説明

電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器

【課題】 電池同士の間に壁を設けずに、電池同士が擦れ合い短絡する危険性を低下させる電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器を提供する。
【解決手段】 複数の電池6が電池収納部1に挿入されると、電池6の中心軸から見て、電池収納室側接片2は内側に、電池蓋側接片4は外側にそれぞれ配置される。電池蓋3が閉じられると電池収納室側接片2と電池蓋側接片4とは、電池6に対して互いを離す方向に押圧する。したがって、電池6同士が接触する危険性が低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池同士の摩擦防止機構を有する電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラやビデオカメラ、携帯電話などの携帯用機器の動力源として、電池を用いるものがある。通常、動力源として複数個の電池を用いることが多いが、この場合、電池を収納する収納部の各電池の間に壁を設けているものがある。
【0003】
これは、電池が擦れてしまうと電池の表面(皮膜)に傷が付着し、その箇所から短絡する危険があるためである。各電池間にこのように壁を設けることにより、電池同士が接触して擦れないようにしている。
【0004】
また、電池室に挿入する電池の保持を確実に行い、収納室内でのずれを抑制したものとして、特許文献1から3に開示された発明がある。特許文献1に開示された発明は、電池装填による電池蓋の収納筐体からのずれ発生が防止され、その構造も簡単である電池収納室を提供するものである。
【0005】
特許文献2に開示された発明は、接片の接片保持部への取り付けおよび取り外しが容易で、しかも、接片の取り付け状態も良好である電池接片構造を提供するものである。また、特許文献3に開示された発明は、正極端子と負極端子との短絡を防止し得、更に、正極端子および負極端子に外部機器の端子を接続する際の電池への衝撃を緩和し得る電池ケースおよびそれを用いた電池パックを提供するものである。
【特許文献1】特開2002−279950号公報
【特許文献2】特開2001−084978号公報
【特許文献3】特開平11−297285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の技術には、以下に述べるような問題があった。
【0007】
通常、2本の電池を収納するような電池収納室においては、電池同士が接触しないようにするために、互いの電池の間に壁を設けていた。従来、このように壁を設けることなく互いの電池を接触しないようにした例は存在しない。
【0008】
したがって、現在、このような壁を持たない電池収納室においては、繰り返し長期にわたって使用するニッケル水素充電池を使用した場合や、ユーザが、誤って皮膜に傷を付けてしまった電池を使用する場合などには、電池同士が接触することによって短絡する危険性がある。
【0009】
上記の問題点に鑑み、本発明は、電池同士が、擦れ合い短絡する危険性を低下させる電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも2以上の電池を収納する電池収納部と、電池収納部の電池挿入口を開閉可能な電池蓋と、電池の両端と接触して、電池が有する電力を外部に供給する導通部とを有する電池収納室であって、導通部が電池収納部に挿入されて電池の両端と接触して導通するときに、導通部は、電池の中心軸以外の位置に接触することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池収納室において、導通部は、電池収納部の内側に配置される第1の導通部と、電池蓋において、電池収納室を閉じた状態のときに電池収納部の内側になる位置に配置される第2の導通部と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池収納室において、第1の導通部と第2の導通部とは、対向する位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電池収納室において、導通部は、電池の両端と線状に接触する線状接触であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の電池収納室において、導通部は、電池の両端と、少なくとも1以上の点で接触する点状接触であることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の電池収納室において、導通部は、電池の両端と面状に接触する面状接触であることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電池収納室において、面状接触は、電池の両端よりも小さいことを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、電池は、請求項1から7に記載の電池収納室において、電池収納部に並列に挿入され、電池が収納された電池収納室の内部は、電池が移動可能な空間が生じ、それぞれの電池の間と電池収納室の内部との間とが、空間によって覆われることