説明

電源装置

【課題】 電源回路部品に雨水が接触することがない電源装置を提供する。
【解決手段】 内部に電源回路が収容されているケース2では、間隔をおいて対向するように正面部4及び背面部6が配置され、それぞれ別個に形成されたと、正面部4及び背面部6の間にこれらを繋ぐように前記正面部及び背面部に接触して中間部8が位置している。正面部4、背面部6及び中間部8は、別個に形成されている。中間部8内にある前記電源回路用の部品を被うように中間部8内に内部カバー52が配置されている。カバー52は、その上部の正面部4側の端部全域から正面部4と中間部8との接触面を超えて正面部8内まで斜め上方を向いて伸びた舌片52aと、カバー52の上部の背面部6側の端部全域から背面部6と中間部8との接触面を超えて背面部6内まで斜め上方を向いて伸びた舌片52bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、例えば溶接用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接には、手溶接、TIG溶接等の様々な種類がある。これら種類に対応した溶接機用電源装置が使用されている。その基本となる構成は、概ね次のようなものである。商用交流電圧が、入力側整流器及び平滑用コンデンサによって直流電圧に変換される。この直流電圧がインバータによって高周波電圧に変換される。この高周波電圧が変圧器によって所定の電圧に変圧される。変圧された高周波電圧は、出力側整流器によって直流電圧に変換され、負荷に供給される。必要に応じて、この直流電圧が低周波の交流電圧に変換されて、負荷に供給される。この電源装置では、インバータによって直流電圧を高周波電圧に変換しているので、小型の変圧器を使用することができ、電源装置全体を小型化することができる。
【0003】
上述したように、溶接の種類としては、手溶接、直流TIG溶接、交流TIG溶接などがある。
【0004】
手溶接を行う場合、溶接用電源装置は、出力電圧が変動しても、出力電流が一定である定電流出力特性を備えている。この出力電流値を設定する出力電流設定器が、手溶接用電源装置のパネルに設けられている。また、手溶接の場合、溶接の開始時や、例えばトーチと母材とからなる負荷が短絡しているときに、出力電流よりも大きな電流を流して、アークを良好に発生させるホットスタートを行うことがある。このホットスタート時に流す電流を設定するためのホットスタート設定器が、パネルに設けられている。また、パネルには、出力電圧や出力電流を表示する表示器も設けられている。
【0005】
直流TIG溶接は、例えばステンレスの溶接に適し、定電流出力特性を備えている。また、手溶接と同様にホットスタートを必要とすることもある。直流TIG溶接では、平坦な母材を溶接する場合には、出力電流を一定値とする。しかし、パイプのような母材を溶接する場合には、特にパイプの底を溶接する場合には、一定の出力電流を供給すると、パイプからの溶融物が母材から落下し、再溶接を行うことが必要になったり、トーチのTIG溶接電極に溶融物が付着し、溶接電極が損傷したりする可能性がある。そこで、出力電流をパルス電流にし、パルス電流のうちベース電流IBが流れているとき、例えばパイプの底部に形成された溶融池を冷却し、この溶融池から溶融物が落下したり、トーチの溶接電極に溶融物が付着したりするのを防止している。
【0006】
TIG溶接では、アークの発生法として、溶接電極と母材とを短絡させて、これらに低電流を流した後、溶接電極を母材から離して、両者の間にアークを発生させるタッチスタート法と、溶接電極を母材から予め離しておいて、両者の間に例えば1乃至3MHzで、5乃至20kVの高周波、高電圧を印加して、アークを発生させる高周波スタート法とがある。
【0007】
直流TIG溶接用電源装置のパネルには、出力電流を設定するための出力電流設定器、ホットスタート設定器が設けられている。更に、パルス電流を出力電流として供給するときの起動電流から、最大パルス電流(設定された出力電流)まで立ち上げるアップスロープ時間と、最大パルス電流から溶接終了時に流すクレーター電流まで低下させるダウンスロープ時間とを、それぞれ設定するアップスロープ、ダウンスロープ時間設定器も、パネルに設けられている。更に、パルス電流の周波数を設定するパルス周波数設定器と、パルス電流を供給するか直流電流を供給するかを切り換えるパルス切換器とが、パネルに設けられている。また、タッチスタートと高周波スタートとの切換を行うアークスタート切換器も、パネルに設けられている。この他に、出力電圧及び出力電流を表示する表示器もパネルに設けられている。
