説明

電源制御装置および照明システム

【課題】小型化しつつ電源を確実にオンオフ可能な電源制御装置26を提供する。
【解決手段】電源制御装置26は、照明器具11と電源21との間に接続するリレー41を有する。照明器具11は、判別回路31と力率改善回路32とを有する電源回路23を備える。照明器具11は、光源16を点灯する点灯回路35を備える。照明器具11は、点灯回路35を制御する制御回路36を備える。電源制御装置26は、照明器具11のオンオフを設定するスイッチ42を有する。電源制御装置26は、調光制御回路43を有する。調光制御回路43は、スイッチ42により照明器具11のオンを設定した際にリレー41をオンした後に制御回路36に点灯回路35のオン信号を出力して光源16を点灯させる。調光制御回路43は、スイッチ42により照明器具11のオフを設定した際に制御回路36に点灯回路35のオフ信号を出力して光源16の消灯後にリレー41をオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置と電源との間に接続される電源制御装置およびこれを備えた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば商用交流電源を整流平滑し、この変換した直流電力を光源に供給して発光させる照明装置がある。このような照明装置の場合、電源と照明装置との間に電源スイッチを備えることにより、この電源スイッチによって機械的に電源をオンオフすることができる。
【0003】
一方で、例えば太陽光パネルなど自然エネルギを用いた直流電源からの給電により光源が発光する照明装置がある。このような直流電源を用いる照明装置の場合、電源と照明装置との間に電源スイッチを設けても、電源スイッチによって電源をオフする際にアークが発生し、また、電源スイッチによって電源をオンする際に突入電流やアークが発生するなど、電源スイッチによって電源をオンオフすることが容易でなく、ブレーカなどの大型のスイッチを用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−158507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小型化しつつ電源を確実にオンオフ可能な電源制御装置およびこれを備えた照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電源制御装置は、照明装置と電源との間に接続されるリレーを有する。照明装置は、判別回路と力率改善回路とを有する電源回路を備える。判別回路は、電源からの入力電圧の実効値と平均値とのいずれかを検出することにより入力電圧を監視することで電源の直流と交流とを判別する。力率改善回路は、判別回路の判別結果に基づき動作制御される。また、照明装置は、光源を点灯する点灯回路を備える。さらに、照明装置は、点灯回路を制御する制御回路を備える。また、電源制御装置は、照明装置のオンオフを設定するスイッチを有する。さらに、電源制御装置は、調光制御回路を有する。この調光制御回路は、スイッチにより照明装置のオンが設定された際にリレーをオンした後に制御回路に点灯回路のオン信号を出力して光源を点灯させる。また、調光制御回路は、スイッチにより照明装置のオフが設定された際には制御回路に点灯回路のオフ信号を出力して光源の消灯後にリレーをオフする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スイッチにより照明装置のオンを設定した際には、調光制御回路が照明装置と電源との間に接続したリレーをオンした後に、制御回路に点灯回路のオン信号を出力して光源を点灯させるので、突入電流やアークが発生しにくいとともに、スイッチにより照明装置のオフを設定した際には、調光制御回路が制御回路に点灯回路のオフ信号を出力して光源を消灯させた後にリレーをオフするので、アークが発生しにくいため、リレーを含む電源制御装置を小型化しつつ、電源の確実なオンオフが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の電源制御装置を示すブロック図である。
【図2】同上電源制御装置を備えた照明システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を図1および図2を参照して説明する。
【0010】
図2において11は照明装置としての照明器具であり、この照明器具11は、例えば天井面などに埋設されるダウンライトである。そして、この照明器具11は、略円筒状の装置本体としての器具本体12の下端側に円形の化粧枠13が設けられ、この化粧枠13に透光性カバー14が配設されている。そして、器具本体12は、左右両側にこの器具本体12を天井などの取付面に固定するための一対の取付けばね15,15を備えている。
【0011】
