説明

電気浸透脱水機

本発明は、電気浸透脱水機に関し、より詳細には、電気浸透脱水機の核心部品であるドラムの耐久性と電気伝導率を向上させた構造で提供することにより、安定した脱水作業を保障できることは勿論、使用寿命を延長することができ、電力消耗も節減できるようにした電気浸透脱水機に関する。本発明によれば、陽極(+)または陰極(−)が印加されたドラムと、
前記ドラムと一定空間部を置いて設置され、陰極(−)または陽極(+)が全体に印加されたキャタピラまたは電極板と、前記ドラムとキャタピラまたは電極板の間にスラッジの移送および脱水のために巻き取られた濾布ベルトと、で構成された電気浸透脱水機であって、前記ドラムの外側面に銅板が環装され、前記銅板の外側面に白金系金属のコーティング剤をコーティングしたチタン板が環装されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気浸透脱水機に関し、より詳細には、電気浸透脱水機の核心部品であるドラムの耐久性と電気伝導率を向上させた構造で提供することにより、安定した脱水作業を保障できることは勿論、使用寿命を延長することができ、電力消耗も節減できるようにした電気浸透脱水機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気浸透脱水機は、スラッジと結合した水を電気泳動性によって除去するための電場を形成させるために直流電源が印加され、その電圧差によってスラッジの含水を脱水させる装置である。
【0003】
その構造は、大きく、陽極(+)または陰極(−)が印加されたドラムと、ドラムと一定空間部を置いて設置され、全体に陰極(−)または陽極(+)が印加されたキャタピラと、ドラムとキャタピラの間にスラッジの移送および脱水のために巻き取られた濾布ベルトとで構成されている。
【0004】
このとき、キャタピラの代りに、キャタピラのように無限軌道で回転する陰極(−)または陽極(+)が印加された電極板で構成された電気浸透脱水機も存在する。
このような従来の電気浸透脱水機は、ドラムとキャタピラ(または電極板)の間に一定の純粋な直流電圧が印加されて電場が形成され、電場内において帯電した液体スラッジ粒子の周りの水が、電気泳動と毛細管現象によってスラッジ粒子が帯びている電荷と反対の電極側に移動して水分が分離されて除去される。
【0005】
すなわち、スラッジ粒子は(−)表面電荷を帯びるため、スラッジに電場を形成させれば、スラッジ粒子は(+)極に移動し、スラッジ粒子層内の水分は(−)極に移動して脱水が促進される。
【0006】
しかしながら、このような従来の電気浸透脱水機は、核心部品であるドラムが単純にステンレスのみからなる構造であるため、脱水作業の際に、ドラムとキャタピラ(または電極板)の間に発生する電場によって電気化学的な反応を示すようになることにより、ドラムの表面が電気分解され、その表面に大小の腐食が発生するようになる。
【0007】
また、ドラムとキャタピラ(または電極板)の間に発生するクーロン熱によってドラムが高温に加熱されて水蒸気が発生するようになるため、ドラムの表面により激しい腐食が発生するようになるだけでなく、外形の変化も起こるようになる。
【0008】
したがって、ドラムの使用寿命が期待以下に短縮され、ドラムの電気伝導率も低下して脱水能力が低下するようになるため、脱水機の維持補修費用を増加させるようになり、脱水機の作動に必要な消費電力も上昇させるようになり、スラッジの含水率が増加するようになるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような問題点を解決するために発明されたものであって、ドラムの耐久性と共に電気伝導率を増大させることができるようにするために、ドラムの外側面に銅板が環装され、銅板の外側面に白金系金属のコーティング剤をコーティングしたチタン板が環装され、ドラムの耐久性と電気伝導率が増大した電気浸透脱水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る電気浸透脱水機は、
陽極(+)または陰極(−)が印加されたドラムと、
前記ドラムと一定空間部を置いて設置され、陰極(−)または陽極(+)が全体に印加されたキャタピラまたは電極板と、
前記ドラムとキャタピラまたは電極板の間にスラッジの移送および脱水のために巻き取られた濾布ベルトと、
で構成された電気浸透脱水機であって、
前記ドラムの外側面に銅板が環装され、前記銅板の外側面に白金系金属のコーティング剤をコーティングしたチタン板が環装されることを特徴としている。
【0011】
ここで、本発明では、
前記ドラムの内側面に冷却水が内部で循環する空間部を備えた円筒型の水冷ジャケットが環装されることが好ましい。
【0012】
また、本発明では、
