説明

電気的口金接続

【課題】導電性レイヤを備えたプレートに他の負荷、特に照明手段を取り付けることを可能にする、電気的口金接続を提供する。
【解決手段】本発明は、好ましくは透明なガラス枠またはプレート(14)への電気的ソケットまたは口金接続(16)、特に、照明手段(17)用の口金に関する。プレート(14)には、好ましくはやはり透明である導電性レイヤ(18、19)が設けられる。本発明の口金接続は導電性レイヤを有する。導電性レイヤは、ギャップ(20)によって互いに分離された少なくとも2つのセクション(18、19)に細分され、電気的接続の別々の極に接続される。分離ギャップ(20)の近傍において、少なくとも2つの導電性領域(21)が導電性レイヤに塗布され、口金接続(16)が導電性領域(21)に電気的かつ/または機械的に接続される。領域(21)は、導電性材料のレイヤの形で、好ましくはスクリーン印刷によって塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは透明なプレートまたはガラス枠への電気的ソケットまたは口金接続に関し、特に、電気照明手段用の口金に関する。
【背景技術】
【0002】
透明な、導電性のレイヤを用いて発光ダイオードをガラスプレートに電気的に接続することは周知である。国際特許第2004/080712A1号および第2004/106056A1号には、電源についての記載がある。このケースでは、2枚のプレートの間に導電性レイヤが封入され、対応するダイオードが、それらのプレートの一方の凹部で少なくとも部分的に受け止められる。また、ダイオードも2枚のプレートの間に封入され、透明なレイヤを介して電源が供給される構造も周知である。
【0003】
日本国特開平05−119706号および後続の欧州特許第900971B1号は、薄い、導電性の、不可視のレイヤの形で導体を塗布されたガラスプレートを支持プレートとして有する照明装置を開示している。照明手段は発光ダイオードであり、プレートまたはプレート上の導体に(たとえば、はんだ付けによって)直接取り付けられる。
【特許文献1】国際特許第2004/080712A1号
【特許文献2】国際特許第2004/106056A1号
【特許文献3】特開平05−119706号
【特許文献4】欧州特許第900971B1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、導電性レイヤを備えたプレートに他の負荷、特に照明手段を取り付けることを可能にする、電気的口金接続を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決手段を例示すると、特許請求の範囲の各請求項に記載の電気的口金接続である。
【発明の実施の形態】
【0006】
本発明によれば、導電性レイヤは、ギャップによって互いに分離された少なくとも2つのセクションに細分され、電気的接続の別々の極に接続される。分離ギャップの近傍では、2つの導電性領域が、たとえば、銀導電ペーストを用いるスクリーン印刷によって、導電性レイヤに塗布され、これに口金またはソケットが機械的かつ電気的に接続される。
【0007】
このようにして、導電性レイヤの比較的広い面積の接触を達成することが可能であり、したがって、導電性レイヤは非常に薄く、したがって高インピーダンスに作られることが可能であり、低い電圧を用いる場合でも高い電流密度が点状に発生することがない。また、予備処理において前記領域を、良好な電気的接触が得られ、機械的にも強い方法でプレートに、したがって、導電性レイヤにも塗布することも可能である。その後の実際の口金の接続は、接着によって機械的に行われることが可能であり、場合によっては、はんだ付けまたは他の固着方法によって行われることも可能であり、電気的接続は、はんだ付けまたは他の接触方法によって従来どおりに実施されることが可能であり、導電性コーティングを劣化させるおそれはまったくない。
【0008】
前記領域は、2つの導電性レイヤ部分の間の分離ギャップの近傍に、やはりギャップによって分離された幾何形状として形成されることが可能である。半円または半円環のセグメントが特に好適である。
【0009】
口金は、照明手段のホルダ、たとえば、従来のハロゲンランプ用差し込み口金セラミックホルダを固定する非導電性口金プレートを組み込むことが可能である。外部に対する覆いとして、口金プレートに固定されたスリーブを用いることが可能である。
【0010】
本発明は、照明手段だけでなく、可視のリードを必要とせずにプレートに電気的に接続されることが必要な、他の電気的負荷、センサ、コントローラ、および他の機材を取り付けることも可能にする。それらは、スピーカ、小型カメラ、温度センサ、動きセンサなどであってもよい。さらに、導電性レイヤで電源だけを確実に供給し、他の信号、たとえば、カメラの画像信号や、接触センサまたは近接センサのスイッチング信号を無線で伝送することも可能である。また、レイヤを3つ以上のセクションに細分して、それに対応して細分された領域の下に接するようにすることも可能であろう。このようにして、口金に3つ以上の接続を実装することが可能であろう。
【0011】
本発明による電気的口金接続は、特に、ガラス製展示ケースなどの照明に好適である。たとえば、口金接続が、そのような展示ケースの上面プレートにつり下げられていれば、すなわち、前記ケースの内部にあれば、そこから展示ケースの中身を効果的に照らすことが可能である。光強度および/または光を集中させる照明手段を利用することが可能であり、たとえば、ハロゲンリフレクタランプ(スポット)を利用したり、展示ケースの温度上昇を避けるか減らすために、複数の発光ダイオードをそのようなリフレクタランプの形に組み合わせて利用したりすることが可能である。これにより、単一のダイオードで可能な照明より格段に効果的かつ効率的に展示物を照らすことが可能になる。
