説明

電流密度分布センサ及びその製造方法並びに燃料電池システム

【課題】計測精度に優れる電流密度分布センサ及びその製造方法並びに燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック1に介装され、検知対象セルの電流密度分布を検知する電流密度分布センサ20であって、電気絶縁性のベースプレート21と、ベースプレート21の検知対象セルへの対向面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された表面のガス流路形成体22−1と、ベースプレート21の反対面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された裏面のガス流路形成体22−2と、ベースプレート21に内蔵され、表面のガス流路形成体22−1と裏面のガス流路形成体22−2とを相互に導通する複数個の電流センサ23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電流密度分布センサ及びその製造方法並びに燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池の流路設計評価や故障検知、品質保証といった種々の目的のために、その電極における電流密度分布を計測する方法が提案されている。たとえば特許文献1には、反応ガス流路に電位測定線や熱電対を挿入して各部分の抵抗電位降下や温度を計測して電流密度分布を推定する方法が開示されている。なお他に関連する特許文献としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4がある。
【特許文献1】特開平9−223512号公報
【特許文献2】特開2006−234566号公報
【特許文献3】特開2004−152501号公報
【特許文献4】特開2006−19621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述した従来の方法では、電流値を直接計測するのではなく推定するので、計測精度に劣る。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、計測精度に優れる電流密度分布センサ及びその製造方法並びに燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0006】
本発明は、燃料電池スタック(1)に介装され、検知対象セルの電流密度分布を検知する電流密度分布センサ(20)であって、電気絶縁性のベースプレート(21)と、前記ベースプレート(21)の前記検知対象セルへの対向面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された表面のガス流路形成体(22−1)と、前記ベースプレート(21)の反対面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された裏面のガス流路形成体(22−2)と、前記ベースプレート(21)に内蔵され、前記表面のガス流路形成体(22−1)と前記裏面のガス流路形成体(22−2)とを相互に導通する複数個の電流センサ(23)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気絶縁性のベースプレートの表裏面に導電体のガス流路形成体を設け、そのガス流路形成体に電流センサを接続したので、電流はベースプレートの内部を流れることがない。このため電流密度分布センサで検知した電流密度分布は、ベースプレートが導電性である場合に比較して、局所的な電流密度分布を正確に検出できるようになったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による電流密度分布センサを使用する燃料電池を示す図であり、図1(A)は全体斜視図、図1(B)は電流密度分布センサの単品を抜き出して示す斜視図、図1(C)は燃料電池の一部の断面を拡大して示す図である。
【0009】
燃料電池スタック1は、複数の発電セル10を積層し、その両側からエンドプレート40で挟持する構成である。
【0010】
発電セル10は、燃料電池の単位セルである。各発電セル10は、1ボルト(V)程度の起電圧を生じる。
【0011】
発電セル10は、図1(C)に示すように、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;以下「MEA」という)11の表裏面にセパレータ12が積層された構造である。
【0012】
MEA11は、イオン交換膜からなる電解質膜11aの両面に電極触媒層11bが形成されている。この電極触媒層11bに、セパレータ12が重なる。
【0013】
セパレータ12は、表裏面に凹凸が形成され、その凹部がガス流路12aとなる。片面のガス流路12aにカソードガスが流れ、裏面のガス流路12aにアノードガスが流れる。なお反応ガスの漏出を防止するためにシール13が配置されている。セパレータ12の内部には冷却水流路12bが形成される。
【0014】
セパレータのうち、一部(図1では一枚)がセパレータ兼用電流密度分布センサ20となっている。
【0015】
電流密度分布センサ20も基本形状は、セパレータ12と同様である。すなわち表裏面に凹凸が形成され、その凹部がガス流路20aとなる。片面のガス流路20aにカソードガスが流れ、裏面のガス流路20aにアノードガスが流れる。さらに詳しく説明すると、電流密度分布センサ20は、ベースプレート21に、ガス流路形成体22が形成される。
【0016】
ベースプレート21は、電気絶縁性である。ベースプレート21には、コネクタエッジ21aが突出形成される。そのためベースプレート21は凸形である。ベースプレート21には、電流センサ23が内蔵される。詳細は後述する。
【0017】
