説明

電源スイッチ

【課題】電源遮断速度を高め、且つ良好な電気的接触性を確保し、また、組立が容易で低コストな電源スイッチを提供する。
【解決手段】外部接続部6を有して平行に対向する一対の固定端子7と、一対の固定端子の間に回転自在に配置される回転端子9とを備え、一対の固定端子が複数の接触部28を周方向に間隔をあけて有し、回転端子が複数の接触部に対する複数の被接触部37を有することを特徴とする電源スイッチ1を採用した。接触部28と被接触部37とを放射状に配置した。回転端子9を駆動するための軸部8を固定端子7に貫通させた。絶縁ケース4内に外部接続部6を除く固定端子7と回転端子9とを層状に収容した。回転端子9を絶縁樹脂モールドし、被接触部37を絶縁樹脂材41から露出させた。軸部8を挿通させる筒状部43を絶縁樹脂材41に形成し、筒状部を固定端子7に貫通させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転端子と固定端子との接触の有無で通電遮断を行わせる電源スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9(a)(b)は従来の電源スイッチの一形態を示すものである(特許文献1参照)。
【0003】
この電源スイッチ61は、180゜方向に配置された一対の板状の固定端子62と、各固定端子62の基端に設けられた厚肉の導電接触部63と、両固定端子62の間に回動自在に配置された回転端子64と、回転端子64と固定端子62の基端側の導電接触部63を覆って保持する絶縁樹脂製のケース65とを備えたものである。
【0004】
回転端子64は両端の円弧面に複数の接触ばね片66を有し、固定端子62の基端の導電接触部63は接触ばね片66を摺接させる円弧面を有している。回転端子64の幅方向両側には絶縁部67が形成され、回転端子64と絶縁部67とで円形の回転部が構成されている。両固定端子62の先端部は例えば自動車のバッテリ(大元)の電源線に接続される。回転端子64は軸部68をモータとギヤといった駆動手段(図示せず)で回動される。
【0005】
図9(a)の状態で両固定端子62が回転端子64を介して接続され、バッテリから自動車の各補機等に通電され、図9(a)の状態から回転端子を90゜回動させた図9(b)の状態で、両固定端子62と回転端子64との接触が断たれ、バッテリからの導通が遮断される。
【0006】
上記特許文献1には、固定端子62を前後左右に各一対(計二対)配置し、前後の固定端子62を接続した回転端子64を90゜回動させることで、左右の固定端子同士を接続させるようにした電源スイッチも記載されている。
【特許文献1】特開2002−367462公報(図8,図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の電源スイッチ61にあっては、回転端子64を90゜回動させて電源のオンオフを行わせるために、電源の遮断に要する時間が長く、例えば自動車の衝突時に電源を迅速に遮断したい場合等において、さらなる遮断速度の向上が求められていた。また、板状の回転端子64と固定端子62との接触性を高めるために、固定端子62に厚肉の導電接触部63を設けたり、回転端子64の円弧面に複数の接触ばね片66を固定したりしなければならず、組立に多くの工数を必要とし、コスト高になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、電源遮断速度を高めることができ、且つ良好な電気的接触性を確保することができ、また、組立が容易で低コストである電源スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電源スイッチは、外部接続部を有して平行に対向する一対の固定端子と、該一対の固定端子の間に回転自在に配置される回転端子とを備え、該一対の固定端子が複数の接触部を周方向に間隔をあけて有し、該回転端子が該複数の接触部に対する複数の被接触部を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成により、回転端子が一対の近接する平行な固定端子の間の隙間に回転自在に位置し、回転端子の回動操作で回転端子の被接触部と一対の固定端子の接触部とが接続及び接続解除(遮断)される。接触部は固定端子の周方向に所望の角度間隔で配置可能であり、接触部の数は四つでも六つでも八つでもよく、360゜を整数角度に割り切れる数であることが好ましい。被接触部の数や配置間隔も同様である。複数の接触部と被接触部とは同時に接触し、同時に接触解除される。接触部や被接触部の間隔は等間隔であることが好ましいが、回転端子の回転間隔に応じて接触部や被接触部の間隔を適宜(非等間隔にも)設定可能である。
