電池およびその製法および使用
【課題】有機物質に電気的刺激を適用する装置並びに技術を提供する。
【解決手段】基板、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含む前記基板と結合した多数の第一のリザーバ102、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含む前記基板と結合した多数の第二のリザーバ104を含み、前記バインダ材料が導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入することを特徴とする装置。
【解決手段】基板、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含む前記基板と結合した多数の第一のリザーバ102、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含む前記基板と結合した多数の第二のリザーバ104を含み、前記バインダ材料が導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件特許出願は、継続中の、本明細書に参考文献として組入れられる、2004年2月19日付の米国特許出願第10/784,088号の、一部継続出願に係る。
【背景技術】
【0002】
生体組織、細菌、ウイルス、真菌、およびその他の生物または有機物質は、電気的刺激によって影響される可能性がある。従って、多くの医学的な問題を扱うために、有機物質に電気的刺激を適用する装置並びに技術が、開発されてきた。
【発明の概要】
【0003】
一態様は、基板と結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを持つ装置を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0004】
もう一つの態様は、第一の基板表面および第二の基板表面を持つ基板を持つ装置を含む。第一の材料組成物製の、多数の第一のリザーバは、該基板と結合しており、また第二の材料組成物製の多数の第二のリザーバは、該多数の第一のリザーバに隣接する、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバから選択された第一リザーバ表面は、該第一の基板表面において露出しており、かつ該第一の材料組成物は、第一の電位を有している。該多数の第二のリザーバから選択された第二リザーバ表面は、該第一の基板表面において露出し、かつ該第一リザーバ表面の内の隣接するものとは、物理的に分離しており、また該第二の材料組成物は第二の電位を有し、該第二の電位は、該第一の電位とは異なっている。
【0005】
別の態様は、所定の装置を含み、該装置は、第一の表面を持つ基板と、この装置と結合した、間隔を置いて配置された、多数の異種リザーバとを含む。該装置は、電気的に独立であり、かつ活性化した際に、外部電源を必要とすること無しに、該間隔を置いて配置された、1またはそれ以上の、多数の異種リザーバ間に、電流を生成することができる。
【0006】
もう一つの態様は、基板と、該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、該基板と結合した多数の第二のリザーバとを持つ組織接触装置を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0007】
別の態様は、可撓性の基板を持つ、創傷用の包帯を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0008】
もう一つの態様は、実質的に目の表面の輪郭を持つように形成された基板を持つ、目と接触する型の装置を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0009】
別の態様は、実質的に耳管の輪郭を持つように形成された基板を持つ、耳管インサートを含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。
該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0010】
もう一つの態様は、実質的に膣領域内表面の輪郭を持つように形成された基板を有する、膣内装置を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0011】
別の態様は、可撓性の基板を持つ、内部人工補綴具を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0012】
もう一つの態様は、ある装置の製法を含み、該方法は、基板と、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバとを結合する工程を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0013】
別の態様は、生体組織を処置する方法を含み、この方法は、該生体組織にある装置を適用する工程を含む。該装置は、基板と結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一例としての態様に従う、異種のリザーバに関する、第一の構成を持つ、医療用電池の平面図である。
【図2】医療用電池の一部に関する平面図であり、一例としての態様に従う、異種リザーバ間の電流を示す。
【図3】例示的態様に従う、図2に示した医療用電池の一部の、ライン3-3に沿って取った、断面側面図である。
【図4】医療用電池の一部に関する平面図であり、この電池は、例示的態様に従う、少なくとも一つの複合リザーバを含む。
【図5】例示的態様に従って、図4のライン5-5に沿って取った、医療用電池の一部を示す断面側面図である。
【図6】例示的態様に従う、異種のリザーバの第二の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図7】例示的態様に従う、異種リザーバの第三の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図8】例示的態様に従う、異種リザーバの第四の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図9】例示的態様に従う、異種リザーバの第五の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図10】例示的態様に従う、異種リザーバの第六の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図11】例示的態様に従う、異種リザーバの第七の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図12】例示的態様に従う、異種リザーバの第八の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図13】例示的態様に従う、異種リザーバの第九の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図14】例示的態様に従う、医療用電池の製法に関するフロー図である。
【図15】例示の態様に従って、基板表面に結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。
【図16】例示の態様に従って、接着性物質を用いて、基板表面に結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。
【図17】例示の態様に従う、表面に窪みを持つ基板の一部を示す、断面側面図である。
【図18】例示の態様に従う、基板内の窪み内で、表面と結合している、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む、図17に示した基板の断面側面図である。
【図19】例示の態様に従う、表面に孔を持つ基板の一部を示す断面側面図である。
【図20】例示の態様に従う、基板における孔内に堆積された多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む、図19に示した基板に関する断面側面図である。
【図21】例示の態様に従う、基板の第一表面と結合している多数の第一のリザーバおよび基板の第二表面と結合した層として与えられた、第二のリザーバを含む、該基板の一部を示す断面側面図である。
【図22】例示の態様に従う、基板と結合している、実質的に平滑なリザーバ表面を持つリザーバを示す図である。
【図23】例示の態様に従う、かなりの表面不連続性を持つ、リザーバ表面を有するリザーバを示す図である。
【図24】例示の態様に従う、基板、リザーバ、組織接触層、流体吸収層、固定機構、活性化物質性のリザーバ、および活性化物質を含む、装置の断面、側面図である。
【図25】例示の態様に従う、創傷用包帯の平面図である。
【図26】例示の態様に従う、ライン26-26に沿って取った、図25の創傷用包帯の断面、側面図である。
【図27】例示の態様に従う、目と接触する型のデバイスの、斜視図である。
【図28】例示の態様に従う、内部人工補綴デバイスの斜視図である。
【図29】例示の態様に従う、耳管インサートの斜視図である。
【図30】例示の態様に従う、タンポンの斜視図である。
【図31】例示の態様に従う、ターゲット組織領域に装置を適用する方法を示す、フロー図である。
【図32】装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図33】装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図34】35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図35】35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面全体を通して、類似する参照番号は、類似する項目を意味する。
「医療用電池」として表すことのできる、様々な装置に関する態様を、ここに記載する。更に、医療装置の製造方法および「ターゲット組織」に医療装置を適用する方法に関する、様々な態様をもここに記載する。幾つかの態様において、「医療用電池」なる用語は、幾つかの状況の下で、「ターゲット組織」の所定領域と接触して、電気的刺激を発生できる、および/またはターゲット組織の所定領域に向けて、1種またはそれ以上の治療物質を電気的に刺激、誘導(例えば、イオン泳動)できる、および/またはターゲット組織内の1種またはそれ以上の生物的またはその他の物質に影響(例えば、誘引、殺傷、中和等)を及ぼすことのできる装置として定義することができる。該「ターゲット組織」なる用語は、ヒトの組織、動物組織および/または植物組織を含むが、これらに限定されない。「組織」とは、例えば内部または外部軟質組織および骨を含むが、これらに限定されない。以下の説明は、ターゲット組織への適用および該組織の領域に集中しているが、使用中に、様々な態様が、該ターゲット組織に近似する効果を生成でき、また幾つかの用途では、生物の1種またはそれ以上の系全体に系統的に、該効果を発生するものであることを理解すべきである。
【0016】
様々な態様において、装置は、「別々のリザーバ」を含むことができ、これらは1種またはそれ以上の基板と結合して、医療用の電池を生成することができる。幾つかの態様において、該用語「別々のリザーバ」とは、境界を持つ物質の集団として定義することができる。リザーバ境界の形状は、様々な態様において、大幅に変更することができる。従って、例示した態様は、様々な形状の境界および断面形状を持つリザーバを含むことができるが、本発明の課題は、他の形状の境界および断面形状を持つリザーバを含む態様をも包含するものであると、理解すべきである。更に、用語「基板」とは、ここでは単数形として使用できるが、様々な態様において、装置は、多数の相互に接続された、またはばらばらに解体された基板表面を持つことが可能であるものと理解すべきである。従って、多数の基板表面を含む態様は、本発明の課題の範囲内に含まれるものとする。
【0017】
ここに記載する態様は、2つの型の異種のリザーバを含む医療用電池を含むが、これらに限定されず、ここで第一の型のリザーバは、電池セル(battery cell)の第一の部分を確立し、また第二の型のリザーバは、電池セルの第二の部分を確立し得る。様々な態様において、1種またはそれ以上の第一の型のリザーバは、異種の型の1種またはそれ以上の第二のリザーバと共に、(例えば、相互に隔置された関係で)所定形状に形成される。該用語「隔置された関係」とは、幾つかの態様では、相互に空間的な配置関係を持つものとして定義できる。該用語「異種の型」および「異種のリザーバ」とは、幾つかの態様では、該リザーバに含まれる材料の点で異なる、および/または該リザーバに含まれる材料の割合の点で異なる材料組成を持つリザーバとして定義できる。
【0018】
他の態様では、医療用電池は、1種の型のリザーバのみを含むものであり得、あるいは医療用電池は、2種以上の異種の型のリザーバを含むものであり得ることを理解すべきである。更に、例証した態様が、例示の目的で与えられたものであり、従ってここに例示したものとは異なる構成を持つ医療用の電池が、本発明の課題の範囲内に入るものであることをも理解すべきである。従って、これらの例証に用いた態様は、例示の目的で与えられたものであり、本発明の課題の範囲を、これらの例証した態様に限定すべきものと理解すべきではない。
【0019】
第一および第二リザーバに関連する、添付図における逆向きの綾目陰影の使用は、該第一および第二リザーバが、導電性金属から製造され、あるいはこれを含有することの暗示を意味するものではないが、これらの一方または両者は、導電性金属から製造することができ、あるいはこれを含有し得るものであることを理解すべきである。事実、添付図における逆向きの綾目陰影は、これらのリザーバが、異種のものであることを示すために使用している。
【0020】
図1は、一例としての態様に従う、異種のリザーバに関する、第一の構成を持つ、医療用電池100の平面図である。特に電池100は、基板106と結合した、多数の第一の別々のリザーバ102および多数の第二の別々のリザーバ104を含む。第一の別々のリザーバ、第二の別々のリザーバ、基板および医療用電池のその他の部分を製造するのに使用できる様々な材料は、後で説明する。
【0021】
図1に示したように、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104は、実質的に円形の、充実形状(例えば、図示のものを上から見た場合)を持つことができる。他の態様では、第一および第二リザーバの一方または両者は、正方形、矩形、楕円型、六角形、実質的な線形、実質的な平面形状、螺旋形、円盤形、オープンセンター形、十字形、文字形、数字形、符号形、不規則形、および/またはその他の形状を含むが、これらに限定されない、交互の形状を持つことができる。
【0022】
一態様において、第一のリザーバ102は、約2mmなる径108(または幅)を持つことができ、また第二のリザーバ104は、約1mmなる径110(または幅)を持つことができる。他の態様では、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104の一方または両者は、上に与えられた値よりも大きな、または小さな、1またはそれ以上の寸法(例えば、高さ、幅、長さ)を持つことができる。リザーバの寸法は、様々な態様において、上に与えられた値よりも、大幅に小さいものであり得る。例えば、ある装置は、ナノメータ(nm)スケール(例えば、約1nm〜約10,000nmまたはそれ以上)で測定できる寸法を持つことのできる、「ナノ次元のリザーバ」を含むことができる。更に、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104は、同様なサイズまたは形状のものであり得、あるいはこれらのサイズおよび/または形状は、実質的に相互に異なるものであり得る。
【0023】
該第一および第二リザーバにおける材料の濃度および/またはその量、および/またはこれらの相対的なサイズ(例えば、寸法または表面積)は、本発明の装置の運転挙動の様々な特徴を達成するために、慎重に選択することができる。例えば、第一および第二リザーバにおける材料の量は、ほぼ所定の速度で枯渇し、および/または活性化後のほぼ所定の期間経過後に「消滅する」、医療用電池を与えるように選択することができる。一態様において、1またはそれ以上の該第一リザーバおよび1またはそれ以上の該第二リザーバは、活性化後、ほぼ予め決められた期間に渡り、1またはそれ以上の電流を維持するように配置する。
【0024】
様々な態様において、該第一リザーバおよび該第二リザーバにおける材料は、この装置の作動後に、徐々に消滅するものであり得る。例えば、一態様において、第一のリザーバは、銀を含み、かつ第二のリザーバは亜鉛を含むことができる。この装置の作動後に、該銀および/または該亜鉛の幾分かまたは全てが、その起電力(例えば、イオン泳動法)、リザーバの劣化、リザーバ材料の散逸、またはその他を介して、その各リザーバから徐々に排出される。あるいはまた、もしくは更に、該第一および第二リザーバ間の電位は、徐々にほぼゼロまで低下するものであり得る。少なくとも1種のガルバニ材料が枯渇し、および/または電位が大幅に低下した場合には、該第一および第二リザーバ間のレドックス反応は、結局は減衰または停止する可能性がある。
【0025】
幾つかのリザーバ材料が、該ターゲット組織に対して治療効果を持つ可能性があり、および/または後で説明するような、他の生物学的活性をもたらす可能性がある。幾つかの場合において、異種リザーバ間のレドックス反応の停止後においてさえ、1種またはそれ以上のリザーバ材料の治療効果またはその他の効果を維持することが望ましい場合がある。従って、第二の異種リザーバに対する第一のリザーバの相対的なサイズまたはその材料濃度は、該第一リザーバ内の該材料の効果が、レドックス反応の停止後においても継続されるように、選択することができる。例えば、第一のリザーバは、所定量の亜鉛を含むことができ、また第二のリザーバは、所定量の銀を含むことができる。この銀の量は、これらリザーバ間のレドックス反応が停止した際に、銀が完全に枯渇しないように選択することができ、従ってこの銀の治療効果(例えば、抗菌作用)は、持続し得る。逆の場合も可能である(例えば、該レドックス反応が停止した際に、上記亜鉛が、完全に枯渇しなくても良い)。
【0026】
一態様において、基板106は、上面112を含む。該多数の第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、一態様において、基板106の表面112を横切って、該多数の第二の別々のリザーバ104の内の選択されたものから、物理的に分離されている。基板106は、実質的に二次元装置(例えば、深さ方向の次元に比して、著しく大きな幅および高さ方向の次元を持つ装置)の一部を形成することができ、あるいは様々な態様では、実質的に3次元の装置(例えば、深さ方向の次元に比して、さほど大きくない幅および高さ方向の次元を持つ装置)の一部を形成することができる。様々な態様において、表面112は、実質上平面(例えば、平坦)である。他の態様においては、基板106は、輪郭のあるおよび/または非-平面状の上面を含むことができる。基板106および/または表面112は、様々な態様では、剛性であり得、またはこれらは成形性、屈曲性、および/または実質上整合性を持つことができる。
【0027】
一態様において、第一の別々のリザーバ102は、上面112と「近接する」第一の別々のリザーバ表面を含み、また第二の別々のリザーバ104は、上面112と近接する第二の別々のリザーバ表面を含む。該用語「表面に近接する」とは、幾つかの態様では、ある表面に関して、上方位置または僅かに上方の位置、その上、実質的に同一平面の、またはその下方、もしくはその僅かに下方等の位置関係を包含する、該表面に関する位置的な相関関係を持つものとして定義することができる。「表面に近接する」なる用語は、他の態様では、ある表面に関して、例えば異種のリザーバ間において、電気的な連絡および/またはイオン性の連絡が可能であるように、配置されているものとして定義できる。例えば、該第一および第二の別々のリザーバ表面の一方または両者は、ドーム状のまたはパック上の形状を持つことができ、これは上面112上に伸びているが、これに限定されない。あるいはまた、例えば該第一および第二の別々のリザーバ表面の一方または両者は、窪み、孔または他の開口中で、該上面112の下方に露出していても良いが、これに限定されない。
【0028】
該上面112は、ここでは、「活性表面」と呼ぶことができる。この用語「活性表面」とは、幾つかの態様では、基板表面であって、これに近接して該リザーバ間における電気伝導性材料の存在下で、異種のリザーバ間に電流を発生することのできる、該基板表面として定義できる。この「電流」なる用語は、単位時間当たりの電荷の流れを含む(例えば、I = dQ/dt; ここでIは電流であり、Qは電荷であり、またtは時間である)。
【0029】
活性表面は、種々の態様において、「組織接触表面」であっても、そうでなくてもよい。「組織接触表面」は、幾つかの態様では、使用に際して、ターゲット組織の所定領域と接触する材料の表面として定義できる。例えば、一態様において、上面112は、この装置の使用中、ターゲット組織の所定領域と直接接触することができ、またその結果として、上面112は、活性表面および組織接触表面両者として機能することができる。もう一つの態様において、1種以上の追加の材料を、上記上面112に含めることができ、また該装置の使用中に、該1種以上の追加の材料の表面は、組織接触表面として機能することができる。従って、一態様において、該活性表面および該組織接触表面は、異なる表面であり得る。組織接触表面は、例えばある材料および/または固体、半-固体液体または気体状態の導電性材料の層を含むことができるが、これに限定されない。
【0030】
一態様において、該多数の第一のリザーバ102は、第一のリザーバパターンの一部を形成することができ、また該多数の第二のリザーバ104は、第二のリザーバパターンの一部を形成することができる。該第一のリザーバパターンは、様々な態様において、該第二のリザーバパターンとインターリーブされていても良い。該第一のリザーバパターンおよび該第二のリザーバパターンの一方または両者は、図示したように、基板106の表面全体に渡り不変であっても、あるいは変動するパターン密度を有していても良い。幾つかの態様では、パターン「密度」とは、単位表面積当たりのリザーバの数として定義できる。例えば、装置は、変動するパターン密度(例えば、1またはそれ以上の比較的高いパターン密度を持つ領域および/または低いパターン密度を持つ領域)を持つことができるが、これに限定されない。図1においては、21個の第一のリザーバ102および21個の第二のリザーバ104を含むパターンが示されている。別の態様においては、より多くの、またはより少ない第一および/または第二のリザーバを、1個の装置内に含むことができる。
【0031】
一態様において、第一の別々のリザーバ102は、1またはそれ以上の第二の別々のリザーバ104と「隣接」していてもよく、また逆も真である。「隣接」するリザーバは、幾つかの態様では、異種のリザーバであって、該異種リザーバ間に電気伝導性の材料が存在し、また該異種リザーバと接している場合に、これらリザーバ間に電流が発生し得るように、相互に物理的に近接している、異種リザーバとして定義できる。例えば、図1に示したリザーバのサブセット120において、リザーバ111、112、113および114は、リザーバ116に隣接しているものと考えることができる。サブセット120以外の他のリザーバも、上記の「隣接」の定義に従えば、リザーバ116に対して隣接しているものと考えることができる。
「隣接」するリザーバは、他の態様では、電気的連絡および/またはイオン的連絡を形成し、これに寄与しまたはこれらの連絡を持つことのできる一連の選択されたリザーバとして定義付けることが可能である。
【0032】
実質上均一なまたは変動する横方向の間隔130は、隣接リザーバ(例えば、リザーバ111と116)の周囲間に存在し得る。様々な態様において、間隔130は、約0.5ミリメータ(mm)〜2.0mmなる範囲内であり得る。他の態様では、間隔130は、上記範囲よりも大きく、あるいはそれより小さくても良い。横方向の間隔130は、様々な態様において、上に与えられた値よりも大幅に小さくてもよい。例えば、一装置は、極めて小さなリザーバ(例えば、nm-単位のリザーバ)を含むこともできる。このような態様において、横方向の間隔130は、約1nm〜約10,000nmなる範囲あるいはそれ以上であり得る。一態様において、隣接する異種のリザーバ間の物理的な分離は、これらの間に電気伝導性材料が存在しない場合に、これら隣接する異種リザーバ間の実質的な電気的絶縁を与える。
【0033】
様々な態様において、該多数の第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、還元剤を含み、あるいはその逆もあり得る。該第一リザーバと該第二リザーバとの間において、電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応が、該第一および第二リザーバ間で起り得る。該電気伝導性材料は、これらリザーバと電気的に接触して、レドックス反応を容易にするが、このレドックス反応は、該導電性材料がこれらのリザーバと物理的に接触していない場合に起こるものと考えられる。
【0034】
該第二のリザーバ表面の内の選択されたものは、該第一のリザーバ表面の内の選択されたものに対して間隔を置いた関係で配置して、これら第二のリザーバ表面と第一のリザーバ表面との間の電気的および/またはイオン的連絡を容易にする、電気伝導性材料の存在下で、該表面間にレドックス反応を発生させることができる。一態様において、このレドックス反応は、導電性材料を第一および第二の異種リザーバと近接状態に置いた場合に、自発的に起こり、該導電性材料は、該第一および第二異種リザーバ間の電気的連絡および/またはイオン的連絡のための媒体を与えることができる。換言すれば、一態様において、外部電池または他の電源(例えば、直流(DC)または交流(AC)電源)を使用せずに、第一および第二異種リザーバ間に、電流を発生させることができる。従って、様々な態様において、装置が提供され、これは、「電気的に独立」であり、更にこの装置は、電流を生成するために、活性化することができる。この用語「電気的に独立」とは、幾つかの態様においては、外部電池または電源の使用無しに、電気を発生することのできるものとして定義できる。他の態様においては、外部電池または電源を含む、装置を提供することができる。
【0035】
上記用語「レドックス反応」とは、幾つかの態様において、還元剤から酸化剤への1またはそれ以上の電子の移動を含む反応として定義することができる。この用語「還元剤」とは、幾つかの態様において、レドックス反応における一反応試薬であって、電子を還元種に与えるものとして定義できる。そのため、還元剤は、この反応においては酸化される。該用語「酸化剤」とは、幾つかの態様において、レドックス反応における一反応試薬であって、該酸化種から電子を受け取るものとして定義できる。そのため、「酸化剤」は、この反応においては還元される。様々な態様において、第一および第二リザーバ間に発生するレドックス反応は、該異種リザーバ間に電流を生成する。
【0036】
図2は、医療用電池200の一部を示す平面図であり、一例としての態様に従う、異種リザーバ間の電流を示す。第一リザーバ201、202、203、204、および205は、1種またはそれ以上の酸化剤を含むことができ、また第二リザーバ206、207、208、および209は、1種またはそれ以上の還元剤を含むことができ、あるいはその逆も可能である。電気伝導性の材料(図示せず)は、該第一リザーバ201-205の幾つかまたは全部と、該第二リザーバ206-209との間に分散させることができる。隣接する異種リザーバ間における電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応を起こすことができ、従って該隣接する異種リザーバ間に電流を発生させることが可能である。電流210は、リザーバ201-205とリザーバ206-209との間に矢印で示されている。図2に示すように、電流210は、隣接する第一リザーバ201-205および第二リザーバ206-209の各セット間に、導電性材料の存在下で発生させることができる。
従って、ある範囲の多重電流210は、基板表面を横切って発生し得、多数の部分電流を含む、平坦な表面電流を生成する。一組の、2つの隣接する異種リザーバ間の電流210は、ここでは「単一電池電流(single-cell current)」と呼ぶことにし、また多数の組の、隣接する異種リザーバ間の、集成的な多重電流210は、ここでは「多重電池電流(multiple-cell current)」と呼ぶことにする。電流210は、活性表面に渡り均一であり、あるいは変動する電流密度が、活性表面に渡って存在することも可能である。
【0037】
隣接する異種リザーバの各組(例えば、リザーバ201と206)は、一態様において、「ガルバニ電池(galvanic cell)」を形成し得る。特定のリザーバが、多数の異種リザーバと隣接する場合、この特定のリザーバは、多数のガルバニ電池の部分を構成することができる。例えば、リザーバ203は、4個またはそれ以上のガルバニ電池の部分を形成することができる(例えば、電池Aは、リザーバ203と206とを含み、電池Bは、リザーバ203と207とを含み、電池Cはリザーバ203と208とを含み、また電池Dはリザーバ203と209とを含む)。
【0038】
幾つかの態様では、「ガルバニ電池」とは、正の電池電位を持つ電気化学的電池として定義でき、これは化学的なエネルギーを、電気エネルギーに変換することを可能とする。
より具体的には、ガルバニ電池は、アノードとして機能する第一のリザーバおよびカソードとして機能する第二の異種リザーバを含むことができる。各ガルバニ電池は、エネルギーを、化学ポテンシャルエネルギーの形で保存できる。導電性材料が、該電池要素間の電気的および/またはイオン的連絡を与え得るように、該材料を、電池に近接して配置した場合には、該化学ポテンシャルエネルギーを、電気エネルギーとして放出することができる。従って、各組の隣接する異種のリザーバは、単一セル電池(single-cell battery)として機能でき、またこの装置内の、隣接する異種のリザーバの多数の組は、一群の単一セル電池として機能することができ、これは全体として、表面に渡り分配された多重セル電池(multiple-cell battery)を形成する。
【0039】
第一のリザーバが、還元剤を含み、かつ第二のリザーバが酸化剤を含む場合、あるいはその逆の場合、電位差が、該第一リザーバと該第二リザーバとの間に存在し得る。第一段階において、装置は電気的に非活動状態にある(例えば、リザーバ間の電流は、実質的に零である)。一態様において、装置は、導電性材料を、該第一リザーバおよび該第二リザーバと近接状態とした場合に、「作動」状態となり得、電気的連絡および/またはイオン的連絡を介して、該リザーバ間に電流を発生することができる。このような導電性材料は、ここでは「活性化材料」と呼ぶことができる。電流Iの大きさは、実質的に該リザーバ間の電位差V、および該導電性材料のコンダクタンスまたは抵抗Rの関数である。換言すれば、該リザーバ間の電流Iは、ほぼ該リザーバ間の電位差Vを、該導電性材料の抵抗Rで割った値、即ちI = V/Rに等しい。
【0040】
上記のもう一つの方法では、隣接する異種のリザーバ間に生成し得る電流210の大きさは、隣接する異種のリザーバ間の距離、該リザーバ間の電位差(例えば、還元剤が、酸化剤に与えるために利用できる電子の量、酸化剤が受け取ることのできる電子の量)、該導電性材料の抵抗、およびその他の因子を含むが、これらに限定されない、1またはそれ以上の因子によって影響される可能性がある。更に、該リザーバ間の電流は、上記因子が変動した際に、時間の関数としても変動する可能性がある。約0.05V〜約5.0Vなる範囲の電位差が、一態様において、隣接する異種のリザーバ間に存在する可能性がある。他の態様では、より高いあるいはより低い、隣接する異種のリザーバ間の電位差が、存在し得る。
更に、一態様においては、約1マイクロアンペア(mA)〜約100mAなる範囲の電流を、異種のリザーバ間に発生し得る。他の態様では、より高いおよび/またはより低い、電流を生成し得る。導電性材料の抵抗は、ほぼ零からほぼ無限大の抵抗まで大幅に変えることができる。
【0041】
装置を組織の所定領域に適用し、かつ活性化した(あるいは活性化し、次いで適用した)場合、異種のリザーバ間の全電流I(全)は、I(組織)+ I(導電性材料)として記載することができる。該組織の抵抗が、該導電性材料の抵抗よりも大きい場合、それに比例して、組織を流れる電流よりも一層多くの電流が、該導電性材料に流れる。従って、様々な態様においては、ある型のターゲット組織に流したい電流の大きさに依存して、該ターゲット組織の関連する抵抗よりも大きな、または小さな抵抗を持つ、導電性材料を選択することができる。
【0042】
様々な態様において、装置は、治療の必要性に応じて、組織(例えば、皮膚または他の組織)に電気を適用するのに利用できる。この電気は、第二の異種リザーバ(例えば、第二導電性電極)と電気的連絡状態にある、第一のリザーバ(例えば、第一導電性電極)により発生させることが可能であり、また該第一のリザーバおよび該第二のリザーバは、該組織とイオン的連絡状態にあってもよい。該用語「電気的連絡(electrical communication)」とは、幾つかの態様では、直接的接触および/または導電性材料を介して、要素(例えば、第一および第二リザーバ)間の電子の通路として定義できる。該用語「イオン的連絡(ionic communication)」とは、幾つかの態様では、要素(例えば、第一および第二リザーバ、導電性材料、および/または組織)間の、該要素と接触状態にある「電子運搬体(electron movers)」としてのイオンの移動を介する、通路として定義できる(例えば、電子は、リザーバおよび組織と接触状態にある、電解質のイオン輸送を介して、リザーバと組織との間を通過することができる)。
【0043】
様々な態様において、該第一および第二リザーバの標準的な電位の差は、0.05V〜約5.0Vなる範囲内であり得る。特定の一態様において、この第一および第二リザーバの標準的な電位の差は、少なくとも0.2Vであり得る。極めて小さなリザーバ(例えば、ナノメータスケールの)を含む態様においては、該標準的な電位の差は、実質上小さいものであり得る。該第一リザーバと該第二リザーバとの間を通る電子は、この標準電位における差の結果として起るものであり得る。
【0044】
図3は、例示的態様に従う、図2に示した医療用電池の一部の、ライン3-3に沿って取った、断面側面図である。ここに示した部分は、基板302と結合した、第一リザーバ209および第二リザーバ205を含む。この例示した態様において、第一のリザーバ表面304および第二のリザーバ表面306は、該基板302の上面308上に拡がっている。他の態様では、該リザーバ表面304、306の一方または両者は、該上面308と実質的に同一平面にあっても良く、および/または該上面308の下方にあっても良い。更に、この例示した態様において、該第一のリザーバ表面304および該第二のリザーバ表面306は、丸みを帯びたまたはドーム状の形状を持つものとして示されている。他の態様では、該リザーバ表面304、306の一方または両者の形状は、実質的に平坦、円盤-状、円筒状、円錐状、凹面状またはその他の形状であってもよい。
【0045】
一態様において、リザーバは、約1000Å〜約5mmなる範囲内の高さまたは厚み(例えば、高さ309)を持つことができる。他の態様では、リザーバは、上記範囲を越える、またはこれに満たない高さまたは厚みを持つことができる。
