説明

電池内部インピーダンス計測装置

【課題】装置の小型化および簡略化が図れるとともに、安定して電池の内部インピーダンス計測値を得る。
【解決手段】機器に接続した電池BTに交流電流を流し、電池BTに発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池BTの内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置10は、電池BTに流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、所定の周波数帯域内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて電池BTに流して当該電池BTの内部インピーダンスを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池内部インピーダンス計測装置に係り、特に蓄電池などの電池に交流電流を流して当該電池の内部インピーダンスを計測する電池内部インピーダンス計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流四端子計測法を用いた電池内部インピーダンス計測装置の多くは、電池に交流電流を流し、それにより発生する起電力を交流電圧計で計測して、インピーダンスZを次式により求めていた。
Z=V/I
ここで、Vは計測した交流電圧値、Iは交流電流値である。
ところで、電池には、充電器や負荷などが接続され、負荷電流が一定でない場合には、電池には交流ノイズとしての脈流電流が流れることとなっていた。
電池内部インピーダンス計測においては、この電池に流れる脈流電流の周波数成分と、計測交流電流の周波数成分とを区別するために、計測交流電流の周波数成分のみを通過させるフィルタを設けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−175687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インピーダンス計測電流の周波数成分と脈流電流の周波数成分との周波数帯域が近いと、脈流電流の周波数成分をフィルタにより完全に除去することは困難であるため、内部インピーダンス計測における計測誤差を生じる原因となっていた。
この不具合を解決するため、交流電圧計測部では、計測電流成分のみを通過させるように、できる限り通過帯域の狭く、減衰傾度が急峻なフィルタを用いることが考えられる。
このようなフィルタとしては、アナログフィルタとデジタルフィルタを組み合わせて構成することが可能である。
また、ノイズとしての脈流電流の影響を少なくする手法としては、第1の手法として、脈流電流よりも比較的大きな計測電流として流して電池の内部インピーダンス計測を行うことが考えられる。
【0005】
また、第2の手法としては、脈流電流の周波数を予め計測し、脈流電流の周波数成分とは異なる周波数成分を有する計測電流を流して電池の内部インピーダンス計測を行うことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、第1の手法の場合には、大きな電流を流すために計測装置が大型化し、コストが増大してしまうと言う問題点が生じる。
また、第2の手法の場合には、回路構成が複雑になるとともに、計測対象の電池の周波数特性により、インピーダンス計測値が異なってしまうと言う問題点が生じる。
そこで、本発明の目的は、装置の小型化および簡略化が図れるとともに、安定して電池の内部インピーダンス計測値を得ることが可能な電池内部インピーダンス計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、機器に接続した電池に交流電流を流し該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、前記電池に流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、所定の周波数帯域内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて前記電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めることを特徴とする。
上記構成によれば、所定の周波数帯域内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めるので、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その影響を低減して内部インピーダンスを求めることができる。
【0007】
本発明の第2態様は、第1態様において、前記周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする。
上記構成によれば、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その影響が平均化されて、計測誤差を抑制することができる。
【0008】
本発明の第3態様は、第1態様において、前記周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値と前記周波数毎に算出した内部インピーダンスとの差が所定値以内の内部インピーダンス値の平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする。
