説明

電源システム、電池ユニット及び電源システムの異常時動作確認方法

【課題】異常信号ラインの導通確認を簡単に行えるようにする。
【解決手段】マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の一方の端部に位置する終端の電池ユニット1Zのコネクタ4に終端抵抗ユニット3が、他方の端部に位置する第一電池ユニット1Aにマスタユニット2が、それぞれ接続されている。ユニット制御部13は、異常を検出すると、異常信号ラインALを通じて異常信号を送信するよう構成されており、マスタユニット2は、異常信号ラインALを介して異常信号が検出されると、いずれかの電池ユニット1で異常が発生したことを検出して所定の安全保護機能を動作可能であり、終端の電池ユニット1のコネクタ4には、終端抵抗ユニット3に代えて、異常信号ラインALの動作確認を行う異常時動作確認ユニット6を接続可能としており、異常時動作確認ユニット6は、コネクタ4に含まれる異常信号ラインALに、異常信号を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列や並列に接続された複数の電池セルを内蔵し電力を供給可能としたユニット状の電池ユニットを、複数台接続可能とした電源システム、電池ユニット及びこの電源システムにおいて、各電池ユニットの設置状態を確認するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルを多数内蔵して出力電圧と出力電流の両方を大きくしている電池ユニットを、ユニット状に構成して、複数台の電池ユニットを直列に接続することでより、より大きな電力を供給可能とした電源システムは開発されている。このような電源システムでは、図4に示すように各電池ユニット1を数珠繋ぎに接続して、一方の終端部分には管理用のマスタユニット2を、他方の終端部分には終端抵抗7を、それぞれ接続して、各電池ユニット1の動作を監視する構成が採用される。終端抵抗7は、ケーブル5の末端に終端抵抗7を接続してインピーダンス整合を図るための部材であり、ケーブル5の末端における高周波信号のエネルギーを消費させることで信号の不要な反射を防止する。一方、マスタユニット2は各電池ユニット1の動作を監視し、一部の電池ユニット1の電圧などに異常が生じた場合、これを検出して切り離したり出力を停止する。
【0003】
このようなユニット同士が接続された電源システムにおいては、ユニット間を接続する端子に、異常状態を検出する異常信号ラインを含んでいる。この異常信号ラインをORで接続することにより、いずれかの電池ユニット1で異常が発生すると、異常信号ラインを通じてマスタユニット2側で、異常の発生を把握できる。例えば、マスタユニット2で異常発生を検知すると、安全保護機能を動作させて該当する電池ユニット1の動作を停止させるなど、必要な対策を講じる。このように、安全保護機能を確実に動作させるには、各電池ユニット1からマスタユニット2に対して異常信号ラインを通じて、異常信号を正しく伝達することが重要となる。このため、各電池ユニット1やマスタユニット2は、製造時において性能検査が実施されている。
【0004】
しかしながら、電源システムを一旦現場において組み上げてしまうと、異常信号ラインが断線や接触不良なく正しく接続されているかどうかを確認することは容易でなかった。特に、各ユニットを実際に設置する際に配線されるケーブルに関しては、目視確認のみに頼っている状況であった。仮に、一時的に異常状態を生じさせて異常信号ラインからの異常信号が正しく伝達されるかを確認しようとすれば、電池ユニットを高温にするなどの異常状態を起こす必要があり、容易でない上電池ユニットに負担を与えることとなる。また、異常検出線の導通確認を行うために、仮想的に異常信号ラインを作動させるような回路を付加することも考えられるが、この場合は付加的な部材が必要となり、コストアップや構成の複雑化が生じることに加え、テスト終了後の運用時において、誤ってユーザがこの導通確認回路のスイッチを押下してしまうと、異常と検出されてしまうといった問題もあった。このため、従来は単に目視のみで接続確認を行わざるを得ず、信頼性の面で劣るという状況にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−306446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、異常信号ラインの導通確認を容易に行うことのできる電源システム、電池ユニット及び電源システムの異常時動作確認方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の電源システムによれば、マスタユニット2と、一方の端部に前記マスタユニット2を接続するようにマルチドロップ接続される、複数の電池ユニット1と、前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の他方の端部に接続される終端抵抗ユニット3と、を備える電源システムであって、各電池ユニット1は、複数の電池セル11を直列及び/又は並列に接続した一以上の電池ブロック12と、前記電池ユニット1を制御するユニット制御部13と、前記ユニット制御部13と接続される一対のコネクタ4と、を備えており、各電池ユニット1同士はコネクタ4同士を介して接続されており、前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