ガス流路形成体22は、導電性である。ガス流路形成体22は、複数列配置される。ガス流路形成体22は、列ごとに1本の四角柱形状である。その複数列のガス流路形成体22は、相互に電気的に独立である。複数列のガス流路形成体22の相互間が、反応ガス流路20aになる。
【0018】
MEA11、セパレータ12及び電流密度分布センサ20には、それぞれ孔41a,41b,42a,42b,43a,43bが形成されており、これらが重ねられて、アノード供給口41a、アノード排出口41b、カソード供給口42a、カソード排出口42b、冷却水供給口43a及び冷却水排出口43bが形成される。
【0019】
エンドプレート40は、積層された発電セル10の最外部分に配置される。エンドプレート40は、剛性のある金属材料、たとえば鋼などで形成される。
【0020】
一方のエンドプレート40(図1では、左手前のエンドプレート40)には、アノード供給口41aと、アノード排出口41bと、カソード供給口42aと、カソード排出口42bと、冷却水供給口43aと、冷却水排出口43bとが設けられている。本実施形態では、カソード供給口42a、冷却水供給口43a及びカソード供給口42aは図中右側に設けられている。またアノード排出口41b、冷却水排出口43b及びカソード排出口42bは図中左側に設けられている。
【0021】
なお図示を省略するが、エンドプレート40の四隅付近には、ナットがそれぞれ配置される。燃料電池スタック1は内部に貫通した孔(不図示)が形成されている。この貫通孔にはテンションロッド(不図示)が挿通される。テンションロッドは、剛性のある金属材料、たとえば鋼などで形成される。テンションロッドは、発電セル同士の電気短絡を防止するため、表面には絶縁処理されている。このテンションロッドの両端に上述したナットが螺合する。ナットとテンションロッドとが燃料電池スタック1を積層方向に締め付ける。
【0022】
アノード供給口41aにアノードガスとしての水素を供給する方法としては、例えば水素ガスを水素貯蔵装置から直接供給する方法、又は水素を含有する燃料を改質して改質した水素含有ガスを供給する方法などがある。なお、水素貯蔵装置としては、高圧ガスタンク、液化水素タンク、水素吸蔵合金タンク等がある。水素を含有する燃料としては、天然ガス、メタノール、ガソリン等がある。また、カソード供給口42aに供給するカソードガスとしては、一般的に空気が利用される。
【0023】
(電流密度分布センサの構造の第1実施形態)
図2は、本発明による電流密度分布センサの構造の第1実施形態を示す図である。なおこの図は電流密度分布センサの一部分の拡大図である。
【0024】
上述のように、電流密度分布センサ20は、セパレータを兼用する。電流密度分布センサ20は、ベースプレート21に、ガス流路形成体22が形成されている。
【0025】
ベースプレート21は、電気絶縁性である。ベースプレート21には、コネクタエッジ21aが突出形成されている。
【0026】
ガス流路形成体22は、導電性である。ガス流路形成体22は、ベースプレート21の表裏面に複数列配置される。本実施形態では、ベースプレート21の表面(図2では上面)に、3列のガス流路形成体22が配置される。またベースプレート21の裏面(図2では下面)にも、3列のガス流路形成体22が配置される。また本実施形態では、ベースプレート21の表裏面に対向してそれぞれの3列のガス流路形成体22が配置されている。
【0027】
複数列のガス流路形成体22は、相互に電気的に独立である。すなわちベースプレート21の上面に配置された3列のガス流路形成体22は、相互に電気的に独立である。またベースプレート21の下面に配置された3列のガス流路形成体22も、相互に電気的に独立である。複数列のガス流路形成体22の相互間が、反応ガス流路20aになる。
【0028】
ベースプレート21には、電流センサ23が内蔵されている。電流センサ23は、たとえばシャント抵抗である、電流センサ23の電極は、ベースプレート21の表裏面に対向する一対のガス流路形成体22にそれぞれ接続される。また電流センサ23の電極に信号線24が接続され、その信号線24がコネクタエッジ21aまで延設される。信号線24の端部が端子24aである(図3(A)参照)。端子間の電圧Vcに基づいて電流センサ23に流れる電流が求まる。
【0029】
(電流密度分布センサの製造方法の第1実施形態)
図3は、本発明による電流密度分布センサの製造方法の第1実施形態を説明する図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は断面図である。
【0030】
信号線24をプリントしたベースプレート21を、多層プリント基板製造プロセスによって製造する(ベースプレート製造工程#101)。
【0031】
次にベースプレート21に、電流センサとなる抵抗素子23を実装する(抵抗素子実装工程#102)。
【0032】
続いて、実装された抵抗素子23の電極をベースプレート21の表層面に導通させる(スルーホール処理工程#103)。具体的には銅メッキを堆積さて柱状にすることで導通させる。
【0033】
そして、そのベースプレート21の片面に表面ガス流路形成体22−1を接合して抵抗素子23に導通させるとともに、ベースプレート21の裏面に裏面ガス流路形成体22−2を接合してその抵抗素子23に導通させる(導通工程#104)。
【0034】
以上の工程によって電流密度分布センサが完成する。ガス流路形成体22の接合は、たとえば導電性の接着剤などを使用すればよい。
【0035】
図4及び図5は、本実施形態の効果を説明する図である。各図において図(A)は断面モデルを示す。また図(B)、図(C)は、電流密度の大きさを棒グラフで示す。図(B)は電流密度分布の実際値であり、図(C)は電流密度分布センサでの検知値である。xy軸は平面方向を示し、これによりxy平面における電流密度の分布が分かる。
【0036】
上述のように、本発明は、セパレータを兼用する電流密度分布センサ20を、電気絶縁性のベースプレート21と、導電性のガス流路形成体22と、によって、構成した点に特徴がある。
