説明

電気温水循環暖房システム

【課題】 各居室配置用の放熱器をプラスチックパイプの温水循環型とし、1台の放熱器に1台の循環機能収納ボックスを対応配置し、小廻りの利く温水暖房システムを得る。

【解決手段】 上下の大径横パイプ8A間に多数の小径縦パイプ8B群を一体化連通して温水循環型放熱器8とし、空気分離圧力タンク2、循環ポンプ3、パイプヒーター4を、水張り継手6、チーズ継手7を介して配管接続して収納し、循環機能部をコンパクトに収納したヒーターユニットボックス1を放熱器8に1対1で対応配置して、各居室毎に簡単に配置出来、操作が簡単で、メンテナンスも簡単な電気温水循環暖房システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内暖房用として用いる電気温水循環暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内用温水暖房システムとしては各種タイプが提案されており、図11に示す従来例1、及び図12に示す従来例2がある。
従来例1(図11)は、非特許文献1に挙げた典型的な温水暖房システムであって、図11(A)は暖房システムの概略配置図、図11(B)は放熱器の正面図、図11(C)は放熱器の側面図である。
【0003】
即ち、従来例1(図11)は、圧力計、安全逃し弁、排水弁を備えたボイラーを、電気、灯油、ガス等で加熱し、温水ボイラーで温めた温水を、配管及び往き側ヘッダーを介して各居室内の放熱器に送水して室内暖房し、放熱器から配管及び戻り側ヘッダーを介して温水をボイラーに戻して再加熱するものであり、1つの温水循環機能部には、循環ポンプ、密閉膨張タンク、空気抜き弁、ヘッダー等を収め、各放熱器にも、空気抜き弁、サーモスタッドバルブ、温水出入弁を配置したものである。
【0004】
また、従来例1(図11)のシステム内の水張り及び水抜きは、予め暖房配管を温水ボイラーから1/100勾配で上昇させて配管し、管末端で空気抜きをするもので、温水ボイラーへの給水弁を開放し、循環ポンプを作動させて、ヘッダーによって分岐している各系統別の配管で放熱器1台毎に実施するものであり、各放熱器は、下側に配置した一方の止水弁に、水タンク付きの給水ポンプの往き側ホースを接続し、他方の止水弁に戻り側のホースを接続して、給水ポンプを運転させ、放熱器内の水を数回循環し、放熱器に付設する空気抜き具にエアキーを挿入回動して空気を流出させて、放熱器内の水張りを行っている。
【0005】
また、従来例2(図12)は、特許文献1として挙げたものであって、図12に示す如く、直線状の加熱用銅管の外周面に多数の放熱フィンを配置し、加熱用銅管内の加熱室にはシーズヒーターを、加熱用銅管のほぼ全長に亘って配置すると共に、加熱室内に水溶液を充填し、更に加熱室から膨張室用銅管を連設して膨張室を配置し、膨張室内にイナートガスを注入し、暖房器全体を小型化すると共に、放熱フィンを極めて短時間のうちに加熱し、放熱の初期立上りを早くした暖房器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−18813号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】森永エンジニアリング(株)のパンフレット(番号0402−5C−dB)「森永温水パネル暖房技術資料」の、「設計、施工、運転上の注意事項」の項、及び同パンフレットの「サーモパネル取扱方法」の項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1(図11)の温水循環暖房システムは、安全逃し弁、圧力計、排水用仕切弁、給水用仕切弁を備えた温水ボイラーと、安全逃し弁を備えた密閉膨張タンクと、往き用及び戻り用ヘッダーと、温水循環ポンプと、ボイラーと循環ポンプ間に設置した空気抜き弁を備えたエアセパレータと、給排水用の仕切弁を備えた放熱器群と、各機器及び弁類を接続した配管パイプから構成され、建物内に設けたボイラー室から、床下、壁内、天井内の配管で室内放熱器に接続しているため、次の問題がある。
【0009】
(イ).温水循環暖房システムが老朽化すると、金属パネル(放熱器)及び配管に錆が発生し、温水が循環しなくなったり、漏水事故が発生し、床、壁、天井を汚損するが、システムの復旧、修理は、埋設配管であるため、復旧は、時間と経費を必要とする。
(ロ).システム内の循環ポンプ等が故障するとシステム全体の暖房が停止し、機器の修理、取替等の際には、ボイラー本体の仕様変更等、配管変更作業が生じる。
(ハ).温水ボイラーから各放熱器への配管のため、配管経路中の放熱による熱損失が大となる。
(ニ).居室内に配置する各放熱器には、メンテナンス用の給排水仕切弁等が付設し、空気抜き及びサーモスタット、若しくは手動バルブが突出しているため、美観を損なう。
【0010】
また、サーモスタットバルブは、室温が設定温度以上になると、サーモスタットバルブ内に組込まれている感温体が熱膨張し、放熱器への温水の流れを絞ることで室温の上昇を抑制し、室温が設定温度以下になると、感温体が収縮し、弁を自動的に開放して温水が放熱器に入り、温度が上昇するものであり、1度セットされたサーモスタットバルブは、室温を変更する場合以外は、触れる必要は無いが、周囲の温度を敏感に感知して作動するため、直射日光は避け、電気スタンド等の熱源となるものは近傍に配置出来ない。
【0011】
また、手動バルブは、手動で温水流量を調整するので、取扱いが面倒であり、室温調整が難しく、手動バルブを閉じても循環ポンプは作動しているので、手動バルブを閉じると循環ポンプの発生音が高くなる。
そして、サーモスタットバルブ及び手動バルブは、共に、往き側ヘッダーを介して各放熱器に温水を流入させる場合には、各系統毎に、流量バランスを、弁を介して制御するため、サーモスタットバルブ及び手動バルブによる室温調整は、各放熱器の系統毎の均斉化が困難で、温水循環ポンプに変動負荷を与えることにもなる。
【0012】
また、システム内への水張り及び空気抜きは、温水ボイラーへの給水弁を開放して、ヘッダーによって分岐する各系統の配管及び放熱器に対し、温水ボイラーから離れる方向に向かって実施するが、配管の段差によって空気が抜けない部分もあり、空気抜きは困難な作業であって、全ての放熱器の空気抜き及び水張り作業が必須であり、システム内の空気の水への置換が適正に実施出来なければ、配管内の空気によってシステム内の循環の停止、再実施が必要となり、空気抜き作業はシステム運行上のネックとなっている。
【0013】
従来例2(図12)の電気暖房器にあっては、暖房器の全体容積に比して放熱部の割合が小さく、シーズヒーター内の水溶液を温めるだけで、温水が循環しないため、温度の部分斑が生じ、且つ放熱量も少ない。
そして、暖房放熱は自然対流なので、放熱の部位による温度斑が生じ易い。
しかも、サーモスタットによる電源のオン、オフ操作も頻繁となって、電気熱量に対する発熱効果が悪い。
本願発明は、従来例1,2の内在する課題を一挙に解決、又は改善するものであって、単独型の暖房器に於いて、放熱部と温水循環部とを分離して、一対配置で使用するものであり、メンテナンス容易で、リフォームにも好適に採用出来る新規な電気温水循環暖房システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、図1及び図2に示す如く、1台の放熱器8に、1台の角筒状のヒーターユニットボックス1を対応配置した電気加温式温水循環型の暖房システムであって、放熱器8は、上下の大径横パイプ8A間に、多数の小径縦パイプ8B群を連通配置したプラスチック製放熱パネル81,82に、温水供給口8S及び温水排出口8Rを備えた温水循環型放熱器であり、ヒーターユニットボックス1は、空気分離圧力タンク2、循環ポンプ3、パイプヒーター4を、水張り継手6、チーズ継手7を介して配管接続して温水循環機能を収納し、往き管S及び戻り管Rで放熱器8と接続したものである。
【0015】
この場合、新規な空気分離圧力タンク2は、従来例1(図11)に於ける、膨張タンクとエアセパレータとの機能を奏するものであり、容量は、暖房システム内を還流させる水の、常温時の量、加温時の量、及び分離空気量に基づいて決めれば良く、必要に応じて、補助タンク形態で、複数個採用しても良い。
また、ヒーターユニットボックス1を構成する循環ポンプ3、パイプヒーター4、水張り継手6に付設するボール弁6A,6A´、チーズ継手7は、慣用品で準備出来、循環ポンプ3は、慣用の樹脂製電磁ポンプでも金属製循環ポンプでも良く、パイプヒーター4は、省エネルギー性に優れた、熱匠(株)製の、1kw発熱用SCヒーター(商品名)を暖房能力に応じて複数本採用し、配管用パイプは、耐久性、耐熱性、耐溶剤性に優れた、慣用のエチレン−プロピレンゴム製を採用すれば良い。
【0016】
