説明

電池装填構造及び電子機器

【課題】乾電池に絶縁部材を設ける必要なく、電池蓋の構造により乾電池装填の逆通電を防止する。さらに、電池逆入れを感知し、逆入れが生じた場合には乾電池が通電しないようにする。
【解決手段】複数の乾電池Bを装填する電池装填部2と、その電池装填部2を覆う電池蓋3と、を備える電池装填構造において、電池蓋3の内側に、複数の乾電池Bの端子面間に差し込まれる差込片31と、その差込片31と一体に設けられたスイッチ操作部32と、を備え、そのスイッチ操作部32により接続動作される電源スイッチ25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾電池装填の逆通電を防止する電池蓋を含む電池装填構造と、その電池装填構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
乾電池装填の逆通電防止対策として、乾電池の−極端子面を、+極端子に対応する開口が中央に設けられた絶縁シートで覆う方法が特許文献1に開示されている。また、乾電池の−極端子面に、+極端子を囲む絶縁体を設ける方法が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−030716号公報
【特許文献2】特開平07−201314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の逆通電防止対策では、ユーザーにより乾電池の−極端子面に絶縁シートを貼り付けてもらわないと効果が発揮できなく、ユーザーに一手間掛けさせてしまうという問題もある。
また、特許文献2の逆通電防止対策は、乾電池の−極端子面に、+極端子を囲む絶縁体を設けて乾電池自体の構造を変化させるものであり、電池の規格を満足させられなくなること、また既存の電池サイズに対応した機器で使用できなくなる可能性があることなどの問題がある。
【0005】
本発明の課題は、乾電池に絶縁部材を設ける必要なく、電池蓋の構造により乾電池装填の逆通電を防止することである。
さらに、本発明の課題は、電池逆入れを感知し、逆入れが生じた場合には乾電池が通電しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の乾電池を装填する電池装填部と、前記電池装填部を覆う電池蓋と、を備える電池装填構造において、前記電池蓋の内側に、複数の乾電池の端子面間に差し込まれる差込片と、前記差込片と一体に設けられたスイッチ操作部と、を備え、前記スイッチ操作部により接続動作される電源スイッチを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池装填構造であって、前記電池装填部の+極端子接続端部に、乾電池の+極端子を案内する切欠部が形成された隔壁部を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電池装填構造を備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乾電池に絶縁部材を設ける必要なく、電池蓋の構造により乾電池装填の逆通電を防止できる。
さらに、電池逆入れを感知し、逆入れが生じた場合には乾電池が通電しないようにすることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、電子辞書を下面側から電池蓋を分解して示した斜視図である。
【図2】図1の電池装填部の+極端子接続端部の構成を示した拡大図である。
【図3】図1の電池装填部に電池蓋を装着した状態で要部を破断して示した図である。
【図4】図3の電池装填部の+極端子接続端部側を示した拡大縦断面図である。
【図5】図3の電池装填部の中央部分を示した拡大図である。
【図6】図5の差込片部分に沿って断面で示した図である。
【図7】図5の差込片部分の平面図である。
【図8】図7の差込片部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として電子辞書を下面側から電池蓋を分解して示したもので、1は筐体、2は電池装填部、3は電池蓋、Bは乾電池である。
【0012】
図示のように、電子辞書の筐体1は、下面に開口して二本の乾電池Bを直列に装填する電池装填部2が設けられている。この電池装填部2の開口は、電池蓋3を装着することで覆われる。電池装填部2には、一端部に−極端子接続バネ21が設けられて、中央部に電源スイッチ25が設けられている。この電源スイッチ25は、押圧操作される押しボタン26を有しており、この押しボタン26が押圧操作されることで接続動作する。
【0013】
図2は電池装填部2の他端部の+極端子接続バネ22の構成を示したもので、この+極端子接続バネ22の手前には、隔壁部23が形成されている。この隔壁部23には、図示のように、電池装填部2の開口側から乾電池Bの+極端子を案内するU字型の切欠部24が形成されている。
【0014】