【0037】
図4に示すように仮にベースプレート21も導電性である場合に、電流i0が図4(A)に示すように燃料電池の中心に流れたときについて説明する。このとき実際の電流密度分布は、図4(B)のように局所的な電流密度分布である。しかしベースプレート21が導電性である場合には、電流がベースプレート21の内部を流れてしまい、電流密度分布センサで検知した電流密度分布は、図4(C)のようになり、局所的な電流密度分布を必ずしも正確には検出できない。
【0038】
これに対して、本発明のベースプレート21は、電気絶縁性である。電流i0が図5(A)に示すように燃料電池の中心に流れた場合で説明する。この場合も実際の電流密度分布は、図5(B)のように局所的な電流密度分布である。そしてベースプレート21が電気絶縁性であるので、電流はベースプレート21の内部を流れることがない。このため電流密度分布センサ20で検知した電流密度分布は、図5(C)のようになり、ベースプレート21が導電性である場合に比較して、局所的な電流密度分布を正確に検出できるようになる。
【0039】
(電流密度分布センサの構造の第2実施形態)
図6は、本発明による電流密度分布センサの構造の第2実施形態を示す図である。なおこの図は電流密度分布センサの一部分の拡大図である。
【0040】
上述の実施形態においては、ガス流路形成体22は、列ごとに1本の四角柱形状である。本実施形態では、一列のガス流路形成体22を、複数の導電性リブ221で形成するようにした。図6においては、4つの導電性リブ221を並べて一列のガス流路形成体22を構成する。それらの導電性リブ221は、電気絶縁性の接着剤で互いに接着されており、相互に電気的に独立である。電流センサ23は、導電性リブ221ごとに設けられる。すなわち図6においては、4つの導電性リブ221に対応して、導電性リブ221ごとに電流センサ23が設けられている。
【0041】
図7は、本実施形態の効果を説明する図であり、図4,図5に対応する図である。
【0042】
本実施形態は、一列のガス流路形成体22を、相互に電気的に独立な複数の導電性リブ221で形成するように構成した点に特徴がある。
【0043】
電流i0が図7(A)に示すように燃料電池の中心に流れた場合で説明する。実際の電流密度分布は、図7(B)のように局所的な電流密度分布である。一列のガス流路形成体22が、相互に電気的に独立な複数の導電性リブ221で形成されているので、電流は導電性リブ間に流れることがない。このため電流密度分布センサ20で検知した電流密度分布は、図7(C)のようになり、ガス流路形成体22が一本で一体的に形成されている場合に比較して、局所的な電流密度分布を正確に検出できるようになる。
【0044】
(電流密度分布センサの構造の第3実施形態)
図8は、本発明による電流密度分布センサの構造の第3実施形態を示す図であり、図8(A)は断面図、図8(B)は図8(A)のB部拡大図である。
【0045】
上述の実施形態においては、ガス流路形成体22を接着剤で接合した。本実施形態では、ベースプレート21にガス流路形成体22よりも幅狭の挟持溝21bを凹設し、その挟持部21bにガス流路形成体22を圧入して固定する。なおガス流路形成体22は電流センサ23の電極に導通している。
【0046】
このように構成すれば、接着剤を使用しないので軽量であり、製造コストが安価である。また接着剤成分が溶出するとMEAが劣化する可能性があるが、本実施形態によればそのような問題も生じない。さらにリペアも容易になる。
【0047】
(電流密度分布センサの構造の第4実施形態)
図9は、本発明による電流密度分布センサの構造の第4実施形態を示す図であり、図9(A)は断面図、図9(B)は図9(A)のB部拡大図である。
【0048】
上述の実施形態においては、四角柱形状のガス流路形成体22をベースプレート21に圧入固定した。本実施形態では、ガス流路形成体22に段付脚部22aを形成し、その段付脚部22aをベースプレート21の穴部に挿入することでガス流路形成体22を固定する。
【0049】
より具体的には、ベースプレート21を、ベースプレートボディ211と、ベースプレートカバ212と、で構成する。ベースプレートボディ211には、穴部211aが凹設される。ベースプレートカバ212には、穴部211aよりも小径の孔212aが穿孔されている。またこの孔212aは、ガス流路形成体22の段付脚部22aの段部径よりも小径である。ベースプレートカバ212は、ベースプレートボディ211に重なる。
【0050】
このような構成になっており、ガス流路形成体22は、段付脚部22aが孔212aに挿入されて固定される。
【0051】
このように構成すれば、ガス流路形成体22を一層確実に固定可能である。
【0052】
(電流密度分布センサの構造の第5実施形態)
図10は、本発明による電流密度分布センサの構造の第5実施形態を示す断面図である。
【0053】
上述の実施形態においては、ガス流路形成体22は、中実の四角柱形であったが、本実施形態においては、図10に示すように中空状にし、内部に冷媒(冷却水)が流れるようにした。
【0054】
図11は、ガス流路形成体に冷媒を流すための構造を説明する図であり、図11(A)は電流密度分布センサを示す斜視図、図11(B)は電流密度分布センサを寝かした状態を示す部分拡大斜視図である。
【0055】
上述の通り、MEA11、セパレータ12及び電流密度分布センサ20に形成された孔が重ねられて、冷却水供給口43aや冷却水排出口43bなどが形成されている。なお冷却水供給口43aが冷媒(冷却水)の流れる冷媒マニホールドである。
【0056】
ベースプレート21には、この冷媒マニホールドを流れる冷却水が分岐して流れる分岐流路21cが凹設されている。また分岐流路21cを流れた冷却水が流れる中空ジョイント31がベースプレート21に取り付けられる。中空ジョイント31は脚31aを備え、この脚31aがベースプレート21に穿孔された孔に挿入されて固定される。そしてこの中空ジョイント31に中空パッキン32の一端が挿入される。中空パッキン32の他端は、中空状のガス流路形成体22に挿入される。中空パッキン32はフッ素ゴムやシリコンなどで形成された弾性体である。