上記構成によれば、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その可能性の高い内部インピーダンスの算出結果を除いて内部インピーダンスを求めるため、よりいっそう計測誤差を抑制することができる。
【0009】
本発明の第4態様は、機器に接続した電池に交流電流を流し該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、前記電池に流す交流電流の周波数を複数の周波数の間で順次切り替える機能を備え、当該交流電流の周波数を前記複数の周波数の間で繰り返し切り替えて前記電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めることを特徴とする。
上記構成によれば、当該交流電流の周波数を前記複数の周波数の間で繰り返し切り替えて前記電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めるので、いずれか一方の周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その影響を低減して内部インピーダンスを求めることができる。
【0010】
本発明の第5態様は、第4態様において、前記周波数を切り替える毎に内部インピーダンスを算出し、最新に算出した複数の内部インピーダンスのうち、所定の基準内部インピーダンスとの差が小さい内部インピーダンスを複数選択し、選択した内部インピーダンスの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする。
上記構成によれば、最新に算出した複数の内部インピーダンスのうち、所定の基準内部インピーダンスとの差が小さい内部インピーダンスを複数選択し、選択した内部インピーダンスの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとして、求めるため、安定して電池内部インピーダンスを計測することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置の小型化および簡略化が図れるとともに、機器の影響を極力排除して、安定して電池の内部インピーダンス計測値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】実施形態の内部インピーダンス計測装置の概要構成ブロック図である。
【図3】第1実施形態の動作処理フローチャートである。
【図4】内部インピーダンス算出処理の処理フローチャートである。
【図5】第2実施形態の処理フローチャートである。
【図6】第3実施形態の電池内部インピーダンス計測装置の概要構成ブロック図である。
【図7】第3実施形態の処理フローチャートである。
【図8】電池内部インピーダンス値(内部抵抗値)の計測回数に対する変位を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の原理について説明する。
図1は、本発明の原理説明図である。
電池に印加される交流ノイズ電流の周波数成分は、接続される機器(負荷あるいは充電器)によって異なっている。例えば、機器としての充電器に接続されるような場合、図1に示すように、電源周波数(例えば、50Hz)およびその整数倍の周波数(100Hz、150Hz、……)に分布していることが多い。
【0014】
このようなノイズ環境下で、交流ノイズ電流の周波数と同じ周波数(例えば、100Hz)の周波数を有する計測用交流電流を流して計測を行った場合、交流ノイズ電流と計測用交流電流とが重畳されることとなり、ノイズ電流も計測用交流電流として観測され、計測誤差が大きくなってしまうこととなる。
一方、接続する充電器や負荷により電池に流れる交流ノイズ電流の周波数は異なり、一定とは限らないため、電池の内部インピーダンス計測用の計測用交流電流の周波数を計測に影響の少ない周波数としてあらかじめ定めることは困難であった。
これを解決するために、計測対象の電池における機器に起因する交流ノイズ電流の周波数を予め計測する計測回路を用い、当該計測対象の電池の交流ノイズ電流の周波数以外の周波数を有する計測用交流電流を用いて計測を行うのが有効である。
【0015】
しかし内部インピーダンス計測装置の複雑化や、計測対象毎に計測用交流電流の周波数が異なることに起因する内部インピーダンスの変動が避けられないという不具合が生じる。
そこで、本実施形態の電池内部インピーダンス計測装置においては、電池に流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、所定の周波数帯域(f1〜fn)内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて(f1、f2、……fn−1、fn)電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めることとしている。
この結果、電池に接続した充電器の種類あるいは負荷の種類の影響を低減して安定した内部インピーダンス計測結果を得ることができるのである。
【0016】
次に具体的な実施の形態について説明する。
[1]第1実施形態
本第1実施形態においては、機器に接続した電池に交流電流を流し該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、電池に流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、所定の周波数帯域(75〜124.5Hz)内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて(75.0、75.5、……、124.0、124.5Hz)電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めるに際し、周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値と周波数毎に算出した内部インピーダンスとの差が所定値以内の内部インピーダンス値の平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとしている。