【0046】
一態様において、電流314は、導電性材料316(例えば、活性化材料)が、該第一のリザーバ表面304および該第二のリザーバ表面306両者の全てまたはその一部と、近接状態に置かれた場合に生成し、結果としてこれら表面304、306間の電気的な連絡および/またはイオン的な連絡を可能とするものであり得る。該導電性材料316は、以下においてより詳しく説明するように、1種またはそれ以上の液体、固体、半-固体、またはガス状物質を含むが、これらに限定されない。
【0047】
一態様において、電流314は、該基板上面308の上方に、侵入高さ318だけ、該導電性物質316内に侵入できる。従って、幾つかの態様において、電流314は、ターゲット組織の所定領域内に侵入することができる。
【0048】
この電流の侵入高さ318は、リザーバ表面304、306間の間隔320およびその他の因子を含むが、これらに限定されない様々な因子の1種またはそれ以上の関数であり得る。侵入高さ318は、所定の活性表面に渡り実質的に均一であり得、あるいは変動するものであっても良い。一態様においては、約0.05mm〜約2.0mmなる範囲の侵入高さを持つ電流の発生が可能である。他の態様では、より高いまたはより低い侵入高さを持つ電流の発生が可能である。
【0049】
様々な態様において、リザーバは、単一の材料または比較的均一な材料の組合せから製造することができる。他の態様では、リザーバは、2またはそれ以上の材料組成物から製造することができる。このようなリザーバは、本明細書において、「複合」リザーバと呼ぶことができる。
【0050】
図4は、医療用電池400の一部の平面図であり、この電池は、例示的態様に従う、少なくとも一つの「複合」リザーバを含む。第一のリザーバ401、402、403、404、および405は、ガルバニ電池の第一の部分として機能し、かつ第二のリザーバ406、407、408、および409は、該ガルバニ電池の第二の部分として機能し得る。電気伝導性物質(例えば、活性化物質、図示せず)は、該第一リザーバ401-405の幾つかまたは全部および該第二リザーバ406-409間に分配して、該第一および第二リザーバ間に電流を発生させることができる。
【0051】
一態様において、第一および/または第二リザーバの内の選択されたものは、2種またはそれ以上の材料組成物から製造できる。例示の目的で、複合リザーバ409は、第一の組成物410および第二の組成物412から製造したものとして示されている。図4における幾つかのリザーバは、複合リザーバとして示されているが、他のリザーバも、あるいはその代わりに、複合リザーバであり得ることを理解すべきである。
【0052】
一態様において、第一の組成物410は、リザーバ409の周辺または外側部分を構成することができ、また第二の組成物412は、リザーバ409の内側または内部部分を構成することができる。代わりとなる態様において、第一の組成物および第二の組成物は、互いに交互に配置できる。例えば、限定的ではないが、第一および第二の組成物は、互いに隣接し、多層(例えば、2またはそれ以上の)、積層リザーバを形成し、あるいはまた一緒に結合されるように、層状に形成することができる。
【0053】
図5は、例示的態様に従って、図4のライン5-5に沿って取った、医療用電池の一部を示す断面側面図である。一態様においては、リザーバ409が、ガルバニ電池の第一の部分として機能でき、かつリザーバ405が、該ガルバニ電池の第二の部分として機能し得る。より具体的には、第一の組成物410は、還元剤を含み、かつリザーバ405は、酸化剤を含むことができ、あるいは逆であっても良い。従って、リザーバ405と第一の組成物410との間における導電性物質502の存在下で、電流504が、リザーバ405と第一の組成物410との間において発生し得る。
【0054】
一態様において、第二の組成物412は、矢印506によって示されたように、リザーバ409から、(例えば、イオン泳動、溶解、またはその他によって)外向きに分散する物質を含むことができる。第二の組成物412は、例えばターゲット組織と接触した際に、生物学的な応答を生じる物質を含むことができる。代わりとなる態様において、第一の組成物410および第二の組成物412は、対向する関係で配置することができる。例えば、非限定的であるが、リザーバ409の内側部分は、還元(酸化)剤を含むことができ、またリザーバ409の外側部分は、リザーバ409から外向きに分散する物質を含むことができ、あるいはその逆の場合も可能である。
【0055】
前に論じたように、多数の第一の別々のリザーバおよび第二の異種の別々のリザーバを、様々な態様において、インターリーブしたパターンにて配列することができる。例えば、再度図1を参照すると、第一の別々のリザーバ102は、列をなして配列されており、また各連続する列は、該第一のリザーバ102間の距離の約1/2だけ、ずれている。第二の別々のリザーバ104は、該第一の別々のリザーバ102に対してインターリーブされ、また同様に列をなして配列されている。更に、図1において、第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、4つまたはそれ以上の第二の別々のリザーバ104と隣接するものと考えることができ、またその逆の場合も可能である。従って、ほぼ1:1の相関関係が、第一の別々のリザーバ102の数と、第二の別々のリザーバ104の数との間に存在する可能性がある。電池100の上記特徴によれば、第一および第二の別々のリザーバのインターリーブしたパターンを、規定することができる。例示の態様において、これらのパターンは、該基板表面に渡り均一に分布している。他の態様では、不均一なパターンの分布が存在していても良い。
【0056】
代わりとなる態様において、医療用電池装置は、他のパターン構成および/またはリザーバ形状を用いて製造することもできる。図6-13は、代わりとなる様々な態様を示すものである。例示した態様は、本発明の課題または特許請求の範囲を、これら例示した態様のみに限定することを意味するものではない。逆に、他のパターン構成および/またはリザーバ形状も、本発明の課題の範囲内に入ることを意図している。更に、綾目陰影を利用して、第一のリザーバと、第二の、異種のリザーバとを区別している。この綾目陰影の利用は、これらのリザーバにおいて使用されている材料と、還元剤または酸化剤との関連付けを意図するものではないことを理解すべきである。というのは、これらは、前に記載された図面に関連する説明において、関連している可能性があるからである。
【0057】
図6は、例示的態様に従う、異種のリザーバの第二の構成を持つ、医療用電池600を示す平面図である。この電池600は、多数の第一のリザーバ602および多数の第二の、異種リザーバ604を含む。例示した態様において、第一の別々のリザーバ602の内の選択されたものは、8個またはそれ以上の第二の別々のリザーバ604と隣接するものと考えることができる。更に、第二の別々のリザーバ604の内の選択されたものは、4個またはそれ以上の第一の別々のリザーバ602と隣接するものと考えることができる。従って、第一の別々のリザーバの数は、第二の別々のリザーバの数とは異なっていても良い(例えば、第一の別々のリザーバの数と、第二の別々のリザーバの数との間の相関関係は、1:1の相関関係とは実質的に異なっていても良い)。
【0058】
図7は、例示的態様に従う、異種リザーバの第三の構成を持つ、医療用電池700を示す平面図である。この電池700は、多数の第一のリザーバ702および多数の第二の、異種リザーバ704を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ702の内の選択されたものは、6個またはそれ以上の第二の別々のリザーバ704と隣接するものと考えることができる。更に、第二の別々のリザーバ704の内の選択されたものは、3個またはそれ以上の第一の別々のリザーバ702と隣接するものと考えることができる。
【0059】
図8は、例示的態様に従う、異種リザーバの第四の構成を持つ、医療用電池800を示す平面図である。この電池800は、多数の第一のリザーバ802および多数の第二の、異種リザーバ804を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ802の内の選択されたものは、その形状において、「実質的に線状」である。この「実質的に線状」なる用語は、幾つかの態様において、少なくとも2:1なるファクタだけ、幅808よりも大きな長さ806を持つ形状を含むものとして定義できる。「実質的に線状」なる形状は、実質的に真直ぐであり得、あるいは湾曲した、螺旋形状の、または起伏のある形状であり得る。例示した態様において、多数の第一のリザーバ802は、相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されており、また多数の第二のリザーバ804は、該多数の第一のリザーバ802間の領域に配列されている。
【0060】
図9は、例示的態様に従う、異種リザーバの第五の構成を持つ、医療用電池900を示す平面図である。この電池900は、多数の第一のリザーバ902および多数の第二の、異種リザーバ904を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ902の内の選択されたものおよび該第二の別々のリザーバ904の内の選択されたものは、その形状において、実質的に線状である。この例示的態様において、多数の第一のリザーバ902は、相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されており、また多数の第二のリザーバ904は、該多数の第一のリザーバ902間の領域に配列されており、ここで該多数の第二のリザーバ904も、また相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されている。
【0061】
図10は、例示的態様に従う、異種リザーバの第六の構成を持つ、医療用電池1000を示す平面図である。この電池1000は、多数の第一のリザーバ1002および多数の第二の、異種リザーバ1004を含み、多数のガルバニ電池を形成している。例示した態様において、第一のリザーバ1002および第二の別々のリザーバ1004は、相互に同心円状に配列されて、「同心円状」のガルバニ電池を形成している。第一のリザーバ1002は、第一の径1010を持つ円形体として示されており、また第二の別々のリザーバ1004は、内径1012および外径1014を持つ、リング形状を持つものとして示されている。一態様において、該第二の別々のリザーバ1004の該内径1012は、該第一のリザーバ1002の第一の径1010よりも大きく、該リザーバ間に間隔を形成している。従って、該第二の別々のリザーバ1004は、該第一のリザーバ1002と同心状であり、かつこれとは物理的に分離されていて、第一のガルバニ電池を形成する。一態様において、隣接ガルバニ電池に関する材料は、第一および第二の別々のリザーバの隣接する組から追加のガルバニ電池を製造できるように、逆にすることができる。あるいはまた、隣接する、同心円状のガルバニ電池の材料は、一様に矛盾なく選択することができる。
【0062】
図11は、例示的態様に従う、異種リザーバの第七の構成を持つ、医療用電池1100を示す平面図である。この電池1100は、多数の第一のリザーバ1102、1103、1104および多数の第二の、異種リザーバ1105、1106を含む。この例示的態様において、リザーバ1102-1106の内の選択されたものは、相互に同心円状に配列することができる。リザーバ1102-1106間には、間隔110が存在し、これらリザーバ間における導電性物質の不在下で、隣接リザーバ同士を電気的に絶縁することができる。
【0063】
前に記載した態様は、多数の第一リザーバおよび多数の第二の異種リザーバを含む、医療用電池を含む。他の態様では、医療用電池は、単一の第一リザーバおよび多数の第二の異種リザーバを含むことができる。
【0064】
図12は、例示的態様に従う、異種リザーバの第八の構成を持つ、医療用電池1200を示す平面図である。この電池1200は、単一の第一リザーバ1202および多数の第二の異種リザーバ1204を含む。この例示した態様において、第一の別々のリザーバ1202は、「実質的に平坦」であり、多数の開口1206を持つ。「実質的に平坦」なる用語は、幾つかの態様では、第一の型の2またはそれ以上のリザーバ間の距離よりも大きな長さおよび幅を持つ材料の領域を含むものとして定義できる。「実質的に平坦」な形状は、実質的に平らな、連続したものであるか、あるいは開口、ディボット、またはその他の妨害物をそこに含むものであり得る。一態様において、開口1206は、第二の別々のリザーバ1204の径1210よりも大きな径1208を持つ。従って、間隔1212が、該第二の別々のリザーバ1204と該第一の別々のリザーバ1202との間に存在する。
【0065】
更に別の態様において、医療用電池は、単一の第一の別々のリザーバおよび単一の第二の別々のリザーバを含む。例えば、限定的なものではないが、第一および第二の別々のリザーバは、相互に巻付いていても、また溝形、歯車形またはジグザグ形状で配列されていても良く、あるいは導電性材料(例えば、活性化物質)が、該第一および第二リザーバ間に与えられている場合には、表面を横切る多数の電流を発生するように、配列することも可能である。
【0066】
図1-12において、第一の別々のリザーバは、第二の異種のリザーバから物理的に分離されているものとして示されており、従ってこれらリザーバ間における導電性物質の存在下で、これら第一および第二リザーバ間には、電気的絶縁が達成される。代わりとなる態様において、該異種リザーバの幾つか、または全ては、接触領域または接触点を含むことができる。
【0067】
図13は、例示的態様に従う、異種リザーバの第九の構成を持つ、医療用電池1300を示す平面図である。この電池1300は、多数の第一リザーバ1302および多数の第二の異種リザーバ1304を含む。更に、この電池1300は、接続部分1310を含み、これは該第一リザーバ1302および第二のリザーバ1304の内の選択されたもの、またはその実質的全てを、相互に接続することを可能とする。
【0068】
図14-24と共に、医療用電池を製造するための、前に説明した医療用電池の態様を含むが、これらに限定されない、様々な態様を以下に説明する。これらの図面と共に、別々のリザーバおよび基板を製造するのに使用できる幾つかの材料を、様々な態様に従って説明することができる。更に、導電性物質(例えば、活性化物質)および他の装置の層または要素と関連する材料を、様々な態様に従って説明することができる。本発明の課題を、以下に記載する様々な材料に限定しようとするものではないことを理解すべきである。代わりとなる態様において、様々な他の材料を使用することも可能である。
【0069】
図14は、例示的態様に従う、医療用電池の製法に関するフロー図である。このフロー図と関連して記載される諸工程は、図示した順序で実施することができ、あるいは別の順序で実施することも可能であり、実質的に同一の結果を達成できる。更に、これらの工程は、連続的に行われるものとして示されているが、該工程の幾つかは、同時に実施することも可能である。更に、図14に記載したこれら工程の幾つかは、場合により実施することのできるものである。
【0070】
一態様において、この製法は、ブロック1402において、第一の表面を持つ基板を製造または準備することを含む。基板は、様々な態様において、バラ材料から製造でき、および/または1またはそれ以上の同一のまたは異なる材料層、シートまたはフィルムを含むことができる。
【0071】
基板は、様々な型のターゲット組織に応じた、様々な形状およびサイズで、製造することができる。基板は、多くの解剖学的領域の用途において有用なサイズおよび形状を持つことができ、あるいは特定のターゲットとなる解剖学的領域の用途において有用なサイズおよび形状を持つことができる。様々な態様において、基板は、実質的に二次元(例えば、2つの直交する方向において、比較的大きな寸法を持つ)もの、あるいは実質的に三次元(例えば、3つの直交する方向において、比較的大きな寸法を持つ)ものであり得る。
【0072】
様々な態様において、基板は、可撓性の(例えば、様々な内部または外部の解剖学的な表面の輪郭を付し、または該表面を持つように成形することのできる)、第一の表面(例えば、活性表面)を持つように製造することができる。他の態様では、基板は、1またはそれ以上の実質的に非-可撓性の(例えば、完全にまたは部分的に剛性の、あるいは規格外の)材料から製造することができる。
【0073】
様々な態様において、基板の該第一の表面、あるいは該基板を含む装置は、ターゲット組織領域に適用できる。基板または基板-含有装置を適用できる様々な表面は、皮膚、目、耳、粘膜(例えば、口、舌、鼻、膣、尿管、直腸、およびその他の膜)、胃腸管組織(例えば、食道、胃、腸)、血管組織(例えば、心臓、動脈、静脈)、肺組織(例えば、気管、肺、横隔膜)、神経学的組織(例えば、脳、脊髄、脳脊髄)、様々な内部器官、骨、および軟骨の、健康なまたは障害を受けた内部または外部表面を含むが、これらに限定されない。
【0074】
様々な態様において、基板は、1またはそれ以上の可溶性または不溶性の材料を含むことができる。「不溶性の材料」なる用語は、幾つかの態様では、水性媒体に浸漬した場合に、容易に溶解または分解されない(十分な時間が与えられた際には、可能であるが)、物質として定義できる。「可溶性の材料」なる用語は、幾つかの態様では、水性媒体に浸漬した場合に、容易にまたは徐々に溶解または分解する物質として定義できる。例えば、非-限定的であるが、基板は、1種またはそれ以上の生分解性および/または生体吸収性材料を含むことができる。「生体吸収性材料」なる用語は、幾つかの態様においては、身体内で吸収された場合に、通常重大な毒性または炎症性の応答を引起こすことのない物質として定義できる。様々な態様において、適当な生体吸収性基板材料は、1種またはそれ以上のガラス(例えば、糖ガラス(sugar glass)または塩ガラス(salt glass))、バイオセラミックス、天然生分解性ポリマー、合成生分解性ポリマー、他の生体吸収性物質、他の可溶性物質、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0075】
バイオセラミックスを選択した場合、該材料は、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム、シリカを主成分とするガラス、ガラスセラミックス、および熱分解炭素を包含する、1種またはそれ以上の材料を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、1種またはそれ以上のリン酸カルシウムを、リン酸テトラカルシウム、アモルファスリン酸カルシウム、リン酸α-トリカルシウム、リン酸β-トリカルシウム、およびヒドロキシアパタイトを包含する一群のリン酸カルシウムから選択することができる。
【0076】
合成生分解性ポリマーを選択した場合、この材料は、1種またはそれ以上のホモポリマーまたは一群のコポリマーを含むことができる。従って、合成生分解性ポリマーは、エステル、ポリエステル(例えば、ポリグリコライド(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)、ポリエーテルエステル、カプロラクトン、(例えば、ε-カプロラクトン)、無水物、オルトエステル、アミド、ポリジオキサノン、グリコライド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリ(アミノ酸)、ポリエステルアミド、他の合成生分解性ポリマー、またはこれらの組合わせを含む一群の材料から選択される、1種またはそれ以上のポリマー(またはコポリマー)を含むことができる。
【0077】
一態様において、多数の装置を、積層形または層状の構成で配列することができ、そこでは該多数の装置の内の1種またはそれ以上が、可溶性材料(例えば、生分解性および/または生体吸収性材料)を含む。一態様において、最も外側の装置の層は、可溶性基板と結合した、第一群の、1種またはそれ以上の異種のリザーバを含むことができる。該可溶性基板および/または該異種リザーバは、徐々に分解して、装置の下部の層を露出できる。
該装置の下部の層は、第二の基板と結合した、第二群の1種またはそれ以上の異種リザーバを含むことができる。この第二の基板は、可溶性または不溶性何れでも良い。該第二群の異種リザーバは、該第一群のリザーバと、同一の密度および/または構成、または異なる密度および/または構成を持つことができる。該第二の基板が可溶性である場合、該第二の基板および/または該第二の異種のリザーバは、徐々に分解して、更に別の、該装置の下方の層を露出することができる。以下同様。
【0078】
様々な態様において、基板は、例えば1種またはそれ以上の織り材料、不織り材料、ネット、メッシュ、ヒドロエンタングルド(hydro-entangled)材料、および/またはエアーエンタングルド(air entangled)基板を包含し得るが、これらに限定されない。更に、様々な態様において、基板は、1種またはそれ以上の繊維状または非-繊維状の、天然材料および/または合成材料を含むことができる。この用語「天然材料」とは、幾つかの態様では、植物、動物、昆虫由来の材料または植物、動物、および昆虫の副生成物として定義することができる。該用語「合成材料」とは、幾つかの態様では、主として様々な人工の材料から、あるいは変更されている天然材料から得た物質として定義することができる。
【0079】
様々な態様において、基板は、1種またはそれ以上の材料を含むことができ、該材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)(TeflonTM))、シリコーン、フォーム(例えば、ポリウレタンおよび/またはポリマーフォーム)、ヒドロゲルおよび/または他のゲル、エラストマー材料、合成スポンジ、天然スポンジ、絹、ケラチン(例えば、ウールおよび/またはラクダの毛)、セルロース繊維(例えば、木材パルプ繊維、綿繊維、大麻繊維、ジュート繊維、および/または亜麻繊維)、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、セルロースエステル、モダクリル繊維、ポリマー、超吸収性ポリマー(例えば、材料質量の10倍を吸収することのできるポリマー)、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、および/またはその他の材料を含むが、これらに限定されない。代わりとなる態様において、基板は、1種またはそれ以上の追加のまたは上に列挙した材料とは異なる材料を含むことができる。
【0080】
様々な態様において、1種またはそれ以上の結合材料を、基板内に組込み、または基板表面に適用することができる。結合材料は、例えば1種またはそれ以上の湿潤紙力増強用樹脂、ポリマーバインダ被膜、および/または安定化繊維(例えば、コットン、ウール、リネン等)を含み得るが、これらに限定されない。
【0081】
様々な態様において、1種またはそれ以上の柔軟化添加剤を、基板内に組込み、または基板表面に適用することができる。柔軟化添加剤は、例えば1種またはそれ以上のポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール)、フタレート誘導体、クエン酸エステル、界面活性剤、および/またはアセチル化モノグリセライドを含み得るが、これらに限定されない。
【0082】
再度図14を参照すると、一態様において、医療用電池装置の製法は、ブロック1404における、1種またはそれ以上の第一の別々のリザーバを基板に結合する工程を含む。この方法は、またブロック1406における、1種またはそれ以上の第二の別々のリザーバを基板に結合する工程をも含む。ブロック1402および1404に関連する工程は、順次に(前進または逆方向に)または同時に実施することができる。
【0083】
一態様においては、該1種またはそれ以上の第一の別々のリザーバおよび1種またはそれ以上の第二の別々のリザーバは、該第一および第二リザーバの内の選択されたものが、基板材料によって物理的に分離されるように、該基板と結合される。一態様において、該基板材料は、実質的に電気的に非-導電性である。従って、第一および第二のリザーバの物理的な分離は、これらリザーバを電気的に相互に接続する、導電性物質の不在の下では、該選択されたリザーバ間に、電気的な絶縁を与えることができる。代わりとなる態様において、該基板材料は、電気伝導特性を持つことができる。更に別の態様では、1種またはそれ以上の接続用の要素を、該基板に結合して、該第一および第二リザーバの内の選択されたものを、相互に接続することができる。
【0084】
一態様においては、多数の第一の別々のリザーバのパターンおよび多数の第二の別々のリザーバのパターンは、インターリーブした構成で、該基板と結合している。他の態様では、単一の第一の別々のリザーバおよび/または単一の第二の別々のリザーバが、該基板と結合している。
【0085】
該用語「結合(join)」とは、幾つかの態様では、表面への結合、表面への接着(例えば、接着剤を使用)、表面内の孔または窪みへの埋設、および/または表面上での層形成等の工程を含むものとして定義できる。基板と結合したリザーバの例は、単なる例として図15-21に示されている。ここに示される態様は、単に例示の目的で与えられるものであり、本発明の課題または上記特許請求の範囲を、これら例示した態様のみに限定することを意味するものではないものと理解すべきである。例えば、様々な態様において、他の結合技術を利用することができ、および/または図に示された結合技術の組合せを利用できることを理解すべきである。
【0086】
図15は、例示の態様に従って、基板1508の表面1506に結合した、多数の第一のリザーバ1502および多数の第二のリザーバ1504を含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。様々な態様において、第一および第二のリザーバ1502、1504は、幾つかの技術の何れかを用いて、表面1506の結合できる。例えば、非-限定的であるが、第一および第二のリザーバは、リザーバ材料を表面1506に塗布または印刷(例えば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷)する技術、他の堆積法(例えば、化学堆積法、電気化学的堆積法、気相蒸着法、鍍金法、噴霧塗布法、グラビア塗布法、プラズマ塗布法、浸漬塗布法、ナノスケール堆積法、真空蒸着法またはスパッタリング法)を用いた、リザーバ材料の表面1506への堆積、リザーバ材料の表面1506へのボンディングまたは融合法等の技術の1またはそれ以上を用いて、第一および第二のリザーバを、表面1506に結合することはできる。
【0087】
図16は、例示の態様に従って、接着性物質1610を用いて、基板1608の表面1606に結合した、多数の第一のリザーバ1602および多数の第二のリザーバ1604を含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。様々な態様において、接着性物質1610は、該第一および第二のリザーバ1602、1604の接着に先立って、またはこれと連続して、表面1606に堆積することができる。接着性物質1610は、例えば図16に示すように、表面1602上での分布を制限することができる。代わりとなる態様において、接着性物質は、表面1602上の実質的部分を覆う層として適用することができる。
【0088】
図17は、例示の態様に従う、表面1706に窪み1704を持つ基板1702の一部を示す、断面側面図である。窪み1704は、様々な態様において、該基板1702の製造中に、またはその後に製造し得る。図18は、一例示の態様に従う、基板1702内の窪み(例えば、図17の窪み1704)内で、表面1706と結合している、多数の第一のリザーバ1802および多数の第二のリザーバ1804を含む、図17に示した基板の断面側面図である。
【0089】
図19は、例示の態様に従う、表面1906に孔1904を持つ基板1902の一部を示す、断面側面図である。孔1904は、様々な態様において、該基板1902の製造中に、またはその後に製造し得る。孔1904は、完全に基板1902を貫通しているものとして示されているが、これら孔の1またはそれ以上は、該基板内に部分的に伸びたものであっても良い。図20は、例示の態様に従う、基板1902における孔(例えば、図19の孔1904)内に堆積された多数の第一のリザーバ2002および多数の第二のリザーバ2004を含む、図19の基板の断面側面図である。
【0090】
図21は、例示の態様に従う、基板2102の第一表面2106と結合している多数の第一のリザーバ2104および基板2102の第二表面2110と結合した層として与えられた、第二のリザーバ2108を含む、該基板2102の一部を示す断面側面図である。孔2112が基板2102内に与えられて、該第二のリザーバ2104の一部(例えば、表面)を、該第一表面2106に対して露出させることができる。代わりとなる態様において、第一のリザーバおよび第二のリザーバ両者は、実質的に平坦なリザーバ材料層を形成し、その各々は、該基板内の孔の混在を通して、基板表面に対して選択的に露出する。従って、このような装置は、基板と結合し、かつ第一の基板表面において露出した多数の第一のリザーバ表面を持つ、1またはそれ以上の第一のガルバニリザーバ、および該基板と結合し、かつ該第一の基板表面において露出した、多数の露出した第二のリザーバ表面を持つ、1またはそれ以上の第二のガルバニリザーバとして特徴付けることができる。
【0091】
ここに記載する装置の態様は、2種またはそれ以上の型の、異種のリザーバを含み、ここで一群の異種のリザーバは、ガルバニ電池を形成し得る。他の態様では、装置は、第一の型のリザーバを含むことができ、またこの装置がターゲット組織の所定領域と接触状態に置かれた場合には、該ターゲット組織自体が、第二の、異種リザーバとして機能する。
このような態様においては、この装置の第一リザーバおよび該ターゲット組織は、1またはそれ以上のガルバニ電池を形成し得る。
【0092】
様々な材料を、該第一リザーバ材料および該第二リザーバ材料として選択することができる。該第一リザーバ材料および/または該第二リザーバ材料は、実質的に単一のガルバニ材料のみを含むことができ、あるいは多数のガルバニ材料および他の材料の、複合体または混合物を含むこともできる。
【0093】
一態様において、第一のリザーバに含まれる、第一のガルバニ材料は、ガルバニカップル(galvanic couple)の第一の電池を与え、また第二リザーバ内に含まれる第二のガルバニ材料は、該ガルバニカップルの第二の電池を与える。第一のガルバニ材料と第二のガルバニ材料との組合わせの例は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:
A) 第一のガルバニ材料は、亜鉛を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
B) 第一のガルバニ材料は、マグネシウムを含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
【0094】
C) 第一のガルバニ材料は、アルミニウムを含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
D) 第一のガルバニ材料は、鉄を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
E) 第一のガルバニ材料は、銅を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;および
【0095】
F) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
G) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
H) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されない。
【0096】
上記材料のリストにおいて、集合a/bは、「a」のハライドを表すことができる。従って、例えば用語「銀/塩化銀」とは、ハロゲン化銀Ag/AgClを表す。第一のリザーバにおいてハライドを使用する場合、第二のリザーバの表面における電気化学的反応は、該ハライドの純金属(例えば、金属状の銀)とハライドイオンへの転化をもたらす可能性がある。これらの用語「銀」および「金属状の銀(metallic silver)」は、ここでは互換的に使用できる。「銀」なる用語の使用は、「金属状の銀」を包含する。
【0097】
特許請求した本発明の課題の範囲は、上に列挙したガルバニ材料の組合わせに限定することを意味しない。更に、特定のガルバニ材料は、多数の上に列挙したおよび/またはその他の材料を含むことができる。他の態様においては、他の材料を、第一のガルバニ材料または第二のガルバニ材料の何れか、または両者として選択することができる。例えば、非-限定的ではあるが、1種またはそれ以上のガルバニ材料が、ポリマーまたは有機材料を含むことができる。
【0098】
該第一のリザーバおよび/または該第二のリザーバは、様々な態様において、固体バラ材料、シート、箔、結晶、フレーク、ワイヤ、スラグ、パック、ディスク、顆粒、針状結晶、微粉、粉末、チューブ、メッシュ、ウール、ロッド、および/またはショット形状にある、該第一のガルバニ材料および該第二のガルバニ材料を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、一態様において、第一ガルバニリザーバ材料は、銀の結晶を含むことができる。一態様において、銀の結晶は、約100μm未満の小さなサイズを持つことができるが、その代わりにより大きなサイズを持つ結晶を使用することも可能である。別の態様では、銀の結晶は、約40μmなる平均のサイズを持つことができるが、その代わりに、これよりも大きなまたは小さな平均サイズを持つ結晶を使用することも可能である。一態様において、第二ガルバニリザーバ材料は、亜鉛結晶を含むことができる。一態様において、亜鉛結晶は、約100μm未満の小さなサイズを持つことができるが、一態様では、その代わりに、より大きなサイズを持つ結晶を使用することも可能である。もう一つの態様において、亜鉛結晶は、約40μmなる平均のサイズを持つことができるが、代わりに、これよりも大きなまたは小さな平均サイズを持つ結晶を使用することも可能である。
【0099】
様々な態様によれば、該第一のおよび/または第二のリザーバは、「反応性リザーバ」または「不活性リザーバ」であり得る。この用語「不活性リザーバ(inert reservoir)」とは、幾つかの態様では、レドックス反応中に、その化学的組成における大幅な変動を起こし得ないリザーバとして定義することができる。一態様において、リザーバは、不活性物質を含むか、あるいはこれで被覆することができ、その結果該リザーバ表面における電気化学的な過程が、酸化剤(例えば、発生期の酸素)および/または塩素-含有酸化剤を発生する可能性がある。
【0100】
上記「反応性リザーバ(reactive reservoir)」とは、幾つかの態様では、レドックス反応中に、その化学的組成における変動を起こす可能性のある、リザーバとして定義することができ、該組成の変動は、この装置が活性化された際に起こる可能性がある。一態様において、反応性リザーバは、1種またはそれ以上の反応性物質を含むことができ、該物質は亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、マンガン、銀、チタン、錫、鉄、およびこれらの合金を含むが、これらに限定されない。反応性リザーバに電流を通した場合、亜鉛、銅、マグネシウム、マンガン、および/またはアルミニウムカチオン等のイオンが、該リザーバから、導電性物質および/またはターゲット組織の所定領域内に放出することができる。このようなイオンは、治療上の利点を持つことができ、あるいは持ち得ず、例えば抗-微生物作用、免疫変調、酵素調節、細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞の形態学的変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調、および/または抗-炎症性作用を含むことができるが、これらに限定されない。
