説明

電球形ランプ及び照明器具

【課題】組立開始から組立完了まで一貫して筐体の基準となる位置を容易に把握でき、しかも筐体の外面の見栄えにもほとんど悪影響を与えないようにすることである。
【解決手段】発光部を有する発光モジュールであるLEDモジュール11を筐体12に取り付け、筐体12の外面に筐体の基準位置を示す位置決め部としての切欠部20を形成し、LEDモジュール11を覆って筐体12にLEDからの放射光を外部に出射するカバー14を取り付け、筐体12のカバー14の反対側に口金を設け、LEDを点灯する点灯回路18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、LEDや有機ELを光源とした発光部を有した電球形ランプ及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部を有する発光モジュールを用いた電球形ランプとして、複数個のLEDからなるLEDモジュールで光源部を構成し、このLEDモジュールを筐体に取り付けカバーで覆って外観を白熱電球形状に形成したLED電球が知られている。このようなLED電球では、カバーの反対側の筐体にケースを取り付け、そのケースの内部に点灯回路を収納するとともにケースの端部に口金を設けている。
【0003】
発光部であるLEDや点灯回路は発熱するので、その熱をLED電球の外部へ放出するために筐体に放熱フィンが設けてられており、通常、この放熱フィンは見栄えを考慮して等ピッチ間隔で放射状に配列されている。これらの放熱フィンは金属成型などにより形成されている。
【0004】
LED電球として、LEDモジュールのLEDから発生する熱のほとんどを放熱部の放熱フィンで放熱し点灯回路の温度上昇を抑え、部品コストを上昇させずに点灯回路の寿命を維持できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−56059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、筐体に設けられる放熱フィンは、金属成型などにより等ピッチ間隔で放射状に形成されるので回転対称であり、筐体を回転させても基準となる部分ない。従って、この筐体に部品を取り付ける際に、その部品の取付位置を確認するための基準がないことになり自動組立が困難となる。そこで、自動組立の都合上、筐体の外観の見えやすい位置に目印を施すことが考えられるが、その目印として、凹部、凸部、穴などとした場合には、筐体の見栄えが悪くなり、デザイン上からその採用は困難である。
【0007】
そこで、組立開始から組立完了まで一貫して筐体の基準となる位置を容易に把握でき、しかも筐体の外面の見栄えにもほとんど悪影響を与えない電球形ランプ及び照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、発光部を有する発光モジュールと;一方側に前記発光モジュール、他方側に口金が設けられた筐体と;前記筐体の外面に形成され前記筐体の基準位置を示す位置決め部と、前記発光モジュールを覆って前記発光部からの放射光を外部に出射するカバーと;前記発光部を点灯する点灯回路と;を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動組立を容易にするための基準となる位置を設けた電球形ランプ及び照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るLED電球の正面図。
【図2】本発明の実施形態における筐体の一例を示す説明図。
【図3】本発明の実施形態における筐体の他の一例を示す説明図。
【図4】本発明の実施形態におけるカバーの筐体への取り付けの説明図。
【図5】本発明の実施形態に係る照明装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係るLED電球の正面図である。図1では左半分を断面したものを示している。以下の説明では、発光部としてLEDを用いた場合について説明する。
【0012】
複数のLEDが面実装されたLEDモジュール11は、筐体12の上面部13に接触して取り付けられている。また、筐体12の上面部13には、LEDモジュール11を覆ってカバー14が取り付けられ、LEDモジュール11のLEDからの放射光を外部に出射する。一方、筐体12のカバー14の反対側には合成樹脂製のケース15を介して口金16が取り付けられている。ケース15の内部は中空となっており、このケース15の中空部17にLEDを点灯する点灯回路18が内蔵されている。