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8に記載の電池収納室において、電池収納部に電池を挿入したときに、第1の導通部と電池の両端とが接触する位置は、挿入された電池の両端の中心軸よりも、電池収納部の中心側の方向に配置されることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1から8に記載の電池収納室において、電池収納部に電池を挿入したときに、第2の導通部と電池の両端とが接触する位置は、挿入された電池の両端の中心軸よりも、電池収納部の外側の方向に配置されることを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10に記載の電池収納室において、電池蓋を閉じたときに、電池収納部に挿入された電池は、第1の導通部と第2の導通部とによって電池収納部の外側方向に押圧されて、電池が互いに接触することを防ぐことを特徴とする。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11に記載の電池収納室を有する電子機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明の電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器によれば、電池同士の接触を防ぐ壁がない電池収納室において、電池同士が接触することを抑制し、接触によって短絡する危険性を下げる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の電池収納室、及び該電池収納室を用いた電子機器の実施形態を図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0024】
図1は、本実施形態の電池収納室の外観を示す斜視図である。
【0025】
本実施形態の電池収納室は、電池収納部1と、電池収納室側接片2と、電池蓋3と、電池蓋側接片4とを備える。
電池収納室側接片2は、電池収納部1の内部の底面(奥側)に配置され、収納される電池6の導通面8と接触する。また、電池蓋側接片4は、電池蓋3に取り付けられている。
【0026】
電池蓋側接片4は、電池蓋3が閉じられた状態のときに、電池収納部1の内部側に、かつ、電池収納室側接片2と対向する位置に配置される。さらに電池蓋側接片4は、電池収納室側接片2が接触する導通面8と反対側に位置する導通面7と接触する。
【0027】
電池収納部1に電池6を収納した後、電池蓋3を閉じることによって、電池6は電池収納室側接片2と電池蓋側接片4とに挟み込まれて固定される。
【0028】
図2は、電池収納部1に備えられた電池収納室側接片2の拡大図である。
電池収納室側接片2は、薄い金属の板を加工したもので形成されている。また、電池収納室側接片2の先端部分(電池6の導通面8と接触する部分)は、板の厚さの分だけの幅を持つ線状断面部5を有する。
【0029】
図3は、電池収納部1に、2本の電池6を挿入する状態を示す図である。
電池6は、電池収納部1の長手方向から並列に並べた状態で挿入される。また、電池6はその両端に、電池収納室側接片2と電池蓋側接片4とに接触し導通する導通面7、8とを備えている。
【0030】
図4は、電池6を挿入したときに、電池収納部1の長手方向を上から見た場合の断面図である。各電池6の間および電池6と電池収納部1の筐体内側との間には、空間9がある。
【0031】
図5は、電池収納部1に挿入された電池6が、電池収納室側接片2に接触した瞬間を示す図である。
電池6の導通面8が電池収納室側接片2と接触する部分は、各電池6のそれぞれの導通面8の中心よりも、電池収納部1の内側寄りの位置に配置されている。
【0032】
図6は、電池収納部1に挿入された電池6が、電池収納室側接片2に接触した後の状態を示す図である。
電池6は、その導通面8の中心部よりも電池収納部1の内側寄りの部分で保持される。したがって、電池6自体の自重によって必然的に電池収納部1の内壁方向(電池収納部1の中心から見て外側方向)に倒れることになる。これにより、2本の電池6は互いに接触しにくくなる。
【0033】
図7は、電池収納部1に電池6を挿入した後の状態を、電池収納部1の上から見た場合の断面図である。内壁方向に倒れた各電池6は、電池蓋3が閉じられるまで電池収納部1の内壁寄りになっている。
電池蓋側接片4と導通面7とが接触する部分は、導通面7の中心よりも、電池収納部1の外側寄りに配置されている。よって、電池蓋3は、電池6を電池収納部1の中止から見て外側に傾ける方向の力をかけることになる。
【0034】
したがって、電池蓋3を閉めることによって電池6は、電池収納室側接片2からと電池蓋3からとに、それぞれ電池収納部1の内部から見て外側の方向に押圧されることになる。
すなわち、電池収納部1内に挿入された電池6は、互いが離れる方向に押される力を受けるので、互いの電池が接触しにくくなる。よって、電池6同士による摩擦防止効果を得ることができる。
【0035】
このように、電池収納室接片と電池蓋側接片4とが電池6を離す方向に押圧する。したがって、本実施形態のように電池同士の接触を防ぐ壁がない電池収納室においても、電池同士が接触することを抑制し、接触によって短絡する危険性を下げる事ができる。
【0036】
