説明

電気製品の動画検査方法及び電気製品の動画検査装置

【課題】 被検査対象の動画が一致するか否かを検査する電気製品の動画検査方法を提供する。
【解決手段】 複数の静止画像からなる基準の動画と複数の静止画像からなる被検査対象の動画の一致性を調べて、被検査対象の動画の一致/不一致を判断する電気製品の動画検査方法において、基準の動画の静止画像を1以上抽出し、抽出された静止画像と一致するフレームが、被検査対象の動画のフレームにあるか否かを予め設定された閾値に基づいて判断し、抽出された全ての静止画像が被検査対象の動画のフレームにあると判断すれば基準の動画と被検査対象の動画が一致すると判断するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の静止画像からなる基準の動画と複数の静止画像からなる被検査対象の動画の一致性を調べて、被検査対象の動画の一致/不一致を判断する、電気製品の動画検査方法、及び、そのような電気製品の動画検査方法を実施するのに好適な電気製品の動画検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、携帯電話機等の情報端末機その他の電気製品として、液晶表示部を備え、液晶表示部に、起動時に動画を再生できるようにしたものや、また、受信した動画を再生できるようにしたものが、幅広く出回っている。
【0003】
このような電気製品は、工場から出荷する前に、表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否かの品質・信頼性試験が行われている。
【0004】
ところで、動画の比較をする方法としては、例えば、複数の動画像データを同期させて、各々、映像として再生し、再生した映像を合成して表示することにより、映像の比較を行う、映像比較装置及び映像比較プログラムを記録した記録媒体が既に提案されている。
【0005】
図9は、従来の映像比較装置の構成を概略的に示すブロック図であり、図10は、図9に示す映像比較装置の機能の概略を示す概念図であり、また、図11は、図9に示す映像比較装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【0006】
この映像比較装置101は、MPU104と、メモリ112と、ハードディスクドライブ装置(HDD)109と、マウス108と、キーボード106等の入力手段からユーザの指示を入力する入力処理部110と、ディスプレイ装置105の表示画面105aに表示する画像を生成する表示制御部111と、外部から映像(動画像)を入力する映像入力部102とを備える。
【0007】
この映像比較装置101は、第1の動画像データを記録する第1の記録手段109aと、第1の動画像データ中の特定の時刻を表示する第1の時刻設定手段と、第2の動画像データを記録する第2の記録手段109bと、第2の動画像データ中の特定の時刻を表示する第2の時刻設定手段と、上記時刻設定手段の設定に応じて上記各記録手段から各動画像データを読み出す同期手段114と、読み出された各動画像データから各々映像を再生する映像再生手段113a、113bと、映像再生手段によって再生された各映像を合成する合成手段115と、合成手段115によって合成された映像を表示する表示画面105aとを備える。
【0008】
そして、この映像比較装置101では、図11及び図12に示すように、2つの動画像データを同期させ各々映像を再生し、再生した映像を合成して表示するようにしている。
【0009】
より詳しく説明すると、この映像比較装置101では、指導者の滑走映像と、被指導者の滑走映像とを撮像手段を用い撮像し、指導者の滑走映像(図12中、(A))と、被指導者の滑走映像(図12中、(B))とを同期させて再生し、指導者の滑走状態と、被指導者の滑走状態とを比較し、被指導者の滑走フォーム等の検討を行えるようにしている。
【特許文献1】特開2001−186471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の映像比較装置101は、2つの映像が一致するか否かの判断を、合成手段115によって合成された映像を、この装置を使用する者が、目視によって、観察し、2つの動画が同じ動きをしているのか否かを判断することを前提にしている。
【0011】
また、この映像比較装置101では、2つの異なる映像(指導者の滑走映像(図12中、(A))と、被指導者の滑走映像(図12中、(B)))を同期させて再生することを前提にしている。
このため、液晶表示器等を備える電気製品の品質管理部門のような、表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を何度も長時間で行うような分野には、確認のため多くの人数を必要としたり、人的なミス(例えば、見落とし等)が発生するため、直ちに、この技術を導入できない、という問題がある。
【0012】
また、動画の再生ができないような製品を出荷してしまうような事態が発生すると、市場においてそのような製品は欠陥商品となるため、そのような欠陥商品を市場に送り出さないための、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、無人で機械によって行うことができるようにした、電気製品の動画検査方法及び電気製品の動画検査装置の開発が望まれている。
【0013】
また、上記した従来の映像比較装置101では、2つの異なる映像(指導者の滑走映像(図12中、(A))と、被指導者の滑走映像(図12中、(B)))を同期させて再生するようにしているが、例えば、図13に示すように、2つの動画の再生時刻にずれが生じると、全ての映像情報が異なっている、という結果になるため、上記した従来の映像比較装置101を用い、2つの同じ動画を撮像した映像を再生するようにし、無人で機械によって行うことができるようにしたとしても、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できたり、また、受信した動画を正確に再生できたりできる、欠陥商品では無い製品であるにも関わらず、これを欠陥商品と判断してしまう虞があり、電気製品の動画検査方法及び電気製品の動画検査装置として用いるのが困難である、いう問題もある。
【0014】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、工場から出荷する前に、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を無人で機械によって行うことができ、しかも、比較する動画の再生時間にずれが生じて、全ての映像情報が異なっている、という判断をし、表示画面が正常に動作するにも関わらず、これを欠陥商品と認識するようなことがない、電気製品の動画検査方法及び電気製品の動画検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に記載の電気製品の動画検査方法は、複数の静止画像からなる基準の動画と複数の静止画像からなる被検査対象の動画の一致性を調べて、被検査対象の動画の一致/不一致を判断する電気製品の動画検査方法において、基準の動画の静止画像を1以上抽出し、抽出された静止画像と一致するフレームが、被検査対象の動画のフレームにあるか否かを予め設定された閾値に基づいて判断し、抽出された全ての静止画像が前記被検査対象の動画のフレームにあると判断すれば基準の動画と被検査対象の動画が一致すると判断するようにした。