【0101】
様々な態様において、該第一リザーバ材料および/または該第二リザーバ材料中に、該ガルバニ材料と共に、1種またはそれ以上の追加の物質を含めることができる。一態様において、ガルバニ材料を、1種またはそれ以上の追加の物質と混合して、リザーバ材料を該基板と結合する前に、該リザーバ材料を製造することができる。
【0102】
例えば、非-限定的であるが、1種またはそれ以上の可溶性および/または不溶性のバインダを、第一リザーバ材料および/または第二リザーバ材料中に、含めることができる。
「バインダ(binder)」は、幾つかの態様では、リザーバ内の他の材料を基板に結合する物質として定義できる。バインダは、例えば生体適合性液体、ポリマーバインダ、ポリエチレンバインダ、アクリル樹脂バインダ、インク(例えば、ポリアクリル酸系インク)、および/またはその他の材料を含むが、これらに限定されない。他の態様では、第一リザーバ材料および/または第二リザーバ材料は、バインダを含まなくても良い。
【0103】
一態様において、バインダ材料は、活性化物質の存在下で、分解する(例えば、生分解され、散逸し、さもなくば破壊される)物質を含むことができる。バインダ物質が分解するにつれて、より多くのガルバニ材料がリザーバ表面に露出する可能性がある。結果的に、該リザーバ内の実質的に全ての材料が、分解できる。
【0104】
リザーバ内における、選択された所定の型のバインダおよびバインダ材料とガルバニ材料との比は、ガルバニ材料および/または他の材料が、リザーバから放出される速度(例えば、リザーバが分解する速度)に影響を与えるように選択することができる。一態様において、リザーバ材料中の、質量基準での、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約10%〜ガルバニ材料約40%なる範囲であり得る。もう一つの態様において、リザーバ材料中の、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約5%〜ガルバニ材料約10%なる範囲であり得る。
更に別の態様では、リザーバ材料中の、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約40%〜ガルバニ材料約100%なる範囲であり得る。他の態様では、リザーバ材料中に、異なる範囲の割合にて、ガルバニ材料を含めることができる。
【0105】
該第一および/または第二リザーバに対して選択した材料は、これらを基板と結合する時点において第一の状態にあり、また更なる加工段階を実施して、これら材料を第二の状態に変換させることが可能である。例えば、様々な成形、硬化、乾燥、および/またはその他の加工手順を実施することができる。
【0106】
再度図14を参照すると、この装置は、場合によりブロック1408において、1またはそれ以上の硬化および/または乾燥(硬化/乾燥)工程に掛けることができる。硬化/乾燥工程は、1またはそれ以上の第二の別々のリザーバを、該基板に結合した後に行うように図示されている(ブロック1406)が、硬化/乾燥工程は、また該1またはそれ以上の第二のリザーバを結合する前に、実施することも可能である。一態様において、硬化/乾燥工程は、ブロック1404および/または1406両者の完了後に行うことも可能である。
【0107】
硬化または乾燥工程は、1または複数の期間に渡る、該装置を熱源および/または光源に暴露する工程を含むことができる。硬化および/または乾燥は、第一リザーバおよび/または第二リザーバの諸特性に対して影響を与える可能性がある。例えば、リザーバ表面は、硬化または乾燥前には、実質的に平滑である可能性がある。1または複数の硬化または乾燥工程を実施した場合、表面の不連続性(例えば、割れ、孔等)が導入される恐れがある。
このような不連続性は、リザーバの有効表面積を増すように機能し得る。従って、イオン泳動の速度、リザーバ材料の放出速度、リザーバの溶解速度および/またはその他の工程の速度が、影響を受ける可能性がある。
【0108】
図22は、例示の態様に従う、基板2206と結合している、実質的に平滑なリザーバ表面2204を持つリザーバ2202を示す。逆に、図23は、例示の態様に従う、かなりの表面不連続性を持つ、リザーバ表面2304を有するリザーバ2302を示す。リザーバ2302は、硬化または乾燥工程が、リザーバ表面の諸特性に及ぼす作用の一例を与える。
【0109】
再度図14を参照すると、ブロック1410において、場合により単一化(singulation)工程を実施して、該基板から多数の医療用電池を製造する。単一化は、基板を切断、鋸引き、引裂き、またはさもなければ分離して、多数の部分に分離することを含む。他の態様では、基板表面に、1またはそれ以上のミシン目の線または窪みを刻印して、最終利用者による、将来の使用に際しての、医療用電池の単一化を容易にすることができる。
【0110】
ブロック1412においては、組織接触層を、場合によって、該基板の活性表面に結合することができる。一態様において、組織接触層は、カバー層を含むことができる。一態様において、カバー層は、活性化材料(例えば、導電性物質)を吸収し得る物質を含むことができる。あるいはまた、カバー層は、例えば非-限定的であるが、非-吸収性の物質を含むこともできる。カバー層は、様々な態様において、可溶性または不溶性、および/または電気的に伝導性または非-伝導性であり得る。例えば、非-限定的であるが、カバー層は、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、シリコーンゴム、および/またはポリ塩化ビニルを含むことができる。代わりとなる態様において、カバー層は、1種またはそれ以上の他の型の材料を含むことができる。一態様においては、カバー層は、第一のリザーバおよび/または第二のリザーバ内の物質(例えば、銀、亜鉛、および/またはその他の物質)が、容易に該カバー層を通り抜けて、ターゲット組織の所定領域上にまたはその内部に達することができるように、カバー層を選択する。
【0111】
ブロック1414においては、場合によって該装置の上面および/または底面に、流体の吸収性材料を結合することができる。例えば、非-限定的であるが、流体の吸収性材料は、1種またはそれ以上のポリマー、モノマーから製造したポリマー、ゼラチン、ガムおよび多糖類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クレイ、膨潤性無機物質、および/または他の流体の吸収性材料を含むことができる。
【0112】
ブロック1416においては、固定機構を、場合によってこの装置に結合することができる。例えば、一態様において、固定機構は、可撓性シート(例えば、ポリマー等の材料から製造したもの)および接着層を含むことができる。一態様においては、該接着層を、除去可能なライナーシートで覆って、該接着剤の使用前の弱体化を防止することができる。
【0113】
ブロック1418においては、活性化材料のリザーバおよび/または活性化材料は、場合によって該装置と結合し、あるいは該装置は、これらを備えることができる。一態様において、活性化材料は、導電性材料を含む。導電性材料は、例えば液体(例えば、溶液、懸濁液、またはエマルション)、半-固体(例えば、ゲル、クリームローション、マイクロエマルションまたはヒドロゲル)、固体、またはガス状物質を含むことができる。活性化材料のリザーバは、例えば導電性材料を該リザーバおよび/またはターゲット組織に放出し、あるいは暴露するように、選択的に開放または破壊することのできる装置を含むことができる。該材料を、該装置の上またはその内部および/またはターゲット組織の所定領域に流すことができる。あるいはまた、ユーザーが、該活性化材料を、該装置またはターゲット組織の所定領域上に配置することができる。
【0114】
前に記載したように、導電性材料をガルバニ電池近傍に置いた場合、レドックス反応が、該電池成分間(例えば、第一リザーバと第二リザーバ間)で発生し得る。様々な態様において、導電性材料製のリザーバ中に含まれる導電性材料は、水、塩水、有機または無機塩またはバッファー、電解質-活性剤、ヒドロゲルおよび/または有機溶媒の内の1種またはそれ以上を含むことができるが、これらに限定されない。他の態様では、レドックス反応は、ガルバニ電池を、他の液体材料、固体材料、半-固体材料、ガス状材料、創傷の滲出流体、および/または他の生物学的に生成された流体または導電性物質と近接して配置した場合に、起こり得る。従って、これらの材料は、また活性化物質であると考えることも可能である。用語「生物学的(生体)活性物質(biologic activation materials)」とは、幾つかの態様では、生物学的実体によって製造される活性化物質として定義することができる。
【0115】
活性化物質は、また1種またはそれ以上の追加の物質、例えば、非-限定的であるが、活性化剤、保存剤、安定化剤または酸化防止剤、キレート剤、バッファー、等張性調節剤、懸濁性物質、および/または流体吸収性物質の内の1種またはそれ以上を含むことも可能である。
【0116】
図24は、例示の態様に従う、基板2402、リザーバ2404、組織接触層2406、流体吸収層2408、固定機構2410、活性化物質性のリザーバ2412、および活性化物質2414を含む装置2400の断面、側面図である。他の態様に従えば、該組織接触層2406、流体吸収層2408、固定機構2410、活性化物質性のリザーバ2412、活性化物質2414、およびライナーシート2416の様々な組合せを、装置に含め得ることが理解されよう。更に、様々な態様において、部品2406、2408、2410、2412、2414、および2416の何れも、装置に含まれなくても良い。更に、様々な態様において、図24に示された部品(基板2402およびリザーバ2404を含む)の幾つかまたは全てが、図24に示された形状、サイズ、および相対的な位置以外の、異なる量、形状、相対的なサイズ、または相互の相対的な位置を持つことができる。図24に示した部品の量、形状、相対的なサイズ、および相対的な位置は、概念上の例を与えるためのものであり、また限定を意味するものではない。
【0117】
再度図14を参照すると、ブロック1420においては、1種またはそれ以上の活性剤が、場合により装置要素、例えば基板、1またはそれ以上のリザーバ、活性化物質、または他の装置要素に配合され、あるいはその上に適用することができる。様々な態様において、活性剤は、溶解した分子および/またはイオン、分散された固体粒子、および/または液体の液滴(例えば、クリーム、ローション、エマルション、および/またはリポソーム組成物)として配合することができる。「活性剤」は、化粧学的作用、治療効果、化学的作用、形態学的作用、および/または細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調を包含するが、これらに限定されない細胞学的作用を含むが、これらに限定されない生物学的組織に、ある作用を及ぼす、合成化合物または天然の資源から単離した化合物を含むことができる。様々な態様において、装置要素に組込まれ、あるいはその上に適用される、活性剤の量は、「安全かつ有効な量」(例えば、該活性剤を組込むべき、または適用すべき該要素の質量基準で、約0.001〜約20質量%なる範囲)であり得る。
【0118】
活性剤は、例えば1種またはそれ以上の治療用の薬物(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸物質、ホルモン、脂肪、炭水化物、錯体分子、および/または栄養物)、創傷-治癒促進剤(例えば、組換えヒト血小板-由来の成長因子、および/または他の成長因子)、ケタンセリン、イロプロスト、瘢痕-軽減薬、育毛増強剤、育毛遅延剤、降圧剤、制癌剤、内分泌性および代謝薬剤、神経薬剤、動揺病軽減剤、プロテインおよびペプチド含有薬物、アクネ防止剤、抗-酒さ剤、老化防止剤(例えば、サンスクリーン、ビタミン、ビタミン塩、α-ヒドロキシ酸およびそのプリカーサ、β-ヒドロキシ酸、亜鉛および亜鉛含有化合物、植物抽出物、および塩)、脱色剤、植物抽出液、金属、麻酔剤、鎮静剤、精神医学的諸疾患、癲癇、および偏頭痛の治療薬物、薬物中毒(drug additions)阻害用薬物、抗-炎症薬剤、高血圧症、心血管障害、胃酸過多および潰瘍の治療用薬剤、ホルモン置換治療薬および避妊薬、抗生物質、抗-真菌剤、抗-ウイルス剤、乾癬治療薬、その他の抗菌剤、抗-炎症剤、抗-新生物剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、血液および造血器官に作用する薬物、ワクチンおよび/または抗-蛇毒素を含むが、これらに限定されない。
【0119】
再度図14を参照すると、ブロック1422において、該装置は、場合により包装することができる。一態様において、包装は、該装置を覆うカバーを作る工程を含み、このカバーは、該装置の使用前における、環境的または物理的損傷から保護する。かくして、この方法が完了する。
【0120】
一態様において、装置は、整合性を付与できる、組織接触式装置(例えば、皮膚、創傷、粘膜組織接触型デバイス、例えば治療用のパッチ、マスクまたは創傷用包帯、またはその他の包帯)として使用するのに適しており、また約1平方センチメートル(cm2)〜約50cm2なる範囲の活性表面積、および約1mm〜約10mmなる範囲の厚みを持つことができる。もう一つの態様において、装置は、目と接触する装置として使用するのに適しており、また約1cm2〜約2cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。別の態様では、装置は、耳管インサートとして使用するのに適しており、また約1cm2〜約10cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、膣内装置(例えば、タンポン、隔膜、スポンジ、ペッサリー)として使用するのに適しており、また約5cm2〜約200cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、内部の人工(補綴)装具として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、内部の医療用デバイス(例えば、ステント、子宮内デバイス、静脈内カテーテル、尿管カテーテル、気管チューブ、栄養補給用のチューブ、ネジ、クランプ)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約500cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、医療用器具(例えば、外科用器材、マスク、診断用デバイス等)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、衣料物品(例えば、手術着、衣類、手袋、靴下、ヘッドカバー、等)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100,00cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、ハンカチまたはタオルとして使用するのに適しており、また約20cm2〜約100,00cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。上に与えた寸法範囲は、例示の目的で与えられたものであり、本発明を限定するためのものではない。従って、上記装置は、代わりとなる態様において、より大きなまたはより小さな寸法の、活性表面積および/または厚みを持つことができる。例えば、前に議論した如く、「ナノ-リザーバ」を含む用途においては、装置の様々な寸法は、上に与えた範囲よりも大幅に小さなものであり得る。
【0121】
様々な装置を図25-30に示したが、そこには本発明の課題に係る種々の態様が含まれている。これら図示した装置は、例示の目的で与えられたものであり、様々な態様の適用を、これら装置のみに限定するものではないことを理解すべきである。逆に、本発明の課題となる態様は、広範囲に渡る他の装置にも組込むことができる。従って、前章に列挙したものを含むが、これらに限定されない、本発明の課題の、他の装置への組込みは、前記特許請求の範囲内に入るものと考えるべきである。
【0122】
図25は、例示の態様に従う、創傷用包帯2500の平面図である。包帯2500は、基板2502、第一のガルバニリザーバ2504、第二の異種ガルバニリザーバ2506、および固定機構2508を含むことができる。多数の第一および第二ガルバニリザーバ2504、2506は、基板2502と結合することができ、また基板2502は、固定機構2508と結合することができる。一態様において、固定機構2508は、その上面にある材料(図示せず)を含み、該材料は基板2502を、固定機構2508に対して、所定位置に保持するように機能することができる。更に、該材料は、基板2502の境界を越えて伸びていてもよく、また創傷用包帯2500を、ターゲット組織の所定領域に関して、決められた位置に保持するように機能することができる。
【0123】
例示の態様において、基板2502の表面積は、該包帯2500の、該組織と面している表面積の約25%に相当する。他の態様では、該包帯2500の、該組織と面している全表面積に対する基板2502の相対的な表面積は、25%よりも大きくても、また小さくても良い。更に、様々な態様において、基板2502、リザーバ2504、2506、および/または固定機構2508の形状は、例示した形状とは異なっていても良い。
【0124】
図26は、例示の態様に従う、ライン26-26に沿って取った、図25の創傷用包帯の断面、側面図である。この包帯は、基板2602、ガルバニリザーバ2604、組織接触層2606、流体吸収層2608、および構造用の層2610および接着剤被膜2612を含むことのできる、固定機構を含むことができる。更に、取外し可能なライナーシート2614を、該包帯と共に含めて、この包帯をターゲット組織の所定領域に適用する前に、該接着剤被膜2612および組織接触層2606を、物理的および/または環境的な損傷または劣化から保護することができる。取外し可能なライナーシート2614は、矢印2616で示したように、使用に先立って除去することができ、また接着剤被膜2612は、ターゲット組織の所定領域(例えば、ターゲット組織の所定領域に対して)に相対的に、組織接触層2606の上面を、決められた位置に維持するように機能し得る。代わりとなる態様において、組織接触層2606は排除することができ、また接着剤被膜2612は、基板2602の上面を、ターゲット組織の所定領域に対して、決められた位置に維持するように機能し得る。
【0125】
該包帯を、ターゲット組織の所定領域に適用するに際して、様々な流体が(例えば、導電性物質および/または創傷からの滲出流体)が、組織接触層2606および基板2602を介して、および/またはその周りを流動して、流体吸収層2608内に吸収される可能性がある。代わりとなる態様において、流体吸収層2608は、該包帯から排除することができ、あるいは基板2602の上方に配置することができる。更に別の代わりとなる態様において、基板2602は、流体吸収性物質を含むことができ、またその結果流体吸収性の層として機能することができる。
【0126】
図25および/または26に示した包帯は、1またはそれ以上の方法で、「活性化する」ことができる。一態様において、活性化は、該リザーバ(例えば、リザーバ2504、2506、2604)間に導電性材料を配置した場合に起こり、結果的に電気的な連絡および/またはイオン的な連絡が、該導電性物質を介して、これらリザーバ間で起り得る。該異種のガルバニリザーバ間に、導電性材料がある場合には、電流を、基板2602の近傍に生成することができる。様々な態様において、これらの電流は、後で詳しく説明するように、治療上の効果を持つことができる。
【0127】
この導電性材料は、該ターゲット組織領域と近接して配置することができ、および/または該導電性材料は、該包帯に適用することができる。例えば、一態様において、該ターゲット組織の所定領域と近接する、創傷からの浸出流体、血液、および/または他の生物学的な流体または物質は、該リザーバと近接する場合には、活性化物質として機能し得る。他の態様では、活性化物質は、該包帯に与えることが可能である。例えば、活性化物質は、活性化物質製のリザーバ内に含めることができ、該リザーバは、該包帯および/または該ターゲット組織の所定領域表面に放出すべく、選択的に開放し、あるいは破壊することができる。あるいはまた、活性化物質は、固体、半-固体、液体またはガス状物質として与えることができ、該包帯および/またはターゲット組織の所定領域に適用することができる。
【0128】
図27は、例示の態様に従う、目と接触する型のデバイス2700の、斜視図である。デバイス2700は、目に面する表面2704を持つ基板2702を含むことができる。一態様において、第一のガルバニリザーバ2708および第二の異種ガルバニリザーバ2710は、基板2702と結合していても良い。リザーバの特別な数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図27に示されているが、他の態様では、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、異なっていても良いことを理解すべきである。幾つかの態様では、リザーバを、相対的に等しく、目と面する表面を横切るように分配することができる。他の態様では、リザーバを不均一に分配することができ、および/または該目と面する表面の1またはそれ以上の部分を横切るに過ぎないように配置することもできる。例えば、非-限定的であるが、一態様においては、リザーバを、該目と面する表面の周辺部の周りに分配することができ、また該目と面する表面の中心領域に、少数のリザーバを配置することができ、あるいはそこにリザーバを配置する必要は全くない。
【0129】
基板2702は、柔軟なおよび/または剛性の材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2702は、1種またはそれ以上のエレクトロガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、剛性ガス透過性材料(例えば、シリコーン-アクリレート材料、フルオロシリコーン-アクリレート材料、剛性シリコーン-ヒドロゲル材料)、軟質シリコーン-ヒドロゲル材料(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート(MMA)のコポリマー)、超酸素透過性材料、および/またはその他の材料を含むことができる。一態様において、基板2702は実質的に透明である。基板2702は、様々な態様において、目の屈折に関する問題の、光学的補正が可能であっても、可能でなくても良い。
【0130】
一態様において、基板2702は、実質的に目の表面の輪郭を持つように形成され、また目と面する表面2704は、実質的に凹型である。例えば、基板2702は、実質的にコンタクトレンズ形状を持つことができる。使用中に、目と面する表面2704を、目の角膜と接触させることができる。目由来の流体(例えば、涙)は、活性化物質として機能することができる。
従って、該目由来の流体が、ガルバニリザーバ2708、2710と接触した際に、該目と面する表面2704を横切って、電流が発生する可能性がある。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つ可能性がある。例えば、非-限定的であるが、様々な態様の目と接触する型のデバイスを、角膜に適用して、以下に列挙する治療効果の1種またはそれ以上を得ることができる:1) 該角膜表面に対する細菌結合の低減;2) 白内障によって引起こされる変質の重篤度またはその速度の低減;3) 虹彩炎、眼球メラノーマ、シェーグレン症候群、および/またはブドウ膜炎の治療;4) 変更された角膜細胞成長(例えば、白内障)の治療のための、細胞アポトーシス誘発の変調;および/または5) 目の手術(例えば、角膜移植、屈折性視力障害の手術(refractive eye surgery))後の、治癒の容易化。
【0131】
図28は、例示の態様に従う、内部人工補綴具2800の斜視図である。デバイス2800は、組織と面する表面2804を有する基板2802を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ2808および第二の異種ガルバニリザーバ2810は、基板2802と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図28に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、基板2802は、特定の形状を持つものとして図示されているが、この基板2802は、他の態様では、大幅に異なる形状を持つことも可能である。
【0132】
基板2802は、1種またはそれ以上の固体、半-固体、可撓性、および/または剛性材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2802は、1またはそれ以上の被覆金属または合金(例えば、チタン、ステンレススチール、コバルトクローム)、プラスチック(例えば、ポリエチレン)、セラミックス、シリコーン、および/またはその他の材料を含むことができる。幾つかの態様において、基板2802は、実質的に非-可溶性である。従って、デバイス2800は、その形状を長期間に渡り維持できる。代わりとなる態様において、基板2802は、実質的に可溶性(例えば、生体吸収性)である。
【0133】
例えば、非-限定的であるが、本発明の課題とする一態様を組込んだ、内部人工補綴具は、股関節部、膝、肩、肘、手首、足首、椎骨、ディスク、軟骨、骨、硬質の化粧学的インプラント(例えば、頬、顎、またはその他用のインプラント)、および/または乳房インプラント、またはその他の軟質の化粧学的インプラント(例えば、乳房、脹脛、胸部、またはその他用のインプラント)のための、置換用人口補綴具の一部を構成することも可能である。本発明の課題とする一態様を組込んだ、人工補綴デバイスは、実質的に固体であり得、あるいは1またはそれ以上の中空部分を有していても良い。一態様において、中空の人工補綴デバイスは、流体または他の物質(例えば、塩水、シリコーンゲル)で満たされていても良い。
【0134】
人工補綴デバイス、例えばデバイス2800は、身体の内部部分に、設置(例えば、加圧適合、接着、腔内への挿入、またはその他)することができる。設置の際またはその後に、組織と面する表面2804は、該人工補綴デバイスと近接する組織と接触することになる。体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能できる。従って、生物学的に活性な物質が、ガルバニリザーバ2808、2810と接触した場合、該組織と面する表面2804を横切って、電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様の人工補綴デバイスは、身体内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該補綴具と近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 近接組織(例えば、新たな骨)発生の刺激;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0135】
図29は、例示の態様に従う、耳管インサート2900の斜視図である。インサート2900は、耳管と面する表面2904を持つ基板2902を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ2906および第二の異種ガルバニリザーバ2908は、基板2902と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図29に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、基板2902は、特定の形状を持つものとして図示されているが、この基板2902は、他の態様では、大幅に異なる形状を持つことも可能である。
【0136】
基板2902は、1種またはそれ以上の固体、半-固体、可撓性、および/または剛性材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2902は、1またはそれ以上のポリマー、ポリウレタンフォーム、シリコーン、および/またはその他の材料を含むことができる。
【0137】
一態様において、基板2902は、実質的に耳管の輪郭と適合するように形成することができる。一態様において、基板2902は、該基板2902の中心を通して同心状に伸びている開口2910を含むことができる。一態様において、開口2910は、耳管の内側部分から、耳管の外側部分へと、流体が流れることを可能とする。代わりとなる態様において、基板2902は、実質的に固体であり得、また開口を含まないものであっても良い。
【0138】
インサート、例えばインサート2900は、耳管内に設置することができる。設置前、設置中、および/またはその後、組織接触表面2904は、該耳管内の組織、例えば該耳管の壁および鼓膜と接触する可能性がある。活性化物質を、設置前、設置中、および/またはその後に、該インサートに適用することができる。更に、体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能し得る。該活性化物質が、ガルバニリザーバ2906、2908と接触した際に、該組織と面する表面2904を横切って、電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様に係るインサートは、耳管内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該インサートと近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 近接組織(例えば、新たな骨)発生の刺激;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0139】
図30は、例示の態様に従う、膣内デバイス3000(例えば、タンポン、ペッサリー、スポンジ、隔膜、またはその他のデバイス)の斜視図である。デバイス3000は、膣壁と面する表面3004を持つ基板3002を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ3006および第二の異種ガルバニリザーバ3008は、基板3002と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図30に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、膣内デバイスは、図30には示されていない、1種またはそれ以上の追加の構造的要素を含んでいても良く、および/または実質的に異なる形状を持つことも可能である。
【0140】
基板3002は、1種またはそれ以上の可撓性材料から製造できる。例えば、非-限定的であるが、基板3002は、1種またはそれ以上の綿、レーヨン、他のセルロース繊維を基本とする材料および/または他の材料を含むことができる。基板3002は、膣領域内の表面の輪郭と実質的に適合するように形成し得る。
【0141】
膣内デバイス、例えばデバイス3000は、膣管内に設置することができる。設置前、設置中、および/またはその後、組織接触表面3004は、膣壁組織および/または頚管組織と接触する可能性がある。体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能し得る。該活性化物質が、ガルバニリザーバ3006、3008間に位置する場合には、該組織接触表面3004を横切って電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様に係るタンポンは、膣管内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、クラミジア、酵母、および/または細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該インサートと近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 頚部異形成の治療;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0142】
図31は、例示の態様に従う、ターゲット組織領域に装置を適用する方法を示すフロー図である。ブロック3102において、本発明の課題の一態様を含む装置を得ることができる。
【0143】
ブロック3104において、該装置の適用のために、ターゲット組織の所定領域を、場合により調製することができる。ターゲット組織の調製は、1またはそれ以上の工程、例えば該ターゲット組織領域を清浄化する工程、1またはそれ以上の切開部を形成して、該ターゲット組織領域を露出させる工程、該ターゲット組織領域を再現する工程、および/または任意の幾つかの他の工程を含むことができる。代わりとなる態様においては、ターゲット組織領域の調製は、行わなくても良い。
【0144】
ブロック3106において、場合によりターゲット組織領域に適用するために、該装置を調製することができる。例えば、非-限定的であるが、該装置は、保護用の包装から取り出すことができ、該装置は、所定のサイズに切断または裂くことができ、および/または1種またはそれ以上の剥離ライナーを、該装置から除去することができる。
【0145】
ブロック3108においては、活性化物質を、場合により該装置および/または該ターゲット組織領域に適用することができる。例えば、非-限定的であるが、導電性物質を、該装置と結合した、活性化物質製のリザーバから遊離することができ、あるいは該装置と結合した、別の型の活性化物質を、該装置および/または該ターゲット組織領域と接触した状態で配置することができる。代わりとなる態様においては、活性化物質を適用しなくても良く、また該装置は、該ターゲット組織領域と近接する活性化物質を接触した際に、活性化されるものであっても良い。
【0146】
ブロック3110においては、該装置を、該ターゲット組織領域と近接して適用することができる。一態様において、該装置の適用は、該ターゲット組織領域と接触している(例えば、該組織の表面を貫通しているか、あるいはこれと接触する)異種リザーバ間に、電流を発生する可能性がある。あるいはまた、もしくは更に、この適用は、該ターゲット組織領域に向けて、治療性物質を電気的に泳動する(electromotivating)電流を発生する可能性がある。この装置の適用は、他の態様では、付加的なまたは異なる効果をもたらす可能性がある。
【0147】
ブロック3112において、該装置は、場合により組織または該ターゲット組織領域に近接する構造体に固定することができる。この装置は、該装置と結合した固定機構、該装置とは別の固定機構を用いて、および/または該ターゲット組織領域に近接する組織および/または構造体によって、固定することができる。
【0148】
ブロック3114において、該装置は、場合により「適用期間」と呼ばれる所定期間に渡り、該ターゲット組織領域との近接状態を維持することを可能とする。装置の適用期間は、装置の「有効期間」よりも短くても、ほぼこれと等しくても、あるいはこれより長くても良い。「有効期間」とは、幾つかの態様では、装置が、有益な活性(例えば、電流の発生、イオン泳動、抗菌性または他の治療物質の供給等)を発揮しても、また発揮しなくても良い、時間間隔として定義できる。有効期間は、該物質、物質の濃度、および該装置における物質の配向、該導電性物質、周囲条件(例えば、温度、ターゲット組織の諸特性等)およびその他の因子を包含する、幾つかの因子の1つまたはそれ以上に依存する可能性がある。一態様において、装置は、約1-14日なる範囲の有効期間を持つことができるが、装置は、他の態様では、この範囲よりも長い、または短い有効期間を持つことも可能である。