前記銅板とチタン板は、ボルトヘッドが白金系金属のコーティング剤でコーティング処理され、銅板とチタン板を貫通してドラムにねじ締結する複数のボルトにより、ドラムの外側面に相互離隔することなくドラムに環装されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述のように構成された本発明は、ドラムの耐久性が補強されると同時にドラムの電気伝導率が向上することにより、ドラムの使用寿命が延長されて脱水機の維持補修費用を節減させることができ、電場が効果的に発生するようにして消費電力を減らして脱水能力を向上させることができ、安定した脱水作業を保障することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電気浸透脱水機を示す内部透視断面図である。
【図2】本発明の要部を示す一部切開斜視図である。
【図3】本発明の要部を示す断面図である。
【図4】図3のA部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明すれば、次のようになる。
図1は、本発明の電気浸透脱水機を示す内部透視断面図であり、図2は、本発明の要部を示す一部切開斜視図であり、図3は、本発明の要部を示す断面図であり、図4は、図3のAの拡大断面図である。
【0016】
本発明の電気浸透脱水機100は、陽極(+)または陰極(−)が印加されたドラム1と、ドラム1と一定空間部を置いて設置され、陰極(−)または陽極(+)が全体に印加されたキャタピラ2または電極板と、ドラム1とキャタピラ2または電極板の間にスラッジの移送および脱水のために巻き取られた濾布ベルト3とで構成された電気浸透脱水機であって、ドラム1の外側面に銅板4が環装され、銅板4の外側面に白金系金属のコーティング剤5をコーティングしたチタン板6が環装され、銅板4とチタン板6は、ボルトの頭が白金系金属のコーティング剤5でコーティング処理され、銅板4とチタン板6を貫通してドラム1にねじ締結される複数のボルト9により、ドラム1の外側面に相互離隔することなくドラム1に環装されることを特徴とする。
【0017】
ドラム1は、ステンレス板で8Tの厚さを有するものであり、銅板4は、1Tの厚さを有するものであり、チタン板6は、1Tの厚さを有するものである。
ドラム1の内側面には、冷却水が内部で循環する空間部7を備えた円筒型の水冷ジャケット8が環装されている。
【0018】
水冷ジャケット8は、ドラム1の円滑な回動と冷却水に腐食されないように、重量が軽くて耐食性が強いステンレスで形成されている。
ここで、図に示してはいないが、水冷ジャケット8は、電気浸透脱水機100に別に設置された冷却水を供給する冷却水供給装置に連結され、内部で冷却水が円滑に循環されるようになる。
【0019】
また、図に示してはいないが、電気浸透脱水機100は、キャタピラ2を用いずに、キャタピラ2のように無限軌道で回転する陰極(−)または陽極(+)が全体に印加された電極板が設置された構造も含む。
【0020】
図面のうちで説明がされていない図面符号10は、水冷ジャケット8に設置された冷却水供給ノズルであり、図面符号11は、冷却水供給ノズル10と冷却水供給装置を連結する冷却水供給管である。
【0021】
このように構成された本発明の電気浸透脱水機100は、図1に示すように、印加された直流電源の電圧差による電気泳動性と毛細管現象を介してスラッジに結合した含水をスラッジから分離させ、スラッジを脱水する装置である。
【0022】
特に、本発明の電気浸透脱水機100は、核心部品であるドラム1の耐久性を増大させ、これと同時にドラム1の電気伝導率を向上させてその使用寿命を延長させ、脱水能力を向上させることができるようにすることを特徴とする。
【0023】
これは、図2〜4に示すように、ステンレスからなるドラム1の内側面に冷却水が循環する水冷ジャケット8が環装され、ドラム1の外側面に銅板4が環装され、銅板4の外側面に白金系金属のコーティング剤5をコーティングしたチタン板6が環装されたことによるものであるが、この作用をより詳細に説明すれば、次のようになる。
【0024】
まず、脱水しようとするスラッジは、ホッパー(図示せず)を介して投入され、ホッパーに投入されたスラッジは、濾布ベルト3の間に流入してドラム1に沿って移送される。
この後、ドラム1に沿って移送されるスラッジに含まれた含水は、(+)直流電圧と(−)直流電圧がそれぞれ印加されたドラム1とキャタピラ2の間で発生する電場による電気泳動と毛細管現象を介して脱水されるようになる。
【0025】
このとき、ドラム1は、外側面に環装されたチタン板6によって高強度と高軽量および高耐食性を有するようになるため、軽量でありながらも優れた強度を有するようになり、腐食に強くなる。
【0026】
これだけでなく、ドラム1は、チタン板6の表面にコーティングされた白金系金属のコーティング剤5によって不溶性電極になり、脱水作業の際に、金属イオンの放出不備により電気分解がほぼなされないようになることにより、電気化学的な腐食に強くなる。
