説明

電気駆動式の建設機械

【課題】
電気駆動式の建設機械において、上部旋回体と下部走行体間であってセンタジョイントの下方に配置したスリップリングの防水を確実にして、スリップリングの信頼性を向上させる。
【解決手段】
電気駆動式の建設機械100は、下部走行体2と、下部走行体の上方に旋回自在に配置された上部旋回体15とを有する。上部旋回体の旋回中心線上であって、下部走行体との間であって上側にセンタジョイント27を下側に集電装置30をそれぞれ配置する。集電装置は複数のスリップリング35とこのスリップリングに対応して設けられスリップリングに摺接する複数のブラシ356を有する。スリップリングに給電する給電系の配線55がセンタジョイントの内側筒体51の内部を上下方向に貫通する。センタジョイントの上方に、センタジョイントの上部端面から雨水が侵入するのを防止する防水手段61を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下部走行体上に上部旋回体を旋回可能に搭載した電気駆動式の建設機械に係り、特に下部走行体と上部旋回体との間に集電装置を備える電気駆動式の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気駆動式の建設機械の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載の建設機械では、下部走行体と上部旋回体との間に設けるセンタジョイントを、トラックフレームに固定されるボディと、旋回フレームに廻止め部材を介して固定されるスピンドルとにより構成している。そしてスピンドルの中心側に設けた貫通孔の上方には、旋回中心上に位置して集電装置を配している。また、集電装置の集電ケースには複数の脚部を設け、これらの脚部をスピンドルの上側端面に突当てた状態で固定している。さらに、集電ケースとスピンドルとの間には、脚部によって水抜き用の通路が形成されている。これにより、センタジョイントと集電装置との間の通気性、水抜け性等を高め、センタジョイントと集電装置の耐久性、寿命等の向上を図っている。
【0003】
従来の電気駆動式の建設機械の他の例が、特許文献2に記載されている。この公報では、電気駆動式油圧ショベルの下部走行体に、左サイドフレームと右サイドフレームとを設け、これらのサイドフレームには走行用の履帯を巻装している。そして、左サイドフレームの左側板には、外部電源と接続される側面コネクタを設け、この電源から電源ケーブル、側面コネクタ、集電装置等を経由して上部旋回体側の電動機に給電している。
【0004】
なお、下部走行体と上部旋回体との間にはセンタジョイントが設けられ、上部旋回体の旋回中心に配置されている。このセンタジョイントの内部には油路が設けられ、制御弁と走行モータや排土板シリンダとを接続している。さらに、センタジョイントの下側であってこのセンタジョイントと同軸に、上記集電装置が設けられている。集電装置は、下部走行体と上部旋回体との間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−077768号公報
【特許文献2】特開2008−008009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の建設機械では、センタジョイントのスピンドルと集電装置の集電ケースとの間に水抜き用の通路が形成されており、何らかの理由で集電装置に入り込んだ水分が抜ける構成になっており、集電装置の信頼性を向上させている。そもそもこの特許文献1に記載の建設機械では、センタジョイントの上方に集電装置が取り付けられているので、集電装置の集電ケースがキャップの役割を果たしている。そのため、上部旋回体が旋回しても集電装置には、雨水等が入りにくい構造となっている。
【0007】
さらに、センタジョイントの上方に集電装置を取り付けた結果、集電装置へのケーブル等は、廻止め部材の側面から外部へ取り出す構造になっており、この取り出し部をシールさえすれば雨水の対策を容易に実施できる構造となっている。したがって、この公報に記載の建設機械の場合には、集電装置を防水することについてほ、ほとんど考慮する必要はない。
【0008】
一方、上記特許文献2に記載の建設機械では、集電装置がセンタジョイントの下部に配置されるので、センタジョイントの上端部から内側筒体の内周側を通って、集電装置のスリップリングへ上部側給電配線が配線される。すなわち、中空状に形成されたセンタジョイントの内側筒体では、上部側給電配線と内側筒体の間に空間が形成され、この空間へ雨水が侵入するおそれがある。そこで、この特許文献2では詳細には記載されていないが、一般的には給電配線と内側筒体との間をシリコン樹脂で充填して雨水の侵入を防止してきた。
