説明

電源スイッチの誤操作防止装置

【課題】誤操作防止機能及びフールセーフ機能を付与するとともに、簡単、安価な構造とする。
【解決手段】中央部9aの水平方向両側に側部9bを設けたコ字状の誤操作防止部材9の中央部9aに挿通孔9cを設け、波型ロッカースイッチ1を、スイッチ部3の上側を押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部3の下側を押圧すると電源がオフとなるように誤操作防止部材9の挿通孔9cに挿通して取付部材8の取付孔8aに取り付ける。又、誤操作防止部材9の両側部9bには操作ロックバー10を回動自在にかつ自重により波型ロッカースイッチ1のオン操作部分3aを覆う位置となるように取り付け、波型ロッカースイッチ1のオン操作時には操作ロックバー10を押し上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器や電子装置等の電源スイッチの誤操作防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、情報処理装置や通信制御装置などの電子機器の多くは、電源をオンオフ(投入/切断)するための電源スイッチを有している。通常、単純なオンオフ機能だけが要求される場合には、電源スイッチとして、トグルスイッチ、プッシュスイッチ、キースイッチ、波型ロッカースイッチ等が用いられる。
【0003】
所謂、制御盤や制御卓に組み込まれる場合には、電源スイッチとして、トグルスイッチ、プッシュスイッチ、キースイッチ等が用いられることが多いが、OA機器や情報処理、通信制御機器などの一般の事務所等に設置される機器の場合には、その外観、構造、サイズなどの点で、波形ロッカータイプのスイッチが使用されることが圧倒的に多い。標準的な市販されている電源用波型ロッカースイッチの例を図7に示す。(a),(b)は波型ロッカースイッチ1の斜視図であり、(c)は平面図、(d)は正面図、(e)は側面図である。図において、2は直方体状の本体部、3はスイッチ部、4は接続端子である。
【0004】
上述の通り、波型ロッカースイッチ1は、情報機器等の電源オンオフ機構に標準的に用いられ、波型ロッカースイッチ1は単純な電源のオンオフ操作のためには、突起部が少なく、美的にも優れていて、操作感も優しく、比較的安価であるという点で優れている。なお、ロッカースイッチに関しては、特許文献1及び特許文献2に記載されたものもある。
【特許文献1】特開平9−213174号公報
【特許文献2】特開2002−8492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ここで、電源スイッチが使用する機器が、スイッチの操作性に関して、特別な条件を付けた場合を考える。例えば、「この機器は、常時はオン状態で機器を使用するために、人や物が接触した程度でオフ操作が行なわれてはならない。」という条件と、「緊急時には、この機器だけを単独に電源オフする必要があるので、電源スイッチはフロントパネル側にならなければならない。」という条件と、「キースイッチのように特定の人間だけが操作できるものであってはならず、だれでも操作できなければならない。」という条件が同時に与えられた場合である。
【0006】
即ち、電源スイッチはフロント側にあって誰でも操作できなければならないが、誤ってオフ操作をし易い構造ではいけないということである。このように相反する命題をどのように解決するかということで、従来から、ロック機構付きトグルスイッチが開発されている。図8(a)はロック機構付きトグルスイッチ5の斜視図、図8(b)はその操作方法を示し、トグルスイッチ5は本体部6、トグルレバー7及び接続端子8からなり、トグルレバー7は上下方向に可動であり、トグルレバー7を引張ると、トグルレバー7はトグル操作が可能となり、電源スイッチのオンオフが可能となるが、トグルレバー7を離すとばね性によりトグルレバー7は元に戻ってラッチされ、トグル操作ができなくなり、電源スイッチのオンオフが不可能となる。
【0007】
図9はロック機構付きトグルスイッチ5のロック機構の動作説明図であり、トグルレバー7の爪7aと本体部6側の爪又は溝が噛み合うことによって、通常トグルレバー7が引っ込んだ(下がった)状態では、いずれかのトグル状態でラッチされていてトグル操作ができないが、トグルレバー7を引張って(持ち上げて)このラッチを解除すると、トグルレバー7を反転(トグル)することができるようになる。このように、ロック機構付きトグルスイッチ5を用いると、操作者が敢えてトグルレバー7を引張ってからオンオフ操作をしない限り、トグルレバー7は反転しないので、「人や物が接触した程度ではオフ操作が行なわれてはならない。」という条件を満たす。また、トグルレバー7を引張ってからトグル操作を行なうことは誰にでもできる操作であるから、「キースイッチのように特定の人間だけが操作できるものであってはならず、だれでも操作できなければならない。」という条件も満たすことになる。即ち、先の命題については、このロック機構付きトグルスイッチを用いれば、解決される訳である。
【0008】
