説明

電源スイッチの安全装置

【課題】機器などの電源の意図しない遮断を防ぎつつ操作性を高めることができる電源スイッチの安全装置を提供する。
【解決手段】主電源スイッチ部50は、スイッチ部本体51とカバー部52とを少なくとも備えている。スイッチ部本体51は、回動の中心となる軸部53、ユーザの押下により軸部53を中心に回動することで電源を投入させる投入部54、およびユーザの押下により軸部53を中心に投入部54と逆方向に回動することで電源を遮断させる遮断部55を有している。カバー部52が投入部54を覆うことにより、スイッチ部本体51の回動が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線等の通信回線を介して受信されたデータに基づき画像を形成するファクシミリ機能部を備える画像形成装置などの機器に関するものであり、特に電源スイッチの安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、原稿から読み取られたデータに基づき画像を形成するコピー(複写)機能部だけでなく、LAN等を介してコンピュータから受信されたデータに基づき画像を形成するプリンタ機能部や、ファクシミリ機能部を同時に備えたデジタル複合機と呼ばれる画像形成装置が普及している。このような画像形成装置は、コピー機能部やプリンタ機能部を使用する場合は、使用時のみ通電し、使用しない時は通電しないようにされることが一般的である。また、ファクシミリ機能部は、常時受信する必要があるので、常時通電状態にされることが一般的である。
【0003】
このようなデジタル複合機においては、プリンタ機能部のみからなる画像形成装置すなわちプリンタしか使用したことがないユーザやデジタル複合機の操作に不慣れなユーザの場合、例えば、デジタル複合機が設置されたオフィスから帰宅するときや印刷処理が終了したときに主電源スイッチをオフ(遮断)にしてしまうことがあり、ファクシミリ機能部として夜間の受信等をできなくしてしまう等の不具合が生じていた。
【0004】
特許文献1によると、コピーやファクシミリとしての複合機能を有する画像形成装置のメインスイッチを、習慣的あるいは無意識的にオフにしないようにする。
【0005】
特許文献2によると、機器の動作中に不用意に電源を切断されると、重大な障害が発生する場合があり、それを防ぐため、電源スイッチにカバーを掛けたものがある。
【0006】
特許文献3によると、電源スイッチの周辺部の仕様をユーザのニーズに合わせて容易に対応できる。
【0007】
特許文献4によると、印刷作業中に主電源スイッチがオフ(主電源がオフ)されても機械に損傷が生じる事態を回避することができる。
【0008】
特許文献5によると、画像処理装置の操作部近傍に事務用品収容部材を設けて作業性を向上させると共に,スペースの有効利用を図る。
【特許文献1】特開平11−220559号公報
【特許文献2】特開2004−87161号公報
【特許文献3】特開2008−21436号公報
【特許文献4】特開2007−272178号公報
【特許文献5】特開2005−242200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の画像形成装置などにおいては、ファクシミリ機能部などの電源の意図しない遮断を防ぐため電源のスイッチをカバー部により覆う場合に、必ずしも操作性が高いとは言いがたいという問題点があった。
【0010】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたものであり、機器などの電源の意図しない遮断を防ぎつつ操作性を高めることができる電源スイッチの安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電源スイッチの安全装置は、機器などの電源の投入遮断のために設けられ、回動の中心となる軸部、前記軸部を中心に回動することにより電源を投入させる投入部、および前記軸部を中心に前記投入部と逆方向に回動することにより電源を遮断させる遮断部を有し、電源を切り替えるスイッチ部と、電源が投入された状態の前記スイッチ部のうち前記遮断部を覆わず前記投入部を覆う第一の位置に配置して、前記第一のスイッチ部の回動を抑制可能なカバー部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電源スイッチの安全装置は、機器などの電源を切り替えるスイッチ部のうち遮断部を覆わず投入部を覆う第一の位置にカバー部を配置可能である。従って、機器などの電源の意図しない遮断を防ぎつつ操作性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのデジタル複合機100を示す斜視図である。図1に示されるように、デジタル複合機100は、デジタル複合機本体10と、給紙カセット20と、操作部30と、表示部40と、主電源スイッチ部50と、非ファクシミリ機能スイッチ部60とを少なくとも備えている。
【0014】
デジタル複合機本体10は、電話回線等の通信回線を介して受信されたデータに基づき記録用紙に画像を形成するファクシミリ機能部、原稿から読み取られたデータに基づき記録用紙に画像を形成するコピー(複写)機能部、およびLAN等を介してコンピュータから受信されたデータに基づき記録用紙に画像を形成するプリンタ機能部を有している。
【0015】
給紙カセット20は、デジタル複合機本体10へ供給すべき記録用紙を収納している。
【0016】
操作部30には、ユーザにより外部から指示が入力される。
【0017】
表示部40には、ユーザへ伝えるべき情報が表示される。
【0018】
主電源スイッチ50部は、デジタル複合機100全体の電源について、オン(投入)とオフ(遮断)とを切り替える(第一のスイッチ部)。
【0019】
