説明

電源装置及び照明装置

【課題】 LEDが短絡した場合であっても、LEDに供給する電流を設定する電流設定部の電力損失を低減して、発熱を抑制し、信頼性を従来よりも向上させることができる電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供する。
【解決手段】 LED9、9、…の1つが短絡した場合、トランジスタ13はオンとなり、演算増幅器10の非反転入力端は、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧(Vcesat)となり、演算増幅器10は、反転入力端の電圧がVcesatに等しくなるように、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力する。これにより、抵抗7に印加される電圧は、非常に小さい電圧であるトランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧Vcesatになり、LED9、9、…に流れる電流は非常に小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDに電流を供給する電源装置及び該電源装置を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源として用いられてきた蛍光灯に比べて、省電力又は長寿命であるという理由で、LEDが光源として注目を浴びており、数十mAから数百mA程度の比較的大きな電流を流すことができるLEDが、屋内用の照明機器のみならず、道路用照明機器、産業用照明機器などに使用されるようになった。
【0003】
このようなLEDを照明機器用の光源として用いる場合、照明機器からの発光量を確保するために、複数のLEDを集合体として接続して機器内に配置し(例えば、複数のLEDを直列に接続し)、集合体としてのLEDに定電圧電源を接続して、一定の電圧をLEDに印加するとともに、LEDに流れる電流を所定の値にするために、LEDに直列にトランジスタ、FETなどの電流設定素子又はこれらの組合せを接続してLEDに流れる電流を略一定にする電源装置が用いられている。
【0004】
図3は従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。図において、1は電源装置に交流電圧を入力するための商用電源である。フィルタ回路2は、商用電源1から流入するノイズを除去する。整流回路3は、入力された交流電圧を全波整流する。コンデンサ4は、整流回路3で全波整流された電圧波形を平滑し、ほぼ一定な直流電圧をコンバータ回路5へ出力する。コンバータ回路5は、定電圧制御部を内蔵し、所定の定電圧を出力する。
【0005】
コンバータ回路5の正電圧側の出力端には、直列接続されたLED9、9、…のアノード側を接続してあり、LED9、9、…のカソード側に電流設定のためのトランジスタ6のコレクタを接続し、トランジスタ6のエミッタに電流制限用の抵抗7の一端を接続し、抵抗7の他端はコンバータ回路5の接地側の出力端を接続してある。トランジスタ6のエミッタは、演算増幅器10の反転入力端に接続してあり、演算増幅器10の非反転入力端には、基準電圧Vrを印加してあり、演算増幅器10の出力は、抵抗8を介してトランジスタ6のベースに接続してある。
【0006】
これにより、抵抗7とトランジスタ6のエミッタとの接続点の電圧は、演算増幅器10の動作により基準電圧Vrに保たれ、LED9、9、…に流れる電流Ifは、基準電圧Vrを抵抗7の抵抗値で除した値に設定される。LED9、9、…の順方向電圧Vfが変動した場合であっても、その電圧変動分は、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧が変化することにより吸収され、LED9、9、…に略一定の電流を流すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電源装置にあっては、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間には、コンバータ回路5の出力電圧Voから、LED9、9、…の順方向電圧Vf及びトランジスタ6と抵抗7との接続点の電圧Vrを減じた電圧Vce(Vo−Vf−Vr)が生じ、トランジスタ6には、電圧Vceと電流Ifとの乗算で表される電力損失が生ずる。