しかし、突起が大きく、全体的にも制御盤的イメージが強いトグルスイッチは、一般事務所環境に置かれる情報機器、通信機器等には不向きである。そこで、このような機器向けには波型ロッカースイッチを用いることを前提として、上記の命題を解決することが求められている。この命題については、本出願人においてもその解決を試みる機会が過去何回もあり、現在または将来においてもその解決が求められている。図10(a),(b)はその解決策の一例であり、波型ロッカースイッチ1を筐型の取付部材8に取り付ける際には、誤操作防止部材9を両者の間に介在させるものである。即ち、図10(a)に示すように誤操作防止部材9は中央部9aの水平方向両側に側部9bを有するコ字状に形成され、波型ロッカースイッチ1の本体部2より僅かに幅の広い中央部9aに波型ロッカースイッチ1の本体部2よりやや小さい矩形状の挿通孔9cを有し、取付部材8も挿通孔9cとほぼ同じ大きさの取付孔8aを有している。そして、図10(b)に示すように、波型ロッカースイッチ1の本体部2を挿通孔9c及び取付孔8aに嵌め込んで、一体化したものである。
【0009】
波型ロッカースイッチ1を図10(b)に示すように取付部材8に取り付けた場合、操作する人間の指は誤操作防止部材9の中央部9aに沿って操作される場合のみロッカースイッチ1をオンオフ操作することになり、誤って手やその他の物体がロッカースイッチ1に接触しそうになった場合には、誤操作防止部材9の両側部9bがガードとなって、手や物体がロッカースイッチ1に触れるのを防止する。このように、簡単な機構である誤操作防止部材9の両側部9bによってロッカースイッチ1への接触によるオンオフの誤操作を防止することができる。従って、出願人においては、誤操作防止部材9を情報機器、通信機器等の電源スイッチとしての波型ロッカースイッチ1に利用することが多くなっている。
【0010】
しかしながら、このような誤操作防止部材9を用いた場合でも、人間の手がその中央部9aに入った場合には全くガード機能を持たないため、人間が不用意に「何気なく操作してしまう。」あるいは「誤って操作してしまう。」場合にはそれをロックすることは不可能である。その意味では、今回取り上げた命題に対する完全な解答は未だ無いのが実状である。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、操作者に対して二挙動を要求することにより、誤操作防止及びフールセーフの機能を有し、簡単、安価な構造の電源スイッチの誤操作防止装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の請求項1に係る電源スイッチの誤操作防止装置は、中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側を押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部の下側を押圧すると電源がオフになるように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ自重又はばね力により波型ロッカースイッチのオン操作部分を覆う位置となるように取り付けられた操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン操作時には操作ロックバーを押し上げるようにしたものである。
【0013】
請求項2に係る電源スイッチの誤操作防止装置は、中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ自重又はばね力により波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆う位置となるように取り付けられた第1の操作ロックバーと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつばね力により波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の他方を覆う位置となるように取り付けられた第2の操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時には第1又は第2の操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたものである。
【0014】
請求項3に係る電源スイッチの誤操作防止装置は、中央部の水平方向両側に円弧状の側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ該両側部といずれの位置でも係止可能に取り付けられ、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆う操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時には操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたものである。
【0015】
請求項4に係る電源スイッチの誤操作防止装置は、中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に設けた上下方向のスライド溝に上下動自在にかついずれの位置でも係止可能に設けられ、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆うスライド式操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時にはスライド式操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明の請求項1によれば、電源スイッチをオンする場合には、操作ロックバーの押上とスイッチ部のオン操作部分の押圧という二挙動を必要とし、誤操作防止機能及びフールセーフ機能をもたせることができる。しかも、コ字状の誤操作防止部材と操作ロックバーを付設するだけでよく、簡単、安価な構成にすることができる。