【0008】
交流TIG溶接は、例えばアルミニウムを溶接する場合に使用される。アルミニウムは、融点の高い参加費膜を有しているので、直流電源装置を用いて母材を正極に、溶接電極を負極として電流を流した場合(正極性の場合)、母材が高温にならず、溶接を行うことができない。そのため、母材を負極に、電極を正極として(負極性)、電流を流すと、母材から熱電子が放出され、酸化被膜が除去され(クリーニング効果)、溶接が可能となる。但し、正極性とした場合、電極を冷却する冷却効果がある。そこで、交流TIG溶接の場合、クリーニング効果と冷却効果の双方が得られる。正極性の時間と負極性の時間とを調整することによって、両効果を所望の状態にできる。
【0009】
この交流TIG溶接も直流TIG溶接にも使用できるようにした交直TIG溶接機が存在する。交直TIG溶接機用電源装置のパネルには、直流TIG溶接用に、出力電流の設定器、ホットスタート設定器、アップスロープ時間及びダウンスロープ時間設定器、パルス周波数設定器、パルス電流の有無を切り換えるパルス切換器、タッチスタートと高周波スタートとの切換を行うアークスタート切換器、出力電圧、出力電流の表示器が、パネルに設けられた上に、交流TIG溶接用に、交流溶接時の電圧の周波数を設定する周波数設定器と、正極性と負極性との比率を設定する波形バランス設定器も、パネルに設けられている。
【0010】
これら各種の溶接用電源装置を、個別に製造する場合、その製造が面倒である。上記の各種溶接では、種々の設定が必要であるので、各種の溶接に使用できる1台の電源装置を製造しようとした場合、パネルには、多数の設定器が必要で、その構成が複雑になるだけでなく、各設定器の設定が面倒になる。
【0011】
そこで、本願出願人は、特開平10−3079号に示すような電源装置を提案した。この電源装置は、パネルに、手溶接か、直流TIG溶接か等の溶接プロセスを設定する溶接プロセス設定用押釦と、溶接プロセスの選択後に各溶接プロセスのパラメータを選択するパラメータ設定押釦と、1個の設定器とを設け、この設定器によって、出力電流、出力電圧等を調整して、各種溶接に対応させている。パネルには、この他に、プロセス表示器、パラメータ表示器、アップダウン押釦、出力電圧計、出力電流計が設けられている。
【0012】
ところで、溶接機用電源装置は、屋内で使用されるだけでなく、屋外で使用されることもあり、防滴、防塵対策を採る必要がある。そのため、上記のパネルに、防滴、防塵カバーが設けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、電源回路部品に雨水が接触することがない電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による電源装置は、ケースと、このケース内に収容された電源回路とを、具備している。前記ケースは、間隔をおいて対向するように配置された、それぞれ別個に形成された正面部及び背面部と、これら正面部及び背面部の間に位置し、前記正面部と前記背面部とを繋ぐように前記正面部及び背面部に接触している、前記正面部及び背面部と別個に形成された中間部と、具備している。前記中間部内にある前記電源回路用の部品を被うように前記中間部内にシートが配置されている。前記シートは、その上部の前記正面部側の端部全域から前記正面部と前記中間部との接触面を超えて前記正面部内まで斜め上方を向いて伸びた第1舌片と、前記シートの上部の前記背面部側の端部全域から前記背面部と前記中間部との接触面を超えて前記背面部まで斜め上方を向いて伸びた第2舌片とを、有している。
【0015】
このように構成すると、例えば正面部と中間部との接触面から雨水が浸入しても、第1舌片部を介してシート側に流れるので、シートによって包囲されている電源回路部品に雨水が接触することはない。背面部と中間部との接触面から雨水が浸入した場合でも、同様である。
【0016】
さらに、ケースの外部から内部に前記ケースに設けた導入口を介してケーブルを導入することができる。この場合、導入口の近傍に前記ケースと一体に第1クランプ部が形成される。第1クランプ部は、前記ケーブルの周方向のほぼ半分を包囲する形状に形成されている。前記ケーブルの残りの半分を包囲する第2クランプ部が、第1のクランプ部と共に前記ケーブルの全周を包囲するように第1のクランプ部に取り付けられている。