【0011】
請求項2に係る電源スイッチは、請求項1記載の電源スイッチにおいて、前記接触部と前記被接触部とが放射状に配置されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、回転端子の回転中心(軸部)から接触部と被接触部とが放射状に長く、回転方向に短く形成配置され、回転端子の間欠回転で長い接触部と被接触部とが瞬時に接触して良好な電気的導通を行わせ、次の間欠回転で長い接触部と被接触部とが瞬時に遮断される。接触部としては例えば複数の弾性接触片を回転端子の回転方向に傾斜させて成る弾性接触部を固定端子本体に加締め等で固定したものが好ましく、その場合、被接触部は回転端子の平坦な接触面であることが好ましい。
【0013】
請求項3に係る電源スイッチは、請求項1又は2記載の電源スイッチにおいて、前記回転端子を駆動するための軸部が前記固定端子を貫通して位置したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、軸部が一方の固定端子又は一方と他方の固定端子の孔部を貫通して、固定端子の接触部と回転端子の被接触部とが孔部(軸部)を中心として周方向に間隔をあけて例えば放射状に配置される。軸部が導電性である場合、軸部は孔部に非接触とする。一対の固定端子としては同一形状のものを共通使用可能である。
【0015】
請求項4に係る電源スイッチは、請求項1〜3の何れかに記載の電源スイッチにおいて、絶縁ケース内に前記外部接続部を除く前記一対の固定端子と前記回転端子とが層状に収容されたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、絶縁ケース内で一対の固定端子と回転端子とが外部から絶縁される。ケースに一方の固定端子を組み付け、一方の固定端子の上から回転端子を組み付け、回転端子の上から他方の固定端子を組み付けることで、組付作業が効率良く行われる。ケースは一方のカバーと他方のカバーとで成ることが好ましい。
【0017】
請求項5に係る電源スイッチは、請求項1〜4の何れかに記載の電源スイッチにおいて、前記回転端子が絶縁樹脂モールドされ、前記複数の被接触部が絶縁樹脂材から露出されたことを特徴とする。
【0018】
上記構成により、回転端子の各被接触部が絶縁樹脂材(絶縁樹脂部)で連結され、固定端子の接触部が絶縁樹脂部の表面に摺接して引っ掛かりなくスムーズに被接触部に接続され、被接触部から絶縁樹脂部に引っ掛かりなくスムーズに移動して接続解除(遮断)される。絶縁樹脂部の表面と被接触部の表面とは同一面上に位置することが好ましい。
【0019】
請求項6に係る電源スイッチは、請求項5記載の電源スイッチにおいて、回転端子駆動用の軸部を挿通させる筒状部が前記絶縁樹脂材に形成され、該筒状部が前記固定端子を貫通したことを特徴とする。
【0020】
上記構成により、軸部が導電性金属である場合、軸部が絶縁樹脂材の筒状部内に収容されて外部と絶縁され、軸部と一対の固定端子との間の不意な通電や、軸部を介しての回転端子と固定端子との間の不意な通電が阻止される。軸部と固定端子の軸部挿通用の孔部との間隔を大きく設定すれば、軸部を絶縁樹脂材で覆わなくても何ら問題はない。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、固定端子の周方向に複数の接触部を所望の数で設けることができるから、接触部の数を多く設定することで、回転端子の回転操作時間を短縮して、例えば自動車の衝突時等に電源を短時間で迅速に遮断することができる。同様に、電源の復帰も短時間でスムーズに行うことができる。