説明

電池パック

【課題】非水電解質電池の組電池を電子伝導性の筐体に収容した電池パックに関するものであって、非水電解質電池の容器の腐食を防止することを目的とする。
【解決手段】アルミニウムもしくはアルミニウム合金の層8を備えたラミネートフィルム製で、周縁の少なくとも一部に封止部を有する容器4と、前記容器4内に収納され、リチウム吸蔵電位(開回路)がリチウム金属電位に対して0.4V以上となる負極活物質を含む電極群17とを具備する複数の扁平型非水電解質電池が直列接続されたユニットを備える組電池2と、前記組電池2が収容される電子伝導性の筐体1とを具備する電池パックであって、前記容器4の封止部の端面のうち前記筐体の壁面と対向する部分21a,21bが、前記筐体1から絶縁されていることを特徴とする電池パック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の薄型小型化に伴い、電池およびモジュール(組電池)の薄型小型化が強く望まれている。電極群(例えば、積層型、捲回型など)をラミネートフィルム製容器などの薄型外装部材に収納した扁平型電池は、そのような観点から有利な構成を持つ電池と考えられる。ラミネートフィルムは、Al箔などの金属層およびヒートシールのための高分子樹脂層を用いて作製されたフィルムであり、新しいタイプの電池外装部材として注目されている。この種の電池に用いられるラミネートフィルムには、余分な非機能部品の体積を減らしスペース効率を高くして機器の薄型小型に対応させると言う要求と、電池内部への外気の侵入や電池内の電解液の漏洩を起こさないようにシール信頼性を確保する要求があった。
【0003】
電池モジュール(組電池)については、スペース上、電池を数個積み重ねて構成されることが望ましい。その際、単電池同士を直接積み重ねるのではなく、金属製の筐体に電池を密に収納することにより、組電池のスペース効率と剛性を高めることが検討されている。
【0004】
しかしながら、金属製の筐体を用いた組電池には、使用中に、ラミネートフィルム製容器に穴が開く恐れがあることがわかった。そこで、金属製の筐体の代りに絶縁性の樹脂製筐体を用いたところ、同じ板厚では組電池の剛性が金属製筐体を用いた場合に比べて低くなった。同じ剛性を保つために板厚を厚くする方法は容易に想像できるが、薄型小型化に逆行し、組電池のサイズが大きくなる。
【0005】
ところで、特許文献1には、ラミネート型電池のラミネートシートの破損を防止するため、長辺側の熱融着部を保護部材で覆うことが記載されている。また、特許文献2には、ラミネート外装材の封止部の外縁端面に撥水性物質を塗布することにより、外装材への外部からの水分浸入を低減し、封止部の面積を低減することで電池の体積エネルギー密度を増加させることが開示されている。
【0006】
一方、特許文献3は、ポリマー電池を単電池のままケーシングに収納した薄型バッテリーパックに関するものである。薄型バッテリーパックを容器やバッグ等に収納する際、金属片等が負極の出力端子とケーシングの金属板とを電気的に接続することがある。このため、ポリマー電池の外装フィルムのアルミニウム箔がケーシングの金属板と接触していると、ポリマー電池の負極のリチウムと外装フィルムのアルミニウムとが反応してアルミニウムとリチウムの合金が生成することがある。この合金は水と反応してアルミニウムを腐食させる。そこで、特許文献3では、ケーシングの絶縁枠体に絶縁リブを設け、外装フィルムの切断端面とケーシングの金属板とを絶縁リブで絶縁することにより、ポリマー電池の外装フィルムのアルミニウム箔の腐食を防止している。
【特許文献1】特開2005−116278
【特許文献2】特開2005−196979
【特許文献3】特開2005−347156
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、非水電解質電池の組電池を電子伝導性の筐体に収容した電池パックに関するものであって、非水電解質電池の容器の腐食を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池パックは、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の層を備えたラミネートフィルム製で、周縁の少なくとも一部に封止部を有する容器と、前記容器内に収納され、リチウム吸蔵電位(開回路)がリチウム金属電位に対して0.4V以上となる負極活物質を含む電極群とを具備する複数の扁平型非水電解質電池が直列接続されたユニットを備える組電池と、
前記組電池が収容される電子伝導性の筐体と
を具備する電池パックであって、
