説明

電源制御装置

【課題】良好に再充電可能にバッテリを使用する。
【解決手段】時刻t0において、第1バッテリ2の出力電圧、第2バッテリ3の出力電圧が共に所定電圧超である場合、第1バッテリ2の出力を、電子機器の機能部4が使用する電力源として使用する。やがて、時刻t1において、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧以下となったならば、電力源を第2バッテリ3の出力に切り替える。そして、その後、時刻t1から所定時間T内の時刻t2において、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧超に復帰したならば、電力源を再度第1バッテリ2の出力に切り替え、所定時間T内に復帰しなかった場合には、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧以下となるまで、電力源として第2バッテリ3の出力を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリを装着可能な電子機器において、電源の切り替えを制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリを装着可能な電子機器において電源の切り替えを制御する技術としては、二つのバッテリを備え、備えた二つのバッテリのうち、より電圧が大きい方のバッテリを現用のバッテリとして使用し、現用としての使用を開始したバッテリを、当該バッテリの供給電圧が当該電子機器が正常に動作できなくなる電圧に低下するまで、現用として使用し続ける技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平5-289784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、充電型のバッテリは、その特性上、バッテリに充電した電力を、より使い切った後の方が、より良好に充電できることが知られている。
しかしながら、前記特許文献1記載の技術のように、バッテリの供給電圧が当該電子機器が正常に動作できなくなる電圧に低下するまで使用しただけでは、必ずしも充分にバッテリに充電した電力を使い切ることができない。
そこで、本発明は、複数のバッテリのうちからの現用として使用するバッテリの切り替えを、より良好にバッテリを充電可能なように制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題達成のために、本発明は、複数のバッテリを装着可能な電子機器に搭載され、前記電子機器に装着された複数のバッテリのうちの一つのバッテリを、前記電子機器の動作電力の電力供給源とするバッテリとして設定する電源制御装置に、前記電子機器に装着された各バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、電力供給源として設定したバッテリの出力電圧が第1の電圧値以下に降下したときに、前記第1の電圧値超の出力電圧を有する他のバッテリに電力供給源とするバッテリを切り替えると共に、当該切り替え後の所定期間内に当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリの出力電圧が、前記第1の電圧値と等しいもしくは前記第1の電圧値より大きい電圧値である第2の電圧値に上昇した場合には、当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリに、電力供給源とするバッテリを切り替えるバッテリ切替手段とを備えたものである。
【0005】
このような電源制御装置によれば、電力供給源とするバッテリとして設定したバッテリは、最初に第1の電圧値に降下するまでと、第1の電圧値に降下後に所定期間内に第2の電圧値に復帰してから再び第1の電圧値に降下するまで、優先的に電力供給源として使用されることになる。よって、当該バッテリを電子機器の動作に支障が生じない範囲内において優先的に、より完全に当該バッテリの電力を使い切るまで電力供給源として使用することができ、これにより当該バッテリをより良好に充電することができるようになる。
【0006】
なお、このような電源制御装置は、前記バッテリ切替手段において、前記電子機器に外部電源が供給されている場合には、前記バッテリを電力供給源として設定せずに、当該外部電源を前記電力供給源として選定するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、複数のバッテリのうちからの現用として使用するバッテリの切り替えを、より良好にバッテリを充電可能なように制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態に係る電子機器の電源制御装置10の構成を示す。
ここで、本電源制御装置は、測定装置等の電子機器に搭載されるものであり、商用電源等である外部電源からDC電源を生成するDCコンバータ1と、電子機器に交換可能に搭載される第1バッテリ2と、電子機器に交換可能に搭載される第2バッテリ3との三つの電源のいずれかを、電子機器の機能部4で使用する電力Pを供給する電源として選択するものである。なお、機能部4は、たとえば、電子機器が測定装置であれば、測定機能等の当該電子機器が備える本来の機能を実行する部位である。
【0009】
さて、図示するように電源制御装置10は、カソードが相互に接続され、DCコンバータ1と第1バッテリ2と第2バッテリ3の出力の各々に、アノードがそれぞれ接続された3つのダイオードよりなるダイオード回路11を有する。そして、このダイオード回路11は、DCコンバータ1と第1バッテリ2と第2バッテリ3のうちのいずれかの出力を、電源制御装置10の動作電圧Vccとして出力する。
【0010】
また、電源制御装置10において、DCコンバータ1の出力はダイオード12を介してパワースイッチ13の入力に供給され、第1バッテリ2の出力は第1スイッチ14を介してパワースイッチ13の入力に供給され、第2バッテリ3の出力は第2スイッチ15を介してパワースイッチ13の入力に供給される。そして、電子機器の機能部4には、パワースイッチ13を介して電力が供給される。
【0011】