【0016】
請求項2に記載の電気製品の動画検査方法は、品質・信頼性試験の基準となる電気製品の表示画面に表示される、或る動画を撮影し、撮影した動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出し、動画を、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生し、複数の静止画像の各々を、順次、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画のフレームと比較し、撮像した動画の或るフレームと複数の静止画像の各々に対応するフレームとの一致割合が、予め設定した閾値の範囲にある場合には、静止画像と撮像した動画の或るフレームとが一致すると判断し、抽出された複数の静止画像の全てが、被検査対象の動画のフレーム中にあると判断した場合、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に、動画の再生が正確に行われている、と判断するようにした。
請求項3に記載の電気製品の動画検査方法は、請求項1又は請求項2に記載の電気製品の動画検査方法の、抽出した複数の静止画像を出現順に並べ替え、静止画像の各々を、その出現順に、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画の1フレーム毎にフレームの出現順に比較し、且つ前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断したときは、次の静止画像を、前記撮像した動画のフレームの或るフレームの次のフレームから比較するようにした。
【0017】
請求項4に記載の電気製品の動画検査方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の電気製品の動画検査方法で用いる閾値が、画素の比較として光の3原色である赤緑青各々に許容誤差濃度を予め設定し、比較する前記静止画像と前記フレームの全画素について前記許容誤差濃度を超える画素数の総数について予め設定される閾値である。
【0018】
請求項5に記載の電気製品の動画検査装置は、品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品の表示画面を撮像する撮像手段と、撮像手段が撮像した、品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品の表示画面に表示される動画を表示する表示手段と、撮像手段が撮像した、品質・信頼性試験の基準となる電気製品の表示画面に表示される動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出する手段と、動画を、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生し、複数の静止画像の各々を、順次、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を、撮像手段により撮像し、撮像した動画の1フレーム毎に比較し、撮像した動画の或るフレームと複数の静止画像の各々に対応するフレームとの一致割合が、予め設定した閾値の範囲にある場合には、静止画像と前記撮像した動画の或るフレームとが一致すると判断する判断手段と、判断手段が、前記抽出された複数の静止画像の全てが、前記被検査対象の動画のフレーム中にあると判断した場合、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に、動画の再生が正確に行われている、と判断するようにした。
請求項6に記載の電気製品の動画検査装置は、請求項5に記載の電気製品の動画検査装置が、更に、抽出した複数の静止画像を出現順に並べ替える並び替え手段と、抽出した複数の静止画像の各々を画像並び替え手段により出現順に並べ替えたものを、その出現順に、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画の1フレーム毎にフレームの出現順に比較し、且つ、静止画像の一画像が、撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断する判断手段と、判断手段が、静止画像の一画像が、撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断したときは、次の静止画像を、撮像した動画のフレームの或るフレームの次のフレームから比較する比較手段とを備える。
【0019】
請求項7に記載の電気製品の動画検査装置は、請求項5又は請求項6に記載の電気製品の動画検査装置の、判断手段が、前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断するための閾値が、画素の比較として光の3原色である赤緑青各々に許容誤差濃度を予め設定し、比較する前記静止画像と前記フレームの全画素について前記許容誤差濃度を超える画素数の総数について予め設定される閾値である。
【0020】
請求項8に記載の電気製品の動画検査装置は、請求項5〜7のいずれかに記載の電気製品の動画検査装置の、品質・信頼性試験の基準及び対象となる表示画面に表示させる動画のサイトを呼び出す情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された動画のサイトを呼び出す情報を、電気製品の外部入力手段へ入力する外部入力手段入力操作手段とを更に備える。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の電気製品の動画検査方法では、基準の動画の静止画像を1以上抽出し、抽出された静止画像と一致するフレームが、被検査対象の動画のフレームにあるか否かを予め設定された閾値に基づいて判断し、抽出された全ての静止画像が前記被検査対象の動画のフレームにあると判断すれば基準の動画と被検査対象の動画が一致すると判断するようにしているので、電気製品の動画の検査を、正確に、無人で機械によって行うことができる。
【0022】
請求項2に記載の電気製品の動画検査方法では、2つの画像を同期させて再生し、2つの画像の差異により、表示画面に動画が正確に再生されているか否かを判断するのではなく、動画から選択した1画像毎に対し、順次、動画の各フレームを比較するようにしているので、2つの画像が同期せず再生される結果、表示画面の動作性に問題が無いにも関わらず、検査対象が、電気製品の表示画面の再生ができない欠陥商品と判断することがない。
【0023】
