説明

電磁エンジン

【課題】電気機械的にエンジンからパワーを引き出すことにより、エンジンがより長いパワーストロークを用いることを可能する。
【解決手段】エンジンは、シリンダー12と、シリンダーの中にスライド可能に配置されたピストン10と、ピストンの機械的エネルギーを、電気的エネルギーから変換する、また、電気的エネルギーへと変換するために、ピストンとともに動作可能な変換器とを備えている。ピストンのパワーストロークは吸気ストロークより長く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[概要]
1つの側面では、内燃エンジンは、閉じた端部を有する第1シリンダーに、スライド可能に配置される第1ピストンと、上記第1シリンダーに対して反応物を導入するように構成される第1ポートと、ピストンサイクル内で第1ピストンの機械的エネルギーを、電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーへと変換するために、上記第1ピストンとともに操作可能な第1変換器とを有する。第1変換器は、パワーストロークの間に第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーへと変換するように構成されてもよいし、排出ストローク、吸気ストローク、および圧縮ストロークのいずれか、または全部の間に上記第1ピストンを駆動するように構成されてもよい。第1ピストンは、磁石(例えば、永久磁石または電磁石)を有してもよく、第1変換器は、磁石の動きに応じて電流を生成するように、または、コイルを介して電流を駆動することによって磁石を動かすように構成されてもよい。第1変換器は、複数のコイルを有してもよく、この場合、上記複数のうちの第1サブセットは、電気的エネルギーを、第1ピストンの機械的エネルギーに変換するように動作可能であってもよく、第2サブセットは、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように動作可能であってもよい。上記エンジンは、エンジンの全てまたは一部(例えば、冷却システムまたは絶縁材)における熱偏倚を制限するように作用する熱コントローラをさらに有してもよい。第1ピストンは、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路を介して、磁界と相互作用するように構成された電機子を有し得る。
【0002】
上記エンジンは、第1ピストンと第1シリンダーにおける閉じた端部との間に配置された反応物の、化学反応を開始するように構成される反応トリガ(例えば、スパークプラグ、熱点火器、化学点火器、触媒、自動点火性インジェクター、粒子ビーム点火器、またはプラズマ点火器等の電気点火器)をさらに有する。反応トリガは、第1シリンダーにおける閉じた端部において、第1ピストンに配置され得るか、またはその他の場所に配置され得る。反応トリガは、第1変換器から電力を引いてきてもよく、第1変換器に電気的に連結されてもよく、または、第1変換器に連結されたエネルギーマネージメントシステムから電力を引いてきてもよい。第1ポートは、カムシャフトを介して開閉するように構成され得、次にステッパモータ等の電磁アクチュエータによって回転されるように構成され得るバルブを有してもよく、または、上記バルブは機械的に作動させられてもよい。上記エンジンは、第1シリンダーから反応生成物が逃れる(例えば、第1シリンダーにおいて、または、第1ピストンにおいて)ことを可能にするように構成される第2ポートを有してもよく、この場合、第1ポートは吸気バルブを有し、第2ポートは排出バルブを有してもよい。吸気および排出バルブは、ピストンサイクル(例えば、第1ピストンへの、機械的または電気的な結合による)の間の選択された時間において、開閉するように構成される。吸気および排出バルブは、第1変換器を介して、第1ピストンに電気的に連結される。変換器またはエネルギーマネージメントシステムは、上記吸気バルブおよび上記排出バルブに電力を供給するように構成され得る。第1ポートは、反応生成物が第1シリンダー(例えば、第1シリンダーにおいて、または、第1ピストンにおいて)から逃れることを可能にするように構成され得、この場合、上記エンジンは、第1ポートを、吸気通路との接続から排出通路との接続へと切り替えるように構成されるバルブを有し得る。
【0003】
上記エンジンは、反応混合物を第1ポートへと届けるように構成されるキャブレターをさらに有する。上記エンジンは、反応物を、第1ポートを介して第1シリンダーへと届けるように構成されるインジェクター(例えば、燃料インジェクターまたは液体反応物インジェクター)を有し得る。第1ポートは、燃料、酸化剤、それらの混合物、または反応混合物を、第1シリンダーへと導入するように構成され得、または、第1および第2反応物(例えば、燃料および酸化剤)は、第1および第2ポートのそれぞれを介して導入されてもよい。第1ピストンは、クランクシャフトに接続されてもよい。上記エンジンは、第2シリンダーにスライド可能に配置される第2ピストンをさらに有してもよく、この場合、第1および第2ピストンは、非同期または同期の往復運動のために構成され得、または、共通または別個のクランクシャフトに連結され得る。上記エンジンは、化学反応が第1ピストンのみを駆動する第1モードと、化学反応が第1ピストンおよび第2ピストンを駆動する第2モードとで動作するように構成され得、この場合、上記エンジンは、実際の、または予想される動作状態に応じて、第1モードと第2モードとの間を選択し得る。上記エンジンはまた、動作状態に応じて、ピストンストロークの速度プロフィール、ピストンストロークの長さ、圧縮比のいずれかを決定するように構成され得る。これらの場合のいずれにおいても、動作状態は、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定を含み得る。上記エンジンは、第1変換器に電気的に連結されるエネルギーマネージメントシステムをさらに有し、上記システムはバッテリー、蓄電器、誘導子、または機械的エネルギー蓄積装置等の、エネルギー蓄積装置を有し得る。上記第1シリンダーは、非円形の断面を有し得、この場合、第1ピストンは、適合する非円形断面を有し得る。第1シリンダーは(ピストンが非直線通路を進むように)曲げられてもよい。上記第1ピストンは、第1シリンダーの中で回転するように(例えば、第1ピストンおよび第1シリンダーの形状によって、ガス圧によって、または磁力によって)構成されてもよい。第1ピストンは、ピストンの進行を回転する動きに変換する機構(例えば、ヘリカルギア)に連結されてもよい。上記機構は、磁石を有してもよく、第1変換器は、磁石の回転を電気的エネルギーに変換するために上記磁石とともに動作する電機子を有してもよい。上記機構は、回転の動きを電気的エネルギーに変換するために、可変磁気抵抗または可変インダクタンスと相互作用する電機子を有し得る。上記機構は、固定位置速度に応じて可変速度にて回転するように構成され得る。上記第1ピストンは、電気的エネルギーを生成するために用いられる力に応答するように構成される活物質素子(例えば、圧電性、磁気ひずみ、電気ひずみ、または形状記憶物質)と動作可能に連結されてもよい。
【0004】
他の側面では、(第1シリンダーの中にスライド可能に配置される第1ピストンと、上記第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーへと変換するために、第1ピストンと動作可能な第1変換器とを有する)内燃エンジンは、反応物を第1シリンダーにおける閉じた端部に導入する工程と、第1シリンダーの中の第1ピストンを上記閉じた端部に向けてスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程(必要に応じて、導入された反応物を圧縮する工程)と、導入された反応物の化学反応を引き起こす工程と、を含み、これによって、化学ポテンシャルエネルギーを第1ピストンの機械的エネルギーに変化させ、第1ピストンの機械的エネルギーを、第1変換器を介して電気的エネルギーに変換する。反応物を第1シリンダーにおける閉じた端部に導入することは、第1シリンダーの中の第1ピストンを、上記閉じた端部から離れるようにスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程を含む。上記方法は、化学反応を引き起こした後で、第1ピストンを上記閉じた端部に向けてスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程を含む。上記第1ピストンは、反応物を第1シリンダーにおける閉じた端部に導入する間よりも、化学反応を引き起こしたすぐ後の方が、より長い距離を移動し得る。例えば、上記第1ピストンは、化学反応を引き起こしたすぐ後には、シリンダーの内径の2または4倍の距離を移動する。導入された反応物を圧縮する工程は、略断熱的に、または等温的に反応物を圧縮する工程を含み得る。
【0005】
上記内燃エンジンは、第2シリンダーの中にスライド可能に配置される第2ピストンをさらに有してもよく、この場合、上記方法は、第1シリンダーにおいて化学反応が引き起こされるのと略同時に、第2シリンダーにおいて化学反応を引き起こす工程をさらに含んでもよい。上記方法は、第1シリンダーからの略類似の動作頻度または異なる動作頻度にて、第2シリンダーにおいて化学反応を引き起こす工程を含んでもよい。上記方法はまた、少なくとも部分的に、実際の、または予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第2シリンダーにおいて化学反応を引き起こすかどうかを決定する。上記方法は、少なくとも部分的に、実際の、または予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第1シリンダーについての動作頻度または圧縮比を決定することを含んでもよい。第1シリンダーにおける閉じた端部に反応物を導入する工程は、第1ピストンが選択された位置にあるときに反応物を導入する工程を含んでもよいし、または、吸気バルブを開く工程(例えば、カムシャフトを回転することによって、または開くことを電気的に誘発することによって)を含んでもよい。
【0006】