【0057】
このような構成になっているので、冷却水供給口(冷媒マニホールド)43aを流れた冷媒(冷却水)の一部が分岐して、分岐流路21c→中空ジョイント31→中空ジョイント31→ガス流路形成体22と流れる。
【0058】
本実施形態のように構成することで、燃料電池の発電反応時に生じた熱を冷却可能である。これにより温度上昇によるドライアウトを防止できる。また冷却水流路12bが内蔵されてたセパレータ12に重なり電流密度分布センサ20に重ならない他の発電セルとほぼ同じコンディションで電流密度分布を測定できるので、代表セル検出による燃料電池全体制御の信頼性(制御性)が高くなるのである。
【0059】
(電流密度分布センサの構造の第6実施形態)
図12は、本発明による電流密度分布センサの構造の第6実施形態を示す断面図である。
【0060】
本実施形態においては、ベースプレート21の内部にも冷媒通路21dを形成した。
【0061】
本実施形態のように構成することで、燃料電池の発電反応時に生じた熱をさらに効率よく冷却可能である。
【0062】
(電流密度分布センサの構造の第7実施形態)
図13は、本発明による電流密度分布センサの構造の第7実施形態を示す断面図である。
【0063】
本実施形態においては、ベースプレート21の下面にガス流路形成体22−2を相互に導通する導電プレート50を設けた。なおベースプレート21の上面が検知対象セルに重ねられる面であり、ベースプレート21の下面が非検知対象セルに重ねられる面である。
【0064】
本実施形態のように構成することで、ガス流路形成体22−2の電位がすべて略同電位となり、非検知対象セルの電流密度分布の影響を受けにくくなる。このため検知対象セルと非検知対象セルとで電流密度分布の差が生じた場合でも、検知対象セルの電流密度分布を正確に検出することができるのである。
【0065】
なお本実施形態では、導電プレート50をベースプレート21に重ねたが、隣設セルのセパレータによってガス流路形成体22−2を相互に導通する構造としてもよい。このようにすれば、専用の導電プレートが不要になるので簡易に実施可能である。
【0066】
(電流密度分布センサの構造の第8実施形態)
図14は、本発明による電流密度分布センサの構造の第8実施形態を示す断面図である。
【0067】
本実施形態においては、電流センサ23に対応する温度センサ60を設けた。温度センサ60の取付方法は、電流センサ23と同様にすればよい。なお図14ではひとつの電流センサ23ごとにひとつの温度センサ60を設けるようにしてあるが、複数の電流センサに対応する温度センサ60を設けてもよい。たとえばガス流路形成体22の一列ごとにひとつの温度センサ60を設けてもよい。要求性能や製造コストなどを勘案して適宜決定すればよい。
【0068】
電流センサ23の検知値は温度影響を受ける。そこで本実施形態のように、電流センサ23に対応する温度センサ60を設け、温度センサ60によって電流センサ23の検知値を補償することで、一層正確に電流密度分布を検知できる。また電流密度分布の検出分解能を高めることができる。
【0069】
(電流密度分布センサの製造方法の第2実施形態)
図15は、本発明による電流密度分布センサの製造方法の第2実施形態を説明する図である。
【0070】
本実施形態では、最初に、信号線24をプリントしたベースプレート21を、多層プリント基板製造プロセスによって製造する(ベースプレート製造工程#101)。
【0071】
次にベースプレート21に、電流センサとなる抵抗素子23を実装する(抵抗素子実装工程#102)。
【0072】
続いて、抵抗素子23が実装されたベースプレート21に、抵抗素子23の電極が表出するように穴を形成する(削穴工程#201)。
【0073】
そして、形成された穴に、導電ロッド70を挿入する(ロッド挿入工程#202)。
【0074】
さらに、導電ロッド70が挿入されたベースプレート21の表面を、導電ロッド70とともに表面研磨する(研磨工程#203)。
【0075】
以上の工程によって電流密度分布センサ20が完成する。
【0076】
このように電流密度分布センサ20の表面を研磨することで、表面の平面度を精緻に保つことができる。上述のように、燃料電池は、多くのMEA11やセパレータ12や電流密度分布センサ20などを積層し、エンドプレート40で挟持する構成であるので、平面度が悪いと、捩れ等により所望の発電性能が得られない可能性がある。本実施形態のように平面度を高く保つことで、そのような事態を回避できる。そして測定対象のMEAとの接触抵抗を均一化させることができ、接触抵抗の不均一による電流密度分布の測定誤差を低減可能である。
【0077】
(電流密度分布センサの製造方法の第3実施形態)
図16は、本発明による電流密度分布センサの製造方法の第3実施形態を説明する図である。
【0078】
本実施形態では、最初に、信号線24をプリントしたベースプレート21を、多層プリント基板製造プロセスによって製造する(ベースプレート製造工程#101)。
【0079】
次にベースプレート21に、電流センサとなる抵抗素子23を実装する(抵抗素子実装工程#102)。
【0080】
続いて、実装された抵抗素子23の電極に導通する配線81を、ベースプレート21の表裏面に配置する(配線配置工程#301)。
【0081】
そして、その配線81に導通するように、ベースプレート21の表面に表面ガス流路形成体22−1を配置し、ベースプレート21の裏面に裏面ガス流路形成体22−2を配置する(ガス流路形成体配置工程#302)。
【0082】
さらに、そのベースプレート21をメス型80に納めて加圧して、ベースプレート21にガス流路形成体22を一体化させる(ダイキャスト成型工程#303)。
【0083】