の一方の端部に位置する終端の電池ユニット1Zの、一方のコネクタ4が前記終端抵抗ユニット3と接続されており、前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の他方の端部に位置する第一電池ユニット1Aの、一方のコネクタ4が前記マスタユニット2と接続されており、前記コネクタ4は、異常信号ラインALを含んでおり、前記ユニット制御部13は、異常を検出すると、前記異常信号ラインALを通じて異常信号を送信するよう構成されており、前記マスタユニット2は、異常信号ラインALを介して異常信号が検出されると、いずれかの電池ユニット1で異常が発生したことを検出して所定の安全保護機能を動作可能であり、前記終端の電池ユニット1のコネクタ4には、前記終端抵抗ユニット3に代えて、異常信号ラインALの動作確認を行う異常時動作確認ユニット6を接続可能としており、前記異常時動作確認ユニット6は、前記コネクタ4に含まれる異常信号ラインALに、異常信号を生じさせるよう構成できる。これにより、電源システムの構築後に、終端抵抗ユニットに代えて異常時動作確認ユニットを接続することで、仮想的に異常信号を生じさせて、マスタユニットの安全保護機能が機能するかどうかを確認する異常時動作確認テストを行える。このため、従来困難であった、異常検出が正常に動作するように適切な接続が行われているかどうかの確認を、信頼性高く行えるという利点が得られる。特に、最終段に接続された異常時動作確認ユニットから、マスタユニットまでの配線を、一度に確認できる利点が得られる。
【0008】
また第2の電源システムによれば、前記マスタユニット2は、前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の異常信号ラインALを、OR接続できる。これにより、いずれか一の電池ユニットで異常が発生したことをマスタユニット側で容易に検出できる。
【0009】
さらに第3の電源システムによれば、前記異常信号ラインALを、HIGH状態又はLOW状態とすることで、異常信号を表現するよう構成できる。これにより、極めて簡単に異常信号の発生を検知できる。
【0010】
さらにまた第4の電源システムによれば、前記コネクタ4を、規格化されたコネクタ4とできる。これにより、RJ45などの既存のコネクタを利用できるので、コネクタやケーブルに汎用品を利用して製造コストを低減できる。
【0011】
さらにまた第5の電源システムによれば、前記コネクタ4が、接地された接地ライン53を含んでおり、前記異常時動作確認ユニット6は、前記コネクタ4と接続される動作確認コネクタ44を備えており、前記動作確認コネクタ44は、異常信号ラインALと接地ライン53とを接続することができる。これにより、既存の接地ラインを利用して動作確認試験時の状態を容易に作り出すことができ、製造コストを極めて安価にできる利点が得られる。
【0012】
さらにまた第6の電池ユニットによれば、複数の電池セル11を直列及び/又は並列に接続した一以上の電池ブロック12と、前記電池ブロック12を制御するユニット制御部13と、前記ユニット制御部13と接続される一対のコネクタ4と、を備える電池ユニット1であって、前記コネクタ4に、他の電池ユニット1、電池ユニット1を制御するマスタユニット2、終端抵抗ユニット3のいずれかを接続可能としており、複数の電池ユニット1をマルチドロップ接続して、一方の端部に位置する電池ユニット1にマスタユニット2を、他方の端部に位置する電池ユニット1Zに終端抵抗ユニット3を接続して電源システムを構築可能とした電池ユニットであって、前記コネクタ4は、異常信号ラインALを含んでおり、前記ユニット制御部13は、異常を検出すると、前記異常信号ラインALを通じて異常信号を送信するよう構成されており、前記コネクタ4には、前記終端抵抗ユニット3に代えて、前記コネクタ4に含まれる異常信号ラインALに異常信号を生じさせることで、異常信号ラインALの動作確認を行う異常時動作確認ユニット6を接続可能とできる。これにより、電源システムの構築後に、終端抵抗ユニットに代えて異常時動作確認ユニットを接続することで、仮想的に異常信号を生じさせてテストを行える。このため、従来困難であった、異常検出が正常に動作するかどうかの確認作業を容易に行える利点が得られる。
【0013】
さらにまた第7の異常時動作確認ユニットによれば、マスタユニット2と、マスタユニット2とマルチドロップ接続されている複数の電池ユニット1と、複数の電池ユニット1の端縁で、マスタユニット2と反対側の端縁に接続される終端抵抗ユニット3と、を接続した電源システムにおいて、各ユニットを接続する接続ラインに含まれる異常信号ラインALの動作を確認するための異常時動作確認ユニットであって、電池ユニット1のコネクタ4に接続可能な動作確認コネクタ44と、前記動作確認コネクタ44に含まれる電気信号端子の内、該動作確認コネクタ44と接続される、電池ユニット1のコネクタ4に含まれる、異常信号ラインALの接続端子と、該動作確認コネクタ44と接続される、電池ユニット1のコネクタ4に含まれる、接地ラインの接続端子とを接続するための、異常信号発生手段と、を備えており、終端抵抗ユニット3に代えて異常時動作確認ユニット6を電池ユニット1に接続することで、異常信号を仮想的に生成して、異常時動作確認試験を行えるように構成できる。これにより、電源システムの構築後に、終端抵抗ユニットに代えて異常時動作確認ユニットを接続することで、仮想的に異常信号を生じさせてテストを行える。このため、従来困難であった、異常検出が正常に動作するかどうかの確認作業を容易に行える利点が得られる。特に、コネクタに含まれる既存の接地ラインを利用して動作確認試験時の状態を容易に作り出すことができ、製造コストを極めて安価にできる利点が得られる。