この場合に、直列接続されたLED9、9、…の1つでカソード・アノード間で短絡破損が発生したときは、LED9の1つ当たりの順方向電圧は、約3Vであるため、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧Vceは、さらに3V程度増加し、トランジスタ6の電力損失が増加し、トランジスタ6からの発熱が大きくなり、信頼性の低下のみならず、電源装置が不良になるおそれがあった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、LEDの短絡を検出する検出部を備えることにより、LEDが短絡した場合に、LEDに流れる電流を設定値より小さくして、トランジスタ、FETなどの電流設定素子又はこれらの組合せ(電流設定部)の電力損失を低減して発熱を抑制し、信頼性を従来よりも向上させるとともに、不良を防止することができる電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る電源装置は、LEDに供給する電流を設定する電流設定部を有する電源装置において、前記LEDの短絡を検出する検出部と、前記電流設定部で設定した設定電流を変更する電流変更部とを備え、該検出部が前記LEDの短絡を検出した場合、前記電流変更部は、前記LEDに流れる電流を前記設定電流より小さくするようにしてあることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る電源装置は、第1発明において、前記電流設定部は、前記LEDと直列に接続するようにしてあり、前記検出部は、前記電流設定部の前記LEDとの接続端の電圧を検出し、検出した電圧と閾値電圧とを比較する比較部をさらに備え、該比較部が比較した結果に基づいて、前記LEDの短絡を検出するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る照明装置は、LEDと、該LEDに供給する電流を設定する前記電流設定部を有する第1の発明又は第2の発明に記載の電源装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
第1発明及び第3発明にあっては、電流設定部は設定電流をLEDに供給する。検出部が前記LEDの短絡を検出した場合、電流変更部は、前記LEDに流れる電流を、前記設定電流より小さくする。これにより、前記電流設定部の電力損失を抑制する。
【0013】
第2発明にあっては、前記検出部は、前記電流設定部の前記LEDとの接続端の電圧を検出する。前記電流設定部の接続端が、前記LEDのカソード側に接続してある場合に、前記LEDが短絡したときは、短絡したLEDの順方向電圧降下がゼロになるため、前記電流設定部の接続端の電圧は、前記LEDの順方向電圧分だけ大きくなる。このため、前記検出部が検出した電圧は、前記LEDの順方向電圧分だけ大きくなる。比較部は、検出した電圧と閾値電圧(第1の閾値電圧)とを比較する。検出した電圧が前記閾値電圧より大きい場合は、電流変更部は、前記LEDに流れる電流を前記設定電流より小さくする。これにより、前記電流設定部の電力損失を抑制する。また、前記LEDを複数直列に接続した場合に、検出するLEDの短絡破損の数を変更するときは、前記電流設定部の接続端の電圧は、さらに大きくなるため、前記閾値電圧を大きくする。
【0014】
また、前記電流設定部の接続端が、前記LEDのアノード側に接続してある場合に、前記LEDが短絡したときは、短絡したLEDの順方向電圧降下がゼロになるため、前記電流設定部の接続端の電圧は、前記LEDの順方向電圧分だけ小さくなる。このため、前記検出部が検出した電圧は、前記LEDの順方向電圧分だけ小さくなる。比較部は、検出した電圧と閾値電圧(第2の閾値電圧)とを比較する。検出した電圧が前記閾値電圧より小さい場合は、電流制御部は、前記LEDに流れる電流を前記設定値より小さくする。これにより、前記電流設定部の電力損失を抑制する。また、前記LEDを複数直列に接続した場合に、検出するLEDの短絡破損の数を変更するときは、前記電流設定部の接続端の電圧は、さらに小さくなるため、前記閾値電圧を小さくする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明及び第3発明にあっては、LEDの短絡を検出する検出部を備えることにより、LEDが短絡破損した場合に、LEDに流れる電流を設定電流より小さくして、電流設定部の電力損失を低減し、電流設定部からの発熱を抑制し、電源装置及び照明装置の信頼性を従来よりも向上させるとともに、不良を防止することができる。
【0016】
第2発明にあっては、電流設定部の接続端の電圧を検出し、検出した電圧と閾値電圧とを比較する比較部を備えることにより、前記LEDを複数直列に接続した場合であっても、短絡破損を検出するLEDの数を任意に設定することができるとともに、電流設定部の電力損失を低減し、電流設定部からの発熱を抑制し、電源装置の信頼性を従来よりも向上させるとともに、不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る照明装置の構成を示すブロック図である。照明装置は、本発明の電源装置及び該電源装置の出力端C、D間に複数直列に接続されたLED9、9、…を有する。電源装置の入力端A、B間には、商用電源1を接続してある。
【0018】
図において、2はフィルタ回路である。フィルタ回路2は、商用電源1から流入するノイズを遮断する。整流回路3は、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路であり、入力された交流電圧を全波整流し、全波整流した直流電圧をコンデンサ4へ出力する。コンデンサ4は、整流回路3から入力された直流電圧を平滑し、ほぼ一定の直流電圧をコンバータ回路5へ出力する。
