説明

電気洗濯機

【課題】被洗濯物に付加されたICタグ等の記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取る重量読取手段を、不必要に通電することが無く、消費電力を削減できる電気洗濯機の提供。
【解決手段】被洗濯物の重量を検知する重量検知手段(S11)と、被洗濯物に付加された記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取り(S3)合計する(S7)重量読取手段とを備え、検知した重量、又は読み取り合計した重量に基づき洗濯する電気洗濯機。重量検知手段(S11)が検知した重量が、重量読取手段(S7)が合計した重量よりも大きいか否かを判定する手段(S13)と、判定する手段(S13)が大きいと判定したときに、重量読取手段(S3)への通電を停止する手段(S21)とを備え、通電を停止した後は、重量検知手段(S11)が検知した重量に基づき洗濯する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入された被洗濯物の重量を検知すると共に、被洗濯物に付加されたICタグ等の記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取って合計し、検知した重量、又は読み取って合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する電気洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、衣類のタグ等にその衣類の重量を含むデータを記憶させたICチップ等を付加しておき(以下、ICタグと記載)、電子的に記憶されたICタグのデータを無線で読み取り、読み取ったデータに応じて洗濯方法を変更する全自動洗濯機が考えられている。
特許文献1には、ICタグのデータを無線で読み取る無線受信部の駆動電源を、洗濯機内に被洗濯物を投入する為の投入口が、閉鎖状態から開放状態にされたことを条件に供給する給電手段を備えたランドリー機器が開示されている。
【特許文献1】特開2006−6538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されたランドリー機器では、ICタグが付加されていない被洗濯物を投入する場合にも、無線受信部に駆動電源を供給して、電力を不必要に消費してしまうという問題があった。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、被洗濯物に付加されたICタグ等の記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取る重量読取手段を、不必要に通電することが無く、消費電力を削減できる電気洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る電気洗濯機は、投入された被洗濯物の重量を検知する重量検知手段と、被洗濯物に付加され、該被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計する重量読取手段とを備え、前記重量検知手段が検知した重量、又は前記重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する電気洗濯機において、前記重量検知手段が検知した重量が、前記重量読取手段が合計した重量よりも大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、前記重量読取手段への通電を停止する手段とを備え、該手段が通電を停止した後は、前記重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯するように構成してあることを特徴とする。
【0005】
この電気洗濯機では、重量検知手段が、投入された被洗濯物の重量を検知し、被洗濯物に付加され、被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、重量読取手段が、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計し、重量検知手段が検知した重量、又は重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する。重量検知手段が検知した重量が、重量読取手段が合計した重量よりも大きいか否かを判定し、検知した重量が合計した重量よりも大きいと判定したときに、重量読取手段への通電を停止する。通電を停止した後は、重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する。
【0006】
本発明に係る電気洗濯機は、投入された被洗濯物の重量を検知する重量検知手段と、被洗濯物に付加され、該被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計する重量読取手段とを備え、前記重量検知手段が検知した重量、又は前記重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する電気洗濯機において、前記重量検知手段が検知した重量、及び前記重量読取手段が合計した重量の差を算出する手段と、該手段が算出した差が所定値よりも大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、前記重量読取手段への通電を停止する手段とを備え、該手段が通電を停止した後は、前記重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯するように構成してあることを特徴とする。
【0007】
