説明

電気温水器

【課題】太陽光を利用した加熱手段を併用することにより、使用電力量を減らすとともに、既存の機器に簡単に取付けすることができる電気温水器を提供すること。
【解決手段】温水タンク内に電熱ヒータが設けられた電気温水器であって、温水タンク2の上方に設置された太陽光発電パネル10と、温水タンク2内に設けられ、太陽光発電パネル10から導線12を介して電力が供給される補助電熱ヒータ8と、導線12の途中に設けられた表示部兼用制御盤13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電熱ヒータにより水を加熱して温水タンクに蓄える電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気温水器は、天部に出湯口を有する温水タンクの下部に電熱ヒータを設け、タンク内の水を所定温度に加熱するように構成している。
【0003】
従来、このような電気温水器において、屋上に設置した太陽電池パネルを用いた太陽光温器で得られた温水を温水タンクに蓄えるとともに、この太陽電池パネルで発生した起電力を蓄電池に充電させ、この蓄電池の電源を用いて温水タンクから出される温水の温度を加熱ヒータによって加熱する太陽光発電温水装置がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−55479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な電気温水器は、冷水の段階での加熱および温度低下時の加熱は全て電熱ヒータのみであるため、使用電気量が多くなるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1に示す太陽光発電温水装置は、太陽光発電パネルを利用した太陽光温水装置を屋上に設置し、ここで得られた温水を電気温水器に供給し、太陽光発電パネルで得られた電力で電気温水器の温水を加熱する構成であるので、温水タンクのほか、屋上に設置する大型の太陽光温水装置、電気温水器、蓄電池等の多数の機器を必要とし、大規模で高価な温水装置とならざるを得ない。
【0007】
本発明の目的は、太陽光を利用した加熱手段を併用することにより、使用電力量を減らすとともに、既存の機器に簡単に取付けすることができる電気温水器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、温水タンク内に小型の補助電熱ヒータを設け、太陽光発電パネルにより発生した電力を補助電熱ヒータに供給することにより、使用電力量の低減をはかるとともに、既設の機器に簡単に増設することができることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな電気温水器を発明するに至った。
【0009】
(1) 温水タンク内に電熱ヒータが設けられた電気温水器であって、前記温水タンクの上方に設置された太陽光発電パネルと、前記温水タンク内に設けられ、前記太陽光発電パネルから導線を介して電力が供給される補助電熱ヒータと、前記導線の途中に設けられた表示部兼用制御盤と、を備えたことを特徴とする電気温水器。
【0010】
(1)記載の電気温水器によれば、最初に水から沸かすときは主電熱ヒータに加えて補助電熱ヒータの加熱も働くため、沸き上げ時間が短縮され、沸かした後は補助電熱ヒータの常時加熱(太陽光発電の動作時)により、温度が下がるのを防止することができる。太陽光発電パネルおよび補助電熱ヒータを既存の電気温水器に付設するだけで、太陽光を利用した熱効率の高い電気温水器に改良することができる。
【0011】
(2) 前記温水タンクを囲むように外装体が設けられ、前記太陽光発電パネルおよび前記表示部兼用制御盤は前記外装体に取付けられていることを特徴とする(1)記載の電気温水器。
【0012】
(2)記載の電気温水器によれば、電気温水器の外装体を利用して太陽光発電パネルおよび表示部兼用制御盤を簡単に取付けることができる。
【0013】
(3) 前記表示部兼用制御盤の表示部は、前記太陽光発電パネルの発電量、前記補助電熱ヒータの発生熱量、節約した電気代の概算のいずれか又は全てを表示する機能を備えていることを特徴とする(1)又は(2)記載の電気温水器。
【0014】
(3)記載の電気温水器によれば、表示部兼用制御盤の表示部に、太陽光発電パネルの発電量、補助電熱ヒータの発生熱量、節約した電気代の概算を表示することにより、ECO(エコ)度が一目でわかるようになる。
【0015】
(4) 前記補助電熱ヒータは、防水被覆されたヒータを前記温水タンク内の給水口、排水口、又は主電熱ヒータの付近に装着したもの、あるいは主電熱ヒータに組み込み固定したもののいずれかであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の電気温水器。
【0016】
(4)記載の電気温水器によれば、防水被覆された任意形状のヒータを温水タンク内の給水口、排水口、又は主電熱ヒータの付近に装着することにより、あるいは主電熱ヒータの取替えにより、温水タンク内に簡単にセットすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽光を利用した加熱手段を併用することにより、使用電力量を減らすとともに、既存の電気温水器に簡単に取付けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による電気温水器の斜視図、図2は縦断側面図である。
【0020】
略直方体箱型形状の外装体1内に温水タンク2が設置されている。温水タンク2の天部は凸の略球面形状であり、その頂部には出湯口3aが設けられている。温水タンク2の下部には、外装体1の外から給水を行う給水管4および不要の水は排水する排水管5が連結されている。給水管4は温水タンク2の底部から温水タンク2内に突出し、この突出部4bの先端が給水口4aとなっている。また、排水管5の先端が排水口5aとなっている。頂部に設けた出湯口3bから出湯管3を介して湯を取り出すようになっている。
