説明

電気音響変換装置

【課題】折り畳み型携帯電話機の筺体内に組み込まれるスピーカが発する音を該スピーカ側方の筐体側面に設けられた音孔から外部に放つスピーカ装置において、スピーカの組み込みスペースやそれ自体の厚みを増加させることなく、スピーカの音圧の向上を図ることができるスピーカ装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置は、スピーカ1の正面と側面に音孔12,13が設けられる。正面音孔12と前記側面音孔13を一纏めに囲うようスピーカ1正面から前記側面音孔13が設けられたスピーカ1側面に跨って環状のパッド14が設けられる。環状のパッド14を筺体21内面に当接することにより、正面音孔12を通過した音を筺体21内面に沿って側面音孔13の方向へ導き側面音孔13を通過した音と側面音孔13付近で合流させた後、筐体側面21aに設けられた音孔20に導く外部空間15を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やデジタルカメラ等の携帯型電子機器に使用されるスピーカや発音体等の電気音響変換装置に関する。詳しくは、携帯型電子機器の筺体内に組み込まれ、電気音響変換器が発する音を該電気音響変換器側方の前記筐体側面に設けられた音孔から外部に放つ電気音響変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1,2に携帯電話機のスピーカが示されている。特許文献1のスピーカは、音孔が正面に設けられた正面放音型であり、スピーカの正面音孔から発する音を、スピーカ側方の携帯電話機筺体側面に設けられた音孔から外部に放つ。特許文献2のスピーカは、音孔が側面に設けた側面放音型であり、スピーカの側面音孔から発する音を、スピーカ側方の携帯電話機筺体側面に設けられた音孔から外部に放つ。
【特許文献1】特開2002−344602号公報
【特許文献2】特開2005−109949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術は、電気音響変換器の正面或いは側面のいずれか一方にのみ音孔が設けられ、正面音孔或いは側面音孔から発する音を、電気音響変換器側方の携帯型電子機器筐体側面に設けられた音孔から外部に放つが、必ずしもそれらの音圧は十分なものと言えなかった。
【0004】
即ち、正面放音型では、電気音響変換器と携帯型電子機器筺体内面間に、電気音響変換器の正面音孔から発する音を携帯型電子機器筺体側面に設けられた音孔まで導く空間が形成され、その空間によって振動板の振動による空気(音)の排除容積は大きくなるが、正面音孔の開口面積に対して十分な排気孔(空間の終端部)の開口面積を確保できず、この空気排除効率の悪さが振動板の振動を妨げる音響抵抗を増やし、音圧の低下を招く。前記排気孔の開口面積は、前記空間の高さを大きくすることで増やすことはできるが、それは直ちに携帯型電子機器の薄型化を損なう結果となるため、音圧の向上も容易に図ることができない。
【0005】
一方、側面放音型では、電気音響変換器と携帯型電子機器筺体内面間に電気音響変換器の側面音孔から発する音を携帯型電子機器筺体側面に設けられた音孔まで導く僅かな空間しか形成されず、振動板の振動による空気の排除容積は、殆ど電気音響変換器自体が有する分のみとなり小さく、排気孔(側面音孔)の開口面積も小さいため、この空気排除効率も悪さが振動板の振動を妨げる音響抵抗を増やし、音圧の低下を招く。前記空気の排除容積や排気孔の開口面積は、電気音響変換器自体の厚みを大きくすることで増やすことはできるが、この場合も直ちに携帯型電子機器の薄型化を損なう結果となるため、音圧の向上も容易に図ることができない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、その目的は、電気音響変換器の組み込みスペースやそれ自体の厚みを増加させることなく、電気音響変換器の音圧の向上を図ることができる電気音響変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電気音響変換装置は、携帯型電子機器の筺体内に組み込まれる電気音響変換器が発する音を該電気音響変換器側方の前記筐体側面に設けられた音孔から外部に放つ電気音響変換装置において、前記電気音響変換器の正面と側面に設けられる音孔と、前記正面音孔と前記側面音孔を一纏めに囲うよう前記電気