前記容器の封止部の端面のうち前記筐体の壁面と対向する部分が、前記筐体から絶縁されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子伝導性の筐体を用いつつ、組電池を構成する非水電解質電池の容器の腐食を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
前述した特許文献3に記載の薄型バッテリーパックにおいてポリマー電池の外装フィルムに腐食が生じる原因をさらに詳しく調べたところ、ポリマー電池の負極に炭素材料を使用していることが原因であることがわかった。外装フィルムのアルミニウム箔がケーシングの金属板を介して負極端子と電気的に接続されると、外装フィルムのアルミニウム箔の電位が負極電位とほぼ等しくなる。負極に炭素材料を使用している場合、負極端子との接続により外装フィルムのアルミニウム箔の電位は0V(vs.Li/Li+)に近くなるため、リチウムとの合金化反応が生じるのである。よって、負極活物質のリチウム吸蔵電位(開回路)がリチウム金属電位に対して0.4V以上の場合、負極端子との電気的接続により外装フィルムのアルミニウム箔の電位は負極電位と同じ0.4V以上となるだけで、合金化反応の電位には達しない。
【0011】
しかしながら、リチウム吸蔵電位がリチウム金属電位に対して開回路電位で0.4V以上となる負極活物質を使用していても、組電池の場合には、単電池に用いられる容器に腐食を生じた。本発明者らは、この腐食の原因を究明することによって、電子伝導性の筐体を用いながらも容器の腐食が起こらない組電池を実現した。腐食の原因を図15を参照しながら説明する。
【0012】
ラミネートフィルム製容器41の一辺から正極端子42及び負極端子43が引き出された扁平型非水電解質電池40の組電池を例に挙げる。この組電池は、複数(例えば3個)の扁平型非水電解質電池401〜403が直列に接続されたものである。容器41を構成するラミネートフィルムは、Al層44と、Al層44の一方の面に形成された熱可塑性樹脂層(例えばポリエチレン層)45と、Al層44の他方の面に形成された絶縁層(例えばナイロン層)46とを備えるものである。ラミネートフィルムを熱可塑性樹脂層45を用いたヒートシールにより封止することにより、ラミネートフィルム製容器41が得られる。ラミネートフィルム製容器41の周縁には、ヒートシールにより形成された封止部が存在する。図15には図示していないが、組電池は、金属のような電子伝導性の筐体に収納されている。
【0013】
ヒートシールの条件によっては、ヒートシールの際に熱可塑性樹脂層45の溶融が進み、ラミネートフィルムの表面にAl層が露出して負極端子43と接触することがある。その結果、例えば電池401において、Aに示すような電気的なパスが形成されるため、ラミネートフィルムのAl層の電位が負極電位とほぼ等しくなる。ラミネートフィルム製容器の端面は、筐体と接しているため、電池401〜403のラミネートフィルムのAl層が筐体を介して電気的に接続され、電池401〜403のラミネートフィルムのAl層間にBに示す電気的なパスが形成される。これにより、電池401〜403のAl層の電位が全て等しくなるのではなく、電池401よりも電池402、電池402よりも電池403のAl層の電位がより卑な電位となる。その結果、電池403のAl層の電位がリチウム析出電位に近づき、電池403のAl層がリチウムと反応するため、ラミネートフィルムのAl層に穴が開く恐れが生じる。ラミネートフィルムのAl層に穴が開くと、外部から浸入してきた水分と電解質が反応することにより、フッ化水素(HF)及びフッ素イオンが生成する。また、Al層とリチウムとの反応により生成した合金又はLiが、水分と反応することにより、水素ガスを発生すると共に、LiOHが析出する。
【0014】
ラミネートフィルム製容器の封止部の端面のうち筐体の壁面と対向する部分を、筐体から絶縁することによって、電子伝導性を持つ筐体を用いながらも、直列接続された電池間の容器のAl層同士を確実に絶縁することができる。その結果、組電池を構成する非水電解質電池の容器に穴が開くのが防止される。絶縁処理は、容器あるいは筐体のうちいずれに施しても良いが、例えば、筐体の壁面と対向する封止部端面を絶縁部材で被覆したり、端面が筐体の壁面と対向する封止部を折り返す等の手法を挙げることができる。