【0012】
導電性レイヤ、すなわち、対応するプレートへの電源供給は、コーナーを介して行うことが可能である。コーナーに導電性領域を、たとえば、スクリーン印刷で塗布し、それに細いワイヤをはんだ付けし、展示ケースを形成するプレートのエッジに沿ってワイヤを下ろすことによって、ワイヤをほぼ不可視にすることも可能であろう。一方、そのようなケースの側面プレートのいくつかに導電性レイヤを設け、それらの導電性レイヤと、口金接続を実施しているプレートの導電性レイヤとを接触させることも可能である。
【0013】
そのような展示ケースの利点は、導電性レイヤが内側にあって、接触や損傷から保護されていることである。一方、導電性レイヤを保護するために、導電性レイヤの接点以外の部分に、シールまたは、たとえば、透明なコーティングを設けることも可能である。
【0014】
以上の特徴およびさらなる特徴は、特許請求の範囲の各請求項、明細書、および図面から知ることが可能であり、個々の特徴は、単独でも、副結合の形でも、本発明の実施形態および他の分野において実施可能であり、本明細書において保護を請求する、有利であり、独立に保護可能な構造を表すことが可能である。本出願を別々のセクションおよび小見出しに細分することは、本出願の下でなされる記載の一般妥当性を少しも制限するものではない。
【実施例】
【0015】
以下では、図面を基にして本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】
図1は、ガラス製の展示ケース11を示しており、展示ケース11は、任意の材料で作られた底面プレート12と、ガラスまたは他の何らかの透明な材料で作られた4枚の側面プレート13と、側面プレートに接続され、展示ケースの上端をなす上面プレート14とを有する。展示ケースの底面プレート上に展示物15が示されている。
【0017】
上面プレート14は、その下側の面の中央、すなわち、展示ケース内に照明手段17用の電気的ソケットまたは口金接続16を保持する。この口金接続は、可視の電気リードがまったくない状態でプレートまたはガラス枠14に装着されているので、人間の目には、展示物の上方に浮かんでいるように見える。
【0018】
口金接続への電源供給は、プレート14の下側の面の、透明なので不可視であるレイヤを用いて行われる。前記レイヤは、コーティングされていない、または電気的に絶縁体である、分離ギャップ20によって2つのセクション18、19に細分される。図1においては、前記ギャップは、プレートの上方の中央をまっすぐに通っており、さらに口金接続に対しても中央をまっすぐに通っており、図示された実施形態では、プレート14の2つの側面エッジに平行に通っている。しかしながら、対角線状に通ることや、他の方向に通ることも可能であろう。分離ギャップは、特に低電圧動作の場合には、製造工程において可能な限り狭くすることが可能である。レイヤを内部からの接触から保護するため、および、たとえば、水滴(噴霧)によるショートを防ぐために、コーティングによる透明なシールを、レイヤの接点以外の部分に設けることが可能である。
【0019】
口金接続16の電気的接触は、導電性材料(たとえば、レイヤの導電性セクション18、19のそれぞれギャップ20に隣接した部分にスクリーン印刷で塗布され、硬化された銀ペースト)で作られた領域21の近傍で行われる。それらにより、レイヤ上での非常に強い、良好な接触保持が可能になる。導電性レイヤ18、19を、別の周知の材料で作り、従来の方法で塗布することも可能である。このことは、たとえば、日本国特開平05−119706号(1993年5月18日公開)に詳細に記載されている。これは、蒸着、スパッタリングなどで塗布されるインジウムスズ酸化物(ITO)レイヤであってもよい。良好な導電性レイヤは、薄い金属膜、たとえば、薄い、透過性の金の膜を塗布することによっても得られる。
【0020】
レイヤ18、19に塗布された領域21、および図示された実施形態においてプレート14の背面側コーナーに塗布された領域22は、レイヤ18、19の、口金接続との電気的接続、および背面で側面プレート13に挟まれたエッジ23に接している細い接続ワイヤ24との電気的接続に用いられる。経路がガラスのエッジに挟まれていることの結果として、それらは、反射によってほぼ不可視であるとともに、電気的絶縁が不要である。
【0021】
領域21、22は、レイヤセクション18、19の非常に面積の広い接触を与えるので、レイヤセクションを、非常に薄く、高インピーダンスであって、電流密度が過剰になる点のない形態で作ることが可能である。口金接続に接する領域21は、半円形、または半円環形であり、これは、口金の円形の基本形状への差し込みを可能にするためと、領域の間に分離ギャップを形成するためである。
【0022】
図2は、口金の長手方向の部分拡大断面図である。図に示すように、プレート14の下側の面に、透明な導電性レイヤの2つのセクション18、19と、レイヤセクション18、19の間の分離ギャップ20の両側の、スクリーン印刷によって塗布された領域21とがあり、領域21に接続ワイヤ25がはんだ付けされている。前記ワイヤの上方に口金部材27が連結されており、口金部材27は、非導電性材料(好ましくはプラスチック)で作られ、開口部28でワイヤを受け止める。プレート14と面する口金プレート上部は、非導電性接着剤によって、領域21の下側の面に接合される。前記接着面に対して多少後退している、口金のフランジによって、あふれた接着剤が流れ込むことが可能な空間ができている。円形の口金プレート27の外周上に、スリーブ29をねじ留めできるねじ山33が設けられる。スリーブによって形成された空間に、ホルダ30(たとえば、通常はハロゲンランプ用に用いられるような、セラミック差し込み口金ホルダ)が配置される。ホルダ30には照明手段17が差し込まれ、照明手段17は、ハロゲンランプ、または、本明細書で示すように、複数の発光ダイオード31を備えたランプを含み、発光ダイオード31は、熱をほとんど発生させない省エネルギー型の光を放射し、その光は、ランプの内部リフレクタを介してスポットの形で展示物15に向けられる。