音響変換器正面から前記側面音孔が設けられた前記電気音響変換器側面に跨って設けられ前記筺体内面に当接することにより、前記正面音孔を通過した音を前記筺体内面に沿って前記側面音孔の方向へ導き前記側面音孔を通過した音と前記側面音孔付近で合流させた後、前記筐体側面に設けられた前記音孔に導く空間を形成する環状のパッドを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の電気音響変換装置では、電気音響変換器の駆動により電気音響変換器の正面音孔を通過した音は、電気音響変換器正面外側の空間に入り、携帯型電子機器筺体内面に沿って電気音響変換器の側面音孔の方向へ伝搬し、電気音響変換器の側面音孔を通過した音と電気音響変換器の側面音孔付近で合流した後、携帯型電子機器筺体側面に設けられた音孔から外部に放たれる。
【0009】
本発明の電気音響変換装置では、電気音響変換器の正面と側面に音孔が設けられたことにより、電気音響変換器自身が有する電気音響変換器内部の空間容積と電気音響変換器と携帯型電子機器筺体内面間の電気音響変換器外部の空間容積の両方を、振動板の振動による空気(音)の排除容積として利用できると共に、側面音孔(排気孔)の開口面積も電気音響変換器内部の空間と電気音響変換器外部の空間の断面積を合わせた大きなものとなる。このため、振動板の振動に影響を与える音響抵抗が減少し、振動板が振動し易くなり、従来と同じ電気音響変換器駆動電力でも電気音響変換器の音圧が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気音響変換装置によれば、電気音響変換器の組み込みスペースやそれ自体の厚みを増加させることなく、電気音響変換器の音圧の向上を図ることができ、十分な音圧を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の電気音響変換装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係るスピーカの正面図、図2は図1のスピーカの分解斜視図、図3は図1のA−A断面図である。
【0012】
図1〜図3に示すように、スピーカ1は、矩形の一辺が半円形に盛り上げられたかまぼこ形の外形形状を有する樹脂材料からなるフレーム2と、フレーム2の正面側に配置され、周縁が円形の枠材3aを介してフレーム2に固定された樹脂や金属の薄膜フィルムからなる円形の振動板3と、フレーム2の略中央部に設けられた円形の貫通孔2aに嵌め込まれ、超音波溶着固定された磁性材料からなる有底円筒状のヨーク4a、ヨーク4aの内側底部に固着された円柱状のマグネット4b、マグネット4bの端面に固着された磁性材料からなる円板状のポールピース4c、から構成された内磁型の磁気回路4と、一端が振動板3の裏面に固着され、他端側が磁気回路4のヨーク4aとポールピース4c間の磁気ギャップ4dに配置されたボイスコイル5とを備え、ボイスコイル5に交流電流(音信号)を流すことで発生するスピーカ駆動力によりボイスコイル5をその軸芯に沿って振動させ、それに伴って振動板3が振動することで音を発生するダイナミック型スピーカに構成される。
【0013】
フレーム2には、振動板3とフレーム2間に形成された背面気室6から振動板3の振動に伴ってスピ−カ1の背面側へ放音(排気)する貫通孔でなる複数の背面音孔7が設けられ、フレーム2の背面には、各背面音孔7を一体的に塞ぐナイロン製でメッシュ状(通音性、通気性)の補償布8が感熱接着により貼り付けられる。
【0014】
フレーム2は、図示しない一対のターミナル端子をインサート成形することによって成形され、一対のターミナル端子がフレーム2の半円形に盛り上げられた前端部(図1の下側の端部)と反対側の後端側(図1の上端側)左右側部に埋め込まれており、各ターミナル端子の接触部がフレーム2の正面と背面にそれぞれ露出される。フレーム2の正面後端側両側部に露出された各ターミナル端子の板状接触部には、ボイスコイル5から引き出された2本のリード線5aがスポット溶接や半田付けにより固着されて電気接続され、フレーム2の背面後端側両側部に露出された各ターミナル端子のピン状接触部には、後述する携帯型電子機器の回路基板電極と弾接触することにより音信号を得るための一対の接触バネ片9がカシメおよび半田付けにより固定取り付けされて電気接続される。
【0015】
