説明

電界放出面光源装置及びその陰極

【課題】 本発明は、面光源を直接に提供できる電界放出面光源装置、及びその陰極を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は電界放出面光源装置を提供し、それは複数の放出体を有した陰極を含み、該陰極は複数の導電支持柱を含み、該放出体は該導電支持柱に分布される。該光源装置は、他の光学素子で光学処理をする必要はなく、面光源が直接に提供でき、メッセージディスプレイ分野に使用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出面光源装置に関し、特に、電界放出陰極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
面光源は多い分野に広く使用されていて、特にメッセージディスプレイ分野に使用されている。液晶ディスプレイを含む多数の受動ディスプレイ技術は全部で均一に発光される面光源を主に素子とする必要がある。従来技術は光学方法により均一に発光される平面を得ることが多く、例えば、液晶の背光板は光学系により線光源を面光源に集光して成るものである。
【0003】
図1に、特許文献1に開示された液晶ディスプレイに用いられた背光源10を示す。背光源10は発光ダイオード12、導光板14、及びマイクロレンズ16を含む。導光板14は発光ダイオード12に対した入射面(図に示さず)を含み、マイクロレンズ16は発光ダイオード12と導光板14の該入射面との間に位置され、発光ダイオード12と導光板14とは別々にマイクロレンズ16の両側の作動範囲内に位置され、従って、ダイオード12からの拡散光がマイクロレンズ16を経って成る均一な平行光は該入射面から導光板14を入射し、導光板14の作用により均一な面光源に形成させる。
【0004】
また、導光板などの素子を使用する背光源の関連技術は特許文献2、及び特許文献3に開示されている。
【0005】
しかし、前記のような方法による面光源素子は面光源を直接に得ることができず、次の光学処理をする必要がある。また、精密加工の光学素子を付ける。例えば、マイクロレンズ、導光板など、生産コストを増加するものである。
【0006】
近年、電界放出効果に基づいた光源装置を製造することがある。主な動作原理は以下のような内容である。陰極の電位が陽極或は格子より低い際、陰極の表面から陽極或は格子への電場があり、該電場の強さが適当となれば、陰極は電子を放出し始めて、該電子は電場の作用により陽極に向かい、その上に付けた発光粉を衝撃して発光する。従来技術、特にランプ管と比べて、このような電場光源ではただ陰極と陽極との間だけを真空にさせるだけであり、種々の気体、例えば水銀など有害の気体を導入する必要はなく、従って、環境に汚染しない。
【0007】
特許文献4には電界放出陰極を用いた光源素子を開示されていて、該電界放出陰極は基板と該基板から伸びられた複数の放出体を含む。しかし、該光源装置は管状装置であり、線光源だけを提供し、面光源を直接には提供できない。
【0008】
従って、面光源を直接に提供できる電界放出面光源装置、及びその陰極を提供する必要がある。
【特許文献1】中国特許出願公開第02152111.5号
【特許文献2】中国特許出願公開第02107375.9号
【特許文献3】中国特許出願公開第02128659.0号
【特許文献4】米国特許公告第6,008,575号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の面光源を直接に提供できないという問題点を解決するように、本発明は、面光源を直接に提供できる電界放出面光源装置、及びその陰極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的の一方に対して、本発明は電界放出面光源装置を提供し、それは複数の放出体を有した陰極を含み、該陰極は複数の導電支持柱を含み、該放出体は該導電支持柱に分布される。
【0011】
前記装置は前記陰極に対した陽極を含んでもよい。
【0012】
また、前記装置は二つの陽極を含んでもよく、該陰極は該二つの陽極の間に位置される。
【0013】
前記放出体は導電支持柱の前記陽極に対した表面に形成される。該放出体は端部を有し、該端部は該導電支持柱に対してその表面の法線に沿って且つ離れた方向へ向くほうがいい。該複数の導電支持柱は、円柱状、或は柱状が選ばれ、同一な平面に互いに並行的に分布する。少なくとも一つの導電支持柱の少なくとも一つの端部に引張り装置を設置する。該陰極と陽極の間に格子を設置する。
【0014】