【0013】
筐体12の側面部には複数の放熱フィン19が筐体12の中心から外側に向けて放射状に延在するように設けられている。LEDモジュール11のLEDから発生する熱は、筐体12の上面部13を通って複数の放熱フィン19に伝熱され、複数の放熱フィン19から放熱される。
【0014】
また、筐体12の外面の下部には、筐体12の基準位置を示す位置決め部としての切欠部20が設けられている。切欠部20は筐体12の下部のケース15のフランジ部15aと接触する部分に設けられているので、目立ち難い部位である。
【0015】
図2は本発明の実施形態における筐体12の一例を示す説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は底面図である。図2(a)に示すように、切欠部20は筐体12の外面の下部における放熱フィン19の間に設けられている。筐体12にLEDモジュール11やケース15を取り付ける際に、この切欠部20の位置を基準位置としてLEDモジュール11やケース15を筐体12に取り付けることになる。
【0016】
図2(b)に示すように、放熱フィン19は筐体12に等ピッチ間隔で放射状に形成されている。図2(b)では16個の放熱フィン19が22.5°の等ピッチ間隔で配列された場合を示している。従って、放熱フィン19の配列は回転対称であるので、放熱フィン19の配列から筐体12の基準位置を判断することは困難であるが、切欠部20の位置を確認することで、筐体12の基準位置を容易に把握できる。
【0017】
例えば、自動組立を行う際に、筐体12を搭載する保持器具に切欠部20と掛合する爪部を設けておき、切欠部20が保持器具の爪部に掛合したときに筐体12が保持器具に搭載可能となるようにしておく。これにより、筐体12が保持器具に搭載されたときは、筐体12は基準位置に対して整列して配置されていることになるので、LEDモジュール11やケース15を筐体12の所定位置に容易に取り付けることができるようになり、自動組立性を向上させることができる。
【0018】
また、外観に影響する外側部分に切欠部20を設けているが、切欠部20を設ける場所は筐体12の下部であるので目立ち難い部位であるので、見栄えに影響を与えることはほとんどなく、放熱性にもほとんど影響がない。さらに、自動化における位置出しが格段に容易になり、設備コスト低減やタクトアップが見込める。また性能上はまったく影響がなく、外観上はまず気がつかない。この部品を製作する上での成型上もまったく問題がない。
【0019】
図3は本発明の実施形態における筐体12の他の一例を示す説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は底面図である。この一例では、複数の放熱フィン19の配列間隔の一部を不等間隔で形成し、その不等間隔部分を位置決め部としたものである。図3(b)に示すように、放熱フィン19は筐体12に一部が不等間隔で放射状に形成されている。
【0020】
図3(b)では、16個の放熱フィン19のうち放熱フィン19a(19a’)と放熱フィン19b(19b’)との間が25°、放熱フィン19b(19b’)と放熱フィン19c(19c’)との間が20°の間隔で配列され、残りの放熱フィン19の間は22.5°の間隔で配列された場合を示している。従って、放熱フィン19の配列の位置を確認することで、筐体12の基準位置を容易に把握できる。
【0021】
例えば、自動組立を行う際に、筐体12を搭載する保持器具に不等間隔で配置された放熱フィン19と掛合する掛合部を設けておき、不等間隔で配置された放熱フィン19が保持器具の掛合部に掛合したときに筐体12が保持器具に搭載可能となるようにしておく。なお、外観に影響する外側部分への形状変更に関しては、一部の放熱フィン19の不等間隔を大きくし過ぎると人の目を欺けなくなり、外観上問題となるため、放熱フィン19の放射方向の角度ピッチの10%前後以下とすることが望ましい。
【0022】
これにより、筐体12が保持器具に搭載されたときは、筐体12は基準位置に対して整列して配置されていることになるので、LEDモジュール11やケース15を筐体12の所定位置に容易に取り付けることができるようになる。また、人間の目のあいまいさを使用し、一部の放熱フィン19が不等間隔になっていても容易に気がつかない不等間隔とするだけであるので放熱性にも影響がない。この場合は、図2に示した一例のように切欠部20を設ける必要がない。
【0023】