且つ、この動画検査方法では、動画から選択した1画像と、動画の各フレームとを比較する際に、目視によるのではなく、閾値を用いるようにしたので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、無人で機械によって行うことができる。
【0024】
請求項3に記載の電気製品の動画検査方法では、抽出した複数の静止画像を出現順に並べるようにし、静止画像の各々を、その出現順に、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画の1フレーム毎に比較するようにしているので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験の時間短縮が図れる。
請求項4に記載の電気製品の動画検査方法では、動画から選択した1画像毎に対し、順次、動画の各フレームを比較する際に用いる閾値を、対比する2つの画像情報の形状や大きさではなく、光3原色であるRGBの許容誤差濃度(濃度しきい値)をRGB各々設定し、次いで、設定された許容誤差濃度を超える画素数のRGB総合計数についてしきい値(画素しきい値)を設定する。この画素しきい値により、抽出した個々の静止画像の一致/不一致を判定するようにしているので、複数の静止画像情報や、動画の各フレームの各々を画像認識する必要が無い。
【0025】
請求項5に記載の電気製品の動画検査装置は、請求項1又は請求項2に記載の電気製品の動画検査方法を実施する電気製品の動画検査装置を規定するものであって、2つの画像を同期させて再生し、2つの画像の差異により、表示画面に動画が正確に再生されているか否かを判断するのではなく、撮像手段が撮像した、電気製品の表示画面に表示される動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出する手段が、動画を構成する複数のフレームから選択した1画像と、動画の各フレームとを比較するようにしているので、2つの画像が同期せず再生される結果、表示画面の動作性に問題が無いにも関わらず、検査対象が、電気製品の表示画面の再生ができない欠陥商品と判断することがない。
【0026】
且つ、この動画検査装置では、撮像手段が撮像した、電気製品の表示画面に表示される動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出する手段が、動画を構成する複数のフレームから選択した1画像と、動画の各フレームとを比較する際に、目視によるのではなく、閾値を用いるようにしたので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、無人で機械によって行うことができる。
【0027】
請求項6に記載の電気製品の動画検査装置では、抽出した複数の静止画像を出現順に並べ替える画像並び替え手段により、出現順に並べた複数の静止画像の各々を、順次、表示画面に再生している動画を1フレーム毎に比較するようにしているので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験の時間短縮が図れる。
【0028】
請求項7に記載の電気製品の動画検査装置では、光3原色であるRGBの許容誤差濃度(濃度しきい値)をRGB各々設定し、次いで、設定された許容誤差濃度を超える画素数のRGB総合計数についてしきい値(画素しきい値)を設定する。この画素しきい値により、抽出した個々の静止画像の一致/不一致を判定するようにしているので、複数の静止画像情報や、動画の各フレームの各々を画像認識する必要が無い。
【0029】
請求項8に記載の電気製品の動画検査装置では、装置で自動的に、品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品の表示画面に表示させる動画のサイトを呼び出すことができるようにしたので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、動画のサイトの呼び出し段階から、無人で機械によって行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る電気製品の動画検査方法及びこの方法を実施する装置の一例を、図面を参照しながら、更に、詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る電気製品の動画検査装置の構成の一例を概略的に説明する構成図である。
【0032】
また、図2は、本発明に係る電気製品の動画検査方法の概念を模式的に示す説明図であり、図3は、図1に示す電気製品の動画検査装置の記憶部に格納されている動画検査プログラムの一例を模式的に示すフローチャートであり、図4は、図3中のAで示す静止画像とフレームの一致を調べる詳細なフローチャートである。
この電気製品の動画検査装置1は、電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sの表示画面Saを撮像する撮像手段2と、演算処理手段3とを備える。
【0033】
演算処理手段3は、演算処理部や記憶手段等を備える制御装置4と、表示手段5と、テンキーや、ファンクションキー、文字入力キーその他のキーを有する外部入力手段6とを備える。
【0034】
また、この例では、特に以下に示すものには限定されることはないが、撮像手段2として、CCDカメラ(固体撮像手段)を使用している。
【0035】
また、この電気製品の動画検査装置1は、電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sの音声を取得するための音声入力手段9を備える。この例では、特に以下に示すものには限定されることはないが、マイクロフォンを使用している。
【0036】
この電気製品の動画検査装置1では、品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品Sを、電気製品の動画検査装置1の所定の場所に設置する。
【0037】
尚、品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品Sは、外部からの光、その他の外乱等を遮断するために、二点鎖線で示す暗箱10の中に設置される。
【0038】
図1中、7で示す部材装置は、電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbを押し操作する外部入力手段入力操作手段を示している。
【0039】
この例では、外部入力手段入力操作手段7として、キー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbの数に対応するように、空気式、油圧式又は電磁式などのアクチュエータ手段を設けたものを用いている。
【0040】
尚、この電気製品の動画検査装置1は、検査の品質・信頼性を保持するために、温度及び湿度が一定に保たれた場所に設置されている。
【0041】