また、ヒーターユニットボックス1は、従来例1(図11)の温水循環機能をパッケージとして詰め込んだものであるが、放熱器8の側面に縦配置しても、放熱器8の下部に横配置しても、即ち、縦配置使用も、横配置使用も可能なように構成したものであり、1kw〜3kw暖房システムにあっては、ヒーターユニットボックス1は、典型的には、幅L1が180mm、奥行きW1が160mm、高さh1が590mmの角筒形状の小型ボックスである。
また、放熱器8は、特開2001−116475号の、プラスチック製放熱器が採用出来るが、典型的には、図1、図2に示す、上下の大径横パイプ8A間に、多数の小径縦パイプ8B群を連通したプラスチック製放熱パネル81,82を一体化したものである。
【0017】
従って、本発明の暖房システムは、1台の放熱器8に1台のヒーターユニットボックス1が対応配置されるため、例え1台のヒーターユニットボックス1に故障が生じても、他の放熱器8は機能するため、家屋全室の暖房システムの機能不全は避けられ、居住部の暖房の、全て停止の事態は避けられる。
また、本発明の暖房システムにあっては、加熱部を内臓するヒーターユニットボックス1が、放熱器8と同室内で隣接配置と出来るため、従来例1(図11)の加熱部(ボイラー)から放熱器への経路中の配管からの熱放散に伴う熱損失が無く、例えヒーターユニットボックス1内の管路から熱放散が生じても、室内への熱放散となり、実質上、暖房熱の熱損失は生じない。
【0018】
また、放熱器8が、プラスチックパイプ群から成る温水循環型のパネルであるため、放熱温度斑が生ずること無く暖房出来ると共に、各放熱器8自体も、それぞれのヒーターユニットボックスでの単独運転による加熱放熱であるため、熱損失を生じない、且つ、適宜居室毎の必要暖房が出来る。
そして、放熱器8からは、従来例1(図11)の如き、サーモスタットバルブ、空気抜き、仕切弁の突出が無いので、安全で、意匠効果の優れた室内暖房システムを提供する。
しかも、床下、壁内、天井等の配管が無いため、必要部位への暖房システムの配置が、簡便、自在であり、例え、放熱器8又はヒーターユニットボックス1から漏水があっても、目視出来て、大きな汚損事故とならない。
また、リフォーム時の在来型暖房システムの更新に際しても、床下、壁内等の旧配管は放置したまま、既設の循環型放熱器に、ヒーターユニットボックス1を併置するだけで、本発明の、暖房システムに簡便に更新出来る。
【0019】
また、本発明にあっては、放熱器8は、例えば図2、図3に示す如く、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82との2枚の同寸の放熱パネルを、対向面間隔gpを保って、温水循環形態に一体化し、各上端横パイプ8Aの一端の閉止板8Fには、空気抜き孔H8と連通する空気抜き弁20を配置するのが好ましい。
また、空気抜き弁20は、例えば図4(A)に示す如く、上端横パイプ8Aの一端の閉止板8Fの上部に空気抜き孔H8を配置し、閉止板8Fの外側に、開閉ねじ20Nを備えたキャップ20Aを固着しておけば良い。
この場合、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82との対向面間隔gpは、両パネルの間への上方からの冷気の流下介入を阻止して、加温空気のみを上昇させるための間隔(40mm以下)であり、典型的には、間隔gpは18.5mmである。
【0020】
そして、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82との温水循環形態での一体化は、図3(A),(D)に示す如く、各放熱パネル81,82を、上端の横パイプ8Aと下端の横パイプ8A間に縦パイプ8B群を接続連通しておき、上下横パイプ8Aの側端を閉止板8Fで閉じ、第1放熱パネル81の下端横パイプ8Aの他端には温水供給口8Sを、第2放熱パネル82の下端横パイプ8Aの対向他端には温水排出口8Rを付設し、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82とを、図3(B),(D)に示す如く、上端横パイプ8Aの対向一端(左端)のみ連通パイプ8Cで連通一体化すると共に、上端横パイプ8Aの他端(右端)及び下端横パイプ8Aの対向両端をスペーサーパイプ8Dで一体化し、第2放熱パネル82の、上端横パイプ8Aの一端と下端横パイプ8Aの他端に流水制御用の閉止板8Fを配置すれば、第1放熱パネル81に流入する温水f1は、f1→f2→f3→f4→f5→f6→f7→f8→f9→f10→f11の経路で温水循環と出来る。
【0021】
従って、第1放熱パネル81及び第2放熱パネル82で放熱面を構成する各縦パイプ8B群は、下端横パイプ8Aから上端横パイプ8Aへの、一斉で均斉な温水流で加熱されて、第1放熱パネル81及び第2放熱パネル82は、加熱温度斑の無い加熱面を提供し、両パネル81,82間の対向面間隔gpが上方からの冷気の流下介入を阻止して加熱空気の上昇のみを許容するため、放熱器8は、加熱温度斑の無い、放熱量の大きな加熱面を提供し、周囲の室内空気をスムーズに加熱上昇させて、温和な自然対流による暖房作用を提供する。
【0022】
しかも、各放熱パネル81,82は、上下横パイプ8A間に縦パイプ8B群を直交形態で接続しているため、パイプ8A,8Bの連通直交部が多数である密閉型循環経路内への水張り作業では、循環経路内に空気が残存し易いが、水張り時に空気の最も残存し易い、各放熱パネル81,82の上端横パイプ8Aに空気抜き弁20を配置したため、温水暖房器の循環経路内への水張り作業は、循環経路内への注入充填水が空気抜き孔H8及び空気抜き弁20から流出した状態で完了が確認出来、取扱い操作の容易な暖房システムを提供する。
【0023】
また、放熱器8に、図1、図2に示す如く、上端横パイプ8Aを隠蔽形態で支承する上面に空気孔Huを備えた上枠13と、下端横パイプ8Aを隠蔽する下枠14と、左右の支柱機能を奏する側枠15と、上枠13と側枠15とを接続する上接合具16と、下枠14と側枠15とを接続する下接合具17とで枠組みFを付加するのが好ましい。
【0024】
この場合、上枠13は、放熱パネル81,82から上昇する加温空気を放出する空気孔Huを備え、且つ放熱パネル81,82を支承出来れば良く、典型的には、枠組みFは、上枠13が、図2(A)に示す如く、下側当接片Pdと上側当接片Puとで上端横パイプ8Aを挟着し、下枠14が、図2(A)に示す如く、放熱パネル81,82の下端横パイプ8A部位を被覆し、側枠15が、図1に示す如く、上接合具16を介して上枠13と、下接合具17を介して下枠14と一体化したものである。
【0025】
従って、放熱器8は、上端横パイプ8Aの部位も、下端横パイプ8Aの部位も枠組みFで被覆されるため、縦パイプ8B群のみ露出した形態となり、縦パイプ8B群と上下横パイプ8Aとの接合部位が被覆出来て、デザイン性に富み、放熱作用も十分に発揮出来る放熱器となる。
しかも、枠組みFは、放熱パネル81,82を、上端横パイプ8Aを支承して、放熱パネル81,82を吊下げ状態で保持して側枠15が支柱となるため、縦パイプ8B群の熱膨張による上下伸長歪にも対応出来る。
【0026】
また、本発明にあっては、ヒーターユニットボックス1は、例えば図5、図6に示す如く、断面L型の、長尺の左側板1Lと右側板1Rとを接合した長尺の角筒部1Kと、角筒部1Kの両端に、着脱自在に嵌着する上蓋1U及び下蓋1Dとを含み、断面L型の左側板1Lが、一側辺LS1には、上下に、等間隔で複数個の電線挿入用孔H1を備え、他側辺LS2には、電線挿入用孔H1と対応する位置に、複数の空気流通孔H3を備えているのが好ましい。
【0027】
この場合、左側板1Lは、内面に機器等の支持材を取付けるものであり、右側板1Rは、角筒部1Kの蓋の役目を奏するものである。
また、電線挿入用孔H1は、壁面WS又は床面FSに予め埋設した電気配管ボックス9Aと、ヒーターユニットボックス内に収納する温度調整ユニットとの結線を適宜位置で実施可能とするものであり、人手の入る大きさであり、典型的には、幅60mm、高さ40mmの長円孔であり、100mm間隔で5ヶ所に配置したものである。
また、空気流通孔H3は、ヒーターユニットボックス1内の熱を外部に放散するものであって、ヒーターユニットボックス1に空気貫流路を形成するものであり、典型的には、幅20mm、高さ40mmの長円孔である。
尚、ヒーターユニットボックス1を、立設使用する際には、上蓋1Uに操作パネル9Eを配置し、横型として使用する際には、角筒部1Kの蓋機能を奏する右側板1Rに操作パネル9Eを配置すれば良い。
【0028】
従って、上蓋1U及び下蓋1Dを取外すことによって、角筒部1Kは断面L型の左側板1Lと右側板1Rとに分解出来、左側板(1L)のみに収納機器を固定出来るため、角筒部1Kの蓋部材としての右側板1Rを外すことにより、ヒーターユニットボックスのメンテナンスが簡便に実施出来る。