【0014】
さらにまた第8の電源システムの異常時動作確認方法によれば、マスタユニット2と、前記マスタユニット2とマルチドロップ接続されている複数の電池ユニット1と、複数の電池ユニット1の端縁で、前記マスタユニット2と反対側の端縁に接続される終端抵抗ユニット3と、を接続した電源システムにおいて、各ユニットを接続する接続ラインに含まれる異常信号ラインALの動作を確認するための異常時動作確認方法であって、複数の電池ユニット1をコネクタ4を介してマルチドロップ接続すると共に、一方の端縁に位置する電池ユニット1にマスタユニット2を接続し、他方の端部に位置する電池ユニット1Zに、異常信号ラインALの動作確認用の異常時動作確認ユニット6を接続する工程と、前記異常時動作確認ユニット6が、該異常時動作確認ユニット6と接続された電池ユニット1のコネクタ4に含まれる異常信号ラインALに対して異常信号を生じさせることで、異常信号ラインALの動作確認を行う工程と、前記動作確認工程の終了後に、前記異常時動作確認ユニット6を該他方の端部に位置する電池ユニット1Zから取り外すと共に、コネクタ4間の電気信号の伝送におけるインピーダンス整合を行うための終端抵抗ユニット3を接続する工程と、を含むことができる。これにより、電源システムの構築後に、終端抵抗ユニットに代えて異常時動作確認ユニットを接続することで、仮想的に異常信号を生じさせてテストを行える。このため、従来困難であった、異常検出が正常に動作するかどうかの確認作業を容易に行える利点が得られる。
【0015】
さらにまた第9の電源システムの異常時動作確認方法によれば、前記コネクタ4が、接地された接地ライン53を含んでおり、前記異常時動作確認ユニット6は、前記コネクタ4と接続される動作確認コネクタ44を備えており、前記動作確認コネクタ44は、異常信号ラインALと接地ライン53とを接続することができる。これにより、既存の接地ラインを利用して動作確認試験時の状態を容易に作り出すことができ、製造コストを極めて安価にできる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1に係る電源システムを示すブロック図である。
【図2】図1の終端抵抗ユニットに代えて、異常時動作確認ユニットを接続して異常時動作確認を行う様子を示すブロック図である。
【図3】電池ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】電池ユニットの端縁にマスタユニットと終端抵抗を接続した電源システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源システム、電池ユニット、異常時動作確認ユニット及び電源システムの異常時動作確認方法を例示するものであって、本発明は電源システム、電池ユニット、異常時動作確認ユニット及び電源システムの異常時動作確認方法を以下のものに特定しない。特に本明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施の形態に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、及び「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記しているが、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
【0018】
図1に、本発明の実施例1に係る電源システム100を示す。この電源システム100は、マスタユニット2と、複数台の電池ユニット1と、終端抵抗ユニット3とをマルチドロップ接続している。各電池ユニット1は、複数の電池セル11を内蔵しており、その出力ラインPLを系統出力として、各種の負荷に接続して、電源として駆動電力を供給する。電池ユニット1の電池セル11は、外部の商用電源や、太陽光発電などの電力を受けて充電可能であり、また蓄電された電力を放電して、電力供給源として機能する。マスタユニット2は、複数台の電池ユニット1の充放電状態を監視する。
【0019】
電池ユニット1は、一対のコネクタ4を備えている。一対のコネクタ4は、上流側コネクタ41と下流側コネクタ42で構成される。なお、本明細書ではマルチドロップ接続において、マスタユニット2側を上流側、終端抵抗ユニット3側を下流側と呼ぶ。各ユニットは、ケーブル5やコネクタ4を介して接続される。具体的には、マスタユニット2と電池ユニット1、及び終端抵抗ユニット3と電池ユニット1とは、コネクタ4同士を係合して接続される。ここではマスタユニット2は、終端の電池ユニット1Zの上流側コネクタ41と接続される。また終端抵抗ユニット3は、終端の電池ユニット1Zの下流側コネクタ42と接続される。さらに電池ユニット1同士は、ケーブル5を介して接続される。ケーブル5は、信号線を並列に接続したリボン状のパラレルケーブルである。
(マスタユニット2)
【0020】