また、複数(多数)の接触部を複数(多数)の被接触部に同時に接触させることで、通電の信頼性が向上し、自動車(電気自動車を含む)のバッテリの大電流回路の通電に確実に対応することができる。また、一方の固定端子に回転端子を重ねて配置し、回転端子の上に他方の固定端子を重ねて配置することで、電源スイッチの組立性が向上し、低コストな電源スイッチを提供することができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、放射状に長い接触部と被接触部とを大きな接触面積で接触させて良好な通電を行わせることができると共に、放射状に長い接触部と被接触部とを瞬時に遮断することができ、請求項1記載の発明の効果が促進される。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、一対の固定端子の間で回転端子を軸部でスムーズ且つ確実に回転させることができ、軸部を中心として各接触部を各非接触部にスムーズ且つ確実に接続及び接続解除(遮断)させることができ、これにより請求項1記載の発明の効果が一層促進される。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、ケースに一方の固定端子を組み付け、一方の固定端子の上から回転端子を組み付け、回転端子の上から他方の固定端子を組み付けることで、組立作業を効率良く行うことができ、組立作業の効率化と簡単な構造により、電源スイッチが低コスト化される。
【0025】
請求項5記載の発明によれば、接触部と被接触部との接触に要する部分のみが露出され、その他の部分が絶縁されるから、電源の接続と遮断の信頼性が向上する。また、接触部と被接触部との摺接が引っ掛かりなくスムーズに行われるから、電源の接続と遮断の信頼性が向上すると共に、断続回数の耐久性が向上する。
【0026】
請求項6記載の発明によれば、絶縁樹脂製の筒状部で軸部を介しての不意な通電が阻止され、電源の接続及び遮断の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1〜図5は、本発明に係る電源スイッチの一実施形態を示すものである。図1は電源スイッチの外観斜視図、図2は電源スイッチの上カバー側の裏面視分解図、図3は電源スイッチの下カバーと下側の固定端子との組立体の平面図、図4は固定端子の弾性接触部を示す斜視図、図5は下カバーと上下の固定端子と中間の回転端子を示す分解斜視図をそれぞれ示している。
【0028】
この電源スイッチ1は、合成樹脂製の上下のカバー2,3で成る絶縁ケース4(図1)と、上カバー2に回動自在に設けられた絶縁樹脂製の手動式の操作スイッチ5(図1)と、絶縁ケース4内に収容され、且つ外部接続部(電源接続部)6を絶縁ケース4から180゜方向に突出させた上下二枚の平行に近接した導電金属製の固定端子7(図5)と、二枚の固定端子7の間の隙間に配置され、操作スイッチ5の中央の金属製の軸部8で回動される導電金属製の回転端子9(図5)とを備えたものである。
【0029】
図1の如く、操作スイッチ5は、円板部10と、円板部10の中央に立設された操作板11とを備え、円板部10の矢印12の方向に無制限に回転自在である。円板部10は上カバー2の環状壁13に沿って一方向に回転する。上カバー2と下カバー3には各固定端子7の外部接続部6を貫通させる凹部14が形成されている。外部接続部6は孔部15にボルト締め等で電源線に接続される。なお、本明細書で上下左右の方向性は説明の便宜上のものであり、必ずしも電源スイッチ1の取付方向と一致するとは限らない。
【0030】
図2の如く、上カバー2の裏側において操作スイッチ5の円板部10の中心に円柱状の軸部8が突設固定され、軸部8は周方向の一部に切欠部16を有し、円板部10の外周に四つの突起17が等配に設けられ、円板部10を回動自在に保持する上カバー2の円形の孔部18の内面に四つの切欠溝19が設けられ、上カバー2の四隅に上下のカバー固定用のボルト挿通孔20と挿通孔20の周囲のボス状の上側固定端子押え部21が設けられている。
【0031】
