説明

電気給湯機

【課題】節約機能のON/OFF設定が可能な電気給湯機において、全てのユーザに対して節約機能に関する有効な情報を報知する。
【解決手段】電気給湯機は、温水の給湯量を制限して節水動作を行う節水機能と、節水機能を使用するか否かを選択する動作選択機能と、節水機能の作動により得られる節約効果を算出する節約効果算出機能とを備える。リモコン100は、動作選択機能により節水機能をONとする設定が選択されている場合には、節水機能の作動により実際に得られた節約効果である獲得効果を報知し、節水機能をOFFとする設定が選択されている場合には、節水機能が作動すれば得られると予測される節約効果である予測効果を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気により加熱した温水を供給する電気給湯機に関し、特に、節約機能及び情報の表示機能を備えた電気給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1に記載されているようなエネルギー機器の稼動状況表示装置が知られている。この従来技術では、ユーザの節約意識を向上させる技術として、過去に得られた省エネ効果を表示する技術を採用している(第18頁,図6等)。また、他の従来技術として、特許文献2に記載されているような省エネルギー支援装置が知られている。この従来技術では、ユーザの行動や設備を見直すことにより、どの程度の省エネ効果が期待できるかを表示する技術を採用している(第14頁,図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−161037号公報
【特許文献2】特開2001−56804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、給湯機の節約機能を既に利用しているユーザと、節約機能を利用していないユーザとを含む全てのユーザに対して、一定の処理により得られた結果を表示する。しかしながら、節約機能を既に利用しているユーザにとっては、当該機能の利用を促す表示を行っても意味がなく、また、節約機能を利用してないユーザにとっては、当該機能により得られた効果を表示しても意味がないことになる。このように、従来技術では、表示の適用対象となるユーザが限定されるため、全てのユーザに対して有効な表示を行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、節約機能のON/OFFを選択することができる電気給湯機において、全てのユーザに対して節約機能に関する有効な情報を報知することが可能な電気給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気給湯機は、水を加熱して温水を供給する加熱供給手段と、加熱を行うエネルギ及び/又は水の水量を節約する節約手段と、節約手段が作動可能となるON設定と節約手段が停止状態に保持されるOFF設定の何れかを選択する動作選択手段と、節約手段の作動により得られる節約効果を算出する節約効果算出手段と、動作選択手段によりON設定が選択されている場合には、節約手段の作動により実際に得られた節約効果である獲得効果を報知し、OFF設定が選択されている場合には、節約手段が作動すれば得られると予測される節約効果である予測効果を報知する切換報知手段と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、節約機能を使用しているユーザには、その節約効果を再確認させることができ、ユーザに満足感を与えることができる。また、節約機能を使用していないユーザには、節約機能を使用した場合の予測効果を訴えることができ、当該機能を利用して節約を行いたいという節約意識を与えることができる。従って、全てのユーザに対して節約機能に関する有効な情報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1において、電気給湯機のシステム構成を示す全体構成図である。
【図2】本実施の形態1において、電気給湯機の節水機能の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】本実施の形態1において、給湯機制御部により節水効果を算出する制御を示すフローチャートである。
【図4】リモコンにより積算節水量を獲得効果及び予測効果として表示した状態を示す正面図である。
【図5】本実施の形態2において、エコ保温機能を作動させた場合と停止させた場合のそれぞれについて、浴槽水の温度の時間的な変化を示す特性線図である。
【図6】リモコンにより保温動作の削減回数を獲得効果及び予測効果として表示した状態を示す正面図である。