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る電池パックを図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に示すように、第1の実施形態に係る電池パックは、電子伝導性を有する筐体1と、筐体1内に収納された組電池2とを備える。筐体1は、矩形の筒状で、内部が仕切板1a,1bによって3つの空間に仕切られている。各空間には、扁平型非水電解質電池31〜33がそれぞれ収納されている。筐体1を構成する電子伝導性材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどの金属を挙げることができる。組電池の軽量化の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金が望ましい。金属製の筐体は、組電池の幅や厚みが増加するのを抑制して電池パックを十分に小型化して体積エネルギー密度を高くすることができる。また、筐体の剛性が高くなるため、電池パックの落下及び振動に対する強度も大きくすることができる。筐体の板厚は、組電池を構成するセルの数量にもよるが、0.2mm〜2mmの範囲が望ましい。
【0017】
扁平型非水電解質電池31〜3は、図3に示すように、ラミネートフィルム製容器4の一方の短辺から帯状の正極端子5及び負極端子6が引き出されている。正負極端子5,6には、例えばアルミニウムが用いられる。図1,2に示すように、扁平型非水電解質電池31の正極端子5と扁平型非水電解質電池32の負極端子6、扁平型非水電解質電池32の正極端子5と扁平型非水電解質電池33の負極端子6がそれぞれタブ7によって接続されることによって、扁平型非水電解質電池31〜3は直列に接続され、組電池(モジュール)となる。
【0018】
図4に示す通り、容器4を構成するラミネートフィルムは、AlもしくはAl合金からなる防湿を目的とした金属層8と、金属層8の一方の面に接着層9で固定された熱可塑性樹脂層10と、金属層8の他方の面に接着層11で固定された絶縁層15から構成されている。Al合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などから選択される少なくとも1種類の元素を含む合金が好ましい。絶縁層15は、1種類の樹脂から構成されていても、複数の樹脂フィルムを接着層で張り合わせた多層構造を有していても良い。図4の場合、絶縁層15は、ナイロンフィルム12とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム13を接着層14で張り合わせたものからなる。PETフィルム13が、容器4の表面を構成する。熱可塑性樹脂層10には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが使用される。熱可塑性樹脂層10が容器4の内面を構成する。ラミネートフィルムの厚さのより好ましい範囲は、0.5mm以下である。また、ラミネートフィルムの厚さの下限値は、0.01mmにすることが望ましい。
【0019】
容器4は、図5に示す通りに、ラミネートフィルムに絞り加工や加圧成形などにより矩形の凹部16を形成したものである。容器4は二つ折りにされ、一方の凹部16内に電極群(電池素子)17が収納される。平板状の他方は蓋体18として機能する。凹部16の長辺方向側の縁部と蓋体18とは、熱可塑性樹脂層10の熱融着により接合され、これにより容器4の長辺方向側の端部に封止部19a、19bが形成される。凹部16の短辺方向側の縁部と蓋体18との間には、正極端子5及び負極端子6が位置し、正極端子5及び負極端子6は、縁部と対向する部分と蓋体18と対向する部分が絶縁フィルム20で被覆されている。このように正負極端子5,6と絶縁フィルム20が間に挟まった状態で縁部と蓋体18とが熱可塑性樹脂層10の熱融着により接合された結果、容器4の短辺方向側の一端部に封止部19cが形成される。なお、絶縁フィルム20は、正負極端子5,6と容器4との間を確実に密閉させるために設けられるもので、例えば、変性ポリエチレン(PE)と高密度ポリエチレン(HDPE)との2層体を用いることができる。
【0020】
電極群(電池素子)17には、例えば、帯状の正極と負極の間にゲル電解質層からなるセパレータを介在させて渦巻き状に捲回されたものや、板状の正極と負極がゲル電解質層からなるセパレータを介在させて多数積層されたものが用いられる。正極は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一方の面に形成された正極活物質含有層とを備える。正極端子5は、正極の正極集電体と電気的に接続されている。負極は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の面に形成された負極活物質含有層とを備える。負極端子6は、負極の負極集電体と電気的に接続されている。