このようにすれば、電流密度分布センサ20を短時間での大量生産可能であり、製造コストを低減できる。
【0084】
(電流密度分布センサを使用する燃料電池システム)
図17は、本発明による電流密度分布センサを使用する燃料電池システムを示す図である。
【0085】
燃料電池システム100の燃料電池スタック1は、上述した電流密度分布センサ20を含む。
【0086】
燃料電池システム100のカソード流路110の上流側にはブロア111が設けられる。このブロア111によって空気(カソードガス)が燃料電池スタック1に供給される。ブロア111を制御することでカソードガス流量を調整できる。カソード流路110の下流側には排気弁112とカソード圧力センサ113とが設けられる。排気弁112を制御することでカソードガス圧力を調整できる。
【0087】
燃料電池システム100のアノード流路120の上流側には燃料供給バルブ121とアノード圧力センサ122とが設けられる。燃料供給バルブ121を制御することで発電量を調整できる。アノード流路120の下流側には循環ポンプ123とパージ弁124とが設けられる。循環ポンプ123とパージ弁124との間から循環流路120aが分岐する。
【0088】
燃料電池システム100の冷媒流路130の上流側には流量弁131が設けられる。流量弁131を制御することで冷却量を調整できる。
【0089】
電流密度分布センサ20の電流密度分布信号、温度分布信号、カソード圧力信号、アノード圧力信号などに基づいて、FC運転コントローラ150は、ブロア111、排気弁112、燃料供給バルブ121、循環ポンプ123、流量弁131、電力調整装置140などを制御する。なおFC運転コントローラ150は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ150を複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。
【0090】
図18は、本発明による燃料電池システムの制御内容をまとめた図である。
【0091】
燃料電池システムは、この図18に示されたような制御を実行する。具体的な内容は、図19以降のフローチャートに沿って説明する。
【0092】
(ドライアウト回避制御)
図19は、本発明による燃料電池システムのドライアウト回避制御を示すフローチャートである。
【0093】
ステップS100においてコントローラは、電流密度分布及びセル温度分布を検出する。
【0094】
ステップS210においてコントローラは、カソード入口側の電流密度が低下したか否かを判定し、ステップS220においてコントローラは、カソード入口側の温度が上昇したか否かを判定する。カソード入口側の電流密度が低下し、温度が上昇していれば、発電量が小さいのに温度が高い状態であり、カソード入口側でドライアウト状態である可能性が高い。そこでステップS230へ処理を移行しドライアウト回避制御を実行する。ステップS210及びステップS220のいずれか一方でも否であれば、ドライアウトの可能性は高くないので、ステップS800へ処理を移行し通常運転制御を実行する。
【0095】
ステップS231においてコントローラは、流量弁131を開く。すると冷却水の流量が増加し、セル温度が低下する。
【0096】
ステップS232においてコントローラは、燃料供給バルブ121を開き、ブロア111の回転をアップする。するとアノードガス及びカソードガスの流量が増大する。
【0097】
ステップS233においてコントローラは、排気弁112を絞る。するとカソードガスの圧力が増大し、露点が上昇し高加湿状態になる。
【0098】
ステップS234においてコントローラは、電力調整装置140の出力を増大する。すると発電量が増加する。そして生成水及び高加湿により電解質膜が湿潤しドライアウトを回避できる。
【0099】
(フラッディング回避制御)
図20は、本発明による燃料電池システムのフラッディング回避制御を示すフローチャートである。
【0100】
ステップS100においてコントローラは、電流密度分布及びセル温度分布を検出する。
【0101】
ステップS310においてコントローラは、カソード出口側の電流密度が低下したか否かを判定し、ステップS320においてコントローラは、カソード出口側の温度が低下したか否かを判定する。カソード出口側の電流密度が低下し、温度が低下していれば、発電電流のわりに温度が低い状態であり、カソード出口側でフラッディング状態である可能性が高い。そこでステップS330へ処理を移行しフラッディング回避制御を実行する。ステップS310及びステップS320のいずれか一方でも否であれば、フラッディングの可能性が高くないので、ステップS800へ処理を移行し通常運転制御を実行する。
【0102】
ステップS331においてコントローラは、排気弁112を開く。するとカソードガスの圧力が増大し、露点が降下し乾燥状態になる。
【0103】
ステップS332においてコントローラは、流量弁131を閉じる。すると冷却水の流量が減少し、セル温度が上昇する。
【0104】
ステップS333においてコントローラは、循環ポンプ123及びブロア111の回転をアップする。するとアノードガス及びカソードガスの流量が増大し、ガス流速が増してセル内の排水性が促進される。
【0105】
ステップS334においてコントローラは、電力調整装置140の出力を増大する。すると発電量が増加する。そしてセル温度上昇と供給ガス乾燥との相乗効果によって電解質膜が乾燥しフラッディングを回避できる。
【0106】
(劣化回復制御)
図21は、本発明による燃料電池システムの劣化回復制御を示すフローチャートである。
【0107】
ステップS410においてコントローラは、運転履歴を参照する。
【0108】
ステップS420においてコントローラは、その運転履歴に基づいて劣化の可能性がある時期であるのか否かを判定する。劣化の可能性があればステップS430へ処理を移行し劣化回復制御を実行する。そうでなければステップS800へ処理を移行し通常運転制御を実行する。
