説明

電気温風機

【課題】電源電圧200Vまたは100Vで使用ができ、印加された電源電圧に関係なく常に快適な温度の温風を吹き出す電気温風機を提供すること。
【解決手段】送風路6と、送風路内に設けた送風ファン13と、送風路内に設けた温風ヒータユニット10と、送風ファンと温風ヒータユニットを制御する運転制御装置15と、送風ファンと温風ヒータユニットと運転制御装置に外部交流電源からの電力を供給するためのスイッチング電源18とを備え、運転制御装置は、接続された外部交流電源の線間電圧を自動検知して送風ファンの送風量ならびに温風ヒータユニットの発熱量を検知した電圧に合わせた設定値に制御することにより、接続された電源電圧に合わせて温風ヒータユニットが発熱しこの発熱量に合わせて設定された風量で送風されるので、最適温度の温風を吹き出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の線間電圧の交流電源に運転対応した電気温風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気暖房器は、2つの商用電源を利用可能とするために1つの発熱体と、前記発熱体と2つの商用電源とをそれぞれ接続する2つの回路部と、前記2つの回路部を選択的に開閉可能な切換部と、周囲の温度に応じて発熱体に供給される電力を制御する温度調節部で構成され、さらに使用する電源に合わせて発熱体に電力供給する回路部を選択し切換えて発熱体に通電する構成になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の電気暖房器を示すものである。図5に示すように、ヒータ1と、ヒータ1とメイン商用電源V1とを接続するメイン回路部2と、ヒータ1とサブ商用電源V2とを接続するサブ回路部3と、メイン商用電源V1からの電力供給により、メイン回路部2およびサブ回路部3の双方を電気的に開閉可能なリレー4と、周囲の温度に応じてヒータ1への供給電力を制御可能なサーモスタット5と異常加熱時に通電を遮断する温度過昇防止器6から構成されている。
【特許文献1】特開2007−255743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、供給される商用電源に接続された回路部を選択してヒータに通電するが、回路部に関係なく通電されるヒータ1は共用なので、ヒータ1への供給電力が200Vと100Vの場合、ヒータ1の発熱能力は200V時の発熱能力を100%とすると100V時は1/4の25%と大きく変わる。
【0005】
従って、ヒータ1の発熱能力を200V電源の使用時の暖房が快適になるように設定すると、100V電源の使用時では暖房感が悪くなり、逆に100V電源の使用時の暖房が快適になるようにヒータ1の発熱能力の仕様を決めると、200V電源の使用時にはヒータに流れる電流値は100V使用時の2倍となりヒータ1は大出力で高温となるため機器の断熱など構造が複雑になることが考えられる。
【0006】
また、このように電流値も大きいので、場合によっては室内配線の許容電流を越えてブレーカが動作することも考えられる。また、2つの商用電源を切換えて使用するために、常に2つの回路部を商用電源に接続しなければならず、機器の使用場所が限定されることも考えられる。さらに、使用する二つの商用電源を選択するために回路の切換えが必要となるので、使用者は使用毎に電源を切換える必要があり、また、切換えをタイマー等で実施する場合は部品点数が増加し、接続する電源が固定される。
【0007】
前記従来の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、一つの機器で複雑な回路の切換や複数の電源との同時接続を行うことなく、また電力会社の使用時間帯によって電気料金が異なるオール電化契約に合わせて使用者が機器を運転する電源を自由に選択でき、また供給された電源電圧が200V使用時でも100V使用時でも、これに適応して常に快適な温度の温風を吹き出すように構成した電気温風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の電気温風機は、送風路内に送風手段と、温風ヒータユニットを設け、運転制御装置により、外部交流電源から供給された電力の線間電圧を
自動検知して送風手段の送風量ならびに温風ヒータユニットの発熱量を印加電圧に合わせた設定値に制御するようにしたものである。
【0009】
これによって、利用者が機器を使用する時間帯や暖房を行う場所の大きさによって複数の機器を使い分けることなく使用目的にあった線間電圧の交流電源に機器を接続するだけで機器自体が印加された電圧を自動検知し、その電圧にあった運転設定がなされるので面倒な設定を行うことなく、最適な暖房運転を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気温風機は、複雑な設定変更等を行うことなく利用者が使用目的や使用空間ならびに使用時間帯に適した線間電圧の交流電源を選択して最適な暖房を簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、送風路と、前記送風路内に設けた送風手段と、前記送風路内に設けた温風ヒータユニットと、前記送風手段と前記温風ヒータユニットを制御する運転制御装置と、前記送風手段と前記温風ヒータユニットと前記運転制御装置に外部交流電源からの電力を供給するための電源供給手段とを備え、前記運転制御装置は、接続された外部交流電源の線間電圧を自動検知して前記送風手段の送風量ならびに前記温風ヒータユニットの発熱量を、検知した前記外部交流電源の線間電圧に合わせた設定値に制御することにより、接続された外部交流電源の電源電圧に合わせてヒータが発熱し、その発熱量に合わせて設定された送風手段の風量で送風されるので、例えば、交流200V電源の使用時に吹き出される温風が熱くなり過ぎることもなく、交流100V電源の使用時に冷風が吹き出すこともなく最適温度の温風を吹き出すことができる。