【0017】
又、請求項2によれば、電源スイッチをオンオフする場合には、操作者は第1又は第2の操作ロックバーを押し上げ又は押し下げてから電源スイッチのオン操作部分又はオフ操作部分を押圧しなければならず、必ず二挙動を必要とし、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を備える。又、コ字状の誤操作防止部材及び第1、第2の操作ロックバー等を付設するだけで良いので、構成が簡単、安価となる
請求項3によれば、オンオフ操作に際して、操作ロックバーを押し上げ又は押し下げた後、オン操作部分又はオフ操作部分を押圧するようにしており、二挙動を必要とするので、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を備えている。又、コ字状の誤操作防止部材及び操作ロックバーを付設するだけでよいので、簡単、安価な構成とすることができる。
【0018】
請求項4によれば、オンオフ操作に際して、スライド式操作ロックバーを押し上げ又は押し下げた後、オン操作部分又はオフ操作部分を押圧するようにしており、二挙動を必要とするので、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を備えている。又、誤操作防止部材及びスライド式操作ロックバーを付設するだけでよいので、簡単、安価な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施最良形態1
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面とともに説明する。図1及び図2(a)〜(c)はこの発明の実施最良形態1による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図及び動作説明図である。誤操作防止部材9は中央部9aの水平方向両側に側部9bを有するコ字状に形成されるとともに、中央部9aに挿通孔9c(図10参照)を有する。波型ロッカースイッチ1はスイッチ部3の上側のオン操作部分3aを押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部3の下側オフ操作部分3bを押圧すると電源がオフとなるように誤操作防止部材9の挿通孔9cに挿通して取付部材8の取付孔8aに取り付ける(図10参照)。
【0020】
10は中央部10aの両側に側部10bを有するコ字状に形成された操作ロックバーであり、操作ロックバー10の側部10bの先端には孔10cが設けられ、誤操作防止部材9の両側部9bのやや上位にも孔9dが設けられ、孔10c,9dにセンターピン11を挿通して、操作ロックバー10を誤操作防止部材9の両側部9bに回動自在に取り付ける。操作ロックバー10は自重により波型ロッカースイッチ1のスイッチ部3の上側のオン操作部分3aを覆う位置で誤操作防止部材9の側部9bの縁部と係合して停止する。
【0021】
次に、上記構成の動作を図2(a)〜(c)により説明する。まず、図2(a)に示すように、操作ロックバー10は自重により波型ロッカースイッチ1のスイッチ部3のオン操作部分3aを覆う位置に停止しており、操作者がオン操作しようとしてもその指12がオン操作部分3aに触れることができず、オン操作することができない。次に、波型ロッカースイッチ1をオン操作する場合には、図2(b)に示すように、指12で操作ロックバー10を矢印13の方向に押し上げた後、スイッチ部3の上側のオン操作部分3aを指12で矢印14のように押圧して電源スイッチをオンにする。即ち、操作者はオン操作のために、操作ロックバー10の押上とオン操作部分3aの押圧という二挙動を行なわねばならず、誤操作は防止される。その後、図2(c)に示すように、操作ロックバー10を自重により所定の位置まで下げる。この場合、スイッチ部3の下側のオフ操作部分3bの押圧は矢印15に示すように可能であり、オフ操作を行なうことができる。
【0022】
以上のように、実施最良形態1においては、電源スイッチのオン操作においては、二挙動を必要とし、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を持たせることができる。しかも、簡単、安価な構成とすることができる。
【0023】
又、電子機器装置に突起部が少なく、美的にも優れていて、操作感もやさしく、比較的安価な波型ロッカースイッチ1を適用した上で、「この機器は、常時はオン状態で使用するために、人や物が接触した程度でオフ操作が行なわれてはならない。」という命題と、「緊急時には、この機器だけを単独に電源オフにする必要があるので、電源スイッチはフロントパネル側になければならない。」という命題と、「キースイッチのように特定の人間だけが操作できるものであってはならず、だれでも操作できなければならない。」という命題を満足させることができる。
