべき画素PX8とに正極性の電圧パルスP10(後述する図11参照)を供給し、第3階調を表示すべき画素PX9と第5階調を表示すべき画素PX7とに正極性の電圧パルスP9(後述する図11参照)を供給する。尚、画素PX10及びPX8は本発明に係る「第1の画素」の一例であり、画素PX9及びPX7は本発明に係る「第2の画素」の一例であり、電圧パルスP10は本発明に係る「第4の電圧パルス」の一例であり、電圧パルスP9は本発明に係る「第6の電圧パルス」の一例である。ここで、第2階調を表示すべき画素20と第4階調を表示すべき画素20とに供給する負極性の電圧パルスの持続時間と、第3階調を表示すべき画素20と第5階調を表示すべき画素20とに供給する正極性の電圧パルスの持続時間とは互いに異なる。本実施形態では、第3階調を表示すべき画素PX9と第5階調を表示すべき画素PX7とに供給する正極性の電圧パルスP9の持続時間T9は、第2階調を表示すべき画素PX10と第4階調を表示すべき画素PX8とに供給する正極性の電圧パルスP10の持続時間T10よりも長い。よって、画素PX9及びPX7は、画素PX10及びPX8よりも、白色(即ち、第11階調)に近い表示状態となる。従って、図8(d)に示すように、画素PX10及びPX8は例えば第5階調を表示し、画素PX9及びPX7は例えば第7階調を表示する。
【0092】
次に、図6において、第2白書き込みを行う(ステップST90)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、順方向黒予備駆動(ステップST70)によって、表示すべき階調よりも低い階調とされた画素20に正極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、順方向黒予備駆動(ステップST70)が行われた画素PX3〜PX6に正極性の電圧パルスPw2(後述する図10参照)を供給する。尚、電圧パルスPw2は本発明に係る「第2の電圧パルス」の一例である。これにより、図9(a)に示すように、画素PX3に第9階調を表示させ、画素PX4に第8階調を表示させることができる。即ち、画素PX3及びPX4に表示すべき階調を表示させることができる。この際、画素PX5は例えば第9階調を表示し、画素PX6は例えば第8階調を表示する。
【0093】
次に、図6において、第2黒書き込みを行う(ステップST100)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、順方向白予備駆動(ステップST80)によって、表示すべき階調よりも高い階調とされた画素20に負極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、順方向白予備駆動(ステップST80)が行われた画素PX7〜PX10に負極性の電圧パルスPb2(後述する図11参照)を供給する。尚、電圧パルスPb2は本発明に係る「第5の電圧パルス」の一例である。これにより、図9(b)に示すように、画素PX10に第2階調を表示させ、画素PX9に第3階調を表示させることができる。即ち、画素PX10及びPX9に表示すべき階調を表示させることができる。この際、画素PX8は例えば第2階調を表示し、画素PX7は例えば第3階調を表示する。
【0094】
次に、図6において、中間部黒書き込みを行う(ステップST110)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、第2白書き込み(ステップST90)によって、表示すべき階調よりも高い階調とされた画素20に負極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第2白書き込み(ステップST90)が行われることにより表示すべき階調よりも高い階調となった画素PX5及びPX6に負極性の電圧パルスPb3(後述する図10参照)を供給する。尚、電圧パルスPb3は本発明に係る「第7の電圧パルス」の一例である。これにより、図9(c)に示すように、画素PX5に第7階調を表示させ、画素PX6に第6階調を表示させることができる。即ち、画素PX5及びPX6に表示すべき階調を表示させることができる。
【0095】
次に、図6において、中間部白書き込みを行う(ステップST120)。即ち、表示部3における複数の画素20のうち、第2黒書き込み(ステップST100)によって、表示すべき階調よりも低い階調とされた画素20に正極性の電圧パルスを供給する。図5の例では、表示部3における複数の画素20のうち、第2黒書き込み(ステップST100)が行われることにより表示すべき階調よりも低い階調となった画素PX8及びPX7に正極性の電圧パルスPw3(後述する図11参照)を供給する。尚、電圧パルスPw3は本発明に係る「第8の電圧パルス」の一例である。これにより、図9(d)に示すように、画素PX8に第4階調を表示させ、画素PX7に第5階調を表示させることができる。即ち、画素PX8及びPX7に表示すべき階調を表示させることができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態によれば、図6を参照して上述したステップST10〜ST120を行うことにより、例えば図5に示したような12階調の画像を表示させることができる。更に、本実施形態によれば、初期階調表示(ステップST21)を行うので、中間調を含む画像を表示する際、初期の段階で、表示すべき画像に近い画像を表示することができる。
【0097】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法について、図10及び図11を参照して説明を加える。
【0098】
