説明

電気製品、及び、トイレ装置

【課題】電気製品のメンテナンス時期の到来を適正に検知して、電装部品の駆動を強制的に停止させる。
【解決手段】衛生洗浄装置70などの電気製品は、外部から供給された駆動電源により、電装部品を駆動させる電気製品であり、電装部品の駆動を強制的に停止させる給電遮断器10が設けられている。そして、電装部品に駆動電源が供給されている間のみ、電池44から電流が流れる通電回路60を備えており、電池44が消耗した場合には、スイッチ54がオン状態となり、給電遮断器10を起動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品、及び、トイレ装置に関し、特に、メンテナンス時期が設定されている電気製品、及び、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生洗浄装置などの電気製品には、メンテナンス時期というものが設定されているものがある。すなわち、使用開始後、3年、5年、10年といった所定の期間が経過した際には、製造メーカー等に電気製品のメンテナンスを依頼し、この電気製品に用いられている電装部品の点検を行ってもらう必要がある。
【0003】
メンテナンス時期を経過しているにも拘わらず、メンテナンスの依頼をすることなく、電気製品を使用し続ける場合、電気製品の電装部品が劣化しているため、災害が発生する可能性もある。したがって、メンテナンス時期が到来した場合には、何らかの手法で、使用者に、電気製品のメンテナンスを促す必要性が生じる。
【0004】
このため、特開2001−81840号公報(特許文献1)では、電気製品の使用時間を積算して、この積算した時間が所定時間を経過した時点で、メンテナンス時期に到達したとみなして、使用者にメンテナンス時期の到来を報知した後に、電源供給を停止する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−81840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2001−81840号公報(特許文献1)では、(1)電気製品が初めて通電した時点、(2)コントローラに電池が装着された時点、(3)電気製品に設けられているスイッチが初めて操作された時点、のいずれかを始期として、電気製品の使用時間の積算を開始している。あるいは、この特開2001−81840号公報(特許文献1)では、(4)流量センサで衛生洗浄装置に供給される給水量を積算し、この積算した給水量が所定値に到達した場合に、メンテナンス時期が到来したとみなしている。
【0007】
ところが、上述した(1)乃至(3)の手法では、電気製品の出荷前検査で、これらの操作を行うため、実際には、この電気製品の使用開始を始点とした経過時間を正しく積算できないという問題があった。具体的には、電気製品の出荷前検査の後、使用者が電気製品の使用を開始するまでの時間も、使用者の使用時間として積算してしまうため、適正なメンテナンス時期よりも早いタイミングで、メンテナンス時期が到来したとみなして、使用者にメンテナンス時期の到来を報知し、電気製品の電装部品への電源供給を停止してしまうという問題があった。
【0008】
一方、上述した(4)の手法では、水を使用していない間も、電気製品の電装部品へは電源が供給されていることから、メンテナンス時期を適正に検知することができないという問題があった。すなわち、衛生洗浄装置に供給される給水量の積算値と、メンテナンス時期の到来とが、必ずしも一致するものではないという問題があった。このため、適正なメンテナンス時期に、電気製品の電装部品への電源供給を停止することが、できなかった。
【0009】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、電気製品及びトイレ装置のメンテナンス時期の到来を適正に検知して、電気製品及びトイレ装置の電装部品の駆動を停止させるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電気製品は、外部から供給された駆動電源により、電装部品を駆動させる電気製品であって、前記電装部品の駆動を強制的に停止させる駆動停止手段と、前記電装部品に駆動電源が供給されている間のみ、電池から電流が流れる通電回路と、前記電池が消耗した場合に、前記駆動停止手段を起動させる、機能停止起動手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このようにすることにより、外部から駆動電源が供給されている間のみ、通電回路内を電流が流れることとなり、電池に蓄えられているエネルギーが消費されることとなる。このため、電気製品の電装部品が通電している時間の積算を、この電池の残量で適正に把握できるようになる。そして、この電池の残量が少なくなり、電池が消耗した場合に、電装部品の駆動を強制的に停止させることにより、メンテナンス時期の到来を使用者に適正なタイミングで通知できるようになる。また、メンテナンス時期の到来により、電装部品の駆動を強制的に停止することにより、劣化した電装部品の継続使用を確実に停止させることができるようになる。
【0012】
この場合、前記駆動停止手段は、当該電気製品への駆動電源の供給を遮断する、給電遮断器であってもよい。このようにすることにより、すでに電気製品に設けられている漏電遮断器などの給電遮断器を、駆動停止手段として利用することができるようになり、回路設計が容易になる。
【0013】
また、本発明に係るトイレ装置は、衛生洗浄装置と、前記衛生洗浄装置を大便器に装着するために、前記大便器に取り付けられた、ベースプレートと、を備えるトイレ装置であって、前記衛生洗浄装置は、当該衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されたことを検知して、装着検知信号を出力する、装着検知手段と、前記装着検知手段からの前記装着検知信号が入力されている場合には、当該衛生洗浄装置の電装部品を駆動させるための制御を実行し、前記装着検知手段からの前記装着検知信号が入力されていない場合には、当該衛生洗浄装置の電装部品の駆動を停止させる、制御手段と、を備えており、前記装着検知手段には電池が接続され、前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されていることを前記装着検知手段が検知している間のみ、前記電池から前記装着検知手段に電流が流れ得るように構成されており、前記電池が消耗した場合には、前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されている場合であっても、前記装着検知手段は前記装着検知信号を出力しない、ことを特徴とする。