【0021】
温水タンク2の下部には主電熱ヒータ7が設けられ、図示しない電源装置によって通電され、温水タンク2内の水を加熱するようになっている。なお、給水口4aには給水によるタンク内の水圧上昇を制限する減圧弁があり、出湯口3aには加熱によるタンク内の水圧上昇を制限する逃がし弁があるが、図示を省略している。
【0022】
温水タンク2の底部には補助電熱ヒータ8が設けられている。この補助電熱ヒータ8は、防水被覆されたらせん状に巻かれたコイル状のもので、給水口又は排水口付近において温水タンク2の内部に固定されている。
【0023】
外装体1の上部には太陽光発電パネル10が所定の角度でアダプタ11を介して取付けられている。なお、外装体1の上部の日当たりがよくない場合は、外装体1の側部あるいは外装体1から少し離れた箇所の日当たりのいい場所を選んで太陽光発電パネル10を取付けるようにしてもよい。
【0024】
太陽光発電パネル10から導線12を介して上記の補助電熱ヒータ8に送電するようになっている。この導線12の途中には表示部兼用制御盤13が設けられている。この表示部兼用制御盤13は外装体1に磁石等により簡単に着脱できるようになっている。表示部兼用制御盤13は、補助電熱ヒータ8の絶縁不良時に回路を自動遮断するリレー(図示せず)を備えている。
【0025】
表示部兼用制御盤13の表示部13aは、例えば、太陽光発電パネル10の発電量、電熱ヒータの発生熱量、節約した電気代の概算(Eco度)等が一目で分かるように表示する機能を備えている。
【0026】
温水タンク2内の水は、深夜電力を利用して主電熱ヒータ7により加熱されて温水となって蓄えられる。この温水は時間とともに温度が下がるので、従来は所定温度以下に低下した場合自動的に主電熱ヒータ7に通電して再加熱するようになっている。本発明においては、太陽光発電パネル10で得られた電力を導線12を介して補助電熱ヒータ8に送電し、補助電熱ヒータ8の通電により、温水タンク2内の水を太陽光が得られる時間では常時加熱するようになっている。これにより、最初に水から沸かすときは、太陽光発電が得られる時間帯であれば、主電熱ヒータ7に加えて補助電熱ヒータ8の加熱も働くため、沸き上げ時間が短縮され、沸かした後は補助電熱ヒータ8による常時加熱(太陽光発電の動作時)により、温度が下がるのを防止することができる。
【0027】
図3は、補助電熱ヒータ8の他の実施形態を示している。給水管4は温水タンク2の底部から温水タンク2内に突出し、この突出部4bの先端が給水口4aとなっている。この補助電熱ヒータ8は、防水被覆された筒状のヒータであり、これを突出部4bに挿入することにより、温水タンク内に固定したものである。
【0028】
図4は、補助電熱ヒータ8のさらに別の実施形態を示している。本実施形態では、補助電熱ヒータ8を主電熱ヒータ7の下部付近に配置し、温水タンク2に固定している。なお、補助電熱ヒータ8を主電熱ヒータ7に固定した構造でもよい。
本発明の電気温水器は、上記実施形態に限定されず、例えば、外装体1を設けず、太陽光発電パネル10は、温水タンク2が設置されている建物の屋根、軒、側部など日当たりのよい場所に設置することもでき、また、表示部兼用制御盤13も建物の壁、柱等の構造物の適当な箇所に取付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態による電気温水器の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による電気温水器の縦断側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による電気温水器の縦断側面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態による電気温水器の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 外装体
2 温水タンク
4 給水管
5 排水管
7 主電熱ヒータ
8 補助電熱ヒータ
10 太陽光発電パネル
13 表示部兼用制御盤
13a 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水タンク内に電熱ヒータが設けられた電気温水器であって、前記温水タンクの上方に設置された太陽光発電パネルと、前記温水タンク内に設けられ、前記太陽光発電パネルから導線を介して電力が供給される補助電熱ヒータと、前記導線の途中に設けられた表示部兼用制御盤と、を備えたことを特徴とする電気温水器。
【請求項2】
前記温水タンクを囲むように外装体が設けられ、前記太陽光発電パネルおよび前記表示部兼用制御盤は前記外装体に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の電気温水器。
【請求項3】
前記表示部兼用制御盤の表示部は、前記太陽光発電パネルの発電量、前記補助電熱ヒータの発生熱量、節約した電気代の概算のいずれか又は全てを表示する機能を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気温水器。
【請求項4】
前記補助電熱ヒータは、防水被覆されたヒータを前記温水タンク内の給水口、排水口、又は主電熱ヒータの付近に装着したもの、あるいは主電熱ヒータに組み込み固定したもののいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−65857(P2010−65857A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229943(P2008−229943)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(504279212)株式会社エネルギア・ライフ&アクセス (15)
【Fターム(参考)】