品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品Sは、表示画面Saが、撮像手段2の視野内に入るように、また、電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbの各々に、外部入力手段入力操作手段7の各々のアクチュエータ手段が正しく押し操作できるように、セットする。
【0042】
そして、外部入力手段入力操作手段7は、演算処理手段3の記憶部に、動画のサイトを呼び出す情報(アクセス情報、通常は、電話番号又はインターネットのホームページアドレス)を記憶させておき、演算処理手段3の記憶部又は外部入力手段6から発呼信号が入力されると、動画のサイトを呼び出す情報(アクセス情報、通常は、電話番号又はインターネットのホームページアドレス)を電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbがダイヤル(入力)するように押し操作するようになっている。
【0043】
この電気製品の動画検査装置1では、電気製品(この例では、動画対応の携帯電話)Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbがダイヤル(入力)することで呼び出され、表示画面Saに映し出される動画が、撮像手段2によって撮像され、撮像手段2によって撮像した動画が、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納されるようになっている。
【0044】
演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納した、撮像手段2によって撮像した動画は、表示手段5に、表示されるようになっている。
【0045】
この電気製品の動画検査装置1では、電気製品Sの品質・信頼性試験をする者等は、例えば、マウス8を用い、表示手段5に、映し出される動画の開始から終了までの間の画像(複数のフレーム)から複数の静止画像を抽出することができるようになっている。
【0046】
より具体的に説明すると、この電気製品の動画検査装置1では、図5に示す判定画面と、図6及び図7に示すパラメータ設定画面とを備えており、画面選択キーにより、判定画面の選択と、パラメータ設定画面の選択ができるようになっている。
【0047】
動画から複数の静止画像を抽出する際には、画面選択キーを用い、パラメータ設定画面の選択をする。
【0048】
すると、演算処理手段3の表示手段5の動画表示領域P1に、撮像手段2が撮像した、電気製品Sの表示画面Saに表示される動画が映し出される。
【0049】
動画表示領域P1の下部に、操作キーのアイコンが設けられており、また、動画表示領域P1の横位置には、動画の中から抽出した画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10が設けられている。
【0050】
この例では、操作キーとして、再生キーK1、一時停止キーK2、巻き戻しキーK3、早送りキーK4、停止キーK5、動画の中から抽出した静止画像の各々を画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々の決定をするOKキーF21、及び、一旦、動画の中から選択した静止画像のキャンセルを行うキャンセルキーF22を備える。
【0051】
また、動画表示領域P1の下部には、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納された動画のフレーム数と、動画表示領域P1に現在表示されている動画のフレーム番号とが、表示されるようになっている。
【0052】
また、この例では、操作キーのアイコンが設けられている場所の横位置には、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納した、撮像手段2によって撮像した動画のファイル名と、試験対象の電気製品Sの表示部Saの品質・信頼性試験を行う際の、撮像手段2によって撮像した動画のファイル名とが、上下2段形式で表示されるようになっている。
【0053】
尚、この例では、動画の中から、最大、10枚のフレームを、判定用の静止画像として抽出できるようになっているが、判定ポイントとなる、静止画像の数は、10枚に限定されることはない。
【0054】
この電気製品の動画検査装置1では、動画の各フレームの中から、判定ポイントとして用いる、静止画像の各々を抽出する際には、電気製品Sの品質・信頼性試験をする者等は、例えば、マウス8を用い、再生キーK1をクリックし、表示手段5の動画表示領域P1に、撮像手段2によって撮像され、撮像手段2によって撮像した動画が、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納されている動画の再生を行う。
【0055】
そして、動画の再生中に、静止画像として抽出するフレームを、マウス8で選択し、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々に入力する。
【0056】
画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々に入力した情報は、フレーム番号とともに、順次、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納される。
【0057】
この電気製品の動画検査装置1では、演算処理手段3に、画像並び替え手段(図示せず。)を設け、画像並び替え手段により、動画の開始から終了までの間の画像(複数のフレーム)から抽出した複数の静止画像の各々を、動画の出現順に並べ替えるようにしている。
【0058】
この例では、例えば、動画の中から抽出された複数の静止画像の各々のフレーム番号を、昇順にならべることで、動画の出現順に並べ替えるようにしている。
【0059】
従って、表示手段5に映し出される動画の開始から終了までの間の画像(複数のフレーム)から複数の静止画像を抽出する際に、図5中に示す、複数個の画像収容枠部(この例では、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々に、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の順に動画の開始から終了までの間の画像(複数のフレーム)を再生順に静止画像として格納をする必要は無い。
【0060】
この電気製品の動画検査装置1では、撮像手段2が撮像した、電気製品Sの表示画面に表示される動画の開始から終了までの間の画像から抽出した、複数の静止画像情報の各々は、固有のIDが付され、赤、緑及び青の光の3原色に分解され、赤画素数、緑画素数及び青画素数として、演算処理手段3に記憶される。
【0061】
また、動画が、電気製品Sの表示画面Saに正確に再生できるか否かの品質・信頼性試験を行う際に用いる、閾値の設定をする際には、画面選択キーを用いて、表示手段5に、図7に示す、パラメータ設定画面を呼び出す。
【0062】