図10及び図11は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法を説明するための概念図である。尚、図10は、図5に示した画素PX1〜PX5について、図6を参照して上述した各ステップにおいて供給される電圧パルスと、該電圧パルスが供給された際の画素の表示状態の変化を概念的に示している。図11は、図5に示した画素PX6〜PX12について、図6を参照して上述した各ステップにおいて供給される電圧パルスと、該電圧パルスが供給された際の画素の表示状態の変化を概念的に示している。また、図10及び図11において、横軸は、画素の表示状態である階調(言い換えれば、画素に表示される色の濃度)を示している。
【0099】
図10において、本実施形態に係る駆動方法によれば、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX1に超過方向白予備駆動(ステップST30)において正極性の電圧パルスP1を供給することにより、画素PX1を、第11階調よりも白色粒子82が共通電極22側に寄った状態(例えば第15階調の状態)とし、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX2に超過方向白予備駆動(ステップST30)において正極性の電圧パルスP2を供給することにより、画素PX2を、第11階調よりも白色粒子82が共通電極22側に寄った状態(例えば第13階調の状態)とする。ここで、本実施形態では、電圧パルスP1の持続時間T1は、電圧パルスP2の持続時間T2よりも長く設定されており、画素PX1は、画素PX2よりも、白色粒子82が共通電極22側に寄った状態となる。
【0100】
このように超過方向白予備駆動(ステップST30)が行われた画素PX1及びPX2に、第1黒書き込み(ステップST50)において負極性の電圧パルスPb1を供給する。これにより、画素PX1に第11階調(即ち、白色)を表示させ、画素PX2に第10階調を表示させることができる。
【0101】
ここで本実施形態では特に、超過方向白予備駆動(ステップST30)において正極性の電圧パルスP1及びP2が供給されることにより互いに異なる表示状態となった画素PX1及びPX2に、第1黒書き込み(ステップST50)において負極性の電圧パルスPb1を供給する。これにより、画素PX1及びPX2の表示状態を互いに近づけることができる。よって、画素PX1及びPX2において階調を細かく制御することができる。即ち、例えば、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX1に電圧パルスを供給せず、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX2に、負極性の電圧パルスのみを供給することにより、画素PX1及びPX2において表示する階調を制御する場合と比較して、画素PX1及びPX2でより細かな階調を実現することが可能となる。
【0102】
一方、図11において、本実施形態に係る駆動方法によれば、黒色(即ち、第0階調)を表示している画素PX12に超過方向黒予備駆動(ステップST40)において負極性の電圧パルスP12を供給することにより、画素PX12を、第0階調よりも黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態(例えば第−4階調の状態)とし、黒色(即ち、第0階調)を表示している画素PX11に超過方向黒予備駆動(ステップST40)において負極性の電圧パルスP11を供給することにより、画素PX11を、第0階調よりも黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態(例えば第−2階調の状態)とする。ここで、本実施形態では、電圧パルスP12の持続時間T12は、電圧パルスP11の持続時間T11よりも長く設定されており、画素PX12は、画素PX11よりも、黒色粒子83が共通電極22側に寄った状態となる。
【0103】
このように超過方向黒予備駆動(ステップST40)が行われた画素PX12及びPX11に、第1白書き込み(ステップST60)において正極性の電圧パルスPw1を供給する。これにより、画素PX12に第0階調(即ち、黒色)を表示させ、画素PX1に第1階調を表示させることができる。
【0104】
図10において、本実施形態に係る駆動方法によれば、初期階調表示(ステップST21)によって第11階調と第6階調との間の階調(例えば第9階調)とされた画素PX3に順方向黒予備駆動(ステップST70)において負極性の電圧パルスP3を供給することにより、画素PX3を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第9階調)よりも低い階調(例えば第6階調)とし、初期階調表示(ステップST21)によって第11階調と第6階調との間の階調(例えば第9階調)とされた画素PX4に順方向黒予備駆動(ステップST70)において電圧パルスP3の持続時間T3よりも長い持続時間T4を有する負極性の電圧パルスP4を供給することにより、画素PX4を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第8階調)よりも低い階調(例えば第4階調)とする。
【0105】
このように順方向黒予備駆動(ステップST70)が行われた画素PX3及びPX4に、第2白書き込み(ステップST90)において正極性の電圧パルスPw2を供給する。これにより、画素PX3に第9階調を表示させ、画素PX4に第8階調を表示させることができる。
【0106】