軸部8に短いコイルばね(弾性部材)22が外挿され、コイルばね22の上から軸部8に円形のラチェット板23が外挿される。コイルばね22は上側の固定端子7との間でラチェット板23を上カバー2側の円板部10に向けて付勢する。ラチェット板23の外周には上カバー2の切欠溝19に昇降自在に係合する突起24が設けられている。
【0032】
また、ラチェット板23の外周上面(図2で下側の面)には12個の爪部25が立設され、各爪部25は操作スイッチ5の回転方向に傾斜し(傾斜面を符号25aで示す)、円板部10の外周の環状の隙間26に進入し、且つ円板部10の外周の突起17に乗り上げつつ、操作スイッチ5をラチェット式に間欠回転させる。
【0033】
12個の爪部25によって360゜/12=30゜の間隔で操作スイッチ5が回動する。ラチェット板23は回転せずに上カバー2内を昇降するのみである。ラチェット板23の外周下面には下カバー3内の上側の固定端子7の上面に当接する支持突起27が設けられている。
【0034】
図3の如く、下カバー3の内側に下側の固定端子7が配設され、その上に上側の固定端子7が隙間を存して対向して配置される(図3では上側の固定端子7は外部接続部6のみを鎖線で示している)。
【0035】
図3,図5の如く、上下の各固定端子7は固定端子本体7’と別体の弾性接触部(接触部)28とで構成されている。上下の固定端子本体7’は同一のものを左右反転させて使用しており、各固定端子本体7’は、略円形の円板部29と、円板部29の四角に一体形成された固定部30と、前後の固定部30の間で円板部29から突設された外部接続部6とで同一板厚で平面的に構成されている。各固定端子本体7’は一枚の厚肉の導電金属板からプレス打抜き成形で容易に且つ安価に形成される。
【0036】
四角の固定部30は対角方向の一対の孔部30aと対角方向の一対の切欠部30bとを有している。各孔部30aと各切欠部30bとが下カバー3の四隅の断面円形又は略円形のボス部31の外周面に係合し、ボス部31の外周で上下の固定端子7の固定部30の間に絶縁樹脂製のスペーサ(図示せず)が装着されて、各固定端子7が隙間を存して近接且つ対向して位置決め保持される。下カバー3のほぼ中央には軸部8の先端を支持する環状部32が形成されている。
【0037】
上下の固定端子7には弾性接触部28が対向して配設されている。弾性接触部28は図4の如く、薄肉の導電金属板からプレス打抜きと曲げ加工で形成され、一対の平行な傾斜状に捩れた弾性接触片33と、一対の接触片33を連結する両側の加締め片34とで構成されている。接触片33の傾斜方向は回転端子9(図5)の回転方向に一致する。
【0038】
図3,図5の如く、各固定端子7の円板部29に六つの弾性接触部28が60゜の間隔で等配に固定される。円板部29には中央に孔部35が設けられ、孔部35の内周と円板部29の外周とに各六つの切欠部36が設けられ、内外の各切欠部36に弾性接触部28の両側の加締め片34が加締め固定される。孔部35の内径は軸部8の外径よりもかなり大径に形成され、軸部8と孔部35の内周面との間には絶縁隙間が形成される。下側の固定端子7の上面と上側の固定端子7の下面に沿って上下の弾性接触部28が隙間を存して対向して配置される。
【0039】
上下の固定端子7の間に回転端子9が回転自在に配置される。図5の如く、回転端子9は六つの接触板部(被接触部)37を放射状に60゜の間隔で等配に有し、各接触板部37は基端の細幅部38で中央の環状部39に連結されている。環状部39の内側には軸部8とその切欠部16(図2)を係合固定させる孔部40が設けられている。回転端子9は一枚の導電金属板からプレス打抜き成型で簡単に且つ安価に形成される。
【0040】
回転端子9の各接触板部37の下面が下側の固定端子7の各弾性接触部28に弾性接触し、同時に各接触板部37の上面が上側の固定端子7の各弾性接触部28に弾性接触する。回転端子9は六つの接触板部37で各固定端子7の六つの弾性接触部28に同時に接触するから、電気的接触面積が拡大され、通電の信頼性が高まる。
【0041】
図5の実施形態では、回転端子9は導電性の接触板部37と環状部39とを外部に露出させた状態で使用するが、図5に鎖線で、図6に実線でそれぞれ示す如く、回転端子9を絶縁樹脂41に一体モールド成形し、接触板部37の上下の接触面37aのみを絶縁樹脂部(絶縁樹脂材)41の上下の面41aと同一面に露出させて、回転端子成形体42を構成することも有効である。