【0014】
このようにすることにより、衛生洗浄装置が大便器に装着されている間だけ、電池に蓄えられているエネルギーを消費されることとなる。このため、この電池の残量により、衛生洗浄装置が大便器に装着されている時間の積算を適正に把握できるようになる。そして、この電池の残量が少なくなり、電池が消耗した場合には、衛生洗浄装置がベースプレートに装着されている場合であっても、装着検知手段は装着検知信号を出力しないようにし、制御手段が衛生洗浄装置の電装部品の駆動を停止するようにしたので、メンテナンス時期の到来を使用者に適正なタイミングで通知できるようになる。また、メンテナンス時期の到来により、電装部品の駆動は停止することとなり、劣化した電装部品の継続使用を確実に停止させることができるようになる。
【0015】
この場合、トイレ装置は、前記電池の端子を覆う、遮断部材を、さらに備えており、前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着された場合には、前記遮断部材が前記電池の端子を覆う状態が解除されて、前記電池が前記装着検知手段に電気的に接続されるようにしてもよい。このようにすることにより、電池の端子からの放電を抑制し、電池の残量と、衛生洗浄装置が大便器に取り付けられている時間の積算との間の相関関係を、より高く保つことができるようになる。
【0016】
また、トイレ装置は、前記制御手段が前記衛生洗浄装置の電装部品の駆動を停止させたことを報知する報知手段を、さらに備えるようにしてもよい。このようにすることにより、電気製品のメンテナンス時期の到来を、使用者に分かりやすく知らせることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気製品及びトイレ装置のメンテナンス時期の到来を適正に検知して、電気製品及びトイレ装置の電装部品の駆動を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気製品に設けられている、給電遮断器とメンテナンス時期管理回路の回路構成の一例を示す図。
【図2】図1に示した給電遮断器とメンテナンス時期管理回路とを備えた衛生洗浄装置の構造の一例を示す斜視図。
【図3】図2の衛生洗浄装置を、大便器に取り付けられたベースプレートに装着する手順を説明するための衛生洗浄装置と大便器の斜視図(第2実施形態)。
【図4】第2実施形態に係るトイレ装置におけるベースプレートの構成とメンテナンス時期管理回路の回路構成の一例を示す図。
【図5】第2実施形態に係るトイレ装置のメイン制御部が駆動を制御する電装部品から構成された機能ユニットの一例を示すブロック図。
【図6】第3実施形態に係るトイレ装置における取り外しバーの構成とメンテナンス時期管理回路の回路構成の一例を示す図。
【図7】第3実施形態に係るトイレ装置における衛生洗浄装置に設けられた取り外しバーの位置を説明するための部分的な斜視図。
【図8】第4実施形態に係るトイレ装置における取り外しバーの構成とメンテナンス時期管理回路の回路構成の一例を示す図。
【図9】第5実施形態に係るトイレ装置における衛生洗浄装置に収納されたメンテナンス時期管理回路の回路構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態は、電気製品に駆動電源が供給されている間だけ、所定容量の電池に蓄えられているエネルギーを消費するように通電回路を構成するとともに、この電池が消耗した場合には、電気製品に設けられている給電遮断器を起動させて、この電気製品への駆動電源の供給を強制的に遮断するようにしたものである。そして、これにより、使用者が、実際に電気製品を使用している時間に基づいて、メンテナンス時期の到来を適正に検知できるようにしたものである。より詳しくを、以下に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気製品に設けられている給電遮断器10と、この給電遮断器10に接続されているメンテナンス時期管理回路20との回路構成の一例を、示す図である。この図1に示すように、給電遮断器10は、外部にある電源30に接続されており、この電源30から給電遮断器10に駆動電源が供給される。図1の例では、給電遮断器10の第1端子T1と第2端子T2との間に、電源30が接続されている。
【0021】
ここで、電気製品には、電源30から供給される駆動電源で駆動する様々な製品が考えられるが、本実施形態においては、例えば、大便器に取り付けて使用される衛生洗浄装置や、テレビ、冷蔵庫などを、想定している。
【0022】
一般的には、電源30は、家庭用のコンセントであり、このため、供給される駆動電源は交流電源である。但し、電気製品の種類や仕様によっては、電源30から供給される駆動電源が、直流電源のこともある。この電源30から給電遮断器10に供給された駆動電源は、この給電遮断器10を介して、この電気製品に設けられている電装部品に供給され、各種の動作や制御に使用される。
【0023】
また、給電遮断器10は、例えば、漏電遮断器により、構成されている。漏電遮断器は、この電気製品のどこかで漏電が発生し、過電流が流れた場合に、電源30から電気製品本体への駆動電源の供給を強制的に遮断する機能を有している。
【0024】
メンテナンス時期管理回路20は、抵抗40と、フォトカップラ42と、電池44と、リレー46とを備えて、構成されている。さらに、フォトカップラ42は、発光素子48と受光素子50とを備えて構成されており、リレー46は、コイル52とスイッチ54とを備えて構成されている。
【0025】