図の例では、電池からの直列接続して出力しているが、並列接続としてもよい。マスタユニット2は、マルチドロップ接続の終端に接続されて、各電池ユニット1を制御、管理する。出力電流をモニタしたり、各電池ユニット1の充電状態、放電状態を監視して、異常状態を検出する。このマスタユニット2は、保護回路として機能する。マスタユニット2の内部には、各電池ユニット1の電流値をモニタして、所定の閾値電流を超えると過電流と判定して、警告を発したり、電池ユニット1の交換を促す。また、マスタユニット2は、別途、設けられる電気回路にて電流を遮断する指示を出すこともできる。
【0021】
さらにマスタユニット2は、接続されている各電池ユニット1に内蔵される電池ブロック12の並列数を検出可能としている。また保護回路は、この検出された電池ブロック12の並列数に応じて、電池ブロック12を過電流から保護するための、閾値電流の設定を自動で変更することもできる。
【0022】
またマスタユニット2は、必要に応じて外部機器と通信するための通信インターフェースや、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。例えば電源コントローラに操作部としてキーボードやマウス、タッチパネルやコンソール等の入力デバイスを接続し、最大電流量を規定したり、接続された電池ユニットの使用可否を設定できる。また、電池ユニットに異常が発生した際にユーザに告知するための表示パネルや表示灯を設けてもよい。
(終端抵抗ユニット3)
【0023】
終端抵抗ユニット3は、マルチドロップ接続されるコネクタ4の終端に装着する部材であり、インピーダンス整合などを目的として利用される。このため、図1に示すようにデータライン同士の間に、終端抵抗器31を接続している。この終端抵抗ユニット3は、終端コネクタ43を備えており、終端コネクタ43が終端の電池ユニット1Zの下流側コネクタ42と接続される。終端抵抗器31は、データラインと接続される。また終端コネクタ43は、識別情報入力ライン52(詳細は後述)と接地ライン53とを、接続検出抵抗器32を介して接地している。接続検出抵抗器32の抵抗値は、終端抵抗器31よりも抵抗値を大きくしている。この例では、終端抵抗器31を120Ωとするのに対し、接続検出抵抗器32を2.2kΩとしている。なお、この終端抵抗ユニット3には、後述する識別情報は特に設定されないが、例えば終端抵抗ユニット3のID情報を0と捉えて処理することもできる。
(電池ユニット1)
【0024】
電池ユニット1は、マスタユニット2をマスタとするマスタ−スレーブ通信の、スレーブ側として機能する。各電池ユニット1は、一以上の電池ブロック12と、ユニット制御部13と、一対のコネクタ4と、出力ラインPLとを備えている。
(電池ブロック12)
【0025】
電池ブロック12は、充電可能な二次電池セルを複数、直列に接続したものである。また電池ブロック12同士は、並列に接続されている。なお、電池セル11や電池ブロック12の接続形態はこの接続例に限られるものでなく、例えば複数の電池セルを並列に接続した電池ブロックを直列に接続することもできる。一方で電池ブロック12の出力は、出力ラインPLから出力される。電池ブロック12間で出力ラインPL同士を直列又は並列に接続して、電源システムの出力を得る。また一方で、電池ブロック12からの信号線がユニット制御部13にも接続されており、電池ブロック12の温度や電流値等をユニット制御部13で管理する。
(ユニット制御部13)
【0026】
ユニット制御部13は、電池ユニット1を制御する部材であって、他の電池ユニット1やマスタユニット2とデータ通信したり、電池ユニット1の識別情報を取得する識別情報取得モードを実行する等、各種の制御を行う。ユニット制御部13は、DSPやマイクロプロセッサ(MPU)やCPU、LSI、FPGAやASIC等のゲートアレイで実現できる。
【0027】
このユニット制御部13を駆動するための駆動電力は、電池ブロック12から供給される。これによって電池ユニット1は自律的に駆動できる。なお、各電池ユニットに対して、外部から駆動電力を供給するよう構成してもよい。この場合は、例えばコネクタに電源ラインを含める。これにより、コネクタ同士の接続のみで通信と電力供給が実現でき、構成の簡素化に寄与できる。
【0028】
この図に示すユニット制御部13は、コネクタ4と接続する端子として、送信データ端子TXD、受信データ端子RXD、ID入力端子ID_IN、ID出力端子ID_OUTを設けている。送信データ端子TXDはDATA+端子と、受信データ端子RXDはDATA−端子と、アイソレータ14を介してそれぞれ接続される。DATA+端子とDATA−端子とは、データラインと接続される。またID入力端子ID_INは識別情報入力ライン52と、ID出力端子ID_OUTは識別情報出力ライン51と、フォトカプラ15を介してそれぞれ接続している。これによって、電気的には絶縁された状態でユニット制御部13とコネクタ4とを接続できる。なおID入力端子ID_INに接続されたフォトカプラ15は、反転出力としている。
(コネクタ4)
【0029】
コネクタ4は上述の通り、上流側コネクタ41と下流側コネクタ42で構成される。コネクタ4からの信号線は、ユニット制御部13と接続されている。電池ユニット1同士の接続においては、ケーブル5を用いて、隣接する電池ユニット1の上流側コネクタ41と、下流側コネクタ42とを接続する。また電圧ライン54には、マスタユニット2から12Vの電圧が印加される。
【0030】
図1に示すように、ユニット制御部13のID出力端子ID_OUTは、上流側コネクタ41の識別情報出力ライン51と電気的に接続される。またユニット制御部13のID入力端子ID_INは、下流側コネクタ42の識別情報入力ライン52と電気的に接続される。この結果、隣接する電池ユニット1同士の間では、識別情報出力ライン51と識別情報入力ライン52が接続されることとなる。
