説明

電源ソケット

【課題】割りを有するインナケースのアウタケースへの組み付け前に、互いの割りに深く嵌り合ったインナケース同士を1個ずつに外す作業負担を軽減する。
【解決手段】インナケース30は自由状態でアウタケースの内径より大径に形成され、縮径してアウタケースに挿入後弾性復帰力によりアウタケースの内壁に圧接状態となる。インナケース30の割りQは、軸方向両端の第1直線部Q1と、第1直線部Q1に対して周方向にオフセットした中間の第2直線部Q2と、両者間の傾斜部Q3を含み、他のインナケース30が第1直線部Q1から第2直線部Q2への進入しようとしても傾斜部Q3で阻止され、インナケース30同士が互いの割りに嵌り合うことがあるとしても第1直線部Q1同士に限定される。このため、深くは嵌り合わないから、嵌り合ったインナケース30でも軽く振り払うだけで容易に1個ずつに分離できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等に装備されてシガーライタやその他の電気製品のプラグを挿入することにより電源を供給する電源ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源ソケットは、挿入される電気製品のプラグと電気接続する接点の1つとして、樹脂製のアウタケースの内側に導電性金属板をプレス成形したインナケースをインサート成形して備えている。
このような電源ソケットの構成は、特開2001−357947号公報にも示しており、従前一般的であった深絞り加工を廃してプレス成形したインナケースを用いることで、製造工程が簡単化され、コストも低減する利点が得られる。
しかしながら、いまだインサート成形の工程を伴う点で、さらに改良の余地が残っている。
【0003】
そこで、プレス成形による円筒形のインナケースを単純にアウタケースの内側に嵌め込むことによりインサート成形を廃することが考えられるが、アウタケースの内径およびインナケースの外径のそれぞれの許容誤差によっては、アウタケースへのインナケースの挿入が困難となったり、逆に隙間による遊びが生じてインナケースの保持が困難となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−357947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した円筒形インナケースの嵌め込みにおける問題の対策として、例えば実開平5−45963公報に示唆されるようにインナケースに軸方向の割りを入れることが考えられる。
すなわち、アウタケースの内径に対してその許容誤差を考慮し、インナケースの自由状態の外径が確実にアウタケースの内径よりも大きくなるように設定することにより、インナケースを小径に弾性変形させてアウタケースに挿入する。挿入後は自由状態へ向けた復帰力で拡径し、アウタケース内壁に圧接して嵌め込み状態となる。
【0006】
しかし、この対策ではインナケースが割りを有していることにより新たな問題が生じる。
インナケースの組み付け工程の場には多数個のインナケースが部品運搬箱で供給されるが、部品運搬箱内では乱雑に投入されたインナケース同士が互いの割りに深く嵌り合ってしまい、1個を掴んで取り上げても複数個がつながって引き上げられ、振り払っても簡単には分離しない。このため作業者は部品運搬箱からインナケースを作業パレットへ取り出す際に絡み合っているインナケースを1個ずつに外さなければならないという大きな作業負担を負うことになる。
【0007】
したがって本発明は、上記にかんがみ、余計な作業を招かずにプレス成形のインナケースをアウタケースに組み付けることができるようにした電源ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、アウタケース内に接点を構成する金属製の筒状のインナケースを配置した電源ソケットにおいて、インナケースは軸方向全長に割りを有して、自由状態でアウタケースの内径より大径に形成され、縮径してアウタケースに挿入後弾性復帰力によりアウタケースの内壁に圧接状態とされ、上記の割りは、軸方向両端の第1直線部と、該第1直線部に対して周方向にオフセットした軸方向中間の第2直線部とを含み、インナケースと同一厚の板材が該第1直線部から第2直線部への進入を阻止されるように構成したものとした。
【発明の効果】
【0009】
インナケース同士が互いの割りに嵌り合う場合があるとしてもそれぞれの第1直線部同士に限定されて、深く嵌り合ってしまうことがないからインナケースを1個ずつ分離するのが容易となり作業負担が軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
【図2】実施の形態の拡大断面図である。
【図3】フューズの構成を示す図である。
【図4】アウタケースの構成を示す図である。
【図5】インナケースの構成を示す図である。
【図6】キャップの構成を示す図である。