この電気洗濯機では、重量検知手段が、投入された被洗濯物の重量を検知し、被洗濯物に付加され、被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、重量読取手段が、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計し、重量検知手段が検知した重量、又は重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する。重量検知手段が検知した重量、及び重量読取手段が合計した重量の差を算出し、算出した差が所定値よりも大きいか否かを判定する。差が所定値よりも大きいと判定したときに、重量読取手段への通電を停止し、その通電を停止した後は、重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気洗濯機によれば、重量検知手段が検知した被洗濯物の重量が、重量読取手段が読み取り合計した重量よりも大きくなければ、重量読取手段を通電したまま洗濯し、ICタグ等の記憶手段が付加された被洗濯物に対して、すすぎ、脱水を含む洗濯内容を随時変更でき(再度重量検知手段で重量を検知する必要がない)、使い勝手が良くなる。また、重量検知手段が検知した重量が、重量読取手段が読み取り合計した重量よりも大きければ、ICタグ等の記憶手段が付加されていない被洗濯物が混在しており、重量読取手段で読み取り合計した重量の測定精度が十分に得られず、重量読取手段のデータは、有効でないと判定できる。その為、重量読取手段への不必要な通電を停止することで、消費電力を削減できる。
【0009】
本発明に係る電気洗濯機によれば、重量検知手段で検知した被洗濯物の重量と重量読取手段が読み取り合計した重量とに、所定値より大きい差があると判定したときには、ICタグが付加されていない被洗濯物が混在しているか、又はICタグが付加された被洗濯物が磨耗し当初のICタグの情報と大きく乖離してしまっている。その為、重量読取手段で読み取り合計した重量の測定精度が十分に得られず、重量読取手段のデータは、有効でないと判定でき、重量読取手段への不必要な通電を停止することで、消費電力を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。従って、本発明に係る電気洗濯機は、全自動洗濯機に限定されず、略水平の回転軸周りに回転するドラムを有する所謂ドラム式洗濯機、又は洗濯槽と脱水槽とを備えた所謂二槽式洗濯機であっても良い。
また、重量検知手段は、パルセータを駆動したときの負荷により、被洗濯物の重量を検知する検知方法に限定されず、洗濯槽に設けられた重量センサーを用いて被洗濯物の重量を検出、又はドラムを駆動したときの負荷により被洗濯物の重量を検出する検出方法であっても良い。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る電気洗濯機の実施の形態1である全自動洗濯機の要部構成を示す縦断面図である。
この全自動洗濯機は、上底及び下底を有する角筒形状であり、上底の大部分が被洗濯物を出し入れする為の蓋2となっている洗濯機外槽4と、洗濯機外槽4の内部に設けられ、下底を有する円筒形状の水槽6とを備えている。また、水槽6内に水槽6と同軸に設けられ、下底を有する円筒形状であり、側面に多数の孔が開けられた洗濯兼脱水槽5と、洗濯兼脱水槽5の底部を攪拌する為のパルセータ7とを備え、洗濯兼脱水槽5及びパルセータ7は、機構部9を介して、駆動用モータ10に連結され、制御部8により駆動制御される。
【0012】
この全自動洗濯機は、また、洗濯兼脱水槽5内に収容される被洗濯物の重量を検出する為、パルセータ7を駆動したときの負荷により、被洗濯物の重量を検知する重量検知手段を備えている。
この全自動洗濯機は、給水を開始する前に、被洗濯物を洗濯兼脱水槽5内に収容した状態で、重量検知手段により被洗濯物の重量が検知されるように構成されている。
洗濯兼脱水槽5には、洗濯機外槽4の上部に設けられた給水電磁弁1を通して水道水が給水される。給水電磁弁1は、洗濯兼脱水槽5内に給水するときには開くように駆動され、給水停止時には閉じるように駆動される。
【0013】
この全自動洗濯機は、また、洗濯兼脱水槽5内の水位を計測する為の水位センサー14と、洗濯機外槽4の蓋2の開閉状態を検知する蓋検知部34と、洗濯機外槽4の正面側上底表面に設けられた操作部11と、被洗濯物に付加されたICタグ(記憶手段)から被洗濯物の重量を無線で読み取る読取装置(重量読取手段)33とを備えている。読取装置33は、洗濯機外槽4の蓋2付近に設けられており、被洗濯物が洗濯兼脱水槽5に投入されるときに、被洗濯物に付加されたICタグからデータを読み取る。
操作部11の裏面側には制御部8が取り付けられ、制御部8は操作部11からの入力信号に基づき、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程を、単独工程、又は2乃至3工程連続して実行する。
【0014】
図2は、図1に示す全自動洗濯機の要部構成例を示すブロック図である。
この全自動洗濯機は、制御部8にマイクロコンピュータ15(以下、マイコン15と記載)及びリセット回路22を備え、マイコン15のROM16に記憶されているプログラムに従って各種の駆動制御を行う。読取装置33が読み取ったデータ信号と、操作部11の入力キー回路17から入力された信号と、水位センサ等のセンサ、及びこれらのセンサからの信号をデジタル信号に変換する回路を含む状態検知回路18の検知信号とは、それぞれのI/Oポートを通じて、マイコン15に与えられる。
【0015】
表示装置19、ブザー20及び負荷駆動回路21は、マイコン15からそれぞれのI/Oポートを通じて、それぞれの制御信号を与えられる。ブザー20は、洗濯終了時及び異常があったときに鳴動し、負荷駆動回路21は、給水電磁弁1、駆動用モータ10等を駆動する。
リセット回路22は、マイコン15を初期化する。マイコン15は、上述したROM16、運転時間等をカウントするカウント部23、カウント部23でカウントした時間等を一時的に保持するRAM24を備えている。
【0016】
図3は、操作部11の入力キー類及び表示装置19の配置を示す配置図である。
操作部11は、洗濯機外槽4の正面側上底表面に、方形形状に設けられており、その手前側に、予約キー26、洗いキー27、すすぎキー28、脱水キー29、コースキー30及び電源キー31が配置され、その奥側に、表示装置19及びスタートキー32が配置されている。
【0017】
表示装置19は液晶等から構成され、予約キー26は、運転終了時間を予約設定し、洗いキー27は、洗濯工程の運転内容を設定し、すすぎキー28は、すすぎ工程の運転内容を設定し、脱水キー29は、脱水工程の運転内容を選択する。コースキー30は、洗濯コースを選択し、スタートキー32は、この全自動洗濯機の動作をスタート/一時停止させる。