一態様において、該第一リザーバおよび該第二リザーバは、ほぼ予め決められた所定の期間(例えば、予め決められた有効期間)に渡り、該1つまたはそれ以上の電流を維持するように形成される。
【0149】
ブロック3116において、装置は、一態様において、場合により取外し、および/または交換することができる。代わりとなる態様において、装置は、無期限的にターゲット組織領域との近接状態を維持することができる。このように、この方法は完了する。
本発明の課題に係る態様の適用または使用は、幾つかの型の使用方法の任意の1またはそれ以上を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、用語「適用方法」または「適用する方法」とは、以下に列挙する方法の1またはそれ以上を含むことができるが、これらに限定されない:
1) 侵食された、または障害を受けた生物学的組織および/または組織疾患の治癒を増強するための治療方法;
2) 生物学的な組織の所定領域に電流を流して、治療的結果をもたらす方法;
3) 組織状態の外観を低減する方法;
4) 生物学的な組織の所定領域および/または生物学的系に、生物学的な組織の所定領域を介して、治療物質を与える方法;
5) 生物学的な組織の所定領域内および/または生物学的系内の感染(例えば、細菌、マイコバクテリウム属細菌、酵母、ウイルス、および/または真菌感染)を軽減または排除する方法;
6) 生物学的な組織の所定領域内および/または生物学的系内の、感染(例えば、細菌、マイコバクテリウム属細菌、酵母、ウイルス、および/または真菌感染)し易さを低減する方法;および/または
7) 生物学的な組織の所定領域および/または生物学的系内の細胞活性(例えば、細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調)を変更する方法。
【0150】
様々な態様において、生物学的な組織および/または生物学的系に、様々な作用を達成する方法は、装置の態様を、生物学的な組織の所定領域に適用する工程を含むことができる。これらの態様は、一群の細胞型から選択される生物学的な組織および/または流体に適用することができ、該細胞型は、皮膚組織、上皮組織、視覚組織、耳(聴覚)組織、粘膜組織、結合組織、筋肉組織、神経組織、脳脊髄組織、腹腔流体、および/または他の生物学的な組織および/または流体(例えば、骨、器官組織等)を含むが、これらに限定されない。ある態様を適用するために選択された、生物組織の所定領域は、損傷した生物組織、炎症を持つ生物組織、疾患に罹患した生物組織、感染した生物組織、健康な生物組織、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生物組織を含むことができる。
【0151】
用語「治療(treat, treating, treatment)」とは、幾つかの態様では、治療(例えば、症状の軽減または排除および/または治癒)および/または組織または生物系のある状態または障害の予防または阻害として定義することができる。用語「状態」および「障害」とは、幾つかの態様では、組織の疾患、障害、および/または特徴として定義することができる。用語「〜の治癒の増強」とは、幾つかの態様では、治癒の結果を改善し、治癒の際の瘢痕形成を軽減し、および/または治癒を促進するものとして定義することができる。
【0152】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、侵食されたまたは障害を受けた生物組織を治療しおよび/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、そこで該組織は、感染した外傷性病変、外科的切開、病巣、創傷、切り傷、刺し傷、破裂、擦過傷、裂傷、生検部位、レーザー治療後の皮膚、化学的に剥ぎ取られた後の皮膚、火傷、日焼け、凍傷、潰瘍、床擦れ、発疹、接触性皮膚炎(例えば、毒ヅタ/毒ガシへの暴露由来の)、昆虫による咬傷、虫刺され、蛇による咬傷、および動物による咬み傷を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含み得る。
【0153】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、皮膚、毛髪、および/または爪の状態を治療し、および/またはこれらの治癒を促進するための方法を含むことができ、ここで該組織は、細菌感染、マイコバクテリウム属細菌による感染、酵母感染、真菌感染、ウイルス感染、瘢痕、アクネ、疱疹、魚の目、仮骨、皮膚紋画症、蕁麻疹、血管浮腫、乾癬、シュサ、疥癬、白癬、形成異常症、皮膚炎(湿疹)、膿瘡、アトピー性皮膚炎、汗疱、神経皮膚炎、汗疱状白癬、おでき、カルブンケル、フレグモーネ、単純ヘルペス、毛包炎、フルンケル症、インペチゴ、ジョック痒疹、軟属腫コンアギオスム(molluscum conagiosum)、ヘルペス、ムーシャ-ハーベルマン病(Mucha-Havermann disease)、輪癬、帯状疱疹、クロナマズ、紫外線角化症、イボ、そばかす、奇胎、異常色素沈着、脂肪腫、黒色腫、頭皮癌、皮膚癌、黒色表皮腫、水泡性類疱瘡、表皮水泡症、魚鱗癬(icthyosis)、バラ色ヒコウ疹、環状肉芽腫、汗腺炎、光沢苔癬、扁平苔癬、斑状硬化症、強皮症、毛床嚢胞、壊疽性膿皮症、スチーブンス-ジョンソン症候群、血管腫、発汗症、体臭、セルカリア性皮膚炎、内方成長性足指の爪、および爪の真菌感染を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含み得る。
【0154】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、粘膜組織(例えば、粘膜)を治療し、および/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、ここで該生物組織は、口内または膣内酵母感染、麦粒腫、結膜炎、歯肉炎、口腔癌、癌性糜爛、および頚部癌を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含むことができる。
【0155】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、耳および/または目の組織を治療し、および/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、ここで該生物組織は、結膜炎、麦粒腫、白内障、虹彩炎、眼球黒色腫、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、耳の感染、破壊された鼓膜、および/または角膜移植術、屈折性視力障害手術または耳の手術により障害を受けた組織を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含むことができる。
【0156】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、装置に近接する生物組織の感染し易さを低減し、該感染を予防し、および/または該感染を低減する方法を含むことができ、該装置は、創傷用の包帯、コンタクトレンズ、股関節部、膝、肩、肘、手首、足首、椎骨、ディスク、軟骨、骨の置換用人工補綴具、硬質の化粧学的インプラント(例えば、頬、顎、またはその他用のインプラント)、乳房インプラント、または他の軟質の化粧学的インプラント(例えば、乳房、脹脛、胸部、またはその他用のインプラント)、耳管インサート、ステント、タンポン、隔膜、スポンジ、子宮内デバイス、ペッサリー、尿管カテーテル、静脈内カテーテル、気管チューブ、胃腸管栄養供給チューブ、ネジ、クランプ、外科用器具、マスク、診断用デバイス、手術着、衣服、手袋、靴下、ヘッドカバー、ハンカチ、および/またはタオルを含むが、これらに限定されない。
【0157】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、様々な皮膚特性の外観を、低減しまたは元に戻す方法を含むことができ、該方法は、皮膚色素沈着、瘢痕、毛髪の喪失、毛髪の成長、不均一な皮膚の組織、最適でない皮膚の堅牢性、最適でない皮膚の弾力性、見掛けの皮膚の脈管系、ダークアイサークル(dark eye circles)、セルライト、最適でない皮膚の輝き、腫瘍、および皺を低減しまたはこれを元に戻す方法を含むが、これらに限定されない。用語「低減する」(to reduce)とは、幾つかの態様では、肉眼に対してそれほど明白でないものとすることとして定義できる。また、用語「元に戻す」(to reverse)とは、幾つかの態様では、以前の状態に変換することとして定義することができる。
【0158】
本発明の態様のターゲット組織の所定領域への適用は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない、1またはそれ以上の有益な結果を、与えるものであっても、そうでなくてもよい:
a) 線維増殖の刺激(例えば、結合組織の再生);
b) コラーゲンの改造(例えば、コラーゲン原線維の改質);
c) 新血管形成の刺激(例えば、組織への血液供給の再現);
d) 抗菌作用(例えば、リザーバへの微生物の誘引、およびリザーバ物質との接触による該微生物の中和);
e) ターゲット組織に向けておよび/またはその中に、1種またはそれ以上の物質(例えば、銀および/または亜鉛)を移動させる起電力の発生(例えば、イオン泳動)、これは微生物を殺傷する作用、および/または電気的に帯電した治癒細胞を移動させまたは誘引する作用を有していても、また持たなくてもよい;
f) ターゲット組織の所定領域と近接する、あるいはその内部の微生物を、リザーバまで電気的に引付け、また該リザーバが抗菌性の物質を含む場合には、該引寄せた微生物を殺傷する;
【0159】
g) 通常組織の障害を受けた部位における、刺激による生体電流の発生;
h) 創傷の収縮;
i) 創傷表面上に電流を与えることによる、該創傷の表面全体に渡る、創傷治癒刺激の供与(例えば、通常創傷の周辺部辺りに見られる損傷部の電流を、創傷表面全体に刺激する);
j) 毛細管の浸透性の変更;
k) 細胞の移動;
l) 活動亢進状態または活動低下状態から、正常な状態(例えば、ホメオスターシス状態)への、細胞活性の変更;および/または
m) 細胞誘発の改善、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調。
【実施例】
【0160】
インビボでのヒトの研究
志願したヒトについて、一態様に従う装置を用いて、インビボでの研究を行った。この研究は、真性糖尿病およびポリオを患っている、63歳の男性の医師である志願者を用いて実施した。この男性の対象は、本研究の約4年前(約2000年)に、その左足親指が切断されていた。手術後、この医師は、その切断された親指の断端に至る傷を持つその足に、また第二、第三および第四指(即ち、ターゲット組織)にも火傷を被っていた。これらの傷は、感染を被っていた。このターゲット組織は、通常の医学的治療を、約4年間続けた後も、治癒し得なかった。この研究開始の約1ヶ月前に、対象の担当医師に、近位切断を勧められた。この切断を受入れるよりも、この対象は、一態様に従う装置を用いたこのインビボ研究のための志願者となることを選択した。
【0161】
図32および33は、装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。このターゲット組織は、該対象の左足にあり、該写真画像は、夫々この対象の足に関する、正面図および平面図である。このターゲット組織は、その足の親指の切断部位近傍に原発性の創傷を含んでいた。図32は、このデバイスの一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真である。該原発性の創傷は、約4.2cm2なる面積にて、皮膚下部の組織を露出していた。この原発性創傷全体を覆う皮膚または表皮被膜はなかった。この創傷の周辺縁部は、壊死性であり、また中足骨ヘッドは、切断創傷部位において露出していた。この原発性創傷を横切る組織は、脆弱であった。この原発性創傷は、過豊の滲出液を生成した。この原発性創傷の培養物は、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびエンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)を生育させた。このターゲット組織は、また該第二、第三および第四指にも、二次的な創傷を含んでいた。
【0162】
この研究は、49日間に渡って行った。この研究中に、従来の治療法は利用しなかった。
医療用電池装置の一態様は、この研究の開始時点(例えば、第一日目)において、直接該ターゲット組織に適用した。この装置を水で湿潤させ、直接該傷の上に置き、また綿の巻きガーゼで固定した。この装置は、シャワーを浴びる際には取外し、その後即座に戻した。
この装置は、1週間に1回当て、取替えた。
【0163】
この装置は、織りポリエステル織物製の基板を含んでいた。リザーバの第一パターンは、該基板の第一面に配置させた。この第一のリザーバ材料は、高純度の銀結晶と混合したバインダを含んでおり、このバインダを、該第一面にスクリーン印刷し、硬化させた。リザーバの第二パターンは、該第一パターンとインターリーブされた、第一面に配置させた。この第二のリザーバ材料は、高純度の亜鉛結晶と混合したバインダを含んでおり、このバインダを、該第一面にスクリーン印刷し、硬化させた。該第一のリザーバは円形であり、約1mmなる径を有していた。該第二のリザーバは、円形であり、約0.5mmなる径を有していた。約1mmなる間隔が、最も近接した、隣接第一リザーバと第二リザーバとの間に、該第一面を横切って存在していた。この装置を水で活性化し、該傷の滲出液と接触させた。
【0164】
4日以内に、該ターゲット組織において、感染の消散を包含する、観測し得る変化が明らかになった。適用後10日目に、観察を行ったところ、該創傷は、顕著に癒合組織で覆われており、また足親指の切断部位において、前に露出していた骨が、組織で覆われていた。この組織が、該創傷の周辺の縁部からの癒合のみならず、全創傷表面に渡って癒合したという、観測がなされた。
【0165】
図34および35は、35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。35日間の適用後、観測を行ったところ、開いていた傷が、かなり癒合しており、また厚みのある成熟した組織(例えば、該創傷表面から崩壊させることのできない強靭な、成熟組織)で満たされていた。この研究中ずっと、癒合は進行した。この研究は、該創傷が完全に治癒した、49日後に終了させた。
【0166】
以上、医療用装置およびその使用並びに製法に関する様々な態様を記載してきた。上記の特定の態様に関する説明は、本発明の課題の一般的特徴を、他の者が、公知の知見をこれに適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱せずに、上記態様を容易に改良し、および/またはこれを様々な用途に適合させることを可能とするのに十分に、明らかにしている。従って、このような適合並びに改良は、ここに記載した態様に等価なものの意味および/または範囲に入るものである。
【0167】
ここにおいて使用する術語および用語は、本発明の説明を目的とするものであって、本発明を限定するためのものではない。従って、本発明の課題は、このような代替物、改良、等価物および変更全てを、本発明の精神並びに添付した特許請求の範囲の広義の範囲に含まれるものである。
さらに、本発明は、以下に関する。
1.
基板と結合した多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており、
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、装置。
2.
該還元剤が銀を含む、上記1記載の装置。
3.
該還元剤が、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素からなる一群の材料から選択される1種またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
4.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記1記載の装置。
5.
該酸化剤が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金からなる一群の材料から選択される1種またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
6.
該多数の第一のリザーバが、リザーバの第一のパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該リザーバの第一パターンとインターリーブされた、リザーバの第二のパターンを含む、上記1記載の装置。
7.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一基板表面と結合している、上記1記載の装置。
8.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該基板内に包埋されている、上記1記載の装置。
9.
該基板が、適合性材料を含み、かつ該第一基板表面が、実質的に生体組織の所定領域と適合し得る、上記1記載の装置。
【0168】
10.
該第一基板表面が、組織接触表面を含む、上記1記載の装置。
11.
該基板が、実質的に目の表面の輪郭状に形成されており、かつ該第一基板表面が、目との接触表面を含む、上記1記載の装置。
12.
該基板が、実質的に耳管の輪郭形状に形成されており、かつ該第一基板表面が、耳管との接触表面を含む、上記1記載の装置。
13.
該基板が可撓性である、上記1記載の装置。
14.
該基板が剛性である、上記1記載の装置。
15.
更に、流体吸収層をも含む、上記1記載の装置。
16.
更に、固定機構をも含み、第二の基板表面が、該固定機構の一部と結合している、上記1記載の装置。
17.
更に、組織接触層をも含む、上記1記載の装置。
18.
更に、活性化物質を含むのに適したリザーバをも含む、上記1記載の装置。
19.
該活性化物質が、水、塩水、有機または無機塩またはバッファー、電解質活性試薬、ヒドロゲル、および有機溶媒からなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の材料を含む、上記18記載の装置。
【0169】
20.
該基板が、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ヒドロゲル、他のゲル、エラストマー材料、合成スポンジ、天然スポンジ、絹、ケラチン、セルロース繊維、レーヨン、アセテート、アクリル酸樹脂、セルロースエステル、モダクリル樹脂、ポリマー、超吸収性ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、エレクトログラス、ポリメチルメタクリレート、剛性ガス透過性材料、軟質シリコーンヒドロゲル材料、超酸素透過性材料、被覆金属または合金、プラスチック、ポリエチレン、セラミックス、ポリウレタンフォーム、綿、およびレーヨンからなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
21.
該基板が、ガラス、糖ガラス、塩ガラス、バイオセラミックス、天然生分解性ポリマー、合成生分解性ポリマー、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム、シリカを主成分とするガラス、ガラスセラミックス、熱分解炭素、リン酸テトラカルシウム、アモルファスリン酸カルシウム、リン酸α-トリカルシウム、リン酸β-トリカルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリマー、コポリマー、エステル、ポリエステル、ポリエーテルエステル、カプロラクトン、無水物、オルトエーテル、アミド、ポリジオキサノン、グリコライド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリ(アミノ酸)、およびポリエステルアミドからなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の生体吸収性材料を含む、上記1記載の装置。
22.
該還元剤および該酸化剤が、該第一リザーバ表面と該第二リザーバ表面との間に、該第二リザーバ表面と該第一リザーバ表面とを接触させる電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応を生じるように選択される、上記1記載の装置。
23.
該多数の第一リザーバの内の選択されたものがバインダを含み、活性化材料が該バインダと接触した際に、該バインダが分解できる、上記1記載の装置。
24.
該多数の第二リザーバの内の選択されたものがバインダを含み、活性化材料が該バインダと接触した際に、該バインダが分解できる、上記1記載の装置。
【0170】
25.
該基板が多数の基板表面を含む、上記1記載の装置。
26.
該第二リザーバ表面の内の選択されたものが、該第一リザーバ表面の内の選択されたものと、隔置された関係で配置されている、上記1記載の装置。
27.
第一の基板表面および第二の基板表面を持つ基板と;
該基板と結合した、第一の材料組成物製の、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバから選択された第一リザーバ表面が、該第一の基板表面において露出しており、かつ該第一の材料組成物が第一の電位を有し;
該多数の第一のリザーバに隣接する、該基板と結合した、第二の材料組成物製の多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバから選択された第二リザーバ表面が、該第一の基板表面において露出し、かつ該第一リザーバ表面の内の隣接するものとは、物理的に分離しており、また該第二の材料組成物が第二の電位を有し、該第二の電位が、該第一の電位とは異なっている、ことを特徴とする装置。
28.
該第一の材料組成物が、銀を含む、上記27記載の装置。
29.
該第二の材料組成物が、亜鉛を含む、上記27記載の装置。
【0171】
30.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記27記載の装置。
31.
第一の表面を持つ基板と;
装置と結合した、多数の間隔を置いて配置された、異種のリザーバとを含み、ここで該装置は、電気的に独立であり、かつ活性化した際に、外部電源を必要とすること無しに、該多数の間隔を置いて配置された、1またはそれ以上の、異種のリザーバ間に、電流を発生することができる、ことを特徴とする装置。
32.
該多数の間隔を置いて配置された、第二の異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバの第一パターンと;
1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンとを含み、ここで該第二パターンは、該第一パターンと隔置された関係で配置されている、上記31記載の装置。
33.
該多数の間隔を置いて配置された異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバと、ここで該1またはそれ以上の第一のリザーバは、銀を含み、
1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンとを含み、ここで該1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンが亜鉛を含み、かつ該第二パターンは、該第一パターンとインターリーブされている、上記31記載の装置。
34.
該多数の間隔を置いて配置された異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバと;
1またはそれ以上の第二のリザーバとを含み、ここで該1またはそれ以上の第一のリザーバおよび該1またはそれ以上の第二のリザーバが、ほぼ予め決められた時間の間、該1またはそれ以上の、異種のリザーバ間の電流を維持するように配置されている、上記31記載の装置。
【0172】
35.
該基板が、多数の基板表面を持つ、上記31記載の装置。
36.
基板と、
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、組織接触装置。
37.
該還元剤が銀を含む、上記36記載の装置。
38.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記36記載の装置。
39.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記36記載の装置。
【0173】
40.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記36記載の装置。
41.
可撓性の基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接している、ことを特徴とする、創傷用の包帯。
42.
該還元剤が銀を含む、上記41記載の装置。
43.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記41記載の装置。
44.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記41記載の装置。
【0174】
45.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記41記載の装置。
46.
実質的に目の表面の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、目と接触する装置。
47.
該還元剤が銀を含む、上記46記載の装置。
48.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記46記載の装置。
49.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記46記載の装置。
【0175】
50.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記46記載の装置。
51.
実質的に耳管の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、耳管インサート。
52.
該還元剤が銀を含む、上記51記載の装置。
53.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記51記載の装置。
54.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記51記載の装置。
【0176】
55.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記51記載の装置。
56.
実質的に膣領域内表面の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、膣内装置。
57.
該還元剤が銀を含む、上記56記載の装置。
58.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記56記載の装置。
59.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記56記載の装置。
【0177】
60.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記56記載の装置。
61.
可撓性の基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、内部人工装具。
62.
該還元剤が銀を含む、上記61記載の装置。
63.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記61記載の装置。
64.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記61記載の装置。
【0178】
65.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一基板表面と結合している、上記61記載の装置。
66.
基板と、多数の第一のリザーバとを結合する工程と、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接しており;
該基板と、多数の第二のリザーバとを結合する工程とを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、装置の製造方法。
67.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、塗布、印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、化学的堆積法、電気化学的堆積法、気相蒸着、鍍金、噴霧塗布、グラビア塗布、プラズマ塗布、浸漬塗布、真空蒸着、ナノスケール蒸着、スパッタリング、ボンディング、および融合からなる一群の技術から選択される1種またはそれ以上の技術を用いて、該第一基板表面に、リザーバ材料を結合する工程を含む、上記66記載の方法。
68.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、該基板内にリザーバ材料を埋設する工程を含む、上記66記載の方法。
69.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバを、接着剤を用いて、該第一基板表面に接着する工程を含む、上記66記載の方法。
【0179】
70.
更に、該装置を硬化する工程を含む、上記66記載の方法。
71.
更に、組織接触層を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
72.
更に、流体吸収性材料を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
73.
更に、固定機構を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
74.
更に、活性化材料製のリザーバを、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
【0180】
75.
更に、1種またはそれ以上の活性薬剤を、該装置に組込む工程を含む、上記66記載の方法。
76.
生物組織の所定領域を処置する方法であって、該方法が、該生物組織の所定領域に所定の装置を適用する工程を含み、該装置が、
基板と結合した多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており、
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、上記方法。
77.
更に、該生物組織の所定領域に、活性化材料を適用する工程をも含む、上記76記載の方法。
78.
更に、該装置の表面に面している組織に、活性化材料を適用する工程をも含む、上記76記載の方法。
79.
更に、所定期間の間、該装置と該生物組織との近接状態を維持する工程をも含む、上記76記載の方法。
【0181】
80.
該装置が、更に固定機構を含み、かつ該方法が、更に該固定機構を利用して、該装置を該生物組織の所定領域に固定する工程をも含む、上記76記載の方法。
81.
該生物組織を、皮膚組織、上皮組織、視覚組織、耳の組織、粘膜組織、結合組織、筋肉組織、および神経組織からなる一群の組織型から選択する、上記76記載の方法。
82.
該生物組織の所定領域が、損傷した生物組織、炎症を持つ生物組織、疾患に罹患した生物組織、感染した生物組織、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生物組織を含む、上記76記載の方法。
83.
該生物組織の所定領域が、感染した外傷性病変、外科的切開、病巣、創傷、切り傷、刺し傷、破裂、擦過傷、裂傷、生検部位、レーザー治療後の皮膚、化学的に剥ぎ取られた後の皮膚、火傷、日焼け、凍傷、潰瘍、床擦れ、発疹、接触性皮膚炎、昆虫による咬傷、虫刺され、蛇による咬傷、および動物による咬み傷からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
84.
該生物組織の所定領域が、細菌感染、マイコバクテリウム属細菌による感染、酵母感染、真菌感染、ウイルス感染、瘢痕、アクネ、疱疹、魚の目、仮骨、皮膚紋画症、蕁麻疹、血管浮腫、乾癬、シュサ、疥癬、白癬、形成異常症、皮膚炎、膿瘡、アトピー性皮膚炎、汗疱、神経皮膚炎、汗疱状白癬、おでき、カルブンケル、フレグモーネ、単純ヘルペス、毛包炎、フルンケル症、インペチゴ、ジョック痒疹、軟属腫コンアギオスム、ヘルペス、ムーシャ-ハーベルマン病、輪癬、帯状疱疹、クロナマズ、紫外線角化症、イボ、そばかす、奇胎、異常色素沈着、脂肪腫、黒色腫、頭皮癌、皮膚癌、黒色表皮腫、水泡性類疱瘡、表皮水泡症、魚鱗癬、バラ色ヒコウ疹、環状肉芽腫、汗腺炎、光沢苔癬、扁平苔癬、斑状硬化症、強皮症、毛床嚢胞、壊疽性膿皮症、スチーブンス-ジョンソン症候群、血管腫、発汗症、体臭、セルカリア性皮膚炎、内方成長性足指の爪、および爪の真菌感染からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
【0182】
85.
該生物組織の所定領域が、口内酵母感染、膣酵母感染、麦粒腫、結膜炎、歯肉炎、口腔癌、癌性糜爛、および頚部癌からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
86.
該生物組織の所定領域が、白内障、虹彩炎、眼球黒色腫、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、結膜炎、麦粒腫、角膜移植術により障害を受けた組織、および屈折性視力障害手術により障害を受けた組織からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
87.
該生物組織の所定領域が、耳の感染、破壊された鼓膜、および耳の手術により障害を受けた組織からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
88.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、該装置に近接する該生物組織の所定領域の感染し易さを低減し、該感染を予防し、または該感染を低減する方法を含む、上記76記載の方法。
89.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、皮膚色素沈着、瘢痕、毛髪の喪失、毛髪の成長、不均一な皮膚の組織、最適でない皮膚の堅牢性、最適でない皮膚の弾力性、見掛けの皮膚の脈管系、ダークアイサークル、セルライト、最適でない皮膚の輝き、腫瘍、および皺からなる群から選択される様々な皮膚特性の外観を、低減しあるいは元に戻す方法を含む、上記76記載の方法。
【0183】
90.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、該装置に近接する、該生物組織の所定領域内の細胞活性を変更する方法を含む、上記76記載の方法。
91.