抵抗40と発光素子48は、給電遮断器10の第3端子T3と第4端子T4との間に、直列に接続されている。このため、給電遮断器10の第3端子T3と第4端子T4との間に、電流が流れると、フォトカップラ42の発光素子48が発光する。また、給電遮断器10の第1端子T1と第2端子T2との間に電源30から駆動電源が供給されている場合には、給電遮断器10の第3端子T3と第4端子T4との間に、電流が流れるように構成されている。
【0026】
フォトカップラ42において、発光素子48が発光すると、受光素子50はその光信号を受光し、オン状態となる。このため、電池44から、リレー46のコイル52に電流が流れ、コイル52が励磁して、スイッチ54をオフ状態に維持する。スイッチ54は、給電遮断器10の第4端子T4と第5端子T5との間に接続されており、スイッチ54のオフ状態が維持されていれば、この給電遮断器10は作動せず、電気製品の電装部品に対する駆動電源の供給は継続される。
【0027】
この状態が長い期間維持されると、やがて、電池44は消耗し、その電圧が低下してくる。すなわち、コイル46に電流を流すために、電池44は蓄えられているエネルギーを消費して、その電池残量が少なくなってくる。電池44の電池残量が少なくなると、電池44の電圧が低下し、コイル46を流れる電流も少なくなり、コイル46の励磁が弱まる。すると、スイッチ54のオフ状態が維持できなくなり、スイッチ54はオフ状態からオン状態に切り替わる。スイッチ54がオン状態となると、給電遮断器10の第4端子T4と第5端子T5との間が短絡された状態となり、給電遮断器10としては、この電気製品のどこかで漏電が発生した状態と同じになり、この電気製品の電装部品への駆動電源の供給を強制的に遮断する。
【0028】
一方で、この電気製品に駆動電源が供給されていない場合、つまり、この給電遮断器10が電源30に接続されていない場合には、第3端子T3と第4端子T4との間に電流は流れず、フォトカップラ42の発光素子48は発光しない。このため、受光素子50がオフ状態となり、電池44からコイル52に電流は流れず、電池44に蓄えられているエネルギーは消費されない。
【0029】
このように、メンテナンス時期管理回路20を構成した上で、本実施形態においては、電気製品を出荷する際の電池44の容量を、この電気製品のメンテナンス時期に合致するように所定の容量に設定しておく。すなわち、利用者が電気製品を使用するために、電気製品に駆動電源を供給している時間を、電池44で消費されたエネルギーに間接的に置き換えることにより、電気製品が駆動されている時間の積算を、電池44の電池残量で測ることとする。そして、電池44の電圧が所定値より低くなり、スイッチ54がオン状態になるタイミングと、この電気製品のメンテナンス時期とを合わせておくことにより、利用者に、メンテナンス時期の到来を、給電遮断器10が起動するという事象により、知らせることができるのである。
【0030】
以上のことから分かるように、本実施形態においては、電池44と、リレー46のコイル52と、フォトカップラ42の受光素子50とにより、電気製品の電装部品に駆動電源が供給されている間のみ、電池44から電流が流れる通電回路60が構成されていることとなる。そして、リレー46のスイッチ54により、電池44が消耗した場合に、給電遮断器10を起動させる機能停止起動手段が構成されていることとなる。
【0031】
なお、本実施形態において、電池44が消耗された状態とは、電池44の残量が実質的にゼロになった場合の他、電池44の電圧が所定値よりも小さくなった状態をも含んでいる。すなわち、本実施形態においては、電池44の残量が少なくなり、リレー46におけるコイル52のオフ状態を維持できなくなった状態を、電池44の消耗した状態であると定義することができる。
【0032】
図2は、図1の給電遮断器10とメンテナンス時期管理回路20とを備えた電気製品の一例として、衛生洗浄装置70を示す斜視図である。この図2に示す衛生洗浄装置70は、洋風の大便器に取り付けられて使用される電気製品である。
【0033】
この図2の例においては、衛生洗浄装置70は、主として、便座72と、この便座72に対して開閉自在に設けられた蓋74と、各種の電装部品が収納されているケース76とを、備えて構成されている。また、給水配管78を介して、水道水が、この衛生洗浄装置70の本体に供給されており、この水道水は、ケース76に収納された電装部品で構成されている温水タンク等を経由して、ノズル80から吐出されて、人体局部を洗浄する。
【0034】
さらに、衛生洗浄装置70のケース76からは、電源コード82が延出しており、この電源コード82の先端に設けられたコンセントプラグユニット84を、家庭用電源のコンセント86に挿入することにより、駆動電源が衛生洗浄装置70のケース76に設けられた電装部品に供給される。コンセントプラグユニット84は、漏電遮断器を内蔵しており、この衛生洗浄装置70に過電流が流れた場合には、家庭用電源のコンセント86から衛生洗浄装置70のケース76内への電源の供給を強制的に遮断するように構成されている。
【0035】
図1との関係で図2を見ると、図2のコンセント86の家庭用電源が、図1の電源30に対応しており、図2のコンセントプラグユニット84に設けられた漏電遮断器が、図1の給電遮断器10に対応している。また、図1のメンテナンス時期管理回路20は、図2のコンセントプラグユニット84の内部に設けられている。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る電気製品によれば、この電気製品に、外部にある電源30から駆動電源が供給されている間のみ、通電回路60内を電池44から電流が流れるように構成したので、駆動電源が供給されている間のみ、電池44に蓄えられているエネルギーが消費されることとなる。このため、電気製品の電装部品が通電している時間の積算を、電池44の残量で把握することができるようになる。
【0037】
そして、この電池44の残量が少なくなり、電池44が消耗した場合には、リレー46のスイッチ54がオフ状態からオン状態に切り替わり、擬似的な漏電を発生させる。これにより、給電遮断器10が起動し、駆動電源の電装部品への供給が強制的に遮断される。このため、給電遮断器10が起動したことにより、メンテナンス時期の到来を利用者に間接的に報知することができるとともに、この電気製品の使用が事実上できなくなり、劣化した電装部品の継続使用を確実に停止させることができるようになる。