【図7】実施の形態の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態の電源ソケットを示し、(A)は上面図、(B)は側面図、図2は図1の(A)におけるA−A部拡大断面図である。
電源ソケット1は、ケース2と、ケース2の奥端に取り付けられて端子、フューズおよび接点を組み込んだ端子/フューズアセンブリ3と、ケース2の開口端に取り付けられたキャップ70とで構成されている。
なお、ここではケース2が上方に開口しているものとして説明する。
ケース2は、樹脂製のアウタケース10と導電金属製のインナケース30とからなる。アウタケース10は円筒部11を主体とし、円筒部11の開口端まわりに飾り部13が形成されている。インナケース30はアウタケース10の円筒部11内に密着状態に挿入され、円筒部11の開口端近傍から下端近傍まで略全長にわたって延びている。
【0012】
インナケース30の下端部内側には端子/フューズアセンブリ3が嵌め込まれ、下方に延びる端子5とともにビス7による共締めで結合され、インナケース30は電気製品のプラグに対する一方の接点となる。
とくに図2に示すように、端子/フューズアセンブリ3は、端子6を支持するとともに接点円盤47およびフューズ60を収容する樹脂製のフューズボックス40を樹脂製のストッパプレート50で蓋をして構成してある。
端子6はフューズボックス40の底壁42を貫通して下方へ延びるとともに、フューズボックス40内において折り曲げられ、底壁42上を延びている。
図3に示すように、フューズ60は薄板の弾性導電板61に、過熱により溶融する樹脂材の溶融体65を備えている。弾性導電板61はリング部62と、リング部62から内方に延びる舌片63とからなり、溶融体65は円管状をなしリング中央に位置して舌片63上に支持されている。
【0013】
フューズボックス40内には、側壁41の所定部位から内方へ突出し、底壁42から上方へオフセットしたフューズ支持部43が設けられ、弾性導電板61におけるリング部62の中心を挟んで舌片63の根元と反対側を載置している。
接点円盤47は弾性導電板61のリング部62に重なり、同時に溶融体65に当接してこれを下方に押し下げるので、溶融体65を支持する舌片63が押し下げられる。
これによりリング部62における舌片63がつながる側が下方に引かれて、弾性導電板61が傾斜状態に弾性変形し、底壁42上を延びる端子6に接触する。リング部62の接点円盤47と接触する側および舌片63がつながって端子6に接触する側の外周縁にはそれぞれプレス起し部64が形成されて接触を確実にしている。
【0014】
図2に示すように、ストッパプレート50はその上壁51の外縁から下方に延びる連結壁53に係止穴54を備え、フューズボックス40の側壁41に爪44を有する。この爪44と係止穴54が係合することにより、ストッパプレート50はフューズボックス40と結合し、接点円盤47と弾性導電板61との接触状態を保持する。これにより、接点円盤47と端子6が弾性導電板61を介して電気的に導通状態となっている。
ストッパプレート50の上壁51は中央に穴52を有し、ケース2に挿入されるプラグ先端の電極が通過して接点円盤47に接触可能となっている。
【0015】
ストッパプレート50の連結壁53の下端には外方に張り出す突起55が設けられ、突起55がアウタケース10の下端部に形成された切り欠き25に係止して、ストッパプレート50の上方への変位が規制される。
また、フューズボックス40の側壁41外面には、図2とは異なる断面において、インナケース30の下端を受けるとともに、下方に面して係止面を備える複数の係止爪45が設けられ、アウタケース10の下端部に形成された係止穴26に係止して(図1の(B)参照)、フューズボックス40の下方への変位が規制される。
これにより、端子/フューズアセンブリ3のケース2に対する取り付け位置が固定される。
なお、アウタケース10の端子/フューズアセンブリ3に一部かかる部位には、水抜き穴27を形成してある。インナケース30にも水抜き穴27と重なる水抜き穴37(図2、図5参照)を形成してある。
【0016】
つぎに、図4はアウタケース10のみを示し、(A)は斜視図(B)は上面図、(C)は正面図、(D)は側面図である。
アウタケース10の飾り部13は、電源ソケット1を取り付ける取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を円筒部11の上部開口端から所定距離だけ下方に形成し、そのフランジ14上面から意匠飾りを兼ねたストップブロック15(15a、15b、15c)を開口端より上方まで立ち上げている。
ストップブロック15はそれぞれ周方向約1/9の長さをもって周方向等分位置に3箇所設けられている。ストップブロック15の径方向外側面はフランジ14の外周縁に沿って上方に延びる外縦壁17、内側面は円筒部11の外周に連なるとともに開口端より上方は外側面と同軸の円弧面で延びる内縦壁18となっている。また、周方向両端の側縦壁19は互いに略平行に形成されている。これにより、複数のストップブロック15間は周方向における凹部となっている。