【0017】
図2は、実施形態の電池内部インピーダンス計測装置の概要構成ブロック図である。
電池内部インピーダンス計測装置10は、大別すると、電池内部インピーダンス計測装置10を中枢的に制御するコントロール部11と、コントロール部11から出力される計測電流制御データのデジタル/アナログ変換を行って計測電流制御信号を出力するD/A変換部12と、計測電流制御信号に基づいて計測対象の電池(蓄電池)BTの両電極に所定の周波数を有する計測用交流電流を供給する電流ドライバ13と、電池(蓄電池)BTの両電極に接続され、電池BTに発生した交流電圧を増幅し、増幅交流電圧信号を出力する交流増幅器14と、増幅交流電圧信号のアナログ/デジタル変換を行って交流電圧検出データとしてコントロール部11に出力するA/D変換部15と、コントロール部に対し、割込信号を生成し出力する割込タイマー16と、を備えている。
【0018】
コントロール部11は、マイクロコンピュータとして構成されており、当該コントロール部11を中枢的に制御する図示しないMPUは、図示しないROMに格納された制御プログラムに基づいて図示しないRAMをワークエリアとして制御を行う。
また、コントロール部11は、割込タイマー16に対して、計測タイミングに相当する割り込みタイミングを設定するための時限設定データを出力し、この時限設定データにより割込タイマー16から出力される割込信号に基づいてA/D変換部15を介した交流電圧の計測タイミングを制御するとともに、D/A変換部12を介して計測用交流電流の周波数を切り替えるために電流ドライバ13を制御することとなる。
【0019】
次に第1実施形態の動作を説明する。
図3は、第1実施形態の動作処理フローチャートである。
以下の説明においては、電池内部インピーダンスを計測する計測用交流電流の所定の周波数帯域として、75Hzから124.5Hzの帯域を設定し、この帯域内で、0.5Hz刻みで100周波数を連続的に変化させ、100回×各周波数におけるサンプリング回数の内部インピーダンス計測処理を行うものとする。
【0020】
コントロール部11は、計測開始が指示されると、割込タイマー16に対して、一つの計測用交流周波数におけるサンプリング間隔に相当する割込タイミングを設定するための時限設定データを出力するとともに、D/A変換部12に初期計測用交流電流の周波数として75Hzを設定するための計測電流制御データを出力する(ステップS11)。この場合において、時限設定データは、いずれの計測用交流電流の周波数においても、1周期当たり同一のサンプリング数(例えば、64サンプリング/1周期)となるように計測用交流電流の周波数に基づいて設定されている。
続いてコントロール部11は、割込タイマー16を起動する(ステップS12)。これにより割込タイマー16は、時限設定データに対応する時間間隔(サンプリング周期に相当)でコントロール部11に対して割込信号を出力することとなる。
具体的には、計測用交流周波数がfHzであり、サンプリング数がSNの場合には、サンプリング周期(割込周期)SPは、次式により設定される。
SP=1/(f×SN)
【0021】
例えば、上述の例の場合、計測用交流周波数が75Hzであり、サンプリング数が64であるので、
SP=1/(75×64)[sec]
となる。
次にコントロール部11は、割込タイマー16から割込信号が入力されたか否かを判別する(ステップS13)。
【0022】
ステップS13の判別において、未だ割込タイマー16から割込信号が入力されていない場合には(ステップS13;No)、待機状態となる。
一方、ステップS13の判別において、割込タイマー16から割込信号が入力された場合には(ステップS13;Yes)、計測用交流電流が電池BTを流れることにより電池BTに発生した交流電圧信号を交流増幅器により増幅して得た増幅交流電圧信号をA/D変換部を介して交流電圧検出データとして読み込み、保存する(ステップS14)。
続いて、コントロール部11は、計測交流周波数の1周期分の計測、すなわち、所定サンプリング回数(例えば、64サンプル)の交流電圧検出データの読み込み、保存が完了したか否かを判別する(ステップS15)。
【0023】
ステップS15の判別において、当該計測交流電流の周波数において未だ1周期の計測が完了していない場合には、処理をステップS13に移行し、以下同様の処理を繰り返す。
ステップS15の判別において、当該計測交流電流の周波数において1周期の計測が完了した場合には(ステップS15;Yes)、コントロール部11は、時限設定データを現在の計測用交流電流周波数の値に0.5Hzを加えた値に対応するものに変更する(ステップS16)。具体的には、現在の時限設定データが計測用交流電流の周波数が75Hzに対応する値である場合には、計測用交流電流の周波数が75.5Hzに対応する値に変更する。
【0024】
続いてコントロール部11は、変更後の設定値が125Hzになったか否かを判別する(ステップS17)。すなわち、すべての周波数(75〜124.5Hz)の計測用交流電流を用いた計測が完了したか否かを判別する。
ステップS17の判別において、変更後の設定値が未だ125Hzに至っていない場合には、処理を再びステップS13に移行し、変更後の設定値が125Hzになるまで同様の処理を繰り返す。