【0109】
ステップS100においてコントローラは、電流密度分布及びセル温度分布を検出する。
【0110】
ステップS431においてコントローラは、電流密度分布が通常運転状態の分布であるか否かを判定する。そのような状態でなければステップS432へ処理を移行し、そのような状態であればステップS433へ処理を移行する。
【0111】
ステップS432においてコントローラは、電流密度分布が通常運転状態の分布から外れている原因を補正するための補正制御を行い、再度ステップS100へ処理を移行する。なお補正制御としてはたとえば100A[アンペア]等の一定負荷での継続運転などがある。
【0112】
ステップS433においてコントローラは、セル温度分布が通常運転状態の分布であるか否かを判定する。そのような状態でなければステップS434へ処理を移行し、そのような状態であれば一旦処理を抜ける。
【0113】
ステップS432においてコントローラは、セル温度分布が通常運転状態の分布から外れている原因を補正するための補正制御を行い、再度ステップS100へ処理を移行する。なお補正制御としてはたとえば100A[アンペア]等の一定負荷での継続運転などがある。
【0114】
(起動制御)
図22は、本発明による燃料電池システムの起動制御を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS510においてコントローラは、冷却水を微少量だけ流す。
【0116】
ステップS520においてコントローラは、ガス圧を大気圧に制御する。
【0117】
ステップS530においてコントローラは、アノードガス及びカソードガスの流量制御を開始する。
【0118】
ステップS540においてコントローラは、微少発電での発電量制御を開始する。
【0119】
ステップS550においてコントローラは、起動が可能であるか否かを判定する。具体的には、電流密度分布及びセル温度分布を検出し(ステップS100)、電流密度分布が所定分布であるか否かを判定し(ステップS551)、セル温度分布が所定分布であるか否かを判定し(ステップS552)、いずれも肯であれば起動を許可し(ステップS553)、いずれか一方でも否であればまだ起動可能な状態に達していないと判定する(ステップS554)。
【0120】
ステップS560においてコントローラは、起動許可されたか否かを判定し、起動許可されたのであればステップS900へ処理を移行して起動運転制御を実行する。
【0121】
このように本発明による電流密度分布センサ20を使用することで、電流密度分布や温度分布を正確に検知することができ、そのような検知結果を使用して燃料電池の最適な運転状態を維持することが可能である。なお上記制御において電流センサの検知値を温度センサで補正すればさらに一層精緻な制御が可能になる。
【0122】
また燃料電池内部のドライアウトやフラッディングへの移行傾向をリアルタイムに検知できるので、ドライアウトやフラッディングへの移行を回避する制御を迅速に実行でき、実際にドライアウトやフラッディングに至ってしまうことを防止できる。このため燃料電池システムの出力異常を未然に防止できる。また燃料電池システムの故障や消耗を防止・低減することができ、その結果、耐久性を向上できるのである。
【0123】
また劣化傾向についても、発電累積時間などの運転履歴情報だけに頼らず、燃料電池システムの実際の劣化傾向を判定できるので、たとえば燃料電池スタックの製造上の個体差や、使用状態の違いによる劣化速度の変化があったとしても、正しく劣化傾向の検知が可能となる。そのため実際の劣化傾向に応じて、劣化を回復するための運転を制御でき、効果的に回復できる。さらには使用頻度の低い燃料電池については、不必要に劣化回復運転制御を行わなくてよい。このように使い勝手や、エネルギ消費(燃費)の悪化を防止できるのである。
【0124】
さらに起動運転についても、零下起動時など、燃料電池スタックが正常に起動できるか否かを直接的に検知できるので、制御の信頼性を高めることができるのである。
【0125】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
【0126】
たとえば、図1においては燃料電池に電流密度分布センサ20を一枚だけ使用しているが、要求性能や製造コストを考慮して使用枚数を適宜決定すればよい。
【0127】
また、電流センサとしては、検出精度(分解能)に優れるシャント抵抗を使用することが望ましいが、それに限らずホール素子を使用するタイプであっても同様の構成で同様の効果を得ることが可能である。
【0128】
さらに電流密度分布センサの構造の第2実施形態においては、隣設する導電性リブ同士を電気絶縁性の接着剤で相互に接着するという一例を挙げたが、そのような構造以外にもたとえば、電流密度分布センサの構造の第5実施形態(図11)の中空パッキン32のような絶縁性パッキンを用いて隣設する導電性リブ同士を連結してもよい。このような構造にして接着剤を使用しなければ、接着剤成分が溶出するおそれがなく、MEAの劣化要因を排除できる。
【0129】
さらにまた、電流密度分布センサの構造の第6実施形態においては、ベースプレート21の内部及びガス流路形成体22の両方に冷媒通路を形成したが、ベースプレート21の内部にのみ冷媒通路21dを形成し、ガス流路形成体22には、中実構造を使用してもよい。要求性能や製造コストを考慮して適宜決定すればよい。
【0130】
またベースプレート21の裏面に導電層を形成した場合には、その裏面に配置するガス流路形成体22を導電体で形成しても非導電体で形成しても、電流密度分布センサの構造の第7実施形態(図13)と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明による電流密度分布センサを使用する燃料電池を示す図である。
【図2】本発明による電流密度分布センサの構造の第1実施形態を示す図である。