化学反応を引き起こすことは、例えば、スパーク等のエネルギー放出を発生させることによって、熱点火によって、化学点火によって、触媒に晒すことによって、自動点火性の噴射によって、粒子ビームに晒すことによって、またはプラズマ噴射によって、第1シリンダーが選択された位置にあるときに化学反応を引き起こす工程を含んでもよく、化学反応の間(例えば、変換器を介して第1ピストンに対して力を加えることによって)第1ピストンを略静止状態に維持する工程を含んでもよく、この場合、第1ピストンは、化学反応が略完了したときに解放されてもよい。化学反応は、反応生成物を生み出し得、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することは、略断熱的に反応生成物を拡張する工程を含み得る。導入された反応物は、燃料(例えば、炭化水素燃料)または酸化剤(例えば酸素、空気)を含んでもよく、これらは別々に導入されてもよく、または混合されてもよく、または、分解しつつある反応物を含んでもよい。上記方法は、反応生成物を第1シリンダーから排出する工程をさらに含んでもよい。
【0007】
第1変換器は、エネルギーマネージメントシステムに接続されてもよく、この場合、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することは、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムに伝達することを含んでもよく、または、電気的エネルギーを第1変換器に印加することは、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムから引き込むことを含んでもよい。エネルギーマネージメントシステムは、エネルギー蓄積装置(例えば、バッテリー、蓄電器、誘電子、または機械的エネルギー蓄積装置)を含んでもよい。
【0008】
さらなる側面では、内燃エンジンは、第1および第2の閉じた端部を有する第1シリンダーと、第1シリンダーの中にスライド可能に配置される第1ピストンと、第1および第2の閉じた端部に近接して配置される第1および第2ポートと、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーへと変換するために、第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを有している。第1変換器は、パワーストロークの間、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成され得、排出ストローク、吸気ストローク、および圧縮ストロークのいずれか、または全ての間、第1ピストンを駆動するように構成され得る。第1変換器は、第1ピストンが第1シリンダーにおける第1および第2の閉じた端部から離れる、第1および第2吸気ストロークの間、第1ピストンを駆動するように構成され得、第1量の反応物および第2量の反応物が第1および第2の閉じた端部にそれぞれ導入され、第1および第2圧縮ストロークの間、第1および第2反応物は、第1および第2の閉じた端部にてそれぞれ圧縮され、第1ピストンが第1および第2の閉じた端部からそれぞれ離れる、第1および第2パワー/排出ストロークの間、第1および第2の閉じた端部における化学反応に応じて、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するようにさらに構成され、これによって、第2および第1の閉じた端部における反応生成物を少なくとも部分的に排出する。または、第1変換器は、第1ピストンが第1および第2の閉じた端部から離れる、第1および第2吸気/圧縮ストロークの間、第1ピストンを駆動するように構成されてもよく、第1および第2反応物は第1および第2の閉じた端部にそれぞれ導入され、第2および第1反応物は第2および第1の閉じた端部にてそれぞれ圧縮され、第1および第2排出ストロークの間、第1ピストンは、第1および第2の閉じた端部に向かって移動し、第1ピストンが第1および第2の閉じた端部から離れる第1および第2パワーストロークの間、第1および第2の閉じた端部における化学反応に応じて、ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するようさらに構成され得る。
【0009】
第1ピストンは、磁石(例えば永久磁石または電磁石)を有してもよく、第1変換器は、上記磁石の動きに応じて電流を生成する、または、コイルを介して電流を駆動することによって上記磁石を移動させるように構成される電機子を有してもよい。第1変換器は、複数のコイルを有してもよく、この場合、上記複数のうちの第1サブセットは、電気的エネルギーを第1ピストンの機械的エネルギーに変換するよう動作可能であってもよく、第2サブセットは、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するよう動作可能であってもよい。上記エンジンは、エンジンにおける全て、または一部分(例えば、冷却システムまたは絶縁材)の熱偏倚を限定するように作用する熱コントローラをさらに有してもよい。第1ピストンは、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路を介して、磁界と相互作用するように構成される電機子を有してもよい。
【0010】
上記エンジンは、第1シリンダーにおける第1および第2の閉じた端部の間に配置された反応物の、化学反応を開始するように構成される反応トリガ(例えば、スパークプラグ、熱点火器、化学点火器、触媒、自動点火性インジェクター、粒子ビーム点火器、またはプラズマインジェクター)をさらに有してもよい。反応トリガは、第1シリンダーにおける第1の閉じた端部において、第1ピストンに配置され得るか、または他の場所に配置され得る。反応トリガは、第1変換器から電力を引き込んでもよく、第1変換器に電気的に連結されてもよく、または、第1変換器に連結されたエネルギーマネージメントシステムから電力を引き込んでもよい。第1ポートは、バルブを有してもよく、カムシャフトを介して開閉されるように構成されてもよく、次にステッパモータ等の電磁アクチュエータによって回転されるように構成されてもよく、または上記バルブは、機械的に作動されてもよい。上記エンジンは、第1シリンダーにおける閉じた端部に近接する第3ポートを有し得、反応生成物が第1シリンダーから逃れることを可能にする(例えば、第1シリンダーにおいて、または、第1ピストンにおいて)ように構成され、この場合、第1ポートは、吸気バルブを有してもよく、第3ポートは排出バルブを有してもよい。吸気および排出バルブはそれぞれ、ピストンサイクルの間(例えば、第1ピストンへの、機械的または電気的な結合によって)選択される時間において開閉するように構成される。吸気および排出バルブは、第1変換器を介して第1ピストンに電気的に連結されてもよい。変換器またはエネルギーマネージメントシステムは、電力を吸気バルブと排出バルブとに供給するように構成され得る。第1ポートは、反応生成物が第1シリンダー(例えば、第1シリンダーにおいて、または、第1ピストンにおいて)から逃れることを可能にするように構成され得、この場合、上記エンジンは、吸気通路との接続から排出通路との接続へと切り替えるように構成されるバルブを有してもよい。
【0011】
上記エンジンは、反応混合物を第1ポートへと届けるように構成されるキャブレターをさらに有してもよい。エンジンは、反応物を、第1ポートを介して第1シリンダーまで届けるように構成されるインジェクター(例えば、燃料インジェクターまたは液体反応物インジェクター)を有し得る。第1ポートは、燃料、酸化剤、それらの混合物、または反応混合物を、第1シリンダーへと導入するように構成され得、または、第1および第2反応物(例えば、燃料または酸化剤)は、第1および第3ポートをそれぞれ介して導入されてもよい。第1ピストンは、クランクシャフトに接続されてもよい。上記エンジンは、第2シリンダーの中にスライド可能に配置される第2ピストンをさらに有してもよく、この場合、第1および第2ピストンは、非同期または同期の往復運動のために構成され得る。第2シリンダーは、第2シリンダーにおける第1および第2の閉じた端部にそれぞれ近接する、第3および第4燃料吸気ポートを有してもよい。上記エンジンは、化学反応が第1ピストンのみを駆動する第1モードと、化学反応が第1ピストンおよび第2ピストンを駆動する第2モードと、にて動作するように構成されてもよく、この場合、上記エンジンは、実際の、または予測される動作状態に応じて、第1および第2モードの間で選択を行ってもよい。上記エンジンはまた、動作状態に応じて、ピストンストロークの速度プロフィール、ピストンストロークの長さ、圧縮比のいずれかを決定するように構成され得る。これらの場合のいずれにおいても、動作状態は、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定を含み得る。
【0012】
上記エンジンは、第1変換器に電気的に連結されるエネルギーマネージメントシステムをさらに有し得、それはバッテリー、蓄電器、誘導子、または機械的エネルギー蓄積装置等の、エネルギー蓄積装置を含み得る。第1シリンダーは、非円形断面を有してもよく、この場合、第1ピストンは、適合する非円形断面を有してもよい。第1シリンダーは(ピストンが非直線通路を移動するように)曲げられてもよい。第1ピストンは、第1シリンダーにおいて(例えば、第1ピストンおよび第1シリンダーの形状によって、ガス圧によって、または磁力によって)回転するように構成されてもよい。第1ピストンは、ピストンの移動を回転の動きに変換する機構(例えば、ヘリカルギア)に連結されてもよい。上記機構は磁石を有してもよく、第1変換器は、磁石の回転を電気的エネルギーに変換するために、上記磁石とともに動作する電機子を有してもよい。上記機構は、回転の動きを電気的エネルギーに変換するために、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路と相互作用する電機子を有してもよい。上記機構は、固定されたピストン速度に応じて、可変速度にて回転するように構成され得る。第1ピストンは、電気的エネルギーを生成するために、加えられた力に応答するように構成される活物質要素(例えば、圧電、磁気ひずみ、電気ひずみ、または形状記憶物質)に動作可能に連結され得る。
【0013】