ステップS17の判別において、変更後の設定値が125Hzに至った場合には、100種の周波数における計測が完了したので、コントロール部11は、電池の内部インピーダンス算出処理に移行する。
なお、ここでは、電池内部インピーダンスを計測する計測用交流電流の所定の周波数帯域として、75Hz〜124.5Hzの帯域を設定しているが、この周波数帯域を60Hzを越え100Hz未満の周波数帯域に属する周波数として選択すると、機器あるいは商用電源を含む周囲環境に起因するノイズの影響が少ないため好ましい。
【0025】
図4は、内部インピーダンス算出処理の処理フローチャートである。
まず、コントロール部11は、計測用交流電流の周波数毎にA/D変換によって得られた値をデジタルフィルタ演算を行い(ステップS21)、特定の計測用交流電流の周波数に対応する交流電圧値(交流発生起電力)を算出し、計測用交流電流値および交流電圧値に基づいて計測用交流電流の周波数毎に内部インピーダンス値を算出して、結果を保存する(ステップS22)。
続いて、コントロール部11は、計測用交流電流の全周波数において算出された内部インピーダンス値の平均値(第1の平均値)を算出する(ステップS23)。
このステップS23の処理により得られる内部インピーダンス値の平均値(第1の平均値)によれば、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その影響が平均化されて、計測誤差を抑制することができるので、ノイズ交流信号の影響がさほど大きくない場合などには、十分に実用的な内部インピーダンス値を得ることが可能である。したがって、ノイズの影響が少ないと予測されるような環境下や、計測精度よりも処理の簡略化や迅速化が必要な場合には、このステップS23で処理を完了することも可能である。
【0026】
続いて、この得られた内部インピーダンス値の平均値との差が所定値以内の計測結果を除く計測結果、すなわち、平均値から大きく外れた計測結果を除外し(ステップS24)、残った計測用交流電流の周波数において算出された内部インピーダンス値を有効な値として、それらの平均値(第2の平均値)を内部インピーダンス値として算出する(ステップS25)。
このステップS25の処理により得られる内部インピーダンス値の平均値(第2の平均値)によれば、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その可能性の高い内部インピーダンスの算出結果を除いて内部インピーダンスを求めるため、よりいっそう計測誤差を抑制することができるので、ノイズ交流信号の影響が上述したステップS23の処理で得られる内部インピーダンス値の平均値(第1の平均値)によっては、内部インピーダンス値の計測精度が確保できないおそれがあるような環境下においても、計測精度の高い内部インピーダンス値を得ることが可能となる。
【0027】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、機器に接続した電池BTの内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、電池に流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、所定の周波数帯域内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて電池BTに流し、電池BTの内部インピーダンスを求めるので、ノイズの影響を低減してより正確な電池の内部インピーダンス値を算出することが可能となる。
さらに、周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値と計測用交流電流の周波数毎に算出した内部インピーダンスとの差が所定値以内の内部インピーダンス値の平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとしているので、いずれかの周波数が機器に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、その可能性の高い内部インピーダンスの算出結果を除いて内部インピーダンスを求めるため、よりいっそう計測誤差を抑制することができる。
以上の説明においては、計測用交流電流の周波数毎に内部インピーダンス値を算出し、その平均値(第1の平均値)を求めて、さらに当該平均値から大きくずれている内部インピーダンス値は、最終的な内部インピーダンス算出処理からは除くように構成していたが、計測用交流電流の周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとする場合でも、若干精度は落ちるものの実用上問題のない内部インピーダンス値を算出することができる。
【0028】
[2]第2実施形態
以上の第1実施形態においては、一つの計測用交流周波数毎に1周期分の同一サンプル数の交流電圧値の計測値を格納するメモリを確保する必要があり、大きなメモリ容量が要求されることとなるので、小規模なワンチップマイクロコンピュータでは、実装することが困難となる場合が生じる。
具体的には、一サンプルのデータサイズが2バイトであり、100種の周波数で1周期あたり64サンプルのデータを収集するとした場合、2×100×64=12800バイトのメモリが必要となっていた。したがって、小型のワンチップマイクロコンピュータの内蔵メモリでは実現困難な場合が想定される。
そこで、本第2実施形態は、必要とされるメモリ容量を削減しつつ、高精度で電池の内部インピーダンスを算出するための実施形態である。