【0042】
回転端子9の中央の環状部39(図5)の上下には絶縁樹脂材で筒状部43が突出形成される。環状部39の孔部40の内周面は絶縁樹脂製の筒状部43で覆われて外部から絶縁されることが好ましく、これによって金属製の軸部8(図2)と環状部39との接触が防止され、例えば万一、軸部8が弾性接触部28(図5)の内側の加締め片34に接触した場合でも、軸部8を通じての回転端子9と固定端子7との不意な通電が阻止される。
【0043】
図7は、図3に対応して絶縁ケース4内に回転端子9を配置し、回転端子9の放射状の各接触板部37を上下の固定端子7(上側の固定端子7は外部接続部6のみを鎖線で示している)の各弾性接触部28(図8)に接触させた通電状態を示している。
【0044】
図7の状態から図8のように操作スイッチ5(図1)を矢印Aの如く一ラッチ分(30゜)回転させることで、回転端子9の各接触板部37と上下の固定端子7の各弾性接触部28との接触が解除され、上下の固定端子7間の通電が解除(遮断)される。接触板部37は隣接する二つの弾性接触部28の間の絶縁空間に移動する。
【0045】
例えば自動車の衝突時等で早急に電源を遮断したい場合に、操作スイッチ5(図1)をわずかな距離だけ動かすことで、電源を短時間で確実に遮断することができる。これにより、漏電に起因するガソリンへの引火等の危険が迅速に回避される。
【0046】
なお、上記実施形態においては、固定端子7の各弾性接触部28や回転端子9の各接触板部37を60゜毎に六つ形成配置したが、弾性接触部28や接触板部37の数はこれに限るものではなく、例えば弾性接触部28や接触板部37を三つないし四つ等配に形成したり、あるいは八つないし九つないし十個等配に形成したり、要は360゜を完全に割り切れる数で形成することが可能である。従来と同じ遮断時間でよいのであれば二つ等配に形成することも可能であり、この場合でも、組立が容易で低コストで、且つ良好な電気的接触性を確保するという課題を達成することができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、操作スイッチ5を手動で回転させたが、手動に代えて例えばモータとギア、あるいはソレノイド等の駆動手段(図示せず)で操作スイッチ5の軸部8を回転させることも可能であり、この場合は操作スイッチ本体(円板10と操作板11)は不要となる。
【0048】
また、上記実施形態においては、上下の固定端子7の外部接続部6を180゜方向に配置したが、例えば上下の固定端子7の各弾性接触部28を四つとし、固定部30を90゜等配に配置した場合には、各外部接続部6を90゜方向に配置することも可能である。上下の固定端子7を共用化せずに別形状とした場合は、所望の角度で各外部接続部6を配置することが可能である。
【0049】
また、上記実施形態においては、固定端子7の弾性接触部28を幅狭に形成してマルチコンタクトとして多数配置したが、弾性接触部28の数が上下で各二〜四個程度と少ない場合は、幅広に形成することも可能である。弾性接触部28の数や形状に応じて回転端子9の接触板部37の数や形状も変更可能であることは言うまでもない。弾性接触部28を上下で各一つとし、回転端子9の接触板部37を一つとすることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態においては、固定端子7の弾性接触部28の数と回転端子9の接触板部37の数を同一としたが、例えば接触板部37の数を弾性接触部28の数の二倍とし、同一数の場合よりも半分の距離と時間で回転端子9を回転して電源を遮断させることも可能である。弾性接触部28の数を接触板部37の数の二倍とすることも可能である。
【0051】
また、上記実施形態においては、固定端子7に別体の弾性接触部28を設けたが、固定端子7の板厚が薄いものである場合は、固定端子7に弾性接触部28をプレス打抜き加工等で一体形成することも可能である。
【0052】