追加の側面では、(第1および第2の閉じた端部を有する第1シリンダーの中に、スライド可能に配置される第1ピストンと、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーに変換するために、第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを備える)内燃エンジンを操作する方法は、第1量の反応物を第1シリンダーにおける第1の閉じた端部へと導入する工程と、第1シリンダーにおける第1ピストンを第1の閉じた端部へとスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程(必要に応じて、導入された第1量の反応物を圧縮する工程)と、導入された第1量の反応物を反応させ、第1ピストンの動きを第2の閉じた端部に向かって誘発する工程と、第2量の反応物を第1シリンダーにおける第2の閉じた端部へと導入する工程と、第1シリンダーにおける第1ピストンを、第2の閉じた端部に向けてスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程(必要に応じて、導入された第2量の反応物を圧縮する工程)と、導入された第2量の反応物を反応させ、第1の閉じた端部への第1ピストンの動きを誘発する工程と、第1ピストンが第1の閉じた端部に向かって移動するときに第1変換器を介して、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する工程とを含む。第2の閉じた端部への第1ピストンの動きを誘発する工程は、反応生成物を第2の閉じた端部から排出する工程を含んでもよく、または、第1の閉じた端部への第1ピストンの動きを誘発する工程は、第1の閉じた端部から反応生成物を排出する工程を含んでもよい。上記方法は、第1に導入された量の反応物を圧縮する前に、第1ピストンを第2の閉じた端部に向けて移動するために、変換器に電気的エネルギーを加える工程をさらに含んでもよく、または、第1ピストンが第2の閉じた端部に向かって移動するときに第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する後、また、導入された第2量の反応物を圧縮する前に、第1ピストンを第1の閉じた端部に向かって移動させるために、変換器に電気的エネルギーを加える工程をさらに含んでもよい。第1ピストンは、反応物を圧縮する間より、反応物を反応させることによって第1ピストンの動きを誘発する間、より長い距離を移動し得る。第1量または第2量の反応物の圧縮は、略断熱性または略等温性である。
【0014】
内燃エンジンは、第2シリンダーにスライド可能に配置される第2ピストンをさらに有してもよく、この場合、上記方法は、第1シリンダーにおいて第1量の反応物を反応させるのと略同時に第2シリンダーにおいて第3量の反応物を反応させる工程をさらに含んでもよい。上記方法は、第1シリンダーと略同様の、または、異なる動作頻度において、第2シリンダーを駆動する工程を含んでもよい。上記方法は、少なくとも部分的に、実際の、または、予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第2シリンダーにおいて第3量の反応物を反応させるかどうかを決定することを含んでもよい。上記方法は、少なくとも部分的に実際の、または、予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第1シリンダーについての動作頻度または圧縮比を決定することを含んでもよい。第1量の反応物を第1シリンダーへと導入する工程は、第1ピストンが選択された位置にあるときに、上記反応物を導入する工程を含んでもよく、または、吸気バルブを開く工程(例えば、カムシャフトを回転することによって、または、開放を電気的に誘発することによって)を含んでもよい。
【0015】
第1量の反応物を反応させることは、第1シリンダーが選択された位置にあるときに、例えば、スパーク等の放電を行うことによって、熱点火を行うことによって、化学的点火を行うことによって、触媒に晒すことによって、自動点火性の噴射によって、粒子ビームへ晒すことによって第1量の反応物を反応させる工程を含んでもよく、または、化学反応の間に、(例えば、変換器を介して力を第1ピストンに加えることによって)第1ピストンを略静止した状態に維持する工程を含んでもよく、この場合、第1ピストンは、化学反応が略完了するときに解放される。第1または第2化学反応は、第1または第2反応生成物を生成してもよく、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することは、第1または第2反応生成物を略断熱的に拡大する工程を含んでもよい。導入された第1量の反応物は、個別に導入され得る、または混合され得る燃料(例えば、炭化水素燃料)または酸化剤(例えば酸素、空気)を有してもよく、または、分解反応物を有してもよい。第1および第2量の反応物は、略同じ、または異なる組成を有してもよい。上記方法は、第1シリンダーから反応生成物を排出する工程をさらに含んでもよい。
【0016】
第1変換器は、エネルギーマネージメントシステムに接続されてもよく、この場合、第1ピストンが第2の閉じた端部へと移動するときに、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することは、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムに伝達する工程を含んでもよく、第1シリンダーにおける第1ピストンを第1または第2の閉じた端部に向けてスライドさせるために、第1変換器に電気的エネルギーを加える工程は、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムから引き込む工程を含んでもよい。エネルギーマネージメントシステムは、エネルギー蓄積装置(例えば、バッテリー、蓄電器、誘導子、または機械的エネルギー蓄積装置)を有してもよい。
【0017】
さらに他の側面では、内燃エンジンは、スライド可能に配置される第1ピストンおよび第2ピストンを有する第1シリンダーと、第1および第2ピストンの間の第1シリンダーに対して反応物を導入するように構成される第1ポートと、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するために、第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを有する。第1変換器は、電気的エネルギーを第1ピストンの機械的エネルギーに変換するために第1ピストンとともに動作可能であってもよく、第1ピストンの機械的エネルギーを、ピストンサイクルの間に、電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーへと変換するために、第1ピストンとともに動作可能であってもよい。上記エンジンは、第2ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するために、例えば、ピストンサイクル内において電気的エネルギーに、また、電気的エネルギーから変換するために、第2ピストンとともに動作可能な第2変換器をさらに有してもよく、または、第1変換器は、第2ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するために、例えば、ピストンサイクル内において電気的エネルギーに、また、電気的エネルギーから変換するために、第2ピストンとともに動作可能であってもよい。第1ポートは、シリンダーから反応生成物を排出するように構成されていてもよく、また、第1ピストンによる閉鎖によって閉じられるように構成されてもよい。上記エンジンは、シリンダーから反応生成物を排出するように構成される第2ポートをさらに有してもよく、これは、第2ピストンによる閉鎖によって閉じられるように構成されていてもよい。第1および第2ポートはバルブを有していなくてもよく、または、そのうちの1つまたはどちらもがバルブを有してもよい。
【0018】
第1変換器は、パワーストロークの間に、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成されてもよく、排出ストローク、吸気ストローク、および圧縮ストロークのいずれか、または全ての間に第1ピストンを駆動するように構成されてもよく、リセットストロークの間にピストンの位置を制御するようにさらに構成されてもよい。第1ピストンは、磁石(例えば、永久磁石または電磁石)を有してもよく、第1変換器は、磁石の動きに応じて電流を生成するように、または、コイルを介して電流を駆動することによって磁石を移動させるように構成される電機子を有してもよい。第1変換器は、複数のコイルを有してもよく、この場合、上記複数のうちの第1サブセットは、電気的エネルギーを第1ピストンの機械的エネルギーに変換するために動作可能であってもよく、また、第2サブセットは、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するために動作可能であってもよい。上記エンジンは、エンジンの全ての部分または一部分(例えば、冷却システムまたは絶縁部)の熱偏倚を制限するように作用する熱コントローラをさらに有してもよい。第1ピストンは、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路を介して、磁界と相互作用するように構成された電機子を有してもよい。
【0019】
上記エンジンは、第1および第2ピストンの間に配置された反応物の、化学反応を開始するように構成される反応トリガ(例えば、スパークプラグ、熱点火器、化学点火器、触媒、自動点火性インジェクター、粒子ビーム点火器、またはプラズマ点火器等の電気点火器)をさらに有してもよい。反応トリガは、第1シリンダーの壁に、第1ピストンに、またはその他の場所に設けられてもよい。反応トリガは、第1変換器から電力を引き込んでもよく、電気的に第1変換器と連結されてもよく、または、第1変換器と連結されるエネルギーマネージメントシステムから電力を引き込んでもよい。第1ポートは、カムシャフトを介して開閉するように構成され得るバルブを有してもよく、これは次に、ステッパモータ等の電磁アクチュエータによって回転されるように構成されてもよく、または、上記バルブは機械的に作動されてもよい。
【0020】