【0031】
このID入力端子ID_INは、識別情報を各電池ユニット1に付与する識別情報取得モードの実行を命令する識別情報付与実行手段となっている。すなわち、ID入力端子ID_INがアクティブとなると、このユニット制御部13は識別情報取得モードに移行してID付与を実行する。この例では、ID入力端子ID_INがHIGH信号の場合は非アクティブで、LOW信号が入力されるとアクティブとなり、ID自動取得機能が働くよう構成されている。
【0032】
またこの電池ユニット1は、一旦付与されたID情報を保持するE2PROMのような不揮発性メモリを有していない。このため各電池ユニット1のID情報は、電池ユニット1の電源を落とすと消失するが、電源投入時すなわち電池ユニット1の起動時に、再び自動的にID情報が各電池ユニット1に付与されるID自動取得機能を備えている。また、電池ユニット1の起動時には、一律に初期値が再設定されるように構成されている。これにより、電池ユニット1の製造時や接続時に、予め異なるID情報を設定する必要が無く、製造工程や設置作業を省力化できる利点が得られる。なおID情報の初期値は、ID情報として取り得る最大の値、例えばID=255を設定しておき、一方でID自動取得機能により自動で取得されるID情報を0又は1を初期値として昇順に付与することで、自動取得されるID情報の値と初期値との抵触を回避できる。
【0033】
この電源システムでは、複数台の電池ユニット1が接続された状態で、自動で各電池ユニット1に対して識別情報を割り振ることが可能となり、既存の方法よりも安価でかつ簡単にアドレス設定を行うことができる。また、複数台の電池ユニット1を接続して、大容量の電源システムを構築できる。接続数を調整することで、容量を調整でき、要求される規模に応じた電源システムを柔軟に構築できる。また、いずれかの電池セルに異常が発生しても、異常な電池セルを含む電池ユニットのみを交換可能とすることで、電池交換に要する費用を削減できる利点も得られる。
(電源システムの異常時動作確認方法)
【0034】
次に、電源システムの異常時における動作が正常に行えるかどうかを確認する方法について、図2に基づいて説明する。この図に示す電池ブロックは、図1の終端抵抗ユニット3に代えて、異常時動作確認ユニット6を接続している。
【0035】
上述した電池ユニット1同士の間や、電池ユニット1とマスタユニット2間、あるいは電池ユニット1の終端抵抗ユニット3間を接続するコネクタ4には、異常信号ラインALを含んでいる。各電池ユニット1は、何らかの異常を検出した際、ユニット制御部13が異常信号ラインALから異常信号を発する。マスタユニット2は、異常信号ラインALを通じて異常信号を検出すると、異常の発生を検知し、安全保護機能を動作させる。例えば、電池ユニット1内のFETに異常が発生した際に、ブレーカを遮断させて動作を停止したり、出力を切り離す等、所定の対策を処置を講じる。図1及び図2の例では、STOPラインが異常信号ラインALを構成しており、STOPラインからマスタユニット2に信号が届くと、安全保護機能を動作させる。
【0036】
安全保護機能を確実に動作させるため、従来より、各ユニットの組立時に安全保護機能が作動するかどうかの動作確認を行っている。しかしながら、電源システムの施工現場において各ユニットを設置した後、特に各ユニット間の接続のために配線されるケーブルに関しては、目視確認のみとなっていた。これは、一時的に異常信号を発生することが容易に行えないためであった。
【0037】
特に、ケーブル5に含まれる端子の内、DATA+、DATA−、12V、ID、GNDの各端子については、常時通電されることから、断線等の接続不良時にマスタユニット2側で検出することが可能である。しかしながらSTOP端子については、断線時に検出ができない仕様となっている。その一方でSTOP端子に接続される異常検出ラインは、電池ユニット1の異常時に電流を遮断する等、安全保護機能を実現する上で重要である。
【0038】
そこで本実施の形態においては、設置時に安全保護機能の動作確認を簡便に行えるよう、終端抵抗ユニット3に代えて、異常時動作確認ユニット6を接続して、この異常時動作確認ユニット6で仮想的な異常状態を発生させる構成としている。この方法であれば、単に終端抵抗ユニット3を一時的に異常時動作確認ユニット6に差し替えるだけで異常信号ラインALを異常状態に作動させることができるため、電源システムの設置時の確認試験を極めて簡単に行える利点が得られる。
【0039】
図2の例では、異常時動作確認ユニット6は、端部に位置する終端の電池ユニット1Zのコネクタ4と接続される動作確認コネクタ44を備えている。動作確認コネクタ44は、仮想的に異常信号を生成して異常信号ラインALから送出する。そして各電池ユニット1は、それぞれのコネクタ4を介して異常信号線をOR接続することで、マルチドロップ接続された複数の電池ユニット1の終端に接続されたマスタユニット2はいずれかの電池ユニット1で異常が検出されたことを把握できる。この方法であれば、最終段に接続された終端の電池ユニット1Zからマスタユニット2までの異常信号ラインALの配線を、一度に確認することができ、また目視確認よりも確実に行える利点が得られる。
【0040】