ここで本実施形態では特に、順方向黒予備駆動(ステップST70)において負極性の電圧パルスP3及びP4が供給されることにより互いに異なる表示状態となった画素PX3及びPX4に、第2白書き込み(ステップST90)において正極性の電圧パルスPw1を供給する。これにより、画素PX3及びPX4の表示状態を互いに近づけることができる。よって、画素PX3及びPX4において階調を細かく制御することができる。即ち、例えば、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX3に、負極性の電圧パルスのみを供給すると共に、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX2に、画素PX3に供給する負極性の電圧パルスとは持続時間が異なる負極性の電圧パルスのみを供給することにより、画素PX3及びPX4において表示する階調を制御する場合と比較して、画素PX3及びPX4でより細かな階調を実現することが可能となる。
【0107】
一方、図11において、本実施形態に係る駆動方法によれば、初期階調表示(ステップST21)によって第0階調と第5階調との間の階調(例えば第2階調)とされた画素PX10に順方向白予備駆動(ステップST80)において正極性の電圧パルスP10を供給することにより、画素PX10を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第2階調)よりも高い階調(例えば第6階調)とし、初期階調表示(ステップST21)によって第0階調と第5階調との間の階調(例えば第2階調)とされた画素PX9に順方向白予備駆動(ステップST80)において電圧パルスP10の持続時間T10よりも長い持続時間T9を有する正極性の電圧パルスP9を供給することにより、画素PX9を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第3階調)よりも高い階調(例えば第4階調)とする。
【0108】
このように順方向白予備駆動(ステップST80)が行われた画素PX10及びPX9に、第2黒書き込み(ステップST100)において負極性の電圧パルスPb2を供給する。これにより、画素PX10に第2階調を表示させ、画素PX9に第3階調を表示させることができる。
【0109】
図10において、本実施形態に係る駆動方法によれば、初期階調表示(ステップST21)によって第11階調と第6階調との間の階調(例えば第9階調)とされた画素PX5に順方向黒予備駆動(ステップST70)において負極性の電圧パルスP3を供給することにより、画素PX5を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第7階調)よりも低い階調(例えば第6階調)とし、初期階調表示(ステップST21)によって第11階調と第6階調との間の階調(例えば第9階調)とされた画素PX6に順方向黒予備駆動(ステップST70)において電圧パルスP3の持続時間T3よりも長い持続時間T4を有する負極性の電圧パルスP4を供給することにより、画素PX6を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第6階調)よりも低い階調(例えば第4階調)とする。
【0110】
このように順方向黒予備駆動(ステップST70)が行われた画素PX5及びPX6に、第2白書き込み(ステップST90)において正極性の電圧パルスPw2を供給した後、更に、中間部黒書き込み(ステップST110)において負極性の電圧パルスPb3を供給する。これにより、画素PX5に第7階調を表示させ、画素PX6に第6階調を表示させることができる。
【0111】
ここで本実施形態では特に、順方向黒予備駆動(ステップST70)において負極性の電圧パルスP3及びP4が供給されることにより互いに異なる表示状態となった画素PX5及びPX6に、第2白書き込み(ステップST90)において正極性の電圧パルスPw1を供給した後、更に、中間部黒書き込み(ステップST110)において負極性の電圧パルスPb3を供給する。これにより、画素PX5及びPX6の表示状態を互いに近づけることができる。よって、画素PX5及びPX6において階調を細かく制御することができる。即ち、例えば、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX5に、負極性の電圧パルスのみを供給すると共に、白色(即ち、第11階調)を表示している画素PX6に、画素PX5に供給する負極性の電圧パルスとは持続時間が異なる負極性の電圧パルスのみを供給することにより、画素PX5及びPX6において表示する階調を制御する場合と比較して、画素PX5及びPX6でより細かな階調を実現することが可能となる。
【0112】
一方、図11において、本実施形態に係る駆動方法によれば、初期階調表示(ステップST21)によって第0階調と第5階調との間の階調(例えば第2階調)とされた画素PX8に順方向白予備駆動(ステップST80)において正極性の電圧パルスP10を供給することにより、画素PX8を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第4階調)よりも高い階調(例えば第5階調)とし、初期階調表示(ステップST21)によって第0階調と第5階調との間の階調(例えば第2階調)とされた画素PX7に順方向白予備駆動(ステップST80)において電圧パルスP10の持続時間T10よりも長い持続時間T9を有する正極性の電圧パルスP9を供給することにより、画素PX7を、表示すべき階調(即ち、図5の例では第5階調)よりも高い階調(例えば第7階調)とする。
【0113】