【図3】本発明による電流密度分布センサの製造方法の第1実施形態を説明する図である。
【図4】電流密度分布センサが非導電体であった場合について説明する図である。
【図5】本実施形態の効果を説明する図である。
【図6】本発明による電流密度分布センサの構造の第2実施形態を示す図である。
【図7】第2実施形態の効果を説明する図である。
【図8】本発明による電流密度分布センサの構造の第3実施形態を示す図である。
【図9】本発明による電流密度分布センサの構造の第4実施形態を示す図である。
【図10】本発明による電流密度分布センサの構造の第5実施形態を示す断面図である。
【図11】ガス流路形成体に冷媒を流すための構造を説明する図である。
【図12】本発明による電流密度分布センサの構造の第6実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明による電流密度分布センサの構造の第7実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明による電流密度分布センサの構造の第8実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明による電流密度分布センサの製造方法の第2実施形態を説明する図である。
【図16】本発明による電流密度分布センサの製造方法の第3実施形態を説明する図である。
【図17】本発明による電流密度分布センサを使用する燃料電池システムを示す図である。
【図18】本発明による燃料電池システムの制御内容をまとめた図である。
【図19】本発明による燃料電池システムのドライアウト回避制御を示すフローチャートである。
【図20】本発明による燃料電池システムのフラッディング回避制御を示すフローチャートである。
【図21】本発明による燃料電池システムの劣化回復制御を示すフローチャートである。
【図22】本発明による燃料電池システムの起動制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0132】
1 燃料電池スタック
10 発電セル
11 膜電極接合体(MEA)
11a 電解質膜
11b 電極触媒層
12 セパレータ
20 電流密度分布センサ
20a ガス流路
21 ベースプレート
21a コネクタエッジ
22 ガス流路形成体
221 導電性リブ
23 電流センサ
40 エンドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックに介装され、検知対象セルの電流密度分布を検知する電流密度分布センサであって、
電気絶縁性のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記検知対象セルへの対向面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された表面のガス流路形成体と、
前記ベースプレートの反対面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された裏面のガス流路形成体と、
前記ベースプレートに内蔵され、前記表面のガス流路形成体と前記裏面のガス流路形成体とを相互に導通する複数個の電流センサと、
を備える電流密度分布センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記複数列配置された裏面のガス流路形成体を相互に導通する導電プレートを備える、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記導電プレートは、隣設セルのセパレータである、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項4】
燃料電池セルスタックに介装され、検知対象セルの電流密度分布を検知する電流密度分布センサであって、
電気絶縁性のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記検知対象セルへの対向面に設けられ、導電体で形成され、相互は電気的に独立するとともに、相互間が反応ガス流路となるように複数列配置された表面のガス流路形成体と、
前記ベースプレートの反対面に形成された導電層と、
前記導電層に形成された裏面のガス流路形成体と、
前記ベースプレートに内蔵され、前記表面のガス流路形成体と前記導電層とを相互に導通する複数個の電流センサと、
を備える電流密度分布センサ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記ガス流路形成体は、列の長さ方向に並び、相互に電気的に独立した複数の導電性リブを含み、
前記電流センサは、前記導電性リブごとに設けられる、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記電流センサは、シャント抵抗である、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記ベースプレートは、冷媒マニホールドを流れる冷媒を分岐する分岐部を有し、
前記ガス流路形成体は、中空状であり、内部を前記分岐部で分岐した冷媒が通流する、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記分岐部は、
冷媒マニホールドを流れる冷媒が分岐して流れる分岐流路と、
前記分岐流路を流れた冷媒が流れる中空ジョイントと、
一端が前記中空ジョイントに挿入され、他端が前記中空状のガス流路形成体に挿入される中空パッキンと、
を含むことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記中空ジョイントは、前記ベースプレートに設けられた孔に圧入固定される脚を備える、