上記エンジンは、反応混合物を第1ポートへと届けるように構成されるキャブレターをさらに有してもよい。上記エンジンは、反応物を、第1ポートを介して第1シリンダーへと届けるように構成されるインジェクター(例えば、燃料インジェクターまたは液体反応物インジェクター)を有してもよい。第1ポートは、燃料、酸化剤、その混合物、または反応混合物を第1シリンダーに導入するように構成されてもよく、または、第1および第2反応物(例えば、燃料および酸化剤)は、第1および第2ポートのそれぞれを介して導入されてもよい。第1ピストンは、クランクシャフトに接続されてもよい。第1ピストンおよび第2ピストンは、機械的に連結されなくてもよい。上記エンジンは、第2シリンダー内でスライド可能に配置される第3ピストンをさらに有してもよく、この場合、第1および第3ピストンは、非同期または同期の往復運動のために構成されてもよく、または、共通または別個のクランクシャフトに連結されてもよい。上記エンジンは、化学反応が第1および第2ピストンのみを駆動する第1モードと、化学反応が第1、第2、および第3ピストンを駆動する第2モードとにおいて動作するように構成されてもよく、この場合、上記エンジンは、実際の、または予想される動作状態に応じて、第1および第2モードの間を選択してもよい。上記エンジンはまた、動作状態に応じて、ピストンストロークの速度プロフィール、ピストンストロークの長さ、圧縮比のいずれかを決定するように構成されてもよい。これらの場合のいずれにおいても、動作状態は、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定を含んでもよい。
【0021】
上記エンジンは、第1変換器に電気的に連結されるエネルギーマネージメントシステムをさらに有してもよく、これは、バッテリー、蓄電器、または機械的エネルギー蓄積装置を有してもよい。第1シリンダーは、非円形断面を有してもよく、この場合、第1および第2ピストンはそれぞれ、適合する非円形断面を有してもよい。第1シリンダーは、(ピストンが非直線通路を移動するように)曲げられてもよい。上記第1または第2ピストンは、第1シリンダーにおいて(例えば、第1および第2ピストンならびに第1シリンダーの形状によって、ガス圧によって、または磁力によって)回転するように構成されてもよい。第1ピストンは、ピストン移動を回転運動に変換する機構(例えば、ヘリカルギア)に連結されてもよい。上記機構は、磁石を有してもよく、第1変換器は、磁石の回転を電気的エネルギーに変換するために、磁石とともに動作する電機子を有してもよい。上記機構は、回転の動きを電気的エネルギーに変換するために、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路と相互作用する電機子を有してもよい。上記機構は、固定位置速度に応じて、可変速度にて回転するように構成されてもよい。第1ピストンは、電気的エネルギーを生成するために加えられる力に応答するように構成される活物質素子(例えば、圧電、磁石ひずみ、電気ひずみ、または形状記憶物質)に動作可能に連結されてもよい。
【0022】
さらに他の側面では、(第1シリンダーにスライド可能に配置される第1および第2ピストンと、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに、また、電気的エネルギーから変換するために、第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを有する)内燃エンジンを動作する方法は、第1および第2ピストンの間の第1シリンダーへと反応物を導入する工程と、第1シリンダーにおける第1ピストンを第2ピストンに向けてスライドさせるために、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程(必要に応じて、導入された反応物を圧縮する工程)と、反応物を反応させて、化学ポテンシャルエネルギーを第1および第2ピストンの機械的エネルギーに変形する工程と、第1ピストンの機械的エネルギーを、第1変換器を介して電気的エネルギーに変換する工程とを含む。上記方法は、第2ピストンの機械的エネルギーを、第1変換器または第2変換器を介して電気的エネルギーに変換する工程をさらに含んでもよい。第2ピストンは、クランクシャフトと接続されてもよい。上記方法は、例えば第1および第2ピストンを互いに向けて相対的に移動させることによって、反応生成物を第1シリンダーから排出する工程をさらに含んでもよい。反応物を第1シリンダーに導入する工程は、第1および第2ピストンを互いに離れるように相対的に移動させる工程を含む。導入された反応物を圧縮する工程は、反応物を略断熱的に、または、略等温的に圧縮する工程を含んでもよい。
【0023】
上記エンジンは、第2シリンダーにスライド可能に配置される第3ピストンをさらに有してもよく、この場合、上記方法は、第1シリンダーと略同時に第2シリンダーにおいて化学反応を誘発させる工程、第1シリンダーの動作頻度と略同様の、または異なる動作頻度にて第2シリンダーにおける化学反応を誘発させる工程、または、決定された実際の、または予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第2シリンダーにおいて化学反応を誘発させるかどうかを決定する工程を含んでもよい。上記方法は、少なくとも部分的に、実際の、または予想される動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に基づいて、第1シリンダーについての動作頻度または圧縮比を決定することを含んでもよい。反応物を第1シリンダーに導入することは、第1ピストンが選択された場所にあるときに反応物を導入する工程を含んでもよく、または、吸気バルブを開く工程(例えば、カムシャフトを回転させることによって、または、開放を電子的に誘発する工程によって)を含んでもよい。
【0024】
化学反応を誘発させることは、第1シリンダーが選択された位置にあるときに、例えばスパーク等の放電を行うことによって、熱点火によって、化学点火によって、触媒に晒すことによって、自動点火性の噴射によって、粒子ビームに晒すことによって、またはプラズマ点火器によって化学反応を誘発させる工程を含んでもよく、化学反応の間、(例えば、変換器を介してピストンに力を加えることによって)第1および第2ピストンを略静止状態に維持する工程を含んでもよく、この場合、化学反応が略完了したときにピストンを解放してもよい。化学反応は、反応生成物を生成し得、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することは、略断熱的に反応性生物を膨張することを含んでもよい。導入された反応物は、燃料(例えば、炭化水素燃料)または酸化剤(例えば、酸素、空気)を有してもよく、これは別個にまたは混合されて導入されてもよく、または、分解しつつある反応物を含んでもよい。上記方法は、第1シリンダーから反応生成物を排出する工程をさらに含んでもよい。
【0025】
第1変換器は、エネルギーマネージメントシステムと接続されてもよく、この場合、第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する工程は、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムに伝達する工程を含んでもよく、または、電気的エネルギーを第1変換器に加える工程は、電気的エネルギーをエネルギーマネージメントシステムから引き込む工程を含んでもよい。エネルギーマネージメントシステムは、エネルギー蓄積装置(例えば、バッテリー、蓄電器、誘導子、または機械的エネルギー蓄積装置)を有してもよい。
【0026】
さらに他の側面では、電気的発電について、(共通のクランクシャフトに接続される複数のピストンを有する)内燃エンジンを改良する方法は、少なくとも1つの、また、必要に応じて各ピストンへと、ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに、また、電気的エネルギーから変換するように動作可能な電力変換器を適用する工程を含む。上記方法は、ピストンをクランクシャフトから外すことをさらに含んでもよい。上記方法は、磁石(例えば、電磁石または永久磁石)を各ピストンに適用することを含んでもよく、電力変換器は、ピストンに力を印加するために、磁石とともに動作可能な電機子を有する。上記電機子は、磁石の動きに応じて電流を生成するために、磁石とともに動作可能であってもよい。上記方法は、上記エンジンの全部または一部(例えば、冷却システムまたは絶縁部)における熱偏倚を限定するように作用する熱コントローラを適用する工程をさらに含んでもよい。電力変換器は、エネルギーマネージメントシステムに電気的に連結され、これは、バッテリー、蓄電器、誘導子、または機械的エネルギー蓄積装置等のエネルギー蓄積装置を有してもよい。上記エンジンは、電力を備えた反応トリガを有してもよく、この場合、上記方法は、エネルギーマネージメントシステムを、電力を備えた反応トリガに電気的に連結する工程を含んでもよい。
【0027】
電力変換器は、制御システムに電気的に連結されてもよく、これは、ピストンを同期的に(クランクシャフトが取り除かれるとともに、ピストンにおける略同一の相対位相関係を制御システムによって維持する構成に含める)または非同期的に駆動するように構成されてもよい。制御システムは、選択されたピストンを駆動するかどうか、ピストンストロークの速度プロフィール、または、圧縮比を、少なくとも部分的に、決定された動作状態(例えば、傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、局所規則、またはエンジン設定)に応じて決定するように構成されてもよい。電力変換器を適用する工程は、ピストン移動を回転の動きに変換する機構(例えば、ヘリカルギア)にピストンを連結する工程を含んでもよい。上記機構は、磁石を有してもよく、第1変換器は、磁石の回転を電気的エネルギーに変換するために、磁石とともに動作する電機子を有してもよい。上記機構は、回転の動きを電気的エネルギーに変換するために、可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路と相互作用する電機子を有してもよい。上記機構は、固定されたピストン速度に応じて、可変速度にて回転するように構成されてもよい。電力変換器は、吸気ストロークの間、排出ストロークの間、また圧縮ストロークの間にピストンを駆動するように構成してもよく、また、パワーストロークの間にピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成されてもよい。
【0028】
上記概要は単に例示的なものであって、決して限定的な意図を有するものではない。上記の例示的側面、実施形態、および特徴に加えて、さらなる側面、実施形態、および特徴が、図面と以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【0029】
[図面の簡単な説明]
〔図1〕クランクシャフトのないピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【0030】
〔図2〕クランクシャフトに連結されているピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【0031】
