説明

電球及び電球の保護方法

【課題】電球は、通常は天井や壁等高い所に取り付けられており、落下するとどうしてもガラスの破損、飛散ということが起こる。また、片持ち型の電球では、口金とガラス製バルブの大きさや形状が異なるため、口金とガラス製バルブの接合部を含め全体を有効に被覆することは困難である。
【解決手段】片持ち型の電球の電極をカバーする口金に弾性帯状リングが装着され、該電球のガラス製バルブにはプラスチック筒状体が嵌められ、且つ、該ガラス製バルブは該プラスチック筒状体単独か又は該プラスチック筒状体と該弾性帯状リングの両方によって完全に覆われているもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球及び電球の保護方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいう電球は、蛍光灯、白熱電球、紫外線ランプ、その他ガラス製の筒や容器状のもので中に発光部(紫外線照射部も)があるものと電極から構成されるものをいう。
【0003】
このような電球は、通常は天井や壁等高い所に取り付けられており、且つ定期的又は不定期に交換するものである。交換時に手がすべり落下させることが時には起こる。例え、100本に1本、1000本に1本であっても、数の多い工場等では落下事故が0にはならない。また、工場等では、床がコンクリート等の固い素材であることが多いため、落下するとどうしてもガラスの破損、飛散ということが起こる。
【0004】
このようなガラスの飛散事故が生じると、食品工場等ではその瞬間にその部屋に存在した加工中の食品材料等はすべて廃棄しなければならない。ガラス片等がどこまで飛散しているか分からないためである。
【0005】
また、通常の蛍光灯のようなものは、ガラス管と両端の金属製の電極部から構成されているため、ガラス部以外は破損しにくいため、ガラス部分にフィルムを巻くことである程度の保護効果はある。
しかし、片持ち型の電球(コンパクト型、ツイン蛍光灯、U型蛍光灯等と一般では呼ばれているものがある)では、片方の口金(プラスチック製で電極等をカバーしている部分)にガラス製バルブ(ガラス製の管や曲線状の発光部)が固定されている。このタイプの電球は、口金とガラス製バルブの大きさや形状が異なるため、口金とガラス製バルブの接合部を含め全体を有効に被覆することは困難であり、破損時におけるガラスの飛散を防止するカバーは考えられたことはない。
【0006】
このタイプの電球は、前記した通り、口金とガラス製バルブの大きさや形状が異なるため、口金とガラスの接合部をつなぎ止めることが難しく、単にガラス製バルブのみをフィルムやプラスチックカバーで覆っても接合部が折れるため、ガラスの飛散を防止することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、このような欠点を大きく解消した片持ち型の電球を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明電球及び電球の保護方法を完成したものであり、その特徴とするところは、電球にあっては、片持ち型の電球の電極をカバーする口金に弾性帯状リングが装着され、該電球のガラス製バルブにはプラスチック筒状体が嵌められ、且つ、該ガラス製バルブは該プラスチック筒状体単独か又は該プラスチック筒状体と該弾性帯状リングの両方によって完全に覆われている点にあり、保護方法にあっては、片持ち型の電球の電極をカバーする口金に弾性帯状リングを装着し、次いでガラス製バルブ部分全体を包み込み、該弾性帯状リングの全部又は一部を覆うようにプラスチック筒状体を嵌め、その後全体を加熱し、該プラスチック筒状体を熱収縮させる点にある。
【0009】
片持ち型の電球とは、電極が片側にのみ存在する電球をいう。直管型の蛍光灯では、ガラス部の両端に電極部があるが、U字状の蛍光灯を片側で保持するタイプ等がこの持ち型の電球の例である。また、ガラス製バルブの違いによって、U字型、2本タイプ(2本が先端部で連絡している)、4本タイプ、6本タイプ等がある。
【0010】
口金とは、電極部(場合によってはガラス部分も含む)をカバーする部分で、この片持ちタイプでは必須の部分である。形状は断面円形、断面矩形等種々のものがあるが、本発明ではどのようなものでも利用できる。
【0011】
弾性帯状リングとは、ゴムや弾性プラスチックのリング状のバンドであり、広げて装着するものである。材質は自由であるが、天然ゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等、また紫外線や温度を考慮すると、フッ素系樹脂やケイ素系樹脂のものが好適である。サイズは、装着する電球の種類、口金の大きさに合わせ異なるが、電球が落下したときプラスチック筒状体が脱落しない程度の締め付け力で装着できるサイズであればよい。