表示装置19は、予約キー26、洗いキー27、すすぎキー28、脱水キー29、コースキー30及びスタートキー32のそれぞれ操作された内容に応じて、この全自動洗濯機の作動状態を表示する。各キー類の操作信号は、入力キー回路17を通じて、マイコン15に与えられる。
【0018】
以下に、このような構成の全自動洗濯機の動作を、それを示す図4のフローチャートを参照しながら説明する。
この全自動洗濯機は、電源キー31が操作されオンになると(S1)、通電され、通電された状態で、被洗濯物が洗濯兼脱水槽5に投入されると、その投入時に読取装置33が、ICタグが付加された被洗濯物については、ICタグからその重量データを読み取る(S3)。
マイコン15は、運転コース及び各種設定が行われた後、スタートキー32がオンされると(S5)、読取装置33が読み取った被洗濯物の総重量を算出する(S7)。次いで、洗濯兼脱水槽5に投入された全ての被洗濯物の重量検知を実行し(S9)、重量の検知結果が確定する(S11)。
【0019】
マイコン15は、次に、重量の検知結果(S11)が、算出した総重量(S7)より大きいか否かを判定し(S13)、重量の検知結果(S11)の方が大きくなければ、算出した総重量(S7)に基づき運転時間を決定する(S15)。重量の検知結果(S11)の方が大きければ(S13)、読取装置33への通電をオフにし(S21)、重量の検知結果(S11)に基づき運転時間等を決定する(S23)。次いで、決定した運転時間(S15,S23)で、給水、洗い、すすぎ及び脱水を含む洗濯を実行し(S17)、洗濯が終了すれば(S19)、電源をオフにして終了する。
【0020】
(実施の形態2)
図5は、本発明に係る電気洗濯機の実施の形態2である全自動洗濯機の動作を示すフローチャートである。以下に、この全自動洗濯機の動作を、図5のフローチャートを参照しながら説明する。尚、この全自動洗濯機の構成は、上述した実施の形態1の全自動洗濯機の構成と同様であるので、説明を省略する。
この全自動洗濯機は、電源キー31が操作されオンになると(S25)、通電され、通電された状態で、被洗濯物が洗濯兼脱水槽5に投入されると、その投入時に読取装置33が、ICタグが付加された被洗濯物については、ICタグからその重量データを読み取る(S27)。
【0021】
マイコン15は、運転コース及び各種設定が行われた後、スタートキー32がオンされると(S29)、読取装置33が読み取った被洗濯物の総重量を算出する(S31)。次いで、洗濯兼脱水槽5に投入された全ての被洗濯物の重量検知を実行し(S33)、重量の検知結果が確定する(S35)。
マイコン15は、次に、算出した総重量(S7)と重量の検知結果(S11)との差が、所定値Wより大きいか否かを判定し(S37)、差の方が大きくなければ、算出した総重量(S31)に基づき運転時間を決定する(S39)。差の方が大きければ(S37)、読取装置33への通電をオフにし(S45)、重量の検知結果(S35)に基づき運転時間等を決定する(S47)。次いで、決定した運転時間(S39,S47)で、給水、洗い、すすぎ及び脱水を含む洗濯を実行し(S41)、洗濯が終了すれば(S43)、電源をオフにして終了する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電気洗濯機の実施の形態である全自動洗濯機の要部構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す全自動洗濯機の要部構成例を示すブロック図である。
【図3】操作部の入力キー類及び表示装置の配置を示す配置図である。
【図4】本発明に係る電気洗濯機の実施の形態である全自動洗濯機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る電気洗濯機の実施の形態である全自動洗濯機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
4 洗濯機外槽
5 洗濯兼脱水槽
6 水槽
7 パルセータ
8 制御部
10 駆動用モータ
11 操作部
15 マイクロコンピュータ(マイコン)
16 ROM
19 表示装置
24 RAM
31 電源キー
32 スタートキー
33 読取装置(重量読取手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された被洗濯物の重量を検知する重量検知手段と、被洗濯物に付加され、該被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計する重量読取手段とを備え、前記重量検知手段が検知した重量、又は前記重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する電気洗濯機において、
前記重量検知手段が検知した重量が、前記重量読取手段が合計した重量よりも大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、前記重量読取手段への通電を停止する手段とを備え、該手段が通電を停止した後は、前記重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯するように構成してあることを特徴とする電気洗濯機。
【請求項2】
投入された被洗濯物の重量を検知する重量検知手段と、被洗濯物に付加され、該被洗濯物に関する重量を含む情報が記憶された記憶手段から、無線により被洗濯物の重量を読み取り、読み取った重量を合計する重量読取手段とを備え、前記重量検知手段が検知した重量、又は前記重量読取手段が合計した重量に基づき、被洗濯物を洗濯する電気洗濯機において、
前記重量検知手段が検知した重量、及び前記重量読取手段が合計した重量の差を算出する手段と、該手段が算出した差が所定値よりも大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、前記重量読取手段への通電を停止する手段とを備え、該手段が通電を停止した後は、前記重量検知手段が検知した重量に基づき、被洗濯物を洗濯するように構成してあることを特徴とする電気洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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