また、電源制御装置10は、DCコンバータ1の出力電圧値が、正常電圧範囲の下限TH0を超えているかどうかを検出し検出結果信号LINEHを、制御ロジック回路23に出力するライン用正常電圧検出回路16、第1バッテリ2の出力電圧値が、正常電圧範囲の下限TH0を超えているかどうかを検出し検出結果信号BT1Hを、制御ロジック回路23に出力する第1正常電圧検出回路17、第2バッテリ3の出力電圧値が、正常電圧範囲の下限TH0を超えているかどうかを検出し検出結果信号BT2Hを、制御ロジック回路23に出力する第2正常電圧検出回路18を備えている。
【0012】
また、電源制御装置10には、DCコンバータ1の出力電圧値をデジタル値に変換し、電源切替制御部24に出力するライン用アナログデジタル変換器19(ライン用ADC19)、第1バッテリ2の出力電圧値をデジタル値に変換し、電源切替制御部24に出力する第1アナログデジタル変換器20(第1ADC20)、第2バッテリ3の出力電圧値をデジタル値に変換し、電源切替制御部24に出力する第2アナログデジタル変換器21(第2ADC21)、パワースイッチ13への入力電圧値をデジタル値に変換し、電源切替制御部24に出力する電源電圧アナログデジタル変換器22(電源電圧ADC22)が設けられている。
【0013】
また、電源制御装置10は、パワースイッチ13への入力から、動作電圧Vbを生成するLDO25(低ドロップアウトリニア電圧レギュレータ)を備えている。そして、電源切替制御部24と、第1アナログデジタル変換器20、第2アナログデジタル変換器21、電源電圧アナログデジタル変換器22は、このLDO25が生成する動作電圧Vbで動作し、電源制御装置10の他部は、ダイオード回路11が生成する動作電圧Vccで動作する。
【0014】
さて、このような構成において、制御ロジック回路23は、電源切替制御部24から出力される第1バッテリ優先信号SELBT1と、ライン用正常電圧検出回路16から出力されるLINEH、第1正常電圧検出回路17から出力されるBT1H、第2正常電圧検出回路18から出力されるBT2Hに基づいて、第1スイッチ14のオン/オフを制御する制御信号BT1ONと、第2スイッチ15のオン/オフを制御する制御信号BT2ONとを、第1スイッチ14と第2スイッチ15にそれぞれ出力する。また、制御信号BT1ONとBT2ONは、電源切替制御部24にも出力される。
【0015】
電源切替制御部24は、電源電圧アナログデジタル変換器22が出力する電圧値が正常であった場合に、ユーザの電源オン/オフ操作に応じてパワースイッチ13をオンに制御する制御信号PWONを出力する処理を行う。また、電源切替制御部24は、後に示す優先バッテリ切替処理によって第1バッテリ優先信号SELBT1の値を制御する。
【0016】
ここで、図2に、制御ロジック回路23における制御ロジックを示す。
ここで、SELBT1は、値が1のときに第1バッテリ2を優先すべきことを、値が0のときに第2バッテリ3を優先すべきことを表す。また、LINEH、BT1H、BT2Hは、値が1のときに電圧が正常電圧の下限TH0を超えていることを、値が0のときに電圧が正常電圧の下限TH0以下であることを表す。また、第1スイッチ14は、BT1ONの値が1のときにオンに制御され、値が0のときにオフに制御される。また、第2スイッチ15は、BT2ONの値が1のときにオンに制御され、値が0のときにオフに制御される。
【0017】
さて、図示するように、この制御ロジックでは、LINEHが1であるとき、すなわち、DCコンバータ1の出力電圧が正常であるときには、無条件にBT1ONの値とBT2ONの値は0となって、第1スイッチ14と第2スイッチ15はオフとなり、パワースイッチ13がオンのときに、電子機器の機能部4が使用する電力Pは、DCコンバータ1の出力となる。
【0018】
一方、LINEHとBT1HとBT2Hの全てが0のとき、すなわち、DCコンバータ1の出力電圧と第1バッテリ2の出力電圧と第2バッテリ3の出力電圧の全てが正常電圧の下限TH0以下である場合にも、BT1ONの値とBT2ONの値は0となって、第1スイッチ14と第2スイッチ15はオフとなる。なお、このときには、電源電圧アナログデジタル変換器22の出力する電圧値は正常とはならないので、電源切替制御部24によって、パワースイッチ13はオンされず、電子機器の機能部4に電力Pは供給されない。
【0019】
次に、LINEHが0であって、BT1HとBT2Hの少なくとも一方が1のとき、すなわち、DCコンバータ1の出力電圧が正常電圧の下限TH0以下であって、第1バッテリ2と第2バッテリ3のいずれかの出力電圧が正常のときには、以下のようになる。
すなわち、SELBT1が1のときには、第1バッテリ2の出力電圧が正常であってBT1Hが1であれば、無条件にBT1ONの値を1とし、BT2ONの値を0とする。この結果、第1スイッチ14はオン、第2スイッチ15はオフとなり、パワースイッチ13がオンのときに、電子機器の機能部4が使用する電力Pは、第1バッテリ2の出力となる。一方、SELBT1が1のときに、第1バッテリ2の出力電圧が正常電圧の下限TH0以下であってBT1Hが0であれば、第2バッテリ3の出力電圧が正常であってBT2Hが1の場合にのみ、BT1ONの値を0とし、BT2ONの値を1とする。この結果、第1スイッチ14はオフ、第2スイッチ15はオンとなり、パワースイッチ13がオンのときに、電子機器の機能部4が使用する電力Pは、第2バッテリ3の出力となる。
【0020】
そして、SELBT1が0のときには、第2バッテリ3の出力電圧が正常であってBT2Hが1であれば、無条件にBT2ONの値を1とし、BT1ONの値を0とする。この結果、第2スイッチ15はオン、第1スイッチ14はオフとなり、パワースイッチ13がオンのときに、電子機器の機能部4が使用する電力Pは、第2バッテリ3の出力となる。一方、SELBT1が0のときに、第2バッテリ3の出力電圧が正常電圧の下限TH0以下であってBT2Hが0であれば、第1バッテリ2の出力電圧が正常であってBT1Hが1の場合にのみ、BT2ONの値を0とし、BT1ONの値を1とする。この結果、第2スイッチ14はオフ、第1スイッチ15はオフとなり、パワースイッチ13がオンのときに、電子機器の機能部4が使用する電力Pは、第1バッテリ2の出力となる。