【図7】リモコンにより消費電力削減量の獲得効果及び予測効果を表示した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1において、電気給湯機のシステム構成を示す全体構成図である。本実施の形態の電気給湯機は、電気給湯機本体10、リモコン100、ヒートポンプユニット200等を備えている。電気給湯機本体10には、図1に示すように、外部の給水用配管41、給湯用配管42、ふろ戻り配管44及びふろ往き配管45が接続されている。給湯用配管42は家庭内に配置された蛇口やシャワー等に接続されており、ふろ戻り配管44及びふろ往き配管45は、家庭内に配置された浴槽(図示せず)に接続されている。
【0010】
また、電気給湯機本体10には、ヒートポンプユニット200により加熱した温水を貯留する貯湯タンク21が配置されている。貯湯タンク21の下部には給水用配管41が接続され、貯湯タンク21の上部には他の配管等を介して給湯用混合弁31が接続されている。また、給湯用混合弁31には、給水用配管41及び給湯流量調整弁32が接続されている。給湯用混合弁31は、給水用配管41から供給される水と、貯湯タンク21から供給される温水とを混合し、これらの混合水を給湯流量調整弁32に供給する。給湯流量調整弁32には、流量センサ33を介して給湯用配管42が接続されている。給湯流量調整弁32から流出した温水は、給湯用配管42から外部に供給される。
【0011】
一方、貯湯タンク21には、上記以外の配管等により熱交換器61及びふろ循環熱源ポンプ35が接続されている。ふろ循環熱源ポンプ35は、貯湯タンク21内の高温水を熱交換器61の1次側に流通させるものである。熱交換器61の2次側入口には、ふろ循環ポンプ34、水位センサ36、ふろ戻り配管44、ふろ戻りサーミスタ51等が接続されている。また、熱交換器61の2次側出口には、ふろ往き配管45及びふろ往きサーミスタ52が接続されている。
【0012】
これにより、ふろ循環ポンプ34及びふろ循環熱源ポンプ35を作動させると、貯湯タンク21内に貯留された高温の湯水と、浴槽に貯留された低温な浴槽水との間で熱交換が行われる。この結果、ヒートポンプユニット200により加熱した温水を利用して、浴槽水を加熱(追焚き)することができる。なお、ふろ戻りサーミスタ51は、浴槽から流出して熱交換器61に流入する浴槽水の温度を検出するもので、ふろ往きサーミスタ52は、熱交換器61から流出して浴槽に流入する湯の温度を検出する。
【0013】
また、貯湯タンク21には、加熱循環回路43を介してヒートポンプユニット200が接続されている。ヒートポンプユニット200は、貯湯タンク21から導かれた低温水を電気により加熱(沸き上げ)して温水を供給するもので、電気給湯機本体10と共に、本実施の形態の加熱供給手段を構成している。ヒートポンプユニット200は、図示しない圧縮機、沸き上げ用熱交換器、膨張弁及び空気熱交換器を冷媒循環配管を備えており、ヒートポンプサイクルにより構成されている。
【0014】
電気給湯機本体10には、給湯機の作動状態を制御する給湯機制御部71が搭載されている。給湯機制御部71は、リモコン線72を介してリモコン100と接続されると共に、他のリモコン線73を介してヒートポンプユニット200と接続されている。これにより、給湯機制御部71は、給湯機内のポンプやヒートポンプの駆動制御を実行すると共に、サーミスタにより読取った温度等の記録や、節電機能により得られる効果の計算等を実行するように構成されている。
【0015】
(節水機能)
電気給湯機は、温水の給湯量(流量)を制限して節水動作を行う節水機能と、節水機能を使用するか否かを選択する動作選択機能とを備えている。節水機能は、給湯機制御部71によって給湯流量調整弁32の開度を減少させることにより、節水機能の非作動時と比較して湯水の流量を制限(節約)するものである。また、動作選択機能は、節水機能が作動可能となるON設定と、節水機能が停止状態に保持されるOFF設定の何れかを選択するもので、例えばリモコン100により実現されている。詳しく述べると、リモコン100には、節水機能のON設定及びOFF設定を切換えるための選択スイッチが配置されており、ユーザは、この選択スイッチを操作することにより、節水機能を使用するか否かを選択することができる。なお、本実施の形態において、節水機能は節約手段の一例を示すものであり、リモコン100は動作選択手段の一例を示すものである。
【0016】
図2は、本実施の形態1において、電気給湯機の節水機能の一例を示すタイミングチャートである。この図において、縦軸は給湯水の流量を示し、横軸は時間を示している。また、図中の一点鎖線は節水機能のOFF設定が選択された状態を示し、実線はON設定が選択された状態を示している。図2に示すように、実線と一点鎖線との差分の積分値は、節水機能により得られた節水量に対応している。
【0017】