また、電池6との接触部である線状断面5に複数の切れ込みを入れて、複数個の点で電池と接触する点接触でも、同様の効果を得ることができる。
図8は、電池収納室側接片2の先端部分に複数の切れ込みを入れた点状断面部10の外観図である。この場合でも複数の点が1本の線上にあるため、挿入した互いの電池を引き離す事ができ、摩擦防止効果を得ることが可能となる。
【0037】
また、電池6との接触部を、挿入される電池6の導通面7、8よりも小さい面で接触する面接触でも、同様の効果を得ることができる。
図9は、電池収納室側接片2の先端部分が、導通面7、8よりも小さい面状部11の外観図である。このような面接触の場合でも、導通面7、8よりも小さい面積で接触するようにすることで、挿入した互いの電池を引き離す事ができ、摩擦防止効果を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、カメラやビデオカメラ、携帯電話、携帯用機器などの電子機器の電池収納室に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態の電池収納室の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の電池収納室側接片の外観を示す図である。
【図3】本実施形態の電池収納室に電池を挿入する状態を示す図である。
【図4】本実施形態の電池収納室に電池を挿入した状態を、電池収納室の上部から見た断面図である。
【図5】本実施形態の電池収納室側接片に電池が接触した瞬間の状態を示す図である。
【図6】本実施形態の電池収納室側接片に電池が接触した後の状態を示す図である。
【図7】本実施形態の電池収納室側接片に電池が接触した後の状態を、電池収納室の上部から見た断面図である。
【図8】本実施形態の電池収納室側接片の先端部分が点状である場合を示す図である。
【図9】本実施形態の電池収納室側接片の先端部分が面状である場合を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 電池収納部
2 電池収納室側接片
3 電池蓋
4 電池蓋側接片
5 線状断面部
6 電池
7、8 導通面
9 空間
10 点状断面部
11 面状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の電池を収納する電池収納部と、
前記電池収納部の電池挿入口を開閉可能な電池蓋と、
前記電池の両端と接触して、前記電池が有する電力を外部に供給する導通部とを有する電池収納室であって、
前記導通部が前記電池収納部に挿入されて前記電池の前記両端と接触して導通するときに、
前記導通部は、前記電池の中心軸以外の位置に接触することを特徴とする電池収納室。
【請求項2】
前記導通部は、
前記電池収納部の内側に配置される第1の導通部と、
前記電池蓋において、前記電池収納室を閉じた状態のときに前記電池収納部の内側になる位置に配置される第2の導通部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電池収納室。
【請求項3】
前記第1の導通部と前記第2の導通部とは、対向する位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の電池収納室。
【請求項4】
前記導通部は、前記電池の両端と線状に接触する線状接触であることを特徴とする請求項2に記載の電池収納室。
【請求項5】
前記導通部は、前記電池の両端と、少なくとも1以上の点で接触する点状接触であることを特徴とする請求項2に記載の電池収納室。
【請求項6】
前記導通部は、前記電池の両端と面状に接触する面状接触であることを特徴とする請求項2に記載の電池収納室。
【請求項7】
前記面状接触は、前記電池の両端よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の電池収納室。
【請求項8】
前記電池は、
前記電池収納部に並列に挿入され、前記電池が収納された前記電池収納室の内部は、前記電池が移動可能な空間が生じ、
それぞれの前記電池の間と前記電池収納室の内部との間とが、前記空間によって覆われることを特徴とする請求項1から7に記載の電池収納室。
【請求項9】
前記電池収納部に前記電池を挿入したときに、前記第1の導通部と前記電池の両端とが接触する位置は、
挿入された前記電池の両端の中心軸よりも、前記電池収納部の中心側の方向に配置されることを特徴とする請求項1から8に記載の電池収納室。
【請求項10】
前記電池収納部に前記電池を挿入したときに、前記第2の導通部と前記電池の両端とが接触する位置は、
挿入された前記電池の両端の中心軸よりも、前記電池収納部の外側の方向に配置されることを特徴とする請求項1から8に記載の電池収納室。
【請求項11】
前記電池蓋を閉じたときに、前記電池収納部に挿入された前記電池は、
前記第1の導通部と前記第2の導通部とによって前記電池収納部の外側方向に押圧されて、前記電池が互いに接触することを防ぐことを特徴とする請求項1から10に記載の電池収納室。
【請求項12】
請求項1から11に記載の電池収納室を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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