また、厚みは天井程度(3m)の高さから落下したときに、弾性帯状リングが緩衝材(保持材)となって接合部の破損を防止する程度の厚みがあればよい。通常は、装着したときの最も薄い部分が1mm以上であることが望ましい。
【0012】
この弾性帯状リングは、口金をカバーするのであるが、口金全体でも一部でもよい。保護の観点からは全部カバーする方が好ましい。
また、口金のみをカバーしてもガラス部分を跨いでカバーしてもよい。これは後述するプラスチック筒状体の嵌めこみ方にもよるが、プラスチック筒状体がガラス部しかカバーできない又はしない場合には、この弾性帯状リングがガラス部にかかっている必要がある。勿論、プラスチック筒状体が口金もカバーする場合でも、弾性帯状リングがガラス部にかかっていてもかまわない。
【0013】
プラスチック筒状体とは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、PET等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム又はシート製で筒状のものである。しかし、紫外線が照射されるものである場合には、紫外線によって分解されにくいものが好適である。例えば、前記したフッ素系樹脂やケイ素系樹脂(シリコン系樹脂)等である。
ここでいう筒状は1方が閉じている袋状も含むものとする。
【0014】
また、このプラスチック筒状体は、大きな熱収縮性(シュリンク)を有するものが好適である。熱収縮性を有する筒状体をガラス製バルブ(好ましくは口金も)に被せ、加熱し筒状体を収縮させてガラス等に密着固定する。単に被せるだけよりも、見た目が綺麗で、破損時のガラスの飛散防止効果が大きい。
加熱温度はフィルムの種類にもよるが、80〜200℃が普通である。熱収縮させる方法は、全体を収縮温度以上にするだけでよく、ヒーター中を通過させる方法が簡単である。
【0015】
このプラスチック筒状体は、別の効果を有していてもよい。例えば、可視光線はよく透過するが紫外線は透過し難いものである。このようにすれば、紫外線に誘引される虫等が誘引されにくい。
【0016】
筒状体として最初から一端が閉じたものを使用する場合には問題はないが、両方が開いた筒では、口金と反対側(先端部)は何らかの手段で閉じる必要がある。例えば、熱融着する方法、プラスチックで接着する方法、プラスチックでその口部を充填封止する方法、また、ゴムサックのような弾性を有するキャップのようなものを被せて閉止してもよい。
【0017】
プラスチックでその口部を充填封止する方法としては、開口部をシリコン系樹脂中に1〜20mm程度漬けて封止する方法がある。封止する工程は、プラスチック筒状体を口金に嵌めた後でも前でもよい。
【0018】
フッ素系樹脂とは、ポリエチレンの水素原子を漸次フッ素原子で置換した各種のハイドロフルオロカーボンポリマーである。ポリテトラフルオロエチレン(モノマーはCF=CF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(モノマーはCF=CClF)、ポリビニリデンフルオライド(モノマーはCH=CF2)、ポリビニルフルオライド(モノマーはCH=CHF)等がある。
ケイ素系樹脂とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を基本構造とした有機ケイ素ポリマーであり、シリコーンともいう。
【0019】
プラスチック筒状体単独か又はプラスチック筒状体と弾性帯状リングの両方とは、ガラス製バルブをプラスチック筒状体だけで完全にカバーするか、プラスチック筒状体ではバルブを全てカバーできない場合には、そのカバーできない部分は弾性帯状リングがカバーする。即ち、ガラス製バルブの全ての部分は、プラスチック筒状体又は弾性帯状リング、若しくはその両方でカバーされている必要があるということである。
【発明の効果】
【0020】
本発明電球及び電球の保護方法には次のような利点がある。
(1) 口金部が柔軟な弾性帯状リングで保護されているため、衝撃吸収性があり、通常の落下では口金が破損することがない。
(2) ガラス製バルブが衝撃で破損してもプラスチック筒状体で封止してカバーされているため、破片がプラスチック筒状体から出ることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下実施の形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