〔図3〕単極発電機に連結されているピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【0032】
〔図4〕4ストロークピストンサイクルの間の、シリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【0033】
〔図5〕電磁変換器を用いて改良された従来のエンジンの概略図である。
【0034】
〔図6〕二重端部を有する自由ピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【0035】
〔図7〕6ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【0036】
〔図8〕代替6ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【0037】
〔図9〕4ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおける非対称ピストンの位置を示す図である。
【0038】
〔図10〕4ストロークピストンサイクルの共通シリンダーにおける2つの相対するピストンの位置を示す図である。
【0039】
〔図11〕8ストロークピストンサイクルの共通シリンダーにおける2つの相対するピストンの位置を示す図である。
【0040】
[詳細な説明]
以下の詳細な説明において、本件の一部を形成する添付の図面を参照する。図面について、特に文脈上言及しなければ、同様の記号は概ね同様の構成要素を示す。詳細な説明、図面、および請求項に記載される例示的実施形態に、限定的な意図はない。他の実施形態が用いられてもよく、本明細書に記載される主題の精神または範囲から逸脱しない範囲で、他の変化が施されてもよい。
【0041】
本明細書において用いられる“バルブ”という用語は、任意の操作される、流動のコントローラ、または開口部を介して物質を選択的に通過させるために操作される機構を含み、限定するわけではないが、ボールバルブ、プラグバルブ、バタフライバルブ、チョークバルブ、チェックバルブ、ゲートバルブ、リーフバルブ、ピストンバルブ、ポペットバルブ、ロータリーバルブ、スライドバルブ、ソレノイドバルブ、ツーウェイバルブ、またはスリーウェイバルブを含む。バルブは任意の方法で操作され、上記任意の方法は、限定するわけではないが、機械的、電気的、磁気的、カムシャフト駆動、水力、または空気式手段によって操作される。“バルブタイミング”は、互いに相対して、または、エンジンの構成要素と相対して特定された時間的なパターンにおける、バルブの開閉の任意のシステムを意味する。例えば、吸気バルブは、吸気ストロークの、前または間に開くように構成されてもよく、圧縮ストロークの前に閉じるように構成されてもよい。
【0042】
本明細書において用いられる“ポート”という用語は、1つ以上の方向に塊(固体、液体、気体、またはプラズマ)を導入し得る、任意の“開口部”または開口部のセット(例えば、多孔発泡体)を含む。ポートは、必ずしもそうでなくてもよいが、バルブを介して開閉されてもよい。
【0043】
本明細書において用いられる“ベアリング”という用語は、ある部分が動き、スライドし、または回転する機械における、他の任意の部分を含み、限定するわけではないが、スライドベアリング、屈曲性ベアリング(flexure bearing)、ボールベアリング、ローラーベアリング、ガスベアリング、または磁気ベアリングを含む。
【0044】
本明細書において用いられる“永久磁石”という用語は、永続的な磁界を誘発するために極性を付与された、磁化できる物質を含む。“永久”という用語は、永久磁石が意図的に、または偶発的に消磁されないことを必要とするように解釈されるべきではない。
【0045】
本明細書において用いられる“電機子”という用語は、電機子を(積極的にまたは消極的に)加工するために、可変インダクタンスまたは可変磁気抵抗を介して、磁界と相互作用する任意の構造を含む。
【0046】
本明細書において用いられる“反応物”という用語は、化学ポテンシャルエネルギーを機械的エネルギーに変化させること、例えば、化学反応を行ってピストンを駆動することを(典型的には、反応時に膨張しているガスを形成することによって)、誘発することができる任意の物質または物質の組み合わせを含む。本明細書において用いられるように、“燃料”は、ピストンを駆動するために酸化剤と反応する、特定の種類の反応物である。燃料は、限定するわけではないが、ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、灯油、プロパン、およびブタン等の炭化水素燃料、エタノール、メタノール、およびブタノール等のアルコール燃料、および上記のいずれかの組み合わせを含む。他の適切な反応物は、(アンモニアおよび窒素を分解し得る)ヒドラジンまたは(水および酸素を分解し得る)過酸化水素等の分解性反応物を含む。本明細書において用いられる“反応生成物”という用語は、反応後に残る任意の物質を含み、限定するわけではないが、化学的に反応する物質、反応しなかったかまたは部分的にしか反応しなかった過剰な反応物、または反応物と混合し得る任意の不活性な物質を含む。“略完全な”反応は、反応物のうちの少なくとも1つの略全部が消費されてしまった状態のものであり、または、変化する温度または圧力等の他の要因によって略減速された、または停止された状態のものである。
【0047】
本明細書において用いられる“キャブレター”という用語は、シリンダーに届けられる前に、反応物を混合するための(例えば、燃料および酸化物を混合するための)機構を含む。
【0048】
本明細書において用いられる“ピストンサイクル”という用語は、略同じ構成におけるピストンを用いて開始し、終了する一連のピストンの動きを含む。4ストロークピストンサイクルにおいては、上記サイクルは、吸気ストローク、圧縮ストローク、パワーストローク、および排出ストロークを含み得る。追加の、または代替のストロークは、本明細書の他の箇所で説明するように、ピストンサイクルの一部を形成し得る。本明細書において用いられる“動作頻度”という用語は、1回のピストンサイクルを完了するために必要とされる時間における相互作用である。
【0049】
本明細書において用いられる“活物質”という用語は、適用される環境変化によって機械的構成を変更することが誘発され得る物質を含み、限定するわけではないが、圧電、磁石ひずみ、電気ひずみ、または形状記憶物質を含む。
【0050】
一般的には、本明細書において用いられる用語は、本明細書の説明の観点から、当業者に理解されるような一般の、かつ共通の意味を有するものと解釈されるべきである。
【0051】
様々なピストンシリンダーアセンブリがここで、内燃エンジンでの使用のために説明されるが、そこでは、ピストンの機械的エネルギー(例えば、ピストンの運動エネルギー)は、電気的エネルギーに変換される。いくつかの実施形態では、これらのアセンブリは、車両に搭載されるには、例えば電気車両に搭載されるには、よく適応し得る。他の実施形態では、これらのアセンブリは、化学的エネルギーを電気的エネルギーに(例えば、燃料を燃やすことによって)変化させる、据付型または携帯型の発電機において用いられるには適したものであり得る。
【0052】
図1は、ピストンシリンダーアセンブリの一実施形態の概略図である。ピストン10は、シリンダー12の中に配置され、シリンダーから伸びる細長シャフト14を有する。シャフト14は、変換器コイル18を介してスライドするように位置する永久磁石16を有する。図示する実施形態では、ベアリング20は、ピストン10の整合を維持するように作用する。(ローラーベアリングを図1に示すが、適切な種類のベアリングが用いられ得る。)吸気バルブ22は、バルブ22が開いて、ピストン10がシリンダー12の閉じた端部から離れるとき(“吸気ストローク”)、燃料‐酸化剤混合物をチェンバーに入れる。図示する実施形態では、単純なバルブ構造を示すが、他の実施形態は、燃料インジェクターまたは、反応物をシリンダーに導入するための他の装置を含んでもよい。シリンダー12の閉じた端部から離れるピストン10の動きは、変換器コイル18へ電圧を印加することによって駆動され得るが、これは磁石16における起電力を誘導する。燃料‐酸化剤混合物は、ピストン10の動きによって圧縮され、ピストン10は、変換器コイル18に電圧を印加することによって駆動され得、変換器コイル18は、ピストン10をシリンダー12の閉じた端部に向けて移動させるために、磁石16上の起電力を誘導する(”圧縮ストローク“)。
【0053】
圧縮された燃料‐酸化剤は、スパークプラグ24からのスパークによって点火され、これによって、ピストン10を、シリンダー12の閉じた端部から離れるように駆動する。ピストン10がシリンダー12の閉じた端部から離れるにつれて、磁石16は、コイル18で電圧が誘導されて、変換器コイル18を通過する(“パワーストローク”)。この電圧は、本明細書の他の箇所で説明するように、バッテリー、蓄電器、または他のエネルギーマネージメントシステムを充電するために用いられ得る。一度パワーストロークが完了すると、例えば電圧を変換器コイル18に印加することによって、ピストン10は、シリンダー12の閉じた端部に向けて動かされ、これによって、磁石16における起電力を誘導する。ピストン10がシリンダー12の閉じた端部に向かって動くにつれて、燃料および酸化剤の反応による反応生成物は、排出バルブ26を介して排出される(“排出ストローク”)。図示する実施形態では、バルブ22および26は、それぞれカム28および30によって操作されるが、他のバルブシステムも、本明細書の他の箇所で説明するように用いられてもよい。もし、ある場合、カム28および30は、ステッパモータまたはトルクモータ等の電気アクティベータを用いることも含めて、任意の便利な方法で駆動されてもよい。
【0054】
図示する実施形態では、吸気ストローク、圧縮ストローク、および排出ストロークは全て、変換器によって駆動される。他の実施形態では、これらのストロークのうちの1つ以上は、他の手段、例えば、クランクシャフトおよびフライホイール、スプリング(例えば、機械式スプリングまたはガススプリング)、活物質素子、または対向するシリンダーのパワーストロークによって駆動され得る。ストロークの“間”にピストンを駆動することは、ストロークの間の全移動における、ほんの一部分について駆動することを含む。
【0055】