このように順方向白予備駆動(ステップST80)が行われた画素PX8及びPX7に、第2黒書き込み(ステップST100)において負極性の電圧パルスPb2を供給した後、更に、中間部白書き込み(ステップST120)において正極性の電圧パルスPw3を供給する。これにより、画素PX8に第4階調を表示させ、画素PX7に第5階調を表示させることができる。
【0114】
図10及び図11において、本実施形態では、ステップST90において画素PX3〜PX6の各々に電圧パルスPw2が供給された後の画素PX3〜PX6の各々の表示状態(即ち、第9階調又は第8階調)は、ステップST100において画素PX7〜PX10に電圧パルスPb2が供給された後の画素PX7〜PX10の各々の表示状態(即ち、第2階調又は第3階調)と白色(即ち、第11階調)との間の表示状態となっている。よって、ステップST90及びST100が行われた後において、表示すべき画像に近い画像を確実に表示することができる。従って、表示すべき画像の内容を、ユーザーが早期に視認することが可能となる。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、多階調表示を高精度に行うことが可能となる。更に、中間調を含む画像を表示する際、初期の段階で、表示すべき画像に近い画像を表示することができる。
【0116】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気泳動表示装置の駆動方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
3…表示部、10…コントローラー、20…画素、21…画素電極、22…共通電極、23…電気泳動層、24…画素スイッチング用トランジスター、27…コンデンサー、40…走査線、50…データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、220…共通電位供給回路、P1、P2、P3、P4、P9、P10、P11、P12、Pb1、Pb2、Pw1、Pw2…電圧パルス、T1、T2、T3、T4、T9、T10、T11、T12…持続時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に電気泳動層が挟持された画素を複数備え、前記第1電極の電位が前記第2電極の電位よりも高い場合を第1の極性とし、前記第1電極の電位が前記第2電極の電位よりも低い場合を第2の極性としたとき、前記画素の表示状態として、前記第1の極性の電圧が前記画素に供給されることによって第1表示状態が選択され、前記第2の極性の電圧が前記画素に供給されることによって第2表示状態が選択され、前記画素に供給される電圧パルスの持続時間に応じて、前記第1表示状態と前記第2表示状態との間の中間調状態が選択される電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記第1及び第2の極性のうち一方の極性の第1の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第1表示状態と前記第2表示状態との間の第3表示状態にある第1の画素に供給するステップと、
前記第1及び第2の極性のうち他方の極性の第2の電圧パルスを、前記第1の画素に供給するステップと、
前記第1の電圧パルスの極性と同じ極性を有し、且つ前記第1の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第3の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第3表示状態にある第2の画素に供給するステップと、
前記第2の電圧パルスを前記第2の画素に供給するステップと
を含むことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の極性のうち一方の極性の第4の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第2表示状態と前記第3表示状態との間の第4表示状態にある第3の画素に供給するステップと、
前記第1及び第2の極性のうち他方の極性の第5の電圧パルスを、前記第3の画素に供給するステップと、
前記第4の電圧パルスの極性と同じ極性を有し、且つ前記第4の電圧パルスの持続時間とは異なる持続時間を有する第6の電圧パルスを、前記複数の画素のうち前記第4表示状態にある第4の画素に供給するステップと、
前記第5の電圧パルスを前記第4の画素に供給するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第1の画素に前記第2の電圧パルスが供給された後の、前記第1の画素の表示状態は、前記第3の画素に前記第5の電圧パルスが供給された後の、前記第3の画素の表示状態と、前記第1表示状態と、の間の表示状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第2の電圧パルスとは異なる極性を有する第7の電圧パルスを、前記第1及び第2の画素に供給するステップを更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第5の電圧パルスとは異なる極性を有する第8の電圧パルスを、前記第3及び第4の画素に供給するステップを更に含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−186148(P2011−186148A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50661(P2010−50661)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】