【0021】
なお、構成部には公知の材料を用いることができる。例えば、正極は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と導電剤として黒鉛粉末と結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを含む正極活物質含有層と、アルミニウム(Al)箔などの正極集電体とによって構成することができる。
【0022】
負極は、リチウム金属の開回路電位に対して開回路電位で0.4V以上のリチウム吸蔵電位を有する負極活物質粉末と導電剤として炭素粉末と結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを含む負極活物質含有層と、アルミニウム(Al)箔などの負極集電体とによって構成することができる。リチウム吸蔵電位のさらに好ましい範囲は、リチウム金属の開回路電位に対して開回路電位で0.4V以上、3V以下である。さらに好ましい電位範囲は、0.4V以上、2V以下である。0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属酸化物としては、例えばTiO2などのチタン酸化物、例えばLi4+xTi512(xは−1≦x≦3)やLi2Ti37などのリチウムチタン酸化物、例えばWO3などのタングステン酸化物、例えばSnB0.40.63.1などのアモルファススズ酸化物、例えばSnSiO3などのスズ珪素酸化物、例えばSiOなどの酸化珪素などが挙げられる。0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属硫化物としては、例えばTiS2などの硫化リチウム、例えばMoS2などの硫化モリブデン、例えばFeS、FeS2、LixFeS2などの硫化鉄等が挙げられる。0.4V以上、3V以下の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な金属窒化物としては、例えばLixCoyN(0<x<4,0<y<0.5)などのリチウムコバルト窒化物等が挙げられる。特に、リチウムチタン酸化物を負極活物質に用いるのが好ましい。
【0023】
非水電解質としては、例えば、EC(エチレンカーボネート)とGBL(γ−ブチロラクトン)の混合有機溶媒にリチウム塩のLiBF4を溶解させた非水電解質が用いられる。セパレータには、例えば、ポリエチレンなどの材料を主成分とする多孔質薄膜が用いられる。
【0024】
熱融着によって形成された封止部19a,19b,19cのうち長辺方向側の封止部19a,19bは、図3に示す折り目(X)に沿って上方(凹部16のある方を上面とする)に折り曲げられる。その結果、組電池2を筐体1内に収納した際に、封止部19a,19bの端面21a、21bが筐体1の壁面と対向する。この端面21a、21bを絶縁部材で被覆する方法を図6〜図9を参照して説明する。
【0025】
絶縁部材を塗布法により形成する場合を図6を参照して説明する。ディスペンサ22をXYZ軸アクチュエータ(三次元スライダ)に取り付け、ディスペンサ22を矢印に示す方向に移動させつつ、ディスペンサ22内の絶縁剤23を定量塗出し、封止部端面21a、21bに塗布する。絶縁剤の材質や構成は特に限定しないが耐有機溶剤性と難燃性を有するシリコン樹脂を使用することができる(絶縁剤は特に限定しない)。このような絶縁方法であれば、ラミネートフィルムの端面に直接塗布する代りに、筐体の壁面に塗布することもでき、場所を選ばず確実に絶縁することができる。
【0026】
絶縁部材を浸漬法により形成する場合を図7を参照して説明する。80℃以下の低温で溶融するエラストマ(絶縁剤)24の中に封止部端面を浸漬することによって、封止部端面を絶縁部材で被覆する。低温下であっても溶融したエラストマ内に5秒以上浸けないようにすることが望ましい。また、図7に示すように封止部19a,19bを折り曲げる前に浸漬しても、封止部19a,19bを折り曲げた後に浸漬しても良い。浸漬法によると、封止部端面の形状に囚われることなく封止部全体を確実に絶縁できる。また、絶縁材料の粘度によっては、絶縁部材を薄く形成することが可能である。
【0027】
図8は、絶縁テープあるいは絶縁紙を絶縁部材として使用する例である。例えば、幅6mmの絶縁テープ25を電池の長さと同じ40mmにカットし、半分に折って封止部端面21a,21bを覆うように貼り付ける。テープの材質は、耐有機溶剤性と難燃性を有するものであれば、特に限定しない。また、難燃性のある高耐熱絶縁紙であるアラミド紙を使用しても絶縁テープと遜色無く、確実に、安価に、かつ電池の体積を大きく増加させることなく絶縁ができる。このような絶縁方法であれば、標準化されている部品で安価に入手でき貼り付けも容易に確実に絶縁できる。もっともポピュラーな方法である。