また、ヒーターユニットボックス1の各室内への配置も、電線挿入用孔H1を、直列形態で多段に配置したため、外部の電気配線の接続位置選定が可能となり、外見を損なわない形態での配置が可能である。
しかも、ヒーターユニットボックス1内も、電線挿入用孔H1及び空気流通孔H3を介して、外部の室内空気の貫流が可能であるため、ヒーターユニットボックス1内で加熱放散する熱は室内暖房に助力し、熱損失が実質上生じない室内暖房システムを提供する。
【0029】
また、ヒーターユニットボックス1は、図5に示す如く、断面L型の左側板1Lが、両端にコーナー辺1Aを屈曲延出すると共に、コーナー辺1Aの端部を断面L型のアンカー片1Cとし、断面L型の右側板1Rの両端には、左側板1Lのアンカー片1Cと接続用の当接アンカー片1Fを配置し、断面L型の、左側板1L及び右側板1Rの上下端適所にねじ孔H2を配置して、上蓋1U及び下蓋1Dのねじ孔H2と、左側板1L及び右側板1Rのねじ孔H2とをねじ螺合するのが好ましい。
【0030】
尚、左側板1L及び右側板1Rは、典型的には、1.2mm厚の鋼板であり、左側板1Lの内面には、それ自体慣用の支持部材を介して、水張り継手、チーズ継手、空気分離圧力タンク等の各必要機器を取付けるため、図5(A)に示す如く、左側板1Lの各辺LS1,LS2、及びコーナー辺1Aには、外方に小寸(標準:6mm)突出する補強リブ1Gを配置するのが好ましい。
補強リブ1Gは、ヒーターユニットボックス1を壁面WSに沿って配置した際には、壁面WSとの不陸を吸収する隙間を提供する。
【0031】
従って、ヒーターユニットボックス1は、上蓋1U及び下蓋1Dと左側板1L及び右側板1Rとの嵌合、ねじ螺着によって、簡便に組立分離が可能となり、収納機器類は左側板1Lのみに取付けてあるため、点検、修理、取替等のメンテナンスも容易である。
そして、アンカー片1Cと当接アンカー片1Fの存在により、メンテナンス時に取外す右側板1Rの左側板1Lへの取付け作業性が向上すると共に、アンカー片1C及び当接アンカー片1Fは、ボックス1の補強リブ機能も奏する。
【0032】
また、ヒーターユニットボックス1内に配置する空気分離圧力タンク2は、図7に示す如く、下辺2D、前辺2F、後辺2B、上辺2T及び両側辺2L,2Rを含み、且つ上辺2Tが前側傾斜辺Sfで前辺2Fと、後側傾斜辺Sbで後辺2Bと連続する箱形状であって、前辺2Fの上下中央部には接続口J1を、後辺2B上下中央部には接続口J2を、上辺2Tの後部には接続口J3を備え、両側辺2L,2R間に亘って、後方に傾斜上昇する2枚の羽根板2A,2A´を、前側羽根板2Aが、下方で前辺の接続口J1の後方対応位置に、後側羽根板2A´が、上方で上辺接続口J3の下方対応位置に配置したものである
【0033】
この場合、空気分離圧力タンク2の容量は、循環暖房システム内に密閉した水量の常温(標準:15℃)時、及び温水(標準:80℃)時の膨張時水量、及び膨張時水量に伴うタンク2内の空気圧力から算出決定し、各接続口J1,J2,J3の位置は、常温時でも、ヒーターユニットボックス1の横使用時には、接続口J1及び接続口J2が水位面下となるように、ヒーターユニットボックス1の縦使用時には、接続口J3及び接続口J2が水位面下となるように決定すれば良い。
また、下方羽根板2Aと上方羽根板2A´とは、共に空気分離を助長するための制御乱流を生起するものであり、傾斜角30°とすれば、タンクの縦使用でも横使用でも、自然発生渦流を抑制し、分流作用によって空気分離を促進する制御乱流を発生させる機能を生ずる。
【0034】
そして、空気分離圧力タンク2は、小型化、プラスチック樹脂製で、空気抜き弁、安全逃し弁、を不要とする命題の下に、循環システム内の高圧時の爆発生起強度の約3倍の強度(安全率)とし、典型的には、1.5mm厚のプラスチック樹脂製であって、放熱器1kwに関しては、縦使用形態では、常温時に、水量0.19L(リットル)、システム内圧力0.01Mpa(マイクロパスカル)、80℃時に、水量0.26L、システム内圧力0.04Mpaとなり、横使用では、常温時に、水量0.28L、システム内圧力0.01Mpa、80℃時に、水量0.34L、システム内圧力0.04Mpaとなるものである。
尚、空気分離圧力タンク2は、半透明プラスチック製としておけば、外からの透視が可能となり、循環暖房システム内への水の充填時のタンク内への入水が目視出来、循環暖房システムの準備、メンテナンスに好都合である。
【0035】
従って、本発明の空気分離圧力タンク2は、縦使用時にも横使用時にも、2枚の羽根板2A,2A´がタンク2内への流入温水流を、空気分離に有効な制御乱流として、タンク内の流速の急激低下と相俟って、水中の空気泡を好適に分離上昇させ、循環システム内での発生空気を、空気分離圧力タンク2内に安全に確保するため、循環システム内にあって、従来例1(図11)の安全逃し弁、空気抜き弁の配置の不要な空気分離圧力タンクを提供し、従来例1(図11)の放熱器を除く全循環システムの、1個のヒーターユニットボックス1内への収納、ヒーターユニットボックス1の縦使用又は横使用の汎用化、及びヒーターユニットボックス1の小型化を可能とする。
しかも、空気分離圧力タンク2は、小型化、低コスト化の下に製作出来るため、ヒーターユニットボックス1の小型化の下で、補助タンク2´としての採用も可能となる。
【0036】
また、本発明にあって、角筒状のヒーターユニットボックス1を、図1の如く、縦配置して使用する際には、図8(C),(D)の如く、空気分離圧力タンク2の前辺2Fを上側、後辺2Bを下側として配置し、上辺2Tの接続口J3にパイプヒーター4を接続し、後辺2Bの接続口J2に往き管Sを接続し、前辺2Fの接続口J1をキャップ2Cで閉止するのが好ましい。
この場合、接続口J3とパイプヒーター4間、接続口J2と往き管S間の経路接続は、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)パイプで接続すれば良い。
【0037】
従って、空気分離圧力タンク2は、図7(D)に示す如く、循環水が、常温時にはwLの水位に、80℃ではwLの水位になって、接続口J3からの流入水Finが接続口J2からの流出水Foutとなり、タンク2内では急速に流速が低下し、タンク2内で下方の羽根板2Aの、上方への流れF1、下方への流れF2、上方の羽根板2Aの、上方への流れF3、下方への流れF4となって、水中の空気泡は、キャップ2C(図8(C))で閉止されたタンク上部の空気域Zaへと分離上昇し、放熱器8内には空気を含まない温水が循環給水出来る。
そのため、本発明の空気分離圧力タンク2は、図7(D)の如く、縦配置で使用しても、従来例1(図11)の、密閉膨張タンクとエアセパレータとの機能を発揮し、ヒーターユニットボックス1の小型化が可能となる。
【0038】
また、角筒状のヒーターユニットボックス1を横配置して使用する際には、空気分離圧力タンク2の上辺2Tを上側、下辺2Dを下側として配置し、前辺2Fの接続口J1にパイプヒーター4を接続し、後辺2Bの接続口J2に往き管Sを接続し、上辺の接続口J3をキャップ2Cで閉止するのが好ましい。
この場合、接続口J1とパイプヒーター4、及び接続口J2と往き間Sとの接続は、エチレン−プロピレンゴム管で接続すれば良い。
そして、上辺2Tの接続口J3をキャップ2Cで空密閉止するため、タンク2の接続口J3の下方域は空気域Zaとなる。
【0039】
従って、空気分離圧力タンク2は、図7(C)に示す如く、循環水が常温(15℃)時には、wLの水位に、80℃ではwLの水位になって、パイプヒーター4からの循環流入水Finが接続口J1からタンク2内に流入し、流速の低下した流入水は、前側羽根板2Aで上側流れF1及び下側流れF2に分流されて流水中の空気泡は分離上昇し、後側羽根板2Aでも、上側流れF3と下側流れF4とに分流され、流水から発生する空気泡をタンク上部の空気域Zaに分離上昇させながら、循環流出水Foutとなって後辺の接続口J2から往き管Sに供給される。
【0040】
そして、上辺2Tの接続口J3はキャップ2Cで閉止し、タンク2の上部の空気域Zaは循環水の加熱膨張最大圧力が爆発臨界値以下(標準:1/3爆発圧力値)に設定されているため、空気分離圧力タンク2は、図7(C)の如く、横配置で使用しても、従来例1(図11)の、密閉膨張タンクとエアセパレータとの機能を発揮し、ヒーターユニットボックス1の小型化が可能となる。
【0041】
また、角筒状のヒーターユニットボックス1内では、図9(B)に示す如く、空気分離圧力タンク2の下流のチーズ継手7から枝管P6´を介して補助タンク2´を接続すると共に、チーズ継手7の下流には、直線部6Eから中央の分岐部6Cと、前後のボール弁6A,6A´とを側方に突出した水張り継手6を接続するのが好ましい。
この場合、補助タンク2´は、空気分離圧力タンク2と同一物を採用し、ヒーターユニットボックス1内のスペースに応じて配置し、枝管P6´の先端を、補助タンク2´の3ヶ所の接続口J1,J2,J3のうち、下面に位置する接続口に接続し、他の2ヵ所の接続口をキャップ2Cで閉止すれば良い。