具体例を挙げると、例えば流量制限をしていない状態における温水の流量である基準流量(図2中のポイントA)が200mL/秒である状態において、節水タイミングを2秒毎に設定し、節水時間を200ミリ秒間に設定し、かつ、節水量を1/2にする節水制御を実行した場合には、次のような節水効果を得ることができる。即ち、計算式は、(1回の節水量×節水回数)なので、60秒間の節水量は、(1/2×200[mL/秒]×0.2[秒])×(60[秒]/2[秒/回])=600mLとなる。ここで、節水タイミング(流量制限の実行頻度)、節水時間(流量制限の実行時間)及び節水量(流量制限時の流量に対応するパラメータ)は、製品仕様によって予め設定されている。従って、これらの設定値と、予め設定されるかまたは流量センサ33により検出される基準流量とに基いて節水量を算出し、更に、算出した節水量を積算することにより、積算節水量(節約効果)を正確に算出することができる。
【0018】
次に、図3を参照して、給湯機制御部71の制御について説明する。図3は、本実施の形態1において、給湯機制御部により節水効果を算出する制御を示すフローチャートである。この図に示すルーチンは、給湯機の運転中に繰返し実行されるものとする。図3に示すルーチンにおいて、まず、ステップS1では、流量センサ33の出力に基いて給湯が行なわれているか否かを判断し、給湯が行なわれるまでステップS1で待機する。また、給湯が行われた場合には、ステップS2において、流量制限が実行されていない場合の流量(L)を流量センサ33によって読取り、この読取値を節水機能がOFF設定である場合の流量として記憶する。
【0019】
次に、ステップS3では、所定の流量スキャン間隔(製品仕様により予め設定されている)での節水量(E)を計算する。そして、ステップS4では、前記ステップ3で算出した節水量(E)を、給湯機制御部71で記憶していた積算節水量に加算し、当該加算値により積算節水量の記憶値を更新する。次に、ステップS5では、前記流量スキャン間隔に相当する時間が経過するまで待機し、その後にステップS6に移行する。ステップS6では、給湯が継続しているか否かを判定し、継続している場合にはステップS2に戻る。また、給湯が終了している場合には、本ルーチンを終了する。
【0020】
(節水効果の表示)
次に、図4を参照して、節水効果の表示機能について説明する。まず、図4(a)は、リモコンにより積算節水量を獲得効果として表示した状態を示す正面図である。リモコン100は、ユーザに節水効果を知らせるための効果確認スイッチを備えている。そして、節水機能のON設定が選択された状態で効果確認スイッチが操作された場合には、例えばリモコン100の表示部に図4(a)に示す画面を表示する。この画面は、節水機能の作動により実際に得られた1日当たりの積算節水量を「獲得効果」として表示するものである。
【0021】
一方、図4(b)は、リモコンにより積算節水量を予測効果として表示した状態を示す正面図である。リモコン100は、節水機能のOFF設定が選択された状態で効果確認スイッチが操作された場合に、例えば図4(b)に示す画面を表示する。この画面は、節水機能が作動すれば得られると予測される1日当たりの積算節水量を「予測効果」として表示するものである。
【0022】
このように、本実施の形態によれば、節水機能を使用しているユーザには、その節水効果を再確認させることができ、ユーザに満足感を与えることができる。また、節水機能を使用していないユーザには、節水機能を使用した場合の予測効果を訴えることができ、当該機能を利用して節水を行いたいという節水意識を与えることができる。従って、全てのユーザに対して節約機能に関する有効な情報を表示することができる。
【0023】
なお、前記実施の形態1では、図2中のタイミングチャートが請求項1における節約手段及び請求項2における給湯量制限手段の具体例を示している。また、図3に示すフローチャートが請求項1,2における節約効果算出手段の具体例を示し、このうちステップS2が請求項2における基準流量取得手段の具体例を示している。また、図4は、請求項1における切換報知手段の具体例を示している。
【0024】
実施の形態2
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1と同様の構成(図1)において、浴槽水の保温動作回数を削減することにより節約機能を実現することを特徴とする。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0025】