本発明の目的のもう一方に対して、本発明は電界放出陰極を提供し、それは基板と、該基板に形成された複数の放出体を含み、該基板は複数の互いに並行的な導電支持柱を含む。該導電支持柱に該放出体を分布される。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べて、本発明は放出体を分布された導電支持柱を並行させて陰極放出体のマトリックスに形成し、該放出体の電場による電子は陽極の発光層を衝撃して発光し、他の光学素子で光学処理をする必要なく、面光源を直接に提供することができる。
【0016】
また、放出体は導電支持柱の表面の法線に沿って分布する際、放出体間の遮蔽効果は大幅に低下し、従って、電界放出陰極の電子放出率を増大し、光電変換効果を向上し、光源装置の性能を改善することができる。また、本発明は導電支持柱の一端或は両端にばねなどの引張り装置を使用して固定するように、電子放出の均一性を確保すると共に、より安定になり、従って、光源装置の使用寿命を増加するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図を参照して本発明の詳しい内容を説明する。
【0018】
図2乃至図4を参照されたい、本発明の第一実施例は単面の電界放出面光源装置8である。それは基板80、陰極81及び陽極82を含み、ほぼ基板80、陰極81及び陽極82は互いに並行し、全体をガラスでパッケージし、且つ真空状態に形成させる。
【0019】
装置8は、基板80と陽極82の間の距離を維持するための複数のガラス柱84を備える。基板80の両側に陰極81を固定するための陰極固定板89を設置する。
【0020】
陰極81は複数の導電支持柱812及び放出体(図に示さず)を含む。該放出体は、導電支持柱812が陽極82に対面する表面に均一に分布され、電子を放出する端部が導電支持柱812から離れ、且つ、該放出体間の遮蔽効果を低下させるために、導電支持柱812の表面の法線に沿って分布するほうがよい。複数の導電支持柱812は円柱形で、一定の距離で陰極放出体のマトリックスに均一に並行して配置される。導電支持柱812は形状、及び寸法が同じで、且つその中心軸がほぼ同じ平面に位置するほうがよく、この場合、電子放出面に形成する。陰極ライン85は陰極81の一つの端部に位置され、複数の導電支持柱812の一つの端部と接着する。
【0021】
陽極82は表面に透明導電膜(図に示さず)、及び発光層83が形成されたガラス板である。発光層83は赤、緑及び黄色の発光粉を有し、該発光粉が陰極81の複数の導電支持柱812に対して平行する条形に成して分布する。また、発光層83は、陽極が陰極に対面した表面の一部を覆う白色の発光粉を含んでもよい。陽極82の一つの端部に透明導電膜と接着された陽極ライン86を設置される。装置8の輝度は陽極82の電圧、電流密度、及び発光粉の発光率などで決まるから、異なった使用状況に従って適当に選択すべきであることに留意されたい。
【0022】
装置8の一つの側壁に排気孔(図に示めず)を設置し、且つ排気管87を接着する。排気管87の内壁に装置8の真空度を確保するためのゲッタ88が設置される。
【0023】
本実施例において、導電支持柱812は糸状構造である。前記放出体は電気泳動法或は化学気相堆積法で導電支持柱812の表面に形成する。該放出体が形成された導電支持柱812を陰極固定板89に均一に並行し固定して、陰極81を形成する。もちろん、円柱形の導電支持柱812を陰極固定板89に均一に並行し固定する後、前記方法で導電支持柱812に該放出体を形成してもよい。
【0024】
同じに、前記放出体は微小であり、金属先、非金属先、化合物先及び一次元のナノ材料を含み、例えば、モリブデン先、シリコン先、酸化亜鉛先などで、一次元のナノ材料は各種のナノオーダーの管状構造、棒状構造及び線状構造を含み、例えば、炭素ナノチューブ、シリコン線、モリブデン線などである。
【0025】
また、使用状況によっては、陰極81と陽極82の間に陰極81の電子放出率を向上するための格子を設置することがある。
【0026】
図5乃至図7を参照されたい、本発明の第二実施例は両面の電界放出面光源装置9である。それは第一実施例と異なる点は以下のように、装置9は二つの陽極90及び92を含み、陰極91は陽極90及び92の間に位置され、陰極91を構成する複数の導電支持柱912はそれぞれ陽極90及び92へ向こう二つの表面に放出体(図に示めず)を形成する。
【0027】
また、本実施例において、導電支持柱912の一つの端部はばね94により陰極固定板(図に示めず)に固定し、導電支持柱912を引張って曲げ易くないように、従って、複数の導電支持柱912を同じ平面に安定に固定する。引張り効果を増加するように、導電支持柱912の両端部にばね94を設置するほうがよい。