また、上記実施形態においては、固定端子7に弾性接触部28を設けたが、回転端子9に弾性接触部(28)を設け、固定端子7に回転端子9の弾性接触部(28)を逃がす孔部(図示せず)を設け、あるいは図5の固定端子7の円板部29を回転端子9の形状に適用し、図5の回転端子9を固定端子7の形状として適用し、固定端子7は弾性接触部28のない固定端子本体7’の状態で平坦な上下の接触面に回転端子9の弾性接触部28を接触させるようにすることも可能である。回転端子9の接触板部37に弾性接触部28を設ける場合、上記実施形態の弾性接触部28を用いてもよいし、それ以外に接触板部37の幅(横断)方向に弓形の弾性接触部(図示せず)を配置する等してもよい。また、固定端子7と回転端子9との両方に弾性接触部28を設けることも可能である。弾性接触部28の形状や配置は必要に応じて適宜設定可能である。また、弾性接触部28に代えて例えば半球状の図示しない接触突起(接触部)を設け、接触突起を相手側(固定端子や回転端子)の平坦な接触面に押接させるようにすることも可能である。
【0053】
また、上記実施形態においては、操作スイッチ5をラチェット機構で間欠回転させるようにしたが、ラチェット機構として上記形態以外のもの(例えばコイルばね22を用いず上カバー2の図示しない可撓性の爪部と操作スイッチ5の図示しない突起との係合で間欠回転させる等)を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る電源スイッチの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】電源スイッチの上カバー側の構造を示す裏面視斜視図である。
【図3】電源スイッチの下カバー側の構造を示す平面図である。
【図4】電源スイッチの回転端子に用いる弾性接触部を示す単体斜視図である。
【図5】下カバーに対する上下の固定端子と中間の回転端子の配置を示す分解斜視図である。
【図6】回転端子の他の実施形態である回転端子成形体を示す斜視図である。
【図7】電源スイッチの通電状態を示す平面図である。
【図8】電源スイッチの遮断状態を示す平面図である。
【図9】従来の電源スイッチの一形態を示し、(a)は通電状態の平面図、(b)は遮断状態の平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 電源スイッチ
4 絶縁ケース
6 外部接続部
7 固定端子
8 軸部
9 回転端子
28 弾性接触部(接触部)
37 接触板部(被接触部)
41 絶縁樹脂材
43 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続部を有して平行に対向する一対の固定端子と、該一対の固定端子の間に回転自在に配置される回転端子とを備え、該一対の固定端子が複数の接触部を周方向に間隔をあけて有し、該回転端子が該複数の接触部に対する複数の被接触部を有することを特徴とする電源スイッチ。
【請求項2】
前記接触部と前記被接触部とが放射状に配置されたことを特徴とする請求項1記載の電源スイッチ。
【請求項3】
前記回転端子を駆動するための軸部が前記固定端子を貫通して位置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電源スイッチ。
【請求項4】
絶縁ケース内に前記外部接続部を除く前記一対の固定端子と前記回転端子とが層状に収容されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電源スイッチ。
【請求項5】
前記回転端子が絶縁樹脂モールドされ、前記複数の被接触部が絶縁樹脂材から露出されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電源スイッチ。
【請求項6】
回転端子駆動用の軸部を挿通させる筒状部が前記絶縁樹脂材に形成され、該筒状部が前記固定端子を貫通したことを特徴とする請求項5記載の電源スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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