【0042】
また、水張り継手は、図9(A)に示す如く、両端外周を配管接続部6Dとした直線部6Eの中央からは、直線部6Eの水路開閉用の開閉弁Hbを備えた分岐部6Cを突出し、分岐部6Cの上流側と下流側の両側にユニオン部6Bを突出し、各ユニオン部6Bには、それ自体慣用のボール弁6A,6A´を着脱自在に螺着すれば良く、典型的には、直線部6Eの長さL6は97mmで、分岐部6Cは、直線部6Eと同径のパイプ形状で50mm突出し、先端に、十字ドライバーで開閉する開閉弁Hbを備えたものである。
【0043】
従って暖房システムへの水張りは、図9(B)に示す如く、ヒーターユニットボックス1の往き管S及び戻り管Rを放熱器8に接続し、下方に送水用接続具10Dを、上方に受水用接続具10Eを備えた慣用の圧送ポンプユニット10Aを用い、分岐部6Cの開閉弁Hbを閉止して、ボール弁6Aは耐圧ホース10Cで送水用接続具10Dと接続し、ボール弁6A´は透明ホース10Bで受水用接続具10Eと接続し、ボール弁6Aからの圧力流水Wを暖房システムの水経路に充填し、ボール弁6A´から圧送ポンプユニット10A内への噴出水を確認することにより、密閉型循環経路内に所定圧の水の充填と、空気の排除が出来る。
【0044】
この場合、放熱パネル81,82内の空気の滞留し易い上端横パイプ8Aに配置した空気抜き弁20でパネル81,82内の空気を排除するため、圧送ポンプユニット10Aの水がボール弁6Aからシステム内に流入して所定水量の充填が出来る。
次いで、圧送ポンプユニット10Aの送水用接続具10D及びボール弁6Aを閉止すれば、システム内の水圧は送水用圧力から独立状態となり、システム内の水圧は、揚程HL(標準:1mm)の揚程差のみとなり、ボール弁6A´を閉じ、水張り継手6の分岐部6Cの開閉弁Hbを開けることにより、システム内の充填水を所定の圧力と出来る。
【0045】
勿論、システム内への注入時に、水道圧によって補助タンク2´内へも枝管P6´から上昇水が入るが、ボール弁6Aを閉じてシステム内の水圧を揚程HLによる圧力とした段階で補助タンク2´内の流入水の大部分は排除される。
従って、水張り及び空気抜きが同時に、且つ簡便に実施出来、システム内の充填水は、揚程圧(標準:0.01Mpa)で充填出来、空気分離圧力タンク2内は、図7の如く、所定水位面wLの下に、圧力旧収容の空気域Zaが確保出来る。
【0046】
また、本発明システムは電気制御で運行するのが好ましく、電気制御回路は、図10に示す如く、運転表示、タイマー表示、時刻表示、温度表示等を表示する操作パネル9Bと、外側からの入力信号を処理して出力するマイコン9Aと、マイコン9Aからの指示で、循環ポンプ3及び各パイプヒーター4の電気回路をオン−オフする複数の端子盤9Cと、パイプヒーター4の往き側配管P5に配置し、温水温度によってパイプヒーター4をオン−オフしてマイコン9Aに伝達するサーモスタット9Sと、室内温度を測定し、停電時のバックアップ電池を作動させる温度センサー9Tと、電源9Mと、電源9Mからの過電流を防止するヒューズ9Fと、電圧を変換してマイコン9Aに送る変圧器9Kと、各機器を接続する電線9Vとを含むものである。
【0047】
該電気制御回路を備えた暖房システムにあっては、電源9Mから電流がシステム内に給電され、操作パネル9Bの運転をパネルタッチし、設定温度をセットすることで、マイコン9Aに情報が送られて、温度センサー9Tが室温を感知し、設定温度と室温とに差があると、マイコン9Aから端子盤9Cに情報が送られ、各パイプヒーター4が適宜、作動・停止することとなり、各パイプヒーター4の入・切(オン−オフ)は、端子盤9C内で行われるので、図9(B)の如く、マイコン9Aからの指示によって、端子盤9C内のフォトカプラ9Dからスイッチ9Eに光通信で送信し、スイッチ9Eから作動して入・切(オン−オフ)を実施する。
尚、この場合、パイプヒーター4は、複数本電力量に応じて併用し、サーモスタット9Sは、パイプヒーター4と空気分離圧力タンク2間の配管P5の途中に配置すれば良い。
【0048】
従って、本発明の暖房システムは、パイプヒーター4を複数配置し、設定温度と現在室温との差によって、自動的に適宜、複数のパイプヒーター4を自動的に制御して作動・停止させるので、人手操作のエラーが排除出来ると共に、節電にもなる。
そして、パイプヒーター4は、マイコン9Aで正確に、所定温度に制御されるため、温水経路への高熱水の循環が抑制出来、火傷等の事故の怖れの無い、安全な温水循環システムとなる。
また、サーモスタット9Sはヒーターユニットボックス1内の配置と出来るため、直射日光や、他の熱源の影響も受けずに適正に機能し、サーモスタット9Sが停止したら、同時に循環ポンプ3も停止し、放熱器8の1台にヒーターユニットボックス1台が対応しているため、圧力調整も不要である。
【発明の効果】
【0049】
本発明の暖房システムは、1台の放熱器8に1台のヒーターユニットボックス1が対応配置されるため、例え1台のヒーターユニットボックス1に故障が生じても、他のヒーターユニットボックス1及び対応放熱器8が機能するため、家屋全室の暖房システムの機能不全は避けられ、居住部の暖房の、全て停止の事態は避けられる。
【0050】
また、加熱部(パイプヒーター)を内臓するヒーターユニットボックス1は、放熱器8と隣接配置と出来るため、加熱部から放熱器への温水循環経路上での熱の放出損失は無く、ヒーターユニットボックス1内で生ずる熱放出も、室内加熱機能を奏するため、実質上、暖房熱の熱損失が生じない室内暖房システムとなる。
【0051】
また、放熱器8が温水循環型であるため、放熱温度斑の生じない放熱暖房となり、各放熱器自体も、それぞれのヒーターユニットボックス1での別個独立の運転による加熱放熱となるため、必要暖房の運転が自在に調整出来る。
また、リフォーム時の、既設の循環型暖房システムの更新に際しても、床下、壁内等の旧配管は放置したまま、既設の温水循環放熱器に本発明のヒーターユニットボックス1を対応併置するだけで、本発明の暖房システムに簡便に更新出来る。
【0052】
また、従来の温水循環暖房システム(図11)での、膨張タンク、エアセパレータ、安全逃し弁、及び水抜き弁の機能を奏する、新規な空気分離圧力タンク2を開発して採用したため、ヒーターユニットボックス1は、小型化、軽量化が可能となり、放熱器8も、上下の大径横パイプ8A間に多数の縦パイプ8B群を連通したプラスチック製放熱パネルであるため、温和な輻射熱暖房を発揮し、火傷の怖れも無い、高齢者、子供にも安全な、人に優しい暖房システムを提供する。
しかも、本発明暖房システムは、新築建物はもとより、既存建物の暖房システム改修にも、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】放熱器にヒーターユニットボックスを併置した状態の斜視図である。
【図2】放熱器の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は一部切欠縦断正面図、(C)は縦パイプ8Bの配置状態説明用横断面図である。
【図3】放熱器の説明図であって、(A)は第1放熱パネル81の正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は第2放熱パネル82の正面図である。
【図4】空気抜き弁20の説明図であって、(A)は横パイプ8A端に装着した状態の縦断正面図、(B)は分解斜視図である。
【図5】ヒーターユニットボックスの匡体分解斜視図であって、(A)は左側板1Lを、(B)は右側板1Rを、(C)は上蓋1Uを、(D)は下蓋1Dを示す図であり、(E)は(C)図の部分拡大図である。
【図6】ヒーターユニットボックスの説明図であって、(A)は匡体の組立て状態斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は(A)のC部拡大図、(D)は(B)のD部拡大図、(E)は(B)のE部拡大図である。
【図7】空気分離圧力タンク2の説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は(A)の矢印B視前面図、(C)は、(A)のC−C線縦断面図、(D)は縦型使用状態図である。
【図8】縦型ヒーターユニットボックスの説明図であって、(A)は水系統図、(B)は内部上面図、(C)は内部前面図、(D)は内部側面図である。
【図9】(A)は水張り継手6の説明図、(B)は水張り作用の水系統図である。
【図10】本発明の電気回路説明図であって、(A)は電気システム系統説明図、(B)は(A)のB部拡大説明図である。
【図11】従来例1の説明図であって、(A)はシステム系統図、(B)は使用する放熱器の正面図、(C)は放熱器の側面図である。