【0023】
本発明によって、照明装置または他の何らかの電気的装置を、リードをまったく見せずに、ガラスまたは他の透明な材料で作ることが可能な、透明なプレートの上または下に「浮かせる」ことを本質的に可能にする可能性が与えられるのは明らかである。図1に示したような展示ケースの場合は、視界の一部が隠されたり、減らされたりすることがまったくなく、すべての側から展示物を見ることが可能である。電源は、電圧が低い場合には一般に変圧器も内蔵しており、底面プレート12の下か、他の任意の場所に装着することが可能である。口金接続をプレートの連続した面に装着することには、製造が複雑でなく、光学的諸特性が良好であるという利点がある。一方、口金領域にへこみ、たとえば、ぎざぎざのある長穴を設け、そこに口金が突き出るようにすることも可能であろう。その場合も、導電性レイヤに塗布された領域を用いて電気的接続が行われることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】上面プレートに電気的口金接続を有する展示ケースの斜視図である。
【図2】口金接続の長手方向の部分断面図である。
【符号の説明】
【0025】
11 展示ケース
12 底面プレート
13 側面プレート
14 上面プレート
15 展示物
17 照明手段
18、19 レイヤセクション
20 分離ギャップ
21、22 領域
23 エッジ
24 接続ワイヤ
25 接続ワイヤ
27 口金部材
28 開口部
29 スリーブ
30 ホルダ
31 発光ダイオード
33 ねじ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的口金接続、好ましくは透明なプレート(14)に接する電気的口金接続(16)、特に照明手段(17)用の口金であって、前記プレート(14)に、好ましくは透明である導電性レイヤ(18、19)が設けられ、前記導電性レイヤが、分離ギャップ(20)によって互いに分離された少なくとも2つのセクション(18、19)に細分され、電気的接続の別々の極に接続され、前記ギャップ(20)の近傍において、少なくとも2つの導電性領域(21)が前記導電性レイヤに塗布され、前記導電性領域(21)に電気的かつ/または機械的に接続される口金接続(16)。
【請求項2】
前記領域(21)が、導電性材料のレイヤの形で、好ましくはスクリーン印刷によって塗布される、請求項1に記載の口金接続。
【請求項3】
前記領域が、幾何形状であり、特に、ギャップによって分離された半円形または半円環形のセグメントである、請求項1または2に記載の口金接続。
【請求項4】
口金接続(16)の接続ワイヤ(25)が領域(21)にはんだ付けされる、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項5】
前記領域(21)に接着される、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項6】
非導電性口金部材(27)と照明手段(17)用ホルダとを含み、場合に応じて、ホルダ(30)を包むスリーブ(29)を含み、前記口金部材に固定される、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項7】
プレート(14)の前記導電性レイヤセクション(18、19)が、そのエッジまたはコーナーの少なくとも1つにおいて電気的接続と接触する、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項8】
レイヤの形で塗布された導電性領域(21)を用いて接触が行われる、請求項7に記載の口金接続。
【請求項9】
表面に口金接続(16)が設けられた前記プレート(14)が、複数の透明なプレート(13、14)を含むケース(11)の一部であり、前記プレート(13、14)のエッジ間の少なくとも1つのギャップの中を細いワイヤ(24)の形で通る前記電気的接続、または前記口金接続(16)が設けられた前記プレートとの前記電気的接続が、やはり導電性であって、コーティングされた、隣接するプレートによって行われる、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項10】
上面プレート(14)の下側の面に装着される、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。
【請求項11】
省エネルギー型照明手段(17)、特に単一または複数のダイオード照明装置が設けられる、前記請求項のいずれか一項に記載の口金接続。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−165311(P2007−165311A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333947(P2006−333947)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(505312095)デプナー バウエレメンテ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (3)
【出願人】(505401573)シュナイダー ウント フィヒテル ゲーエムベーハー (2)
【出願人】(505458670)ショット・アーゲー (32)
【Fターム(参考)】