【0009】
しかしながら、建設機械は多年、例えば10年以上使用される場合もあり、シリコン樹脂の経年劣化により雨水の侵入するおそれが生じている。また、センタジョイントは建設機械の中心部に位置するので、建設機械を分解しなければシリコン樹脂の最充填作業が困難である。さらに、給電配線は複数本必要であり、この複数本の配線が内側筒体内部を通過するので、シリコン樹脂を給電配線表面に均等に塗布することも困難になっている。その上、ケーブルグラウンドを使用した場合には、複数の給電配線の防水性を確保することが困難であるばかりでなく、個々の給電配線にケーブルグラウンドを使用するにはスペースが不足している。
【0010】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、外部電源を用いて建設機械に搭載された電動モータを駆動する電気駆動式の建設機械において、上部旋回体と下部走行体間であってセンタジョイントの下方に配置したスリップリングの防水を確実にして、スリップリングの信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の特徴は、下部走行体と、この下部走行体の上方に旋回自在に配置された上部旋回体とを有する電気駆動式の建設機械において、前記上部旋回体の旋回中心線上であって、下部走行体との間の上側にセンタジョイントを、下側に集電装置をそれぞれ配置し、前記センタジョイントは同心状に配置された内側筒体と外側筒体を有し、前記上部旋回体の旋回に伴い前記内側筒体と前記外側筒体が相対的に回転し、前記集電装置は複数のスリップリングとこのスリップリングに対応して設けられ前記スリップリングに摺接する複数のブラシとを有し、前記スリップリングに給電する給電系の配線が前記センタジョイントの内側筒体の内部を上下方向に貫通しており、前記センタジョイントの上部にこのセンタジョイントの上部端面から雨水が侵入するのを防止する防水手段を設け、前記防水手段は前記配線を上方に折り返すように配置したことにある。
【0012】
そしてこの特徴において、前記防水手段は、内部を前記給電系の配線が貫通する曲管とこの曲管の一方の端部に取り付けたフランジとを有し、前記フランジは前記内側筒体の上端の開口を覆って取り付けられており、前記曲管の他方の端部は、下向きに開口して取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また上記特徴において、前記防水手段は、前記内側筒体の上端の開口よりも広い口径のキャップ状に形成された覆いであって、この覆いの中間部と前記内側筒体の上端とを接続する複数個の脚部材を設けてもよい。さらに、前記キャップ状の覆いの下端を、前記内側筒体の上端の開口よりも下方に配置するのがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気駆動式の建設機械において、センタジョイントの上部に給電系の配線を上方にて折り返すように配置した防水手段を設け、配線とセンタジョイントの内側筒体が形成する空間へ雨水が侵入するのを防止したので、上部旋回体と下部走行体間であってセンタジョイントの下方に配置したスリップリングの防水が確実になり、スリップリングの信頼性を向上できる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電気駆動式の建設機械の一実施例の側面図。
【図2】図1に示した建設機械が有する下部走行体の主要部の上面図。
【図3】図1に示した建設機械のセンタジョイント部の縦断面図。
【図4】本発明に係る防水手段の一実施例の正面図。
【図5】本発明に係る防水手段の他の実施例の部分断面図およびそのA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電気駆動式の建設機械について、図面を用いて説明する。図1に、電気駆動式の建設機械100の一実施例を、側面図で示す。本実施例では、建設機械100として油圧ショベルを取り上げているが、建設機械100は油圧ショベルに限るものではなく、油圧クレーン等の電気駆動式の建設機械にも適用できる。
【0017】
油圧ショベル100では、下部走行体2に旋回可能に上部旋回体15が取り付けられている。下部走行体2の前部に、排土板14が上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0018】
