説明

電池駆動装置及び該電池駆動装置を用いたセンサシステム

【課題】 報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い電池駆動装置及び該電池駆動装置を用いたセンサシステムを提供する。
【解決手段】 消費電力が抑えられた待機モード41の動作の合間に、センサの出力が読み取られる読取モード42の動作と、無線信号を送信する最大消費モードである送信モード43の動作とが間欠的に行われる。動作モード41〜43が切り替わる毎に1回ずつのタイミングTcで、電池電圧を所定の報知電圧と比較するという比較動作が行われ、この比較動作において電池電圧が報知電圧を下回っていれば報知が行われる。最大消費モードである送信モード43では確実に1回ずつは比較動作が行われるから、送信モード43で比較動作が行われない可能性がある場合に比べ、報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池駆動装置及び該電池駆動装置を用いたセンサシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池を電源として動作する負荷部と、電池の両端電圧を監視するとともに、電池の両端電圧が所定の電圧(以下、「報知電圧」と呼ぶ。)まで低下したときに使用者に報知する報知部とを有する電池駆動装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。上記の報知電圧は、負荷部の動作が不可能となるときの電池の両端電圧(以下、「停止電圧」と呼ぶ。)よりもやや高い電圧とされる。
【0003】
すなわち、負荷部の動作が不可能になる程度まで電池が消耗するという電池切れが発生する前に、上記の報知によって電池の交換や充電が促されることで、電池切れを防止することができる。
【0004】
電池の両端電圧と報知電圧を比較する比較動作は、例えば図5に示すタイミングTcのように所定時間おきに定期的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−281730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、それぞれ消費電力が異なる複数個の動作モードを負荷部が有する場合を考える。具体的には、負荷部が、図5に示すように、消費電力が最も小さい動作モードとしての待機モード41の合間に、消費電力が最も大きい動作モードとして無線信号を送信する送信モード43の動作を、間欠的に行う場合を考える。図5の例で送信される無線信号はセンサの出力を示すものであり、各送信モード43の前にはそれぞれセンサの出力を読み取る動作モードである読取モード42の動作が行われている。
【0007】
すると、電池の消耗の程度が同じであっても、電池の内部抵抗の影響により、待機モード41に比べて電池からの出力電流が多くなる送信モード43では電池の両端電圧がより低くなる。
【0008】
従って、各動作モードで報知電圧が共通とされる場合において、図5のように比較動作が待機モード41中にしか行われない状態が長時間継続した場合、待機モード41において電池電圧が報知電圧を上回っていても送信モード43中に電池電圧が停止電圧を下回り(つまり電池切れが発生し)、報知が行われないまま負荷部の動作が停止してしまう可能性があった。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い電池駆動装置及び該電池駆動装置を用いたセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電池駆動装置は、電池と、前記電池を電源として消費電力がそれぞれ異なる複数通りの動作モードで動作する負荷部と、前記電池の両端電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部によって検出された両端電圧を所定の報知電圧と比較するという比較動作を行う制御部と、前記比較動作において前記両端電圧が前記報知電圧を下回っていたときに前記制御部に制御されて前記電池の両端電圧の低下を使用者に報知するための報知動作を行う報知部とを備え、前記制御部は、消費電力が最も多い動作モードである最大消費モードでの前記負荷部の動作毎に少なくとも1回ずつは前記比較動作を行うことを特徴とする。
【0011】
この電池駆動装置において、前記負荷部の動作モードが前記最大消費モード以外である状態で前記比較動作が行われる際に、一時的に、前記電池の出力電流を、前記負荷部の動作モードが前記最大消費モードである状態での前記電池の出力電流と同等とする電力消費部を備えることが望ましい。
【0012】
また、本発明のセンサシステムは、それぞれ上記いずれかの電池駆動装置である少なくとも1個のセンサ装置と、各センサ装置から送信される無線信号を受信する受信装置とを備え、各前記センサ装置の前記負荷部は、それぞれ、センサと、前記センサによって得られたデータを示す前記無線信号を送信する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部とを有し、前記負荷部は、前記動作モードとして、前記制御部が前記センサの出力を読み取る読取モードと、前記読取モードで読み取られた出力を示す無線信号を前記無線通信部が前記受信装置に送信する送信モードと、前記読取モードと前記送信モードとのいずれよりも消費電力が少ない状態で待機する待機モードとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最大消費モードでは確実に1回ずつは比較動作が行われるから、最大消費モードで比較動作が行われない可能性がある場合に比べ、報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の動作を示す説明図である。