【0017】
このように構成すると、第1クランプ部がケースに一体に形成されているので、ケーブルを第1クランプ部に押しつけるように第2クランプ部をケーブルに接触させ、第2クランプ部を第1クランプ部に取り付けることによって、ケーブルをクランプすることができる。従って、クランプ作業が容易に行える。
【0018】
また、前記正面部と前記中間部との接触面の一方に、前記正面部と中間部との接触面の他方に向けて第1突出部を突出させることができる。この場合、前記正面部と中間部との接触面の他方に、前記第1突出部が侵入する第1凹部が設けられる。前記背面部と前記中間部との接触面の一方に、前記背面部と中間部との接触面の他方に向けて第2突出部が突出させられている。前記背面部と中間部との接触面の他方に、前記第2突出部が侵入する第2凹部が設けられている。
【0019】
このように構成した場合、第1突出部が第1凹部に係合し、第2突出部が第2凹部に係合しているので、正面部と中間部との接合がずれることがなく、同様に背面部と中間部との接合がずれることもない。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、中間部にある内部カバーに正面部及び背面部の合わせ面を超えて伸びる舌片を設けてあるので、正面部と中間部との合わせ面や、中間部と背面部との合わせ面から水が侵入しても、電源回路が水に濡れることはない。また、正面部と中間部との接触面の一方に凸部を、他方に凹所を設け、背面部と中間部との接触面の一方に凸部を、他方に凹所を設けたならば、ケースを持ち上げた際に、正面部と中間部との間でずれが生じることがなく、中間部と背面部との間でずれが生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の1実施形態の電源装置は、例えば溶接用電源装置であって、図1に示すように、ケース2を有している。このケース2は、正面部4、背面部6と、中間部8とからなり、合成樹脂製である。
【0022】
正面部4及び背面部6は、その外形が同一寸法のほぼ扁平な直方体状に形成されている。これら正面部4及び背面部6は、所定の間隔をおいて互いに対向するように配置されている。
【0023】
これら正面部4の背面と背面部6の正面とに接触するように、中間部8が配置されている。中間部8は、概略直方体状に形成され、図2及び図3に示すように、右側中間部8aと左側中間部8bとから構成されている。これら右側及び左側中間部8a、8bは、図3に示すように縦断面形状が横倒しにした概略U字状のもので、それらの先端部を突き合わせている。この中間部8内に溶接用電源装置の電源回路(図示せず)が配置されている。なお、右側及び左側中間部8a、8bを突き合わせた状態で、中間部8の上部中央に位置するように、取手9が形成されている。
【0024】
図4に示すように正面部2の上部には、幾分斜め下方を向いた凹所10が形成されている。この凹所10内に、図5に示すようにパネル12が配置されている。このパネル12には、この電源装置の特性調整用の種々のパラメータを設定する操作子、例えばスイッチやボリューム等(図示せず)が設けられている。
【0025】
凹所10には、防塵用のカバー14が図4に示すようにパネル12を覆うように取り付けられている。このカバー14は、透明であり、図4に示していないが、カバー14がパネル12を覆っている状態においても、外部からパネル12の設定状態を確認することができる。なお、図4において符号16で示すのは、1つの操作子の摘みで、カバー14がパネル12を覆っている状態においても、外部から操作可能にカバー14の外方に突出している。
【0026】
カバー14の両側面の上部には、図6に示すように、円板18、18が形成されている。この円板18、18の中央から両側面にほぼ垂直に軸20、20が外方に向かって突出している。図7に示すように、この軸20、20の中心を中心とする円周上に複数の凸部22が等角度に外方に向かって突出している。
【0027】