そして、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々内に抽出した静止画像の各々について、光3原色であるRGB(赤緑青)の許容誤差濃度(濃度しきい値)をRGB各々設定し、次いで、設定された許容誤差濃度を超える画素数のRGB総合計数についてしきい値(画素しきい値)を設定する。この画素しきい値により、抽出した個々の静止画像の一致/不一致を判定する。
【0063】
この例(図7に示すパラメータ設定を参照。)では、赤の濃度しきい値を、0〜255の範囲で設定するアイコンキーK6、緑の濃度しきい値を、0〜255の範囲で設定するアイコンキーK7、及び、青の濃度しきい値を、0〜255の範囲で設定するアイコンキーK8を設け、画素しきい値を、0〜1000の範囲で設定するアイコンキーK9を設ける。赤、緑及び青の各々の濃度しきい値は、アイコンキーK6、アイコンキーK7及びアイコンキーK8の各々を操作し、画素しきい値はアイコンキーK9を操作する。そして、アイコンキーK6〜K9で指定されたしきい値は、OKキーF23をクリックすることで、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納するようにしている。
【0064】
一方、一旦、設定した閾値の変更をする場合には、キャンセルキーF24をクリックすると、赤画素数、緑画素数及び青画素数の各々の許容範囲を初期化できるようになっている。
【0065】
図7では、赤、緑、青の濃度しきい値を10に設定し、画素しきい値を300個に設定している。したがって、まず、赤が基準の濃度から±10を超える画素数を調べ、次に、緑が基準の濃度から±10を超える画素数を調べ、次に、青が基準の濃度から±10を超える画素数を調べる。そして、これらの画素数の合計が300を超えれば、静止画像が不一致と判断する。
【0066】
以上の閾値の設定作業を、終了し、OKキーF23をクリックすると、図5に示す判定画面が、表示手段5に表示される。
【0067】
尚、図5中、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々は、判断画面の判定ポイントとして用いる、複数の静止画像を表示する画像収容枠部を、F11、F12、F13、F14、F15、F16、F17、F18、F19、F20の各々は、検査する動画のフレームの各々を表示する画像収容枠部を、F25は、判定を開始する判定開始キーを、L1は、判定結果を表示する総合判定ランプを示している。
【0068】
次に、外部入力手段入力操作手段7を用い、演算処理手段3の記憶部に記憶されている、動画のサイトを呼び出す情報(アクセス情報、通常は、電話番号又はインターネットのホームページアドレス)を、電気製品Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbに入力する。
【0069】
又は、電気製品Sのメモリに動画が格納されている場合には、外部入力手段入力操作手段7を用い、演算処理手段3の記憶部に記憶されている、動画の再生キーの押し操作情報を、電気製品Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbに入力する。
【0070】
この電気製品の動画検査装置1では、電気製品Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbが操作されることで、電気製品Sの表示画面に表示される動画は、撮像手段2によって撮像され、撮像手段2によって撮像された動画の各フレームと、先に、撮像手段2が撮像した、電気製品Sの表示画面Saに表示される動画の開始から終了までの間の画像から抽出した、複数の静止画像情報の各々に設定した閾値とが、比較される。
【0071】
より具体的に説明すると、この電気製品の動画検査装置1では、電気製品Sのキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbが操作されることで、電気製品Sの表示画面に表示される動画は、撮像手段2によって撮像される。そして、順次、抽出された静止画像が一致する撮像動画のフレームを探す。
【0072】
図3及び図4のフローチャートに示すように、この方法は、まず、撮像動画の最初のフレームについて、各々の画素の赤の濃度が基準濃度(抽出された静止画像の濃度)に対して設定された濃度閾値(図7の濃度しきい値)を超えたか否かが調べられ、濃度閾値を超えた画素の数がカウントされる。次に、緑と青についても同様に濃度閾値を超えた画素の数がカウントされる。そして、これらの濃度閾値を超えた画素数の合計が設定された閾値(図7の画素しきい値)を超えれば、抽出された静止画像がフレームと不一致であると判断して、次のフレームについて一致/不一致を調べる。
【0073】
設定された画素しきい値が超えなければ、抽出された静止画像と一致するフレームであると判断して、次の抽出された静止画像について、次のフレームから一致する撮像動画のフレームを探す。このときの濃度閾値と画素閾値は、抽出された静止画像毎に設定された値が使用される。
【0074】
これを繰り返し、抽出された全静止画像と一致するフレームがあると、電気製品Sの表示画面Saに再生されている動画が正常に再生されていると判断する。フレームと一致しない抽出された静止画像が一つでもあると、電気製品Sの表示画面Saに再生されている動画が正常に再生されていない、と判断するようになっている。
【0075】
次に、この電気製品の動画検査装置1の検査方法の一例をフローチャートを用いて、より詳しく説明する。
【0076】
図3及び図4は、図1に示す電気製品の動画検査装置1の記憶部に格納されている動画検査プログラムの一例を模式的に示すフローチャートである。
【0077】
図4は図3のステップ32を詳細に記したサブルーチンであり、一つの抽出静止画像(基準の画像)と一つのフレーム(被検査の画像)の一致/不一致を判断するフローチャートである。図3は、全ての抽出静止画像を対象に図4の動作を行い、被検査対象の動画の合否を判断するフローチャートである。
【0078】
まず、図4について説明する。図4の動作を行うにあたって、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)は種々の変数を設定し、設定した変数を演算処理手段3内のレジスタ(図示せず。)に記憶する(ステップS11)。この変数について説明する。変数iは処理を実行する画素の番号であり、初期値を1とする。変数GNは画素の総数であり、撮像手段2(この例では、CCDカメラ)の有効画素数(撮像に使用される画素数)がこれに相当する。変数RGBは処理している色がR(赤)/G(緑)/B(青)のいずれであるかを示し、RGB=1であればRについて、RGB=2であればGについて、RGB=3であればBについて処理することを示す。配列変数error(RGB)は夫々の色のエラー数を示し、例えば、RGB=2のときはerror(2)となってGのエラー数となる。error(1)の初期値を0とし、error(2)の初期値を0とし、error(3)の初期値を0とする。変数errorはR/G/Bのエラーの総数を示し、初期値を0とする。