非ファクシミリ機能スイッチ部60は、ファクシミリ機能部以外の機能部(非ファクシミリ機能部)すなわちコピー機能部およびプリンタ機能部の電源について、オンとオフとを切り替える(第二のスイッチ部)。
【0020】
図2は、図1の主電源スイッチ部50の詳細な構成を示す斜視図である。図2(a)〜(b)に示されるように、主電源スイッチ部50は、スイッチ部本体51とカバー部52とを少なくとも備えている。スイッチ部本体51は、回動の中心となる軸部53、ユーザの押下により軸部53を中心に回動することで電源を投入させる投入部54、およびユーザの押下により軸部53を中心に投入部54と逆方向に回動することで電源を遮断させる遮断部55を有している。図2(a)〜(b)においては、いずれも、電源が投入された状態が示されている。
【0021】
図2(a)においては、カバー部52が、スイッチ部本体51のうち遮断部55を覆わず投入部54を覆う第一の位置に配置された場合が示されている。また、図2(b)においては、カバー部52が、スイッチ部本体51のうち遮断部55および投入部54を覆わない第二の位置に配置された場合が示されている。
【0022】
図2(a)の第一の位置においては、カバー部52が投入部54を覆うことにより、スイッチ部本体51の回動が抑制される。従って、デジタル複合機100全体の電源の意図しない遮断すなわちファクシミリ機能部の電源の意図しない遮断を防ぐことができる。これにより、ファクシミリ機能部の電源の意図しない遮断により受信ができなくなることを防ぐことができる。
【0023】
図2(b)の第二の位置においては、カバー部52が投入部54を覆わないので、スイッチ部本体51の回動が抑制されない。従って、ユーザの意図により、デジタル複合機100全体の電源を遮断させることができる。
【0024】
図2に示されるように、カバー部52は、デジタル複合機本体10において、筐体に沿って容易にスライドさせることができるように設置されている。これにより、第一の位置と第二の位置とを、ユーザの操作により、容易に変更することが可能となる。
【0025】
このように、本実施形態に係るデジタル複合機100は、通信回線を介して受信されたデータに基づき画像を形成するファクシミリ機能部と、回動の中心となる軸部53、軸部53を中心に回動することにより電源を投入させる投入部54、および軸部53を中心に投入部54と逆方向に回動することにより電源を遮断させる遮断部55を有し、少なくともファクシミリ機能部の電源を切り替えるスイッチ部本体51と、スイッチ部本体51のうち遮断部55を覆わず投入部54を覆う第一の位置に配置可能なカバー部52とを備えている。従って、ファクシミリ機能部の電源の意図しない遮断を防ぎつつ操作性を高めることができる。
【0026】
なお、上述においては、デジタル複合機100が、ファクシミリ機能部、コピー機能部、およびプリンタ機能部を備える場合について説明したが、コピー機能部やプリンタ機能部すなわち非ファクシミリ機能部については、必ずしも備える必要はない。
【0027】
また、デジタル複合機100は、カバー部52が図2(b)の第二の位置に配置されていることを、例えばLEDを発光させることによりユーザへ報知してもよい。この報知部としてのLEDは、スイッチ部本体51に設けられてもよく、カバー部52に設けられてもよく、あるいは操作部30に設けられてもよい。これにより、カバー部52が第二の位置に配置されていることをユーザが容易に認識することができるので、ファクシミリ機能部の電源の意図しない遮断をさらに防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデジタル複合機100を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るデジタル複合機100の主電源スイッチ部50の詳細な構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 デジタル複合機本体、20 給紙カセット、30 操作部、40 表示部、50
主電源スイッチ部、51 スイッチ部本体、52 カバー部、53 軸部、54 投入部、55 遮断部、60 非ファクシミリ機能スイッチ部、100 デジタル複合機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器などの電源の投入遮断のために設けられ、回動の中心となる軸部、前記軸部を中心に回動することにより電源を投入させる投入部、および前記軸部を中心に前記投入部と逆方向に回動することにより電源を遮断させる遮断部を有し電源を切り替えるスイッチ部と、
電源が投入された状態の前記スイッチ部のうち前記遮断部を覆わず前記投入部を覆う第一の位置に配置して、前記第一のスイッチ部の回動を抑制可能なカバー部と
を備える電源スイッチの安全装置。
【請求項2】
前記カバー部は、前記スイッチ部のうち前記遮断部および前記投入部を覆わない第二の位置に配置可能である請求項1に記載の電源スイッチの安全装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記機器などの筐体に設けられ、前記カバー部は前記筐体に沿ってスライド可能に設けられる請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の電源スイッチの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−109361(P2013−109361A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286288(P2012−286288)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−261546(P2008−261546)の分割
【原出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】