また、器具本体12は、下端側内部に、負荷としての光源16および図示しない反射板を配設している。また、器具本体12の上部には、端子台17が設けられており、この端子台17は、配線部である電源ケーブル18を介して電源装置である電源ユニット19と電気的に接続されている。
【0012】
光源16は、例えばLEDなどの発光素子が用いられるが、器具本体12などの構成に応じて、放電灯などを用いてもよい。
【0013】
そして、電源ユニット19は、図1および図2に示すように、電源21に接続された直列接続体22と、この直列接続体22に接続された電源回路23と、この電源回路23に接続された点灯装置24とを備えており、これらが筐体25に収納され、点灯装置24により光源16を点灯させるように構成されている。さらに、照明器具11と電源21との間には、電源制御装置26が接続されており、これら照明器具11と電源制御装置26とにより、照明システム27が構成されている。
【0014】
電源21としては、交流電源と直流電源とを任意に使用することが可能である。
【0015】
また、直列接続体22は、交流(AC)定格ヒューズ28と直流(DC)定格ヒューズ29とが直列に接続されたものであり、それぞれ電源21が交流の場合、あるいは直流の場合に、過電流によって溶断することにより電源ユニット19に対して電源21を遮断するように構成されている。
【0016】
また、電源回路23は、電源21の交流と直流とを判別する判別回路31と、この判別回路31の判別結果に基づき動作制御される力率改善(PFC)回路32とを備えている。
【0017】
判別回路31は、電源21からの入力電圧の実効値または平均値を検出することにより入力電圧を監視することで電源21の直流と交流とを判別可能となっている。
【0018】
また、力率改善回路32は、例えばチョッパチョーク、スイッチング素子および平滑コンデンサなどを備えた昇圧チョッパ回路などが用いられる。そして、この力率改善回路32は、判別回路31により電源21が直流であると判別した場合には動作が停止され、判別回路31により電源21が交流であると判別した場合にのみ動作されるように構成されている。
【0019】
さらに、点灯装置24は、光源16を点灯させる点灯回路35と、この点灯回路35を制御する制御回路36とを備えている。
【0020】
点灯回路35は、例えばスイッチング素子を有する降圧型、あるいは昇降圧型などのスイッチングレギュレータ、あるいはハーフブリッジ型やフルブリッジ型などのスイッチングレギュレータが用いられる。
【0021】
また、制御回路36は、例えば点灯回路35のスイッチング素子をPWM制御などにより制御することで点灯回路35の動作を制御するように構成されている。この制御回路36の動作は、例えば判別回路31での電源21の種類の判別結果、および、電源制御装置26側からの信号などにより制御される。
【0022】
また、筐体25は、導電性を有する金属により形成され、電源ユニット19の各回路のグランド電位(アース)から浮かされており、図示しない電線によってグランド電位と接続されている。また、この電線には、この電線を流れる地絡電流を検出する図示しない地絡電流検出回路が設けられており、この地絡電流検出回路は、検出した地絡電流によって電源ユニット19の異常を検出し、異常を検出した場合には、警報を発信したり、電源制御装置26を介して電源21からの照明器具11への給電を遮断したりすることで安全性を確保できるように構成されている。
【0023】
そして、電源制御装置26は、電源21から照明器具11への給電経路に電気的に接続されたリレー41と、使用者が操作するスイッチ42と、調光制御回路43とを備えており、例えば壁部などに設置されている。
【0024】
リレー41は、開閉によって電源21と照明器具11とを電気的に接続/遮断するものである。
【0025】
また、スイッチ42は、使用者が照明器具11のオンオフを調光制御回路43へと設定するものであり、電源21から照明器具11への給電経路とは無関係に構成されている。すなわち、このスイッチ42は、使用者が所望する調光状態を調光制御回路43へと設定するためのものであり、例えば機械的なスイッチ、あるいは電気的なスイッチなどが用いられる。なお、このスイッチ42は、照明器具11(光源16)の調光状態を設定するものでもよい。
【0026】
そして、調光制御回路43は、リレー41のコイルの通電状態を制御するとともに、制御回路36へと、スイッチ42の操作によって設定された光源16の調光状態に対応する調光信号(オフ信号およびオン信号を含む)を制御回路36へと出力するように構成されている。
【0027】
次に、上記一実施形態の動作を説明する。
【0028】
照明器具11の消灯状態から、使用者がスイッチ42を操作して照明器具11のオンを設定すると、調光制御回路43は、まず、リレー41をオンして電源21と照明器具11とを電気的に接続し、この電源21と照明器具11とを電気的に接続した状態、すなわちリレー41のオンの後に、制御回路36に点灯回路35のオン信号を出力する。なお、リレー41がオンの状態で照明器具11に過電流が流れたときには、直列接続体22の、交流定格ヒューズ28、あるいは直流定格ヒューズ29が溶断すること電源21を遮断する。