実施例1
図1は、本発明電球1の1例を示す断面図である。
ガラス製バルブ2はU字状のものである。このガラス管2が口金3に固定支持されており、端部に電極4が突出している。この電球の大きさは、口金が47mm×25mmで高さが23mmであった。また、ガラス管の長さは約530mm(1本に伸ばさないで)であった。
【0022】
このガラス管2と口金3に跨って弾性帯状リング5がはめ込まれている。この例では該リングはシリコンラバー製で、ノーマル時で厚みが2mmであった。その弾性帯状リング5の上にプラスチック筒状体6が熱収縮して密着している。このプラスチック筒状体は、シリコン樹脂製であり、先端もシリコン樹脂の溶液に漬けて封止している。
【0023】
この例では、この電球が落下してガラス管部分が衝撃を受けた場合には、ガラス管は割れて破損するが、プラスチック筒状体6がカバーしているため、破片はプラスチック筒状体からは出ない。
また、落下して口金3が衝撃を受けた場合、弾性帯状リング5がカバーしているため、その衝撃は吸収され口金3は破損しない。
【0024】
図2は、プラスチック筒状体6が弾性帯状体5の上に嵌っている例を示す。図1と異なり側面から見ているためガラス部が1本のように見えている。(a)は、弾性帯状体5が口金3にのみ嵌り、プラスチック筒状体6がガラス製バルブ2を全てカバーし、更に弾性帯状体5も全て覆っている例である。この例では、プラスチック筒状体6は、熱収縮タイプである。先端部(図の左端)は、予め封止されているが、これはガラス製バルブ2に嵌めてから、ディッピング等で封止してもよい。
【0025】
図2(b)は、弾性帯状体5が口金3とプラスチック筒状体6に跨って嵌められており、プラスチック筒状体6はその弾性帯状体5の一部にかかっている。この例のプラスチック筒状体6も熱収縮タイプである。
【0026】
図3は、弾性帯状体5がプラスチック筒状体6の上に嵌っている例を示す。(a)は、プラスチック筒状体6を口金を半分程度カバーするように被せた後、弾性帯状体5をその上に嵌めた例である。この例では、プラスチック筒状体6は熱収縮タイプでなく、単に嵌めているだけであり、弾性帯状体5によって固定している。勿論、プラスチック筒状体は熱収縮させたものでもよい。
【0027】
図3(b)は、プラスチック筒状体6をガラス製バルブ2に嵌めこみ(口金には跨らず)、次いでガラス部と口金を跨いで、且つプラスチック筒状体をもカバーして弾性帯状体5を嵌めている。
この例もプラスチック筒状体は熱収縮タイプでなくてもよい。
【0028】
図4は、先に弾性帯状体5を嵌め、次いでプラスチック筒状体をその帯状体5の上にまで被せ、そして最後に帯状体の下半分を折り返してプラスチック筒状体に被せた例である。この例でもプラスチック筒状体は熱収縮タイプでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明電球の1例を示す断面図である。
【図2】本発明電球の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明電球の更に他の例を示す断面図である。
【図4】本発明電球の更に他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 電球
2 ガラス製バルブ
3 口金
4 電極
5 弾性帯状リング
6 プラスチック筒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片持ち型の電球の電極をカバーする口金に弾性帯状リングが装着され、該電球のガラス製バルブにはプラスチック筒状体が嵌められ、且つ、該ガラス製バルブは該プラスチック筒状体単独か又は該プラスチック筒状体と該弾性帯状リングの両方によって完全に覆われていることを特徴とする電球。
【請求項2】
該プラスチック筒状体は、熱収縮性を有するものであって、嵌めた後加熱することによって収縮固着されているものである請求項1記載の電球。
【請求項3】
片持ち型の電球の電極をカバーする口金に弾性帯状リングを装着し、次いでガラス製バルブ部分全体を包み込み、該弾性帯状リングの全部又は一部を覆うようにプラスチック筒状体を嵌め、その後全体を加熱し、該プラスチック筒状体を熱収縮させることを特徴とする電球の保護方法。
【請求項4】
該弾性帯状リングは、該口金とガラス製バルブ部分を跨いで装着されるものである請求項3記載の電球の保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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