そして、ストップブロック15の上面は内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面となっており、内縦壁18および外縦壁17への移行部はアール(R)面取りされている。
【0017】
1つのストップブロック15aには、その周方向中央を通る直径線に対して垂直方向の軸孔20を設けてあり、ヒンジ構成部位となる。
ストップブロック15aに対して周方向反対側で、2つのストップブロック15b、15cの間の円筒部11の外周面には門形の枠部21を形成してある。枠部21の門幅(周方向幅)は後述するキャップ70の爪81の幅より大きく設定してある。
なお、円筒部11の外面には、フランジ14から所定距離下方に爪23が設けられて、取付け壁の裏面に係止して抜け止めされるようになっている。
円筒部11の外面にはさらに、電源ソケット1の回転位置を規定するためのガイド条24が形成してある。
図4において、28は端子5をインナケース30に固定するためのビス7を通す切り欠きである。
【0018】
図5はインナケース30を示す斜視図である。
インナケース30は板材からプレス曲げ加工により作製する。
図5の(A)に示すように、インナケース30の外径は自由状態でアウタケース10の内径よりも大きく、軸方向の割りQを有して、割り幅W(割り部の周方向間隙)を狭める方向に圧縮してアウタケース10内に挿入可能となっている。
すなわち、割り幅Wは、当該割り幅Wを狭める方向にインナケース30を圧縮したときその外径がアウタケース10の内径よりも小さく縮径するように、アウタケース10の内径およびインナケース30の自由状態の外径と関連して設定される。
インナケース30を縮径状態でアウタケース10に挿入してから解放すれば、弾性復帰力により拡径してアウタケースの内壁に圧接し、所定の内径寸法をもって嵌め込み状態となる。
嵌め込み状態におけるインナケース30の内径を例えば21mmとするとき、割り幅Wは全長にわたって1.5〜2.0mm程度とすればよい。
【0019】
割りQはインナケース30の軸方向両端から所定距離(例えば5mm)以下の第1直線部Q1と、その後傾斜部Q3を経て第1直線部Q1から周方向にオフセットした第2直線部Q2とからなっており、割り幅Wは傾斜部Q3を含めて全長にわたって一定とする。
そして、図5の(B)に示すように、自由状態において軸端から覗いた第1直線部Q1と第2直線部Q2の割り幅の重なりmが他の嵌ってくるインナケース(インナケース30)の板厚より小さくなるように、第1直線部Q1と第2直線部Q2間のオフセット量tを設定する。好ましくは図5の(A)に示すように、オフセット量tを割り幅Wよりも大きくして、軸端から第1直線部Q1を通して覗いたとき第2直線部Q2が見えないように設定するのが良い。
インナケース30がそれぞれ割りを有していると、インナケース同士が互いの割りに嵌り合うことは避けられないが、嵌り合う深さは傾斜部Q3が障壁となって軸端の第1直線部Q1の長さ範囲に制限される。したがって、第1直線部Q1の長さは短いほうが好ましく、第1直線部Q1の長さは第2直線部Q2の長さの約1/4程度に短かくしてある。
インナケース30の側壁には、アウタケース10の水抜き穴27に対応する水抜き穴37が設けられるとともに、下端部にはビス穴33を有して端子5の取付け座となる平坦部32が形成されている。
【0020】
図6はキャップ70を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は側面図、(E)は裏面図、(F)は斜視図である。
キャップ70は樹脂製で、(A)の平面図において円を基本形とする主部71から全体として花弁状に外方3方に延びる拡径部72(72a、72b、72c)を有している。
主部71は上面中央がわずかに盛り上がる一方、裏面は拡径部72に及ぶまで平坦となっている。
拡径部72は外広がりで、アウタケース10の飾り部13におけるストップブロック15間の周方向間隙に嵌り込むように配置され、外方に延びる側縁73とストップブロック15の周方向両端の側縦壁19との間に所定間隙S(図1参照)ができるように設定される。
【0021】
隣接する所定の2つの拡径部72b、72cには、両者間の間隙の中間を通る直径線Pに対して垂直方向の軸孔76をもつ軸支持部75が設けられ、軸孔76をそれぞれの側縁73が含まれる平行平面上で対向させて開口している。軸孔76の高さ位置は主部71の裏面よりわずかに低く設定してある。
軸支持部75を備えない他の拡径部72aには、その上面から外周を越えてわずかに外方に突出する指掛部77を設けてある。指掛部77を除いて、拡径部72の上面は径方向においてわずかに盛り上がった山形の曲面とし、外周縁74に沿ってはアール面取りしてある。なお、先の図1では簡単のため拡径部72上面の曲がり線は省略してある。