【0027】
したがって、ドラム1とキャタピラ2との間でなされる電気化学的な反応によってドラム1の外周面に大小の腐食が発生していた従来の電気浸透脱水機の弊害を解消し、ドラム1の耐久性を増大させることができるようになる。
【0028】
ここで、コーティング剤5の厚さによってドラム1の腐食防止寿命を相違させることができるが、コーティング剤5の厚さが大略1ミクロンであるときに1年程度の寿命を有するようになる。これにより、コーティング剤5の厚さを厚くすれば、ドラム1の腐食防止寿命をより延長させることができるようになる。
【0029】
また、ドラム1は、外側面とチタン板6の内側面の間に環装された銅板4によって電気伝導率が数倍以上に向上し、電気の流れを円滑にしてクーロン熱も減少するようにする。
したがって、ドラム1とキャタピラ2の間における電場をより効果的に発生させることができるだけでなく、水蒸気の発生を抑制させることができるようになることにより、脱水作業を安定的かつ効率的に行える上に、脱水作業に消費される電力も減らすことができるようになる。
【0030】
また、ドラム1は、内周面に環装された水冷ジャケット8によって持続して冷却されるため、熱によるドラム1の変形や腐食を防いでドラム1の使用寿命を延長できるようになり、安定した脱水作業も保障できるようになる。
【0031】
これにより、ドラム1とキャタピラ2の間に電場が形成される間に高温の熱が発生して別途の冷却手段が備えられていないドラム1が加熱し、容易に腐食したり変形していた従来の電気浸透脱水機の弊害も解消できるようになる。
【0032】
このとき、銅板4とチタン板6は、ドラム1の外周面に環装させるときには、図2に示すように、溶接せずに、銅板4とチタン板6を貫通して一定の間隔でドラム1にねじ締結される複数のボルト9を用いる。
【0033】
これは、溶接すれば、チタン板6にコーティングされたコーティング剤5が破損するため、コーティング剤の破損を防ぎながらも、ドラム1と銅板4とチタン板6との間に隙間を発生させずに相互密着するように設置するためである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものである。
ドラムの外側面に銅板が環装され、銅板の外側面に白金系金属のコーティング剤をコーティングしたチタン板を環装してドラムの耐久性と電気伝導率を増大させることにより、ドラムの使用寿命を延長して維持補修費用を節減させると共に、電場を効果的に発生させて消費電力を減らし、脱水能力を向上させることができ、安定した脱水作業を保障する。
【符号の説明】
【0035】
1:ドラム
2:キャタピラ
3:濾布ベルト
4:銅板
5:コーティング剤
6:チタン板
7:空間部
8:水冷ジャケット
9:ボルト
10:冷却水供給ノズル
11:冷却水供給管
100:電気浸透脱水機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極(+)または陰極(−)が印加されたドラムと、
前記ドラムと一定空間部を置いて設置され、陰極(−)または陽極(+)が全体に印加されたキャタピラまたは電極板と、
前記ドラムとキャタピラまたは電極板の間にスラッジの移送および脱水のために巻き取られた濾布ベルトと、
で構成された電気浸透脱水機であって、
前記ドラムの外側面に銅板が環装され、前記銅板の外側面に白金系金属のコーティング剤をコーティングしたチタン板が環装されることを特徴とする電気浸透脱水機。
【請求項2】
前記ドラムの内側面に冷却水が内部で循環する空間部を備えた円筒型の水冷ジャケットが環装されることを特徴とする請求項1に記載の電気浸透脱水機。
【請求項3】
前記銅板とチタン板は、ボルトヘッドが白金系金属のコーティング剤でコーティング処理され、銅板とチタン板を貫通してドラムにねじ締結する複数のボルトにより、ドラムの外側面に相互離隔することなくドラムに環装されることを特徴とする請求項1に記載の電気浸透脱水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−526660(P2010−526660A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508283(P2010−508283)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000467
【国際公開番号】WO2008/140175
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509315607)コリア ウォーター テクノロジー アイエヌシー. (2)
【出願人】(509315582)
【Fターム(参考)】