【0019】
コンバータ回路5は、入力された直流電圧を所定の直流電圧に降圧するためのトランス、所定の発振周波数(例えば、40kHz)でスイッチング動作をするFET、出力電圧をフィードバックしてパルス幅を調整するPWM制御部などを備え、所定の定電圧を出力する。
【0020】
電源装置の出力端Cには、コンバータ回路5の正電圧側の出力端を接続し、出力端Dには、電流設定素子であるトランジスタ6のコレクタを接続し、トランジスタ6のエミッタには、抵抗7の一端を接続してあり、抵抗7の他端は、コンバータ回路5の接地側(例えば、電源装置の筐体などの接地レベルに相当する接地端)の出力端に接続してある。トランジスタ6のエミッタは、演算増幅器10の反転入力端に接続してあり、演算増幅器10の非反転入力端には、基準電圧Vrを印加してあり、演算増幅器10の出力は、抵抗8を介してトランジスタ6のベースに接続してある。
【0021】
これにより、演算増幅器10は、反転入力端の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにトランジスタ6のベースへドライブ電流を出力し、トランジスタ6は、ベースに入力されたドライブ電流に応じて、エミッタと抵抗7との接続点の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにエミッタ・コレクタ間の電圧Vceを変化させる。この場合、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧Vceは、コンバータ回路の出力電圧VoからLED9、9、…の順方向電圧Vf及び抵抗7に印加される電圧Vrを減じた電圧(Vo−Vf−Vr)になり、LED9、9、…に流れる電流は、電圧Vrを抵抗7の抵抗値で除した値であるIfに設定される。
【0022】
トランジスタ6のコレクタには、抵抗11、12の直列回路の一端を接続してあり、他端は接地してある。抵抗11と抵抗12との接続点は、トランジスタ13のベースに接続してあり、トランジスタ13のコレクタは、演算増幅器10の非反転入力端に接続してある。トランジスタ13のエミッタは接地してある。
【0023】
これにより、LED9、9…のカソード側に接続されたトランジスタ6のコレクタの電圧を、抵抗11、12の直列回路で検出する。検出した電圧に基づいて、抵抗11、12の抵抗値で設定される電圧をトランジスタ13のベースに印加する。トランジスタ13のエミッタ・ベース間の電圧に応じて、トランジスタ13はオン又はオフとなる。従って、抵抗11、12の抵抗値を変更することにより、トランジスタ13をオン又はオフにする閾値電圧を等価的に設定することができる。
【0024】
また、トランジスタ13がオン又はオフすることにより、演算増幅器10の非反転入力端の電圧が、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧(Vcesat)と基準電圧Vrとの間で遷移し、この遷移に応じて演算増幅器10は、トランジスタ6のベースにドライブ電流を出力する。
【0025】
例えば、トランジスタ13がオンした場合は、演算増幅器10の非反転入力端は、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧(Vcesat)となり、演算増幅器10は、反転入力端の電圧がVcesatに等しくなるように、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力する。これにより、トランジスタ6は、エミッタ・コレクタ間の電圧Vceを大きくし、LED9、9、…に流れる電流は小さくなる。
【0026】
また、トランジスタ13がオフした場合は、演算増幅器10の非反転入力端は、基準電圧Vrとなり、演算増幅器10は、反転入力端の電圧がVrに等しくなるように、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力する。これにより、トランジスタ6は、エミッタ・コレクタ間の電圧Vceを小さくし、LED9、9、…に流れる電流は所定の設定値になる。
【0027】
次に本発明の電源装置の動作について説明する。電源装置の入力端に交流電圧を印加することにより、コンバータ回路5のFETは、所定の発振周波数(例えば、40kHz)でスイッチング動作を行ない、コンバータ回路5は所定の出力電圧(例えば、24V)を出力し、直列接続したLED9、9、…に直流電流を供給する。
【0028】
演算増幅器10は、反転入力端の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにトランジスタ6のベースへドライブ電流を出力し、トランジスタ6は、ベースに入力されたドライブ電流に応じて、エミッタと抵抗7との接続点の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにエミッタ・コレクタ間の電圧Vceを変化させる。なお、基準電圧Vrは、電圧Vrを抵抗7の抵抗値で除した値が、LED9、9、…に流れる所定の電流Ifになるように予め設定しておく。