本実施の形態では、前述したふろ循環ポンプ34、ふろ循環熱源ポンプ35、ふろ戻り配管44、ふろ往き配管45及び熱交換器61が浴槽水加熱手段を構成している。また、電気給湯機は、給湯機制御部71により浴槽水の温度を一定の範囲内に保持する保温機能を備えている。保温機能は、あらかじめリモコン100で設定しておいた保温動作時間Thの間だけ、浴槽水の温度が所定の保温開始温度Tdまで低下したときに、ふろ循環ポンプ34及びふろ循環熱源ポンプ35を作動させて浴槽水を追焚きし、浴槽水の温度を所定の保温停止温度Tuまで上昇させるものである。保温機能は、後述する「通常の保温運転」及び「エコ保温運転」において用いられる。
【0026】
(通常の保温運転)
図5は、本発明の実施の形態2において、保温機能を作動させた場合と停止させた場合のそれぞれについて、浴槽水の温度の時間的な変化を示す特性線図である。図5中に示す実線は、通常の保温運転により浴槽水を保温した場合、即ち、定期的な湯温チェックが有る場合の温度変化を示している。通常の保温運転とは、定期的な湯温チェックの結果に基いて保温機能を作動させるものである。詳しく述べると、通常の保温運転では、一定の周期で(図5中の時間T1が経過する毎に)ふろ循環ポンプ34を作動させて浴槽水を熱交換器61に流通させ、このときに浴槽から流出した浴槽水の温度をふろ戻りサーミスタ51により検出する(湯温チェック)。そして、浴槽水の検出温度が保温開始温度Tdまで低下した場合に、保温機能を作動させる。
【0027】
ここで、循環ポンプ34の作動中(時間T2の経過中)には、配管44,45内に存在する低温な湯水が浴槽内に流入するので、浴槽水の温度は、循環ポンプ34の非作動時と比較して速やかに低下する。即ち、循環ポンプ34の作動中における浴槽水の温度低下速度V2は、当該ポンプの非作動時の温度低下速度V1よりも大きくなる。また、追焚き運転の実行時には、例えば浴槽水の温度が速度V3で保温停止温度Tuまで上昇するが、この温度上昇には時間T3が必要となる。
【0028】
一方、図5中の点線は、保温機能を停止した状態で浴槽水の温度が自然放熱により低下するときの温度変化を示している。即ち、この点線は、定期的な湯温チェックがない場合の温度変化を示している。この場合、浴槽内には配管44,45から低温な湯水が流入しないので、浴槽水の温度は、自然放熱により速度V1で緩やかに低下する。即ち、浴槽水の温度が保温開始温度Tdまで低下したときにのみ保温機能を作動させれば、通常の保温運転と比較して、浴槽水を効率よく保温することが可能となる。
【0029】
(エコ保温運転)
このため、エコ保温運転では、給湯機制御部71により浴槽水の温度を推定し、当該推定温度が保温開始温度Tdまで低下したと判断される場合にのみ保温機能を作動させ、通常の保温運転時と比較して保温機能の作動回数(追焚きの実行回数)を削減する。詳しく述べると、給湯機制御部71は、保温機能を停止した状態で浴槽水の温度が自然放熱により低下するときの速度を自然温度低下速度V1として推定する自然温度低下速度推定機能と、保温機能が停止してから浴槽水の温度が保温開始温度Tdまで低下するのに要する時間(以下、保温開始要求時間T4と称す)を、自然温度低下速度V1に基いて算出する保温再開時期算出機能とを備えている。そして、エコ保温運転では、保温機能が停止してから保温開始要求時間T4が経過したときに、保温機能を作動させる。
【0030】
ここで、自然温度低下速度V1の推定方法の一例を挙げると、給湯機制御部71には、水位センサ36により検出した浴槽の湯量と、自然温度低下速度V1との関係を示すデータが記憶されている。このデータは、実験等により決定してもよいし、給湯機を過去に使用したときの両者の関係(過去の実績)に基いて学習してもよい。また、保温制御機能が停止したときには、浴槽水の温度が保温停止温度Tuに保持されているので、保温開始要求時間T4は、浴槽水の温度が自然放熱により保温停止温度Tuから保温開始温度Tdまで低下する間に経過する時間に相当している。
【0031】
即ち、保温開始要求時間T4は、図5中の点線が保温停止温度Tuから保温開始温度Tdまで低下する間に経過する時間に相当している。保温開始要求時間T4は、自然温度低下速度V1が増加するほど短くなるので、両者の関係をデータ化して給湯機制御部71に記憶させておくことにより、自然温度低下速度V1に基いて保温開始要求時間T4を正確かつ容易に算出することができる。
【0032】
上述したエコ保温運転によれば、循環ポンプ34を定期的に作動させて湯温チェックを実行する通常の保温運転と比較して、保温機能の作動回数を削減することができる。これにより、追焚きを行うことで必要となる電力(エネルギ)を節約し、給湯機の省エネルギ化を促進することができる。
【0033】