該装置に近接する、該生物組織の所定領域内の細胞活性を変更する方法が、細胞の感応性を変調する方法、細胞分化を変調する方法、細胞の脱分化を変調する方法、細胞のアポトーシスを変調する方法、細胞の形態学的特徴を変調する方法、細胞機能を変調する方法、細胞活性を変調する方法、細胞の化学的活性を変調する方法、および細胞の挙動を変調する方法からなる群から選択される方法を含む、上記90記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本件特許出願は、継続中の、本明細書に参考文献として組入れられる、2004年2月19日付の米国特許出願第10/784,088号の、一部継続出願に係る。
【背景技術】
【0002】
生体組織、細菌、ウイルス、真菌、およびその他の生物または有機物質は、電気的刺激によって影響される可能性がある。従って、多くの医学的な問題を扱うために、有機物質に電気的刺激を適用する装置並びに技術が、開発されてきた。
【発明の概要】
【0003】
一態様は、基板と結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを持つ装置を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0004】
もう一つの態様は、第一の基板表面および第二の基板表面を持つ基板を持つ装置を含む。第一の材料組成物製の、多数の第一のリザーバは、該基板と結合しており、また第二の材料組成物製の多数の第二のリザーバは、該多数の第一のリザーバに隣接する、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバから選択された第一リザーバ表面は、該第一の基板表面において露出しており、かつ該第一の材料組成物は、第一の電位を有している。該多数の第二のリザーバから選択された第二リザーバ表面は、該第一の基板表面において露出し、かつ該第一リザーバ表面の内の隣接するものとは、物理的に分離しており、また該第二の材料組成物は第二の電位を有し、該第二の電位は、該第一の電位とは異なっている。
【0005】
別の態様は、所定の装置を含み、該装置は、第一の表面を持つ基板と、この装置と結合した、間隔を置いて配置された、多数の異種リザーバとを含む。該装置は、電気的に独立であり、かつ活性化した際に、外部電源を必要とすること無しに、該間隔を置いて配置された、1またはそれ以上の、多数の異種リザーバ間に、電流を生成することができる。
【0006】
もう一つの態様は、基板と、該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、該基板と結合した多数の第二のリザーバとを持つ組織接触装置を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0007】
別の態様は、可撓性の基板を持つ、創傷用の包帯を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0008】
もう一つの態様は、実質的に目の表面の輪郭を持つように形成された基板を持つ、目と接触する型の装置を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0009】
別の態様は、実質的に耳管の輪郭を持つように形成された基板を持つ、耳管インサートを含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。
該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0010】
もう一つの態様は、実質的に膣領域内表面の輪郭を持つように形成された基板を有する、膣内装置を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0011】
別の態様は、可撓性の基板を持つ、内部人工補綴具を含む。多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバは、該基板と結合している。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0012】
もう一つの態様は、ある装置の製法を含み、該方法は、基板と、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバとを結合する工程を含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【0013】
別の態様は、生体組織を処置する方法を含み、この方法は、該生体組織にある装置を適用する工程を含む。該装置は、基板と結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む。該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接している。該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバは、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面は、該第一基板表面と近接している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一例としての態様に従う、異種のリザーバに関する、第一の構成を持つ、医療用電池の平面図である。
【図2】医療用電池の一部に関する平面図であり、一例としての態様に従う、異種リザーバ間の電流を示す。
【図3】例示的態様に従う、図2に示した医療用電池の一部の、ライン3-3に沿って取った、断面側面図である。
【図4】医療用電池の一部に関する平面図であり、この電池は、例示的態様に従う、少なくとも一つの複合リザーバを含む。
【図5】例示的態様に従って、図4のライン5-5に沿って取った、医療用電池の一部を示す断面側面図である。
【図6】例示的態様に従う、異種のリザーバの第二の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図7】例示的態様に従う、異種リザーバの第三の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図8】例示的態様に従う、異種リザーバの第四の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図9】例示的態様に従う、異種リザーバの第五の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図10】例示的態様に従う、異種リザーバの第六の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図11】例示的態様に従う、異種リザーバの第七の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図12】例示的態様に従う、異種リザーバの第八の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図13】例示的態様に従う、異種リザーバの第九の構成を持つ、医療用電池に関する平面図である。
【図14】例示的態様に従う、医療用電池の製法に関するフロー図である。
【図15】例示の態様に従って、基板表面に結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。
【図16】例示の態様に従って、接着性物質を用いて、基板表面に結合した、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。
【図17】例示の態様に従う、表面に窪みを持つ基板の一部を示す、断面側面図である。
【図18】例示の態様に従う、基板内の窪み内で、表面と結合している、多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む、図17に示した基板の断面側面図である。
【図19】例示の態様に従う、表面に孔を持つ基板の一部を示す断面側面図である。
【図20】例示の態様に従う、基板における孔内に堆積された多数の第一のリザーバおよび多数の第二のリザーバを含む、図19に示した基板に関する断面側面図である。
【図21】例示の態様に従う、基板の第一表面と結合している多数の第一のリザーバおよび基板の第二表面と結合した層として与えられた、第二のリザーバを含む、該基板の一部を示す断面側面図である。
【図22】例示の態様に従う、基板と結合している、実質的に平滑なリザーバ表面を持つリザーバを示す図である。
【図23】例示の態様に従う、かなりの表面不連続性を持つ、リザーバ表面を有するリザーバを示す図である。
【図24】例示の態様に従う、基板、リザーバ、組織接触層、流体吸収層、固定機構、活性化物質性のリザーバ、および活性化物質を含む、装置の断面、側面図である。
【図25】例示の態様に従う、創傷用包帯の平面図である。
【図26】例示の態様に従う、ライン26-26に沿って取った、図25の創傷用包帯の断面、側面図である。
【図27】例示の態様に従う、目と接触する型のデバイスの、斜視図である。
【図28】例示の態様に従う、内部人工補綴デバイスの斜視図である。
【図29】例示の態様に従う、耳管インサートの斜視図である。
【図30】例示の態様に従う、タンポンの斜視図である。
【図31】例示の態様に従う、ターゲット組織領域に装置を適用する方法を示す、フロー図である。
【図32】装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図33】装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図34】35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【図35】35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面全体を通して、類似する参照番号は、類似する項目を意味する。
「医療用電池」として表すことのできる、様々な装置に関する態様を、ここに記載する。更に、医療装置の製造方法および「ターゲット組織」に医療装置を適用する方法に関する、様々な態様をもここに記載する。幾つかの態様において、「医療用電池」なる用語は、幾つかの状況の下で、「ターゲット組織」の所定領域と接触して、電気的刺激を発生できる、および/またはターゲット組織の所定領域に向けて、1種またはそれ以上の治療物質を電気的に刺激、誘導(例えば、イオン泳動)できる、および/またはターゲット組織内の1種またはそれ以上の生物的またはその他の物質に影響(例えば、誘引、殺傷、中和等)を及ぼすことのできる装置として定義することができる。該「ターゲット組織」なる用語は、ヒトの組織、動物組織および/または植物組織を含むが、これらに限定されない。「組織」とは、例えば内部または外部軟質組織および骨を含むが、これらに限定されない。以下の説明は、ターゲット組織への適用および該組織の領域に集中しているが、使用中に、様々な態様が、該ターゲット組織に近似する効果を生成でき、また幾つかの用途では、生物の1種またはそれ以上の系全体に系統的に、該効果を発生するものであることを理解すべきである。
【0016】
様々な態様において、装置は、「別々のリザーバ」を含むことができ、これらは1種またはそれ以上の基板と結合して、医療用の電池を生成することができる。幾つかの態様において、該用語「別々のリザーバ」とは、境界を持つ物質の集団として定義することができる。リザーバ境界の形状は、様々な態様において、大幅に変更することができる。従って、例示した態様は、様々な形状の境界および断面形状を持つリザーバを含むことができるが、本発明の課題は、他の形状の境界および断面形状を持つリザーバを含む態様をも包含するものであると、理解すべきである。更に、用語「基板」とは、ここでは単数形として使用できるが、様々な態様において、装置は、多数の相互に接続された、またはばらばらに解体された基板表面を持つことが可能であるものと理解すべきである。従って、多数の基板表面を含む態様は、本発明の課題の範囲内に含まれるものとする。
【0017】
ここに記載する態様は、2つの型の異種のリザーバを含む医療用電池を含むが、これらに限定されず、ここで第一の型のリザーバは、電池セル(battery cell)の第一の部分を確立し、また第二の型のリザーバは、電池セルの第二の部分を確立し得る。様々な態様において、1種またはそれ以上の第一の型のリザーバは、異種の型の1種またはそれ以上の第二のリザーバと共に、(例えば、相互に隔置された関係で)所定形状に形成される。該用語「隔置された関係」とは、幾つかの態様では、相互に空間的な配置関係を持つものとして定義できる。該用語「異種の型」および「異種のリザーバ」とは、幾つかの態様では、該リザーバに含まれる材料の点で異なる、および/または該リザーバに含まれる材料の割合の点で異なる材料組成を持つリザーバとして定義できる。
【0018】
他の態様では、医療用電池は、1種の型のリザーバのみを含むものであり得、あるいは医療用電池は、2種以上の異種の型のリザーバを含むものであり得ることを理解すべきである。更に、例証した態様が、例示の目的で与えられたものであり、従ってここに例示したものとは異なる構成を持つ医療用の電池が、本発明の課題の範囲内に入るものであることをも理解すべきである。従って、これらの例証に用いた態様は、例示の目的で与えられたものであり、本発明の課題の範囲を、これらの例証した態様に限定すべきものと理解すべきではない。
【0019】
第一および第二リザーバに関連する、添付図における逆向きの綾目陰影の使用は、該第一および第二リザーバが、導電性金属から製造され、あるいはこれを含有することの暗示を意味するものではないが、これらの一方または両者は、導電性金属から製造することができ、あるいはこれを含有し得るものであることを理解すべきである。事実、添付図における逆向きの綾目陰影は、これらのリザーバが、異種のものであることを示すために使用している。
【0020】
図1は、一例としての態様に従う、異種のリザーバに関する、第一の構成を持つ、医療用電池100の平面図である。特に電池100は、基板106と結合した、多数の第一の別々のリザーバ102および多数の第二の別々のリザーバ104を含む。第一の別々のリザーバ、第二の別々のリザーバ、基板および医療用電池のその他の部分を製造するのに使用できる様々な材料は、後で説明する。
【0021】
図1に示したように、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104は、実質的に円形の、充実形状(例えば、図示のものを上から見た場合)を持つことができる。他の態様では、第一および第二リザーバの一方または両者は、正方形、矩形、楕円型、六角形、実質的な線形、実質的な平面形状、螺旋形、円盤形、オープンセンター形、十字形、文字形、数字形、符号形、不規則形、および/またはその他の形状を含むが、これらに限定されない、交互の形状を持つことができる。
【0022】
一態様において、第一のリザーバ102は、約2mmなる径108(または幅)を持つことができ、また第二のリザーバ104は、約1mmなる径110(または幅)を持つことができる。他の態様では、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104の一方または両者は、上に与えられた値よりも大きな、または小さな、1またはそれ以上の寸法(例えば、高さ、幅、長さ)を持つことができる。リザーバの寸法は、様々な態様において、上に与えられた値よりも、大幅に小さいものであり得る。例えば、ある装置は、ナノメータ(nm)スケール(例えば、約1nm〜約10,000nmまたはそれ以上)で測定できる寸法を持つことのできる、「ナノ次元のリザーバ」を含むことができる。更に、第一のリザーバ102および第二のリザーバ104は、同様なサイズまたは形状のものであり得、あるいはこれらのサイズおよび/または形状は、実質的に相互に異なるものであり得る。
【0023】
該第一および第二リザーバにおける材料の濃度および/またはその量、および/またはこれらの相対的なサイズ(例えば、寸法または表面積)は、本発明の装置の運転挙動の様々な特徴を達成するために、慎重に選択することができる。例えば、第一および第二リザーバにおける材料の量は、ほぼ所定の速度で枯渇し、および/または活性化後のほぼ所定の期間経過後に「消滅する」、医療用電池を与えるように選択することができる。一態様において、1またはそれ以上の該第一リザーバおよび1またはそれ以上の該第二リザーバは、活性化後、ほぼ予め決められた期間に渡り、1またはそれ以上の電流を維持するように配置する。
【0024】
様々な態様において、該第一リザーバおよび該第二リザーバにおける材料は、この装置の作動後に、徐々に消滅するものであり得る。例えば、一態様において、第一のリザーバは、銀を含み、かつ第二のリザーバは亜鉛を含むことができる。この装置の作動後に、該銀および/または該亜鉛の幾分かまたは全てが、その起電力(例えば、イオン泳動法)、リザーバの劣化、リザーバ材料の散逸、またはその他を介して、その各リザーバから徐々に排出される。あるいはまた、もしくは更に、該第一および第二リザーバ間の電位は、徐々にほぼゼロまで低下するものであり得る。少なくとも1種のガルバニ材料が枯渇し、および/または電位が大幅に低下した場合には、該第一および第二リザーバ間のレドックス反応は、結局は減衰または停止する可能性がある。
【0025】
幾つかのリザーバ材料が、該ターゲット組織に対して治療効果を持つ可能性があり、および/または後で説明するような、他の生物学的活性をもたらす可能性がある。幾つかの場合において、異種リザーバ間のレドックス反応の停止後においてさえ、1種またはそれ以上のリザーバ材料の治療効果またはその他の効果を維持することが望ましい場合がある。従って、第二の異種リザーバに対する第一のリザーバの相対的なサイズまたはその材料濃度は、該第一リザーバ内の該材料の効果が、レドックス反応の停止後においても継続されるように、選択することができる。例えば、第一のリザーバは、所定量の亜鉛を含むことができ、また第二のリザーバは、所定量の銀を含むことができる。この銀の量は、これらリザーバ間のレドックス反応が停止した際に、銀が完全に枯渇しないように選択することができ、従ってこの銀の治療効果(例えば、抗菌作用)は、持続し得る。逆の場合も可能である(例えば、該レドックス反応が停止した際に、上記亜鉛が、完全に枯渇しなくても良い)。
【0026】
一態様において、基板106は、上面112を含む。該多数の第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、一態様において、基板106の表面112を横切って、該多数の第二の別々のリザーバ104の内の選択されたものから、物理的に分離されている。基板106は、実質的に二次元装置(例えば、深さ方向の次元に比して、著しく大きな幅および高さ方向の次元を持つ装置)の一部を形成することができ、あるいは様々な態様では、実質的に3次元の装置(例えば、深さ方向の次元に比して、さほど大きくない幅および高さ方向の次元を持つ装置)の一部を形成することができる。様々な態様において、表面112は、実質上平面(例えば、平坦)である。他の態様においては、基板106は、輪郭のあるおよび/または非-平面状の上面を含むことができる。基板106および/または表面112は、様々な態様では、剛性であり得、またはこれらは成形性、屈曲性、および/または実質上整合性を持つことができる。
【0027】
一態様において、第一の別々のリザーバ102は、上面112と「近接する」第一の別々のリザーバ表面を含み、また第二の別々のリザーバ104は、上面112と近接する第二の別々のリザーバ表面を含む。該用語「表面に近接する」とは、幾つかの態様では、ある表面に関して、上方位置または僅かに上方の位置、その上、実質的に同一平面の、またはその下方、もしくはその僅かに下方等の位置関係を包含する、該表面に関する位置的な相関関係を持つものとして定義することができる。「表面に近接する」なる用語は、他の態様では、ある表面に関して、例えば異種のリザーバ間において、電気的な連絡および/またはイオン性の連絡が可能であるように、配置されているものとして定義できる。例えば、該第一および第二の別々のリザーバ表面の一方または両者は、ドーム状のまたはパック上の形状を持つことができ、これは上面112上に伸びているが、これに限定されない。あるいはまた、例えば該第一および第二の別々のリザーバ表面の一方または両者は、窪み、孔または他の開口中で、該上面112の下方に露出していても良いが、これに限定されない。
【0028】
該上面112は、ここでは、「活性表面」と呼ぶことができる。この用語「活性表面」とは、幾つかの態様では、基板表面であって、これに近接して該リザーバ間における電気伝導性材料の存在下で、異種のリザーバ間に電流を発生することのできる、該基板表面として定義できる。この「電流」なる用語は、単位時間当たりの電荷の流れを含む(例えば、I = dQ/dt; ここでIは電流であり、Qは電荷であり、またtは時間である)。
【0029】
活性表面は、種々の態様において、「組織接触表面」であっても、そうでなくてもよい。「組織接触表面」は、幾つかの態様では、使用に際して、ターゲット組織の所定領域と接触する材料の表面として定義できる。例えば、一態様において、上面112は、この装置の使用中、ターゲット組織の所定領域と直接接触することができ、またその結果として、上面112は、活性表面および組織接触表面両者として機能することができる。もう一つの態様において、1種以上の追加の材料を、上記上面112に含めることができ、また該装置の使用中に、該1種以上の追加の材料の表面は、組織接触表面として機能することができる。従って、一態様において、該活性表面および該組織接触表面は、異なる表面であり得る。組織接触表面は、例えばある材料および/または固体、半-固体液体または気体状態の導電性材料の層を含むことができるが、これに限定されない。
【0030】
一態様において、該多数の第一のリザーバ102は、第一のリザーバパターンの一部を形成することができ、また該多数の第二のリザーバ104は、第二のリザーバパターンの一部を形成することができる。該第一のリザーバパターンは、様々な態様において、該第二のリザーバパターンとインターリーブされていても良い。該第一のリザーバパターンおよび該第二のリザーバパターンの一方または両者は、図示したように、基板106の表面全体に渡り不変であっても、あるいは変動するパターン密度を有していても良い。幾つかの態様では、パターン「密度」とは、単位表面積当たりのリザーバの数として定義できる。例えば、装置は、変動するパターン密度(例えば、1またはそれ以上の比較的高いパターン密度を持つ領域および/または低いパターン密度を持つ領域)を持つことができるが、これに限定されない。図1においては、21個の第一のリザーバ102および21個の第二のリザーバ104を含むパターンが示されている。別の態様においては、より多くの、またはより少ない第一および/または第二のリザーバを、1個の装置内に含むことができる。
【0031】
一態様において、第一の別々のリザーバ102は、1またはそれ以上の第二の別々のリザーバ104と「隣接」していてもよく、また逆も真である。「隣接」するリザーバは、幾つかの態様では、異種のリザーバであって、該異種リザーバ間に電気伝導性の材料が存在し、また該異種リザーバと接している場合に、これらリザーバ間に電流が発生し得るように、相互に物理的に近接している、異種リザーバとして定義できる。例えば、図1に示したリザーバのサブセット120において、リザーバ111、112、113および114は、リザーバ116に隣接しているものと考えることができる。サブセット120以外の他のリザーバも、上記の「隣接」の定義に従えば、リザーバ116に対して隣接しているものと考えることができる。
「隣接」するリザーバは、他の態様では、電気的連絡および/またはイオン的連絡を形成し、これに寄与しまたはこれらの連絡を持つことのできる一連の選択されたリザーバとして定義付けることが可能である。
【0032】
実質上均一なまたは変動する横方向の間隔130は、隣接リザーバ(例えば、リザーバ111と116)の周囲間に存在し得る。様々な態様において、間隔130は、約0.5ミリメータ(mm)〜2.0mmなる範囲内であり得る。他の態様では、間隔130は、上記範囲よりも大きく、あるいはそれより小さくても良い。横方向の間隔130は、様々な態様において、上に与えられた値よりも大幅に小さくてもよい。例えば、一装置は、極めて小さなリザーバ(例えば、nm-単位のリザーバ)を含むこともできる。このような態様において、横方向の間隔130は、約1nm〜約10,000nmなる範囲あるいはそれ以上であり得る。一態様において、隣接する異種のリザーバ間の物理的な分離は、これらの間に電気伝導性材料が存在しない場合に、これら隣接する異種リザーバ間の実質的な電気的絶縁を与える。
【0033】
様々な態様において、該多数の第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、還元剤を含み、あるいはその逆もあり得る。該第一リザーバと該第二リザーバとの間において、電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応が、該第一および第二リザーバ間で起り得る。該電気伝導性材料は、これらリザーバと電気的に接触して、レドックス反応を容易にするが、このレドックス反応は、該導電性材料がこれらのリザーバと物理的に接触していない場合に起こるものと考えられる。
【0034】
該第二のリザーバ表面の内の選択されたものは、該第一のリザーバ表面の内の選択されたものに対して間隔を置いた関係で配置して、これら第二のリザーバ表面と第一のリザーバ表面との間の電気的および/またはイオン的連絡を容易にする、電気伝導性材料の存在下で、該表面間にレドックス反応を発生させることができる。一態様において、このレドックス反応は、導電性材料を第一および第二の異種リザーバと近接状態に置いた場合に、自発的に起こり、該導電性材料は、該第一および第二異種リザーバ間の電気的連絡および/またはイオン的連絡のための媒体を与えることができる。換言すれば、一態様において、外部電池または他の電源(例えば、直流(DC)または交流(AC)電源)を使用せずに、第一および第二異種リザーバ間に、電流を発生させることができる。従って、様々な態様において、装置が提供され、これは、「電気的に独立」であり、更にこの装置は、電流を生成するために、活性化することができる。この用語「電気的に独立」とは、幾つかの態様においては、外部電池または電源の使用無しに、電気を発生することのできるものとして定義できる。他の態様においては、外部電池または電源を含む、装置を提供することができる。
【0035】
上記用語「レドックス反応」とは、幾つかの態様において、還元剤から酸化剤への1またはそれ以上の電子の移動を含む反応として定義することができる。この用語「還元剤」とは、幾つかの態様において、レドックス反応における一反応試薬であって、電子を還元種に与えるものとして定義できる。そのため、還元剤は、この反応においては酸化される。該用語「酸化剤」とは、幾つかの態様において、レドックス反応における一反応試薬であって、該酸化種から電子を受け取るものとして定義できる。そのため、「酸化剤」は、この反応においては還元される。様々な態様において、第一および第二リザーバ間に発生するレドックス反応は、該異種リザーバ間に電流を生成する。
【0036】
図2は、医療用電池200の一部を示す平面図であり、一例としての態様に従う、異種リザーバ間の電流を示す。第一リザーバ201、202、203、204、および205は、1種またはそれ以上の酸化剤を含むことができ、また第二リザーバ206、207、208、および209は、1種またはそれ以上の還元剤を含むことができ、あるいはその逆も可能である。電気伝導性の材料(図示せず)は、該第一リザーバ201-205の幾つかまたは全部と、該第二リザーバ206-209との間に分散させることができる。隣接する異種リザーバ間における電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応を起こすことができ、従って該隣接する異種リザーバ間に電流を発生させることが可能である。電流210は、リザーバ201-205とリザーバ206-209との間に矢印で示されている。図2に示すように、電流210は、隣接する第一リザーバ201-205および第二リザーバ206-209の各セット間に、導電性材料の存在下で発生させることができる。
従って、ある範囲の多重電流210は、基板表面を横切って発生し得、多数の部分電流を含む、平坦な表面電流を生成する。一組の、2つの隣接する異種リザーバ間の電流210は、ここでは「単一電池電流(single-cell current)」と呼ぶことにし、また多数の組の、隣接する異種リザーバ間の、集成的な多重電流210は、ここでは「多重電池電流(multiple-cell current)」と呼ぶことにする。電流210は、活性表面に渡り均一であり、あるいは変動する電流密度が、活性表面に渡って存在することも可能である。
【0037】
隣接する異種リザーバの各組(例えば、リザーバ201と206)は、一態様において、「ガルバニ電池(galvanic cell)」を形成し得る。特定のリザーバが、多数の異種リザーバと隣接する場合、この特定のリザーバは、多数のガルバニ電池の部分を構成することができる。例えば、リザーバ203は、4個またはそれ以上のガルバニ電池の部分を形成することができる(例えば、電池Aは、リザーバ203と206とを含み、電池Bは、リザーバ203と207とを含み、電池Cはリザーバ203と208とを含み、また電池Dはリザーバ203と209とを含む)。
【0038】
幾つかの態様では、「ガルバニ電池」とは、正の電池電位を持つ電気化学的電池として定義でき、これは化学的なエネルギーを、電気エネルギーに変換することを可能とする。
より具体的には、ガルバニ電池は、アノードとして機能する第一のリザーバおよびカソードとして機能する第二の異種リザーバを含むことができる。各ガルバニ電池は、エネルギーを、化学ポテンシャルエネルギーの形で保存できる。導電性材料が、該電池要素間の電気的および/またはイオン的連絡を与え得るように、該材料を、電池に近接して配置した場合には、該化学ポテンシャルエネルギーを、電気エネルギーとして放出することができる。従って、各組の隣接する異種のリザーバは、単一セル電池(single-cell battery)として機能でき、またこの装置内の、隣接する異種のリザーバの多数の組は、一群の単一セル電池として機能することができ、これは全体として、表面に渡り分配された多重セル電池(multiple-cell battery)を形成する。
【0039】
第一のリザーバが、還元剤を含み、かつ第二のリザーバが酸化剤を含む場合、あるいはその逆の場合、電位差が、該第一リザーバと該第二リザーバとの間に存在し得る。第一段階において、装置は電気的に非活動状態にある(例えば、リザーバ間の電流は、実質的に零である)。一態様において、装置は、導電性材料を、該第一リザーバおよび該第二リザーバと近接状態とした場合に、「作動」状態となり得、電気的連絡および/またはイオン的連絡を介して、該リザーバ間に電流を発生することができる。このような導電性材料は、ここでは「活性化材料」と呼ぶことができる。電流Iの大きさは、実質的に該リザーバ間の電位差V、および該導電性材料のコンダクタンスまたは抵抗Rの関数である。換言すれば、該リザーバ間の電流Iは、ほぼ該リザーバ間の電位差Vを、該導電性材料の抵抗Rで割った値、即ちI = V/Rに等しい。
【0040】
上記のもう一つの方法では、隣接する異種のリザーバ間に生成し得る電流210の大きさは、隣接する異種のリザーバ間の距離、該リザーバ間の電位差(例えば、還元剤が、酸化剤に与えるために利用できる電子の量、酸化剤が受け取ることのできる電子の量)、該導電性材料の抵抗、およびその他の因子を含むが、これらに限定されない、1またはそれ以上の因子によって影響される可能性がある。更に、該リザーバ間の電流は、上記因子が変動した際に、時間の関数としても変動する可能性がある。約0.05V〜約5.0Vなる範囲の電位差が、一態様において、隣接する異種のリザーバ間に存在する可能性がある。他の態様では、より高いあるいはより低い、隣接する異種のリザーバ間の電位差が、存在し得る。
更に、一態様においては、約1マイクロアンペア(mA)〜約100mAなる範囲の電流を、異種のリザーバ間に発生し得る。他の態様では、より高いおよび/またはより低い、電流を生成し得る。導電性材料の抵抗は、ほぼ零からほぼ無限大の抵抗まで大幅に変えることができる。
【0041】
装置を組織の所定領域に適用し、かつ活性化した(あるいは活性化し、次いで適用した)場合、異種のリザーバ間の全電流I(全)は、I(組織)+ I(導電性材料)として記載することができる。該組織の抵抗が、該導電性材料の抵抗よりも大きい場合、それに比例して、組織を流れる電流よりも一層多くの電流が、該導電性材料に流れる。従って、様々な態様においては、ある型のターゲット組織に流したい電流の大きさに依存して、該ターゲット組織の関連する抵抗よりも大きな、または小さな抵抗を持つ、導電性材料を選択することができる。
【0042】
様々な態様において、装置は、治療の必要性に応じて、組織(例えば、皮膚または他の組織)に電気を適用するのに利用できる。この電気は、第二の異種リザーバ(例えば、第二導電性電極)と電気的連絡状態にある、第一のリザーバ(例えば、第一導電性電極)により発生させることが可能であり、また該第一のリザーバおよび該第二のリザーバは、該組織とイオン的連絡状態にあってもよい。該用語「電気的連絡(electrical communication)」とは、幾つかの態様では、直接的接触および/または導電性材料を介して、要素(例えば、第一および第二リザーバ)間の電子の通路として定義できる。該用語「イオン的連絡(ionic communication)」とは、幾つかの態様では、要素(例えば、第一および第二リザーバ、導電性材料、および/または組織)間の、該要素と接触状態にある「電子運搬体(electron movers)」としてのイオンの移動を介する、通路として定義できる(例えば、電子は、リザーバおよび組織と接触状態にある、電解質のイオン輸送を介して、リザーバと組織との間を通過することができる)。
【0043】
様々な態様において、該第一および第二リザーバの標準的な電位の差は、0.05V〜約5.0Vなる範囲内であり得る。特定の一態様において、この第一および第二リザーバの標準的な電位の差は、少なくとも0.2Vであり得る。極めて小さなリザーバ(例えば、ナノメータスケールの)を含む態様においては、該標準的な電位の差は、実質上小さいものであり得る。該第一リザーバと該第二リザーバとの間を通る電子は、この標準電位における差の結果として起るものであり得る。
【0044】
図3は、例示的態様に従う、図2に示した医療用電池の一部の、ライン3-3に沿って取った、断面側面図である。ここに示した部分は、基板302と結合した、第一リザーバ209および第二リザーバ205を含む。この例示した態様において、第一のリザーバ表面304および第二のリザーバ表面306は、該基板302の上面308上に拡がっている。他の態様では、該リザーバ表面304、306の一方または両者は、該上面308と実質的に同一平面にあっても良く、および/または該上面308の下方にあっても良い。更に、この例示した態様において、該第一のリザーバ表面304および該第二のリザーバ表面306は、丸みを帯びたまたはドーム状の形状を持つものとして示されている。他の態様では、該リザーバ表面304、306の一方または両者の形状は、実質的に平坦、円盤-状、円筒状、円錐状、凹面状またはその他の形状であってもよい。
【0045】
一態様において、リザーバは、約1000Å〜約5mmなる範囲内の高さまたは厚み(例えば、高さ309)を持つことができる。他の態様では、リザーバは、上記範囲を越える、またはこれに満たない高さまたは厚みを持つことができる。
【0046】
一態様において、電流314は、導電性材料316(例えば、活性化材料)が、該第一のリザーバ表面304および該第二のリザーバ表面306両者の全てまたはその一部と、近接状態に置かれた場合に生成し、結果としてこれら表面304、306間の電気的な連絡および/またはイオン的な連絡を可能とするものであり得る。該導電性材料316は、以下においてより詳しく説明するように、1種またはそれ以上の液体、固体、半-固体、またはガス状物質を含むが、これらに限定されない。
【0047】
一態様において、電流314は、該基板上面308の上方に、侵入高さ318だけ、該導電性物質316内に侵入できる。従って、幾つかの態様において、電流314は、ターゲット組織の所定領域内に侵入することができる。
【0048】
この電流の侵入高さ318は、リザーバ表面304、306間の間隔320およびその他の因子を含むが、これらに限定されない様々な因子の1種またはそれ以上の関数であり得る。侵入高さ318は、所定の活性表面に渡り実質的に均一であり得、あるいは変動するものであっても良い。一態様においては、約0.05mm〜約2.0mmなる範囲の侵入高さを持つ電流の発生が可能である。他の態様では、より高いまたはより低い侵入高さを持つ電流の発生が可能である。
【0049】
様々な態様において、リザーバは、単一の材料または比較的均一な材料の組合せから製造することができる。他の態様では、リザーバは、2またはそれ以上の材料組成物から製造することができる。このようなリザーバは、本明細書において、「複合」リザーバと呼ぶことができる。
【0050】
図4は、医療用電池400の一部の平面図であり、この電池は、例示的態様に従う、少なくとも一つの「複合」リザーバを含む。第一のリザーバ401、402、403、404、および405は、ガルバニ電池の第一の部分として機能し、かつ第二のリザーバ406、407、408、および409は、該ガルバニ電池の第二の部分として機能し得る。電気伝導性物質(例えば、活性化物質、図示せず)は、該第一リザーバ401-405の幾つかまたは全部および該第二リザーバ406-409間に分配して、該第一および第二リザーバ間に電流を発生させることができる。
【0051】
一態様において、第一および/または第二リザーバの内の選択されたものは、2種またはそれ以上の材料組成物から製造できる。例示の目的で、複合リザーバ409は、第一の組成物410および第二の組成物412から製造したものとして示されている。図4における幾つかのリザーバは、複合リザーバとして示されているが、他のリザーバも、あるいはその代わりに、複合リザーバであり得ることを理解すべきである。
【0052】
一態様において、第一の組成物410は、リザーバ409の周辺または外側部分を構成することができ、また第二の組成物412は、リザーバ409の内側または内部部分を構成することができる。代わりとなる態様において、第一の組成物および第二の組成物は、互いに交互に配置できる。例えば、限定的ではないが、第一および第二の組成物は、互いに隣接し、多層(例えば、2またはそれ以上の)、積層リザーバを形成し、あるいはまた一緒に結合されるように、層状に形成することができる。
【0053】
図5は、例示的態様に従って、図4のライン5-5に沿って取った、医療用電池の一部を示す断面側面図である。一態様においては、リザーバ409が、ガルバニ電池の第一の部分として機能でき、かつリザーバ405が、該ガルバニ電池の第二の部分として機能し得る。より具体的には、第一の組成物410は、還元剤を含み、かつリザーバ405は、酸化剤を含むことができ、あるいは逆であっても良い。従って、リザーバ405と第一の組成物410との間における導電性物質502の存在下で、電流504が、リザーバ405と第一の組成物410との間において発生し得る。
【0054】
一態様において、第二の組成物412は、矢印506によって示されたように、リザーバ409から、(例えば、イオン泳動、溶解、またはその他によって)外向きに分散する物質を含むことができる。第二の組成物412は、例えばターゲット組織と接触した際に、生物学的な応答を生じる物質を含むことができる。代わりとなる態様において、第一の組成物410および第二の組成物412は、対向する関係で配置することができる。例えば、非限定的であるが、リザーバ409の内側部分は、還元(酸化)剤を含むことができ、またリザーバ409の外側部分は、リザーバ409から外向きに分散する物質を含むことができ、あるいはその逆の場合も可能である。
【0055】
前に論じたように、多数の第一の別々のリザーバおよび第二の異種の別々のリザーバを、様々な態様において、インターリーブしたパターンにて配列することができる。例えば、再度図1を参照すると、第一の別々のリザーバ102は、列をなして配列されており、また各連続する列は、該第一のリザーバ102間の距離の約1/2だけ、ずれている。第二の別々のリザーバ104は、該第一の別々のリザーバ102に対してインターリーブされ、また同様に列をなして配列されている。更に、図1において、第一の別々のリザーバ102の内の選択されたものは、4つまたはそれ以上の第二の別々のリザーバ104と隣接するものと考えることができ、またその逆の場合も可能である。従って、ほぼ1:1の相関関係が、第一の別々のリザーバ102の数と、第二の別々のリザーバ104の数との間に存在する可能性がある。電池100の上記特徴によれば、第一および第二の別々のリザーバのインターリーブしたパターンを、規定することができる。例示の態様において、これらのパターンは、該基板表面に渡り均一に分布している。他の態様では、不均一なパターンの分布が存在していても良い。