【0029】
これにより、LED9、9、…には所定の電流Ifが流れるとともに、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧Vceは、コンバータ回路の出力電圧VoからLED9、9、…の順方向電圧Vf及び抵抗7に印加される電圧Vrを減じた電圧(Vo−Vf−Vr)になる。トランジスタ6のコレクタの電圧Vcは、VceとVrとの加算値となる。トランジスタ13のベースには、電圧Vcを抵抗11、12で分圧した電圧が印加され、この電圧がトランジスタ13をオンにするためのエミッタ・ベース間の閾値電圧より小さくなるように、予め抵抗11、12の抵抗値を設定しておくことにより、トランジスタ13はオフとなり、トランジスタ6のエミッタの電圧は、基準電圧Vrに保たれる。
【0030】
次に、直列接続されたLED9、9、…の1つが短絡破損した場合、LED9の1つ当たりの順方向電圧を3Vとすると、トランジスタ6のコレクタの電圧Vc´は、Vcよりも3V大きくなる。トランジスタ13のベースには、電圧Vc´を抵抗11、12で分圧した電圧が印加され、この電圧がトランジスタ13をオンにするためのエミッタ・ベース間の閾値電圧より大きくなるように、予め抵抗11、12の抵抗値を設定しておくことにより、トランジスタ13はオンとなる。
【0031】
この場合、演算増幅器10の非反転入力端は、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧(Vcesat)となり、演算増幅器10は、反転入力端の電圧がVcesatに等しくなるように、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力する。これにより、抵抗7に印加される電圧は、非常に小さい電圧であるトランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧Vcesatになり、LED9、9、…に流れる電流は非常に小さくなる。また、トランジスタ6は、エミッタ・コレクタ間の電圧Vceを大きくする。トランジスタ6のコレクタ・エミッタを流れる電流が非常に小さくなるため、トランジスタ6の電力損失を小さくすることができ、トランジスタ6の発熱を抑制することができる。
【0032】
トランジスタ6の電力損失の低減の一例として、例えば、コンバータ回路5の出力電圧Voを24V、1つ当たりの順方向電圧が3VのLEDを7つ直列接続し、抵抗7の抵抗値を5Ω、基準電圧Vrを0.5V、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧Vcesatを0.05Vとした場合について説明する。LED9、9、…が短絡破損を生じていない場合には、LED9、9、…には、電流If=100mAが流れる。(If=0.5V/5Ω)。トランジスタ6のエミッタ・コレクタ電圧Vceは、Vce=Vo−Vf−VrよりVce=2.5Vとなり、トランジスタ6の電力損失は、0.25Wとなる。
【0033】
次に、1つのLED9が短絡破損した場合、LED9、9、…の順方向電圧は、21Vから18Vになる。また、抵抗7とトランジスタ6のエミッタとの接続点には、トランジスタ13のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧Vcesatである0.05Vが印加されるため、LED9、9、…に流れる電流Ifは、10mA(0.05V/5Ω)に減少する。トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧Vceは、Vce=Vo−Vf−Vcesatより、Vceは約6Vとなり、トランジスタ6の電力損失は、0.06Wに減少する。
【0034】
仮に、1つのLED9が短絡破損した場合に、LED9、9、…に100mAの電流Ifを流し続けた場合、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧は、3V増加して5.5Vになるため、トランジスタ6の電力損失は0.55Wにまで増加し、電力損失が約2倍にも増加することになる。
【0035】
以上説明したように、本発明にあっては、電流設定素子であるトランジスタ6とLED9、9、…との接続点、具体的には、トランジスタ6のコレクタの電圧を検出し、検出した電圧に応じて、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力することにより、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧を変化させ、LED9、9、…に流れる電流を所定の設定値より小さい電流にして、トランジスタ6の電力損失を低減することができる。これにより、トランジスタ6の発熱、温度上昇を抑制し、電源装置の信頼性を向上することができるとともに、トランジスタ6などに起因する不良を防止することができる。
【0036】
また、LED9、9、…のいずれかが短絡破損した場合の、トランジスタ6の電力損失を低減することができるため、電力損失の最大定格の小さいトランジスタを使用することができるとともに、トランジスタの放熱のための部材なども小型化することができ、部品コストを低減することができる。