フレーム2は、半円形の前側縁およびその両端に連設された左右側縁からなるU形状の周側縁から正面側に側壁2bが立設され、正面側と後面側の2面が開放されている。
【0016】
スピーカ1の正面側には、振動板3を覆い保護するバッフル(プロテクター)10が設けられる。バッフル10は、金属板からなり矩形の一辺が半円形に盛り上げられたかまぼこ形の外形形状を有し、フレーム2より一回り小形に形成される。またバッフル10は、半円形の前側縁およびその両端に連設された左右側縁からなるU形状の周側縁から背面側に側壁10aが垂下され、背面側と後側面の2面が開放されている。
【0017】
バッフル10は、その側壁10aをフレーム2の正面側からその側壁2bの内側に嵌め込むことで、バッフル10の側壁10aが振動板3の周縁(枠材3a)上に当接支持され、バッフル10(詳しくは、バッフル10の平坦な主面)が振動板3の正面側でフレーム2の側壁2bと略同一高さに支持され、振動板3の保護機能を発揮すると共に、スピーカ1の平坦な正面を構成している。なお、バッフル10の固定は、接着剤によってバッフル10の側壁10aとフレーム2の側壁2b間で行われる。
【0018】
スピーカ1の正面を構成しているバッフル10には、振動板3とバッフル10間に形成された内部正面気室11から振動板3の振動に伴ってスピーカ1の正面側へ放音(排気)する貫通孔でなる複数の正面音孔12が設けられている。
【0019】
フレーム2とバッフル10は互いに嵌合されることで、後側面が開口されたかまぼこ形のスピーカケースを構成して、スピーカ1の外形を構成しており、これによって、振動板3とバッフル10間のスピーカ1後側面には、内部正面気室11から振動板3の振動に伴ってスピーカ1の後側方へ放音(排気)する側面音孔13が設けられている。
【0020】
スピーカ1の正面と後側面には、これら2面に跨ってパッド14が設けれている。パッド14は、周知のクッション材、例えば独立発泡体であるポロン材を一定の幅および厚みで環状に形成したもので、スピーカ1の正面と後側面に沿うように曲げ部14aを有し、曲げ部14aより一側のU形部が、バッフル10の半円形の前側縁およびその両端に連設された左右側縁からなるU形状の周側縁に沿ってバッフル10の正面周側縁部に貼り付けられ、曲げ部14aより他側のコ形部が、フレーム2の主面後端面と側壁2bの両後端面からなるスピーカ1の正面側に開いたコ形の後端面に貼り付けられ、パッド14によって正面音孔12と側面音孔13を一纏めに囲うような周側壁がスピーカ1の正面と後側面の2面に跨ってその周囲に形成されている。なお、パッド14の貼り付けは、接着剤や両面テープによって行われる。
【0021】
スピーカ1の正面と後側面には、これら2面に跨ってこれら2面を覆うナイロン製でメッシュ状(通音性、通気性)の補償布15が設けられている。補償布15は、パッド14のスピーカ1接合面と反対側面に沿うように曲げ部15aを有し、周縁部がパッド14のスピーカ1接合面と反対側面に接着剤や両面テープによって貼り付けられ、パッド14を介してスピーカ1の正面と後側面の2面に跨ってその周囲に貼り付けられている。なお、パッド14と補償布15とは、予め接着剤や両面テープによって貼り合わされて一部品として構成されている。
【0022】
側面音孔13が設けられ、かつパッド14の一部が貼り付けられるスピーカ1の後側面は、正面音孔12が設けられ、かつパッド14の一部が貼り付けられるスピーカ1の正面に対する曲げ角度が90度より小さい傾斜面に形成するもので、フレーム2の前端部をバッフル10の前端よりもさらに前側に突出し、その突出部分2cをバッフル10に対して90度より小さい曲げ角度で曲がるカット面に沿ってカットしたような、側面視で先端に行くに連れて高さ(厚み)が減じられる形状に形成し、スピーカ1の後側面を傾斜面に形成している。これによって、側面音孔13の開口面積を、スピーカ1の平坦な正面に対して垂直なスピーカ1の後側面に設けられた側面音孔と比べて大きくしている。また屈曲面(スピーカ1の正面と後側面)に対するパッド14の貼り付けに関し、貼り付け作業を容易に行うことができ、かつ角部で隙間を生じることなく確実に貼り付けることができる。なお、スピーカ1後側面のスピーカ1正面に対する曲げ角度が小さくなる程、スピーカ1の前後長が長くなることを考慮すると、その曲げ角度は約35度〜約45度が好ましい。
【0023】