【0029】
図5は、第2実施形態の処理フローチャートである。
装置構成については、第1実施形態と同様であるので、図2を参照して説明する。
以下の説明においても第1実施形態と同様に、電池内部インピーダンスを計測する計測用交流電流の周波数として、75Hzから124.5Hzの間で、0.5Hz刻みで100周波数とし、100回の内部インピーダンス計測処理を行い、計測用交流周波数毎に64サンプリングを行うものとする。
コントロール部11は、計測開始が指示されると、割込タイマー16に対して、一つの計測用交流周波数におけるサンプリング間隔に相当する割り込みタイミングを設定するための時限設定データを出力するとともに、D/A変換部12に初期計測用交流電流の周波数として75Hzを設定するための計測電流制御データを出力する(ステップS31)。この場合において、時限設定データは、75Hzの場合、1/75秒(1周期)で64回のサンプリングが行えるように設定されている。同様に、時限設定データは、計測用交流電流の周波数がXHzである場合、1/X秒(1周期)で64回のサンプリングが行えるように設定される。これにより割込タイマー16は、時限設定データに対応する時間間隔でコントロール部11に対して割込信号を出力することとなる。
【0030】
続いてコントロール部11は、割込タイマー16を起動し、64個のサンプリング用メモリ領域Mi(i:1〜64)をクリアする(ステップS32)。
次にコントロール部11は、割込タイマー16から割込信号が入力されたか否かを判別する(ステップS33)。
ステップS33の判別において、未だ割込タイマー16から割込信号が入力されていない場合には(ステップS33;No)、待機状態となる。
一方、ステップS33の判別において、割込タイマー16から割込信号が入力された場合には(ステップS33;Yes)、計測用交流電流が電池BTを流れることにより電池BTに発生した交流電圧信号を交流増幅器により増幅して得た増幅交流電圧信号をA/D変換部を介して交流電圧検出データとして読み込み、i個目のサンプリングデータの値をサンプリング用メモリ領域Miに加算する(ステップS34)。
【0031】
続いて、コントロール部11は、1周期(64サンプル)の計測が完了したか否かを判別する(ステップS35)。
ステップS35の判別において、未だ1周期の計測が完了していない場合には、処理をステップS13に移行し、64回のサンプリングが完了するまで以下同様の処理を繰り返す。
ステップS35の判別において、1周期の計測、すなわち、64回のサンプリングが完了した場合には(ステップS35;Yes)、コントロール部11は、時限設定データを現在の計測用交流電流周波数の値に0.5Hzを加えた値に対応するものに変更する(ステップS36)。
【0032】
続いてコントロール部11は、変更後の計測用交流電流の周波数設定値が125Hzになったか否かを判別する(ステップS37)。
ステップS37の判別において、変更後の計測用交流電流の周波数設定値が未だ125Hzに至っていない場合には、処理を再びステップS33に移行し、変更後の設定値が125Hzになるまで同様の処理を繰り返す。
ステップS37の判別において、変更後の計測用交流電流の周波数設定値が125Hzに至った場合には、デジタルフィルタ演算を行い(ステップS38)、計測用交流電流周波数に対応する交流電圧値(交流発生起電力)を算出し、計測用交流電流量および交流電圧値に基づいて内部インピーダンス値を算出して、結果を保存する。
【0033】
以上の説明のように、本第2実施形態において必要とされるメモリは、1サンプル当たり2バイト×100(周波数)<4バイトであり、1サンプル当たり4バイトとすると、全サンプリング数では、4バイト×64(サンプリング数)=256バイトとなり、上述したように一サンプルのデータサイズが2バイトであり、100種の周波数で1周期あたり64サンプルのデータを収集するとした場合の12,800バイトと比較して大幅にメモリ容量を削減することが可能となる。
本第2実施形態によっても、ノイズの影響を低減してより正確な電池の内部インピーダンス値を算出することが可能となる。
【0034】
[3]第3実施形態
本第3実施形態においては、機器に接続した電池に交流電流を流し、当該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、電池に流す交流電流の周波数を複数の周波数の間で繰り返し切り替え(70.0Hz→85.0Hz→70.0Hz→……)、電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めるに際し、周波数を切り替える毎に内部インピーダンスを算出し、最新に算出した複数(本実施形態では、8個)の内部インピーダンスのうち、所定の基準内部インピーダンスとの差が小さい内部インピーダンスを複数選択し(本実施形態では、4個選択)、選択した内部インピーダンスの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとしている。
【0035】
図6は、第3実施形態の電池内部インピーダンス計測装置の概要構成ブロック図である。図6において、図2の第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付すものとする。