次に、本発明の実施形態におけるカバー14の筐体12への取り付けについて説明する。図4は本発明の実施形態におけるカバー14の筐体12への取り付けの説明図であり、図4(a)はカバー14と筐体12との斜視図、図4(b)は図4(a)のX部分の拡大図である。
【0024】
図4(a)に示すように、カバー14の筐体12との接合部には爪部21が設けられ、筐体12にはこの爪部21と掛合する掛合部22が設けられている。図4では4個の爪部21がカバー14に設けられ、4個の掛合部22が筐体12に設けられた場合を示している。
【0025】
カバー14の爪部21は、図4(b)に示すようにテーパ状に形成されている。すなわち、カバー14を筐体12に装着する際のカバー14の回転方向に対して、爪部21の前進する面の形状が筐体12側に設けられた掛合部22に入り込む入口面よりも小さく、かつ後退する面の形状が筐体12に設けられた掛合部22に入り込む入口面よりも大きく形成されている。
【0026】
これにより、カバー14と筐体12とを接合した後に、カバー14を回転することでテーパ状となった爪部21と筐体12内面に設けられた掛合部22とが噛み合い、軸方向と回転方向の規制が実現できる。また、取り付けの際には大きな力を必要とせず簡単に取り付けを行うことができる。
【0027】
次に、図5は本発明の実施形態に係る照明装置の説明図である。照明器具本体23は、天井24に埋め込み式で取り付けられる。照明器具本体23には、図1乃至図4に示したLED電球25を装着するためのソケット26が設けられている。ソケット26にLED電球25をねじ込むことによりLED電球25は装着され、LED電球25からの光は反射板27で反射されて床面に向けて出射される。
【0028】
以上の説明では、発光モジュールであるLEDモジュール11は、基板に複数個のLEDが実装された場合について説明したが、LED素子単体であっても良い。また、LEDに代えて有機ELであっても良い。
【0029】
点灯回路は、樹脂製のケース15内に収容され、筐体の中間空間に配設された場合について説明したが、例えば口金16内にシリコーン樹脂などにより包囲され収容されていても構わない。
【0030】
また、本発明の実施形態において、カバーは筐体の一方側に取り付けられているが、発光部が照射する照射方向であり、その光を透過可能であれば、形状や構造、材質などは限定されない。
【0031】
位置決め部は、本発明の実施形態において、筐体12に形成した切欠部20、放熱フィン19の配列間隔の一部を不等間隔で形成した異ピッチとしたが、これらに限定されるものではない。例えば、放熱フィン19のフィン肉厚を異なるものにしたり、放熱フィン19の奥行き距離を変えるなどが考えられる。このように、製品組み立て工程の最初から最後まで使用可能とある部位であることが望ましいが、最終製品時には外観から見えない部位であっても構わない。
【符号の説明】
【0032】
11…LEDモジュール、12…筐体、13…上面部、14…カバー、15…ケース、16…口金、17…中空部、18…点灯回路、19…放熱フィン、20…切欠部、21…爪部、22…掛止部、23…照明器具本体、24…天井、25…LED電球、26…ソケット、27…反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する発光モジュールと;
一方側に前記発光モジュール、他方側に口金が設けられた筐体と;
前記筐体の外面に形成され前記筐体の基準位置を示す位置決め部と、
前記発光モジュールを覆って前記発光部からの放射光を外部に出射するカバーと;
前記発光部を点灯する点灯回路と;
を備えたことを特徴とする電球形ランプ。
【請求項2】
前記位置決め部として、前記筐体の下部に切欠部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電球形ランプ。
【請求項3】
前記位置決め部として、前記筐体に形成された複数の放熱フィンの配列間隔の一部を不等間隔で形成したことを特徴とする請求項1記載の電球形ランプ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一記載の電球形ランプと;
前記電球形ランプが装着されるソケットを有した照明器具本体と;
を備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258370(P2011−258370A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130889(P2010−130889)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】