を含むことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記ベースプレートは、冷媒マニホールドを流れる冷媒が分岐して通流する冷媒通路を有する、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記ベースプレートは、前記ガス流路形成体よりも幅狭の挟持部を有し、
前記ガス流路形成体は、前記挟持部に圧入固定される、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項12】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記ベースプレートは、前記ガス流路形成体を挿入する穴部を有し、
前記ガス流路形成体は、段付脚部を有し、その段付脚部が前記ベースプレートの穴部に挿入されて固定される、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサにおいて、
前記複数個の電流センサに対応する複数個の温度センサをさらに有する、
ことを特徴とする電流密度分布センサ。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサを製造する製造方法において、
多層プリント基板製造プロセスによって前記ベースプレートを製造するベースプレート製造工程と、
前記ベースプレート製造工程で製造されたベースプレートに、前記電流センサとなる抵抗素子を実装する抵抗素子実装工程と、
前記抵抗素子実装工程で実装された抵抗素子の電極をベースプレート表層面に導通させるスルーホール処理工程と、
前記スルーホール処理工程で処理されたベースプレートの片面に前記表面ガス流路形成体を接合して前記抵抗素子に導通させるとともに、ベースプレートの裏面に前記裏面ガス流路形成体を接合してその抵抗素子に導通させる導通工程と、
を備えることを特徴とする電流密度分布センサ製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサを製造する製造方法において、
多層プリント基板製造プロセスによって前記ベースプレートを製造するベースプレート製造工程と、
前記ベースプレート製造工程で製造されたベースプレートに、前記電流センサとなる抵抗素子を実装する抵抗素子実装工程と、
前記抵抗素子実装工程で抵抗素子が実装されたベースプレートに、前記抵抗素子の電極が表出するように穴を形成する削穴工程と
前記削穴工程で形成された穴に、導電ロッドを挿入するロッド挿入工程と、
前記ロッド挿入工程で導電ロッドが挿入されたベースプレートの表面を、前記導電ロッドとともに表面研磨する研磨工程と、
を備えることを特徴とする電流密度分布センサ製造方法。
【請求項16】
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の電流密度分布センサを製造する製造方法において、
多層プリント基板製造プロセスによって前記ベースプレートを製造するベースプレート製造工程と、
前記ベースプレート製造工程で製造されたベースプレートに、前記電流センサとなる抵抗素子を実装する抵抗素子実装工程と、
前記抵抗素子実装工程で実装された抵抗素子の電極に導通する配線を、前記ベースプレートの表裏面に配置する配線配置工程と、
前記配線配置工程で配置された配線に導通するように、ベースプレートの表面に前記表面ガス流路形成体を配置し、ベースプレートの裏面に前記裏面ガス流路形成体を配置するガス流路形成体配置工程と、
前記ガス流路形成体配置工程でガス流路形成体が配置されたベースプレートをメス型に納めて加圧して、前記ベースプレートにガス流路形成体を一体化させるダイキャスト成型工程と、
を備えることを特徴とする電流密度分布センサ製造方法。
【請求項17】
請求項13に記載の電流密度分布センサを使用する燃料電池システムにおいて、
前記温度センサによって対応する電流センサの検知値を補償する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項18】
請求項13に記載の電流密度分布センサを使用する燃料電池システムにおいて、
カソードガス供給側における電流密度が低下し、温度が上昇するときには、ドライアウトを判定する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項19】
請求項13に記載の電流密度分布センサを使用する燃料電池システムにおいて、
カソードガス排出側における電流密度が低下し、温度が低下するときには、フラッディングを判定する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項20】
請求項13に記載の電流密度分布センサを使用する燃料電池システムにおいて、
運転時間が所定時間を超え、電流密度分布及び温度分布が所定範囲であるときには、燃料電池セルの劣化を判定する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項21】
請求項13に記載の電流密度分布センサを使用する燃料電池システムにおいて、
低温下での起動が可能か否かを、電流密度分布及び温度分布が所定範囲であるか否かによって判定する、
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項22】
請求項18から請求項21までのいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記温度センサによって対応する電流センサの検知値を補償する、
ことを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−81117(P2009−81117A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251437(P2007−251437)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】