【図12】従来例2の電気温水暖房器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
〔ヒーターユニットボックス匡体(図5、図6)〕
ヒーターユニットボックス1は、電気温水循環暖房システムの、ヒーター、循環ポンプ等を含む温水暖房機能を収納したものであって、放熱器に隣接して、縦配置、又は横配置可能としたものであり、本体の匡体(ボックス)1と、収納する各種機器から成るものである。
図5は、匡体1の分解斜視図であって、(A)は左側板1Lを、(B)は右側板1Rを、(C)は上蓋1Uを、(D)は下蓋1Dを示す図であり、図6(A)は、匡体に組み立てた斜視図であり、図6(B)は、図6(A)のB−B線断面図である。
【0055】
ヒーターユニットボックスの匡体は、1.2mm厚の鋼板を押圧金型で加工した、左側板1L、右側板1Rを角筒形態に組んで、上蓋1Uと下蓋1Dとで両端を嵌合止着するものであって、図6(A)の組立て形態では、幅L1が180mm、奥行きW1が160mm、高さh1が590mmの角筒体である。
左側板1Lは、図5(A)に示す如く、断面L型で、内面に各種機器を固定収納する板材であり、高さh11が550mmで、匡体の幅L1(180mm)となる一側辺LS1側には、上下に、等間隔(100mm間隔)で、長さ60mm、高さ40mmの横長の電線挿入用孔H1を5ヶ所穿設し、匡体の奥行きW1となる他側辺LS2には、幅20mm、高さ40mmの縦長の空気流通孔H3を、電線挿入用孔H1の対応位置に5ヶ所穿設する。
【0056】
そして、図5(A)に示す如く、一側辺LS1及び他側辺LS2の端部から小幅W11(標準:35mm)のコーナー辺1Aを屈曲延出し、コーナー辺1Aの端部には、更に、断面L型のアンカー片1Cを、図6(D)に示す如く、内方に小寸d12(標準:7mm)落ち込ませて延出する。
この場合、アンカー片1Cの上下端は小寸d11(標準:10mm)切落としておく。
そして、各コーナー辺の上下端、及び左側板1Lのコーナー部の上下端には、ねじ孔H2を穿設しておく。
また、電線挿入用孔H1を配置した一側辺LS1は、収納機能を担保するため、適所(標準:各コーナーからL11(40mm)位置の2ヵ所)に、上下に亘る補強リブ1Gを、小寸d15(標準:6mm)の半円突起の形態で形成しておく。
【0057】
右側板1Rは、左側板1Lと整合一体化して匡体を形成するものであり、左側板1Lの内面に配置した各種機能機器のメンテナンス時に、取外す蓋板であり、図5(B)に示す如く、断面L型の一側辺RS1と他側辺RS2との屈曲コーナー部を、幅L10(標準:86mm)の傾斜辺1R´として、平滑面に形成し、一側辺RS1の端部及び他側辺RS2の端部は、図5(B)、図6(D)に示す如く、内方に屈曲して、小寸d12(標準:7mm)突出した当接アンカー片1Fを形成し、一側辺RS1及び他側辺RS2の端部の上下にはねじ孔H2を穿設しておく。
【0058】
上蓋1Uは、下蓋1Dと対向同形状物であり、左側板1Lと右側板1Rとで形成する匡体1の角筒部の上端に嵌合係止するものであって、図5(C)に示す如く、天板1Tは、奥行きW1が160mm、幅L1が180mmで、右側板1Rの対向部では、折曲げ部EPから長さW10(標準:85mm)の位置から、右側板1Rの傾斜辺1R´に対向する長さL10(標準:86mm)の傾斜辺TSを備えた、矩形の一辺を傾斜辺TSとした変形5角形板であって、各辺は、天板1Tから下方へ直角折曲形態の、高さh10(20mm)の立上り片1Pを一体的に備えている。
【0059】
即ち、上蓋1Uは、天板1Tと立上り片1Pとの箱蓋形態であり、立上り片1Pの出隅部以外には、立上り片1Pの内面に、突出長d10(10mm)の当接係止片1Vを当接固定し、各当接係止片1Vには、左側板1L及び右側板1Rのねじ孔H2に対応するねじ孔H2を配置しておく。
また、下蓋1Dは、上蓋と面対称の固形状物であって、天板1Tと同形の底板1Bの周囲に、高さh10が20mmの立上り片1Pを配置し、立上り片1Pの出隅部以外には、立上り片1Pの内面に当接係止片1Vを、高さd10(10mm)突出形態に固定し、当接係止片1Vの、左側板1L及び右側板1Rの下端のねじ孔H2の対応位置に、ねじ孔H2を配置したものである。
【0060】
即ち、匡体の組立ては、下蓋1D及び上蓋1Uの各立上り片1Pの端縁が、左側板1L及び右側板1Rの上下端縁と衝き合せ形態で、各当接係止片1Vが、左側板1L及び右側板1Rの内面に当接してねじ固定すれば良く、匡体1は、各立上り片1Pと、左側板1L及び右側板1Rとのねじ固定手段で、解体、及び組立てが自在であって、外面を形成する各鋼板が面一に衝き合せで形成出来るものである。
【0061】
〔空気分離圧力タンク2(図7)〕
図7(A)は、空気分離圧力タンク2の全体斜視図であって、図7(B)は、(A)の矢印B視前面図、図7(C)は、(A)のC−C線縦断面図、図7(D)は、空気分離圧力タンク2の縦配置状態説明図である。
空気分離圧力タンク2は、ヒーターユニットボックス1の温水循環経路内に配置して、従来例1(図11)の膨張タンク、エアセパレータ、水抜き弁、及び安全逃し弁を不要とする新規なタンクであり、1kw暖房用タンクの実施例に就いて説明する。
【0062】
空気分離圧力タンク2は、一般肉厚1.5mmの半透明プラスチック樹脂成形品であり、構造は、図7(C)に示す如く、下部が、長さ(L2)140mm、高さ(h3)55mm、幅(W2)が50mmの箱型形状であり、上部は、上辺2Tの幅(W3)が38mm、長さ(L3)が70mm、高さ(h4)が30mmの裁頭角錐形状で、対向する前辺2F、後辺2Bには、下端から上方30mm(d5)で、幅W2の中央位置に、上辺2Tには、幅W3の中央で、後辺2Bより55mm(L5)の位置に、おのおの、外径13mmで肉厚0.5mmの接続口J1,J2,J3を配置したものである。
【0063】
そして、各接続口J1,J2,J3は、ゴムパイプ5A、又はゴムキャップ2Cの取付けを確実とするため、幅が1mmで突出高さが0.5mmの突起2Gを、6mm間隔で2ヵ所配置する。
また、図7(C)に示す如く、タンク2内には、左側辺2Lと右側辺2Rとに、差し渡し状に前側羽根板2Aと後側羽根板2A´とを配置する。
【0064】
前側の羽根板2Aは、幅W5が35mm、厚さ6mmで、後方に30°傾斜上昇する形態に、且つ、前端が、前辺2Fから距離(L6)25mmで、下辺2Dから高さ(h5)が20mmに配置し、後側羽根板2A´は、幅W6が30mm、厚さ6mmで後方に30°傾斜上昇する形態に、前端が、後辺2Bから距離(L5)55mmで、下辺2Dから高さ(h6)が35mmで配置し、タンク2内の容量を0.5Lとしたものである。
【0065】
従って、該空気分離圧力タンク2は、横使用時は、図7(C)の如く、常温(15℃)水の状態の水位wL、水容量0.28L(リットル)、空気量(空間容積)0.22Lで、前辺接続口J1から流入水Finが流速0.885m/sで流入し、前側羽根板2A下側で、流速0.118m/sの遅い流れF2となり、羽根板2Aの上側の流れF1は、下側流れF2より更に低い流速となり、水と空気は分離して、空気は上部空気域Zaに至る。
【0066】
また、前側羽根板2Aで未分離の空気は、後側の羽根板2A´の下側の流れF4が0.06m/sと低速であり、循環水は、2枚の羽根板2A,2A´がF1,F2,F3,F3の低速流に分流撹拌することで、水中の空気を完全に分離する。
尚、高温(80℃)で膨張した循環水の水位はwLに至り、上辺の接続口J3をゴムキャップ2Cで閉止して運転するため、空気域Zaは、許容圧力下の圧力空気となる。
【0067】
また、タンク2は、縦使用時は、図7(D)の如く、前辺2Fを上側にして配置し、上辺2Tの接続口J3から流入水Finが流入して後辺2Bの接続口J2から流出水Foutとなり、常温時、即ち運転開始時の水位はwLであって、内容量0.5Lのタンク2は、水容量0.19L、空間容積(空気量)0.31Lで、暖房加熱温度80℃に達すれば、水位はwLに至る。
そして、0.885m/sの流入水Finは、タンク2内で急激に流速低下を生じて後側羽根板2A´に当り、羽根板2A´に上昇案内される流れF1が前側羽根板2Aの表流F3、裏流F4となり、下降流F2と共に、低流速での撹拌分流とすることによって空気を分離し、分離空気は、空気域Zaの圧力空気(標準:0.04Mpa以下)となる。
【0068】
〔循環ポンプ3(図8)〕
循環ポンプ3は、慣用ポンプで、ヒーターユニットボックス1の下蓋1Dに配置出来るものであれば良く、慣用の樹脂製電磁ポンプを採用する。
樹脂製電磁ポンプは、安価、且つ軽量で、運搬取付け作業性も良く、騒音も38db以下と静かである、三相電気(株)製の、商品番号PMD−141B(単相100V用)、又は商品番号PMD−142BSG(単相200V用)を採用すれば良い。
【0069】
〔パイプヒーター4(図8)〕