一方、電気給湯機は、エコ保温運転を使用するか否かを選択する動作選択機能を備えている。この動作選択機能は、通常の保温運転が停止状態に保持されてエコ保温運転が作動可能となるON設定と、通常の保温運転が作動可能となってエコ保温運転が停止状態に保持されるOFF設定の何れかを選択するもので、例えばリモコン100により実現されている。詳しく述べると、リモコン100には、エコ保温運転のON設定及びOFF設定を切換えるための選択スイッチが配置されており、ユーザは、この選択スイッチを操作することにより、通常の保温運転とエコ保温運転の何れを使用するかを選択することができる。前述したように、浴槽水の温度は、エコ保温運転がON設定であるときに、図5中に示す点線のように変化し、OFF設定時(通常の保温運転の作動可能時)には、実線のように変化する。なお、本実施の形態において、リモコン100は、動作選択手段の一例を示すものである。
【0034】
また、給湯機制御部71は、リモコン100によりON設定が選択された場合における保温機能の作動回数と、OFF設定が選択された場合における保温機能の作動回数との差分(保温動作の削減回数)を節約効果として算出する節約効果算出機能を備えている。詳しく述べると、給湯機制御部71は、水位センサ36により検出した浴槽内の湯量と、上記速度V1,V2,V3と、保温機能により実際に追焚きした回数である追焚き回数Nとを記憶する記憶機能を備えている。速度V1,V2,V3は、浴槽内の湯量に応じて変化するので、給湯機制御部71は、水位センサ36の出力値と速度V1,V2,V3との関係をデータマップ等として記憶している。
【0035】
エコ保温運転のON設定が選択されている場合には、まず、水位センサ36の現在(最新)の出力値と、過去に記憶した速度V1,V2,V3との関係に基いて、現在の速度V1,V2,V3を計算する。そして、この計算結果に基いて、通常の保温運転で行われると予測される保温動作(追焚き)の回数を推定し、当該推定回数から実際の追焚き回数Nを減算することにより、保温動作の削減回数を獲得効果として算出する。これにより、エコ保温運転により得られた節約効果を数値的に算出することができる。また、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合には、例えば速度V1,V3の過去の実績に基いて、エコ保温運転時に行われると予測される保温動作の回数を推定する。そして、この推定回数を実際の追焚き回数Nから減算することにより、エコ保温運転が作動すれば得られると予測される保温動作の削減回数を予測効果として算出する。
【0036】
上記算出方法について、更に具体的な例を挙げて説明する。例えば保温停止温度Tuから、放熱や冷水流入による温度低下、追炊き等を介して再び保温停止温度Tuになるまでの時間をT5とすると、予測追い炊き回数N´は、保温動作時間Th÷T5以下の整数回として計算する。以下にT5の計算方法を示す。エコ保温運転のON設定が選択されている場合のT5は、T4+T3であり、T3は給湯機制御部71に記憶されているTu,Td,V3の値より(Tu−Td)÷V3で計算する。
【0037】
一方、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合のT5は、以下の手順で計算する。まず、T1+T2の間に低下する浴槽水温度をV1×T1+V2×T2とし、浴槽水温度が保温停止温度Tuから保温開始温度Tdまで低下するまでに行なう湯温チェック回数nを(Tu−Td)÷(V1×T1+V2×T2)以上の整数回として計算する。次に、制御仕様又は過去の学習値で決めたT1,T2に基いて、T5は、n×(T1+T2)+T3と計算する。なお、T3は前述の通りV3に基いて計算する。
【0038】
以上より、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合には、実際の追炊き回数Nに対し、エコ保温運転のON設定が選択されている場合の予測追炊き回数N´との差分を算出することができる。また、エコ保温運転のON設定が選択されている場合には、実際の追炊き回数Nに対し、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合の予測追炊き回数N´との差分を節約効果として算出することができる。
【0039】
(保温動作の削減回数の表示)
次に、図6を参照して、保温動作の削減回数の表示機能について説明する。本実施の形態では、エコ保温運転の作動状態に基いて獲得効果と予測効果の何れかを表示する。まず、図6(a)は、リモコンにより保温動作の削減回数を獲得効果として表示した状態を示す正面図である。リモコン100は、エコ保温運転による保温動作の削減回数をユーザに知らせるための効果確認スイッチを備えている。そして、エコ保温運転のON設定が選択された状態で効果確認スイッチが操作された場合には、例えばリモコン100の表示部に図6(a)に示す画面を表示する。この画面は、エコ保温運転の作動により実際に得られた1日当たりの保温動作の削減回数を「獲得効果」として表示するものである。
【0040】