【0038】
さらに、本実施形態においては、給電遮断器10は、この電気製品に既に設けられている装置である。すなわち、図2の例では、給電遮断器10の一例である漏電遮断器は、既存のコンセントプラグユニット84内に設けられている装置である。このため、既存の給電遮断器10に、メンテナンス時期管理回路20を追加するだけで、本実施形態に係る電気製品を実現することができる。このため、回路設計が容易であるとともに、部品点数の増加を抑制することができる。但し、既存の給電遮断器10を利用するのではなく、既存の給電遮断器10とは個別に、駆動電源を強制的に遮断するための給電遮断回路を、駆動停止手段として、設けるようにしてもよい。
【0039】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態と同じように電池44を用いた仕組みで、衛生洗浄装置70が大便器に装着されている時間の積算を把握し、電池44が消耗した場合には、この衛生洗浄装置70のメイン制御部に装着検知信号が出力されないようにすることにより、メイン制御部の制御に基づく機能を強制的に停止させ、使用者にメンテナンス時期の到来を報知するようにしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0040】
図3は、第2実施形態に係る衛生洗浄装置70を、洋風の大便器100に取り付ける手順を説明する斜視図である。この図3に示すように、大便器100上面には、ベースプレート102が取り付けられている。このベースプレート102は、大便器100に形成された取り付け穴に、ボルト等の取付部材を貫通させて、締め付けることにより、固定的に大便器100に取り付けられている。本実施形態においては、このベースプレート102と衛生洗浄装置70とで、トイレ装置104が構成されている。
【0041】
使用者は、この衛生洗浄装置70をベースプレート102に装着することにより、衛生洗浄装置70を大便器100に取り付けることができる。ここで、この衛生洗浄装置70をベースプレート102に装着したということは、使用者が、この衛生洗浄装置70を実際に使用する状態になったことを意味している。そこで、本実施形態においては、このベースプレート102に衛生洗浄装置70が装着されている時間を積算し、電池44で、メンテナンス時期の到来を検知するようにしている。
【0042】
図4は、第2実施形態に係るトイレ装置104におけるベースプレート102とメンテナンス時期管理回路110の構成の一例を模式的に示す図である。この図4に示すように、本実施形態に係るベースプレート102には、磁石106が設けられている。この磁石106は、例えば、永久磁石により構成されている。
【0043】
一方、衛生洗浄装置70には、メンテナンス時期管理回路110とメイン制御部120とが設けられている。メンテナンス時期管理回路110は、電池44と、装着検知回路112と、これら電池44と装着検知回路112との間を電気的に接続する導線116、118とを、備えて構成されている。
【0044】
装着検知回路112は、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されたことを検知する装置の一例である。本実施形態においては、この装着検知回路112は、例えば、ホールICにより構成されている。すなわち、衛生洗浄装置70がベースプレート102に取り付けられている間は、装着検知回路112が磁石106の磁界を検出し、スイッチ114がオン状態になる。スイッチ114がオン状態になると、電池44から装着検知回路112に電流が流れる閉回路が構成される。本実施形態においては、この電池44からの電流、すなわち、電池44から供給される電力で、装着検知回路112が動作するように構成されている。
【0045】
スイッチ114がオン状態となり、装着検知回路112が動作すると、装着検知信号が、メイン制御部120に供給される。メイン制御部120は、衛生洗浄装置70に設けられている電装部品の各種制御を実行する回路である。但し、メイン制御部120は、装着検知回路112から装着検知信号が入力されている場合には、これら電装部品を駆動させるための制御を実行するが、装着検知回路112から装着検知信号が入力されていない場合には、電装部品の駆動を停止させる機能を有している。つまり、メイン制御部120は、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていることを条件に、電装部品の制御を行うように構成されている。
【0046】
このため、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていない場合には、この衛生洗浄装置70の電装部品の駆動は停止させられる。すなわち、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていない場合、装着検知回路112は磁石106の磁界を検出することはできず、スイッチ114はオフ状態となる。スイッチ114がオフ状態にある場合、装着検知回路112は動作せず、装着検知信号が出力されないため、メイン制御部120は、電装部品の駆動を強制的に停止させるのである。また、このとき、スイッチ114がオフ状態であることから、電池44を含む閉回路は構成されず、電池44から電流は流れない。このため、電池44に蓄えられているエネルギーは消費されない。この結果、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されている間のみ、電池44から装着検知回路112に電流が流れ得るようにすることができ、電池44に蓄えられているエネルギーの消費と、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されている時間の積算との間に、相関関係を持たすことができるようになるのである。
【0047】