図3は電池装填部2に電池蓋3を装着した状態で要部を破断して示したもので、電池蓋3は、電池装填部2の開口に対し係止爪及び係止溝により着脱自在となっている。この電池蓋3の内側面の中央には、図示のように、電池装填部2に正規に装填した二本の乾電池Bの端子面間に差し込まれる差込片31が一体に形成されている。そして、この差込片31には、電源スイッチ25の押しボタン26を押圧操作するスイッチ押圧部32が一体に形成されている。
【0015】
図4は電池装填部2の+極端子接続端部側を断面で示したもので、図示のように、乾電池Bの+極端子は、隔壁部23のU字型の切欠部24に位置して+極端子接続バネ22に接続状態となる。
【0016】
図5は電池装填部2の中央部分を拡大して示したもので、図6から図8はその差込片31部分を示したものである。図示のように、二本の乾電池Bが正しく順方向で装填された場合は、その二本の乾電池Bの端子面間に差込片31が差し込まれて、電池装填部2の開口に電池蓋3が装着されると同時に、差込片31の一体のスイッチ押圧部32が電源スイッチ25の押しボタン26を押圧操作する。これにより、電源スイッチ25が接続動作して、電子辞書の電源ラインが導通状態になる。
なお、差込片31の厚みは、乾電池Bの+極端子の凸部の長さよりも短い。これにより、順方向で装填された二本の乾電池Bの端子面間に差込片31を容易に装着することができ、かつ、装着することによって電源ラインの導通が妨げられることもない。
【0017】
なお、両方の乾電池Bの−極端子が内側に向かい合った状態で挿入された場合は、差込片31を差し込むための隙間がないので電池蓋3が装着できず、仮に強引に装着したとしても差込片31の厚みによって乾電池Bの端子面間に間隙が生じ、電源ラインが導通されず、すなわち、電子辞書の電源が入らない。
【0018】
また、両方の乾電池Bが逆に挿入された場合や、両方の乾電池Bの+極端子が内側に向かい合った状態で挿入された場合は、たとえ電池蓋3が装着されたとしても、電池装填部2の+極端子接続バネ22の手前にU字型の切欠部24を有する隔壁部23があるので、通電することはない。
【0019】
以上、実施形態の電池装填構造を備える電子辞書によれば、電池蓋3の内側に、電池装填部2に正規に装填した二本の乾電池Bの端子面間に差し込まれる差込片31を備えることで、乾電池Bに絶縁部材を設ける必要なく、電池蓋3の構造により乾電池装填の逆通電を防止できる。
【0020】
さらに、電池装填部2には、差込片31と一体のスイッチ押圧部32により接続動作される電源スイッチ25を備えるとともに、+極端子接続端部に、乾電池Bの+極端子を案内するU字型の切欠部24が形成された隔壁部23を備えることで、電池逆入れを感知し、逆入れが生じた場合には乾電池Bが通電しないようにすることができる。
【0021】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、電子辞書としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、携帯電話などの機器全てに用いることができる。
また、実施形態では二本の乾電池を直列に装填する電池装填部としたが、三本以上の乾電池を直列に装填する電池装填部でもよく、その場合は、電池蓋に二本以上の差込片を設ければよい。
さらに、差込片及びスイッチ操作部の形状や電源スイッチの種類等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 筐体
2 電池装填部
21 −極端子接続バネ
22 +極端子接続バネ
23 隔壁部
24 切欠部
25 電源スイッチ
26 押しボタン
3 電池蓋
31 差込片
32 スイッチ操作部
B 乾電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乾電池を装填する電池装填部と、
前記電池装填部を覆う電池蓋と、を備える電池装填構造において、
前記電池蓋の内側に、複数の乾電池の端子面間に差し込まれる差込片と、
前記差込片と一体に設けられたスイッチ操作部と、
を備え、
前記スイッチ操作部により接続動作される電源スイッチを備えることを特徴とする電池装填構造。
【請求項2】
前記電池装填部の+極端子接続端部に、乾電池の+極端子を案内する切欠部が形成された隔壁部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池装填構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池装填構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−60526(P2011−60526A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207614(P2009−207614)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】