上部旋回体15は、下部走行体2に載置される旋回フレーム16と、旋回フレーム16の上部に設けられ運転席を有するキャブ18と、キャブ18の後方に設けられた建家カバー19とを備えている。上部旋回体15の前部には、掘削等の作業に使用するフロント21の一端部が取り付けられている。建家カバーの後端部には、カウンタウェイト17が配置されている。旋回フレーム16上には、詳細を後述する電動機22や制御装置23、油圧ポンプ24、タンク等の機器が配置されており、これら各機器には図示しない外部電源から電源側ケーブル1を介して電力が供給されている。なお、下部走行体2には、この電源側ケーブル1を保持するために、ケーブル支持手段25が取り付けられている。
【0019】
フロント21は、下ブーム41、上ブーム42、アーム支持体43、アーム44、バケット45の各部材がキャブ18側から順に接続されて構成されており、これら部材を駆動するためにシリンダ46〜49が各部材に近接して配置されている。すなわち、上部旋回体15の前部には、上下方向に俯仰動可能に下ブーム41が取り付けられており、下ブーム41の先端には、左右方向に揺動可能に上ブーム42が取り付けられている。上ブーム42の先端には、左右方向に揺動可能にアーム支持体43が取り付けられており、アーム支持体43には、回動可能にアーム44が取り付けられている。アーム44の先端には、回動可能にバケット45等のアタッチメントが取り付けられている。
【0020】
下ブーム41を駆動するためにブームシリンダ46が、アーム44を駆動するためにアームシリンダ47が、バケット45を駆動するためにバケットシリンダ48がそれぞれ設けられている。上ブーム42は、オフセットシリンダ49により揺動駆動される。
【0021】
図2に、下部走行体2の主要部を上面図で示す。この図2に示すように、下部走行体2は、例えば鋼板、鋼材等で製作されたトラックフレーム3(図1参照)と、このトラックフレーム3に巻装された履帯10、11と、この履帯10、11を駆動する走行モータ12、13とを有する。
【0022】
トラックフレーム3は、中央部にセンタフレーム4が配置されており、センタフレーム4の左右両側には、サイドフレーム5、6が配置されている。各サイドフレーム5、6とセンタフレーム4とは、X字型に接続部7、8で接続されている。鋼板製のセンタフレーム4の上部には、円筒状の丸胴9が固着されている。サイドフレーム5、6は、この油圧ショベル100の前、後方向に延びる四角筒状体である。接続部7、8も同様に、細長い中空構造体である。履帯10、11はトラックフレーム3のサイドフレーム5、6に巻装されており、下部走行体2の左右両側に配置される。
【0023】
トラックフレーム3の丸胴9上には、旋回フレーム16が旋回輪20を介して旋回可能に搭載されており、図示しない旋回モータが、この丸胴9を駆動する。旋回モータが旋回フレーム16を回転駆動すると、上部旋回体15は、図1中に示した軸線O−Oを旋回中心として旋回動作する。
【0024】
油圧ショベル100は、左右の履帯10、11を互いに同一方向または逆方向に回転駆動することにより、車両を前後方向に走行させたり、旋回走行させる。排土板14は、トラックフレーム3の前部に回動可能に設けられる。排土板14は、土砂均し等の作業に用いられ、図示しない排土板シリンダにより、上下方向に回動される。
【0025】
建家カバー内に収容された電動機22は、電気駆動式の油圧ショベル100の動力源であり、例えば三相交流モータである。外部電源から制御装置23を介して給電されて、油圧ポンプ24を駆動する。制御装置23は、例えば油圧ショベル100の運転状態やオペレータの運転操作等に応じて、外部電源から電動機22への給電状態を制御する。
【0026】
同様に建家カバー19に収容された油圧ポンプ24は、タンクとともに油圧ショベル100の油圧源を構成する。油圧ポンプ24は電動機22によって駆動され、タンク内の作動油を圧油として吐出する。この作動油は、オペレータの運転操作等に応じて図示しない制御弁から各種のアクチュエータ(走行モータ12、13や排土板シリンダ、旋回モータ、フロント21の各シリンダ46〜49等)に給排され、これらのアクチュエータを作動させる。
【0027】
下部走行体2と上部旋回体15との間には、センタジョイント27が設けられている。図3に示すように、センタジョイント27は上部旋回体15の旋回軸Oにその中心を一致させて配置される。そして、上側油圧配管と下側油圧配管とを軸線O−O回りに回転可能に接続する。ここで、図3はセンタジョイント27部の縦断面図である。
【0028】
センタジョイント27は、上部旋回体15の旋回フレーム16等に取付けられた内側筒体51と、内側筒体51と同心で内側筒体51に回転可能に嵌合された外側筒体52とを有している。外側筒体52は、下部走行体2側に取付けられている。内側筒体51と外側筒体52には、これら両筒体51、52が相対回転したときにも互いに連通した状態を保持するために、図示しない環状の油路が形成される場合もある。