【0021】
次に、前述のように、電源切替制御部24が第1バッテリ優先信号SELBT1を制御するために行う優先バッテリ切替処理について説明する。
図3に、この優先バッテリ切替処理の手順を示す。なお、この処理は、電源切替制御部24が起動されると実行を開始する処理である。
図示するように、この処理では、まず、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を、最後に設定した第1バッテリ優先信号SELBT1の値に復帰する(ステップ302)。
そして、第1バッテリ優先信号SELBT1の値が1であるか(ステップ304)、0であるかを(ステップ306)を判定し、1であれば、第1アナログデジタル変換器20の出力値を参照しつつ第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1以下となるのを待つ(ステップ308)。ここで、所定電圧TH1としては、上述した正常電圧の下限TH0と同じ値を用いる。
【0022】
そして、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1以下となったならば(ステップ308)、第2アナログデジタル変換器21の出力値を参照して第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1超であるかどうかを調べ(ステップ310)、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1超でなければ、ステップ332に進む。
【0023】
一方、ステップ310で、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1超であると判定されたならば、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を0に設定し(ステップ312)、所定時間T(たとえば、5分)経過するのを待つ(ステップ314)。そして、所定時間Tが経過する前に(ステップ314)、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH2超に復帰した場合には(ステップ316)、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を1に設定した上で(ステップ318)、ステップ304、306の判定に戻る。一方、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH2超に復帰することなく(ステップ316)、所定時間T経過したならば(ステップ314)、そのままステップ304、306の判定に戻る。ここで、所定電圧TH2としては、上述したTH1に所定のマージンを加えた値を用いる。
【0024】
一方、ステップ306において、第1バッテリ優先信号SELBT1の値が0であると判定された場合には、第2アナログデジタル変換器21の出力値を参照しつつ第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1以下となるのを待つ(ステップ320)。
そして、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1以下となったならば(ステップ320)、第1アナログデジタル変換器20の出力値を参照して第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1超であるかどうかを調べ(ステップ322)、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1超でなければ、ステップ332に進む。
【0025】
一方、ステップ322で、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1超であると判定されたならば、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を1に設定し(ステップ324)、所定時間T(たとえば、5分)経過するのを待つ(ステップ326)。そして、所定時間Tが経過する前に(ステップ326)、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH2超に復帰した場合には(ステップ328)、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を0に設定した上で(ステップ330)、ステップ304、306の判定に戻る。一方、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH2超に復帰することなく(ステップ328)、所定時間T経過したならば(ステップ326)、そのままステップ304、306の判定に戻る。
【0026】
さて、ステップ310または322からステップ332に進んだ場合には、第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1超となるか(ステップ332)、第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1超となる(ステップ334)のを待ち、先に第1バッテリ2の出力電圧が所定電圧TH1超となった場合には、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を1に設定しステップ304、306の判定に戻り、先に第2バッテリ3の出力電圧が所定電圧TH1超となった場合には、第1バッテリ優先信号SELBT1の値を0に設定しステップ304、306の判定に戻る。
【0027】
以上、優先バッテリ切替処理の手順を示した。
ここで、以上に説明してきた構成を有する電源制御装置10の動作例を図4aに示す。
いま、DCコンバータ1に外部電源が接続されていない状態にあるものとする。