さらに、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されている期間が長くなると、電池44の残量が少なくなり、電池44が消耗する。電池44が消耗すると、電池44から装着検知回路112に流れ込む電流が少なくなり、装着検知回路112を動作させるのに必要な電力を、電池44から装着検知回路112に供給できなくなる。このため、装着検知回路112は、動作が停止された状態になる。
【0048】
装着検知回路112の動作が停止すると、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていても、装着検知信号は出力されなくなる。このため、メイン制御部120は、上述したように、電装部品の駆動を強制的に停止する。
【0049】
このことから分かるように、本実施形態においては、装着検知回路112により、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されたことを検知して、装着検知信号をメイン制御部120に出力する、装着検知手段が構成されている。また、装着検知回路112と磁石106とにより、衛生洗浄装置70とベースプレート102との間の着脱を検知する着脱検知装置が構成されている。
【0050】
図5は、本実施形態に係るトイレ装置104において、メイン制御部120が、駆動を制御する電装部品を、機能ユニットとしてとらえた場合の一例を示すブロック図である。この図5の例では、メイン制御部120は、温水生成部130と乾燥機能部132と便座開閉部134と室内暖房部136と報知機能部138の駆動の制御を実行する。
【0051】
具体的には、温水生成部130は、給水配管78を介して供給された水道水を所定の温度まで暖める機能を有しており、そのための制御をメイン制御部120が実行する。乾燥機能部132は、ノズル80から温水を吐出して、人体局部を洗浄した後に、局部周辺を乾燥させる機能を有しており、そのための制御をメイン制御部120が実行する。便座開閉部134は、使用者の指示やセンサが人の入室を検知した場合等に、蓋74を閉状態から開状態に移行し、逆に、使用者の指示や人の退室を検知した場合等に、蓋74を開状態から閉状態に移行する機能を有しており、そのための制御をメイン制御部120が実行する。
【0052】
室内暖房部136は、使用者の指示等に基づいて、温風を吐出し、この衛生洗浄装置70周辺を暖める機能を有しており、そのための制御をメイン制御部120が実行する。これら温水生成部130と乾燥機能部132と便座開閉部134と室内暖房部136に関しては、メイン制御部120は、装着検知回路112から装着検知信号が入力されている場合には、その駆動制御を行うが、逆に、装着検知信号が入力されていない場合には、これらの駆動を強制的に停止する。このため、電池44が消耗した後、つまり、メンテナンス時期が到来した後は、使用者は、これら温水生成部130と乾燥機能部132と便座開閉部134と室内暖房部136の機能を使用することができず、必然的に、製造メーカー等にメンテナンスの依頼をすることとなる。また、これらの機能が使用できないことから、劣化した電装部品の継続使用を確実に停止させることができることとなる。
【0053】
一方、本実施形態の報知機能部138については、装着検知回路112から装着検知信号が入力されている場合には、メイン制御部120は、これを動作させない。逆に、装着検知回路112から装着検知信号が入力されなくなった場合に、メイン制御部120は、この報知機能部138を動作させる。例えば、この報知機能部138は、液晶表示装置により構成されており、この液晶表示装置に、メイン制御部120が温水生成部130等の電装部品の駆動を強制的に停止した旨の表示を行うことにより、使用者に、衛生洗浄装置70のメンテナンスを促すことができる。また、このような表示を見た使用者は、メンテナンス時期が到来したことにより、衛生洗浄装置70の機能が停止したということを容易に知ることができる。
【0054】
或いは、この報知機能部138は、ブザー等の通知音発生装置により構成することもできる。すなわち、通知音発生装置で、ブザー音等を発生させることにより、利用者に、メンテナンス時期の到来を報知することもできる。この場合、使用者は、ブザー音が鳴っているので、製造メーカー等に修理の依頼をすると想定することもできるし、使用者が、この衛生洗浄装置70のマニュアル等を参照し、このブザー音等がメンテナンス時期の到来を意味していることを知ると想定することもできる。
【0055】
但し、この報知機能部138は、衛生洗浄装置70に駆動電源が供給されていない場合には、動作しない。すなわち、衛生洗浄装置70が使用される状態になっておらず、コンセントプラグユニット84がコンセント86に挿入されていない場合には、メイン制御部120や報知機能部138を動作させるための駆動電源が供給されていないこととなり、このため、たとえ装着検知信号がメイン制御部120に供給されていなくとも、報知機能部138は動作しない。このため、このトイレ装置104を出荷した後、大便器100に取り付けるまでの間に、報知機能部138が動作してしまうことはない。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るトイレ装置104によれば、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されている間だけ、電池44に蓄えられているエネルギーを消費させることができ、このため、この電池44の残量により、衛生洗浄装置70がベースプレート102を介して大便器100に取り付けられている時間の積算を適正に把握することができるようになる。
【0057】
そして、この電池44の残量が少なくなり、電池44が消耗した場合には、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されている場合であっても、装着検知回路112は動作しなくなることから、装着検知回路112は、装着検知信号を出力しないようになる。この結果、メイン制御部120は、温水生成部130等の電装部品の駆動を停止するので、これら各機能部が正常に動作しなくなることにより、使用者に、衛生洗浄装置70のメンテナンスを製造メーカー等に依頼させることができる。つまり、間接的に、使用者に、衛生洗浄装置70のメンテナンス時期の到来を通知できることとなる。さらに、メイン制御部120が温水生成部130等の電装部品の駆動を停止してしまうため、劣化した電装部品の継続使用を確実に停止させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るトイレ装置104によれば、メイン制御部120が温水生成部130等の電装部品の駆動を停止したことを使用者に報知する報知機能部138を設けたので、使用者は、この報知機能部138からの報知に基づいて、メンテナンス時期の到来を容易に知ることができる。