異常時動作確認ユニット6は、電池ユニット1の仕様に応じて、異常信号ラインALを、HIGH状態又はLOW状態とすることで、異常信号を表現するよう構成している。このため動作確認コネクタ44は、異常信号ラインALと接地ライン53とを接続している。図2の例では、異常信号ラインALを接地ライン53に直接接続することで、異常信号ラインALを接地している。ここでは、電池ユニット1で何らかの異常が発生したときに、電池ユニット1のユニット制御部13が異常信号ラインALをグランドに落とすことで、異常信号を表現する。このため、異常時動作確認ユニット6によって異常信号ラインALを接地することで、一時的に異常状態を作り出すことが可能となる。なおユニット制御部13が異常検出時に異常信号としてHIGH信号を発する場合は、異常時動作確認ユニットの異常信号ラインALと接地ラインとの間に抵抗器を接続すればよい。いずれの場合も、接地ラインは本来的に各電池ユニット1のコネクタ4に含まれているため、既存の設備を利用して容易に異常信号を発生させることが可能となる。このため異常時動作確認ユニット6の製造コストは極めて安価に構成できる。
【0041】
また確認試験後は、単に異常時動作確認ユニット6を終端抵抗ユニット3に戻すだけで足りる。この異常時動作確認ユニット6は、異常信号を発生させるための動作スイッチなどを設ける必要がなく、極めて簡単な構成とできる。
【0042】
さらにコネクタ4の形状として、規格化されたコネクタ形状を利用できる。例えばLANなどに利用されるRJ45などの既存のコネクタを利用することで、コネクタやケーブルに汎用品を利用して製造コストを一層低減できる。
(異常時動作確認手順)
【0043】
以下、異常時動作確認ユニット6を用いて異常時動作確認を行う手順を、図2に基づいて説明する。まず、終端の電池ユニット1Zの下流側コネクタ42に、異常時動作確認ユニット6を接続する。この異常時動作確認ユニット6は、動作確認コネクタ44の内部でSTOP端子とGND端子を短絡させている。この結果、下流側コネクタ42のSTOP端子がLOW信号となり、終端の電池ユニット1Zの内部で、上流側コネクタ41のSTOP端子も同様にLOW信号となる。さらに、終端の電池ユニット1Zの上流側に、ケーブル5を介して接続された第二終端電池ユニット1Yの下流側コネクタ42に対しても、同様にSTOP端子にLOW信号が入力される。さらにまた第二終端電池ユニット1Yの上流側コネクタ41に対しても、STOP端子にLOW信号が入力される。以下、同様にして第二終端電池ユニット1Yの上流側に接続された第三終端電池ユニット1Xの下流側コネクタ42に対しても、同様にSTOP端子にLOW信号が入力されるため、上流側コネクタ41のSTOP端子にもLOW信号が入力される。このようにして、ケーブル5やコネクタ4などの配線に不良がない限り、順次異常信号が伝達されていき、最終的にマスタユニット2に異常信号が伝達される。マスタユニット2側では、異常信号を受けて、安全保護機能を動作させ、規定に従い安全部品であるブレーカが遮断される。この安全保護動作が実行されることで、異常信号ラインALの配線が正常に行われていることが確認できる。そして正常動作が確認された後、異常時動作確認ユニット6を取り外し、図1に示すように終端抵抗ユニット3を接続して、通常動作可能な状態とする。一方、異常時動作確認ユニット6を接続してもブレーカが遮断されない場合は、いずれかの部位で異常信号ラインALが接続されていないことが確認できるため、各電池ユニットのコネクタ4やケーブル5の接続確認等、必要な処置を行うことができる。
【0044】
このようにして、電源システムの構築後に、終端抵抗ユニット3に代えて異常時動作確認ユニット6を接続するという簡単な操作のみによって、仮想的に異常信号を生じさせて、マスタユニット2の安全保護機能が機能するかどうかを確認することができる。このため、従来困難であった、異常検出が正常に動作するように適切な接続が行われているかどうかの確認を、信頼性高く行えるという利点が得られる。
(電池ユニット1の詳細)
【0045】
各電池ユニット1は、端縁の電池ユニット1Z、第二終端電池ユニット1Y、第三終端電池ユニット1Xで共通のハードウェア構成としている。図3に、各電池ユニット1のブロック図を示す。この図に示す電池ユニット1は、13個の電池セル11を直列に接続した電池ブロック12を、3本並列に接続している。また各電池ブロック12には、電池セル11の温度を検出する温度センサや電池ブロック12のブロック電圧を検出する電圧センサを接続できる。温度センサにはサーミスタ等が利用できる。さらに複数の電池ブロック12と接続される電池ユニット1の出力ラインPLには、電池ユニット1の充放電電流を検出する電流検出部が設けられ、ユニット制御部13に入力される。ユニット制御部13は電池セル11の温度や電池セル11又はブロック電圧に基づいて電池ブロック12の過充電、過放電を検出し、異常を検出すると、マスタユニット2に対して異常信号を出力する。マスタユニット2は、異常が発生した電池ユニット1を特定して、ユーザに対して異常の発生を告知すると共に、点検や交換を促す。
(電池セル11)
【0046】
電池セル11は、一方向に延在された円柱状又は円筒状の電池セルの他、角形の外装缶を利用したタイプが利用できる。この電池セル11は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池が好適に使用できる。特にリチウムイオン二次電池とすることが望ましい。リチウムイオン二次電池は容積密度が高いために、電池パック20の小型化、軽量化に適している。またリチウムイオン二次電池は充放電可能な温度領域が鉛蓄電池やニッケル水素電池に比べて広く、効率よく充放電が可能になる。