図示する実施形態では、変換器18の操作は、コントローラ19によって制御され、それはアナログ、デジタル、またはコンピュータに基づくものであってもよい。コントローラ19は、外部入力、および、ピストン10、シリンダー12、バルブ22および26、ならびに他のエンジン構成要素のうち1つ以上の、現在および過去の状態に基づいて、変換器18を介するエネルギー伝達のサインおよび規模を判定する。これらの状態は、例えば、変換器18におけるコイルまたは活性要素を、介するまたは横切る電流の計測から推測してもよいし、または、他のあり得るパラメータのうち、位置、速度、またはピストン10の加速、または圧力、温度、密度、質量、またはシリンダー12における任意の反応物の化学的構造を検出し得る、1つ以上のセンサー(図示せず)によって測定してもよい。これらのセンサーは、電磁気の、電気化学の、光の、電気機械の、または、関連するパラメータを検知する他の手段を用いてもよい。例えば、固定コイルと、変換器から離れたピストン搭載磁石とは、ピストンの位置および速度を検知するために用いてもよく、圧電センサーは、シリンダー内の圧力を検知するために用いられてもよく、光ファイバー連結分光器は、燃料および酸化剤の燃焼状態を検知するために、シリンダー内からの光を検出してもよい。これらのセンサー出力のいずれかは、コントローラ19に直接または間接的に入力されてもよい。コントローラ19はまた、本明細書の他の箇所に説明するように、エネルギーマネージメントシステム(図示せず)と干渉してもよい。
【0056】
図示する実施形態では、燃料‐酸化剤混合物は、シリンダー12のヘッドに搭載されたスパークプラグ24を発火させることによって点火される。他の実施形態では、異なる反応物または反応トリガが用いられてもよい。例えば、スパークプラグの代わりに、あらゆる種類の電気的点火器、熱点火器(例えば、グロープラグ)、化学点火器(例えば、スクイーブ)、光点火器(例えば、光化学点火器、光熱点火器、光プラズマ点火器、またはレーザー点火器)、触媒、自動点火性の噴射、粒子ビーム(例えば、電子ビームまたはイオンビーム)、または、プラズマの噴射が化学反応を誘発してもよい。他の実施形態では、反応トリガ機構はなくてもよく、反応は、ピストン10が圧縮ストロークを通じて移動するにつれて、反応物の圧縮によって誘発され得る。反応トリガはまた、異なる場所に配置され得、例えば、シリンダー12の壁またはピストン10上に配置され得る。動力を備えた反応トリガ(例えば、スパークプラグまたはプラズマの噴射)の場合、いくつかの実施形態では、反応トリガのためのパワーは、パワーストロークからパワーを蓄積するエネルギーマネージメントシステムによって供給され得る。
【0057】
図示する実施形態では、導入された反応物は、燃料‐酸化剤混合物である。他の実施形態では、他の適切な混合物または分解性反応物等の、他の反応物が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、反応物は、凝縮された形態(例えば、液体または固体状態)であってもよい。例えば、本明細書で説明されるピストンシリンダーアセンブリは、宇宙での車両(例えば、ムーンバギー)においての使用に好適であり得、または水中車両(例えば、潜水艦または魚雷)においての使用に好適であり得、この場合、凝縮された反応物が好ましい(例えば、液体燃料および液体酸化剤)。いくつかの実施形態では、液体反応物は、反応前に蒸発し得る。反応物が凝縮された形態にあるとき、“圧縮ストローク”はいくつかの実施形態において、反応物の容量を実質的に変えることなく、圧縮力を加えることによって、反応物を圧縮する。他の実施形態では、“圧縮ストローク”は、反応物に実質的に作用することなく、反応チェンバーの容量を単純に減少させ得る。
【0058】
図2は、ピストンシリンダーアセンブリの他の実施形態の模式図である。ここで示すように、ピストン10は、シリンダー12の中でスライド可能に配置され、パワーストロークの間に(例えば、パワーストロークの全部または一部の間)、変換器コイル18において電圧を誘導するために、変換器コイル18と相互作用できる磁石16を有する。図1に示すベアリング20よりも、シリンダー12は、ベアリング表面を実現するために、シャフト14に向かって伸びる。任意のポート32は、シャフト14を囲むガスが圧縮されるのを防ぐので、シリンダー12の閉じた端部から離れるピストン10の動きを遅らせるのを防ぐ。他の実施例(図示せず)では、ポート32が省略されてもよく、シャフト14を囲むガスは、圧縮および排出ストロークをアシストするガススプリングとして作用し得る。図示する実施形態では、シャフト14は、ジョイント36を介してクランクシャフト34に連結される。クランクシャフト34は、例えば、ピストンタイミングまたはバルブタイミングを制御するように作用し得、吸気、圧縮、または排出ストロークのうちの少なくとも1つに対して、駆動力のいくつかまたは全てを与えるように作用し得、または、パワーストロークのエネルギーの少なくとも一部を機械的エネルギーに(例えばギアを駆動するために)変換し得る。
【0059】
図3は、ピストンシリンダーアセンブリのさらに他の実施形態の模式図である。図示する実施形態では、図1および図2とは異なり、ピストン10には磁石16が欠けている。シャフト14は、導電性ヘリカルギア42に連結されるヘリカルスレッド40を有する。外部磁石44(永久磁石または電磁石)は、ギア42に磁界を付与する。パワーストロークの間に、シャフト14の動きに応じてギア42が回転するとき、電圧が、シャフト14と、ギア42の外側との間に生成される(すなわち、ギアと磁石とが単極発電機を形成する)。変換器46は、本明細書の他の箇所に説明するように、バッテリー、蓄電器、または他の電力マネージメントシステムを充電するために、この電圧を用いてもよい。吸気、圧縮、および排出ストロークの間、変換器46は、シャフト14とギア42の外側との間に電圧を印加し得、これによって、ギア42を回転するとともに、ピストン10を駆動するための起電力を誘導する。ヘリカルスレッド40は、一定のピッチを有しており(この場合、ギア42の角速度は、ピストン10の直線速度に比例する)、または可変のピッチを有しており、そのため、ギア42の角速度とピストン10の直線速度との間の関係は、ピストン位置に依存する。図3に示すヘリカルスレッドおよび単極発電機の代わりとなる、直線から回転への変換の他の形態、および他の回転電磁変換器は、当業者であれば理解できるであろう。例えば、ヘリカル特性を有する非円形断面のシリンダーは、シリンダーを介して移動するにつれて回転する非円形ピストンとともに用いられ得、または、上記ピストンは、回転を誘発する傾斜した羽または他の構造を有し得、または、上記ピストンは磁力によって回転され得る。
【0060】
図示する実施形態はまた、キャブレター48(模式的に示す)を有し、これは、燃料‐酸化剤混合物を吸気バルブ22に供給する。図1および図2に示すカムではなく、吸気バルブ22および排出バルブ26は、電気的に制御される。いくつかの実施形態では、バルブの制御は、本明細書の他の箇所で説明するエネルギーマネージメントシステムに統合され得、電力は、エネルギーマネージメントシステムによってバルブから供給され得る。
【0061】
図1〜図3の全ては、燃料‐酸化剤混合物(例えば、燃料‐空気混合物)に点火するスパークプラグ24を示す。他の点火源は、本明細書に説明される実施形態のいずれかにおいて、他の電気的点火器、光点火器、熱点火器、化学点火器、触媒、自動点火性の噴射、粒子ビーム、またはプラズマの噴射等によって置き換えられ得る。他の実施形態では、点火源が必要でない場合もあり、反応を開始させるためには、圧縮で十分である場合もある。さらに、パワーストロークを駆動する化学反応は、燃料‐酸化剤混合物を必ずしも有さなくてもよいが、上記化学反応は、膨張しているガスを生成する任意の反応であってもよく、または、パワーストローク(例えば、エネルギー分解)においてピストン10を駆動する他の反応生成物であってもよい。
【0062】
図4は、ピストンエンジンについて4ストロークサイクルを示す。図示するように、吸気ストローク60の間に、上記ピストンは、相対的に短い距離を、シリンダー端部から離れるように移動し、ここでは、少なくとも1つの反応物をエンジンに導く。いくつかの実施形態では、1つ以上の反応物は、大気圧またはその付近にあり、シリンダーにおけるピストンの動きによって生成される部分的な真空によって、シリンダーの中へと引き込まれ得、一方、他の実施形態では、反応物が注入され得るか、または、圧力下などにおいてピストンの中に導入され得る。反応物は、任意の適切な形態で供給され得、限定するわけではないが、気体または液体として供給される。反応物は、圧縮ストローク62の間に、シリンダー端部に向けたピストンの動きによって圧縮される。化学反応は、圧縮された反応物において誘発され、これはパワーストローク64においてピストンを遠ざける駆動を行う。最終的に、ピストンは、排出ストローク66において元の位置に戻り、シリンダーから、反応性生物のいくらか、または全てを排出する。
【0063】
図4および他の図面では、ピストンの動きは、急激な速度変化を伴う一定速度の区分として模式的に示される。実際のピストンの動きは、一般的に、より複雑な速度プロフィールを有し、連続変化である速度および限定された加速を示す。サイクルにおける任意のポイントでの速度または加速を最適にするために、例えば、変換器電流を制限するために、振動を制御するために、またはエンジン構造におけるピーク荷重を制限するために、ピストンおよび変換器の間の連結を変化させてもよいことが、本明細書で説明される電磁パワー変換システムのいくつかにおける利点である。
【0064】
図示する実施形態では、パワーストローク64は、吸気ストローク60よりも略長い。長いパワーストロークは、多くのエンジンについて、より熱力学的な効率がよいが、クランクシャフトエンジンにおいては典型的に使用されてこなかった。その少なくとも部分的な理由は、より大きなクランクシャフトアセンブリが必要となるからであり、その寄生重量は、長いパワーストロークにおける向上された効率を上回る。不平等なストロークはまた、例えば、ピストンの動きをシャフトおよびフライホイールに連結するための、カム‐ローラまたは他の機構を用いることによって、機械的に達成され得るが、このようなエンジンは、クランクシャフトエンジンと比較して、重量があり複雑であるということが典型的に見出されている。いくつかの実施形態では、電気機械的にエンジンからパワーを引き出すことは、エンジンがより長いパワーストロークを用いることを可能にし得、または、扱いにくい機械的システムを用いずとも、吸気ストロークとは異なる長さを有するパワーストロークを用いることを可能にし得る。
【0065】