先の飾り部13のストップブロック15の上面における内径側から外径側に向かってなだらかに下がる曲面は上記山形の曲面の頂部から外側を倣ったものであり、山形の頂部から内側は内径側の内縦壁18との間のアール面取り領域に入っている。
【0022】
各拡径部72の裏面には所定高さの円弧壁79が形成されている。円弧壁79は主部71と同心で、内側の径をアウタケース10の円筒部11の開口端外周に対して余裕をもたせた大径にしてある。
とくに指掛部77を備える拡径部72aの円弧壁79は、その根元に周方向のスリット80を設けて径方向に撓みやすくしてあり、また、その内壁に爪81を形成してある。
【0023】
キャップ70の軸支持部75と飾り部13のストップブロック15aの各軸孔76、20にヒンジピン38を通してヒンジHが形成され、これによりキャップ70がケース2(アウタケース10)に連結される。
キャップ70をヒンジまわりに回転させ、指掛部77側を押し込むと、円弧壁79がわずかに撓んで爪81が円筒部11の枠部21を乗り越え、当該枠部21に係止して、図2に示すように、円筒部11の開口端まわりをカバーする。この状態で、図1に示すように、キャップ70の円弧壁79の下縁が飾り部13のフランジ14に着座または近傍に位置し、また、拡径部72の上面が飾り部13のストップブロック15の上面と連続性をもつように設定してある。
また、拡径部72の側縁73とストップブロック15の側縦壁19間の所定間隙S(図1参照)は、キャップ70を開いた位置から円筒部11の開口端をカバーするまでの回転操作の間に互いに干渉しない限りでできるだけ狭く設定するのが好ましい。
【0024】
以上の構成になる電源ソケット1では、キャップ70を閉じるとキャップ70の凸部としての拡径部72と飾り部13の周方向におけるストップブロック15間の凹部とが互いに嵌り合う。
したがって、例えば横方向からの外力Fが作用した場合、キャップ70はストップブロック15aを含むヒンジH部を軸として回動しようとするため、図7に示すように、拡径部72cの側縁73がストップブロック15bの側縦壁19に当接し、さらには拡径部72aの側縁73がストップブロック15cの側縦壁19に当接して側縁73と側縦壁19間の間隙Sを詰める。拡径部72a、72cにかかる反力はその面に沿った方向であり、これに対する剛性が高いから、拡径部72a、72cや主部71が変形することもなく、キャップ70は間隙Sを詰める以上の変位を阻止される。
【0025】
この結果、キャップ70の回動量が小さく抑えられて、ヒンジHに過大な捻れが作用しないのでヒンジH部の破損も生じない。
この際、キャップ70の爪81が係止するケース2側の枠部21の門幅が大きいため、拡径部72cの側縁73がストップブロック15a、15bの側縦壁19に当接するまでのキャップ70の変位では係止が外れることはなく、したがってキャップ70が開いてしまうこともない。
また、キャップ70が閉じた状態では、キャップ70の円形の主部71を拡径部72と飾り部13のストップブロック15とが取り囲んだ花模様を呈して意匠的にも高級感を与える。
指掛部77を持ち上げれば爪81と枠部21の係合が外れて、容易にキャップ70を開くことができる。
【0026】
実施の形態は以上のように構成され、キャップ70がケース2の開口端に対向する主部71と、主部71から外方に延長された拡径部72とを有し、ケース2には、開口端の外周に連なって軸方向に延び、キャップ70を閉じたときに拡径部72の側縁73と対向する側縦壁19を備えるストップブロック15(15a、15b、15c)が設けられて、上記拡径部72を凸部とし、開口端における周方向のストップブロック15(15a、15b、15c)間を凹部としてキャップ70の閉状態で互いに係合するものとしたので、キャップ70に横方向からの外力が作用しても、拡径部72の側縁73がストップブロック15の側縦壁19に当接してキャップ70の大きな変位を阻止しヒンジH部の破損などが防止される。
【0027】
さらに、拡径部72は開口端の外側を囲む円弧壁79を備えているので、周方向の剛性がとくに高く、キャップ70自体の変形や破損も防止される。
また、拡径部72は外広がりにするとともに、主部71の周上3方に延びて個数も少なく抑えているので、キャップを開く際に指を掛ける幅寸法を大きく確保することができる。
そしてとくに拡径部72aには、その外周縁74よりも外方まで延びた指掛部77を設けてあるので、必要な場合には指掛部77の先端に指を掛けることにより小さな力でキャップ70を開くことができる。
【0028】
またケース2については、とくにインナケース30が軸方向全長に割りQを有して、自由状態でアウタケース10の内径より大径に形成され、縮径してアウタケース10に挿入後弾性復帰力によりアウタケース10の内壁に圧接状態とされ、割りは、軸方向両端の第1直線部Q1と、該第1直線部Q1に対して周方向にオフセットした軸方向中間の第2直線部Q2とを含み、他のインナケースが該第1直線部Q1から第2直線部Q2へ進入しようとしても第1直線部Q1と第2直線部Q2をつなぐ傾斜部Q3で阻止されるように構成したので、インナケース30同士が互いの割りに嵌り合うことがあるとしてもそれぞれの第1直線部Q1同士に限定され、深く嵌り合ってしまうことがないからインナケース30を1個ずつ分離するのが容易となり作業負担が軽減する。