パイプヒーター4は、ステンレスパイプに絶縁層、導電層、断熱絶縁層を溶射形成し、30w/cmの高電力密度で、熱効率95%の省エネルギー型である、熱匠(株)製のSCヒーター(商品名)を採用すれば良い。
1本が1kwの該パイプヒーター4は、外径が15.88mm、長さが280mmで肉厚2mmのパイプ形状で、両端の外周をサンドブラスト処理で粗面としたものであり、また、暖房能力3kwとする場合には、3本採用すれば良い。
そして、肉厚20mmの保温材をパイプ外周に被覆すれば、発熱効果が向上する。
【0070】
〔配管用パイプ5A(図9)〕
配管用パイプ5Aは、ヒーターユニットボックス1内の流水経路を形成するもので、耐久性、耐熱性、耐寒性、耐溶剤性に優れ、軽量、且つ可撓性がある、慣用の、肉厚が3mmで内径14mmのエチレン−プロピレンゴム(EPDM)のゴムパイプを採用する。
【0071】
〔水張り継手6(図9)〕
図9(A)は、水張り継手6の説明図であって、本発明用に開発した新規な継手金具である。
水張り継手6は、図9(A)に示す如く、T字形状の砲金製のパイプ部材であり、直線部6Eは、長さL6が97mm、外径R6が13.5mmで、両端外周を、ゴムパイプ5A接続用の、12mm長の接続部6Dとし、直線部6Eの中央から、外径が13.5mm、長さW6が50mmで、直線部6Eの水路を開閉する開閉弁Hbを備えたパイプ形状の分岐部6Cを突出し、分岐部6Cの左右に、おのおの23mmの位置には、把み治具(パイプレンチ)を止着する幅9mmの水平辺Psを対辺で備え、且つ、ねじ挿入用孔H6を備えたユニオン部6Bを、直線部6Eから、分岐部6Cと同方向に、19mm突出させたものである。
【0072】
そして、分岐部6Cの先端には、開閉弁Hbを開閉操作するための、十字溝を備えた回転面(図示せず)を配置して、十字ドライバーで回転面を回転すれば、横断面三角形状の弁体(開閉弁Hb)が前後移動して、直線部6Eの水路を開閉するものである。
従って、水張り作業は、図9(B)に示す如く、ユニオン部6Bのねじ挿入用孔H6に、それ自体慣用の、先端にホース接続用のねじ挿入用孔Hcを備えたボール弁6A,6A´を螺合連結して、分岐部6Cを閉止し、ボール弁6Aをねじ挿入用孔Hcを介して耐圧ホース10Cで、水張り用の圧送ポンプユニット10Aの送水用接続具10Dと連通し、ボール弁6A´をねじ挿入用孔Hcを介して透明ホース10Bで、水を張った圧送ポンプユニット10Aの受水用接続具10Eと連通して、循環経路内に水を充填し、放熱器8の上端横パイプ8Aに残留する空気を、ドライバー10Fによる空気抜き弁20の操作で排出し、所定圧の下に水を充填した後、分岐部6Cの弁体を開、ボール弁6A,6A´を閉とすれば実施出来る。
【0073】
〔ボール弁6A,6A´(図9)〕
ボール弁6A,6A´は、ヒーターユニットボックス1内に配置する水経路の開閉弁であって、円筒部に径3mmの開閉用孔Haを備え、該孔Haに六角レンチを挿入して弁の開閉を行うもので、長さ29.5mmのパイプ形状で、一方の端部に径12mmのねじ部を備える、バロフイック社(デンマーク)のザルホ型ボール弁を採用する。
【0074】
〔チーズ継手7(図8)〕
チーズ継手7は、ヒーターユニットボックス1内での水経路の分岐接続に用いるもので、T字形状で、三方より配管を接続することが出来る継手金具であり、径26mmで長さが46mmの、円筒部の長さ方向中央から、継ぎ口が直交して9mm突出した、慣用のT型チーズ継手7を採用する。
【0075】
〔放熱器(図2、図3)〕
放熱器8は、加熱温水を循環させる多数のパイプを面状に一体化した放熱パネルであって、図2(A)は、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82とを一体化して枠組みFを付加した放熱器の側面図、図2(B)は放熱器の一部切欠正面図、図2(C)は縦パイプ8Bの配置状態説明図である。
また、図3は、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82とを一体化した放熱器の作用説明図であって、(A)は第1放熱パネル81の正面図、(B)は放熱器の左側面図、(C)は放熱器の右側面図、(D)は第2放熱パネル82の正面図である。
【0076】
図2及び図3に示す如く、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82とは、共に、同長の細い縦パイプ8B群を、上下端の大径の横パイプ8A間に並列縦設一体化連通したものであり、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82とは、図2(C)に示す如く、縦パイプ8B群が相互にずれた形態、即ち、放熱器8を前面から見た場合に、前側の放熱パネル81の各縦パイプ8B群の間に、後側の第2放熱パネル82の各縦パイプ8B群が位置する形態に一体化したものである。
放熱器8の上下端に配置する横パイプ8Aは、外径27mm、肉厚5mmであり、縦パイプ8Bは、外径13mm、肉厚1.6mmであり、横パイプ8Aも縦パイプ8Bも、共に、ポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)であり、パイプ8A,8Bは、顔料混入による耐候性劣化を避け、且つ露出する放熱面に意匠効果を付与するため、共に、表面が0.4mm厚の顔料混入の塗膜層となるように2層成形したものである。
【0077】
縦パイプ8Bと横パイプ8Aの長さは、放熱器の能力に応じて、適当に選択決定するが、3kwの電気温水循環暖房システムに採用する放熱器8にあっては、横パイプ8Aの長さL8´が1730mm、縦パイプ8Bの長さh8´が450mmで、各縦パイプ8B群を、各パイプ間隔gBが7mmで上下横パイプ8Aと融着接合して連通した。
そして、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82との一体化は、図3に示す如く、パネル面の対向面間隔gpが18.5mmで、上下両端位置で各横パイプ8Aを、右側の上下端及び左側の下端をスペーサーパイプ8Dで一体化し、左端の上側だけ連通パイプ8Cで、連通形態一体化した。
【0078】
そして、各横パイプ8Aの両端部は閉止板8Fで閉止し、第1放熱パネル81の下端横パイプ8Aの他端(右端)には、温水供給口8Sを、第2放熱パネル82の下端横パイプ8Aの他端(右端)には温水排出口8Rを付設し、第2放熱パネル82の、上端横パイプ8Aの一端(左端)、及び下端横パイプ8Aの他端(右端)には、閉止板8Fの内側に、縦パイプ8Bの1本を閉止する閉止板8Fを配置した。
【0079】
従って、放熱器8は、図3に示す如く、第1放熱パネル81の下端の温水供給口8Sからの流水f1は、下端横パイプ8A内の流水f2→上端横パイプ8Aの上昇流水f3→上端横パイプ8A内の流水f4→連通パイプ8C内の流水f5→第2放熱パネル82の一端(左端)の縦パイプ8B内の流水f6→下端横パイプ8A内の流水f7→下端横パイプ8Aから上端横パイプ8Aへの流水f8→上端横パイプ8A内の流水f9→他端(右端)の縦パイプ8B内の流水f10→温水排出口8Rからの流出水f11、の経路で、第1放熱パネル81の右側下端の温水供給口8Sから、第2放熱パネル82の右側下端の温水排出口8Rに温水循環出来る。
【0080】
〔空気抜き弁20(図4)〕
また、第1放熱パネル81及び第2放熱パネル82の上端横パイプ8Aの一端(左端)では、温水経路内を上昇して上端横パイプ8Aの内面上部に滞留する空気を排出させる、新規な空気抜き弁20を配置した。
図4(A)は、空気抜き弁20の配置状態説明用断面図であり、(B)は分解斜視図である。
空気抜き弁20は、横パイプ8Aの端部を閉止する径7mmの空気抜き孔H8を上部に備えた閉止板8Fと、中央にねじ孔Heを備えたステンレス製の矩形座金20Eと、外周面に切れ目があり、中央にねじ挿入用孔Hiを備えた外径12.8mmのばね座金20S(JISB1251)と、大径(27mm)の基部20Bに小径(13mm)の突出部20Cを付設し、中心に径7mmのねじ挿入用孔Hfを備えたキャップ20Aと、慣用の径13mmの水道用パッキン20Dと、頭部にドライバー操作用の十字状溝を備えた径5mmのステンレス製ねじ20Nとで構成する。
【0081】
そして、空気抜き弁20の上端横パイプ8Aへの取付構造は、図4(A)に示す如く、上部に空気抜き孔H8を備えた閉止板8Fが横パイプ8Aの端部を閉止し、閉止板8Fの外側に、キャップ20Aの大径基部20Bが、空気抜き孔H8がキャップ20Aの内部と連通する形態で固着し、キャップ20Aの外面からねじ20Nが、キャップ20Aの内部に座金20Eを、突出部20Cの外面に水道用パッキン20Dを介して、キャップ20Aに螺入したものである。
【0082】