そして、時刻t0において、第1バッテリ2の出力電圧、第2バッテリ3の出力電圧が共に、所定電圧TH0=TH1超であり、第1バッテリ優先信号SELBT1の値が1に設定されている場合、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が1、BT2ONの値が0とされて第1スイッチ14がオン、第2スイッチ15がオフとなり第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給され、第1バッテリ2は出力電圧を低下しながら、消耗していく。
【0028】
そして、やがて、時刻t1において、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に設定され、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が0、BT2ONの値が1とされて第2スイッチ15がオン、第1スイッチ14がオフとなり第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0029】
そして、その後、時刻t1から所定時間T内の時刻t2において、第1バッテリ2の出力電圧がTH2>TH0=TH1まで上昇すると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は1に戻され、制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が1、BT2ONの値が0とされて第1スイッチ14がオン、第2スイッチ15がオフとなり第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0030】
また、その後、時刻t3において、再び、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に設定され、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が0、BT2ONの値が1とされて第2スイッチ15がオン、第1スイッチ14がオフとなり第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0031】
そして、その後、時刻t1から所定時間T内の時刻t4において、第1バッテリ2の出力電圧が再度TH2>TH0=TH1まで上昇すると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は1に戻され、制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が1、BT2ONの値が0とされて第1スイッチ14がオン、第2スイッチ15がオフとなり第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0032】
また、その後、時刻t5において、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に設定され、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が0、BT2ONの値が1とされて第2スイッチ15がオン、第1スイッチ14がオフとなり第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0033】
そして、この後、時刻t6において、第1バッテリ2が電子機器から一旦取り外された後に、充電されて再装着されると、第1バッテリ2の出力電圧がTH2>TH0=TH1まで上昇するが、この時には時刻t5から所定時間Tが経過しているので、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に維持されたままとなり、第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給され続ける。
【0034】
そして以降は、第2バッテリ3の出力電圧がTH0=TH1以下となってから所定時間T内にTH2に復帰しなくなるまで電子機器の機能部4が使用する電力Pの供給は以下のように制御される。すなわち、第2バッテリ3の出力電圧がTH0=TH1以下となってから所定時間T内にTH2に復帰するまでの期間を除き、第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給され続ける。また、第2バッテリ3の出力電圧がTH0=TH1以下となってから所定時間T内にTH2に復帰するまでの期間は、第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、第1のバッテリと第2のバッテリのうち、機能部4の電力供給源とするバッテリとして設定したバッテリを、最初に出力電圧が所定電圧TH1=TH0に降下するまでと、所定電圧TH1=TH0に降下後に所定期間内に所定電圧TH2に復帰してから再び所定電圧TH1=TH0に降下するまで、優先的に機能部4の電力供給源として使用する。よって、当該バッテリを電子機器の動作に支障が生じない範囲内において優先的に、より完全に当該バッテリの電力を使い切るまで電力供給源として使用することができ、これにより当該バッテリをより良好に充電することができるようになる。
【0036】
なお、以上の実施形態は、所定電圧TH2を所定電圧TH1=TH0と同じ値として適用するようにしてもよい。また、電力供給源とするバッテリとして設定したバッテリを、最初に出力電圧が所定電圧TH1=TH0に降下するまでと、所定電圧TH1=TH0に降下後に所定期間内に所定電圧TH2に復帰してから再び所定電圧TH1=TH0に降下するまで、優先的に機能部4の電力供給源として使用する本実施形態の電源制御の技術は、バッテリを3個以上備えた場合にも同様に適用することができる。
【0037】
また、以上の実施形態は、図3に示した優先バッテリ切替処理を、ステップ312から直接ステップ304、306の判定に戻り、ステップ324から直接ステップ304、306の判定に戻るように構成することもできる。このようにすることにより、電子機器の機能部4が使用する電力Pの供給源として使用を開始したバッテリが、当該バッテリの出力電圧がTH0=TH1となるまでのみ、当該供給源とするバッテリとして使用されることになる。
【0038】
ここで、この場合の動作例を図4bに示す。
この例では、DCコンバータ1に外部電源が接続されていない状態にあるものとする。