【図2】同上を用いたセンサシステムの一例を示すブロック図である。
【図3】同上を示すブロック図である。
【図4】同上の変更例の要部を示す回路ブロック図である。
【図5】従来例の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態における電池駆動装置としてのセンサ装置1は、図2に示すように、それぞれセンサ10(図3参照)を有してセンサ10で得られたデータを示す無線信号を送信する複数個のセンサ装置1と、上記の無線信号を受信する受信装置2と、受信装置2に受信された無線信号に示されたデータを集計する管理装置3とで構成されるセンサシステムで用いられる。受信装置2と管理装置3との間の通信については、有線で行われてもよいし、無線で行われてもよい。また、管理装置3と受信装置2とを一体に(つまり1個のハウジング内に)構成してもよい。
【0017】
詳しく説明すると、センサ装置1は、図3に示すように、センサ10と、電池11と、無線信号を送信する無線通信部12と、無線通信部12を制御する制御部13と、電池11の両端電圧を検出する電圧検出部14と、電池11の両端電圧の低下を使用者に報知するための報知部15とを備える。
【0018】
上記のようなセンサシステムによって集計されるデータとしては、例えば、建物内での消費電力や、温度や、湿度などが考えられる。管理装置3は、集計されたデータを表示する液晶パネル等の表示手段(図示せず)を有する。集計されるデータが上記のいずれの場合であっても、センサ10や管理装置3は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0019】
また、電池11としては一次電池を用いてもよいし、二次電池を用いてもよい。
【0020】
さらに、上記の無線信号としては、例えば電波が用いられる。この場合、無線通信部12と受信装置2とはそれぞれ電波を送受信するための電気回路及びアンテナを有する。
【0021】
また、電圧検出部14は、例えば、電池11の両端電圧を分圧して制御部13に入力する分圧抵抗からなる。
【0022】
制御部13は、例えばマイコンからなり、所定のタイミングで、電圧検出部14に検出された両端電圧を所定の報知電圧と比較するという比較動作を行う。そして、この比較動作において、上記の両端電圧が報知電圧未満であれば、使用者に対して電池11の消耗を報知する報知動作を行うように報知部15を制御する。報知部15としては、例えば、発光ダイオードのような発光素子を有して報知動作として発光素子の点灯状態を変化させるものや、液晶パネルを有して報知動作として液晶パネルへの表示を行うものなどが考えられる。または、制御部13は、上記の両端電圧が報知電圧未満であったときに、上記の報知を指示する無線信号を管理装置3に対して送信するように無線通信部12を制御してもよい。この場合、無線通信部12が報知部を兼ねることになる。上記のような制御部13や報知部15は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0023】
ここで、本実施形態では、負荷部は、センサ10と、無線通信部12と、制御部13とで構成されている。負荷部の動作モードとしては、図1に示すように、消費電力が抑えられた待機モード41の動作の合間に、制御部13がセンサ10の出力を読み取る読取モード42の動作と、無線通信部12が制御部13の制御に従って無線信号を送信する送信モード43の動作とが間欠的に行われる。消費電力としては、待機モード41で消費電力が最も小さくなり、送信モード43で最も消費電力が最も大きくなり、読取モード42での消費電力は中程度となる。つまり、送信モード43が最大消費モードである。
【0024】
読取モード42の動作は、例えば、予め定められた時間毎に、定期的に行われる。また、送信モード43の動作は、送信する無線信号が他のセンサ装置1の無線信号と干渉しないようにセンサ装置1毎に異なる適宜のタイミングで行なわれる。または、読取モード42の動作や送信モード43の動作が行われるタイミングは、これらの動作を要求する所定の無線信号が無線通信部12に受信されたタイミングであってもよい。
【0025】
図1に、制御部13が比較動作を行うタイミングTcの一例を示す。図1の例では、制御部13は、動作モードが切り替わる毎に1回ずつ比較動作を行っている。
【0026】
上記構成によれば、最大消費モードである送信モード43では確実に1回ずつは比較動作が行われるから、送信モード43で比較動作が行われない可能性がある場合に比べ、報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い。
【0027】
また、図1のように、動作モードが切り替わる毎に少なくとも1回ずつ比較動作を行えば、どの動作モードが最大消費モードであるか不明な場合であっても、確実に、最大消費モードで比較動作を行うことができる。