【0047】
また電池セル11の正極材料にはリン酸鉄系材料を用いることが好ましい。これにより、安全性を高めることができ、充放電の温度依存性を抑制することができ、特に低温時にも比較的高い充放電効率を維持できるので、冬場でも効率よく充放電が可能になる。
【0048】
さらにリチウムイオン二次電池の正極は、3成分正極とすることができる。このリチウムイオン二次電池は、正極に、従来のコバルト酸リチウムに代わって、Li−Ni−Mn−Co複合酸化物とコバルト酸リチウム混合を利用する。このリチウムイオン二次電池は、正極にリチウムに加えて、3成分からなるNi−Mn−Coを使用することから、高電圧で充電して熱安定性が高く、充電最大電圧を4.3Vと高くして容量を大きくできる。
【0049】
ただし、充電時の電圧は、使用する電池セル11において、満充電と判断される電圧よりも意図的に低い電圧に設定することが好ましい。例えば、リチウムイオン二次電池を使用する場合、一般的な条件下では4.2V付近で満充電と判断されるが、4Vで満充電と判定するよう設定する。これにより、電池セルの長寿命化が図れる。
【0050】
なお、上記の例ではマスタユニットを別途用意しているが、これに代えて、電池ユニットに上述の識別情報の処理や安全保護機能に関するマスタユニットの機能を追加することで、上流側に接続した電池ユニットをマスタユニットとして動作させるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る電源システム、電池ユニット、異常時動作確認ユニット及び電源システムの異常時動作確認方法は、夜間電力や太陽電池パネルで充電して使用する家庭用、プラント用の電源装置等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
100…電源システム
1…電池ユニット
1A…第一電池ユニット
1X…第三終端電池ユニット
1Y…第二終端電池ユニット
1Z…終端の電池ユニット
2…マスタユニット
3…終端抵抗ユニット
4…コネクタ
5…ケーブル
6…異常時動作確認ユニット
7…終端抵抗
11…電池セル
12…電池ブロック
13…ユニット制御部
14…アイソレータ
15…フォトカプラ
31…終端抵抗器
32…接続検出抵抗器
41…上流側コネクタ
42…下流側コネクタ
43…終端コネクタ
44…動作確認コネクタ
51…識別情報出力ライン
52…識別情報入力ライン
53…接地ライン
54…電圧ライン
PL…出力ライン
TXD…送信データ端子
RXD…受信データ端子
ID_IN…ID入力端子
ID_OUT…ID出力端子
AL…異常信号ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタユニット(2)と、
一方の端部に前記マスタユニット(2)を接続するようにマルチドロップ接続される、複数の電池ユニット(1)と、
前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット(1)の他方の端部に接続される終端抵抗ユニット(3)と、
を備える電源システムであって、
各電池ユニット(1)は、
複数の電池セル(11)を直列及び/又は並列に接続した一以上の電池ブロック(12)と、
前記電池ユニット(1)を制御するユニット制御部(13)と、
前記ユニット制御部(13)と接続される一対のコネクタ(4)と、
を備えており、
各電池ユニット(1)同士はコネクタ(4)同士を介して接続されており、
前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット(1)の一方の端部に位置する終端の電池ユニット(1Z)の、一方のコネクタ(4)が前記終端抵抗ユニット(3)と接続されており、
前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット(1)の他方の端部に位置する第一電池ユニット(1A)の、一方のコネクタ(4)が前記マスタユニット(2)と接続されており、
前記コネクタ(4)は、異常信号ライン(AL)を含んでおり、
前記ユニット制御部(13)は、異常を検出すると、前記異常信号ライン(AL)を通じて異常信号を送信するよう構成されており、
前記マスタユニット(2)は、異常信号ライン(AL)を介して異常信号が検出されると、いずれかの電池ユニット(1)で異常が発生したことを検出して所定の安全保護機能を動作可能であり、
前記終端の電池ユニット(1Z)のコネクタ(4)には、前記終端抵抗ユニット(3)に代えて、異常信号ライン(AL)の動作確認を行う異常時動作確認ユニット(6)を接続可能としており、
前記異常時動作確認ユニット(6)は、前記コネクタ(4)に含まれる異常信号ライン(AL)に、異常信号を生じさせるよう構成されてなることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源システムであって、
前記マスタユニット(2)は、前記マルチドロップ接続された複数の電池ユニット(1)の異常信号ライン(AL)を、OR接続してなることを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電源システムであって、