一方、凹所10では、カバー14がパネル12を覆った状態において、カバー14の軸20、20に対応する両側面の位置には、図5に示すように、軸20、20を回転自在に支持する軸受け、例えば軸穴24、24が形成されている。これら軸穴24、24の周囲には、各凸部22に対応するように、各凸部22が侵入して係合可能な凹部、例えば円穴26、26が形成されている。これら円穴26が互いになす角度は、凸部22が互いになす角度に等しく形成されている。
【0028】
カバー14の軸20、20が軸穴24、24に挿通されていることにより、カバー14が軸20、20の周りに回転し、カバー14がパネル12を図1に点線で示すように開閉可能である。しかも、この回転の際に、各凸部22が係合する円穴26を順に変更していくので、所定角度ごとにカバー14を固定することができる。従って、図1に示すように、所望の回転位置でカバー14を固定することができる。従って、パネル12の操作子を操作する際に、いちいちカバー14を手で押さえておく必要が無く、パラメータの設定が容易に行える。
【0029】
なお、図4に符号28で示すのは、正の出力端子、符号30で示すのは負の出力端子、符号32で示すのは不活性ガスの出力端子である。また、符号34で示すのは、ケース2内に空気を導入するための窓である。符号36で示すのは、トーチスイッチの接続端子である。
【0030】
背面部6には、図8に示すように、ケーブル、例えば電源ケーブル38が導入されている。これは、ケース2内の電源回路に商用交流電源を供給するためのものである。この電源ケーブル38がケース2から抜けることを防止するために、この電源ケーブル38は、クランパー40によってクランプされている。このクランパー40は、図9に示すように、第1のクランプ部40aと第2のクランプ部40bとからなる。これらは、共に合成樹脂製で、第1のクランプ部40aは、背面部6と一体に形成されている。第1のクランプ部40aは、背面部6に形成されている電源ケーブル38の円形導入口42の約3/4の外周を包囲する凹部44を有している。また、第2のクランプ部40bは、背面部6とは別個に形成されており、円形導入口42の残りの外周を包囲可能な凹所46を有している。
【0031】
第1のクランプ部40aの凹部44に電源ケーブル38を接触させ、さらにこの電源ケーブル38を第1のクランプ部40a側に押圧するように、第2のクランプ部40bの凹所46を電源ケーブル38に接触させ、第2のクランプ部40b側から固定手段、例えばボルト48、48を挿通して、第1のクランプ部40aに螺合させ、第1のクランプ部40aに第2のクランプ部40bを固定して、電源ケーブル38をクランプする。
【0032】
このクランパー40では、第1のクランプ部40aが、背面部6と一体に形成されている。従来、使用されていたクランパーでは、第1のクランプ部40a、40bに相当するものが、ケースとは別個に形成されていたので、第1のクランプ部40aに相当するものをケースに取り付けなければならず、作業性が低かった。しかし、このクランパー40では、第1のクランプ部40aが背面部6に一体に形成されているので、第1のクランプ部40aを背面部6に取り付ける作業が不要で、クランプ作業を効率化することができる。しかも、第1及び第2のクランプ部40a、40bは合成樹脂製であるので、錆びることはない。
【0033】
なお、図8に符号50で示すのは、不活性ガスの入力端子である。同じく符号51で示すのは、ケース2内を流れた空気を排気するための窓である。
【0034】
図1に点線で示すように、中間部8内には電源回路を覆うように内部カバー52が配置されている。この内部カバー52は、導電材料、例えば金属箔、具体的にはアルミ箔または銅箔の両面を、耐錆及び耐熱性を有する材料、例えば耐熱性塩化ビニルまたは耐熱性ポリエステル等の樹脂によって被覆したものである。金属箔に代えて導電性を有するカーボン樹脂を使用することもできる。金属箔の両面を上記の材料によって被覆したものは、比較的柔軟であり、1枚の板状のものに適当な切り込みを入れて、折り曲げ加工することによって、所望の形状とすることができる。
【0035】
この内部カバー52は、図10に示すように上壁52Uを有し、その上壁52Uの長手縁から下方に向かって伸びる両側壁52R、52Lを有している。上壁52Uは、図1に示すように、中間部8の上壁に接近した位置にあり、中間部8の上壁にほぼ一致する大きさを有している。上壁52Uの両端は、中間部8と正面部4との接触面、中間部8と背面部6との接触面の近傍である中間部8内に位置している。また両側壁52R、52Lは、中間部8の底壁に接触している。この内部カバー52は、それの適所を電源回路の基準電位点に接続している。従って、この内部カバー52は、シールドケースとして機能する。