クランクシャフト等の他の構成要素への接続によって、ストロークの長さが固定されない実施形態では、本明細書で示されるエンジンは、可変圧縮比において容易に操作し得る。吸気ストローク60および圧縮ストローク62が電気機械的に駆動されるとき、実質的に、任意の所望の圧縮比、または、適切なストロークの長さを選択することによるピストンの変位であればいつでも、反応は開始され得る。圧縮比またはピストン移動は、例えば、電流または予想されるエンジン荷重、燃料の種類、燃料の濃度、燃料‐酸化剤比率、圧力、または温度等の要因に基づいて、各ピストンサイクルについて動的に制御され得る。本明細書に参照として含まれる米国特許番号4,104,995;4,112,826;4,182,288;4,270,495;4,517,931;6,779,495;および7.185,615は、ピストン移動または圧縮比を変化させるための様々な機械的手段を説明している。同様の効果は、各ピストンサイクルの間の時間にわたってピストンの位置を電磁的に制御することによって、はるかに単純なシステムにおいて達成され得る。
【0066】
さらに、反応の間のピストンの動きは、ほとんどのクランクシャフトエンジンには実用的でない程度に細かく制御されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、反応が実質的に完了するまで(定積反応)、シリンダー12に相対して略静止した状態で、ピストン10を維持することが好ましい。パワーストローク64は、発電を最適化する構成においてか、または、特定のエンジン実施形態についての望ましい構成において、制御されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、パワーストローク64は略等温または略断熱性であり得る。また、排出ストローク66においてピストン10を十分駆動することによってシリンダー12の排出を十分に行うことと、ピストン10を、その範囲の一部のみを通過して駆動することによって、いくつかの反応生成物を意図的にシリンダー12内に放置すること(例えば、反応物がパワーストローク64の間に十分反応せず、それらが消耗される前に、未反応の反応物の一部に“第2チャンス”を与えるときに、シリンダーにおける排出の一部を放置すること)とのいずれかは、容易に実現可能である。ピストンサイクルにおける4つのストロークのそれぞれの、長さおよびタイミングは、速度、荷重、反応物の組成、温度等が変化する状態の下で、エンジン性能を最適化するために、動的および独立して変化し得る。
【0067】
図5は、電磁変換器とともに用いるために改良された、従来のエンジンの模式図である。改良前において、エンジンは、ブロック70と、それぞれが関連ロッドまたはシャフト74を有する4つのピストンヘッド72と(ピストンヘッド72とシャフト74とでピストンを形成する)、4つのスパークプラグ76と、クランクシャフト78とを有する(図の単純化のため、図5においては燃料吸気および排出は示していない)。改良するために、クランクシャフト78を取り除くとともに、各ピストンシャフト74は、以前にクランクシャフト78に接続されていた付近であって、シャフトの基部に配置される磁気素子80を有する。図示する実施形態では、各ピストンシャフト74に対する2つのピックアップコイル82および84は、上方に配置されるとともに、以前におけるクランクシャフト78の軸に配置される。各ピストンについて、コイル82および84は、図4等に関連して説明したように、吸気、圧縮、および排出ストロークの間に、それらと関連するピストンに対して駆動力を与えるために、また、それらと関連するピストンの機械的エネルギーを、パワーストロークの間に電気的エネルギーに変換するために、変換器の少なくとも1つの構成要素として互いに作用する。いくつかの実施形態では、変換器は、エンジンサイクルにおける異なる一部の間に動作すべくコイル82および84を切り替えるように動作する切り替え回路と電気的に連結され、一方、他の実施形態では、各変換器はそれぞれ切り替え回路を有してもよい。それぞれの場合において、各変換器からのエネルギーは、それが関連するエネルギーマネージメントシステム(本明細書の他の箇所に記載)に蓄積されてもよく、または、共通のエネルギーマネージメントシステムに貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、2つのコイル82および84の代わりに、単一のコイルが、各ピストンシャフト74について設けられてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、クランクシャフト78が改良されてもよく、この場合、磁界および変換器コイルが、もしくは、ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに、また、電気的エネルギーから変換する他の可変インダクタンスまたは可変磁気抵抗回路が、異なる構成であるのが好ましいが、図5に示される構成が引き続き用いられ得る。クランクシャフト78が残されると、ピストンの同期的な動作を維持する場合に役立つ。クランクシャフト78が取り除かれると、ピストンは同期的に、または非同期的に操作され得、ピストンのタイミングは、変換器の操作によって制御され得る。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムが用いられ得、そこでは、電磁変換器がピストンのサブセットのみに搭載される。このような実施形態では、いくつかの場合、ピストンと同期するためにクランクシャフト78を残しておくことが好ましく、一方、他の場合では、他の機械的な連結システムであるのが好ましい。クランクシャフト78、またはその一部は、水ポンプ、オイルポンプ、燃料ポンプ、ファン、またはコンプレッサ等の補助装置を駆動するために残してもよく、または、このような補助装置は、本明細書の他の箇所で説明するように、変換器から、例えばエネルギーマネージメントシステムを介して電力が与えられてもよい。
【0069】
図6は、自由ピストンエンジンの模式図である。ピストン110は、シリンダー112の中にスライド可能に配置され、2つの端部チェンバー114および116を有する。図示する実施形態では、各端部は、吸気バルブ118および排出バルブ120を有し、これらはそれぞれ、反応物を導入し、反応生成物を放出するように構成されている。ピストン110は、磁気素子122を有し、これは電磁石、永久磁石、または、鉄心等の、磁気的に敏感な物質であってもよい。ピストン110は、ともに変換器130を形成する変換器コイル124,126,および128に対して電圧を印加することによって、各方向に駆動され得る。さらに、変換器130は、ピストン110の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成される。このエネルギーは、例えばバッテリー、蓄電器、または他のエネルギーマネージメントシステム(図示せず)に蓄積され得る。図示する実施形態は、スパークプラグ132を有するが、本明細書の他の箇所で説明するような他の点火源を用いてもよいし、または、エンジンは、端部チェンバー114および116において自発的に反応する反応物を用いて、点火源を用いることなく操作されてもよい。
【0070】
図7には、6ストロークサイクルを用いる、図6に示すような自由ピストンエンジンを操作する方法を示す。変換器130は、端部チェンバー114から離れるようにピストン110を駆動するために作動し、チェンバー114についての吸気ストローク150として、反応物(例えば、燃料‐酸化剤混合物)を、チェンバー114の中に引き込む。そして、変換器130は、圧縮ストローク152として端部チェンバー114に向けてピストン110を駆動するために作動し、反応物をチェンバー114の中で圧縮する。そして、複数の反応物の間での反応が開始され(例えば、スパークプラグによって)、ピストンをチェンバー114から離れるように駆動する。このパワーストローク154の間、ピストンは、シリンダー112の他の端部へと移動し、端部チェンバー116において任意の反応生成物を排出する。変換器130は、本明細書の他の箇所で説明するように、エネルギーマネージメントシステムに蓄積され得るパワーを、パワーストローク154の間にピストンから引き込む。そして、変換器130は、端部チェンバー116から離れるようにピストン110を駆動し、吸気ストローク156として、反応物をチェンバー116の中に引き込む(いくつかの実施形態では、このようにチェンバー116の中に引き込まれる反応物は、組成、比率、温度、または他の特性において、吸気ストローク150の間にチェンバー114の中に引き込まれたものとは異なり得るが、一方、他の実施形態では、それらは略同様である)。そして、変換器130は、圧縮ストローク158として、端部チェンバー116に向けてピストンを駆動するために作動し、反応物をチェンバー116の中で圧縮する。そして、複数の反応物の間での反応が開始され、パワーストローク160としてピストンをチェンバー116から離れるように駆動する。変換器130は、パワーストローク160の間、ピストン110の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する。さらに、端部チェンバー114に残る任意の反応生成物は、パワーストローク160によって排出される。そして、6ストロークサイクルが繰り返されてもよい。
【0071】
図7に示す6ストロークサイクルは、2つの重なる4ストロークサイクルとして示すことができ、そこでは、シリンダーの一方の側におけるパワーストロークが、シリンダーの他方の側における排出ストロークと重なることが分かる。図4を参照して説明したように、エンジンが、相対的に長いストロークを用いることは、熱力学的に好ましい。図7に示される実施形態では、パワーストロークは、吸気または圧縮ストロークよりも略長く、エンジンにおいて、変換器130によって駆動されるストロークの間に長いピストン移動を必要とすることなく、パワーストロークの間に長いシリンダーであることの利点を生かすことが可能である。他の実施形態では、全てのストロークが同じ長さであり得る。
【0072】