【0079】
変数Tnは処理を実行する抽出静止画像の番号である。配列変数T(Tn,RGB)は夫々の抽出静止画像の夫々のR/G/Bの濃度閾値を示し、例えば、Tn=3,RGB=1のときはT(3,1)となって3番目の抽出静止画像のRの濃度閾値を示す。配列変数T(Tn)は抽出静止画像の夫々のR/G/Bの画素閾値を示し、例えば、Tn=2のときはT(2)となって2番目の抽出静止画像の画素閾値を示す。配列変数T(Tn,RGB,i)は夫々の抽出静止画像の夫々のR/G/Bの夫々の画素の濃度を示し、例えば、Tn=5,RGB=3,i=200のときはT(5,3,200)となって5番目の抽出静止画像のBの200番目の画素の濃度を示す。
【0080】
変数Fnは処理を実行するフレームの番号である。配列変数F(Fn,RGB,i)は夫々のフレームの夫々のR/G/Bの夫々の画素の濃度を示し、例えば、Fn=20,RGB=3,i=200のときはT(20,3,200)となって20番目のフレームのBの200番目の画素の濃度を示す。
【0081】
ステップ1の設定が終了すると、演算処理手段3は、変数Fnで指定される番号のフレームの、変数RGBで指定される色の、変数iで指定される画素の濃度と、変数Tnで指定される番号の抽出静止画像の、変数RGBで指定される色の、変数iで指定される画素の濃度の差の絶対値を求め、求めた絶対値が変数Tnで指定される番号の抽出静止画像の、変数RGBで指定される色の濃度閾値以下であるか否かを調べる(ステップS12)。
【0082】
ステップS12後、変数iがGNでなければ、即ち、処理している画素番号が最終番号でなければ(ステップS13のN)、変数iをインクルメント(1加算)して(ステップS14)、即ち、処理する画素番号を次にしてステップS12に戻る。処理している画素番号が最終番号であれば(ステップS13のY)、変数iを1にし(ステップS15)、変数RGBが3であるか否かを、すなわち、最終色のBであるか否かを調べる(ステップS16)。最終色のBでなければ(ステップS16のN)、変数RGBをインクルメントして(ステップS17)、即ち、処理する色を次にしてステップS12に戻る。最終色のBであれば(ステップS16のY)、変数Tnの番号の抽出静止画像と変数Fnのフレームは全R/G/Bの全画素について一致/不一致を調べたが、エラーの総数が閾値以内であるのでこの比較は一致すると判断し、変数Tnの番号の抽出静止画像と一致するフレームが被検査動画の中にあったことを表示させ(ステップS18)、サブルーチンを終了する。
【0083】
ステップS12で濃度閾値以上であれば、変数error(RGB)をインクルメントし(ステップS19)、変数errorをインクルメントする(ステップS20)。即ち、処理している色の濃度のエラー数とエラー総数を1ずつカウントアップする。そして、カウントアップしたエラー総数が画素閾値以内であれば(ステップS21のY)、ステップS13に進む。エラー総数が画素閾値以内でなければ(ステップS21のN)、変数Tnの番号の抽出静止画像と変数Fnの番号のフレームは不一致であることを表示させ(ステップS22)、直ちにサブルーチンを終了する。
【0084】
次に、図3について説明する。図3の動作を行うにあたって、演算処理手段3は変数を次のように設定する(ステップ31)。処理を実行する抽出静止画像の番号である変数Tnを1に設定する。変数TNを抽出静止画像の総数とする。処理を実行するフレームの番号である変数Fnを1に設定する。変数FNをフレームの総数とする。
【0085】
変数Tnで指定された番号の抽出静止画像と変数Fnで指定された番号のフレームについて、図4で示す一致/不一致の判断処理を行う(ステップS32)。一致すると判断すれば、即ち、変数Tnで指定された番号の抽出静止画像と一致するものが被検査動画の中にあったと判断すれば(ステップS32のY)、変数TnがTNであるか否か、即ち、処理している抽出静止画像の番号が最終番号であるか否かを調べる(ステップS33)。処理している抽出静止画像の番号が最終番号でなければ(ステップS33のN)、変数Tnと変数Fnをインクルメントし、即ち、処理する抽出静止画像の番号とフレームの番号を次の番号にし(ステップS34)、ステップS32に戻る。処理している抽出静止画像の番号が最終番号であれば(ステップS33のY)、全ての抽出静止画像について、一致するものが被検査動画の中にあったと判断して、被検査動画が正しく再生されていることを表示させる(ステップS35)。
【0086】
ステップS32で変数Tnの抽出静止画像と変数Fnのフレームが不一致であると判断すると、変数FnがFNであるか否か、即ち、処理しているフレームの番号が最終番号であるか否かを調べる(ステップS36)。処理しているフレームの番号が最終番号でなければ(ステップS36のN)、変数Fnをインクルメントし、即ち、処理するフレームの番号を次の番号にし(ステップS37)、ステップS32に戻る。処理しているフレームの番号が最終番号であれば(ステップS36のY)、被検査動画の中に一致しない抽出静止画像があったとして、被検査動画が正しく再生されていないことを表示させる(ステップS38)。
【0087】
次に、電気製品の動画検査装置1を用いて、動画対応の携帯電話(電気製品S)の品質・信頼性試験を行う方法の一例を概略的に説明する。
【0088】
まず、図1に示すように、電気製品の動画検査装置1に、携帯電話(電気製品S)をセットする。
【0089】
次に、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に予め格納している、動画のサイトへのアクセス情報(電話番号、インターネットのアドレス番号等)を呼び出して、外部入力手段入力操作手段7を駆動し、携帯電話(電気製品S)のキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbを押し操作し、携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに動画を再生する。
【0090】
携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに再生されている動画は、撮像手段2によって撮像され、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に格納される。
【0091】
携帯電話(電気製品S)の品質・信頼性試験をする者等は、図6に示すパラメータ設定画面を表示手段5に表示し、表示手段5の動画表示領域P1に映し出される動画の映像の中から、静止画像として抽出するフレームを、マウス8で選択し、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々に入力する。
【0092】
次に、携帯電話(電気製品S)の品質・信頼性試験をする者等は、図7に示すパラメータ設定画面を表示手段5に表示し、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々に入力した静止画像を、順次、演算処理手段3(より特定的には、制御装置4)の記憶部から呼び出し、各々の静止画像の閾値を設定する。