電池内部インピーダンス計測装置10Xは、大別すると、電池内部インピーダンス計測装置10Xを中枢的に制御するコントロール部11と、コントロール部11から出力される計測電流制御データのデジタル/アナログ変換を行って計測電流制御信号を出力するD/A変換部12と、計測電流制御信号に基づいて計測対象の電池(蓄電池)BTの両電極に所定の周波数を有する計測用交流電流を供給する電流ドライバ13と、電池(蓄電池)BTの両電極に接続され、電池BTに発生した交流電圧を増幅し、増幅交流電圧信号を出力する交流増幅器14と、増幅交流電圧信号のアナログ/デジタル変換を行って交流電圧検出データとしてコントロール部11に出力するA/D変換部15と、コントロール部11に対し、割込信号を生成し出力する割込タイマー16と、計測した電池内部インピーダンス値を統計処理のために一時的に格納したり、計測結果としての電池内部インピーダンス値を格納したり、統計処理に必要な目標値としての前回の電池内部インピーダンス値を格納したりするためのデータ保存メモリ17と、を備えている。
【0036】
コントロール部11は、マイクロコンピューターとして構成されており、当該コントロール部11を中枢的に制御する図示しないMPUは、図示しないROMに格納された制御プログラムに基づいて図示しないRAMをワークエリアとして制御を行う。
また、コントロール部11は、割込タイマー16に対して、計測タイミングに相当する割り込みタイミングを設定するための時限設定データを出力し、この時限設定データにより割込タイマー16から出力される割込信号に基づいてA/D変換部15を介した交流電圧の計測タイミングを制御するとともに、D/A変換部12を介して計測用交流電流の周波数を切り替えるために電流ドライバ13を制御することとなる。
【0037】
次に第3実施形態の動作を説明する。
図7は、第3実施形態の動作処理フローチャートである。
以下の説明においては、電池内部インピーダンスを計測する計測用交流電流の複数の所定の周波数として、70Hzと85Hzの二つの周波数を順次切り替え、周波数を切り替える毎に所定回数(本実施形態では64回)のサンプリングを行う処理を行う。さらにこのサンプリング処理を二つの周波数で交互に行って、合計8回、すなわち、各周波数4回ずつ(=4×2×64サンプリング)の内部インピーダンス計測処理を行うものとする。
【0038】
この場合において、計測用交流電流の複数の所定の周波数として、70Hzと85Hzを選択したのは、以下の理由による。
我が国では、商用電源の周波数として、50Hzおよび60Hzが存在し、この商用電源を電源として利用する以上、50Hzあるいは60Hz、並びに、これらの周波数の高調波成分(100Hz、120Hz、150Hz、180Hz、200Hz、240Hz、……)が電源ノイズとして計測用交流電流に重畳される可能性がある。
したがって、電源ノイズとは有意に異なる周波数(=容易に分離可能な周波数)であって、選択した複数の周波数について求めた電池内部インピーダンスの計測結果が許容誤差範囲に収まる複数の周波数を、計測用交流電流の周波数として選択するのが望ましい。
【0039】
ところで、経験的に、計測用交流電流の周波数として、20Hz〜200Hzの周波数帯域を用いた場合、電源ノイズの影響がないとした場合には、計測用交流電流の周波数を変化させても、電池内部インピーダンスの計測結果がほぼ許容誤差範囲に収まることが分かっている。
一方、上述した電源ノイズを分離するためのフィルタの設計の容易さを考慮すると、電池内部インピーダンスの計測結果がほぼ許容誤差範囲に収まる計測用交流電流の周波数帯域のうち、60Hzを越え、100Hz未満の周波数帯域に属する周波数を計測用交流電流の周波数として選択するのが望ましい。
さらに選択した計測用交流電流の周波数同士も容易に電源ノイズを分離するフィルタで分離できることが必要である。
【0040】
これらを考慮した結果、本実施形態では、70Hzおよび85Hzを計測用交流電流の周波数として選択したものである。
したがって、計測用交流電流の周波数は、必ずしもこれらの周波数である必要はなく、上記条件(電源周波数との関係、電源ノイズあるいは計測信号同士の分離の容易さ)を満たす範囲で、任意に選択が可能である。また、計測用交流電流の周波数の選択数も二つに限ることなく、三つ以上の周波数を繰り返し選択することによっても可能である。
【0041】
まず、コントロール部11は、予め設定された計測用の割込タイマーなどにより計測開始が指示されると、制御用パラメータNを初期化し、N=1に設定する(ステップS41)。この制御用パラメータNは、計測した電池内部インピーダンス値の統計的な処理を行うためのデータ取得数を制御するものであり、例えば、計測用交流電流の周波数70Hzあるいは85Hzのそれぞれに対応する電池内部インピーダンス値を4回ずつ計測し、合計8回の計測を行う場合、制御用パラメータNが8(=後述するNmaxに相当)を越えるまで電池内部インピーダンス値の計測処理を繰り返すこととなっている。
【0042】
続いてコントロール部11は、割込タイマー16に対して、一つの計測用交流周波数におけるサンプリング間隔に相当する割込タイミングを設定するための時限設定データを出力するとともに、D/A変換部12に計測用交流電流の周波数として70Hzあるいは85Hzを設定するための計測電流制御データを出力して計測用周波数の切り替えを行う(ステップS42)。
【0043】
この場合において、時限設定データは、いずれの計測用交流電流の周波数(日本の場合、50Hzあるいは60Hz)においても、1周期当たり同一のサンプリング数(本実施形態では、64サンプリング/1周期)となるように計測用交流電流の周波数に基づいて設定されている。
具体的には、計測用交流周波数がfHzであり、サンプリング数がSNの場合には、サンプリング周期(割込周期)SPは、次式により設定される。
SP=1/(f×SN)
【0044】
例えば、上述の例の場合、計測用交流周波数が70Hzであり、サンプリング数が64である場合には、
SP=1/(70×64)[sec]