【0037】
実施の形態2
図2は実施の形態2の照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2は、電源装置の出力端Cに、電流設定素子であるトランジスタ6のエミッタを接続し、トランジスタ6のコレクタは、コンバータ回路5の正電圧側出力の一端に接続してある。
【0038】
トランジスタ6のエミッタには、抵抗21、22の直列回路の一端を接続してあり、他端は接地してある。抵抗21と抵抗22との接続点は、トランジスタ23のベースに接続してあり、トランジスタ23のコレクタは、抵抗24を介して電圧Voに接続してあるとともに、トランジスタ25のベースに接続してある。トランジスタ25のコレクタは演算増幅器10の非反転入力端に接続してある。トランジスタ23、25のエミッタは接地してある。その他実施の形態1と同様の部分については、同符号を付し説明を省略する。
【0039】
次に実施の形態2の電源装置の動作について説明する。実施の形態1と同様に、コンバータ回路5は所定の出力電圧(例えば、24V)を出力し、直列接続したLED9、9、…に直流電流を供給する。
【0040】
演算増幅器10は、反転入力端の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにトランジスタ6のベースへドライブ電流を出力し、トランジスタ6は、ベースに入力されたドライブ電流に応じて、抵抗7の一端(電源装置の出力端D側)の電圧が基準電圧Vrに等しくなるようにエミッタ・コレクタ間の電圧Vceを変化させる。なお、基準電圧Vrは、電圧Vrを抵抗7の抵抗値で除した値が、LED9、9、…に流れる所定の電流Ifになるように予め設定しておく。
【0041】
これにより、LED9、9、…には所定の電流Ifが流れるとともに、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧Vceは、コンバータ回路の出力電圧VoからLED9、9、…の順方向電圧Vf及び抵抗7に印加される電圧Vrを減じた電圧(Vo−Vf−Vr)になる。トランジスタ6のエミッタの電圧Veは、Vf+Vrとなる。トランジスタ23のベースには、電圧Veを抵抗21、22で分圧した電圧が印加され、この電圧がトランジスタ23をオンにするためのエミッタ・ベース間の閾値電圧より大きくなるように、予め抵抗21、22の抵抗値を設定しておくことにより、トランジスタ23はオンとなり、トランジスタ25はオフとなり、抵抗7の一端の電圧は、基準電圧Vrに保たれる。
【0042】
次に、直列接続されたLED9、9、…の1つが短絡破損した場合、LED9の1つ当たりの順方向電圧を3Vとすると、トランジスタ6のエミッタの電圧Ve´は、Veよりも3V小さくなる。トランジスタ23のベースには、電圧Ve´を抵抗21、22で分圧した電圧が印加され、この電圧がトランジスタ23をオフにするためのエミッタ・ベース間の閾値電圧より小さくなるように、予め抵抗21、22の抵抗値を設定しておくことにより、トランジスタ23はオフとなり、トランジスタ25はオンとなる。
【0043】
この場合、演算増幅器10の非反転入力端は、トランジスタ25のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧(Vcesat)となり、演算増幅器10は、反転入力端の電圧がVcesatに等しくなるように、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力する。これにより、抵抗7の一端に印加される電圧は、非常に小さい電圧であるトランジスタ25のエミッタ・コレクタ間の飽和電圧Vcesatになり、LED9、9、…に流れる電流は非常に小さくなる。また、トランジスタ6は、エミッタ・コレクタ間の電圧Vceを大きくする。トランジスタ6のコレクタ・エミッタを流れる電流が非常に小さくなるため、トランジスタ6の電力損失を小さくすることができ、トランジスタ6の発熱を抑制することができる。
【0044】
以上説明したように、本発明にあっては、電流設定素子であるトランジスタ6とLED9、9、…との接続点、具体的には、トランジスタ6のエミッタの電圧を検出し、検出した電圧に応じて、トランジスタ6のベースへドライブ電流を出力することにより、トランジスタ6のエミッタ・コレクタ間の電圧を変化させ、LED9、9、…に流れる電流を所定の設定値より小さい電流にして、トランジスタ6の電力損失を低減することができる。これにより、トランジスタ6の発熱、温度上昇を抑制し、電源装置の信頼性を向上することができるとともに、トランジスタ6などに起因する不良を防止することができる。
【0045】