【0059】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態は、上述した第2実施形態を変形して、衛生洗浄装置70をベースプレート102に装着している間だけ、電池44の端子が電極に接触して、装着検知回路112に電池44から電流が流れ得るようにし、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていない間における電池44の端子からの放電を抑制したものである。以下、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0060】
図6は、第3実施形態に係るトイレ装置104における取り外しバー150の構成とメンテナンス時期管理回路110の回路構成の一例を説明する図である。この図6に示すように、本実施形態に係るメンテナンス時期管理回路110においては、衛生洗浄装置70の取り外しバー150に、電極152が設けられている。すなわち、図7に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置70におけるケース76の側面には、取り外しバー150が設けられている。
【0061】
この図7に示すように、ベースプレート102に衛生洗浄装置70が装着されている場合には、使用者は、この取り外しバー150を側方に引き出して、ロックを解除することにより、衛生洗浄装置70をベースプレート102から取り外すことができるようになる。逆に、ベースプレート102に衛生洗浄装置70を装着する場合には、使用者は、この取り外しバー150が側方に引き出された状態で、衛生洗浄装置70をベースプレート102に装着した後、取り外しバー150を内側に押し込むことにより、衛生洗浄装置70をベースプレート102にロックして、ベースプレート102に固定的に装着できる。
【0062】
図6に示すように、取り外しバー150には、突起部154が形成されており、この突起部154の先端部に、電極152が設けられている。そして、この電極152に、導線116の一端が接続されており、この導線116の他端が装着検知回路112に接続されている。また、導線118の一端は、電池44のマイナス側端子に接続されており、導線118の他端は、装着検知回路112に接続されている。
【0063】
この取り外しバー150は、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていない状態のときは、実線で示したように、ケース76から側方に引き出された状態(ロック解除の状態)となっており、電極152は、電池44のプラス側端子に接触していない。このため、メンテナンス時期管理回路110に閉回路は形成されず、電池44のエネルギーも消費されない。しかも、電池44のプラス側端子からの放電が抑制され、電池44の残量と、衛生洗浄装置70のメンテナンス時期との相関関係をより高いものとすることができる。
【0064】
一方、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着する場合、使用者は、衛生洗浄装置70をベースプレート102に挿入した後、衛生洗浄装置70をベースプレート102にロックするために、取り外しバー150を内側に押し込む(ロック状態)。このため、取り外しバー150は、点線で示した位置に移動し、電極152が電池44のプラス側端子に接触する。このため、メンテナンス時期管理回路110に閉回路が形成され、装着検知回路112に電池44から電流が流れ得る状態になる。これにより、装着検知回路112に電力が供給されたこととなり、装着検知回路112が、ベースプレート102に衛生洗浄装置70が装着されたことを検知した場合には、装着検知回路112からメイン制御部120に装着検知信号が出力される。
【0065】
なお、図6の例では、取り外しバー150に設けられた電極152は、取り外しバー150がロック状態に移行した際に、電池44のプラス側端子に接触するように構成されているが、取り外しバー150がロック状態に移行した際に、電極152が電池44のマイナス側端子に接触するように構成してもよい。さらには、移動する電極152が2つ設けられている場合には、これら移動する2つの電極152が、ロック状態で、それぞれプラス側端子とマイナス側端子に接触するように構成してもよい。
【0066】
また、電極152は、取り外しバー150に直接設けるのではなく、取り外しバー150の移動に連動して移動する連動部材に、電極152を設けるようにしてもよい。すなわち、取り外しバー150の動きに連動して、1つの電極152が、電池44のプラス端子又はマイナス端子に接触したり、非接触になったりすればよく、また、取り外しバー150の動きに連動して、2つの電極152が、電池44のプラス端子及びマイナス端子にそれぞれ接触したり、非接触になったりすればよい。
【0067】
以上のように、本実施形態に係るトイレ装置104によれば、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されていない場合には、取り外しバー150がケース76から外側に引き出された状態にあることを利用して、電池44の端子が電極152と接触しないようにしたので、トイレ装置104が使用されていない間における電池44の端子からの放電を抑制することができる。このため、電池44の残量と、トイレ装置104が使用されている時間の積算との間の相関関係をより高く保つことができる。
【0068】
また、一旦、衛生洗浄装置70をベースプレート102に装着した後に、この衛生洗浄装置70を取り外した場合にも、取り外しバー150の動きに連動して、電池44の端子と電極152との間の接触が切り離されるため、トイレ装置104の使用が開始された後に、衛生洗浄装置70を大便器100から一時的に取り外すような場合でも、電池44の端子からの放電を抑制することができる。