一方、図6(b)は、リモコンにより保温動作の削減回数を予測効果として表示した状態を示す正面図である。リモコン100は、エコ保温運転のOFF設定が選択された状態で効果確認スイッチが操作された場合に、例えば図6(b)に示す画面を表示する。この画面は、エコ保温運転が作動すれば得られると予測される1日当たりの保温動作の削減回数を「予測効果」として表示するものである。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、エコ保温運転が可能な給湯機において、前記実施の形態1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、エコ保温運転を使用しているユーザには、その使用による保温動作回数の削減効果を再確認させ、満足感を与えることができる。また、エコ保温運転を使用していないユーザには、これを使用した場合の予測効果を訴えて、エコ保温運転を利用したいという節水意識を与えることができる。
【0042】
なお、前記実施の形態2では、保温機能が請求項1における節約手段の具体例及び請求項3における浴槽水温度調整手段の具体例を示している。また、通常の保温運転は、請求項3における第1の保温運転手段の具体例を示し、エコ保温運転は、第2の保温運転手段の具体例を示している。さらに、給湯機制御部71により実現される節約効果算出機能は、請求項3における節約効果算出手段の具体例、自然温度低下速度推定機能は、請求項4における自然温度低下速度推定手段の具体例、保温再開時期算出機能は、請求項4における保温再開時期算出手段の具体例をそれぞれ示している。また、図6は、請求項3における切換報知手段の具体例を示している。
【0043】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態2と同様の構成及び制御に加えて、浴槽水の保温動作回数を削減することで得られる節約効果を消費電力により表示することを特徴とする。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1,2と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0044】
本実施の形態において、給湯機制御部71は、実施の形態2で説明した機能に加えて、以下に述べる消費電力算出機能と電力節約効果算出機能とを備えている。また、給湯機制御部71には、保温機能の作動時に電力を消費する各部品(例えば、ふろ循環ポンプ34及びふろ循環熱源ポンプ35)の消費電力が予め記憶されている。
【0045】
消費電力算出機能は、水位センサ36等の出力に基いて、保温機能の作動時間及び作動回数と、通常の保温運転における湯温チェックの回数とを計測し、これらの計測結果に基いて保温機能(ポンプ34,35)の作動時間を積算した積算作動時間を算出する。そして、算出した積算作動時間と、ポンプ34,35の消費電力とに基いて、ポンプ34,35により消費された電力の積算値である積算消費電力を算出する。電力節約効果算出機能は、リモコン100の選択スイッチによりON設定が選択された場合における前記積算消費電力と、OFF設定が選択された場合における前記積算消費電力との差分を節約効果として算出する。
【0046】
より詳しく述べると、エコ保温運転のON設定が選択されている場合には、水位センサ36等の出力に基いて、OFF設定時の保温動作時間,保温動作回数及び湯温チェック動作回数を算出する。そして、これらの算出値と、ポンプ34,35の消費電力及び湯温チェックの動作時間とに基いて、OFF設定時の積算消費電力である予想積算消費電力を算出する。この予想積算消費電力からON設定時の積算消費電力を減算することにより、エコ保温運転により実際に得られた消費電力の削減量を獲得効果として算出することができる。一方、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合には、例えば通常の保温運転による保温動作時間及び湯温チェック時間が給湯機制御部71に記憶される。そして、給湯機制御部71は、この記憶値と、ポンプ34,35の消費電力とに基いて、エコ保温運転時における積算消費電力を推定し、当該推定値をOFF設定時の積算消費電力から減算することにより、エコ保温運転が作動すれば得られると予測される消費電力の削減量を予測効果として算出する。
【0047】
上記算出方法について、更に具体的な例を挙げて説明する。以下の説明では、給湯機制御部71に予め記憶されているポンプ34の消費電力をW34とし、ポンプ35の消費電力をW35として示すものとする。エコ保温運転のON設定が選択されている場合には、ポンプ34による湯温チェックが行なわれないので、積算消費電力は、前記実施の形態2と同様に、下記(1)式に基いて算出される。
【0048】