【0024】
なお、誤操作防止部材9、操作ロックバー10及びセンターピン11は金属により形成してもよいし、樹脂モールドにより形成してもよい。これらを金属により形成した場合には、センターピン11はビスや段付きビスにより形成してもよい。又、これらを樹脂モールドにより形成する場合には、センターピン11を独立した部材にしてもよいし、操作ロックバー10の形成上、孔10cにセンターピン11を嵌め込んで一体に形成し、樹脂の柔軟性を利用して操作ロックバー10を開き気味にし、センターピン11に相当する突起部を誤操作防止部材9の孔9dに嵌め込んでしまえば同等の機構を構成することができる。
【0025】
又、誤操作防止部材9を自重により波型ロッカースイッチ1のオン操作部分3aを覆う位置まで回動するようにしたが、誤操作防止部材9の側部9bとの摩擦により自重ではオン操作部分3aを覆う位置まで回動しない場合には、ばね(図示せず)を設けて、ばねの力によりオン操作部分3aを覆う位置まで回動させるようにしてもよい。
【0026】
実施最良形態2
図3(a),(b)は実施最良形態2による電源スイッチの誤操作防止装置のオフ操作時の斜視図及びオンオフ操作ロック時の斜視図である。16は中央部16aの両側に側部16bを有するコ字状に形成された第2の操作ロックバーであり、第2の操作ロックバー16の側部16bの先端には図示しない孔が設けられ、誤操作防止部材9の両側部9bにも孔9dより下位に図示しない孔が設けられ、これらの図示しない二つの孔にセンターピン17を挿通して、第2の操作ロックバー16を操作ロックバー(この場合、第1の操作ロックバーとなる。)10の下位において誤操作防止部材9の両側部9bに回動自在に取り付ける。又、第2の操作ロックバー16は図3(b)に示すようにスイッチ部3の下側のオフ操作部分3bを覆う位置に停止させるが、自重ではこの位置に停止しないので、図3(a)に示すように、センターピン17を介してばね18を誤動作防止部材9の側部9bと第2の操作ロックバー16との間に設けて、ばね18の力により停止させる。その他の構成は実施最良形態1と同様である。
【0027】
次に、上記構成の動作について説明する。図3(b)では、波型ロッカースイッチ1はオン状態となっており、ここで、図3(a)のように、第2の操作ロックバー16を指12で矢印19のように押し下げて、スイッチ部3のオフ操作部分3bを矢印20のように押圧すると、波型ロッカースイッチ1はオフとなる。又、ここで、指12を離すと、第2の操作ロックバー16はばね18の力により矢印21に示すように回動し、再びスイッチ部3のオフ操作部分3bを覆う。又、オフ状態の波型ロッカースイッチ1をオンする際には、スイッチ部3のオン操作部分3aを覆っている第1の操作ロックバー10を指12で押し上げて、スイッチ部3のオン操作部分3aを指12で押圧することにより電源スイッチはオンされる。
【0028】
実施最良形態2においては、電源スイッチである波型ロッカースイッチ1のオン操作部分3a及びオフ操作部分3bを第1及び第2の操作ロックバー10,16により覆っており、電源スイッチをオンオフ操作する場合には、操作者は操作ロックバー10,16を押し上げ又は押し下げてからオン操作部分3a又はオフ操作部分3bを押圧しなければならず、必ず二挙動を必要とするので、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を有することになる。又、誤操作防止部材9及び操作ロックバー10,16等により構成されるので、構成が簡単、安価となる。
【0029】
なお、実施最良形態2においては、スイッチ部3の上側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の下側部分をオフ操作部分3bとしたが、スイッチ部3の下側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の上側部分をオフ操作部分3bとしてもよい。
【0030】
実施最良形態3
図4及び図5(a),(b)は実施最良形態3による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図及び動作説明図である。誤操作防止部材22は中央部22aの水平方向両側に円弧状の側部22bを有するコ字状に形成されるとともに、中央部22aに図示しない挿通孔を有する。波型ロッカースイッチ1はスイッチ部3の上側のオン操作部分3aを押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部3の下側のオフ操作部分3bを押圧すると電源がオフとなるように誤操作防止部材22の挿通孔に挿通して取付部材8の取付孔8aに取り付ける(図10参照)。
【0031】
23は中央部23aの両側に側部23bを有するコ字状に形成された操作ロックバーであり、側部23bの先端には孔23cが設けられ、誤操作防止部材22の両側部22bの中央にも孔22dが設けられ、孔23c,22dにセンターピン24を挿通して、操作ロックバー23を誤操作防止部材22の両側部22bに回動自在に取り付ける。この場合、操作ロックバー23と側部22bの円弧状の周縁部との間の摩擦はいずれの位置でも大きく、いずれの位置でも係止可能となっている。
【0032】