【0029】
制御回路36は、調光制御回路43からのオン信号にしたがって点灯回路35を始動させる。このとき、判別回路31は、電源21からの入力電圧の実効値または平均値を検出することにより入力電圧を監視することで電源21が直流であるか交流であるかを判別する。この判別回路31により電源21が直流であると判別した場合には、判別回路31が力率改善回路32を駆動させずに効率の低下を防止し、電源21からの電力をそのまま点灯回路35へと供給する。また、判別回路31により電源21が交流であると判別した場合には、判別回路31が力率改善回路32を駆動させて力率を改善した電力を点灯回路35へと供給する。そして、始動した点灯回路35が光源16を点灯させる。
【0030】
したがって、スイッチ42により照明器具11のオンを設定した際には、調光制御回路43が照明器具11と電源21との間に接続したリレー41をオンした後に、制御回路36に点灯回路35のオン信号を出力して光源16を点灯させるので、電源21が交流であるか直流であるかに拘らず、小型のリレー41を用いても、突入電流やアークが発生することなく電源をオンできる。
【0031】
一方、照明器具11の点灯状態から、使用者がスイッチ42を操作して照明器具11のオフを設定すると、調光制御回路43は、まず、制御回路36に点灯回路35のオフ信号を出力する。
【0032】
制御回路36は、調光制御回路43からのオフ信号にしたがって点灯回路35を停止させ、光源16を消灯させ、この光源16が消灯した後、調光制御回路43がリレー41をオフする。
【0033】
したがって、スイッチ42により照明器具11のオフを設定した際には、調光制御回路43が制御回路36に点灯回路35のオフ信号を出力して光源16を消灯させた後にリレー41をオフするので、電源21が交流であるか直流であるかに拘らず、小型のリレー41を用いても、アークが発生することなく電源をオフできる。
【0034】
この結果、リレー41を含む電源制御装置26、および照明システム27を小型化しつつ、電源を確実にオンオフすることができる。
【0035】
また、電源21からの入力電圧の実効値と平均値とのいずれかを検出することにより入力電圧を監視して電源21の直流と交流とを判別する判別回路31を備えることで、電源21が直流、交流いずれの給電の場合でも、同等な入力電圧で点灯開始できる。
【0036】
さらに、電源21が直流電源であると判別された場合には、力率改善回路32の動作を停止させ、電源21が交流電源であると判別された場合には、力率改善回路32を動作させるため、直流電源と交流電源との両方に対応でき、電源事情に対応して照明効率を改善できる。
【0037】
そして、交流定格ヒューズ28と直流定格ヒューズ29とを直列に接続した直列接続体22を備えることにより、電源21が交流電源である場合でも、直流電源である場合でも、照明器具11内で異常が発生した場合に確実に遮断できる。
【0038】
なお、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
11 照明装置としての照明器具
21 電源
23 電源回路
26 電源制御装置
27 照明システム
31 判別回路
32 力率改善回路
35 点灯回路
36 制御回路
41 リレー
42 スイッチ
43 調光制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの入力電圧の実効値と平均値とのいずれかを検出することにより入力電圧を監視することで電源の直流と交流とを判別する判別回路とこの判別回路の判別結果に基づき動作制御される力率改善回路とを有する電源回路と、光源を点灯する点灯回路と、この点灯回路を制御する制御回路とを備えた照明装置と電源との間に接続されるリレーと;
照明装置のオンオフを設定するスイッチと;
このスイッチにより照明装置のオンが設定された際にはリレーをオンした後に制御回路に点灯回路のオン信号を出力して光源を点灯させるとともに、スイッチにより照明装置のオフが設定された際には制御回路に点灯回路のオフ信号を出力して光源の消灯後にリレーをオフする調光制御回路と;
を具備していることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
電源からの入力電圧の実効値と平均値とのいずれかを検出することにより入力電圧を監視することで電源の直流と交流とを判別する判別回路とこの判別回路の判別結果に基づき動作制御される力率改善回路とを有する電源回路と、光源を点灯する点灯回路と、この点灯回路を制御する制御回路とを備えた照明装置と;
請求項1記載の電源制御装置と;
を具備していることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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