【0056】
代わりとなる態様において、医療用電池装置は、他のパターン構成および/またはリザーバ形状を用いて製造することもできる。図6-13は、代わりとなる様々な態様を示すものである。例示した態様は、本発明の課題または特許請求の範囲を、これら例示した態様のみに限定することを意味するものではない。逆に、他のパターン構成および/またはリザーバ形状も、本発明の課題の範囲内に入ることを意図している。更に、綾目陰影を利用して、第一のリザーバと、第二の、異種のリザーバとを区別している。この綾目陰影の利用は、これらのリザーバにおいて使用されている材料と、還元剤または酸化剤との関連付けを意図するものではないことを理解すべきである。というのは、これらは、前に記載された図面に関連する説明において、関連している可能性があるからである。
【0057】
図6は、例示的態様に従う、異種のリザーバの第二の構成を持つ、医療用電池600を示す平面図である。この電池600は、多数の第一のリザーバ602および多数の第二の、異種リザーバ604を含む。例示した態様において、第一の別々のリザーバ602の内の選択されたものは、8個またはそれ以上の第二の別々のリザーバ604と隣接するものと考えることができる。更に、第二の別々のリザーバ604の内の選択されたものは、4個またはそれ以上の第一の別々のリザーバ602と隣接するものと考えることができる。従って、第一の別々のリザーバの数は、第二の別々のリザーバの数とは異なっていても良い(例えば、第一の別々のリザーバの数と、第二の別々のリザーバの数との間の相関関係は、1:1の相関関係とは実質的に異なっていても良い)。
【0058】
図7は、例示的態様に従う、異種リザーバの第三の構成を持つ、医療用電池700を示す平面図である。この電池700は、多数の第一のリザーバ702および多数の第二の、異種リザーバ704を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ702の内の選択されたものは、6個またはそれ以上の第二の別々のリザーバ704と隣接するものと考えることができる。更に、第二の別々のリザーバ704の内の選択されたものは、3個またはそれ以上の第一の別々のリザーバ702と隣接するものと考えることができる。
【0059】
図8は、例示的態様に従う、異種リザーバの第四の構成を持つ、医療用電池800を示す平面図である。この電池800は、多数の第一のリザーバ802および多数の第二の、異種リザーバ804を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ802の内の選択されたものは、その形状において、「実質的に線状」である。この「実質的に線状」なる用語は、幾つかの態様において、少なくとも2:1なるファクタだけ、幅808よりも大きな長さ806を持つ形状を含むものとして定義できる。「実質的に線状」なる形状は、実質的に真直ぐであり得、あるいは湾曲した、螺旋形状の、または起伏のある形状であり得る。例示した態様において、多数の第一のリザーバ802は、相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されており、また多数の第二のリザーバ804は、該多数の第一のリザーバ802間の領域に配列されている。
【0060】
図9は、例示的態様に従う、異種リザーバの第五の構成を持つ、医療用電池900を示す平面図である。この電池900は、多数の第一のリザーバ902および多数の第二の、異種リザーバ904を含む。例示した態様において、該第一の別々のリザーバ902の内の選択されたものおよび該第二の別々のリザーバ904の内の選択されたものは、その形状において、実質的に線状である。この例示的態様において、多数の第一のリザーバ902は、相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されており、また多数の第二のリザーバ904は、該多数の第一のリザーバ902間の領域に配列されており、ここで該多数の第二のリザーバ904も、また相互に間隔を置いて、実質的に平行に配列されている。
【0061】
図10は、例示的態様に従う、異種リザーバの第六の構成を持つ、医療用電池1000を示す平面図である。この電池1000は、多数の第一のリザーバ1002および多数の第二の、異種リザーバ1004を含み、多数のガルバニ電池を形成している。例示した態様において、第一のリザーバ1002および第二の別々のリザーバ1004は、相互に同心円状に配列されて、「同心円状」のガルバニ電池を形成している。第一のリザーバ1002は、第一の径1010を持つ円形体として示されており、また第二の別々のリザーバ1004は、内径1012および外径1014を持つ、リング形状を持つものとして示されている。一態様において、該第二の別々のリザーバ1004の該内径1012は、該第一のリザーバ1002の第一の径1010よりも大きく、該リザーバ間に間隔を形成している。従って、該第二の別々のリザーバ1004は、該第一のリザーバ1002と同心状であり、かつこれとは物理的に分離されていて、第一のガルバニ電池を形成する。一態様において、隣接ガルバニ電池に関する材料は、第一および第二の別々のリザーバの隣接する組から追加のガルバニ電池を製造できるように、逆にすることができる。あるいはまた、隣接する、同心円状のガルバニ電池の材料は、一様に矛盾なく選択することができる。
【0062】
図11は、例示的態様に従う、異種リザーバの第七の構成を持つ、医療用電池1100を示す平面図である。この電池1100は、多数の第一のリザーバ1102、1103、1104および多数の第二の、異種リザーバ1105、1106を含む。この例示的態様において、リザーバ1102-1106の内の選択されたものは、相互に同心円状に配列することができる。リザーバ1102-1106間には、間隔110が存在し、これらリザーバ間における導電性物質の不在下で、隣接リザーバ同士を電気的に絶縁することができる。
【0063】
前に記載した態様は、多数の第一リザーバおよび多数の第二の異種リザーバを含む、医療用電池を含む。他の態様では、医療用電池は、単一の第一リザーバおよび多数の第二の異種リザーバを含むことができる。
【0064】
図12は、例示的態様に従う、異種リザーバの第八の構成を持つ、医療用電池1200を示す平面図である。この電池1200は、単一の第一リザーバ1202および多数の第二の異種リザーバ1204を含む。この例示した態様において、第一の別々のリザーバ1202は、「実質的に平坦」であり、多数の開口1206を持つ。「実質的に平坦」なる用語は、幾つかの態様では、第一の型の2またはそれ以上のリザーバ間の距離よりも大きな長さおよび幅を持つ材料の領域を含むものとして定義できる。「実質的に平坦」な形状は、実質的に平らな、連続したものであるか、あるいは開口、ディボット、またはその他の妨害物をそこに含むものであり得る。一態様において、開口1206は、第二の別々のリザーバ1204の径1210よりも大きな径1208を持つ。従って、間隔1212が、該第二の別々のリザーバ1204と該第一の別々のリザーバ1202との間に存在する。
【0065】
更に別の態様において、医療用電池は、単一の第一の別々のリザーバおよび単一の第二の別々のリザーバを含む。例えば、限定的なものではないが、第一および第二の別々のリザーバは、相互に巻付いていても、また溝形、歯車形またはジグザグ形状で配列されていても良く、あるいは導電性材料(例えば、活性化物質)が、該第一および第二リザーバ間に与えられている場合には、表面を横切る多数の電流を発生するように、配列することも可能である。
【0066】
図1-12において、第一の別々のリザーバは、第二の異種のリザーバから物理的に分離されているものとして示されており、従ってこれらリザーバ間における導電性物質の存在下で、これら第一および第二リザーバ間には、電気的絶縁が達成される。代わりとなる態様において、該異種リザーバの幾つか、または全ては、接触領域または接触点を含むことができる。
【0067】
図13は、例示的態様に従う、異種リザーバの第九の構成を持つ、医療用電池1300を示す平面図である。この電池1300は、多数の第一リザーバ1302および多数の第二の異種リザーバ1304を含む。更に、この電池1300は、接続部分1310を含み、これは該第一リザーバ1302および第二のリザーバ1304の内の選択されたもの、またはその実質的全てを、相互に接続することを可能とする。
【0068】
図14-24と共に、医療用電池を製造するための、前に説明した医療用電池の態様を含むが、これらに限定されない、様々な態様を以下に説明する。これらの図面と共に、別々のリザーバおよび基板を製造するのに使用できる幾つかの材料を、様々な態様に従って説明することができる。更に、導電性物質(例えば、活性化物質)および他の装置の層または要素と関連する材料を、様々な態様に従って説明することができる。本発明の課題を、以下に記載する様々な材料に限定しようとするものではないことを理解すべきである。代わりとなる態様において、様々な他の材料を使用することも可能である。
【0069】
図14は、例示的態様に従う、医療用電池の製法に関するフロー図である。このフロー図と関連して記載される諸工程は、図示した順序で実施することができ、あるいは別の順序で実施することも可能であり、実質的に同一の結果を達成できる。更に、これらの工程は、連続的に行われるものとして示されているが、該工程の幾つかは、同時に実施することも可能である。更に、図14に記載したこれら工程の幾つかは、場合により実施することのできるものである。
【0070】
一態様において、この製法は、ブロック1402において、第一の表面を持つ基板を製造または準備することを含む。基板は、様々な態様において、バラ材料から製造でき、および/または1またはそれ以上の同一のまたは異なる材料層、シートまたはフィルムを含むことができる。
【0071】
基板は、様々な型のターゲット組織に応じた、様々な形状およびサイズで、製造することができる。基板は、多くの解剖学的領域の用途において有用なサイズおよび形状を持つことができ、あるいは特定のターゲットとなる解剖学的領域の用途において有用なサイズおよび形状を持つことができる。様々な態様において、基板は、実質的に二次元(例えば、2つの直交する方向において、比較的大きな寸法を持つ)もの、あるいは実質的に三次元(例えば、3つの直交する方向において、比較的大きな寸法を持つ)ものであり得る。
【0072】
様々な態様において、基板は、可撓性の(例えば、様々な内部または外部の解剖学的な表面の輪郭を付し、または該表面を持つように成形することのできる)、第一の表面(例えば、活性表面)を持つように製造することができる。他の態様では、基板は、1またはそれ以上の実質的に非-可撓性の(例えば、完全にまたは部分的に剛性の、あるいは規格外の)材料から製造することができる。
【0073】
様々な態様において、基板の該第一の表面、あるいは該基板を含む装置は、ターゲット組織領域に適用できる。基板または基板-含有装置を適用できる様々な表面は、皮膚、目、耳、粘膜(例えば、口、舌、鼻、膣、尿管、直腸、およびその他の膜)、胃腸管組織(例えば、食道、胃、腸)、血管組織(例えば、心臓、動脈、静脈)、肺組織(例えば、気管、肺、横隔膜)、神経学的組織(例えば、脳、脊髄、脳脊髄)、様々な内部器官、骨、および軟骨の、健康なまたは障害を受けた内部または外部表面を含むが、これらに限定されない。
【0074】
様々な態様において、基板は、1またはそれ以上の可溶性または不溶性の材料を含むことができる。「不溶性の材料」なる用語は、幾つかの態様では、水性媒体に浸漬した場合に、容易に溶解または分解されない(十分な時間が与えられた際には、可能であるが)、物質として定義できる。「可溶性の材料」なる用語は、幾つかの態様では、水性媒体に浸漬した場合に、容易にまたは徐々に溶解または分解する物質として定義できる。例えば、非-限定的であるが、基板は、1種またはそれ以上の生分解性および/または生体吸収性材料を含むことができる。「生体吸収性材料」なる用語は、幾つかの態様においては、身体内で吸収された場合に、通常重大な毒性または炎症性の応答を引起こすことのない物質として定義できる。様々な態様において、適当な生体吸収性基板材料は、1種またはそれ以上のガラス(例えば、糖ガラス(sugar glass)または塩ガラス(salt glass))、バイオセラミックス、天然生分解性ポリマー、合成生分解性ポリマー、他の生体吸収性物質、他の可溶性物質、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0075】
バイオセラミックスを選択した場合、該材料は、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム、シリカを主成分とするガラス、ガラスセラミックス、および熱分解炭素を包含する、1種またはそれ以上の材料を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、1種またはそれ以上のリン酸カルシウムを、リン酸テトラカルシウム、アモルファスリン酸カルシウム、リン酸α-トリカルシウム、リン酸β-トリカルシウム、およびヒドロキシアパタイトを包含する一群のリン酸カルシウムから選択することができる。
【0076】
合成生分解性ポリマーを選択した場合、この材料は、1種またはそれ以上のホモポリマーまたは一群のコポリマーを含むことができる。従って、合成生分解性ポリマーは、エステル、ポリエステル(例えば、ポリグリコライド(PGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)、ポリエーテルエステル、カプロラクトン、(例えば、ε-カプロラクトン)、無水物、オルトエステル、アミド、ポリジオキサノン、グリコライド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリ(アミノ酸)、ポリエステルアミド、他の合成生分解性ポリマー、またはこれらの組合わせを含む一群の材料から選択される、1種またはそれ以上のポリマー(またはコポリマー)を含むことができる。
【0077】
一態様において、多数の装置を、積層形または層状の構成で配列することができ、そこでは該多数の装置の内の1種またはそれ以上が、可溶性材料(例えば、生分解性および/または生体吸収性材料)を含む。一態様において、最も外側の装置の層は、可溶性基板と結合した、第一群の、1種またはそれ以上の異種のリザーバを含むことができる。該可溶性基板および/または該異種リザーバは、徐々に分解して、装置の下部の層を露出できる。
該装置の下部の層は、第二の基板と結合した、第二群の1種またはそれ以上の異種リザーバを含むことができる。この第二の基板は、可溶性または不溶性何れでも良い。該第二群の異種リザーバは、該第一群のリザーバと、同一の密度および/または構成、または異なる密度および/または構成を持つことができる。該第二の基板が可溶性である場合、該第二の基板および/または該第二の異種のリザーバは、徐々に分解して、更に別の、該装置の下方の層を露出することができる。以下同様。
【0078】
様々な態様において、基板は、例えば1種またはそれ以上の織り材料、不織り材料、ネット、メッシュ、ヒドロエンタングルド(hydro-entangled)材料、および/またはエアーエンタングルド(air entangled)基板を包含し得るが、これらに限定されない。更に、様々な態様において、基板は、1種またはそれ以上の繊維状または非-繊維状の、天然材料および/または合成材料を含むことができる。この用語「天然材料」とは、幾つかの態様では、植物、動物、昆虫由来の材料または植物、動物、および昆虫の副生成物として定義することができる。該用語「合成材料」とは、幾つかの態様では、主として様々な人工の材料から、あるいは変更されている天然材料から得た物質として定義することができる。
【0079】
様々な態様において、基板は、1種またはそれ以上の材料を含むことができ、該材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)(TeflonTM))、シリコーン、フォーム(例えば、ポリウレタンおよび/またはポリマーフォーム)、ヒドロゲルおよび/または他のゲル、エラストマー材料、合成スポンジ、天然スポンジ、絹、ケラチン(例えば、ウールおよび/またはラクダの毛)、セルロース繊維(例えば、木材パルプ繊維、綿繊維、大麻繊維、ジュート繊維、および/または亜麻繊維)、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、セルロースエステル、モダクリル繊維、ポリマー、超吸収性ポリマー(例えば、材料質量の10倍を吸収することのできるポリマー)、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、および/またはその他の材料を含むが、これらに限定されない。代わりとなる態様において、基板は、1種またはそれ以上の追加のまたは上に列挙した材料とは異なる材料を含むことができる。
【0080】
様々な態様において、1種またはそれ以上の結合材料を、基板内に組込み、または基板表面に適用することができる。結合材料は、例えば1種またはそれ以上の湿潤紙力増強用樹脂、ポリマーバインダ被膜、および/または安定化繊維(例えば、コットン、ウール、リネン等)を含み得るが、これらに限定されない。
【0081】
様々な態様において、1種またはそれ以上の柔軟化添加剤を、基板内に組込み、または基板表面に適用することができる。柔軟化添加剤は、例えば1種またはそれ以上のポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール)、フタレート誘導体、クエン酸エステル、界面活性剤、および/またはアセチル化モノグリセライドを含み得るが、これらに限定されない。
【0082】
再度図14を参照すると、一態様において、医療用電池装置の製法は、ブロック1404における、1種またはそれ以上の第一の別々のリザーバを基板に結合する工程を含む。この方法は、またブロック1406における、1種またはそれ以上の第二の別々のリザーバを基板に結合する工程をも含む。ブロック1402および1404に関連する工程は、順次に(前進または逆方向に)または同時に実施することができる。
【0083】
一態様においては、該1種またはそれ以上の第一の別々のリザーバおよび1種またはそれ以上の第二の別々のリザーバは、該第一および第二リザーバの内の選択されたものが、基板材料によって物理的に分離されるように、該基板と結合される。一態様において、該基板材料は、実質的に電気的に非-導電性である。従って、第一および第二のリザーバの物理的な分離は、これらリザーバを電気的に相互に接続する、導電性物質の不在の下では、該選択されたリザーバ間に、電気的な絶縁を与えることができる。代わりとなる態様において、該基板材料は、電気伝導特性を持つことができる。更に別の態様では、1種またはそれ以上の接続用の要素を、該基板に結合して、該第一および第二リザーバの内の選択されたものを、相互に接続することができる。
【0084】
一態様においては、多数の第一の別々のリザーバのパターンおよび多数の第二の別々のリザーバのパターンは、インターリーブした構成で、該基板と結合している。他の態様では、単一の第一の別々のリザーバおよび/または単一の第二の別々のリザーバが、該基板と結合している。
【0085】
該用語「結合(join)」とは、幾つかの態様では、表面への結合、表面への接着(例えば、接着剤を使用)、表面内の孔または窪みへの埋設、および/または表面上での層形成等の工程を含むものとして定義できる。基板と結合したリザーバの例は、単なる例として図15-21に示されている。ここに示される態様は、単に例示の目的で与えられるものであり、本発明の課題または上記特許請求の範囲を、これら例示した態様のみに限定することを意味するものではないものと理解すべきである。例えば、様々な態様において、他の結合技術を利用することができ、および/または図に示された結合技術の組合せを利用できることを理解すべきである。
【0086】
図15は、例示の態様に従って、基板1508の表面1506に結合した、多数の第一のリザーバ1502および多数の第二のリザーバ1504を含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。様々な態様において、第一および第二のリザーバ1502、1504は、幾つかの技術の何れかを用いて、表面1506の結合できる。例えば、非-限定的であるが、第一および第二のリザーバは、リザーバ材料を表面1506に塗布または印刷(例えば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷)する技術、他の堆積法(例えば、化学堆積法、電気化学的堆積法、気相蒸着法、鍍金法、噴霧塗布法、グラビア塗布法、プラズマ塗布法、浸漬塗布法、ナノスケール堆積法、真空蒸着法またはスパッタリング法)を用いた、リザーバ材料の表面1506への堆積、リザーバ材料の表面1506へのボンディングまたは融合法等の技術の1またはそれ以上を用いて、第一および第二のリザーバを、表面1506に結合することはできる。
【0087】
図16は、例示の態様に従って、接着性物質1610を用いて、基板1608の表面1606に結合した、多数の第一のリザーバ1602および多数の第二のリザーバ1604を含む医療用電池の一部を示す、断面側面図である。様々な態様において、接着性物質1610は、該第一および第二のリザーバ1602、1604の接着に先立って、またはこれと連続して、表面1606に堆積することができる。接着性物質1610は、例えば図16に示すように、表面1602上での分布を制限することができる。代わりとなる態様において、接着性物質は、表面1602上の実質的部分を覆う層として適用することができる。
【0088】
図17は、例示の態様に従う、表面1706に窪み1704を持つ基板1702の一部を示す、断面側面図である。窪み1704は、様々な態様において、該基板1702の製造中に、またはその後に製造し得る。図18は、一例示の態様に従う、基板1702内の窪み(例えば、図17の窪み1704)内で、表面1706と結合している、多数の第一のリザーバ1802および多数の第二のリザーバ1804を含む、図17に示した基板の断面側面図である。
【0089】
図19は、例示の態様に従う、表面1906に孔1904を持つ基板1902の一部を示す、断面側面図である。孔1904は、様々な態様において、該基板1902の製造中に、またはその後に製造し得る。孔1904は、完全に基板1902を貫通しているものとして示されているが、これら孔の1またはそれ以上は、該基板内に部分的に伸びたものであっても良い。図20は、例示の態様に従う、基板1902における孔(例えば、図19の孔1904)内に堆積された多数の第一のリザーバ2002および多数の第二のリザーバ2004を含む、図19の基板の断面側面図である。
【0090】
図21は、例示の態様に従う、基板2102の第一表面2106と結合している多数の第一のリザーバ2104および基板2102の第二表面2110と結合した層として与えられた、第二のリザーバ2108を含む、該基板2102の一部を示す断面側面図である。孔2112が基板2102内に与えられて、該第二のリザーバ2104の一部(例えば、表面)を、該第一表面2106に対して露出させることができる。代わりとなる態様において、第一のリザーバおよび第二のリザーバ両者は、実質的に平坦なリザーバ材料層を形成し、その各々は、該基板内の孔の混在を通して、基板表面に対して選択的に露出する。従って、このような装置は、基板と結合し、かつ第一の基板表面において露出した多数の第一のリザーバ表面を持つ、1またはそれ以上の第一のガルバニリザーバ、および該基板と結合し、かつ該第一の基板表面において露出した、多数の露出した第二のリザーバ表面を持つ、1またはそれ以上の第二のガルバニリザーバとして特徴付けることができる。
【0091】
ここに記載する装置の態様は、2種またはそれ以上の型の、異種のリザーバを含み、ここで一群の異種のリザーバは、ガルバニ電池を形成し得る。他の態様では、装置は、第一の型のリザーバを含むことができ、またこの装置がターゲット組織の所定領域と接触状態に置かれた場合には、該ターゲット組織自体が、第二の、異種リザーバとして機能する。
このような態様においては、この装置の第一リザーバおよび該ターゲット組織は、1またはそれ以上のガルバニ電池を形成し得る。
【0092】
様々な材料を、該第一リザーバ材料および該第二リザーバ材料として選択することができる。該第一リザーバ材料および/または該第二リザーバ材料は、実質的に単一のガルバニ材料のみを含むことができ、あるいは多数のガルバニ材料および他の材料の、複合体または混合物を含むこともできる。
【0093】
一態様において、第一のリザーバに含まれる、第一のガルバニ材料は、ガルバニカップル(galvanic couple)の第一の電池を与え、また第二リザーバ内に含まれる第二のガルバニ材料は、該ガルバニカップルの第二の電池を与える。第一のガルバニ材料と第二のガルバニ材料との組合わせの例は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:
A) 第一のガルバニ材料は、亜鉛を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
B) 第一のガルバニ材料は、マグネシウムを含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
【0094】
C) 第一のガルバニ材料は、アルミニウムを含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
D) 第一のガルバニ材料は、鉄を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、および炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
E) 第一のガルバニ材料は、銅を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;および
【0095】
F) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
G) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されず;
H) 第一のガルバニ材料は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金の内の1種またはそれ以上の材料を含むがこれらに限定されず、また第二のガルバニ材料は、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素の内の1種またはそれ以上を含むがこれらに限定されない。
【0096】
上記材料のリストにおいて、集合a/bは、「a」のハライドを表すことができる。従って、例えば用語「銀/塩化銀」とは、ハロゲン化銀Ag/AgClを表す。第一のリザーバにおいてハライドを使用する場合、第二のリザーバの表面における電気化学的反応は、該ハライドの純金属(例えば、金属状の銀)とハライドイオンへの転化をもたらす可能性がある。これらの用語「銀」および「金属状の銀(metallic silver)」は、ここでは互換的に使用できる。「銀」なる用語の使用は、「金属状の銀」を包含する。
【0097】
特許請求した本発明の課題の範囲は、上に列挙したガルバニ材料の組合わせに限定することを意味しない。更に、特定のガルバニ材料は、多数の上に列挙したおよび/またはその他の材料を含むことができる。他の態様においては、他の材料を、第一のガルバニ材料または第二のガルバニ材料の何れか、または両者として選択することができる。例えば、非-限定的ではあるが、1種またはそれ以上のガルバニ材料が、ポリマーまたは有機材料を含むことができる。
【0098】
該第一のリザーバおよび/または該第二のリザーバは、様々な態様において、固体バラ材料、シート、箔、結晶、フレーク、ワイヤ、スラグ、パック、ディスク、顆粒、針状結晶、微粉、粉末、チューブ、メッシュ、ウール、ロッド、および/またはショット形状にある、該第一のガルバニ材料および該第二のガルバニ材料を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、一態様において、第一ガルバニリザーバ材料は、銀の結晶を含むことができる。一態様において、銀の結晶は、約100μm未満の小さなサイズを持つことができるが、その代わりにより大きなサイズを持つ結晶を使用することも可能である。別の態様では、銀の結晶は、約40μmなる平均のサイズを持つことができるが、その代わりに、これよりも大きなまたは小さな平均サイズを持つ結晶を使用することも可能である。一態様において、第二ガルバニリザーバ材料は、亜鉛結晶を含むことができる。一態様において、亜鉛結晶は、約100μm未満の小さなサイズを持つことができるが、一態様では、その代わりに、より大きなサイズを持つ結晶を使用することも可能である。もう一つの態様において、亜鉛結晶は、約40μmなる平均のサイズを持つことができるが、代わりに、これよりも大きなまたは小さな平均サイズを持つ結晶を使用することも可能である。
【0099】
様々な態様によれば、該第一のおよび/または第二のリザーバは、「反応性リザーバ」または「不活性リザーバ」であり得る。この用語「不活性リザーバ(inert reservoir)」とは、幾つかの態様では、レドックス反応中に、その化学的組成における大幅な変動を起こし得ないリザーバとして定義することができる。一態様において、リザーバは、不活性物質を含むか、あるいはこれで被覆することができ、その結果該リザーバ表面における電気化学的な過程が、酸化剤(例えば、発生期の酸素)および/または塩素-含有酸化剤を発生する可能性がある。
【0100】
上記「反応性リザーバ(reactive reservoir)」とは、幾つかの態様では、レドックス反応中に、その化学的組成における変動を起こす可能性のある、リザーバとして定義することができ、該組成の変動は、この装置が活性化された際に起こる可能性がある。一態様において、反応性リザーバは、1種またはそれ以上の反応性物質を含むことができ、該物質は亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、マンガン、銀、チタン、錫、鉄、およびこれらの合金を含むが、これらに限定されない。反応性リザーバに電流を通した場合、亜鉛、銅、マグネシウム、マンガン、および/またはアルミニウムカチオン等のイオンが、該リザーバから、導電性物質および/またはターゲット組織の所定領域内に放出することができる。このようなイオンは、治療上の利点を持つことができ、あるいは持ち得ず、例えば抗-微生物作用、免疫変調、酵素調節、細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞の形態学的変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調、および/または抗-炎症性作用を含むことができるが、これらに限定されない。
【0101】
様々な態様において、該第一リザーバ材料および/または該第二リザーバ材料中に、該ガルバニ材料と共に、1種またはそれ以上の追加の物質を含めることができる。一態様において、ガルバニ材料を、1種またはそれ以上の追加の物質と混合して、リザーバ材料を該基板と結合する前に、該リザーバ材料を製造することができる。
【0102】
例えば、非-限定的であるが、1種またはそれ以上の可溶性および/または不溶性のバインダを、第一リザーバ材料および/または第二リザーバ材料中に、含めることができる。
「バインダ(binder)」は、幾つかの態様では、リザーバ内の他の材料を基板に結合する物質として定義できる。バインダは、例えば生体適合性液体、ポリマーバインダ、ポリエチレンバインダ、アクリル樹脂バインダ、インク(例えば、ポリアクリル酸系インク)、および/またはその他の材料を含むが、これらに限定されない。他の態様では、第一リザーバ材料および/または第二リザーバ材料は、バインダを含まなくても良い。
【0103】
一態様において、バインダ材料は、活性化物質の存在下で、分解する(例えば、生分解され、散逸し、さもなくば破壊される)物質を含むことができる。バインダ物質が分解するにつれて、より多くのガルバニ材料がリザーバ表面に露出する可能性がある。結果的に、該リザーバ内の実質的に全ての材料が、分解できる。
【0104】
リザーバ内における、選択された所定の型のバインダおよびバインダ材料とガルバニ材料との比は、ガルバニ材料および/または他の材料が、リザーバから放出される速度(例えば、リザーバが分解する速度)に影響を与えるように選択することができる。一態様において、リザーバ材料中の、質量基準での、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約10%〜ガルバニ材料約40%なる範囲であり得る。もう一つの態様において、リザーバ材料中の、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約5%〜ガルバニ材料約10%なる範囲であり得る。
更に別の態様では、リザーバ材料中の、ガルバニ材料の割合は、ガルバニ材料約40%〜ガルバニ材料約100%なる範囲であり得る。他の態様では、リザーバ材料中に、異なる範囲の割合にて、ガルバニ材料を含めることができる。
【0105】
該第一および/または第二リザーバに対して選択した材料は、これらを基板と結合する時点において第一の状態にあり、また更なる加工段階を実施して、これら材料を第二の状態に変換させることが可能である。例えば、様々な成形、硬化、乾燥、および/またはその他の加工手順を実施することができる。
【0106】
再度図14を参照すると、この装置は、場合によりブロック1408において、1またはそれ以上の硬化および/または乾燥(硬化/乾燥)工程に掛けることができる。硬化/乾燥工程は、1またはそれ以上の第二の別々のリザーバを、該基板に結合した後に行うように図示されている(ブロック1406)が、硬化/乾燥工程は、また該1またはそれ以上の第二のリザーバを結合する前に、実施することも可能である。一態様において、硬化/乾燥工程は、ブロック1404および/または1406両者の完了後に行うことも可能である。
【0107】
硬化または乾燥工程は、1または複数の期間に渡る、該装置を熱源および/または光源に暴露する工程を含むことができる。硬化および/または乾燥は、第一リザーバおよび/または第二リザーバの諸特性に対して影響を与える可能性がある。例えば、リザーバ表面は、硬化または乾燥前には、実質的に平滑である可能性がある。1または複数の硬化または乾燥工程を実施した場合、表面の不連続性(例えば、割れ、孔等)が導入される恐れがある。
このような不連続性は、リザーバの有効表面積を増すように機能し得る。従って、イオン泳動の速度、リザーバ材料の放出速度、リザーバの溶解速度および/またはその他の工程の速度が、影響を受ける可能性がある。
【0108】
図22は、例示の態様に従う、基板2206と結合している、実質的に平滑なリザーバ表面2204を持つリザーバ2202を示す。逆に、図23は、例示の態様に従う、かなりの表面不連続性を持つ、リザーバ表面2304を有するリザーバ2302を示す。リザーバ2302は、硬化または乾燥工程が、リザーバ表面の諸特性に及ぼす作用の一例を与える。
【0109】
再度図14を参照すると、ブロック1410において、場合により単一化(singulation)工程を実施して、該基板から多数の医療用電池を製造する。単一化は、基板を切断、鋸引き、引裂き、またはさもなければ分離して、多数の部分に分離することを含む。他の態様では、基板表面に、1またはそれ以上のミシン目の線または窪みを刻印して、最終利用者による、将来の使用に際しての、医療用電池の単一化を容易にすることができる。
【0110】
ブロック1412においては、組織接触層を、場合によって、該基板の活性表面に結合することができる。一態様において、組織接触層は、カバー層を含むことができる。一態様において、カバー層は、活性化材料(例えば、導電性物質)を吸収し得る物質を含むことができる。あるいはまた、カバー層は、例えば非-限定的であるが、非-吸収性の物質を含むこともできる。カバー層は、様々な態様において、可溶性または不溶性、および/または電気的に伝導性または非-伝導性であり得る。例えば、非-限定的であるが、カバー層は、ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、シリコーンゴム、および/またはポリ塩化ビニルを含むことができる。代わりとなる態様において、カバー層は、1種またはそれ以上の他の型の材料を含むことができる。一態様においては、カバー層は、第一のリザーバおよび/または第二のリザーバ内の物質(例えば、銀、亜鉛、および/またはその他の物質)が、容易に該カバー層を通り抜けて、ターゲット組織の所定領域上にまたはその内部に達することができるように、カバー層を選択する。
【0111】
ブロック1414においては、場合によって該装置の上面および/または底面に、流体の吸収性材料を結合することができる。例えば、非-限定的であるが、流体の吸収性材料は、1種またはそれ以上のポリマー、モノマーから製造したポリマー、ゼラチン、ガムおよび多糖類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クレイ、膨潤性無機物質、および/または他の流体の吸収性材料を含むことができる。
【0112】
ブロック1416においては、固定機構を、場合によってこの装置に結合することができる。例えば、一態様において、固定機構は、可撓性シート(例えば、ポリマー等の材料から製造したもの)および接着層を含むことができる。一態様においては、該接着層を、除去可能なライナーシートで覆って、該接着剤の使用前の弱体化を防止することができる。
【0113】
ブロック1418においては、活性化材料のリザーバおよび/または活性化材料は、場合によって該装置と結合し、あるいは該装置は、これらを備えることができる。一態様において、活性化材料は、導電性材料を含む。導電性材料は、例えば液体(例えば、溶液、懸濁液、またはエマルション)、半-固体(例えば、ゲル、クリームローション、マイクロエマルションまたはヒドロゲル)、固体、またはガス状物質を含むことができる。活性化材料のリザーバは、例えば導電性材料を該リザーバおよび/またはターゲット組織に放出し、あるいは暴露するように、選択的に開放または破壊することのできる装置を含むことができる。該材料を、該装置の上またはその内部および/またはターゲット組織の所定領域に流すことができる。あるいはまた、ユーザーが、該活性化材料を、該装置またはターゲット組織の所定領域上に配置することができる。
【0114】
前に記載したように、導電性材料をガルバニ電池近傍に置いた場合、レドックス反応が、該電池成分間(例えば、第一リザーバと第二リザーバ間)で発生し得る。様々な態様において、導電性材料製のリザーバ中に含まれる導電性材料は、水、塩水、有機または無機塩またはバッファー、電解質-活性剤、ヒドロゲルおよび/または有機溶媒の内の1種またはそれ以上を含むことができるが、これらに限定されない。他の態様では、レドックス反応は、ガルバニ電池を、他の液体材料、固体材料、半-固体材料、ガス状材料、創傷の滲出流体、および/または他の生物学的に生成された流体または導電性物質と近接して配置した場合に、起こり得る。従って、これらの材料は、また活性化物質であると考えることも可能である。用語「生物学的(生体)活性物質(biologic activation materials)」とは、幾つかの態様では、生物学的実体によって製造される活性化物質として定義することができる。
【0115】
活性化物質は、また1種またはそれ以上の追加の物質、例えば、非-限定的であるが、活性化剤、保存剤、安定化剤または酸化防止剤、キレート剤、バッファー、等張性調節剤、懸濁性物質、および/または流体吸収性物質の内の1種またはそれ以上を含むことも可能である。
【0116】
図24は、例示の態様に従う、基板2402、リザーバ2404、組織接触層2406、流体吸収層2408、固定機構2410、活性化物質性のリザーバ2412、および活性化物質2414を含む装置2400の断面、側面図である。他の態様に従えば、該組織接触層2406、流体吸収層2408、固定機構2410、活性化物質性のリザーバ2412、活性化物質2414、およびライナーシート2416の様々な組合せを、装置に含め得ることが理解されよう。更に、様々な態様において、部品2406、2408、2410、2412、2414、および2416の何れも、装置に含まれなくても良い。更に、様々な態様において、図24に示された部品(基板2402およびリザーバ2404を含む)の幾つかまたは全てが、図24に示された形状、サイズ、および相対的な位置以外の、異なる量、形状、相対的なサイズ、または相互の相対的な位置を持つことができる。図24に示した部品の量、形状、相対的なサイズ、および相対的な位置は、概念上の例を与えるためのものであり、また限定を意味するものではない。