【0069】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態は、上述した第3実施形態を変形して、トイレ装置104を出荷する際に、電池44の端子を遮断部材で覆っておき、取り外しバー150がケース76の外側に引き出された状態(ロック解除の状態)からケース76の内側に押し込まれた状態(ロック状態)に移行する際に、この電池44の端子を覆っている遮断部材が引き抜かれて、電池44から装着検知回路112に電流が流れ得るようにしたものである。以下、上述した第3実施形態と異なる部分を説明する。
【0070】
図8は、第4実施形態に係るトイレ装置104における取り外しバー150の構成とメンテナンス時期管理回路110の回路構成の一例を説明する図である。この図8の実線で示すように、このトイレ装置104が出荷された時点では、電池44のプラス側端子と、電極160との間には、遮断部材162が挟み込まれている。この遮断部材162は、例えば絶縁性のフィルム材料等で形成されている。このため、電池44のプラス側端子は、遮断部材162で覆われた状態になっており、電極160とは電気的に導通していない。電極160には、導線116の一端が接続されており、導線116の他端は、装着検知回路112に接続されている。すなわち、電極160は、導線116を介して、装着検知回路112に接続されている。電池44のマイナス側端子には、導線118の一端が接続されており、導線118の他端は、装着検知回路112に接続されている。
【0071】
本実施形態に係る取り外しバー150には、突起部156が形成されており、この突起部156の先端部に、接続線164の一端が接続されている。この接続線164は、例えば、糸や紐などで形成されており、その他端は、遮断部材162に接続されている。図8の実線で示すように、トイレ装置104の出荷時には、取り外しバー150がケース76から外側に引き出されていて、ロック解除の状態にある。接続線164の長さは、突起部156の位置との関係で、遮断部材162が、電池44のプラス側端子と電極160との間に挟まった状態が維持される程度の長さに、設定されている。
【0072】
そして、使用者が、この衛生洗浄装置70をベースプレート102に挿入して、取り外しバー150を内側に押し込んでロック状態にすると、取り外しバー150はケース76の内側に移動して、図8の点線に示す位置に移動する。すると、接続線164に引っ張られて、遮断部材162は、電池44のプラス側端子と電極160との間から引き抜かれて、落下する。これにより、電池44のプラス側端子と電極160とが接触し、装着検知回路112に電池44から電流が流れ得る状態となる。このことから分かるように、接続線164は、図8の点線の位置に取り外しバー150が移動した場合には、突起部156の位置との関係で、遮断部材162を電池44のプラス側端子と電極160との間から引き抜く程度の長さにも、設定されている必要がある。
【0073】
装着検知回路112に電池44から電流が流れ得る状態になると、装着検知回路112が、ベースプレート102に衛生洗浄装置70が装着されたことを検知した場合には、装着検知回路112からメイン制御部120に装着検知信号が出力され、メンテナンス時期管理回路110により、上述した第2実施形態と同様の機能が実現される。
【0074】
なお、本実施形態においては、電池44のプラス側端子を遮断部材162で覆っているが、電池44のマイナス側端子を遮断部材162で覆うようにしてもよい。さらには、電池44のプラス側端子とマイナス側端子の双方を遮断部材162で覆うようにしてもよい。つまり、本実施形態において、電池44の端子を遮断部材162で覆うとは、電池44のプラス端子とマイナス端子のうちの少なくとも一方を遮断部材162で覆うことを意味している。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るトイレ装置104によれば、このトイレ装置104を出荷した後であっても、衛生洗浄装置70がベースプレート102に装着されるまでは、電池44の端子を遮断部材162で覆うようにしたので、トイレ装置104の使用が開始される前の電池44の端子からの放電を抑制することができる。このため、電池44の残量と、トイレ装置104の使用されている時間の積算との間の相関関係をより高く保つことができる。
【0076】
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態は、上述した第4実施形態を変形して、電池44の端子を遮断部材の一端側で覆い、この遮断部材の他端側を、ケース76の外部に出るまで延出し、使用者がトイレ装置104を大便器に取り付ける際に、この遮断部材の他端側を摘んで、遮断部材を引き抜くことにより、電池44の端子と電極160とが接触するようにしたものである。以下、上述した第4実施形態と異なる部分を説明する。
【0077】
図9は、第5実施形態に係るトイレ装置104におけるメンテナンス時期管理回路110の構成の一例を示す図である。この図9に示すように、本実施形態においても、トイレ装置104を出荷する際には、電池44のプラス側端子は、長いテープ状の遮断部材170における一端側に位置する覆い部172で覆われている。すなわち、電池44のプラス側端子と、電極160とは、遮断部材170の覆い部172により、電気的に切り離された状態にあり、装着検知回路112に電池44から電流が流れ込まないようになっている。
【0078】
遮断部材170は、例えば絶縁性のフィルム材料等で形成されており、その他端側は、ケース76の外部に出るまで延出しており、ケース76から外部に露出している部分が、摘み部174をなしている。
【0079】
本実施形態においては、室内暖房部136に形成された温風送出用のルーバー180の隙間を通して、遮断部材170をケース76の外部まで引き出している。但し、如何なる経路で遮断部材170をケース76の外部まで引き出すかは、任意である。例えば、ケース76に脱臭機能部が設けられている場合には、この脱臭機能部のルーバーを通して、遮断部材170をケース76の外部まで引き出すこともできる。