なお、スピーカ1の後側面内あるフレーム2の主面後端面と側壁2bの両後端面からなるスピーカ1の正面側に開いたコ形の後端面、つまりパッド14の曲げ部14aより他側の貼り付け面2dは、各辺幅がパッド14の幅と同一になるように形成される。
【0024】
以上のように構成されたスピーカ1は、図3に示すように、例えば着信音や着信メロディーを放つ音孔20が、直方体形状の表示部側筺体21における先端側(直方体形状の操作部側筺体との結合部と反対側)の筺体側面21aで、表示部側筺体21の表示面側の筺体主面21bとの角部付近に設けられた折り畳み型携帯電話機の着信音や着信メロディを鳴動するスピーカとして使用される。これは、携帯型電子機器の筺体内に組み込まれる電気音響変換器が発する音を該電気音響変換器側方の前記筐体側面に設けられた音孔から外部に放つ電気音響変換装置の一例であり、折り畳み型携帯電話機、表示部側筺体21、筺体側面21a、音孔20がそれぞれ、携帯型電子機器、携帯型電子機器筺体、筺体側面、音孔に相当する。
【0025】
したがって、スピーカ1は、図3に示すように、折り畳み型携帯電話機の表示部側筺体21内における音孔20の直前位置に図示しない固定手段を介して固定される。
【0026】
その際、スピーカ1は、筺体主面21bの内面に、スピーカ1正面のパッド14および補償布15を介して当接されると共に、筺体側面21a内面の音孔20周囲に、スピーカ1後側面のパッド14および補償布15を介して当接され、表示部側筺体21内に固定される。
【0027】
またその際、スピーカ1は、パッド14が厚み寸法に対して20%程度圧縮されることにより、スピーカ1の正面および後側面と筺体主面21bの内面および筺体側面21aの内面との間に隙間ができないように、表示部側筺体21内に固定され、スピーカ1の正面および後側面と筺体主面21bの内面および筺体側面21aの内面との間に、スピーカ1正面側で内部正面気室11と正面音孔12を通して連通し、かつスピーカ1後側面側で側面音孔13と合流し、その側面音孔13を通して内部正面気室11と筺体側面21a内面の音孔20とに連通する空間、つまり外部気室16が形成される。
【0028】
さらにその際、スピーカ1は、表示部側筺体21内に配置された回路基板電極に、スピーカ1背面に設けられた一対の接触バネ片9を介して電気的に接続される。
【0029】
以上のように折り畳み型携帯電話機に実装されたスピーカ1は、表示部側筺体21と組み合わされたことで、スピーカ1の駆動によりスピーカ1の正面音孔12を通過した音(着信音や着信メロディー)は、スピーカ1正面の外部空間16に入り、筺体主面21bの内面に沿ってスピーカ1の側面音孔13の方向(後側方)へ伝搬し、スピーカ1の側面音孔13を通過した音とスピーカ1の側面音孔13付近で合流した後、筺体側面21aに設けられた音孔20から外部に放たれる。
【0030】
振動板3の正面側から側面音孔13までの空間は、振動板3の振動による空気(音)の排除容積であり、側面音孔13はその空気(音)の排気孔であるため、排除容積や側面音孔13の開口面積が小さいほど振動板3の振動に影響を与える音響抵抗(内部圧力)が上がり、振動板3が振動し難くなり、音圧の低下要因となるが、スピーカ1は、正面と側面に音孔12,13が設けられたことにより、スピーカ1自身が有するスピーカ1内部の空間(正面気室11)容積とスピーカ1と筺体主面21bの内面間のスピーカ1外部の空間(外部空間16)容積の両方を、振動板3の振動による空気(音)の排除容積として利用できると共に、側面音孔13の開口面積もスピーカ1内部の空間(正面気室11)とスピーカ1外部の空間(外部空間16)の断面積を合わせた大きなものとなる。このため、振動板3の振動に影響を与える音響抵抗が減少し、振動板3が振動し易くなり、従来と同じスピーカ1駆動電力でもスピーカ1の音圧が向上する。これをシミュレーションを行って確認する。
【0031】
図4はシミュレーション例を示すグラフであり、スピーカ1の正面と側面に音孔12,13が設けられた本実施形態のスピーカ装置と、比較対象として、図5に示すように、スピーカ1Aの正面のみに音孔12が設けられた正面放音型のスピーカ装置(比較例1)と、図6に示すように、スピーカ1Bの側面のみに音孔13が設けられた側面放音型のスピーカ装置(比較例2)との周波数−音圧特性を示す(入力:0.4W,測定距離10cm)。なお、比較例1,2のスピーカ装置は、本実施形態のスピーカ装置と比べて排除容積や側面音孔(排気孔)13の開口面積が小さい([発明が解決しようとする課題]参照)。
【0032】