【0117】
再度図14を参照すると、ブロック1420においては、1種またはそれ以上の活性剤が、場合により装置要素、例えば基板、1またはそれ以上のリザーバ、活性化物質、または他の装置要素に配合され、あるいはその上に適用することができる。様々な態様において、活性剤は、溶解した分子および/またはイオン、分散された固体粒子、および/または液体の液滴(例えば、クリーム、ローション、エマルション、および/またはリポソーム組成物)として配合することができる。「活性剤」は、化粧学的作用、治療効果、化学的作用、形態学的作用、および/または細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調を包含するが、これらに限定されない細胞学的作用を含むが、これらに限定されない生物学的組織に、ある作用を及ぼす、合成化合物または天然の資源から単離した化合物を含むことができる。様々な態様において、装置要素に組込まれ、あるいはその上に適用される、活性剤の量は、「安全かつ有効な量」(例えば、該活性剤を組込むべき、または適用すべき該要素の質量基準で、約0.001〜約20質量%なる範囲)であり得る。
【0118】
活性剤は、例えば1種またはそれ以上の治療用の薬物(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸物質、ホルモン、脂肪、炭水化物、錯体分子、および/または栄養物)、創傷-治癒促進剤(例えば、組換えヒト血小板-由来の成長因子、および/または他の成長因子)、ケタンセリン、イロプロスト、瘢痕-軽減薬、育毛増強剤、育毛遅延剤、降圧剤、制癌剤、内分泌性および代謝薬剤、神経薬剤、動揺病軽減剤、プロテインおよびペプチド含有薬物、アクネ防止剤、抗-酒さ剤、老化防止剤(例えば、サンスクリーン、ビタミン、ビタミン塩、α-ヒドロキシ酸およびそのプリカーサ、β-ヒドロキシ酸、亜鉛および亜鉛含有化合物、植物抽出物、および塩)、脱色剤、植物抽出液、金属、麻酔剤、鎮静剤、精神医学的諸疾患、癲癇、および偏頭痛の治療薬物、薬物中毒(drug additions)阻害用薬物、抗-炎症薬剤、高血圧症、心血管障害、胃酸過多および潰瘍の治療用薬剤、ホルモン置換治療薬および避妊薬、抗生物質、抗-真菌剤、抗-ウイルス剤、乾癬治療薬、その他の抗菌剤、抗-炎症剤、抗-新生物剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、血液および造血器官に作用する薬物、ワクチンおよび/または抗-蛇毒素を含むが、これらに限定されない。
【0119】
再度図14を参照すると、ブロック1422において、該装置は、場合により包装することができる。一態様において、包装は、該装置を覆うカバーを作る工程を含み、このカバーは、該装置の使用前における、環境的または物理的損傷から保護する。かくして、この方法が完了する。
【0120】
一態様において、装置は、整合性を付与できる、組織接触式装置(例えば、皮膚、創傷、粘膜組織接触型デバイス、例えば治療用のパッチ、マスクまたは創傷用包帯、またはその他の包帯)として使用するのに適しており、また約1平方センチメートル(cm2)〜約50cm2なる範囲の活性表面積、および約1mm〜約10mmなる範囲の厚みを持つことができる。もう一つの態様において、装置は、目と接触する装置として使用するのに適しており、また約1cm2〜約2cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。別の態様では、装置は、耳管インサートとして使用するのに適しており、また約1cm2〜約10cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、膣内装置(例えば、タンポン、隔膜、スポンジ、ペッサリー)として使用するのに適しており、また約5cm2〜約200cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、内部の人工(補綴)装具として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、内部の医療用デバイス(例えば、ステント、子宮内デバイス、静脈内カテーテル、尿管カテーテル、気管チューブ、栄養補給用のチューブ、ネジ、クランプ)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約500cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、医療用器具(例えば、外科用器材、マスク、診断用デバイス等)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、衣料物品(例えば、手術着、衣類、手袋、靴下、ヘッドカバー、等)として使用するのに適しており、また約1cm2〜約100,00cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。更に別の態様では、装置は、ハンカチまたはタオルとして使用するのに適しており、また約20cm2〜約100,00cm2なる範囲の活性表面積を持つことができる。上に与えた寸法範囲は、例示の目的で与えられたものであり、本発明を限定するためのものではない。従って、上記装置は、代わりとなる態様において、より大きなまたはより小さな寸法の、活性表面積および/または厚みを持つことができる。例えば、前に議論した如く、「ナノ-リザーバ」を含む用途においては、装置の様々な寸法は、上に与えた範囲よりも大幅に小さなものであり得る。
【0121】
様々な装置を図25-30に示したが、そこには本発明の課題に係る種々の態様が含まれている。これら図示した装置は、例示の目的で与えられたものであり、様々な態様の適用を、これら装置のみに限定するものではないことを理解すべきである。逆に、本発明の課題となる態様は、広範囲に渡る他の装置にも組込むことができる。従って、前章に列挙したものを含むが、これらに限定されない、本発明の課題の、他の装置への組込みは、前記特許請求の範囲内に入るものと考えるべきである。
【0122】
図25は、例示の態様に従う、創傷用包帯2500の平面図である。包帯2500は、基板2502、第一のガルバニリザーバ2504、第二の異種ガルバニリザーバ2506、および固定機構2508を含むことができる。多数の第一および第二ガルバニリザーバ2504、2506は、基板2502と結合することができ、また基板2502は、固定機構2508と結合することができる。一態様において、固定機構2508は、その上面にある材料(図示せず)を含み、該材料は基板2502を、固定機構2508に対して、所定位置に保持するように機能することができる。更に、該材料は、基板2502の境界を越えて伸びていてもよく、また創傷用包帯2500を、ターゲット組織の所定領域に関して、決められた位置に保持するように機能することができる。
【0123】
例示の態様において、基板2502の表面積は、該包帯2500の、該組織と面している表面積の約25%に相当する。他の態様では、該包帯2500の、該組織と面している全表面積に対する基板2502の相対的な表面積は、25%よりも大きくても、また小さくても良い。更に、様々な態様において、基板2502、リザーバ2504、2506、および/または固定機構2508の形状は、例示した形状とは異なっていても良い。
【0124】
図26は、例示の態様に従う、ライン26-26に沿って取った、図25の創傷用包帯の断面、側面図である。この包帯は、基板2602、ガルバニリザーバ2604、組織接触層2606、流体吸収層2608、および構造用の層2610および接着剤被膜2612を含むことのできる、固定機構を含むことができる。更に、取外し可能なライナーシート2614を、該包帯と共に含めて、この包帯をターゲット組織の所定領域に適用する前に、該接着剤被膜2612および組織接触層2606を、物理的および/または環境的な損傷または劣化から保護することができる。取外し可能なライナーシート2614は、矢印2616で示したように、使用に先立って除去することができ、また接着剤被膜2612は、ターゲット組織の所定領域(例えば、ターゲット組織の所定領域に対して)に相対的に、組織接触層2606の上面を、決められた位置に維持するように機能し得る。代わりとなる態様において、組織接触層2606は排除することができ、また接着剤被膜2612は、基板2602の上面を、ターゲット組織の所定領域に対して、決められた位置に維持するように機能し得る。
【0125】
該包帯を、ターゲット組織の所定領域に適用するに際して、様々な流体が(例えば、導電性物質および/または創傷からの滲出流体)が、組織接触層2606および基板2602を介して、および/またはその周りを流動して、流体吸収層2608内に吸収される可能性がある。代わりとなる態様において、流体吸収層2608は、該包帯から排除することができ、あるいは基板2602の上方に配置することができる。更に別の代わりとなる態様において、基板2602は、流体吸収性物質を含むことができ、またその結果流体吸収性の層として機能することができる。
【0126】
図25および/または26に示した包帯は、1またはそれ以上の方法で、「活性化する」ことができる。一態様において、活性化は、該リザーバ(例えば、リザーバ2504、2506、2604)間に導電性材料を配置した場合に起こり、結果的に電気的な連絡および/またはイオン的な連絡が、該導電性物質を介して、これらリザーバ間で起り得る。該異種のガルバニリザーバ間に、導電性材料がある場合には、電流を、基板2602の近傍に生成することができる。様々な態様において、これらの電流は、後で詳しく説明するように、治療上の効果を持つことができる。
【0127】
この導電性材料は、該ターゲット組織領域と近接して配置することができ、および/または該導電性材料は、該包帯に適用することができる。例えば、一態様において、該ターゲット組織の所定領域と近接する、創傷からの浸出流体、血液、および/または他の生物学的な流体または物質は、該リザーバと近接する場合には、活性化物質として機能し得る。他の態様では、活性化物質は、該包帯に与えることが可能である。例えば、活性化物質は、活性化物質製のリザーバ内に含めることができ、該リザーバは、該包帯および/または該ターゲット組織の所定領域表面に放出すべく、選択的に開放し、あるいは破壊することができる。あるいはまた、活性化物質は、固体、半-固体、液体またはガス状物質として与えることができ、該包帯および/またはターゲット組織の所定領域に適用することができる。
【0128】
図27は、例示の態様に従う、目と接触する型のデバイス2700の、斜視図である。デバイス2700は、目に面する表面2704を持つ基板2702を含むことができる。一態様において、第一のガルバニリザーバ2708および第二の異種ガルバニリザーバ2710は、基板2702と結合していても良い。リザーバの特別な数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図27に示されているが、他の態様では、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、異なっていても良いことを理解すべきである。幾つかの態様では、リザーバを、相対的に等しく、目と面する表面を横切るように分配することができる。他の態様では、リザーバを不均一に分配することができ、および/または該目と面する表面の1またはそれ以上の部分を横切るに過ぎないように配置することもできる。例えば、非-限定的であるが、一態様においては、リザーバを、該目と面する表面の周辺部の周りに分配することができ、また該目と面する表面の中心領域に、少数のリザーバを配置することができ、あるいはそこにリザーバを配置する必要は全くない。
【0129】
基板2702は、柔軟なおよび/または剛性の材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2702は、1種またはそれ以上のエレクトロガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、剛性ガス透過性材料(例えば、シリコーン-アクリレート材料、フルオロシリコーン-アクリレート材料、剛性シリコーン-ヒドロゲル材料)、軟質シリコーン-ヒドロゲル材料(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート(MMA)のコポリマー)、超酸素透過性材料、および/またはその他の材料を含むことができる。一態様において、基板2702は実質的に透明である。基板2702は、様々な態様において、目の屈折に関する問題の、光学的補正が可能であっても、可能でなくても良い。
【0130】
一態様において、基板2702は、実質的に目の表面の輪郭を持つように形成され、また目と面する表面2704は、実質的に凹型である。例えば、基板2702は、実質的にコンタクトレンズ形状を持つことができる。使用中に、目と面する表面2704を、目の角膜と接触させることができる。目由来の流体(例えば、涙)は、活性化物質として機能することができる。
従って、該目由来の流体が、ガルバニリザーバ2708、2710と接触した際に、該目と面する表面2704を横切って、電流が発生する可能性がある。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つ可能性がある。例えば、非-限定的であるが、様々な態様の目と接触する型のデバイスを、角膜に適用して、以下に列挙する治療効果の1種またはそれ以上を得ることができる:1) 該角膜表面に対する細菌結合の低減;2) 白内障によって引起こされる変質の重篤度またはその速度の低減;3) 虹彩炎、眼球メラノーマ、シェーグレン症候群、および/またはブドウ膜炎の治療;4) 変更された角膜細胞成長(例えば、白内障)の治療のための、細胞アポトーシス誘発の変調;および/または5) 目の手術(例えば、角膜移植、屈折性視力障害の手術(refractive eye surgery))後の、治癒の容易化。
【0131】
図28は、例示の態様に従う、内部人工補綴具2800の斜視図である。デバイス2800は、組織と面する表面2804を有する基板2802を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ2808および第二の異種ガルバニリザーバ2810は、基板2802と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図28に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、基板2802は、特定の形状を持つものとして図示されているが、この基板2802は、他の態様では、大幅に異なる形状を持つことも可能である。
【0132】
基板2802は、1種またはそれ以上の固体、半-固体、可撓性、および/または剛性材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2802は、1またはそれ以上の被覆金属または合金(例えば、チタン、ステンレススチール、コバルトクローム)、プラスチック(例えば、ポリエチレン)、セラミックス、シリコーン、および/またはその他の材料を含むことができる。幾つかの態様において、基板2802は、実質的に非-可溶性である。従って、デバイス2800は、その形状を長期間に渡り維持できる。代わりとなる態様において、基板2802は、実質的に可溶性(例えば、生体吸収性)である。
【0133】
例えば、非-限定的であるが、本発明の課題とする一態様を組込んだ、内部人工補綴具は、股関節部、膝、肩、肘、手首、足首、椎骨、ディスク、軟骨、骨、硬質の化粧学的インプラント(例えば、頬、顎、またはその他用のインプラント)、および/または乳房インプラント、またはその他の軟質の化粧学的インプラント(例えば、乳房、脹脛、胸部、またはその他用のインプラント)のための、置換用人口補綴具の一部を構成することも可能である。本発明の課題とする一態様を組込んだ、人工補綴デバイスは、実質的に固体であり得、あるいは1またはそれ以上の中空部分を有していても良い。一態様において、中空の人工補綴デバイスは、流体または他の物質(例えば、塩水、シリコーンゲル)で満たされていても良い。
【0134】
人工補綴デバイス、例えばデバイス2800は、身体の内部部分に、設置(例えば、加圧適合、接着、腔内への挿入、またはその他)することができる。設置の際またはその後に、組織と面する表面2804は、該人工補綴デバイスと近接する組織と接触することになる。体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能できる。従って、生物学的に活性な物質が、ガルバニリザーバ2808、2810と接触した場合、該組織と面する表面2804を横切って、電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様の人工補綴デバイスは、身体内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該補綴具と近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 近接組織(例えば、新たな骨)発生の刺激;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0135】
図29は、例示の態様に従う、耳管インサート2900の斜視図である。インサート2900は、耳管と面する表面2904を持つ基板2902を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ2906および第二の異種ガルバニリザーバ2908は、基板2902と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図29に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、基板2902は、特定の形状を持つものとして図示されているが、この基板2902は、他の態様では、大幅に異なる形状を持つことも可能である。
【0136】
基板2902は、1種またはそれ以上の固体、半-固体、可撓性、および/または剛性材料から製造することができる。例えば、非-限定的であるが、基板2902は、1またはそれ以上のポリマー、ポリウレタンフォーム、シリコーン、および/またはその他の材料を含むことができる。
【0137】
一態様において、基板2902は、実質的に耳管の輪郭と適合するように形成することができる。一態様において、基板2902は、該基板2902の中心を通して同心状に伸びている開口2910を含むことができる。一態様において、開口2910は、耳管の内側部分から、耳管の外側部分へと、流体が流れることを可能とする。代わりとなる態様において、基板2902は、実質的に固体であり得、また開口を含まないものであっても良い。
【0138】
インサート、例えばインサート2900は、耳管内に設置することができる。設置前、設置中、および/またはその後、組織接触表面2904は、該耳管内の組織、例えば該耳管の壁および鼓膜と接触する可能性がある。活性化物質を、設置前、設置中、および/またはその後に、該インサートに適用することができる。更に、体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能し得る。該活性化物質が、ガルバニリザーバ2906、2908と接触した際に、該組織と面する表面2904を横切って、電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様に係るインサートは、耳管内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該インサートと近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 近接組織(例えば、新たな骨)発生の刺激;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0139】
図30は、例示の態様に従う、膣内デバイス3000(例えば、タンポン、ペッサリー、スポンジ、隔膜、またはその他のデバイス)の斜視図である。デバイス3000は、膣壁と面する表面3004を持つ基板3002を含むことができる。一態様において、第一ガルバニリザーバ3006および第二の異種ガルバニリザーバ3008は、基板3002と結合していても良い。これらリザーバの特定の数、形状、サイズ、および相対的な配向は、図30に示されているが、これらの数、形状、サイズ、および相対的な配向は、他の態様では、異なっていても良いものと理解すべきである。更に、膣内デバイスは、図30には示されていない、1種またはそれ以上の追加の構造的要素を含んでいても良く、および/または実質的に異なる形状を持つことも可能である。
【0140】
基板3002は、1種またはそれ以上の可撓性材料から製造できる。例えば、非-限定的であるが、基板3002は、1種またはそれ以上の綿、レーヨン、他のセルロース繊維を基本とする材料および/または他の材料を含むことができる。基板3002は、膣領域内の表面の輪郭と実質的に適合するように形成し得る。
【0141】
膣内デバイス、例えばデバイス3000は、膣管内に設置することができる。設置前、設置中、および/またはその後、組織接触表面3004は、膣壁組織および/または頚管組織と接触する可能性がある。体液および/または身体組織(例えば、生物学的に活性な物質)は、活性化物質として機能し得る。該活性化物質が、ガルバニリザーバ3006、3008間に位置する場合には、該組織接触表面3004を横切って電流が発生し得る。様々な態様において、これらの電流は、治療上の効果を持つことができる。例えば、非-限定的であるが、様々な態様に係るタンポンは、膣管内に挿入することができ、また以下に列挙する治療上の効果の1種またはそれ以上を、与えることができる:1) 感染(例えば、クラミジア、酵母、および/または細菌感染および/またはマイコバクテリウム属細菌の感染)および/または該インサートと近接する組織(近接組織)の炎症発生の低減;2) 頚部異形成の治療;および/または3) 近接組織の治癒の容易化。
【0142】
図31は、例示の態様に従う、ターゲット組織領域に装置を適用する方法を示すフロー図である。ブロック3102において、本発明の課題の一態様を含む装置を得ることができる。
【0143】
ブロック3104において、該装置の適用のために、ターゲット組織の所定領域を、場合により調製することができる。ターゲット組織の調製は、1またはそれ以上の工程、例えば該ターゲット組織領域を清浄化する工程、1またはそれ以上の切開部を形成して、該ターゲット組織領域を露出させる工程、該ターゲット組織領域を再現する工程、および/または任意の幾つかの他の工程を含むことができる。代わりとなる態様においては、ターゲット組織領域の調製は、行わなくても良い。
【0144】
ブロック3106において、場合によりターゲット組織領域に適用するために、該装置を調製することができる。例えば、非-限定的であるが、該装置は、保護用の包装から取り出すことができ、該装置は、所定のサイズに切断または裂くことができ、および/または1種またはそれ以上の剥離ライナーを、該装置から除去することができる。
【0145】
ブロック3108においては、活性化物質を、場合により該装置および/または該ターゲット組織領域に適用することができる。例えば、非-限定的であるが、導電性物質を、該装置と結合した、活性化物質製のリザーバから遊離することができ、あるいは該装置と結合した、別の型の活性化物質を、該装置および/または該ターゲット組織領域と接触した状態で配置することができる。代わりとなる態様においては、活性化物質を適用しなくても良く、また該装置は、該ターゲット組織領域と近接する活性化物質を接触した際に、活性化されるものであっても良い。
【0146】
ブロック3110においては、該装置を、該ターゲット組織領域と近接して適用することができる。一態様において、該装置の適用は、該ターゲット組織領域と接触している(例えば、該組織の表面を貫通しているか、あるいはこれと接触する)異種リザーバ間に、電流を発生する可能性がある。あるいはまた、もしくは更に、この適用は、該ターゲット組織領域に向けて、治療性物質を電気的に泳動する(electromotivating)電流を発生する可能性がある。この装置の適用は、他の態様では、付加的なまたは異なる効果をもたらす可能性がある。
【0147】
ブロック3112において、該装置は、場合により組織または該ターゲット組織領域に近接する構造体に固定することができる。この装置は、該装置と結合した固定機構、該装置とは別の固定機構を用いて、および/または該ターゲット組織領域に近接する組織および/または構造体によって、固定することができる。
【0148】
ブロック3114において、該装置は、場合により「適用期間」と呼ばれる所定期間に渡り、該ターゲット組織領域との近接状態を維持することを可能とする。装置の適用期間は、装置の「有効期間」よりも短くても、ほぼこれと等しくても、あるいはこれより長くても良い。「有効期間」とは、幾つかの態様では、装置が、有益な活性(例えば、電流の発生、イオン泳動、抗菌性または他の治療物質の供給等)を発揮しても、また発揮しなくても良い、時間間隔として定義できる。有効期間は、該物質、物質の濃度、および該装置における物質の配向、該導電性物質、周囲条件(例えば、温度、ターゲット組織の諸特性等)およびその他の因子を包含する、幾つかの因子の1つまたはそれ以上に依存する可能性がある。一態様において、装置は、約1-14日なる範囲の有効期間を持つことができるが、装置は、他の態様では、この範囲よりも長い、または短い有効期間を持つことも可能である。
一態様において、該第一リザーバおよび該第二リザーバは、ほぼ予め決められた所定の期間(例えば、予め決められた有効期間)に渡り、該1つまたはそれ以上の電流を維持するように形成される。
【0149】
ブロック3116において、装置は、一態様において、場合により取外し、および/または交換することができる。代わりとなる態様において、装置は、無期限的にターゲット組織領域との近接状態を維持することができる。このように、この方法は完了する。
本発明の課題に係る態様の適用または使用は、幾つかの型の使用方法の任意の1またはそれ以上を含むことができる。例えば、非-限定的であるが、用語「適用方法」または「適用する方法」とは、以下に列挙する方法の1またはそれ以上を含むことができるが、これらに限定されない:
1) 侵食された、または障害を受けた生物学的組織および/または組織疾患の治癒を増強するための治療方法;
2) 生物学的な組織の所定領域に電流を流して、治療的結果をもたらす方法;
3) 組織状態の外観を低減する方法;
4) 生物学的な組織の所定領域および/または生物学的系に、生物学的な組織の所定領域を介して、治療物質を与える方法;
5) 生物学的な組織の所定領域内および/または生物学的系内の感染(例えば、細菌、マイコバクテリウム属細菌、酵母、ウイルス、および/または真菌感染)を軽減または排除する方法;
6) 生物学的な組織の所定領域内および/または生物学的系内の、感染(例えば、細菌、マイコバクテリウム属細菌、酵母、ウイルス、および/または真菌感染)し易さを低減する方法;および/または
7) 生物学的な組織の所定領域および/または生物学的系内の細胞活性(例えば、細胞誘発、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞アポトーシスの変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調)を変更する方法。
【0150】
様々な態様において、生物学的な組織および/または生物学的系に、様々な作用を達成する方法は、装置の態様を、生物学的な組織の所定領域に適用する工程を含むことができる。これらの態様は、一群の細胞型から選択される生物学的な組織および/または流体に適用することができ、該細胞型は、皮膚組織、上皮組織、視覚組織、耳(聴覚)組織、粘膜組織、結合組織、筋肉組織、神経組織、脳脊髄組織、腹腔流体、および/または他の生物学的な組織および/または流体(例えば、骨、器官組織等)を含むが、これらに限定されない。ある態様を適用するために選択された、生物組織の所定領域は、損傷した生物組織、炎症を持つ生物組織、疾患に罹患した生物組織、感染した生物組織、健康な生物組織、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生物組織を含むことができる。
【0151】
用語「治療(treat, treating, treatment)」とは、幾つかの態様では、治療(例えば、症状の軽減または排除および/または治癒)および/または組織または生物系のある状態または障害の予防または阻害として定義することができる。用語「状態」および「障害」とは、幾つかの態様では、組織の疾患、障害、および/または特徴として定義することができる。用語「〜の治癒の増強」とは、幾つかの態様では、治癒の結果を改善し、治癒の際の瘢痕形成を軽減し、および/または治癒を促進するものとして定義することができる。
【0152】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、侵食されたまたは障害を受けた生物組織を治療しおよび/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、そこで該組織は、感染した外傷性病変、外科的切開、病巣、創傷、切り傷、刺し傷、破裂、擦過傷、裂傷、生検部位、レーザー治療後の皮膚、化学的に剥ぎ取られた後の皮膚、火傷、日焼け、凍傷、潰瘍、床擦れ、発疹、接触性皮膚炎(例えば、毒ヅタ/毒ガシへの暴露由来の)、昆虫による咬傷、虫刺され、蛇による咬傷、および動物による咬み傷を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含み得る。
【0153】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、皮膚、毛髪、および/または爪の状態を治療し、および/またはこれらの治癒を促進するための方法を含むことができ、ここで該組織は、細菌感染、マイコバクテリウム属細菌による感染、酵母感染、真菌感染、ウイルス感染、瘢痕、アクネ、疱疹、魚の目、仮骨、皮膚紋画症、蕁麻疹、血管浮腫、乾癬、シュサ、疥癬、白癬、形成異常症、皮膚炎(湿疹)、膿瘡、アトピー性皮膚炎、汗疱、神経皮膚炎、汗疱状白癬、おでき、カルブンケル、フレグモーネ、単純ヘルペス、毛包炎、フルンケル症、インペチゴ、ジョック痒疹、軟属腫コンアギオスム(molluscum conagiosum)、ヘルペス、ムーシャ-ハーベルマン病(Mucha-Havermann disease)、輪癬、帯状疱疹、クロナマズ、紫外線角化症、イボ、そばかす、奇胎、異常色素沈着、脂肪腫、黒色腫、頭皮癌、皮膚癌、黒色表皮腫、水泡性類疱瘡、表皮水泡症、魚鱗癬(icthyosis)、バラ色ヒコウ疹、環状肉芽腫、汗腺炎、光沢苔癬、扁平苔癬、斑状硬化症、強皮症、毛床嚢胞、壊疽性膿皮症、スチーブンス-ジョンソン症候群、血管腫、発汗症、体臭、セルカリア性皮膚炎、内方成長性足指の爪、および爪の真菌感染を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含み得る。
【0154】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、粘膜組織(例えば、粘膜)を治療し、および/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、ここで該生物組織は、口内または膣内酵母感染、麦粒腫、結膜炎、歯肉炎、口腔癌、癌性糜爛、および頚部癌を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含むことができる。
【0155】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、耳および/または目の組織を治療し、および/またはその治癒を促進する方法を含むことができ、ここで該生物組織は、結膜炎、麦粒腫、白内障、虹彩炎、眼球黒色腫、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、耳の感染、破壊された鼓膜、および/または角膜移植術、屈折性視力障害手術または耳の手術により障害を受けた組織を含むが、これらに限定されないものからなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含むことができる。
【0156】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、装置に近接する生物組織の感染し易さを低減し、該感染を予防し、および/または該感染を低減する方法を含むことができ、該装置は、創傷用の包帯、コンタクトレンズ、股関節部、膝、肩、肘、手首、足首、椎骨、ディスク、軟骨、骨の置換用人工補綴具、硬質の化粧学的インプラント(例えば、頬、顎、またはその他用のインプラント)、乳房インプラント、または他の軟質の化粧学的インプラント(例えば、乳房、脹脛、胸部、またはその他用のインプラント)、耳管インサート、ステント、タンポン、隔膜、スポンジ、子宮内デバイス、ペッサリー、尿管カテーテル、静脈内カテーテル、気管チューブ、胃腸管栄養供給チューブ、ネジ、クランプ、外科用器具、マスク、診断用デバイス、手術着、衣服、手袋、靴下、ヘッドカバー、ハンカチ、および/またはタオルを含むが、これらに限定されない。
【0157】
様々な態様において、適用方法(例えば、図31の態様)は、様々な皮膚特性の外観を、低減しまたは元に戻す方法を含むことができ、該方法は、皮膚色素沈着、瘢痕、毛髪の喪失、毛髪の成長、不均一な皮膚の組織、最適でない皮膚の堅牢性、最適でない皮膚の弾力性、見掛けの皮膚の脈管系、ダークアイサークル(dark eye circles)、セルライト、最適でない皮膚の輝き、腫瘍、および皺を低減しまたはこれを元に戻す方法を含むが、これらに限定されない。用語「低減する」(to reduce)とは、幾つかの態様では、肉眼に対してそれほど明白でないものとすることとして定義できる。また、用語「元に戻す」(to reverse)とは、幾つかの態様では、以前の状態に変換することとして定義することができる。
【0158】
本発明の態様のターゲット組織の所定領域への適用は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない、1またはそれ以上の有益な結果を、与えるものであっても、そうでなくてもよい:
a) 線維増殖の刺激(例えば、結合組織の再生);
b) コラーゲンの改造(例えば、コラーゲン原線維の改質);
c) 新血管形成の刺激(例えば、組織への血液供給の再現);
d) 抗菌作用(例えば、リザーバへの微生物の誘引、およびリザーバ物質との接触による該微生物の中和);
e) ターゲット組織に向けておよび/またはその中に、1種またはそれ以上の物質(例えば、銀および/または亜鉛)を移動させる起電力の発生(例えば、イオン泳動)、これは微生物を殺傷する作用、および/または電気的に帯電した治癒細胞を移動させまたは誘引する作用を有していても、また持たなくてもよい;
f) ターゲット組織の所定領域と近接する、あるいはその内部の微生物を、リザーバまで電気的に引付け、また該リザーバが抗菌性の物質を含む場合には、該引寄せた微生物を殺傷する;
【0159】
g) 通常組織の障害を受けた部位における、刺激による生体電流の発生;
h) 創傷の収縮;
i) 創傷表面上に電流を与えることによる、該創傷の表面全体に渡る、創傷治癒刺激の供与(例えば、通常創傷の周辺部辺りに見られる損傷部の電流を、創傷表面全体に刺激する);
j) 毛細管の浸透性の変更;
k) 細胞の移動;
l) 活動亢進状態または活動低下状態から、正常な状態(例えば、ホメオスターシス状態)への、細胞活性の変更;および/または
m) 細胞誘発の改善、細胞分化および/または脱分化の変調、細胞形態学の変調、細胞機能の変調、細胞活性の変調、細胞の化学的活性および/または挙動の変調。
【実施例】
【0160】
インビボでのヒトの研究
志願したヒトについて、一態様に従う装置を用いて、インビボでの研究を行った。この研究は、真性糖尿病およびポリオを患っている、63歳の男性の医師である志願者を用いて実施した。この男性の対象は、本研究の約4年前(約2000年)に、その左足親指が切断されていた。手術後、この医師は、その切断された親指の断端に至る傷を持つその足に、また第二、第三および第四指(即ち、ターゲット組織)にも火傷を被っていた。これらの傷は、感染を被っていた。このターゲット組織は、通常の医学的治療を、約4年間続けた後も、治癒し得なかった。この研究開始の約1ヶ月前に、対象の担当医師に、近位切断を勧められた。この切断を受入れるよりも、この対象は、一態様に従う装置を用いたこのインビボ研究のための志願者となることを選択した。
【0161】
図32および33は、装置の一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。このターゲット組織は、該対象の左足にあり、該写真画像は、夫々この対象の足に関する、正面図および平面図である。このターゲット組織は、その足の親指の切断部位近傍に原発性の創傷を含んでいた。図32は、このデバイスの一態様を適用する前の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真である。該原発性の創傷は、約4.2cm2なる面積にて、皮膚下部の組織を露出していた。この原発性創傷全体を覆う皮膚または表皮被膜はなかった。この創傷の周辺縁部は、壊死性であり、また中足骨ヘッドは、切断創傷部位において露出していた。この原発性創傷を横切る組織は、脆弱であった。この原発性創傷は、過豊の滲出液を生成した。この原発性創傷の培養物は、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびエンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)を生育させた。このターゲット組織は、また該第二、第三および第四指にも、二次的な創傷を含んでいた。
【0162】
この研究は、49日間に渡って行った。この研究中に、従来の治療法は利用しなかった。
医療用電池装置の一態様は、この研究の開始時点(例えば、第一日目)において、直接該ターゲット組織に適用した。この装置を水で湿潤させ、直接該傷の上に置き、また綿の巻きガーゼで固定した。この装置は、シャワーを浴びる際には取外し、その後即座に戻した。
この装置は、1週間に1回当て、取替えた。
【0163】
この装置は、織りポリエステル織物製の基板を含んでいた。リザーバの第一パターンは、該基板の第一面に配置させた。この第一のリザーバ材料は、高純度の銀結晶と混合したバインダを含んでおり、このバインダを、該第一面にスクリーン印刷し、硬化させた。リザーバの第二パターンは、該第一パターンとインターリーブされた、第一面に配置させた。この第二のリザーバ材料は、高純度の亜鉛結晶と混合したバインダを含んでおり、このバインダを、該第一面にスクリーン印刷し、硬化させた。該第一のリザーバは円形であり、約1mmなる径を有していた。該第二のリザーバは、円形であり、約0.5mmなる径を有していた。約1mmなる間隔が、最も近接した、隣接第一リザーバと第二リザーバとの間に、該第一面を横切って存在していた。この装置を水で活性化し、該傷の滲出液と接触させた。
【0164】
4日以内に、該ターゲット組織において、感染の消散を包含する、観測し得る変化が明らかになった。適用後10日目に、観察を行ったところ、該創傷は、顕著に癒合組織で覆われており、また足親指の切断部位において、前に露出していた骨が、組織で覆われていた。この組織が、該創傷の周辺の縁部からの癒合のみならず、全創傷表面に渡って癒合したという、観測がなされた。
【0165】
図34および35は、35日間に渡り装置の一態様を適用した後の、ターゲット組織の所定領域を撮影した写真画像である。35日間の適用後、観測を行ったところ、開いていた傷が、かなり癒合しており、また厚みのある成熟した組織(例えば、該創傷表面から崩壊させることのできない強靭な、成熟組織)で満たされていた。この研究中ずっと、癒合は進行した。この研究は、該創傷が完全に治癒した、49日後に終了させた。
【0166】
以上、医療用装置およびその使用並びに製法に関する様々な態様を記載してきた。上記の特定の態様に関する説明は、本発明の課題の一般的特徴を、他の者が、公知の知見をこれに適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱せずに、上記態様を容易に改良し、および/またはこれを様々な用途に適合させることを可能とするのに十分に、明らかにしている。従って、このような適合並びに改良は、ここに記載した態様に等価なものの意味および/または範囲に入るものである。
【0167】
ここにおいて使用する術語および用語は、本発明の説明を目的とするものであって、本発明を限定するためのものではない。従って、本発明の課題は、このような代替物、改良、等価物および変更全てを、本発明の精神並びに添付した特許請求の範囲の広義の範囲に含まれるものである。
さらに、本発明は、以下に関する。
1.