【0012】
第2の発明は、電源供給手段より供給された交流電源電圧を一定の直流電源電圧に変換するスイッチング電源を有し、特に、第1の発明の送風手段に使用しているモータを前記スイッチング電源で変換された直流電源電圧で駆動する直流モータとすることにより、接続される交流電源の線間電圧の影響を受けなくなり、線間電圧に合わせた定格のモータを選択しなくても設定した回転数に安定して制御することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の温風ヒータユニットを複数本の電気ヒータで構成することにより、温風ヒータユニットの発熱能力が各電気ヒータに分散されることとなり、通電本数を変更することで発熱能力を容易に調節することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の温風ヒータユニットの発熱能力切換を、供給電力の通電率を変更して行うことにより、送風路内の温風ヒータユニット全体を均一に通電しながら発熱能力を切換え可能となり送風路内を通過する空気を均一温度で暖めながら発熱能力を切換えることができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の温風ヒータユニットは、電気ヒータに放熱フィンを設けた構成とすることにより、電気ヒータより発生した熱を放熱する面積が格段に増加することとなり、送風路内を通過する空気に効率よく熱を伝えることができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の温風ヒータユニットは多数のフィンと複数のパイプからなるクロスフィン型熱交換器と複数本の丸棒形状をした電気ヒータを有し、前記パイプ内に電気ヒータを挿入した構成とすることにより、発熱能力を切換えるために電気ヒータの通電本数を変更しても各フィンはパイプを介して各電気ヒータと繋がっているので各フィンの温度は均一となり、送風路内を通過する空気を均一に加熱す
ることができる。
【0017】
第7の発明は、特に、第5または第6の発明の送風手段を送風路風下側に配置し、クロスフローファンとしたことにより、送風路内の幅方向の流れが均一となるので送風路内に設けられた熱交換器の各フィンを通過する風量がほぼ同じとなり、各フィンから効率的に放熱することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気温風機の断面図で、図2は同じく電気回路図で、図3は同じく動作のフローチャートを示すものである。
【0020】
図1〜図3において、機器への供給電源の電圧検知回路16は、供給された交流電源電圧の振幅の大きさから供給電源の電圧を検知できるようにしたものであり、温風ヒータユニット10の通電制御および送風ファン13の送風量を調節するために直流モータ14の回転数を制御する制御回路17と有機的に関連して機器の制御を行う運転制御装置15を構成している。
【0021】
また、送風路9内に設けられた温風ヒータユニット10は、複数本のシーズヒータ11を多数の放熱フィン12aと複数のパイプ12bからなるクロスフィン型熱交換器12のパイプ12b内に挿入したものであり、送風ファン13に機械的接続された直流モータ14と有機的に関連して温風吹出口8より設定温度の温風を送風する温風発生ユニットを構成している。
【0022】
以上のように構成された電気温風機について、以下その動作、作用を主として図3、図4を中心にして説明する。
【0023】
まず、使用者が電源コード19を任意の外部交流電源に接続すると、運転制御装置15にスイッチング電源18で整流され、レギュレーターで使用電圧に調節された直流電源が供給され、運転制御装置15が起動する。一方、同時に電源コード19と直列に接続された電圧検知回路16に接続した外部交流電源が印加される。そして、電圧検知回路16は印加された外部交流電源の電源電圧の振幅の大きさにより、印加された前記電源が100Vか200Vかを検知する。
【0024】
次に使用者が電源スイッチ21を入り状態にすると、外部交流電源が電源コード19、運転制御装置15、制御回路17等を介して温風ヒータユニット10に接続状態となる。制御回路17は、使用者が操作基板20により設定した温度と電圧検知回路16により検知された外部交流電源の電圧から温風ヒータユニット10の発熱量と送風ファン13の送風量を調節する。
【0025】
温風ヒータユニット10の発熱能力調整は、シーズヒータ11に供給している電力の通電量を制御回路17でコントロールしているトライアック23で行なうか、シーズヒータ11の通電本数を切換えることで行なう。また、送風ファン13の送風量の調節は、スイッチング電源18で変換された直流電源で駆動する直流モータ14の回転数を制御することで行う。
【0026】
温風ヒータユニット10の発熱量と送風ファン13の送風量は、供給される電源電圧と使用者が設定する温度、サーミスタ22により測定される吸込空気温度を入力値として、