【0080】
使用者は、このトイレ装置104を大便器100に取り付けて使用するに先立ち、遮断部材170の摘み部174を指で摘んで、この遮断部材170をケース76から引き抜く。すると、遮断部材170の覆い部174が、電池44のプラス側端子と電極160との間から引き抜かれ、電池44のプラス側端子と電極160とが接触し、電池44から装着検知回路112に導線116を介して電流が流れ込める状態となる。ケース76から完全に引き抜かれた遮断部材170は、使用者により破棄される。
【0081】
このことから分かるように、遮断部材170は、このトイレ装置104の使用に先立ち、電池44のプラス側端子と電極160との間から引き抜かれることから、それなりの張力が、この遮断部材170に加わる。したがって、この張力に耐え得る程度の強度を、この遮断部材170は有している必要がある。
【0082】
装着検知回路112に電池44から電流が供給され得る状態になると、装着検知回路112が、ベースプレート102に衛生洗浄装置70が装着されたことを検知した場合には、装着検知回路112からメイン制御部120に装着検知信号が出力され、メンテナンス時期管理回路110により、上述した第2実施形態と同様の機能が実現される。
【0083】
なお、本実施形態においては、電池44のプラス側端子を遮断部材170で覆っているが、電池44のマイナス側端子を遮断部材170で覆うようにしてもよい。さらには、電池44のプラス側端子とマイナス側端子の双方を遮断部材170で覆うようにしてもよい。つまり、本実施形態において、電池44の端子を遮断部材170で覆うとは、電池44のプラス端子とマイナス端子のうちの少なくとも一方を遮断部材170で覆うことを意味している。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るトイレ装置104によれば、このトイレ装置104を出荷した後であっても、使用者が遮断部材170を引き抜くまでは、電池44の端子を遮断部材170で覆うようにしたので、トイレ装置104が使用される前の電池44の端子からの放電を抑制することができる。このため、電池44の残量と、トイレ装置104の使用されている時間の積算との間の相関関係をより高く保つことができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した第2実施形態乃至第5実施形態においては、電池44から供給された電力で、装着検知回路112が駆動することとしたが、この装着検知回路112が電池44以外の駆動電源を持つようにしてもよい。すなわち、電池44から装着検知回路112に導線116を介して流れ込む電流を、装着を検知した際のトリガー信号として用い、このトリガー信号が入力された場合に、装着検知回路112が駆動電源から電力供給を受けて駆動し、装着検知信号をメイン制御部120に出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 給電遮断器
20 メンテナンス時期管理回路
30 電源
40 抵抗
42 フォトカップラ
44 電池
46 リレー
60 通電回路
70 衛生洗浄装置
72 便座
74 蓋
76 ケース
78 給水配管
80 ノズル
82 電源コード
84 コンセントプラグユニット
86 コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された駆動電源により、電装部品を駆動させる電気製品であって、
前記電装部品の駆動を強制的に停止させる駆動停止手段と、
前記電装部品に駆動電源が供給されている間のみ、電池から電流が流れる通電回路と、
前記電池が消耗した場合に、前記駆動停止手段を起動させる、機能停止起動手段と、
を備えることを特徴とする電気製品。
【請求項2】
前記駆動停止手段は、当該電気製品への駆動電源の供給を遮断する、給電遮断器である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気製品。
【請求項3】
衛生洗浄装置と、
前記衛生洗浄装置を大便器に装着するために、前記大便器に取り付けられた、ベースプレートと、
を備えるトイレ装置であって、
前記衛生洗浄装置は、
当該衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されたことを検知して、装着検知信号を出力する、装着検知手段と、
前記装着検知手段からの前記装着検知信号が入力されている場合には、当該衛生洗浄装置の電装部品を駆動させるための制御を実行し、前記装着検知手段からの前記装着検知信号が入力されていない場合には、当該衛生洗浄装置の電装部品の駆動を停止させる、制御手段と、
を備えており、
前記装着検知手段には電池が接続され、前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されていることを前記装着検知手段が検知している間のみ、前記電池から前記装着検知手段に電流が流れ得るように構成されており、
前記電池が消耗した場合には、前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着されている場合であっても、前記装着検知手段は前記装着検知信号を出力しない、ことを特徴とするトイレ装置。
【請求項4】
前記電池の端子を覆う、遮断部材を、さらに備えており、
前記衛生洗浄装置が前記ベースプレートに装着された場合には、前記遮断部材が前記電池の端子を覆う状態が解除されて、前記電池が前記装着検知手段に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記制御手段が前記衛生洗浄装置の電装部品の駆動を停止させたことを報知する報知手段を、さらに備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80283(P2011−80283A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233990(P2009−233990)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】