基板と結合した多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており、
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、装置。
2.
該還元剤が銀を含む、上記1記載の装置。
3.
該還元剤が、銀、金属状の銀、酸化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、フッ化銀、銀/酸化銀、銀/ハロゲン化銀、銀/塩化銀、銀/臭化銀、銀/ヨウ化銀、銀/フッ化銀、銅、酸化銅、銅/ハロゲン化銅、銅/酸化銅、金、プラチナ、炭素、および導電性炭素からなる一群の材料から選択される1種またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
4.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記1記載の装置。
5.
該酸化剤が、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、錫、銅、およびこれらの合金からなる一群の材料から選択される1種またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
6.
該多数の第一のリザーバが、リザーバの第一のパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該リザーバの第一パターンとインターリーブされた、リザーバの第二のパターンを含む、上記1記載の装置。
7.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一基板表面と結合している、上記1記載の装置。
8.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該基板内に包埋されている、上記1記載の装置。
9.
該基板が、適合性材料を含み、かつ該第一基板表面が、実質的に生体組織の所定領域と適合し得る、上記1記載の装置。
【0168】
10.
該第一基板表面が、組織接触表面を含む、上記1記載の装置。
11.
該基板が、実質的に目の表面の輪郭状に形成されており、かつ該第一基板表面が、目との接触表面を含む、上記1記載の装置。
12.
該基板が、実質的に耳管の輪郭形状に形成されており、かつ該第一基板表面が、耳管との接触表面を含む、上記1記載の装置。
13.
該基板が可撓性である、上記1記載の装置。
14.
該基板が剛性である、上記1記載の装置。
15.
更に、流体吸収層をも含む、上記1記載の装置。
16.
更に、固定機構をも含み、第二の基板表面が、該固定機構の一部と結合している、上記1記載の装置。
17.
更に、組織接触層をも含む、上記1記載の装置。
18.
更に、活性化物質を含むのに適したリザーバをも含む、上記1記載の装置。
19.
該活性化物質が、水、塩水、有機または無機塩またはバッファー、電解質活性試薬、ヒドロゲル、および有機溶媒からなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の材料を含む、上記18記載の装置。
【0169】
20.
該基板が、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ヒドロゲル、他のゲル、エラストマー材料、合成スポンジ、天然スポンジ、絹、ケラチン、セルロース繊維、レーヨン、アセテート、アクリル酸樹脂、セルロースエステル、モダクリル樹脂、ポリマー、超吸収性ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、エレクトログラス、ポリメチルメタクリレート、剛性ガス透過性材料、軟質シリコーンヒドロゲル材料、超酸素透過性材料、被覆金属または合金、プラスチック、ポリエチレン、セラミックス、ポリウレタンフォーム、綿、およびレーヨンからなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の材料を含む、上記1記載の装置。
21.
該基板が、ガラス、糖ガラス、塩ガラス、バイオセラミックス、天然生分解性ポリマー、合成生分解性ポリマー、アルミナ、ジルコニア、リン酸カルシウム、シリカを主成分とするガラス、ガラスセラミックス、熱分解炭素、リン酸テトラカルシウム、アモルファスリン酸カルシウム、リン酸α-トリカルシウム、リン酸β-トリカルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリマー、コポリマー、エステル、ポリエステル、ポリエーテルエステル、カプロラクトン、無水物、オルトエーテル、アミド、ポリジオキサノン、グリコライド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリ(アミノ酸)、およびポリエステルアミドからなる一群の材料から選択される、1またはそれ以上の生体吸収性材料を含む、上記1記載の装置。
22.
該還元剤および該酸化剤が、該第一リザーバ表面と該第二リザーバ表面との間に、該第二リザーバ表面と該第一リザーバ表面とを接触させる電気伝導性材料の存在下で、レドックス反応を生じるように選択される、上記1記載の装置。
23.
該多数の第一リザーバの内の選択されたものがバインダを含み、活性化材料が該バインダと接触した際に、該バインダが分解できる、上記1記載の装置。
24.
該多数の第二リザーバの内の選択されたものがバインダを含み、活性化材料が該バインダと接触した際に、該バインダが分解できる、上記1記載の装置。
【0170】
25.
該基板が多数の基板表面を含む、上記1記載の装置。
26.
該第二リザーバ表面の内の選択されたものが、該第一リザーバ表面の内の選択されたものと、隔置された関係で配置されている、上記1記載の装置。
27.
第一の基板表面および第二の基板表面を持つ基板と;
該基板と結合した、第一の材料組成物製の、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバから選択された第一リザーバ表面が、該第一の基板表面において露出しており、かつ該第一の材料組成物が第一の電位を有し;
該多数の第一のリザーバに隣接する、該基板と結合した、第二の材料組成物製の多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバから選択された第二リザーバ表面が、該第一の基板表面において露出し、かつ該第一リザーバ表面の内の隣接するものとは、物理的に分離しており、また該第二の材料組成物が第二の電位を有し、該第二の電位が、該第一の電位とは異なっている、ことを特徴とする装置。
28.
該第一の材料組成物が、銀を含む、上記27記載の装置。
29.
該第二の材料組成物が、亜鉛を含む、上記27記載の装置。
【0171】
30.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記27記載の装置。
31.
第一の表面を持つ基板と;
装置と結合した、多数の間隔を置いて配置された、異種のリザーバとを含み、ここで該装置は、電気的に独立であり、かつ活性化した際に、外部電源を必要とすること無しに、該多数の間隔を置いて配置された、1またはそれ以上の、異種のリザーバ間に、電流を発生することができる、ことを特徴とする装置。
32.
該多数の間隔を置いて配置された、第二の異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバの第一パターンと;
1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンとを含み、ここで該第二パターンは、該第一パターンと隔置された関係で配置されている、上記31記載の装置。
33.
該多数の間隔を置いて配置された異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバと、ここで該1またはそれ以上の第一のリザーバは、銀を含み、
1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンとを含み、ここで該1またはそれ以上の第二のリザーバの第二パターンが亜鉛を含み、かつ該第二パターンは、該第一パターンとインターリーブされている、上記31記載の装置。
34.
該多数の間隔を置いて配置された異種のリザーバが、
1またはそれ以上の第一のリザーバと;
1またはそれ以上の第二のリザーバとを含み、ここで該1またはそれ以上の第一のリザーバおよび該1またはそれ以上の第二のリザーバが、ほぼ予め決められた時間の間、該1またはそれ以上の、異種のリザーバ間の電流を維持するように配置されている、上記31記載の装置。
【0172】
35.
該基板が、多数の基板表面を持つ、上記31記載の装置。
36.
基板と、
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、組織接触装置。
37.
該還元剤が銀を含む、上記36記載の装置。
38.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記36記載の装置。
39.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記36記載の装置。
【0173】
40.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記36記載の装置。
41.
可撓性の基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接している、ことを特徴とする、創傷用の包帯。
42.
該還元剤が銀を含む、上記41記載の装置。
43.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記41記載の装置。
44.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記41記載の装置。
【0174】
45.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記41記載の装置。
46.
実質的に目の表面の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、目と接触する装置。
47.
該還元剤が銀を含む、上記46記載の装置。
48.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記46記載の装置。
49.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記46記載の装置。
【0175】
50.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記46記載の装置。
51.
実質的に耳管の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、耳管インサート。
52.
該還元剤が銀を含む、上記51記載の装置。
53.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記51記載の装置。
54.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記51記載の装置。
【0176】
55.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記51記載の装置。
56.
実質的に膣領域内表面の輪郭を持つように形成された基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、膣内装置。
57.
該還元剤が銀を含む、上記56記載の装置。
58.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記56記載の装置。
59.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記56記載の装置。
【0177】
60.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一の基板表面と結合している、上記56記載の装置。
61.
可撓性の基板と;
該基板と結合した、多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており;
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、内部人工装具。
62.
該還元剤が銀を含む、上記61記載の装置。
63.
該酸化剤が亜鉛を含む、上記61記載の装置。
64.
該多数の第一のリザーバが、第一のリザーバパターンを含み、かつ該多数の第二のリザーバが、該第一のリザーバパターンとインターリーブされた第二のリザーバパターンを含む、上記61記載の装置。
【0178】
65.
該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバが、該第一基板表面と結合している、上記61記載の装置。
66.
基板と、多数の第一のリザーバとを結合する工程と、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバは、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面は、第一基板表面と近接しており;
該基板と、多数の第二のリザーバとを結合する工程とを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、装置の製造方法。
67.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、塗布、印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、化学的堆積法、電気化学的堆積法、気相蒸着、鍍金、噴霧塗布、グラビア塗布、プラズマ塗布、浸漬塗布、真空蒸着、ナノスケール蒸着、スパッタリング、ボンディング、および融合からなる一群の技術から選択される1種またはそれ以上の技術を用いて、該第一基板表面に、リザーバ材料を結合する工程を含む、上記66記載の方法。
68.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、該基板内にリザーバ材料を埋設する工程を含む、上記66記載の方法。
69.
該多数の第一のリザーバを結合する工程および該多数の第二のリザーバを結合する工程が、該多数の第一のリザーバおよび該多数の第二のリザーバを、接着剤を用いて、該第一基板表面に接着する工程を含む、上記66記載の方法。
【0179】
70.
更に、該装置を硬化する工程を含む、上記66記載の方法。
71.
更に、組織接触層を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
72.
更に、流体吸収性材料を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
73.
更に、固定機構を、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
74.
更に、活性化材料製のリザーバを、該装置に結合する工程を含む、上記66記載の方法。
【0180】
75.
更に、1種またはそれ以上の活性薬剤を、該装置に組込む工程を含む、上記66記載の方法。
76.
生物組織の所定領域を処置する方法であって、該方法が、該生物組織の所定領域に所定の装置を適用する工程を含み、該装置が、
基板と結合した多数の第一のリザーバと、ここで該多数の第一のリザーバの内の選択されたリザーバが、還元剤を含み、かつ該多数の第一のリザーバの内の選択されたものの、第一リザーバ表面が、第一基板表面と近接しており、
該基板と結合した多数の第二のリザーバとを含み、ここで該多数の第二のリザーバの内の選択されたリザーバが、酸化剤を含み、かつ該多数の第二のリザーバの内の選択されたものの、第二リザーバ表面が、該第一基板表面と近接していることを特徴とする、上記方法。
77.
更に、該生物組織の所定領域に、活性化材料を適用する工程をも含む、上記76記載の方法。
78.
更に、該装置の表面に面している組織に、活性化材料を適用する工程をも含む、上記76記載の方法。
79.
更に、所定期間の間、該装置と該生物組織との近接状態を維持する工程をも含む、上記76記載の方法。
【0181】
80.
該装置が、更に固定機構を含み、かつ該方法が、更に該固定機構を利用して、該装置を該生物組織の所定領域に固定する工程をも含む、上記76記載の方法。
81.
該生物組織を、皮膚組織、上皮組織、視覚組織、耳の組織、粘膜組織、結合組織、筋肉組織、および神経組織からなる一群の組織型から選択する、上記76記載の方法。
82.
該生物組織の所定領域が、損傷した生物組織、炎症を持つ生物組織、疾患に罹患した生物組織、感染した生物組織、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生物組織を含む、上記76記載の方法。
83.
該生物組織の所定領域が、感染した外傷性病変、外科的切開、病巣、創傷、切り傷、刺し傷、破裂、擦過傷、裂傷、生検部位、レーザー治療後の皮膚、化学的に剥ぎ取られた後の皮膚、火傷、日焼け、凍傷、潰瘍、床擦れ、発疹、接触性皮膚炎、昆虫による咬傷、虫刺され、蛇による咬傷、および動物による咬み傷からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
84.
該生物組織の所定領域が、細菌感染、マイコバクテリウム属細菌による感染、酵母感染、真菌感染、ウイルス感染、瘢痕、アクネ、疱疹、魚の目、仮骨、皮膚紋画症、蕁麻疹、血管浮腫、乾癬、シュサ、疥癬、白癬、形成異常症、皮膚炎、膿瘡、アトピー性皮膚炎、汗疱、神経皮膚炎、汗疱状白癬、おでき、カルブンケル、フレグモーネ、単純ヘルペス、毛包炎、フルンケル症、インペチゴ、ジョック痒疹、軟属腫コンアギオスム、ヘルペス、ムーシャ-ハーベルマン病、輪癬、帯状疱疹、クロナマズ、紫外線角化症、イボ、そばかす、奇胎、異常色素沈着、脂肪腫、黒色腫、頭皮癌、皮膚癌、黒色表皮腫、水泡性類疱瘡、表皮水泡症、魚鱗癬、バラ色ヒコウ疹、環状肉芽腫、汗腺炎、光沢苔癬、扁平苔癬、斑状硬化症、強皮症、毛床嚢胞、壊疽性膿皮症、スチーブンス-ジョンソン症候群、血管腫、発汗症、体臭、セルカリア性皮膚炎、内方成長性足指の爪、および爪の真菌感染からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
【0182】
85.
該生物組織の所定領域が、口内酵母感染、膣酵母感染、麦粒腫、結膜炎、歯肉炎、口腔癌、癌性糜爛、および頚部癌からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
86.
該生物組織の所定領域が、白内障、虹彩炎、眼球黒色腫、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、結膜炎、麦粒腫、角膜移植術により障害を受けた組織、および屈折性視力障害手術により障害を受けた組織からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
87.
該生物組織の所定領域が、耳の感染、破壊された鼓膜、および耳の手術により障害を受けた組織からなる群から選択される、1種またはそれ以上の状態を含む、上記76記載の方法。
88.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、該装置に近接する該生物組織の所定領域の感染し易さを低減し、該感染を予防し、または該感染を低減する方法を含む、上記76記載の方法。
89.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、皮膚色素沈着、瘢痕、毛髪の喪失、毛髪の成長、不均一な皮膚の組織、最適でない皮膚の堅牢性、最適でない皮膚の弾力性、見掛けの皮膚の脈管系、ダークアイサークル、セルライト、最適でない皮膚の輝き、腫瘍、および皺からなる群から選択される様々な皮膚特性の外観を、低減しあるいは元に戻す方法を含む、上記76記載の方法。
【0183】
90.
生物組織の所定領域を治療する該方法が、該装置に近接する、該生物組織の所定領域内の細胞活性を変更する方法を含む、上記76記載の方法。
91.
該装置に近接する、該生物組織の所定領域内の細胞活性を変更する方法が、細胞の感応性を変調する方法、細胞分化を変調する方法、細胞の脱分化を変調する方法、細胞のアポトーシスを変調する方法、細胞の形態学的特徴を変調する方法、細胞機能を変調する方法、細胞活性を変調する方法、細胞の化学的活性を変調する方法、および細胞の挙動を変調する方法からなる群から選択される方法を含む、上記90記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物組織の所定領域を処置するための装置であって、該装置が、
基板表面を有する基板;
前記基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバが、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの第一リザーバ表面が前記基板表面上に配置され、かつ前記多数の第一のリザーバがリザーバの第一パターンを含む;
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバが、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第二のリザーバの第二リザーバ表面が前記基板表面上に配置され、かつ前記多数の第二のリザーバがリザーバの第一パターンと交互に配置されたリザーバの第二パターンを含み、第一リザーバと第二リザーバが交互に配置されていて、第一及び第二リザーバの交互配置が前記装置の活性表面を規定し、該活性表面が生物組織の前記所定領域と接触した状態で配置されるように適用される;
を含み、前記バインダ材料が導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入することを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
前記活性表面の大きさが、約1〜50cm2の範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各第一のリザーバが約2mmの第一の径を有し;
各第二のリザーバが約1mmの第二の径を有し;及び
隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が約0.5〜2.0mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が、前記隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの接触を妨げる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記多数の第一のリザーバのそれぞれが、前記還元剤及び前記バインダー材料の第一混合物を含み、前記第一混合物が約10〜40%の前記還元剤と残りの前記バインダー材料である第一混合物を含み;及び
前記多数の第二のリザーバのそれぞれが、前記酸化剤及び前記バインダー材料の第二混合物を含み、前記第二混合物が約10〜40%の前記酸化剤と残りの前記バインダー材料である第二混合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記基板の活性表面が可撓性であり、かつ、生物組織の所定領域に適用できるように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第一及び第二リザーバの交互配置が、前記導電性活性化材料の存在下、活性化表面を横切る多重電流の形式で、電流を発生する多数のガルバニ電池を構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記多数の第一のリザーバのそれぞれが約1mmの径を有し、前記多数の第二のリザーバのそれぞれが約0.5mmの径を有し、隣接する前記多数の第一リザーバと前記多数の第二リザーバの周囲間の横方向の間隔が約1mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記多数の第一のリザーバが、前記還元剤を含む第一流体から形成され;及び、前記多数の第二のリザーバが、前記酸化剤を含む第二流体から形成され;各第一及び第二流体が基板表面と接触する位置に印刷される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、創傷用包帯を含み、及び生物組織の所定領域が損傷した組織を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
損傷した組織の所定領域を処置するための装置であって、該装置が、
基板表面を有する基板;
前記基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバのそれぞれが、還元剤の第一の質量及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの第一リザーバ表面が前記基板表面に近接している;及び
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバのそれぞれが、酸化剤の第二の質量及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記還元剤の第一の質量が前記酸化剤の第二の質量の約2倍であり、前記多数の第二のリザーバの第二リザーバ表面が前記基板表面に近接しており、かつ前記多数の第一及び第二のリザーバが前記装置の活性表面を規定し、前記活性表面が前記損傷した組織の所定領域と接触して配置されている;
を含み、前記多数の第一及び第二のリザーバ中の前記バインダ材料が、導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が前記損傷した組織の所定領域に侵入することを特徴とする、前記装置。
【請求項12】
前記活性表面の大きさが、約1〜50cm2の範囲にある、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記基板の活性表面が可撓性であり、かつ、損傷した組織の所定領域に適用できるように適合される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記多数の第一のリザーバがリザーバの第一パターンを含み、前記多数の第二のリザーバがリザーバの第一パターンと交互に配置されたリザーバの第二パターンを含み、前記装置の活性表面を規定する第一と第二リザーバが交互に配置されていて、前記第一及び第二リザーバの交互配置が、前記導電性活性化材料の存在下、活性化表面を横切る多重電流の形式で、電流を発生する多数のガルバニ電池を構成する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記第一のリザーバのそれぞれが約2mmの第一の径を有し;
前記第二のリザーバのそれぞれが約1mmの第二の径を有し;及び
隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が約0.5〜2.0mmである、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、該装置が、
基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバの選択されたものが、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの選択された第一リザーバ表面が前記基板表面に近接している;
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバの選択されたものが、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第二のリザーバの選択された第二リザーバ表面が前記基板表面上に近接している;及び
導電性活性化材料、ここで該導電性活性化材料と前記第一及び第二のリザーバとの接触が、前記装置の活性表面を規定し、前記活性表面が生物組織の所定領域と接触した状態で配置されるように適用され、及び前記バインダ材料が前記導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、前記第一のリザーバの表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入する、
を含むことを特徴とする、前記装置。
【請求項1】
生物組織の所定領域を処置するための装置であって、該装置が、
基板表面を有する基板;
前記基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバが、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの第一リザーバ表面が前記基板表面上に配置され、かつ前記多数の第一のリザーバがリザーバの第一パターンを含む;
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバが、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第二のリザーバの第二リザーバ表面が前記基板表面上に配置され、かつ前記多数の第二のリザーバがリザーバの第一パターンと交互に配置されたリザーバの第二パターンを含み、第一リザーバと第二リザーバが交互に配置されていて、第一及び第二リザーバの交互配置が前記装置の活性表面を規定し、該活性表面が生物組織の前記所定領域と接触した状態で配置されるように適用される;
を含み、前記バインダ材料が導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入することを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
前記活性表面の大きさが、約1〜50cm2の範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各第一のリザーバが約2mmの第一の径を有し;
各第二のリザーバが約1mmの第二の径を有し;及び
隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が約0.5〜2.0mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が、前記隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの接触を妨げる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記多数の第一のリザーバのそれぞれが、前記還元剤及び前記バインダー材料の第一混合物を含み、前記第一混合物が約10〜40%の前記還元剤と残りの前記バインダー材料である第一混合物を含み;及び
前記多数の第二のリザーバのそれぞれが、前記酸化剤及び前記バインダー材料の第二混合物を含み、前記第二混合物が約10〜40%の前記酸化剤と残りの前記バインダー材料である第二混合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記基板の活性表面が可撓性であり、かつ、生物組織の所定領域に適用できるように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第一及び第二リザーバの交互配置が、前記導電性活性化材料の存在下、活性化表面を横切る多重電流の形式で、電流を発生する多数のガルバニ電池を構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記多数の第一のリザーバのそれぞれが約1mmの径を有し、前記多数の第二のリザーバのそれぞれが約0.5mmの径を有し、隣接する前記多数の第一リザーバと前記多数の第二リザーバの周囲間の横方向の間隔が約1mmである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記多数の第一のリザーバが、前記還元剤を含む第一流体から形成され;及び、前記多数の第二のリザーバが、前記酸化剤を含む第二流体から形成され;各第一及び第二流体が基板表面と接触する位置に印刷される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、創傷用包帯を含み、及び生物組織の所定領域が損傷した組織を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
損傷した組織の所定領域を処置するための装置であって、該装置が、
基板表面を有する基板;
前記基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバのそれぞれが、還元剤の第一の質量及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの第一リザーバ表面が前記基板表面に近接している;及び
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバのそれぞれが、酸化剤の第二の質量及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記還元剤の第一の質量が前記酸化剤の第二の質量の約2倍であり、前記多数の第二のリザーバの第二リザーバ表面が前記基板表面に近接しており、かつ前記多数の第一及び第二のリザーバが前記装置の活性表面を規定し、前記活性表面が前記損傷した組織の所定領域と接触して配置されている;
を含み、前記多数の第一及び第二のリザーバ中の前記バインダ材料が、導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、第一のリザーバの第一リザーバ表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの第二リザーバ表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が前記損傷した組織の所定領域に侵入することを特徴とする、前記装置。
【請求項12】
前記活性表面の大きさが、約1〜50cm2の範囲にある、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記基板の活性表面が可撓性であり、かつ、損傷した組織の所定領域に適用できるように適合される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記多数の第一のリザーバがリザーバの第一パターンを含み、前記多数の第二のリザーバがリザーバの第一パターンと交互に配置されたリザーバの第二パターンを含み、前記装置の活性表面を規定する第一と第二リザーバが交互に配置されていて、前記第一及び第二リザーバの交互配置が、前記導電性活性化材料の存在下、活性化表面を横切る多重電流の形式で、電流を発生する多数のガルバニ電池を構成する、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記第一のリザーバのそれぞれが約2mmの第一の径を有し;
前記第二のリザーバのそれぞれが約1mmの第二の径を有し;及び
隣接する前記第一のリザーバと前記第二のリザーバの周囲間の横方向の間隔が約0.5〜2.0mmである、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、該装置が、
基板と結合した多数の第一のリザーバ、ここで前記多数の第一のリザーバの選択されたものが、還元剤及び該還元剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第一のリザーバの選択された第一リザーバ表面が前記基板表面に近接している;
前記基板と結合した多数の第二のリザーバ、ここで前記多数の第二のリザーバの選択されたものが、酸化剤及び該酸化剤と結合したバインダ材料を含み、前記多数の第二のリザーバの選択された第二リザーバ表面が前記基板表面上に近接している;及び
導電性活性化材料、ここで該導電性活性化材料と前記第一及び第二のリザーバとの接触が、前記装置の活性表面を規定し、前記活性表面が生物組織の所定領域と接触した状態で配置されるように適用され、及び前記バインダ材料が前記導電性活性化材料の存在により分解し、前記バインダ材料が分解するにつれて、前記第一のリザーバの表面に還元剤が露出し、かつ第二のリザーバの表面に酸化剤が露出し、前記活性表面中の隣接する第一及び第二リザーバの間に電流を発生し、該電流が生物組織の所定領域に侵入する、
を含むことを特徴とする、前記装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
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【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2012−161613(P2012−161613A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30805(P2012−30805)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2006−554259(P2006−554259)の分割
【原出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(506282252)ヴォマリス イノヴェイションズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2006−554259(P2006−554259)の分割
【原出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(506282252)ヴォマリス イノヴェイションズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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