積算消費電力=追炊き回数N(又はN´)×W35×T3 ・・・(1)
【0049】
一方、エコ保温運手のOFF設定が選択されている場合の積算消費電力は、前記実施の形態2で説明した符号を用いて説明すると、下記(2)式により算出される。
【0050】
積算消費電力=((W34×T2)×n+W35×T3)×N(又はN´)
・・・(2)
【0051】
以上より、エコ保温運転のOFF設定が選択されている場合には、実際の追炊き回数Nを用いて上記(2)式で求めた値から、予測追炊き回数N´を用いて上記(1)式で求めた値を減算し、両者の差分を予測消費電力削減効果として算出することができる。一方、エコ保温運転のON設定が選択されている場合には、予測追炊き回数N´を用いて上記(2)で求めた値から、実際の追炊き回数Nを用いて上記(1)式で求めた値を減算し、両者の差分を獲得消費電力削減効果として算出することができる。
【0052】
なお、通常の保温運転が作動する場合には、定期的な湯温チェックにより浴槽水の温度が早期に低下し、この浴槽水を加熱するために貯湯タンク21内の温水が利用されるので、ヒートポンプ200により貯湯タンク21内の温水を沸き上げる沸上げ運転が余分に必要となる。従って、この場合には、余分な沸上げ運転により消費された電力を積算消費電力の算出値に加算するのが好ましい。
【0053】
次に、エコ保温機能による消費電力削減効果の算出方法について、実施の形態2で説明した符号を用いて具体的に説明する。まず、1回の湯温チェックにより失われる浴槽水の熱量Q2を、Q2=水の比熱容量C×水の質量G×湯温チェックにより低下した浴槽水温度差(V2×T2)として計算する。この場合、水の比熱容量Cとしては、例えば4.2kJ/kg・Kを使用し、水の質量Gとしては、水位センサ36の読取値及び過去の学習より給湯機制御部71に記憶された浴槽容積から算出した値を用いる。次に、エコ保温運転による湯量チェック削減回数Ncを、Nc=n×N(又はN´)として計算する。一方、ヒートポンプユニット200の平均的な加熱能力値P(加熱量/消費電力)を予め給湯機制御部71に記憶させておき、エコ保温運転により削減できたヒートポンプユニットの消費電力量を下記(3)式により算出する。
【0054】
削減できた消費電力量=Q2×Nc/P ・・・(3)
【0055】
一方、リモコン100は、前述した選択スイッチ及び効果確認スイッチの他に、表示選択手段を構成する表示選択スイッチを備えている。表示選択スイッチは、実施の形態2で述べた節約効果算出機能により算出した節約効果(保温動作の削減回数)と、電力節約効果算出機能により算出した節約効果(積算消費電力の差分)のうち、何れの節約効果をリモコン100に表示するかを選択するものである。そして、リモコン100は、表示選択スイッチにより選択された節約効果について、エコ保温運転のON設定が選択されている場合に前記獲得効果を表示し、前記OFF設定が選択されている場合に前記予測効果を表示する。(具体例を図7に示す)
【0056】
このように構成される本実施の形態でも、前記実施の形態2とほぼ同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施の形態では、エコ保温運転により得られる節約効果を個々のユーザの好みに応じて理解し易い単位で表示することができ、節約意識をより効果的に高めることができる。
【0057】
なお、前記実施の形態3では、給湯機制御部71により実現される消費電力算出機能が請求項5における消費電力算出手段の具体例を示し、電力節約効果算出機能が電力節約効果算出手段の具体例を示している。
【0058】
また、前記実施の形態1では、節約手段として給湯量を制限する節水機能を例に挙げて説明し、実施の形態2,3では、保温機能の作動回数を削減するエコ保温運転を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、これらの例に限らず、給湯機の消費エネルギを削減する他の機能を節約手段としてもよい。また、前記実施の形態1乃至3では、リモコン100の表示により節約効果を報知する構成とした。しかし、本発明は、表示に限定されるものではなく、例えば音声等により節約効果を報知する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 電気給湯機本体(加熱供給手段)
21 貯湯タンク
32 給湯流量調整弁(給湯量制限手段)
33 流量センサ
34 ふろ循環ポンプ(浴槽水加熱手段)
35 ふろ循環熱源ポンプ(浴槽水加熱手段)
36 水位センサ
44 ふろ戻り配管(浴槽水加熱手段)
45 ふろ往き配管(浴槽水加熱手段)
51 ふろ戻りサーミスタ
52 ふろ往きサーミスタ
61 熱交換器(浴槽水加熱手段)
71 給湯機制御部
100 リモコン(動作選択手段)