【0093】
次に、図5に示す判定画面を、表示手段5に表示する。
【0094】
すると、演算処理装置3(より特定的には、制御装置4)の記憶部に予め格納している、動画のサイトへのアクセス情報(電話番号、インターネットのアドレス番号等)を呼び出して、外部入力手段入力操作手段7を駆動し、携帯電話(電気製品S)のキー入力部(電気製品Sの外部入力手段)Sbを押し操作し、携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに動画を再生する。
【0095】
携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに再生されている動画は、撮像手段2によって撮像され、撮像手段2によって撮像した動画の各フレームが、判定ポイントとして用いる静止画像に対応する閾値とが、静止画像の昇順に比較され、静止画像に対応する閾値内の動画のフレームが、存在すれば、「正常」、静止画像に対応する閾値の動画のフレームが、存在しなければ、「不良品」という判断が、図3及び図4に示す、フローチャートの手順で行われる。
【0096】
尚、この電気製品の動画検査装置1では、判定ポイントとして用いる、複数の静止画像に対応する動画のフレームがある場合には、図8に示すように、判断画面の判定ポイントとして用いる、複数の静止画像を表示している画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々の下段に、画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々内に表示されている静止画像の閾値内の動画のフレームの各々が、画像収容枠部F11、F12、F13、F14、F15、F16、F17、F18、F19、F20に表示され、携帯電話(電気製品S)の品質・信頼性試験をする者が、目視によっても、携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに動画が正確に再生できていることを確認できるようになっている。
【0097】
一方、この電気製品の動画検査装置1では、判定ポイントとして用いる、複数の静止画像の各々に対応する動画のフレームがない場合には、判断画面の判定ポイントとして用いる、複数の静止画像を表示している画像収容枠部F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10の各々の下段に設けられている画像収容枠部F11、F12、F13、F14、F15、F16、F17、F18、F19、F20に、対応する動画のフレームがないことを示す「空白」が表示されるようになっている。
【0098】
そして、「正常」の場合は、判定画面の総合判定ランプL1が「青色」に、「不良品」の場合は、判定画面の総合判定ランプL1が「赤色」に点灯するようになっている。
携帯電話(電気製品S)の品質・信頼性試験は、上記した試験を、携帯電話(電気製品S)の1台について、500回程度、行って、携帯電話(電気製品S)の表示画面Saに動画が正確に再生できることを確認できたものから、工場から出荷する。
【0099】
この電気製品の動画検査装置1では、以上の説明からも明らかなように、基準の動画の静止画像を1以上抽出し、抽出された静止画像と一致するフレームが、被検査対象の動画のフレームにあるか否かを予め設定された閾値に基づいて判断し、抽出された全ての静止画像が前記被検査対象の動画のフレームにあると判断すれば基準の動画と被検査対象の動画が一致すると判断するようにしているので、電気製品の動画の検査を、正確に、無人で機械によって行うことができる。
【0100】
また、この電気製品の動画検査装置1では、2つの画像を同期させて再生し、2つの画像の差異により、表示画面に動画が正確に再生されているか否かを判断するのではなく、動画から選択した1画像毎に対し、順次、動画の各フレームを比較するようにしているので、2つの画像が同期せず再生される結果、表示画面の動作性に問題が無いにも関わらず、検査対象が、電気製品Sの表示画面Saの再生ができない欠陥商品と判断することがない。
【0101】
且つ、この電気製品の動画検査装置1では、動画から選択した1画像と、動画の各フレームとを比較する際に、目視によるのではなく、閾値を用いるようにしたので、電気製品の表示画面が、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、無人で機械によって行うことができる。
【0102】
また、この電気製品の動画検査装置1では、動画から選択した1画像毎に対し、順次、動画の各フレームを比較する際に用いる閾値を、対比する2つの画像情報の形状や大きさではなく、光3原色であるRGBの許容誤差濃度(濃度しきい値)をRGB各々設定し、次いで、設定された許容誤差濃度を超える画素数のRGB総合計数についてしきい値(画素しきい値)を設定する。この画素しきい値により、抽出した個々の静止画像の一致/不一致を判定するようにしているので、複数の静止画像情報や、動画の各フレームの各々を画像認識する必要が無い。
【0103】
また、この電気製品の動画検査装置1では、装置が自動的に、電気製品Sの表示画面Saに表示させる動画のサイトを呼び出すことができるようにしたので、表示画面Saが、起動時に動画を正確に再生できるか否か、また、受信した動画を正確に再生できるか否か等の品質・信頼性試験を、動画のサイトの呼び出し段階から、無人で機械によって行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る電気製品の動画検査方法及び電気製品の動画検査装置は、携帯電話等の液晶表示部その他の表示部において動画が正確に再生できるか否かの検査が無人で機械によってできるので、液晶表示部その他の表示部において動画の再生を行うことのある携帯電話等の情報端末機その他の電化製品の品質検査に幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係る電気製品の動画検査装置の構成の一例を概略的に説明する構成図である。
【図2】本発明に係る電気製品の動画検査方法の概念を模式的に示す説明図である。
【図3】図1に示す電気製品の動画検査装置の記憶部に格納されている動画検査プログラムの一例を模式的に示すフローチャートである。
【図4】図3中のS32で示す静止画像とフレームの一致を調べる詳細なフローチャートである。
【図5】図1に示す電気製品の動画検査装置に設けられている判定画面を示す図である。
【図6】図1に示す電気製品の動画検査装置に設けられているパラメータ設定画面を示す図である。
【図7】図1に示す電気製品の動画検査装置に設けられているパラメータ設定画面を示す図である。
【図8】電気製品の表示画面に動画が正確に再生されている場合の判断画面の一例を示す図である。