となる。
続いてコントロール部11は、割込タイマー16を起動する(ステップS43)。これにより割込タイマー16は、時限設定データに対応する時間間隔、すなわち、サンプリング周期SPに対応する時間間隔でコントロール部11に対して割込信号を出力することとなる。
次にコントロール部11は、割込タイマー16から割込信号が入力されたか否かを判別する(ステップS44)。
【0045】
ステップS44の判別において、未だ割込タイマー16から割込信号が入力されていない場合には(ステップS44;No)、コントロール部11は、待機状態となる。
一方、ステップS44の判別において、割込タイマー16から割込信号が入力された場合には(ステップS44;Yes)、コントロール部11は、D/A変換部12を介して今回の計測用交流周波数(70Hzあるいは85Hz)に対応させて電池BTに流す計測用交流電流に相当する計測電流波形を電流ドライバ13に出力する(ステップS43)。これにより電流ドライバ13は、今回の計測用周波数を有する計測用交流電流を電池BTに供給する(ステップS45)。
【0046】
すなわち、D/A変換部12は、割込信号が入力される毎に、ステップ状に出力電圧を変化させ、計測用周波数に対応する変化率で電流ドライバ13から出力される電流値を変化させることとなる。
そして、計測用交流電流Iが電池BTを流れることにより電池BTに発生した交流電圧Vを交流増幅器14により増幅して得た増幅交流電圧信号をA/D変換部15を介して交流電圧検出データとして読み込み、データ保存メモリ17に保存する(ステップS46)。
【0047】
続いて、コントロール部11は、計測用交流周波数の1周期分の計測、すなわち、所定サンプリング回数(本実施形態では、64サンプル)の交流電圧検出データの読み込み、データ保存メモリ17への保存が完了したか否かを判別する(ステップS47)。
ステップS47の判別において、当該計測用交流電流の周波数において未だ1周期の計測が完了していない場合には、処理をステップS44に移行し、以下同様の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS47の判別において、当該計測用交流電流の周波数において1周期の計測が完了した場合には(ステップS47;Yes)、コントロール部11は、計測用交流電流の周波数に合わせてデジタルフィルタ演算を行い(ステップS48)、計測用交流電流の周波数に対応する交流電圧値(交流発生起電力)を算出し、計測用交流電流値および交流電圧値に基づいて計測用交流電流の周波数毎に電池内部インピーダンス値を算出して、結果をデータ保存メモリ17へ保存する(ステップS49)。
次にコントロール部11は、制御用パラメータNに1を加算し(ステップS50)、制御用パラメータNの値が、電池内部インピーダンス値を統計処理するために必要なデータ収集数に相当する制御用パラメータNmax(本実施形態では、8)を越えたか否かを判別する(ステップS51)。
【0049】
ステップS51の判別において、制御用パラメータNが制御用パラメータNmaxを越えていない場合(ステップS51;No)、すなわち、
N≦Nmax
である場合には、電池内部インピーダンス値を統計処理するために必要なデータ収集数に至っていないので、コントロール部11は、処理を再びステップS43に移行して、計測周波数を切り替え、以下、同様の処理を繰り返す。
【0050】
ステップS51の判別において制御用パラメータNが制御用パラメータNmaxを越えた場合(ステップS51;Yes)、すなわち、
N>Nmax
である場合には、コントロール部11は、電池内部インピーダンス値を統計処理するために必要なデータ収集数に至ったので、予め設定された電池内部インピーダンス値の目標値(=基準内部インピーダンスに相当)に基づいて、統計処理対象の電池内部インピーダンス値を選択する(ステップS52)。
【0051】
ここで、電池内部インピーダンス値の目標値について説明する。
電池内部インピーダンス値の目標値とは、収集した電池内部インピーダンス値が環境ノイズ等の影響を受けていないかを判別するための値であり、上述した処理を繰り返し行っている場合には、前回統計処理して得られ、当該電池BTの電池内部インピーダンス値として採用された値である。なお、上述した処理が初めてである場合には、前回採用された電池内部インピーダンス値は存在しないので、適宜設定された初期値が用いられる。
【0052】
次に統計処理対象の電池内部インピーダンス値の選択について説明する。
本実施形態では、二つの計測用交流電流の周波数70Hzおよび85Hzのそれぞれについて、4個ずつ、合計8個の電池内部インピーダンス値が得られ、データ保存メモリに格納している。
そこで、本実施形態では、これら8個の電池内部インピーダンス値のうち、電池内部インピーダンス値の目標値により近い値を有する4個の電池内部インピーダンス値を選択するようにしている。
【0053】
これにより、環境ノイズなどのノイズの影響の少ない電池内部インピーダンス値が得られることとなっている。
そして、コントロール部11は、ステップS52で選択した4個の電池内部インピーダンス値の平均化(単純平均、移動平均など)を行って(ステップS53)、平均化された電池内部インピーダンス値を今回の電池内部インピーダンス計測値に設定するとともに、次回の目標値に設定し、今回の電池内部インピーダンス計測値および目標値をデータ保存メモリ17に格納して処理を終了する(ステップS54)。
図8は、電池内部インピーダンス値(内部抵抗値)の計測回数に対する変位を表す図である。