【0028】
図9は、予め所望の形状に加工された構造体を絶縁部材として用いる例である。例えば、封止部が挿入される溝部26aを有するコの字型の構造体26は、組電池の補強材となり、組電池の剛性が高くなるため、他の方法に比べ組電池の耐振動性能と耐衝撃性能を高めることができる。その反面、絶縁構造体により組電池の体積エネルギー密度が低下する恐れがある。この場合には、構造体を薄い高分子フィルムから形成することで解消できる。構造体を形成する材料は、耐有機溶剤性と難燃性を有することが望ましい。
【0029】
上述の方法により封止部端面を絶縁部材で被覆した後、非水電解質電池を前述した図2に示すように直列に接続し、得られた組電池を筐体1内に収納する。封止部端面と筐体壁面との間に絶縁部材が介在されているため、直列に接続された非水電解質電池間の容器同士が確実に絶縁される。その結果、容器の金属層のAlがセル内に溶け出し(析出)、容器に穴が開くのを防止することができる。
【0030】
第1の実施形態に係る電池パックにおいて、非水電解質電池が直列接続したユニットの数は一つに限らず、複数備えていても良い。直列接続ユニット間を並列に接続することも可能である。さらに、非水電解質電池を並列に接続したユニットを備えることもできる。また、この電池パックには、保護回路基板などの必要な電子部品を備えることができる。
【0031】
なお、前述した図1には、筒状の筐体を例示したが、筐体の形状はこれに限らず、例えば、筐体の一方の開口部を底板で塞いだものを使用しても良い。
【0032】
また、前述した図1では、容器の三辺に封止部が形成された例を説明したが、容器の四辺全ての辺に封止部を形成しても良い。この場合、長辺側封止部だけでなく、短辺側封止部(但し、正負極端子が引き出されていない方の封止部)の端面にも絶縁部材を被覆することが望ましい。
【0033】
前述した図1では、正極端子と負極端子を容器の同じ辺から引き出したが、正極端子が引き出される辺と負極端子が引き出される辺が異なっていても良い。例えば、負極端子の引き出し方向を正極端子の引き出し方向と反対向きにすることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る電池パックは、封止部端面の絶縁方法が異なること以外は、前述した第1の実施形態に係る電池パックと同様な構成を有する。
【0035】
図10に示す通りに、端面が筐体の壁面と対向する封止部19a,19bを折り返すことによって、封止部端面を筐体から絶縁することができる。例えば、封止部の幅が6mmの場合、半分の3mmを一回目の曲げ起点Yとして封止部を折り曲げる。二回目の曲げ起点Zは、封止部の境界とする。このように二回折り曲げると、ラミネートの封止部端面21a,21bが内側に折れ込むため、他の電池のラミネート封止部端面と電気的に接触する(導通する)ことが無くなる。
【0036】
封止部端面への絶縁処理は、直接電池に施す代りに、筐体に施すことも出来る。どこに、どの工程で絶縁するかは特に限定されるものではない。
【0037】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る電池パックは、電池を平置きに配置した状態で直列に接続した組電池を備えている。
【0038】
図11及び図12に示す通りに、扁平型非水電解質電池31〜33は、平置きにされている。扁平型非水電解質電池31〜33において、長辺側の封止部は折り曲げられており、長辺側封止部の端面は絶縁テープ25で被覆されている。絶縁方法は、絶縁テープに限定されるものではなく、第1、第2の実施形態で説明した方法を採用することができる。扁平型非水電解質電池31の正極端子5と扁平型非水電解質電池32の負極端子6が、扁平型非水電解質電池32の正極端子5と扁平型非水電解質電池33の負極端子6がそれぞれアルミニウム製タブ27によって接続されることにより、扁平型非水電解質電池31〜33は直列に接続されている。組電池のサイズは、例えば、約70mm×130mm×6mmにすることができる。扁平型非水電解質電池31の負極端子6と扁平型非水電解質電池33の正極端子5は、保護回路基板(PCM)28に接続されている。
【0039】