従って、循環システム内への水の充填時に、システム内の最頂部、即ち、放熱パネル81,82の上端横パイプ8Aの上方に集合したシステム内の滞留空気は、図4(A)に示す如く、上接合具16のドライバー挿入用孔H16を介して、外部から十字ドライバーでねじ20Nを回動弛緩して、ばね座金20Sによって座金20Eとキャップ内面との間に隙間を形成すれば、空気抜き孔H8→キャップ20A内面と、ばね座金20S、座金20Eとの隙間→キャップ20Aのねじ挿入用孔Hfとねじ20Nとの隙間→水道用パッキン20Dとねじ20N頭部との隙間、の経路で、放熱パネル81,82内から滞留空気のシステム外への放出が可能である。
この場合、閉止板8Fの空気抜き孔H8からは、空気と共に水も流出するが、キャップ20A内の水は、ねじ挿入用孔Hfのレベルより水位が上昇することなく、キャップ20A内の空気がねじ挿入用孔Hfの上部から排出され、キャップ20A内で、ねじ挿入用孔Hfの下側に水が残留しても、何ら支障ない。
【0083】
〔ヒーターユニットボックス内への機器の組込み(図8、図9)〕
ヒーターユニットボックス1内への機器類の組込みは、組立工場内で行うもので、例えば、図8に示す、縦型ヒーターユニットボックス1の場合は、左側板1Lと下蓋1Dとを、左側板1Lの下端と下蓋1Dの立上り片1Pとを上下に衝き合せて、当接係止片1Vと左側板1L下端とをねじ孔H2を介してねじ固定し、下蓋1Dの底板1Bに、3mm厚、50mm幅の平鋼板の架台11を載置敷設し、循環ポンプ3のスタンド3Sを架台11にボルト固定して循環ポンプ3を配置する。
【0084】
そして、補強リブ1Gを備えた左側板1Lの内面に、厚さ1.6mmの鋼板を折曲げた、慣用のハット型鋼(図示せず)を、適宜長さ、適宜高さで固定し、該ハット型鋼から鋼製支持材(図示せず)を持ち出して、空気分離圧力タンク2、補助タンク2´、及び3列のパイプヒーター4を支持固定し、ゴムパイプ5A及びホースバンド5Bを用いて、循環ポンプ3の回転継ぎ部3Fとパイプヒーター4とを接続し、パイプヒーター4間も接続し、図8(A)に示す如く、ヒーターユニットボックス1内には、戻り管Rから循環ポンプ3→パイプヒーター4→空気分離圧力タンク2→補助タンク2´→往き管Sの流入経路を形成する。
【0085】
尚、空気分離圧力タンク2及び補助タンク2´は、共に、同一タンクであって、図8(C),(D)に示す如く、上辺2Tが側面となる縦型に固定し、主タンク(空気分離圧力タンク)2の側面に位置する上辺2Tにの接続口J3をパイプヒーター4に接続し、後辺2Bの接続口J2をチーズ継手7に接続して、前辺2Fの接続口J1をキャップ2Cで閉止する。
この場合、図9(B)に示す如く、空気分離圧力タンク(主タンク)2の下方のパイプ配管P6には、T字型のチーズ継手7を接続し、チーズ継手7の下にはボール弁6A,6A´を備えた、新規な水張り継手6を配置し、水張り継手6から配管P7で放熱器8に接続する。
【0086】
また、チーズ継手7からは、枝管P6´を水平に延出し、枝管P6´の屈曲上端には、補助タンク2´の下面に位置する接続口J1を接続する。
即ち、補助タンク2´は、下側に位置する前辺2Fの接続口J1とチーズ継手7とを枝管P6´を介して接続し、上側に位置する後辺2Bの接続口J2及び側面に位置する上辺2Tの接続口J3をキャップ2Cで閉止して、補助タンク2´を空気分離圧力タンク2から放熱器8への循環システム経路内に配置して、水温上昇時の水分子活動によって増大するシステム内圧力を吸収する。
【0087】
次いで、上蓋1Uの上面の段差d9内に操作パネル9Bを配置し、操作パネル9Bに整合して基盤9Nを配置し、基盤9Nから、機器類の隙間を利用して、循環ポンプ3、パイプヒーター4、予め配管P5経路内に配置したサーモスタット9S等へ、電線9Vを配線する。
そして、電源9Mまでの適宜長さの電線9V、及びヒーターユニットボックス1外に配置する電線9Vを備えた温度センサー9Tを、それぞれ、ヒーターユニットボックス1内の適宜位置に配置する。
そして、一体化した左側板1Lと下蓋1Dに、上蓋1U及び右側板1Rをねじ固定すれば、ヒーターユニットボックス1となる。
【0088】
勿論、出荷前には、工場内で、往き管S及び戻り管Rの端部を接続金具で連結し、ボール弁6A´を閉、分岐管6Cを開として、ボール弁6Aから水を流入し、電源9Mに通電して、循環ポンプ3及びパイプヒーター4を作動し、ボール弁6Aから排水してシステム内の空気抜きを行い、温水温度を上昇させて、空気分離圧力タンク2、補助タンク2´に負荷を与えて、漏水、及び機器類の異常ナシを確認の上、出荷する。
【0089】
〔枠組みF(図1、図2)〕
図1は、放熱器1に枠組みを付加し、ヒーターユニットボックス1と接続した状態の斜視図である。
枠組みFは、プラスチック成形品の、上枠13、下枠14、両側枠15、及び上枠13と側枠15とを連結する空気抜き弁操作用の孔H16を備えた上接合具16、下枠14と側枠15とを連結する下接合具17とで、放熱パネル81,82の四周を被覆して嵌合一体化するものであり、放熱パネル81,82の上下横パイプ8Aと縦パイプ8B群との接合部を隠蔽して、放熱器に意匠効果を付与すると共に、放熱器の四周を保護するものであり、各枠組みFは放熱パネル81,82のパイプ8A,8Bの色彩を配慮して、原液染め、又は2層成形手段で着色しておく。
【0090】
枠組みFの放熱器8への組付けは、図2(A),(B)に示す如く、上枠13の、下部側方の当接片Pdと上部の当接片Puとで、放熱器8の上端横パイプ8Aを上下から挟着保持し、下枠14は、単に放熱パネル81,82の下端横パイプ8A部の両側及び下側を隠蔽し、側枠15と一体化する。
従って、放熱パネル81,82に枠組みFを付加すれば、第1放熱パネル81と第2放熱パネル82との一体化物としての放熱器8は、上枠13と下枠14とを、支柱機能を奏する両側枠15で組み立てた剛構造枠組みF内に収納保護され、上枠13が放熱器8の上端横パイプ8Aを支承して、放熱器8を吊下げ保持するため、耐用中に縦パイプ8B群が熱膨張で伸長しても、放熱器8の伸長歪は吸収出来る。
【0091】
以上の実施例で得られた電気温水循環暖房システムにあっては、システム内への所定水圧での充填は、空気抜き弁20の利用で、システム内に滞留空気が存在しない状態で、且つ、水張り継手6の操作により、簡便に実施出来、暖房システムの運転も、電気回路9での自動制御で実施出来、需要者の操作ミスによる機能不全も生じない、安全、安心で、節電面でも有利な居室毎の暖房を提供する。
【0092】
しかも、放熱器8は、プラスチックパイプ8A,8Bで、露出形態で構成されているため、火傷の怖れも無く、輻射熱及び自然滞留による温和な暖房を発揮し、高齢者、子供にも、安全、安心で、人に優しい暖房を提供する。
そして、放熱器8は、2枚の放熱パネル81,82が各前側パネル81と後側パネル82との縦パイプ8B群が左右にずれた状態であるため、輻射熱の放散効率も良く、2枚の放熱パネル81,82が、上方からの冷気の降下介入を生じない間隔gpを保持しているため、整流形態の暖房上昇空気流を提供し、快適な自然対流暖房を提供する。
しかも、放熱パネル81,82は、各パイプ8A,8Bがプラスチックパイプであって、2層成形の着色パイプであるため、放熱器8は自在な色揃えで、需要者の要望に応えることが出来、需要者の居室内デザイン性向上にも有利である。
【0093】
〔その他〕
ヒーターユニットボックス1を、放熱器8の下面等、横長方向に配置する場合は、ヒーターユニットボックス1は、実施例(図5、図6)と同一機材で構成するが、横配置であるため、空気分離圧力タンク2及び補助タンク2´は、横配置、即ち下辺2Dが下側、上辺2Tが上側になるように配置すれば良い。
そして、ヒーターユニットボックス1は、角筒形態の傾斜辺1R´、即ち右側板1Rの傾斜辺が前面となるように配置し、傾斜辺1R´に操作パネル9Bを配置すれば、外観上も、操作上も好ましい。
【0094】
この場合、空気分離圧力タンク2は、図7(C)に示す形態での使用となって、前辺2Fの接続口J1にパイプヒーター4経由の加熱水が流入し、後辺2Bの接続口J2から流出し、上辺2Tの接続口J3には補助タンク2´を接続すれば良い。
従って、角筒状のヒーターユニットボックス1を横方向に載置しても、空気分離圧力タンク2内での、前側羽根板2A及び後側羽根板2A´による循環温水の分流による制御乱流の発生により、空気分離作用、及び分離気泡の上部空気域Zaへの空気収納の作用を生じ、ヒーターユニットボックス1は、縦配置と同効機能を奏し、発明の所期の目的が達成出来る。
【0095】
尚、実施例では、空気分離圧力タンク2には、同一構造の補助タンク2´を付加併設したが、補助タンク2´は、単に空気分離圧力タンク2の空気域Zaを拡大するものであり、実施例サイズの空気分離圧力タンク2は、使用水量及び水の加熱膨張による空気域Zaの空気圧上昇面から、1個使用で3kw暖房システムに耐える設計としてあり、従って、3kw以下の暖房システムにあっては、補助タンク2´は省略出来る。
【符号の説明】