【図9】従来の映像比較装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図10】図9に示す映像比較装置の機能の概略を示す概念図である。
【図11】図9に示す映像比較装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【図12】図9に示す映像比較装置の2つの動画像データを同期させて再生した合成映像を示す図である。
【図13】図9に示す映像比較装置の2つの動画像データの同期がずれた場合の合成映像を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 電気製品の動画検査装置
2 撮像手段
3 演算処理手段
4 制御装置
5 表示手段
6 外部入力手段
7 外部入力手段入力操作手段
8 マウス
9 音声入力手段
10 暗箱
S 電気製品
Sa 表示画面
Sb キー入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の静止画像からなる基準の動画と複数の静止画像からなる被検査対象の動画の一致性を調べて、被検査対象の動画の一致/不一致を判断する電気製品の動画検査方法において、
前記基準の動画の静止画像を1以上抽出し、前記抽出された静止画像と一致するフレームが、前記被検査対象の動画のフレームにあるか否かを予め設定された閾値に基づいて判断し、前記抽出された全ての静止画像が前記被検査対象の動画のフレームにあると判断すれば基準の動画と被検査対象の動画が一致すると判断するようにした、電気製品の動画検査方法。
【請求項2】
品質・信頼性試験の基準となる電気製品の表示画面に表示される、或る動画を撮影し、撮影した動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出し、
前記動画を、品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生し、前記複数の静止画像の各々を、順次、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画のフレームと比較し、前記撮像した動画の或るフレームと前記複数の静止画像の各々に対応するフレームとの一致割合が、予め設定した閾値の範囲にある場合には、前記静止画像と前記撮像した動画の或るフレームとが一致すると判断し、前記抽出された複数の静止画像の全てが、前記被検査対象の動画のフレーム中にあると判断した場合、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に、動画の再生が正確に行われている、と判断するようにした、電気製品の動画検査方法。
【請求項3】
前記抽出した複数の静止画像を出現順に並べ替え、静止画像の各々を、その出現順に、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画の1フレーム毎にフレームの出現順に比較し、且つ前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断したときは、次の静止画像を、前記撮像した動画のフレームの或るフレームの次のフレームから比較するようにした、請求項1又は請求項2に記載の電気製品の動画検査方法。
【請求項4】
前記閾値が、画素の比較として光の3原色である赤緑青各々に許容誤差濃度を予め設定し、比較する前記静止画像と前記フレームの全画素について前記許容誤差濃度を超える画素数の総数について予め設定される閾値である、請求項1〜3のいずれかに記載の電気製品の動画検査方法。
【請求項5】
品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品の表示画面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した、前記品質・信頼性試験の基準及び対象となる電気製品の表示画面に表示される動画を表示する表示手段と、
前記撮像手段が撮像した、前記品質・信頼性試験の基準となる電気製品の表示画面に表示される動画の開始から終了までの間の画像から複数の静止画像を抽出する手段と、
前記動画を、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生し、前記複数の静止画像の各々を、順次、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を、前記撮像手段により撮像し、撮像した動画の1フレーム毎に比較し、前記撮像した動画の或るフレームと前記複数の静止画像の各々に対応するフレームとの一致割合が、予め設定した閾値の範囲にある場合には、前記静止画像と前記撮像した動画の或るフレームとが一致すると判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記抽出された複数の静止画像の全てが、前記被検査対象の動画のフレーム中にあると判断した場合、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に、動画の再生が正確に行われている、と判断するようにした、電気製品の動画検査装置。
【請求項6】
前記抽出した複数の静止画像を出現順に並べ替える画像並び替え手段と、
前記抽出した複数の静止画像の各々を前記画像並び替え手段により出現順に並べ替えたものを、その出現順に、前記品質・信頼性試験の対象となる電気製品の表示画面に再生している動画を撮像し、撮像した動画の1フレーム毎にフレームの出現順に比較し、且つ、前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断したときは、次の静止画像を、前記撮像した動画のフレームの或るフレームの次のフレームから比較する比較手段とを備える、請求項5に記載の電気製品の動画検査装置。
【請求項7】
前記判断手段が、前記静止画像の一画像が、前記撮像した動画のフレームの或るフレームと一致したと判断するための閾値が、画素の比較として光の3原色である赤緑青各々に許容誤差濃度を予め設定し、比較する前記静止画像と前記フレームの全画素について前記許容誤差濃度を超える画素数の総数について予め設定される閾値である、請求項5又は請求項6に記載の電気製品の動画検査装置。
【請求項8】
前記品質・信頼性試験の基準及び対象となる表示画面に表示させる動画のサイトを呼び出す情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された動画のサイトを呼び出す情報を、前記電気製品の外部入力手段へ入力する外部入力手段入力操作手段とを更に備える、請求項5〜7のいずれかに記載の電気製品の動画検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−33733(P2006−33733A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213225(P2004−213225)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】