電子伝導性の筐体は、下ケース(材質:アルミニウム板 板厚1.0mm)29と上ケース(材質:アルミニウム板 板厚1.0mm)30とを備える。組電池は、下ケース29の内面に粘着テープで固定されている。上ケース30は下ケース29に、はめ込みねじ止めされている。電池パックのサイズは、組電池の容量等に依存して変動するものであるが、例えば、約220mm×180mm×8mmにすることができる。
【0040】
下ケースと上ケースの材質は、アルミニウムに限らず、第1の実施形態で説明したのと同様な種類の金属を使用することができる。また、下ケースと上ケースの板厚は、組電池を構成するセルの数量にもよるが、0.2mm〜2mmの範囲が望ましい。
【0041】
第3の実施形態に係る電池パックにおいて、非水電解質電池を直列接続したユニットの数は一つに限らず、複数備えていても良い。直列接続ユニット間を並列に接続することも可能である。さらに、非水電解質電池を並列に接続したユニットを備えることもできる。
【0042】
また、前述した図11では、容器の三辺に封止部が形成された例を説明したが、容器の四辺全ての辺に封止部を形成しても良い。この場合、長辺側封止部だけでなく、短辺側封止部(但し、正負極端子が引き出されていない方の封止部)の端面も筐体から絶縁することが望ましい。
【0043】
第1〜第3の実施形態では、非水電解質電池を積層するか、あるいは平置きするかのいずれかにより組電池を構成したが、非水電解質電池が積層されたユニットと、非水電解質電池が平置きされたユニットが混在していても良い。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態に係る電池パックを示す斜視図。
【図2】図1の電池パックの分解斜視図。
【図3】図1の電池パックを構成する扁平型非水電解質電池を示す斜視図。
【図4】図3の扁平型非水電解質電池の容器を構成するラミネートフィルムを示す断面図。
【図5】図3の扁平型非水電解質電池の分解斜視図。
【図6】封止部端面に絶縁部材を塗布法により形成する方法を説明するための斜視図。
【図7】封止部端面に絶縁部材を浸漬法により形成する方法を説明するための斜視図。
【図8】封止部端面を絶縁紙もしくは絶縁テープからなる絶縁部材で被覆する方法を説明するための斜視図。
【図9】封止部端面を構造体からなる絶縁部材で被覆する方法を説明するための斜視図。
【図10】封止部を折り返す方法を説明するための斜視図。
【図11】第3の実施形態に係る電池パックを示す斜視図。
【図12】図11の電池パックの組立工程(絶縁処理)を示す斜視図。
【図13】図11の電池パックの組立工程(保護回路基板装着)を示す斜視図。
【図14】図11の電池パックの組立工程(筐体への収納)を示す斜視図。
【図15】組電池を構成する単位セルの容器に穴が開くメカニズムを説明するための模式図。
【符号の説明】
【0046】
1…筐体、2…組電池、31〜33…非水電解質電池、4…容器、5…正極端子、6…負極端子、7,27…タブ、8…金属層、9,11,14…接着層、10…熱可塑性樹脂層、12…ナイロンフィルム、13…PETフィルム、15…絶縁層、16…凹部、17…電極群、18…蓋体、19a,19b,19c…封止部、20…絶縁フィルム、21a,21b…封止部端面、23,24…絶縁剤、25,26…絶縁部材、28…保護回路基板、29…下ケース、30…上ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムもしくはアルミニウム合金の層を備えたラミネートフィルム製で、周縁の少なくとも一部に封止部を有する容器と、前記容器内に収納され、リチウム吸蔵電位(開回路)がリチウム金属電位に対して0.4V以上となる負極活物質を含む電極群とを具備する複数の扁平型非水電解質電池が直列接続されたユニットを備える組電池と、
前記組電池が収容される電子伝導性の筐体と
を具備する電池パックであって、
前記容器の封止部の端面のうち前記筐体の壁面と対向する部分が、前記筐体から絶縁されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記筐体の壁面と対向する封止部端面が絶縁部材で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記絶縁部材は、絶縁剤の塗布もしくは絶縁剤への浸漬により形成されるか、絶縁紙もしくは絶縁テープあるいは構造体からなることを特徴とする請求項2記載の電池パック。
【請求項4】
端面が前記筐体の壁面と対向する封止部が折り返されていることを特徴とする請求項1記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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