【0096】
1 ヒーターユニットボックス(匡体、ボックス)
1A コーナー辺
1B 底板
1C アンカー片
1D 下蓋
1F 当接アンカー片
1G 補強リブ
1K 角筒部
1L 左側板
1P 立上り片
1R 右側板
1R´,TS 傾斜辺
1T 天板
1U 上蓋
1V 当接係止片(止着片)
2 空気分離圧力タンク(圧力タンク、主タンク、タンク)
2´ 補助タンク
2A 前側羽根板(下方羽根板、羽根板)
2A´ 後側羽根板(上方羽根板、羽根板)
2B 後辺
2C キャップ
2D 下辺
2F 前辺
2G 突起
2L 左側辺(側辺)
2R 右側辺(側辺)
2T 上辺
3 循環ポンプ
3F 回転継ぎ部
3J 継ぎ部
3S スタンド
4 パイプヒーター
5A ゴムパイプ(パイプ)
5B ホースバンド
6 水張り継手
6A,6A´ ボール弁
6B ユニオン部
6C 分岐部
6D 接続部
6E 直線部
7 チーズ継手
8 放熱器
8A 横パイプ
8B 縦パイプ
8C 連通パイプ
8D スペーサーパイプ
8E,8F 閉止板
8R 温水排出口
8S 温水供給口
9A マイコン
9B 操作パネル
9C 端子盤
9D フォトカプラ
9E スイッチ
9F ヒューズ
9K 変圧器
9M 電源
9N 基盤
9S サーモスタット
9T 温度センサー
9V 配線(電線)
10A 圧送ポンプユニット(圧送ポンプ)
10B 透明ホース
10C 耐圧ホース
10D 送水用接続具
10E 受水用接続具
10F ドライバー
11 架台
13 上枠
14 下枠
15 側枠
16 上接合具
17 下接合具
20 空気抜き弁
20A キャップ
20D 水道用パッキン
20E 座金
20S ばね座金
20N ねじ
20T 化粧キャップ
81 第1放熱パネル(パネル)
82 第2放熱パネル(パネル)
Dr 運転表示
gp 対向面間隔(間隔)
F 枠組み
FS 床面
H1 電線挿入用孔
H2 ねじ孔
H3 空気流通孔
H8 空気抜き孔
J1,J2,J3 接続口
P6´ 枝管
R 戻り管(リターン管)
S 往き管(サプライ管)
w 水流
wL,wL 水位
壁面 WS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の放熱器(8)に、1台の角筒状のヒーターユニットボックス(1)を対応配置した電気加温式温水循環型の暖房システムであって、放熱器(8)は、上下の大径横パイプ(8A)間に、多数の小径縦パイプ(8B)群を連通配置したプラスチック製放熱パネル(81,82)に、温水供給口(8S)及び温水排出口(8R)を備えた温水循環型放熱器であり、ヒーターユニットボックス(1)は、空気分離圧力タンク(2)、循環ポンプ(3)、パイプヒーター(4)を、水張り継手(6)、チーズ継手(7)を介して配管接続して温水循環機能を収納し、往き管(S)及び戻り管(R)で放熱器(8)と接続した、電気温水循環暖房システム。
【請求項2】
放熱器(8)は、第1放熱パネル(81)と第2放熱パネル(82)との2枚の同寸の放熱パネルを、対向面間隔(gp)を保って、温水循環形態に一体化し、各上端横パイプ(8A)の一端の閉止板(8F)には、空気抜き孔(H8)と連通する空気抜き弁(20)を配置した、請求項1記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項3】
放熱器(8)に、上端横パイプ(8A)を隠蔽形態で支承する上面に空気孔(Hu)を備えた上枠(13)と、下端横パイプ(8A)を隠蔽する下枠(14)と、左右の支柱機能を奏する側枠(15)と、上枠(13)と側枠(15))とを接続する上接合具(16)と、下枠(14)と側枠(15)とを接続する下接合具(17)とで枠組み(F)を付加した、請求項1又は2に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項4】
ヒーターユニットボックス(1)は、断面L型の、長尺の左側板(1L)と右側板(1R)とを接合した長尺の角筒部(1K)と、角筒部(1K)の両端に、着脱自在に嵌着する上蓋(1U)及び下蓋(1D)とを含み、断面L型の左側板(1L)が、一側辺(LS1)には、上下に、等間隔で複数個の電線挿入用孔(H1)を備え、他側辺(LS2)には、電線挿入用孔(H1)と対応する位置に、複数の空気流通孔(H3)を備えている、請求項1、又は2、又は3に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項5】
ヒーターユニットボックス(1)は、断面L型の左側板(1L)が、両端にコーナー辺(1A)を屈曲延出すると共に、コーナー辺(1A)の端部を断面L型のアンカー片(1C)とし、断面L型の右側板(1R)の両端には、左側板(1L)のアンカー片(1C)と接続用の当接アンカー片(1F)を配置し、断面L型の、左側板(1L)及び右側板(1R)の上下端適所にねじ孔(H2)を配置して、上蓋(1U)及び下蓋(1D)のねじ孔(H2)と、左側板(1L)及び右側板(1R)のねじ孔(H2)とをねじ螺合した、請求項4に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項6】
空気分離圧力タンク(2)は、下辺(2D)、前辺(2F)、後辺(2B)、上辺(2T)及び両側辺(2L,2R)を含み、且つ上辺(2T)が前側傾斜辺(Sf)で前辺(2F)と、後側傾斜辺(Sb)で後辺(2B)と連続する箱形状であって、前辺(2F)の上下中央部には接続口(J1)を、後辺(2B)上下中央部には接続口(J2)を、上辺(2T)の後部には接続口(J3)を備え、両側辺(2L,2R)間に亘って、後方に傾斜上昇する2枚の羽根板(2A,2A´)を、前側羽根板(2A)が、下方で前辺の接続口(J1)の後方対応位置に、後側羽根板(2A´)が、上方で上辺接続口(J3)の下方対応位置に配置したものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項7】
角筒状のヒーターユニットボックス(1)を縦配置して使用する際には、空気分離圧力タンク(2)の前辺(2F)を上側、後辺(2B)を下側として配置し、上辺(2T)の接続口(J3)にパイプヒーター(4)を接続し、後辺(2B)の接続口(J2)に往き管(S)を接続し、前辺(2F)の接続口(J1)をキャップ(2C)で閉止する、請求項6に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項8】
角筒状のヒーターユニットボックス(1)を横配置して使用する際には、空気分離圧力タンク(2)の上辺(2T)を上側、下辺(2D)を下側として配置し、前辺(2F)の接続口(J1)にパイプヒーター(4)を接続し、後辺(2B)の接続口(J2)に往き管(S)を接続し、上辺の接続口(J3)をキャップ(2C)で閉止する、請求項6に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項9】
角筒状のヒーターユニットボックス(1)内では、空気分離圧力タンク(2)の下流のチーズ継手(7)から枝管(P6´)を介して補助タンク(2´)を接続すると共に、チーズ継手(7)の下流には、直線部(6E)から中央の分岐部(6C)と、前後のボール弁(6A,6A´)とを側方に突出した水張り継手(6)を接続した、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電気温水循環暖房システム。
【請求項10】
運転表示(Dr)、タイマー表示(Tm)、時刻表示(Hr)、温度表示(Te)等を表示する操作パネル(9B)と、外側からの入力信号を処理して出力するマイコン(9A)と、マイコン(9A)からの指示で、循環ポンプ(3)及び各パイプヒーター(4)の電気回路をオン−オフする複数の端子盤(9C)と、パイプヒーター(4)の往き側配管(P5)に配置し、温水温度によってパイプヒーター(4)をオン−オフしてマイコン(9A)に伝達するサーモスタット(9S)と、室内温度を測定し、停電時のバックアップ電池を作動させる温度センサー(9T)と、電源(9M)と、電源(9M)からの過電流を防止するヒューズ(9F)と、電圧を変換してマイコン(9A)に送る変圧器(9K)と、各機器を接続する電線(9V)とを含む制御電気回路を備えた、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電気温水循環暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−27304(P2011−27304A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172084(P2009−172084)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【Fターム(参考)】