前記異常信号ライン(AL)を、HIGH状態又はLOW状態とすることで、異常信号を表現するよう構成してなることを特徴とする電源システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電源システムであって、
前記コネクタ(4)が、規格化されたコネクタであることを特徴とする電源システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の電源システムであって、
前記コネクタ(4)が、接地された接地ライン(53)を含んでおり、
前記異常時動作確認ユニット(6)は、前記コネクタ(4)と接続される動作確認コネクタ(44)を備えており、
前記動作確認コネクタ(44)は、異常信号ライン(AL)と接地ライン(53)とを接続してなることを特徴とする電源システム。
【請求項6】
複数の電池セル(11)を直列及び/又は並列に接続した一以上の電池ブロック(12)と、
前記電池ブロック(12)を制御するユニット制御部(13)と、
前記ユニット制御部(13)と接続される一対のコネクタ(4)と、
を備える電池ユニットであって、
前記コネクタ(4)に、他の電池ユニット(1)、電池ユニット(1)を制御するマスタユニット(2)、終端抵抗ユニット(3)のいずれかを接続可能としており、
複数の電池ユニット(1)をマルチドロップ接続して、一方の端部に位置する電池ユニット(1)にマスタユニット(2)を、他方の端部に位置する電池ユニット(1Z)に終端抵抗ユニット(3)を接続して電源システムを構築可能とした電池ユニットであって、
前記コネクタ(4)は、異常信号ライン(AL)を含んでおり、
前記ユニット制御部(13)は、異常を検出すると、前記異常信号ライン(AL)を通じて異常信号を送信するよう構成されており、
前記コネクタ(4)には、前記終端抵抗ユニット(3)に代えて、前記コネクタ(4)に含まれる異常信号ライン(AL)に異常信号を生じさせることで、異常信号ライン(AL)の動作確認を行う異常時動作確認ユニット(6)を接続可能としてなることを特徴とする電池ユニット。
【請求項7】
マスタユニット(2)と、
マスタユニット(2)とマルチドロップ接続されている複数の電池ユニット(1)と、
複数の電池ユニット(1)の端縁で、マスタユニット(2)と反対側の端縁に接続される終端抵抗ユニット(3)と、
を接続した電源システムにおいて、各ユニットを接続する接続ラインに含まれる異常信号ライン(AL)の動作を確認するための異常時動作確認ユニットであって、
電池ユニット(1)のコネクタ(4)に接続可能な動作確認コネクタ(44)と、
前記動作確認コネクタ(44)に含まれる電気信号端子の内、
該動作確認コネクタ(44)と接続される、電池ユニット(1)のコネクタ(4)に含まれる、異常信号ライン(AL)の接続端子と、
該動作確認コネクタ(44)と接続される、電池ユニット(1)のコネクタ(4)に含まれる、接地ラインの接続端子と
を接続するための、異常信号発生手段と、
を備えており、
終端抵抗ユニット(3)に代えて異常時動作確認ユニット(6)を電池ユニット(1)に接続することで、異常信号を仮想的に生成して、異常時動作確認試験を行えるようにしてなることを特徴とする異常時動作確認ユニット。
【請求項8】
マスタユニット(2)と、
前記マスタユニット(2)とマルチドロップ接続されている複数の電池ユニット(1)と、
複数の電池ユニット(1)の端縁で、前記マスタユニット(2)と反対側の端縁に接続される終端抵抗ユニット(3)と、を接続した電源システムにおいて、各ユニットを接続する接続ラインに含まれる異常信号ライン(AL)の動作を確認するための異常時動作確認方法であって、
複数の電池ユニット(1)をコネクタ(4)を介してマルチドロップ接続すると共に、一方の端縁に位置する電池ユニット(1)にマスタユニット(2)を接続し、他方の端部に位置する電池ユニット(1Z)に、異常信号ライン(AL)の動作確認用の異常時動作確認ユニット(6)を接続する工程と、
前記異常時動作確認ユニット(6)が、該異常時動作確認ユニット(6)と接続された電池ユニット(1)のコネクタ(4)に含まれる異常信号ライン(AL)に対して異常信号を生じさせることで、異常信号ライン(AL)の動作確認を行う工程と、
前記動作確認工程の終了後に、前記異常時動作確認ユニット(6)を該他方の端部に位置する電池ユニット(1Z)から取り外すと共に、コネクタ(4)間の電気信号の伝送におけるインピーダンス整合を行うための終端抵抗ユニット(3)を接続する工程と、
を含むことを特徴とする電源システムの異常時動作確認方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電源システムの異常時動作確認方法であって、
前記コネクタ(4)が、接地された接地ライン(53)を含んでおり、
前記異常時動作確認ユニット(6)は、前記コネクタ(4)と接続される動作確認コネクタ(44)を備えており、
前記動作確認コネクタ(44)は、異常信号ライン(AL)と接地ライン(53)とを接続してなることを特徴とする電源システムの異常時動作確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−101831(P2013−101831A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244862(P2011−244862)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】