【0029】
第1直線部Q1と第2直線部Q2間のオフセット量tをインナケース30の自由状態における割り幅Wよりも大きくすることにより、他のインナケース30の第2直線部Q2への進入が確実に遮断される。
また、第1直線部Q1の長さはそれぞれ第2直線部Q2よりも短かいので、インナケース30同士の嵌り合い可能範囲が一層制限され、例えば軽く振り払うだけで嵌り合ったインナケース30を分離することができる。
【0030】
なお、実施の形態では、インナケース30の割りQにおいて第1直線部Q1と第2直線部Q2の間を傾斜部Q3でつないでいるが、軸方向に垂直な階段状の段差部でつないでもよい。
【0031】
実施の形態ではケース2側のストップブロック15を周方向3個とし、これに対応させてキャップ70の拡径部72を略等分幅で3方に延びるものとしたが、指を掛ける拡径部の周方向幅を他の拡径部より大きく設定することにより、これらはそれぞれ4以上の任意の個数にしてもよい。
また、ストップブロック15と拡径部72の表面形状についても、実施の形態に示したものに限定されず、任意の意匠を飾り部に施すことができる。
【0032】
実施の形態ではキャップ70に拡径部72を設けて凸部とし、ケース2の開口部周方向に複数のストップブロック15を設けてそのストップブロック間を凹部としたが、これに限定されず、ケースの開口部外周に凸部を設け、キャップ側に凹部を設けて、周方向に互いに係合するように配置してもよい。
また、電源ソケット1を取り付ける取付け壁の穴縁に着座させるためのフランジ14を、端子/フューズアセンブリ3を組み込む円筒部11と一体に形成したものとしたが、取付け壁の穴縁に着座させる部分と円筒部とを別体に形成して組立体としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、とくに車両等に装備される電源ソケットに適用して利便性が高く、有効である。
【符号の説明】
【0034】
1 電源ソケット
2 ケース
3 端子/フューズアセンブリ
5、6 端子
7 ビス
10 アウタケース
11 円筒部
13 飾り部
14 フランジ
15a、15b、15c ストップブロック
17 外縦壁
18 内縦壁
19 側縦壁
20 軸孔
21 枠部
23 爪
24 ガイド条
25、28 切り欠き
26 係止穴
27、37 水抜き穴
30 インナケース
32 平坦部
33 ビス穴
38 ヒンジピン
40 フューズボックス
41 側壁
42 底壁
43 フューズ支持部
44 爪
45 係止爪
45a 係止面
47 接点円盤
50 ストッパプレート
51 上壁
52 穴
53 連結壁
54 係止穴
55 突起
60 フューズ
61 弾性導電板
62 リング部
63 舌片
64 プレス起し部
65 溶融体
70 キャップ
71 主部
72a、72b、72c 拡径部
73 側縁
74 外周縁
75 軸支持部
76 軸孔
77 指掛部
79 円弧壁
80 スリット
81 爪
H ヒンジ
Q 割り
Q1 第1直線部
Q2 第2直線部
Q3 傾斜部
W 割り幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタケース内に接点を構成する金属製の筒状のインナケースを配置した電源ソケットにおいて、
前記インナケースは軸方向全長に割りを有して、自由状態で前記アウタケースの内径より大径に形成され、縮径してアウタケースに挿入後弾性復帰力により前記アウタケースの内壁に圧接状態とされ、
前記割りは、軸方向両端の第1直線部と、該第1直線部に対して周方向にオフセットした軸方向中間の第2直線部とを含み、インナケースと同一厚の板材が該第1直線部から第2直線部への進入を阻止されるように構成したことを特徴とする電源ソケット。
【請求項2】
前記第1直線部と第2直線部間のオフセット量が、インナケースの自由状態における割り幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電源ソケット。
【請求項3】
前記第1直線部の長さはそれぞれ前記第2直線部よりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の電源ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105695(P2013−105695A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250449(P2011−250449)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】