【0028】
前記導電支持柱として他の柱形構造を選ぶことができ、例えば、正方形柱体、正五角形柱体或は不規則の多辺柱体である。ばねを他の素子或は装置に換えて該導電支持柱を引張ってもいい。また、導電支持柱の数量、固定方式、及び陰極ラインの分布状況は具体的な状況に応じて変えるものである。
【0029】
本発明は放出体を分布された導電支持柱を並行させて陰極放出体のマトリックスに形成し、該放出体の電場による電子は陽極の発光層を衝撃して発光し、他の光学素子で光学処理をする必要なく、面光源を直接に提供することができる。
【0030】
また、放出体は導電支持柱の表面の法線に沿って分布する際、放出体間の遮蔽効果は大幅に低下し、従って、電界放出陰極の電子放出率は増大し、光電変換効果も向上し、光源装置の性能を改善することができる。また、本発明は導電支持柱の一端或は両端にばねなどの引張り装置を使用して固定することにより、電子放出の均一性を確保すると共に、より安定になり、従って、光源装置の使用寿命を増加するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来技術の液晶ディスプレイに用いられた面光源装置の模式図である。
【図2】本発明の単面の電界放出面光源装置の立体模式図である。
【図3】図2のIII―III線に沿う断面模式図である。
【図4】図2のIV―IV線に沿う断面模式図である。
【図5】本発明の両面の電界放出面光源装置の立体模式図である。
【図6】図5のVI―VI線に沿う断面模式図である。
【図7】図5のVII―VII線に沿う断面模式図である。
【符号の説明】
【0032】
8 単面の電界放出面光源装置
80 基板
81、91 陰極
812、912 導電支持柱
82、90、92 陽極
83 発光層
84 ガラス柱
85 陰極ライン
86 陽極ライン
87 排気管
88 ゲッタ
89 陰極固定板
9 両面の電界放出面光源装置
94 ばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放出体を有した陰極を含み、該陰極は複数の導電支持柱を含み、該放出体が該複数の導電支持柱に分布されていることを特徴とする電界放出面光源装置。
【請求項2】
前記陰極に対面する陽極を含むことを特徴とする請求項1に記載の電界放出面光源装置。
【請求項3】
前記陰極に対面する二つの陽極を含み、該陰極は該二つの陽極の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の電界放出面光源装置。
【請求項4】
前記陰極と陽極の間に格子が設置されていることを特徴とする請求項2或は3のいずれかに記載の電界放出面光源装置。
【請求項5】
前記複数の導電支持柱は同じ平面に並行して設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界放出面光源装置。
【請求項6】
前記放出体材料として、金属、非金属、化合物或は一次元のナノ材料を選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界放出面光源装置。
【請求項7】
前記放出体は、前記導電支持柱に対してその表面の法線に沿って且つ離れた方向へ向こう端部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界放出面光源装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの導電支持柱の少なくとも一つの端部に引張り装置を設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界放出面光源装置。
【請求項9】
前記導電支持柱として、円柱形、或は柱状を選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界放出面光源装置。
【請求項10】
基板と、該基板に形成された複数の放出体を含み、該基板は複数の互いに並行的な導電支持柱を含み、該導電支持柱に該放出体を分布されることを特徴とする電界放出陰極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−40866(P2006−40866A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24317(P2005−24317)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】