次に、上記構成の動作を図5(a),(b)により説明する。図5(a)は波型ロッカースイッチ1をオフ操作した状態であり、操作者がオン操作しようとしても、操作ロックバー23がスイッチ部3のオン操作部分3aを覆っており、オン操作をすることができない。オン操作をする場合には、まず操作ロックバー23を指12で矢印25に示すように押し下げた後、スイッチ部3のオン操作部分3aを押圧して電源スイッチをオンする。この状態が図5(b)であり、この状態では操作ロックバー23がスイッチ部3のオフ操作部分3bを覆っており、オフ操作することができない。オフ操作をするには、まず指12で操作ロックバー23を矢印26の方向に押し上げた後、スイッチ部3のオフ操作部分3bを押圧して電源スイッチをオフする。
【0033】
実施最良形態3においては、オンオフ操作に際して、操作ロックバー23を押し上げ又は押し下げた後、オン操作部分3a又はオフ操作部分3bを押圧するようにしており、二挙動を必要とするので、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を備えている。又、コ字状の誤操作防止部材22及び操作ロックバー23を付設するだけでよいので、簡単、安価な構成とすることができる。
【0034】
なお、誤操作防止部材22、操作ロックバー23及びセンターピン24は金属により形成してもよいし、樹脂モールドにより形成してもよい。これらを金属により形成した場合には、センターピン24はビスや段付きビスにより形成してもよい。又、これらを樹脂モールドにより形成する場合には、センターピン24を独立した部材にしてもよいし、操作ロックバー23の形成上、孔23cにセンターピン24を嵌め込んで一体に形成し、樹脂の柔軟性を利用して操作ロックバー23を開き気味にし、センターピン24に相当する突起部を誤操作防止部材22の孔22dに嵌め込んでしまえば同等の機構を構成することができる。又、スイッチ部3の上側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の下側部分をオフ操作部分3bとしたが、スイッチ部3の下側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の上側部分をオフ操作部分3bとしてもよい。
【0035】
実施最良形態4
図6(a)は実施最良形態4による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図、図6(b),(c)はその動作説明図であり、27は中央部27aの水平方向両側に側部27bを有するコ字状に形成され、中央部27aに図示しない挿通孔
を有する誤操作防止部材である。波型ロッカースイッチ1はスイッチ部3の上側のオン操作部分3aを押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部3の下側のオフ操作部分3bを押圧すると電源がオフとなるように誤操作防止部材27の挿通孔に挿通して取付部材8の取付孔8aに取り付ける(図10参照)。
【0036】
28は中央部28aの両側に側部28bが設けられるとともに、側部28bの先端に内側に突出した突出部28cが形成されたスライド式操作ロックバーであり、誤操作防止部材27の両側部27bには上下方向のスライド溝27dが形成され、スライド式操作ロックバー28の中央部28aを矢印29に示すように反らせ、突出部28cを矢印30に示すようにスライド溝27dに嵌合する。これにより、スライド式操作ロックバー28をスライド溝27dに上下動自在にかついずれの位置でも係止可能に取り付ける。
【0037】
次に、上記構成の動作を図6(b),(c)により説明する。図6(b)は波型ロッカースイッチ1をオフ操作した状態であり、操作者がオン操作しようとしても、スライド式操作ロックバー28がスイッチ部3のオン操作部分3aを覆っており、オン操作をすることができない。オン操作をする場合には、まずスライド式操作ロックバー28を指12で矢印31に示すように押し下げた後、スイッチ部3のオン操作部分3aを押圧して電源スイッチをオンする。この状態が図6(c)であり、この状態ではスライド式操作ロックバー28がスイッチ部3のオフ操作部分3bを覆っており、オフ操作することができない。オフ操作をするには、まず指12でスライド式操作ロックバー28を矢印32の方向に押し上げた後、スイッチ部3のオフ操作部分3bを押圧して電源スイッチをオフする。
【0038】
実施最良形態4においては、オンオフ操作に際して、スライド式操作ロックバー28を押し上げ又は押し下げた後、オン操作部分3a又はオフ操作部分3bを押圧するようにしており、二挙動を必要とするので、誤操作防止機能及びフールセーフ機能を備えている。又、誤操作防止部材27及びスライド式操作ロックバー28を付設するだけでよいので、簡単、安価な構成とすることができる。
【0039】
なお、誤操作防止部材27及びスライド式操作ロックバー28は金属により形成してもよいし、樹脂モールドにより形成してもよいが、スライド式操作ロックバー28はある程度柔軟性を持たせるために誦しモールドにより形成することが望ましい。又、スイッチ部3の上側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の下側部分をオフ操作部分3bとしたが、スイッチ部3の下側部分をオン操作部分3aとし、スイッチ部3の上側部分をオフ操作部分3bとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施最良形態1による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図である。