【0028】
ところで、全ての動作モードで報知電圧を共通とした場合、送信モード43が行われない状態が長時間続いた後に送信モード43が行われたとき、報知動作が行われないまま動作が停止してしまうことが考えられる。そこで、動作モードにおける消費電力が小さいほど報知電圧を高くするといったように、動作モード毎に報知電圧を異ならせてもよい。この構成を採用すれば、読取モード42中や待機モード41中には送信モード43中よりも報知電圧が低くされることで報知動作が行われやすくなるから、全ての動作モードで報知電圧が共通とされる場合に比べ、報知が行われないまま動作が停止してしまう可能性が低い。
【0029】
または、図4に示すように、動作モードが送信モード43(すなわち最大消費モード)以外である状態で比較動作が行われる際(少なくとも、制御部13が電圧検出部14の出力を読み取る期間中)に、一時的に、電池11の出力電流を、動作モードが送信モード43である状態での電池11の出力電流と同等とする電力消費部16を設けてもよい。図4の例では、電池11の電力は、電池11を電源として所定の電源電圧を生成するレギュレータ17を介して各部に供給されている。電力消費部16は、それぞれ1個の抵抗R1〜R3と1個のスイッチング素子Q1〜Q3とからなる直列回路が3個、レギュレータ17の出力端子とグランドとの間に互いに並列に接続されたものである。スイッチング素子Q1〜Q3としては例えばトランジスタなどの周知の半導体スイッチを用いることができる。制御部13は、例えば、待機モード41中に比較動作が行われる際には電力消費部16の全てのスイッチング素子Q1〜Q3をオン制御することで電池11からの出力電流を送信モード43中と同等とし、読取モード42中に比較動作が行われる際にはスイッチング素子Q1〜Q3のうち1個又は2個をオン制御することで電池11からの出力電流を送信モード43中と同等とする。この構成を採用すれば、最大消費モードである送信モード43以外(すなわち待機モード41や読取モード42)で比較動作が行われた場合であっても、比較動作の際には電池11からの出力電流は送信モード43中と同等となる。従って、比較動作の際には電池11の両端電圧は動作モードに関わらず送信モード43中と同等となるから、動作モード毎に報知電圧を異ならせなくても、送信モード43の間隔が長い場合において報知動作が行われないまま動作が停止してしまうことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 センサ装置(電池駆動装置)
2 受信装置
10 センサ(負荷部の一部)
11 電池
12 無線通信部(負荷部の一部)
13 制御部(負荷部の一部を兼ねる)
14 電圧検出部
15 報知部
16 電力消費部
41 待機モード
42 読取モード
43 送信モード(最大消費モード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池を電源として消費電力がそれぞれ異なる複数通りの動作モードで動作する負荷部と、
前記電池の両端電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出された両端電圧を所定の報知電圧と比較するという比較動作を行う制御部と、
前記比較動作において前記両端電圧が前記報知電圧を下回っていたときに前記制御部に制御されて前記電池の両端電圧の低下を使用者に報知するための報知動作を行う報知部とを備え、
前記制御部は、消費電力が最も多い動作モードである最大消費モードでの前記負荷部の動作毎に少なくとも1回ずつは前記比較動作を行うことを特徴とする電池駆動装置。
【請求項2】
前記負荷部の動作モードが前記最大消費モード以外である状態で前記比較動作が行われる際に、一時的に、前記電池の出力電流を、前記負荷部の動作モードが前記最大消費モードである状態での前記電池の出力電流と同等とする電力消費部を備えることを特徴とする請求項1記載の電池駆動装置。
【請求項3】
それぞれ請求項1又は請求項2の電池駆動装置である少なくとも1個のセンサ装置と、各センサ装置から送信される無線信号を受信する受信装置とを備え、
各前記センサ装置の前記負荷部は、それぞれ、センサと、前記センサによって得られたデータを示す前記無線信号を送信する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部とを有し、
前記負荷部は、前記動作モードとして、前記制御部が前記センサの出力を読み取る読取モードと、前記読取モードで読み取られた出力を示す無線信号を前記無線通信部が前記受信装置に送信する送信モードと、前記読取モードと前記送信モードとのいずれよりも消費電力が少ない状態で待機する待機モードとを有することを特徴とするセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−161151(P2012−161151A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18464(P2011−18464)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(592070649)パナソニック電工SUNX竜野株式会社 (61)
【Fターム(参考)】