【0029】
油路が形成される場合には、内側筒体51の油路に上側油圧配管が接続され、外側筒体52の油路に下側油圧配管が接続される。上部旋回体15が下部走行体2上で旋回するときには、この旋回動作に伴って内側筒体51と上側油圧配管52とが軸線O−Oを中心として回転する。このとき上側油圧配管は、各筒体51、52の油路によって下側油圧配管と連通する。
【0030】
下部走行体2と上部旋回体15との間には集電装置30が設けられている。集電装置30は、センタジョイント27の下方にセンタジョイント27と同軸に配置されている。そして、上部旋回体15側の電気系統と下部走行体2側の電気系統とを、軸線O−O回りに回転可能に接続する。
【0031】
詳しく説明すると、集電装置30は、ケーシング33および回転体34、スリップリング35、ブラシ36とを有している。円筒状のケーシング33は、下部走行体2が有するトラックフレーム3のセンタフレーム4に取り付けられている。回転体34は、センタジョイント27の内側筒体51の下端部に取付けられており、ケーシング33内で軸線O−O回りに回転可能になっている。導電性の材料で構成された複数のスリップリング35は、環状板形状に形成されており、回転体34に互いに間隔をもって設けられている。導電性の材料からなるブラシ36は、ケーシング33側に取付けられており、各スリップリング35に対応して配置され、スリップリング35の外周と摺接する。
【0032】
各スリップリング35は、上側給電配線31を構成する個々の配線に接続され、各ブラシ36は、下側給電配線32を構成する個々の配線に接続されている。上部旋回体15が下部走行体2上で旋回すると、それとともに各スリップリング35と上側給電配線31が軸線O−O回りに回転する。このとき、各スリップリング35にブラシ36が摺接しているので、上側給電配線31は下側給電配線32と接続状態になる。
【0033】
上側給電配線31は上部旋回体15に設けられており、下側給電配線32は下部走行体2に設けられている。これらの給電配線31、32は、例えば複数の配線を束ねたケーブルであり、外部電源から電動機22に給電するのに用いられる。上側給電配線31の一端側は、制御装置23を介して電動機22に接続されている。上側給電配線31の他端側は、センタジョイント27の内側筒体51の内周側を通って集電装置30のスリップリング35に接続される。そして、ブラシ36を介して下側給電配線32に接続される。下側給電配線32は、集電装置30部からトラックフレーム3のセンタフレーム4および接続部7を経てサイドフレーム5の内部のコネクタに延び、電源側ケーブル1を介して外部電源に接続される。
【0034】
次に、本発明に係る集電装置30部のいくつかの実施例を、図4および図5を用いて説明する。図4は、センタジョイント27の部分を取り出した図である。センタジョイント27の内側筒体51の上端部には、防水手段60が固定ボルト63で取り付けられている。防水手段60は、センタジョイント27の内側筒体51の外形に応じた外形を有するフランジ62と、このフランジ62の中央部に取り付けた曲管61とを有している。
【0035】
フランジ62の中央部には、曲管61に連通する孔が形成されている。曲管61は、逆U字型状に形成されており、内部を配線64が通っている。曲管61が逆U字型状に形成されていてその先端が下側を向いているので、上部旋回体15が旋回動しても、この曲管61から雨水や塵埃がセンタジョイント27内部や集電装置30の内部に侵入するのを防止できる。
【0036】
さらに、曲管61の内周と配線64間の隙間を、建設機械100の製作時にシリコン等で密封しておけば、経年変化でシリコンが劣化することを考慮しても、長期にわたり雨水や塵埃がセンタジョイント27と集電装置30の内部へ侵入するのを防止でき、集電装置30部の信頼性が向上する。
【0037】
なお、本実施例では、曲管形状を逆U字型としたが、曲管の形状はこれに限るものではなく、開口部が下向きに形成されておればよい。すなわち、曲管の開口部が下向きであれば、曲管の途中には必ず開口部より高い部分が形成され、雨水や塵埃の侵入を防止できる。
【0038】
本発明に係る防水手段の他の実施例を、図5に示す。本実施例は、センタジョイント27の部分を取り出した図であり、センタジョイント27を断面で示した縦断面図(同図(a))および(a)図のA−A断面図(同図(b))である。本実施例では防水手段70として、逆U字状の曲管61の代わりにセンタジョイント27の内側筒体51の端部に形成される開口75部を覆うキャップ71を設けている。
【0039】