【図2】実施最良形態1による電源スイッチの誤操作防止装置の動作説明図である。
【図3】実施最良形態2による電源スイッチの誤操作防止装置のオフ操作時の斜視図及びオンオフ操作ロック時の斜視図である。
【図4】実施最良形態3による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図である。
【図5】実施最良形態3による電源スイッチの誤操作防止装置の動作説明図である。
【図6】実施最良形態4による電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図及び動作説明図である。
【図7】従来の波型ロッカースイッチの斜視図、平面図、正面図及び側面図である。
【図8】従来のロック機構付きトグルスイッチの斜視図及び操作方法の説明図である。
【図9】従来のロック機構付きトグルスイッチのロック機構の斜視図及び操作方法の説明図である。
【図10】従来の電源スイッチの誤操作防止装置の分解斜視図及び組立後の斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1…波型ロッカースイッチ
3…スイッチ部
3a…オン操作部分
3b…オフ操作部分
9,22,27…誤操作防止部材
9a,16a,22a,27a…中央部
9b,10b,16b,22b,23b,27b…側部
9c…挿通孔
10,16,23…操作ロックバー
11,17,24…センターピン
18…ばね
27d…スライド溝
28…スライド式操作ロックバー
28c…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側を押圧すると電源がオンになるとともに、スイッチ部の下側を押圧すると電源がオフになるように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ自重又はばね力により波型ロッカースイッチのオン操作部分を覆う位置となるように取り付けられた操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン操作時には操作ロックバーを押し上げるようにしたことを特徴とする電源スイッチの誤操作防止装置。
【請求項2】
中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ自重又はばね力により波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆う位置となるように取り付けられた第1の操作ロックバーと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつばね力により波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の他方を覆う位置となるように取り付けられた第2の操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時には第1又は第2の操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたことを特徴とする電源スイッチの誤操作防止装置。
【請求項3】
中央部の水平方向両側に円弧状の側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に回動自在にかつ該両側部といずれの位置でも係止可能に取り付けられ、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆う操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時には操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたことを特徴とする電源スイッチの誤操作防止装置。
【請求項4】
中央部の水平方向両側に側部を有するコ字状に形成され、中央部に挿通孔を有する誤操作防止部材と、スイッチ部の上側又は下側を押圧することにより電源をオンオフするように誤操作防止部材の挿通孔に挿通して取付部材の取付孔に取り付けられた波型ロッカースイッチと、誤操作防止部材の両側部に設けた上下方向のスライド溝に上下動自在にかついずれの位置でも係止可能に設けられ、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作部分の一方を覆うスライド式操作ロックバーとを備え、波型ロッカースイッチのオン又はオフ操作時にはスライド式操作ロックバーを押し上げ又は押し下げるようにしたことを特徴とする電源スイッチの誤操作防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−216484(P2006−216484A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30244(P2005−30244)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】