シミュレーションの結果、本実施形態のスピーカ装置では、1.0〜1.3KHzの周波数において音圧レベルが比較例1,2のスピーカ装置に比べて高い音圧レベルが得られていることが判る。これによって、スピーカ1の正面と側面に音孔12,13を設け、空気(音)の排除容積と側面音孔13の開口面積の両方を大きすることで、音圧が向上することが確認できた。
【0033】
以上のように本実施形態のスピーカ装置は、スピーカ1の組み込みスペースやそれ自体の厚みを増加させることなく、スピーカ1の音圧の向上を図ることができ、十分な音圧を得ることができる。
【0034】
本実施形態のスピーカ装置では、スピーカ1の側面音孔13が設けられるスピーカ1の後側面を、スピーカ1の正面音孔12が設けられるスピーカ1の平坦な正面に対する曲げ角度が90度より小さい傾斜面に形成することで、側面音孔13の開口面積を、スピーカ1の平坦な正面に対して垂直なスピーカ1の後側面に設けられた側面音孔と比べて大きくしているため、スピーカ1の音圧を向上させることに寄与できる。またスピーカ1の正面と後側面に対するパッド14の貼り付け作業を容易に行うことができ、かつ角部で隙間を生じることなく確実に貼り付けることができる。さらに筺体主面21bの内面および筺体側面21aの内面に対するパッド14の当接を、角部で隙間を生じることなく確実に、かつ容易に行うことができる。これによって、折り畳み型携帯電話機の表示部側筺体21内へのスピーカ1の組み込み(実装)作業を容易に行うことができ、かつ外部気室16からの音漏れ等を生じることなく確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るスピーカの正面図である。
【図2】図1のスピーカの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】シミュレーション例を示すグラフである。
【図5】正面放音型のスピーカ装置(比較例1)の断面図である。
【図6】側面放音型のスピーカ装置(比較例2)の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 スピーカ(電気音響変換器)
2 フレーム
3 振動板
4 磁気回路
4a ヨーク
5 ボイスコイル
10 バッフル
11 正面気室
12 正面音孔
13 側面音孔
14 パッド
14a 曲げ部
16 外部気室
20 音孔
21 表示部側筺体(筺体)
21a 筺体側面
21b 筺体主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型電子機器の筺体内に組み込まれる電気音響変換器が発する音を該電気音響変換器側方の前記筐体側面に設けられた音孔から外部に放つ電気音響変換装置において、
前記電気音響変換器の正面と側面に設けられる音孔と、前記正面音孔と前記側面音孔を一纏めに囲うよう前記電気音響変換器正面から前記側面音孔が設けられた前記電気音響変換器側面に跨って設けられ前記筺体内面に当接することにより、前記正面音孔を通過した音を前記筺体内面に沿って前記側面音孔の方向へ導き前記側面音孔を通過した音と前記側面音孔付近で合流させた後、前記筐体側面に設けられた前記音孔に導く空間を形成する環状のパッドを備えていることを特徴とする電気音響変換装置。
【請求項2】
前記電気音響変換器の背面側には、磁気回路を構成するヨークと薄膜フィルムからなる振動板の周囲を支持するフレームが設けられ、前記電気音響変換器の正面側には、前記振動板を保護する金属板からなるバッフルが設けられ、前記正面音孔は、前記振動板正面側の前記バッフルに設けられ、前記側面音孔は、前記振動板と前記バッフル間の前記電気音響変換器側面に設けられている請求項1に記載の電気音響変換装置。
【請求項3】
前記側面音孔が設けられる前記電気音響変換器の側面は、前記正面音孔が設けられる前記電気音響変換器の平坦な正面に対する曲げ角度が90度より小さい傾斜面に形成されている請求項1または2に記載の電気音響変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−215075(P2007−215075A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34795(P2006−34795)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】