上記実施例と同様にスリップリング35に給電する配線64が、センタジョイント27の内側筒体51の上端に形成される開口75から引き出されている。そこで、開口75の上方にこの開口75よりも外形が大きい有底円筒を逆さにしたキャップ71を配置し、防水手段70とする。このキャップ71を固定するために、脚部材75を内側筒体51とキャップ71間に配置し、固定する。脚部材75は棒状なので、脚部材75間から配線51を取り出す。
【0040】
本実施例においても、内側筒体51の上部がカバーされるとともに、配線64が上方で折り返されるので、雨水が配線64を伝わってセンタジョイント27の内部や集電装置30の内部に侵入するのをを防止できる。なお、キャップ71の高さを脚部材75の高さより高くして、キャップ71の下端が、内側筒体51の上端よりも低い位置にすれば、より一層雨水のセンタジョイント27内への侵入を防止できる。
【0041】
また、脚部材75は円筒状であってもよい。さらに、上記実施例と同様、内側筒体51内面と配線64間の空間をシリコンで充填するようにしてもよい。また、キャップ71の形状は有底円筒を逆さにしたものに限るものではなく、内側筒体51の外形よりも大きい形状であればよい。
【0042】
上記各実施例によれば、電気駆動の建設機械において、センタージョイントへの雨水の侵入を防止できるので、建設機械のセンタジョイント部をメンテナンスすることなく、長期間にわたって信頼性高く運転することが可能になる。
【符号の説明】
【0043】
1…電源側ケーブル、2…下部走行体、3…トラックフレーム、4…センタフレーム、5、6…サイドフレーム、7、8…接続部、9…丸胴、10、11…履帯、12、13…走行モータ、14…排土板、15…上部旋回体、16…旋回フレーム、17…カウンタウエイト、18…キャブ、21…フロント、22…電動機、23…制御装置、24…油圧ポンプ、25…ケーブル支持手段、27…センタジョイント、30…集電装置、31、32…給電ケーブル、33…ケーシング、34…回転体、35…スリップリング、36…ブラシ、41…下ブーム、42…上ブーム、43…アーム支持体、44…アーム、45…バケット、46…ブームシリンダ、47…アームシリンダ、48…バケットシリンダ、49…オフセットシリンダ、51…内側筒体、52…外側筒体、60…防水手段、61…曲管、62…フランジ、63…固定ボルト、64…配線、70…防水手段、71…キャップ(覆い)、75…脚部材、100…建設機械(油圧ショベル)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、この下部走行体の上方に旋回自在に配置された上部旋回体とを有する電気駆動式の建設機械において、
前記上部旋回体の旋回中心線上であって、下部走行体との間の上側にセンタジョイントを、下側に集電装置をそれぞれ配置し、前記センタジョイントは同心状に配置された内側筒体と外側筒体を有し、前記上部旋回体の旋回に伴い前記内側筒体と前記外側筒体が相対的に回転し、前記集電装置は複数のスリップリングとこのスリップリングに対応して設けられ前記スリップリングに摺接する複数のブラシとを有し、前記スリップリングに給電する給電系の配線が前記センタジョイントの内側筒体の内部を上下方向に貫通しており、前記センタジョイントの上部にこのセンタジョイントの上部端面から雨水が侵入するのを防止する防水手段を設け、前記防水手段は前記配線を上方にて折り返すように配置することを特徴とする電気駆動式の建設機械。
【請求項2】
前記防水手段は、内部を前記給電系の配線が貫通する曲管とこの曲管の一方の端部に取り付けたフランジとを有し、前記フランジは前記内側筒体の上端の開口を覆って取り付けられており、前記曲管の他方の端部は、下向きに開口して取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気駆動式の建設機械。
【請求項3】
前記防水手段は、前記内側筒体の上端の開口よりも広い口径のキャップ状に形成された覆いであって、この覆いの中間部と前記センタジョイントの上端とを接続する複数個の脚部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電気駆動式の建設機械。
【請求項4】
前記キャップ状の覆いの下端を、前記内側筒体の上端の開口よりも下方に配置したことを特徴とする請求項3に記載の電気駆動式の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225048(P2012−225048A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93444(P2011−93444)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】