上述の実施の形態においては、複数接続したLEDの1つが短絡破損した場合について説明したが、短絡破損の検出は、LED1つの短絡破損に限定されるものではなく、2つ以上の複数個のLEDが短絡破損した場合に、LEDに流れる電流を小さくする構成であってもよい。この場合は、抵抗11、12、21、22の値を適宜設定することにより実現できる。また、LED短絡時にLEDに流れる電流は、トランジスタ6の電力損失が許容範囲内であれば、任意の値にすることができる。これにより、LED短絡時であっても、LEDの輝度を所望の値にすることができる。また、トランジスタ13、23をオンからオフに遷移するための電圧と、オフからオンに遷移するための電圧とを異なる値にすることにより、通常状態とLED短絡時との間の遷移にヒステリシス幅を持たせることも可能である。
【0046】
上述の実施の形態においては、電源装置は、整流回路3を備える構成であったが、これに限定されるものではなく、入力電圧として交流電圧に代えて、電池により供給される直流電圧を入力する構成であってもよい。この場合は、整流回路3、コンデンサ4は不要になる。また、コンバータ回路5は、降圧型に限定されるものではなく、昇圧型、昇降圧型であってもよい。
【0047】
上述の実施の形態においては、コンバータ回路5は、PWM方式のパルス幅を変更して出力電圧を可変とする構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、VCO(Voltage Controlled Oscillator、電圧制御発振器)など、出力電圧を可変できるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0048】
上述の実施の形態では、LEDを複数個直列に接続する構成であったが、複数個直列に接続したLED系統を複数個並列に接続し、夫々のLED系統にトランジスタ6を直列に接続する構成であってもよい。例えば、Vrを共通にして3系統接続した場合、一つの系統で短絡を検知すると、その他の系統も保護が働く。そのことを防止するためにVrと非反転入力端間に比較的大きい抵抗(例えば、1MΩ)を接続し、トランジスタ13、25のコレクタを非反転入力端に接続すれば、各系統を独立して制御することができる。
【0049】
上述の実施の形態において、抵抗7、11、12、21、22などは、1つの抵抗として構成してあるが、各抵抗は1つの抵抗に限定されるものではなく、複数の抵抗を直列又は並列に接続した抵抗群であってもよい。また、可変抵抗を用いる構成であってもよい。
【0050】
上述の実施の形態においては、トランジスタを用いる構成であったが、これに代えてFETなどを用いる構成であってもよい。また、トランジスタはNPN形に限らず、PNP形であってもよい。
【0051】
上述の実施の形態においては、LEDに供給する電流を設定する電流設定部として、トランジスタ1つを用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、トランジスタを直列に接続する構成、トランジスタと該トランジスタのコレクタ又はエミッタに接続された抵抗素子などを組み合わせた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る照明装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態2の照明装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
5 コンバータ回路
6、13、23、25 トランジスタ
7、8、11、12、21、22、24 抵抗
9 LED
10 演算増幅器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDに供給する電流を設定する電流設定部を有する電源装置において、
前記LEDの短絡を検出する検出部と、
前記電流設定部で設定した設定電流を変更する電流変更部と
を備え、
該検出部が前記LEDの短絡を検出した場合、前記電流変更部は、前記LEDに流れる電流を前記設定電流より小さくするようにしてあることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電流設定部は、
前記LEDと直列に接続するようにしてあり、
前記検出部は、
前記電流設定部の前記LEDとの接続端の電圧を検出し、
検出した電圧と閾値電圧とを比較する比較部をさらに備え、
該比較部が比較した結果に基づいて、前記LEDの短絡を検出するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
LEDと、該LEDに供給する電流を設定する前記電流設定部を有する請求項1又は請求項2に記載の電源装置とを備えることを特徴とする照明装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−222377(P2006−222377A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36272(P2005−36272)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000195029)星和電機株式会社 (143)
【出願人】(590004648)株式会社共進電機製作所 (7)
【Fターム(参考)】