【0036】
さらに、上壁52Uの正面部4側の端部から正面部4内に向かって舌片部52aが形成されている。舌片部52aは、上壁52Uの正面部4側の端部から斜め上方に向けて傾斜した第1の傾斜部52a−1を有し、これに続いて第1の傾斜部52a−1よりも緩い傾斜の第2の傾斜部52a−2を有している。上壁52Uの背面部6側の端部から同様に第2の舌片部52bが形成されている。舌片部52bも、第1及び第2の傾斜部52a−1、52a−2と同様な第1及び第2の傾斜部52b−1、第2の傾斜部52b−2を有している。
【0037】
また、側壁52R、52Lの正面部4側の端部から正面部4内に侵入するように舌片部52c、52cが形成されている。同様に、側壁52R、52Lの背面部6側の端部から背面部6内に侵入するように舌片部52d、52dが形成されている。これら舌片部52c、52c、52d、52dも、ほぼ正面部4及び背面部6の底壁付近まで伸びている。
【0038】
この内部カバー52は、それの内部に導電性材料を含んでいるので、シールドケースとして機能し、この電源装置の近傍にある雑音源からの高周波信号等が、内部カバー52によって覆われている電源回路に到来して、この電源回路を誤動作させることを防止している。さらに、上壁52Uは、図2に示される中間部8の右側中間部8aと左側中間部8bの上部での合わせ面54から侵入した水を受ける。従って、合わせ面54から侵入した水に内部カバー52内の電源回路が濡れることを防止できる。また、正面部4と中間部8との合わせ面56または背面部6と中間部8との合わせ面58から侵入した水は、舌片部52a、52bを伝わって上壁部52U側に流れる。従って、合わせ面56または58から侵入した水に、内部カバー52内の電源回路が濡れることを防止できる。
【0039】
例えば特許第3235777号には、上壁52U及び側壁52R、52Lを備えたカバーが開示されている。これでは、舌片部52a、52bに相当するものが設けられていないので、合わせ面56、58から侵入した水に対処することができない。
【0040】
図11(b)に示すように、中間部8の正面部4との接触面の上部には、正面部4側に向かって突出した複数、例えば2つの凸部60が形成されている。これら凸部60は、同図(a)に示すように、右側中間部8a、左側中間部8bの該右方端部に設けられている。中間部8と正面部4とを上下方向にずれが無い状態で接触させた状態において、凸部60、60が侵入して接触するように、正面部4の中間部8側の面の上部の両外方端には、図12に示すように、凸部60、60に対応させて凹所62、62が形成されている。同様に、中間部8の背面部6との接触面の上部両外方端には、背面部6側に向かって突出した凸部64、64が形成されている。また、図には示していないが、中間部8と背面部6とを上下方向にずれが無い状態で接触させた状態において、凸部64、64が侵入して接触するように、背面部6の中間部8側の面には、2つの凹所が形成されている。
【0041】
このように凸部60、60を正面部4側の凹所62、62に接触させ、凸部64、64を背面部6側の2つの凹所に接触させているので、例えば取手9を人が握って、このケース2を持ち上げても、正面部4と中間部8とが上下方向にずれることはなく、同様に中間部8と背面部6とが上下方向にずれることもない。
【0042】
もし、このような凸部や凹所を設けなかったならば、取手9を人が握って、ケース2を持ち上げたとき、中間部8内には電源回路等の比較的重量の重いものがあるのに対し、正面部4、背面部6には重量物が存在しないので、正面部4と中間部8との間、背面部6と中間部8との間で、それぞれ上下方向のずれが生じる。しかし、凸部60、60、凹所62、62等を設けることによって、このようなずれが生じることを防止できる。
【0043】