図8中に黒丸(●)実線で示すように、本第3実施形態のように選択した4個の電池内部インピーダンス値の平均化(選択平均値)を行っている場合には、得られる電池内部インピーダンス計測値は、図8中に破線で示すA/D変換部の出力値がばたついている場合でも、図8中に実線で示す8個の電池内部インピーダンス値の移動平均値として得られる電池内部インピーダンス計測値に対して、安定して計測できていることが分かる。
したがって、電池内部インピーダンス値、ひいては、電池BTの寿命(例えば、電池内部インピーダンス値が初期電池内部インピーダンス値の約2倍になる時点)を確実に計測し、あるいは、予測することが可能となる。
【0054】
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、機器に接続した電池BTの内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、電池BTに流す交流電流の周波数を複数の周波数の間で繰り返し切り替える機能を備え、当該交流電流の周波数を複数の周波数の間で繰り返し切り替えて電池BTに流して電池BTの内部インピーダンスを求めるので、簡易な構成でノイズの影響を低減してより正確な電池の内部インピーダンス値を算出することが可能となる。
【0055】
また、周波数を切り替える毎に内部インピーダンスを算出し、最新に算出した複数の内部インピーダンスのうち、所定の基準内部インピーダンスとの差が小さい内部インピーダンスを複数選択し、選択した内部インピーダンスの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとしているので、電池BTに流す交流電流の周波数のいずれかが機器あるいは周囲環境に起因するノイズ交流信号の周波数と一致している場合でも、ノイズ交流信号の周波数と一致している可能性の高い内部インピーダンスの算出結果を除いて電池内部インピーダンス値を求めているため、よりいっそう計測誤差を抑制することができる。
さらに、ノイズ電流に対向するために計測用交流電流の電流値を大きくする必要がなくなり、小型化及び低コスト化が可能となる。
さらにまた、ノイズ成分の周波数を事前に計測しなくても、ノイズの影響を低減でき、装置構成および制御を簡易化することができる。
【0056】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、以上の説明においては、一つの計測用交流電流周波数において、1周期中にサンプリングを行うように構成していたが、複数周期にわたってサンプリングを行うように構成することも可能である。
また、上記第3実施形態においては、統計処理用に収集した複数個の電池内部インピーダンス値のうち、所定数個の電池内部インピーダンス値のみを統計処理するようにしていたが、電池内部インピーダンス値の目標値に対してしきい値範囲を予め定めておき、このしきい値範囲内に属する電池内部インピーダンス値を全て統計処理するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 内部インピーダンス計測装置
11 コントロール部
12 D/A変換部
13 電流ドライバ
14 交流増幅器
15 A/D変換部
16 割込タイマー
17 データ保存メモリ
BT 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に接続した電池に交流電流を流し該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、
前記電池に流す交流電流の周波数を連続的に変える機能を備え、
所定の周波数帯域内で当該交流電流の周波数を複数回連続して変えて前記電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めることを特徴とする電池内部インピーダンス計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の電池内部インピーダンス計測装置において、
前記周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする電池内部インピーダンス計測装置。
【請求項3】
請求項1記載の電池内部インピーダンス計測装置において、
前記周波数毎に内部インピーダンスを算出し、それらの平均値と前記周波数毎に算出した内部インピーダンスとの差が所定値以内の内部インピーダンス値の平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする電池内部インピーダンス計測装置。
【請求項4】
機器に接続した電池に交流電流を流し該電池に発生する交流電圧値と交流電流値とにより電池の内部インピーダンスを求める電池内部インピーダンス計測装置において、
前記電池に流す交流電流の周波数を複数の周波数の間で繰り返し切り替える機能を備え、
当該交流電流の周波数を前記複数の周波数の間で繰り返し切り替えて前記電池に流して当該電池の内部インピーダンスを求めることを特徴とする電池内部インピーダンス計測装置。
【請求項5】
請求項4記載の電池内部インピーダンス計測装置において、
前記周波数を切り替える毎に内部インピーダンスを算出し、最新に算出した複数の内部インピーダンスのうち、所定の基準内部インピーダンスとの差が小さい内部インピーダンスを複数選択し、選択した内部インピーダンスの平均値を、計測結果としての当該電池の内部インピーダンスとすることを特徴とする電池内部インピーダンス計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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