この入力値に対応した温風ヒータユニット10の通電率、または通電本数、直流モータ14の回転数で決定される。なお、温風ヒータユニット10の通電率、または通電本数、直流モータ14の回転数は、いろいろな入力値に対応してそれぞれの場合の運転対応表、すなわち、予め実験的に求めた図4に示す運転対応表が運転制御装置15のメモリーに登録されている。
【0027】
例えば、100V交流電源の通電時にはシーズヒータ11の発熱能力は低下するので設定温度を高くされ、吸込空気温度が低い場合にはシーズヒータ11は全ヒータにフル通電を行い大とし、送風ファン13の回転を超低にして送風量を低減するような設定がなされている。
【0028】
逆に200V交流電源の通電時に設定温度を低くされ、吸込空気温度が低い場合には、シーズヒータ11の通電量を小にして減少させるか、通電本数を減少する設定にして温風ヒータユニット10の発熱能力を下げ、送風ファン13の回転数を低にして送風量を低減し室温が設定温度になるように設定されている。
【0029】
また、温風ヒータユニット10に直列で温度過昇防止装置6が接続されており、例えば運転制御装置15が異常状態となって無送風時に温風ヒータユニット10がフル通電されて送風路9内の空気が異常に温度上昇した場合には温風ヒータユニット10に供給される電力を遮断するようになっている。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては接続された外部交流電源の線間電圧を自動検知し、電源電圧と使用者が設定する温度、サーミスタ22により測定される吸込空気温度を入力値として、この入力値に対応した温風ヒータユニット10の通電率、または通電本数、直流モータ14の回転数で運転する構成とすることにより、接続された交流電源電圧、設定温度、吸込空気温度に対応した最適条件で温風ヒータユニット10は発熱し、送風ファン13は送風することとなる。
【0031】
従って、200V交流電源の使用時に吹き出される温風が熱くなり過ぎることもなく、また100V交流電源の使用時に冷風が吹き出すこともなく最適温度の温風を吹き出すことができる。なお、上記の図4における設定温度、吸込温度の低、中、高は、ある温度〜ある温度の所定の温度範囲をいうものであり、また、ヒーター通電率の小、中、大も、ある率〜ある率の所定範囲の率、ファン回転数の超低、低、中、高も、所定の範囲の回転数を言うものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明にかかる電気温風機は、外部交流電源の線間電圧に関係なく使用が可能となるので、200V交流電源が普及しているオール電化住宅や200V交流電源の使用時の暖房能力から寒い地域での暖房に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における電気温風機の断面図
【図2】同実施の形態1における電気温風機の電気回路概略図
【図3】同実施の形態1における電気温風機の動作ブロック図
【図4】同実施の形態1における電気温風機の運転対応表の図
【図5】従来の電気暖房器の電気回路図
【符号の説明】
【0034】
9 送風路
10 温風ヒータユニット
11 シーズヒータ
12 クロスフィン型熱交換器
12a 放熱フィン
12b パイプ
13 送風ファン(送風手段)
15 運転制御装置
16 電圧検知回路
17 制御回路
18 スイッチング電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風路と、前記送風路内に設けた送風手段と、前記送風路内に設けた温風ヒータユニットと、前記送風手段と前記温風ヒータユニットを制御する運転制御装置と、前記送風手段と前記温風ヒータユニットと前記運転制御装置に外部交流電源からの電力を供給するための電源供給手段とを備え、前記運転制御装置は、接続された外部交流電源の線間電圧を自動検知して前記送風手段の送風量ならびに前記温風ヒータユニットの発熱量を、検知した線間電圧に合わせた設定値に制御する構成とした電気温風機。
【請求項2】
電源供給手段より供給された交流電源電圧を一定の直流電源電圧に変換するスイッチング電源を有し、送風手段に使用しているモータは前記スイッチング電源で変換された直流電源電圧で駆動する直流モータとした請求項1記載の電気温風機。
【請求項3】
温風ヒータユニットは、複数本の電気ヒータで構成した請求項1または2に記載の電気温風機。
【請求項4】
温風ヒータユニットの発熱能力切換は、供給電力の通電率を変更して行う構成とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気温風機。
【請求項5】
温風ヒータユニットは、電気ヒータに放熱フィンを設けた構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気温風機。
【請求項6】
温風ヒータユニットは、多数のフィンと複数のパイプからなるクロスフィン型熱交換器と複数本の丸棒形状をした電気ヒータを有し、前記パイプ内に前記電気ヒータを挿入した請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気温風機。
【請求項7】
送風手段は、送風路風下側に配置し、クロスフローファンとした請求項5または6に記載の電気温風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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