上記の実施の形態では、カバー14に軸20と凸部22を設け、凹所10側に軸穴24と円穴26を設けたが、逆にカバー14に軸穴24と円穴26を設け、凹所10側に軸20と凸部22を設けることもできる。また、凸部22は、複数個設けたが、最低限度1個の凸部22を設ければよい。また、上記の実施の形態では、第1のクランプ部40aと第2のクランプ部40bとをボルトによって固定したが、これに限ったものではなく、例えば両端にフックを有する固定具を形成し、これらフックに係合する穴を第1及び第2のクランプ部40a、40bに設けることもできる。また、上記の実施の形態では、内部カバー52には、舌片52c、52dを設けたが、場合によっては不要である。また、上記の実施の形態では、中間部8側に凸部60、64を設け、正面部4、背面部6側に凹所を設けたが、逆に中間部8側に凹所を設け、正面部4、背面部6側に凸部を設けることもできる。また、上記の実施の形態では、中間部8を右側及び左側中間部8a、8bによって構成したが、中間部を内部が中空で正面と背面とが開口された直方体状に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の1実施形態の電源装置の側面図である。
【図2】図1の電源装置の平面図である。
【図3】図1の電源装置のケースの中間部の縦断正面図である。
【図4】図1の電源装置の正面図である。
【図5】図1の電源装置のケースの正面部の部分省略縦断側面図である。
【図6】図1の電源装置のケースのカバーの部分省略平面図である。
【図7】図7のカバーの部分破断側面図である。
【図8】図1の電源装置の背面図である。
【図9】図1の電源装置の背面部の部分省略破断拡大図である。
【図10】図1の電源装置において使用する内部カバーの部分省略斜視図である。
【図11】図1の電源装置のケースの中間部の平面図及び側面図である。
【図12】図1の電源装置のケースの正面部の部分省略背面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 ケース
4 正面部
6 背面部
8 中間部
52 内部カバー(シート)
52a 舌片部(第1の舌片部)
52b 舌片部(第2の舌片部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
このケース内に収容された電源回路とを、
具備する電源装置において、
前記ケースは、間隔をおいて対向するように配置された、それぞれ別個に形成された正面部及び背面部と、これら正面部及び背面部の間に位置し、前記正面部と前記背面部とを繋ぐように前記正面部及び背面部に接触している、前記正面部及び背面部と別個に形成された中間部と、具備し、
前記中間部内にある前記電源回路用の部品を被うように前記中間部内にシートが配置され、
前記シートは、その上部の前記正面部側の端部全域から前記正面部と前記中間部との接触面を超えて前記正面部内まで斜め上方を向いて伸びた第1舌片と、前記シートの上部の前記背面部側の端部全域から前記背面部と前記中間部との接触面を超えて前記背面部まで斜め上方を向いて伸びた第2舌片とを、有する電源装置
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、前記ケースの外部から内部に前記ケースに設けた導入口を介して導入されたケーブルと、
前記導入口の近傍に前記ケースと一体に形成され、前記ケーブルの周方向のほぼ半分を包囲する第1クランプ部と、
前記ケーブルの残りの半分を包囲し、第1のクランプ部と共に前記ケーブルの全周を包囲するように第1のクランプ部に取り付けられている第2のクランプ部とを、
具備する電源装置。
【請求項3】
請求項1記載の電源装置において、
前記正面部と前記中間部との接触面の一方に、前記正面部と中間部との接触面の他方に向けて突出させた第1突出部と、
前記正面部と中間部との接触面の他方に設けられ、前記第1突出部が侵入する第1凹部と、
前記背面部と前記中間部との接触面の一方に、前記背面部と中間部との接触面の他方に向けて突出させた第2突出部と、
前記背面部と中間部との接触面の他方に設けられ、前記第2突出部が侵入する第2凹部とを、
具備する電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−118854(P2008−118854A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37(P2008−37)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【分割の表示】特願2002−243134(P2002−243134)の分割
【原出願日】平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】