200 ヒートポンプユニット(加熱供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して温水を供給する加熱供給手段と、
前記加熱を行うエネルギ及び/又は前記水の水量を節約する節約手段と、
前記節約手段が作動可能となるON設定と前記節約手段が停止状態に保持されるOFF設定の何れかを選択する動作選択手段と、
前記節約手段の作動により得られる節約効果を算出する節約効果算出手段と、
前記動作選択手段により前記ON設定が選択されている場合には、前記節約手段の作動により実際に得られた節約効果である獲得効果を報知し、前記OFF設定が選択されている場合には、前記節約手段が作動すれば得られると予測される節約効果である予測効果を報知する切換報知手段と、
を備えた電気給湯機。
【請求項2】
前記節約手段を構成し、前記温水の給湯量を制限する給湯量制限手段と、
前記給湯量制限手段により前記給湯量が制限されていない状態における前記温水の流量を基準流量として取得する基準流量取得手段と、を備え、
前記節約効果算出手段は、前記給湯量制限手段による流量制限の実行頻度及び実行時間と、流量制限時の流量に対応するパラメータと、前記基準流量とに基いて、前記節約効果である節水効果を算出する構成としてなる請求項1に記載の電気給湯機。
【請求項3】
水を加熱して温水を供給する加熱供給手段と、
前記温水を利用して浴槽水を加熱する熱交換器を備えた浴槽水加熱手段と、
前記浴槽水の温度が所定の保温開始温度まで低下したときに、前記浴槽水加熱手段を作動させて前記浴槽水の温度を所定の保温停止温度まで上昇させる浴槽水温度調整手段と、
前記浴槽水を前記熱交換器に流通させることにより浴槽から流出した浴槽水の温度を検出する動作を定期的に実行し、浴槽水の検出温度が前記保温開始温度まで低下したときに、前記浴槽水温度調整手段を作動させる第1の保温運転手段と、
前記浴槽水の温度を推定し、当該推定温度が前記保温開始温度まで低下したと判断される場合にのみ、前記浴槽水温度調整手段を作動させることにより、前記第1の保温運転手段の作動時と比較して前記浴槽水温度調整手段の作動回数を削減する第2の保温運転手段と、
前記第1の保温運転手段が停止状態に保持されて前記第2の保温運転手段が作動可能となるON設定と、前記第1の保温運転手段が作動可能となって前記第2の保温運転手段が停止状態に保持されるOFF設定の何れかを選択する動作選択手段と、
前記動作選択手段により前記ON設定が選択された場合における前記浴槽水温度調整手段の作動回数と、前記OFF設定が選択された場合における前記浴槽水温度調整手段の作動回数との差分を節約効果として算出する節約効果算出手段と、
前記動作選択手段により前記ON設定が選択されている場合には、前記第2の保温運転手段の作動により実際に得られた節約効果である獲得効果を報知し、前記動作選択手段により前記OFF設定が選択されている場合には、前記第2の保温運転手段が作動すれば得られると予測される節約効果である予測効果を報知する切換報知手段と、
を備えた電気給湯機。
【請求項4】
前記浴槽水温度調整手段が停止した状態で前記浴槽水の温度が自然放熱により低下するときの速度を自然温度低下速度として推定する自然温度低下速度推定手段と、
前記浴槽水温度調整手段が停止してから浴槽水の温度が前記保温開始温度まで低下するのに要する時間である保温開始要求時間を、前記自然温度低下速度に基いて算出する保温再開時期算出手段と、を備え、
前記第2の保温運転手段は、前記浴槽水温度調整手段が停止してから前記保温開始要求時間が経過したときに、前記浴槽水温度調整手段を作動させる構成としてなる請求項3に記載の電気給湯機。
【請求項5】
前記浴槽水温度調整手段の作動時に電力を消費する部品の消費電力が予め記憶され、前記浴槽水温度調整手段の積算作動時間に基いて前記部品の積算消費電力を算出する消費電力算出手段と、
前記動作選択手段により前記ON設定が選択された場合における前記部品の積算消費電力と、前記動作選択手段により前記OFF設定が選択された場合における前記部品の積算消費電力との差分を節約効果として算出する電力節約効果算出手段と、
前記節約効果算出手段により算出した節約効果と前記電力節約効果算出手段により算出した節約効果のうち何れか一方を選択する表示選択手段と、を備え、
前記切換報知手段は、前記表示選択手段により選択された節約効果について、前記動作選択手段により前記ON設定が選択されている場合に前記獲得効果を表示し、前記動作選択手段により前記OFF設定が選択されている場合に前記予測効果を表示する構成としてなる請求項3または4に記載の電気給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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