そして、時刻t0において、第1バッテリ2の出力電圧、第2バッテリ3の出力電圧が共に、所定電圧TH0=TH1超であり、第1バッテリ優先信号SELBT1の値が1に設定されている場合、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が1、BT2ONの値が0とされて第1スイッチ14がオン、第2スイッチ15がオフとなり第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給され、第1バッテリ2は出力電圧を低下しながら消耗していく。
【0039】
そして、やがて、時刻t1において、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となると、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に設定され、上述した制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が0、BT2ONの値が1とされて第2スイッチ15がオン、第1スイッチ14がオフとなり第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給される。
【0040】
そして、その後は、第1バッテリ2の出力電圧の値にかかわらず、時刻t2において、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となるまで、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は0に維持され、第2バッテリ3の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給され続ける。
【0041】
また、時刻t2において、第1バッテリ2の出力電圧がTH0=TH1以下となったならば、それ以前に第1バッテリ2が電子機器から一旦取り外された後に、充電されて再装着されていれば、優先バッテリ切替処理によって、第1バッテリ優先信号SELBT1は1に設定され、制御ロジック回路23の制御ロジックによりBT1ONの値が1、BT2ONの値が0とされて第1スイッチ14がオン、第2スイッチ15がオフとなり第1バッテリ2の出力が、電子機器の機能部4が使用する電力Pとして供給されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る電源制御装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る制御ロジック回路の制御ロジックを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る優先バッテリ切替処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…DCコンバータ、2…第1バッテリ、3…第2バッテリ、4…機能部、10…電源制御装置、11…ダイオード回路、12…ダイオード、13…パワースイッチ、14…第1スイッチ、15…第2スイッチ、16…ライン用正常電圧検出回路、17…第1正常電圧検出回路、18…第2正常電圧検出回路、19…ライン用アナログデジタル変換器、20…第1アナログデジタル変換器、21…第2アナログデジタル変換器、22…電源電圧アナログデジタル変換器、23…制御ロジック回路、24…電源切替制御部、25…LDO。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリを装着可能な電子機器に搭載され、前記電子機器に装着された複数のバッテリのうちの一つのバッテリを、前記電子機器の動作電力の電力供給源とするバッテリとして設定する電源制御装置であって、
前記電子機器に装着された各バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
電力供給源として設定したバッテリの出力電圧が第1の電圧値以下に降下したときに、前記第1の電圧値超の出力電圧を有する他のバッテリに電力供給源とするバッテリを切り替えると共に、当該切り替え後の所定期間内に当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリの出力電圧が、前記第1の電圧値と等しいもしくは前記第1の電圧値より大きい電圧値である第2の電圧値に上昇した場合には、当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリに、電力供給源とするバッテリを切り替えるバッテリ切替手段とを有することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源制御装置であって、
前記バッテリ切り替え手段は、前記電子機器に外部電源が供給されている場合には、前記バッテリを電力供給源として設定せずに、当該外部電源を前記電力供給源として選定することを特徴とする電源制御装置。
【請求項3】
複数のバッテリのうちの一つのバッテリを、電力供給源とするバッテリとして設定する電源制御方法であって、
各バッテリの出力電圧を検出するステップと、
電力供給源として設定したバッテリの出力電圧が第1の電圧値以下に降下したときに、前記第1の電圧値超の出力電圧を有する他のバッテリに電力供給源とするバッテリを切り替えると共に、当該切り替え後の所定期間内に当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリの出力電圧が、前記第1の電圧値と等しいもしくは前記第1の電圧値より大きい電圧値である第2の電圧値に上昇した場合には、当該切り替え前に電力供給源としていたバッテリに、電力供給源とするバッテリを切り替えるステップとを有することを特徴とする電源制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−118677(P2009−118677A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290440(P2007−290440)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】