図8は、図6に示すような自由ピストンエンジンについての、交互のエンジンサイクルを示す。図示するように、チェンバー114の中の反応物は、パワーストローク170を駆動すべくピストン110がチェンバー114から離れるにつれて反応し、変換器130は、パワーストローク170の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、電気的エネルギーは、エネルギーマネージメントシステムに蓄積され得る。そして、変換器130は、排出ストローク172においてピストンをチェンバー114に向けて駆動し、反応生成物をチェンバー114から排出する。変換器130は、吸気/圧縮ストローク174においてチェンバー114から離れるようにピストンを駆動し、これによって反応物をチェンバー114の中に引き込み、すでにチェンバー116の中にある反応物を圧縮する。チェンバー116の中の反応物は、パワーストローク176を駆動すべくピストン110がチェンバー116から離れるにつれて(反応を起こさずに反応物をチェンバー114の中で圧縮して)反応し、変換器130は、パワーストローク176の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、電気的エネルギーは、エネルギーマネージメントシステムに蓄積され得る。そして、変換器130は、排出ストローク178において、ピストン110をチェンバー116に向けて駆動し、反応生成物をチェンバー116から排出する(そして、パワーストローク176の間に偶発的に圧縮された反応物を除圧する)。最後に、変換器130は、圧縮/吸気ストローク180においてピストン110をチェンバー114に向けて駆動し、反応物をチェンバー114の中で圧縮し、反応物をチェンバー116の中に引き込む。そして、このサイクルが繰り返される。当業者であれば、図8に示す6ストロークサイクルが、2つの重なる4ストロークサイクルとして示すことができ、シリンダーの一側部における吸気ストロークと、シリンダーの他方の側部における圧縮ストロークとが重なることを理解するであろう。
【0073】
図9は、自由ピストンエンジンについてのさらに他のエンジンサイクルを示す。図示するエンジンは物理的に非対称であり、チェンバー190はチェンバー192より狭い直径を有し、ピストン194は直径において対応するステップを有する。図7および図8に関して説明する各サイクルはまた、図9に示されるような物理的に非対称なエンジンとともに用いられてもよく、または、図9に示されるサイクルは、図6に示されるような物理的に対称なエンジンとともに用いられてもよい。図示するように、変換器130は、ピストン194をチェンバー192に向けて駆動し、吸気/排出ストローク200において、反応物をチェンバー190の中に引き込むとともに、反応生成物をチェンバー192から排出する。そして、変換器130は、ピストン194をチェンバー190に向けて駆動し、圧縮/吸気ストローク202において、反応物をチェンバー190の中で圧縮するとともに、反応物をチェンバー192の中に引き込む。そして、チェンバー190の中の圧縮された反応物は反応させられ、パワー/圧縮ストローク204において、ピストン194をチェンバー190から離れるように駆動するとともに、反応物をチェンバー192の中で圧縮する。最後に、チェンバー192の中で圧縮された反応物は反応させられ、排出/パワーストローク206において、ピストン194をチェンバー192から離れるように駆動するとともに、反応生成物をチェンバー190から排出する。ストローク204および206の間、変換器130は、ピストン194の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する。この非対称の4ストロークサイクルは、2つの別個のチェンバー190および192についての、2つの、相殺し重なり合う4ストロークサイクルとして示すことができる。
【0074】
図10は、相対するピストンのエンジンと、対応するエンジンサイクルとを示す。図示するエンジンでは、2つの相対するピストン250および252はスライド可能にシリンダー254の中に配置される。ピストンはそれぞれ、対応する変換器コイル260および262に動作可能に連結される磁石素子256および258を有する。変換器コイル260および262は、共通変換器を形成するために電気的に連結されてもよいし、または、これらは2つの独立した変換器のセグメントとして別個に作動されてもよい。図示する実施形態では、コイル260および262の両方は、共通変換器(図示せず)の一部を形成する。シリンダー254は、吸気ポート264および排出ポート266を有する。図示する実施形態では、これらのポート264および266は単純な開口部であり、ピストン250および252のそれぞれの動きによって閉鎖されるときに閉じられ得る。他の実施形態では、ポート264および266は、バルブを有してもよい。
【0075】
使用に際して、吸気ストローク280において、変換器コイル260はまず、吸気ポート264が開いた状態でピストン250を略固定された位置に維持し、一方、変換器コイル262は、ピストン252をピストン250から引き込むように駆動し、一方、排出ポート266の閉鎖を維持し、これによって、反応物を、吸気ポート264を介して、シリンダー254におけるチェンバー268の中に引き込む。そして、圧縮ストローク282において、変換器コイル260および262は、ピストン250および252をともに移動するように駆動し、両ポート264および266を閉鎖し、反応物をチェンバー268の中で圧縮する。反応トリガ270(図示する実施形態においてスパークプラグ)は、圧縮された反応物において反応を誘発し、パワーストローク284において、ピストン250および252を互いに離れるように駆動する。変換器コイル260および262は、ピストン250および252の機械的エネルギーをそれぞれ電気的エネルギーに変換し、また、ピストン252が移動して排出ポート266を開く一方、ピストン250が吸気ポート264を閉鎖し続けるように、ピストン250および252の位置を制御する。ピストン250が変換器コイル260によってピストン252に向けて動かされる一方、ピストン252は変換器コイル262によって略静止した状態で維持され、これによって、排出ストローク286において、チェンバー268から排出ポート266を介して反応生成物を排出する。最後に、両ピストン250および252は、リセットストローク288においてともに移動し、排出ポート266を閉鎖し、吸気ポート264を開く。このサイクルは繰り返されてもよい。
【0076】
図11は、他の相対するピストンのエンジンと、代替のエンジンサイクルとの模式図である。図示する実施形態では、2つの相対するピストン300および302は、スライド可能にシリンダー304の中に配置される。ピストン300は、変換器コイル308に動作可能に連結される磁石素子306を有する。ピストン302は、ジョイント312を介してクランクシャフト310に機械的に連結される。シリンダーは、それぞれバルブ318および320に連結される2つのポート314および316を有する。バルブ318および320のそれぞれは、2つの位置を有し、対応するバルブ318および320がポート314および316を反応物源322に接続するとき、ポート314および316が吸気ポートとして機能することができるようにし、または、対応するバルブ318および320がポート314および316を排出路324に接続するとき、排出ポートとして機能することができるようにする。反応チェンバー326は、ピストン300とピストン302との間で規定される。
【0077】
図示されるエンジンサイクルでは、バルブ318および320はまず、ポート314が反応物源322と接続され、ポート316が排出路324と接続されるように設定される。エンジンにおける最初の4ストロークは、図10に示すようにストローク280、282、284、および286と対応し、一方、次の4ストロークは、ストローク280、282、284、および286の鏡像と対応する。吸気ストローク350では、ピストン300は、ポート314を開いたままにする位置において、変換器コイル308によって略所定位置に維持され、一方、クランクシャフト310は、ピストン300から離すようにピストン302を引き込み、ポート316を閉鎖し続けつつ、反応物をポート314を通過させてチェンバー326の中に引き込む。そして、ピストン300および302は、それぞれ変換器コイル308とクランクシャフト310とによってともに動かされ、圧縮ストローク352において、反応物を圧縮し、ポート314および316を閉鎖する。反応は、例えばスパークプラグ328を放電することによって、複数の反応物の間で開始される。上記反応は、ピストン300および302を別個に駆動し、機械的エネルギーをピストン302からクランクシャフト310へと伝達するとともに、変換器コイル308がパワーストローク354においてピストン300の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することができるようにする。ピストン300は、ポート314を開けることができないが、ピストン302は、ポート316を空けるには十分遠くまで移動する。そして、変換器コイル308は、排出ストローク356においてピストン300をピストン302に向けて駆動し、反応生成物がポート316を介して排出されることを可能にし、一方、ピストン302は略固定された位置に残る。
【0078】
排出ストローク356の後で、ポート314が排出路324に接続され、ポート316が反応物源322に接続されるように、バルブ318および320はリセットされる。ピストン302はポート316を開いた状態で維持する位置に留まる一方、ピストン300は、吸気ストローク358において、変換器コイル308によって引き戻され、ポート316を介して反応物をチェンバー326の中に引き込む。そして、両ピストン300および302はそれぞれ、変換器コイル308およびクランクシャフト310によって互いに向けて動かされ、両ポート314および316を閉鎖し、圧縮ストローク360の間、チェンバー326の中で反応物を圧縮する。複数の反応物の間での化学反応が誘発され、ピストン300および302を別個に動かし、機械的エネルギーをピストン302からクランクシャフト310に伝達し、変換器コイル308が、パワーストローク362においてピストン300の機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換できるようにする。ピストン302は、ポート316を開くことができないが、ピストン300は、ポート314を開くには十分遠くへ動く。そして、クランクシャフト310は、排出ストローク364においてピストン302をピストン300に向けて駆動し、一方、ピストン300は略固定された位置に留まる。排出ストローク364の後で、ポート314が反応物源322に接続され、ポート316が排出路324に接続されるようにバルブ318および320はリセットされ、このサイクルは繰り返されてもよい。
【0079】
クランクシャフトを含む、本明細書に記載の実施形態のうちのいくつかにおいて、付属ピストンは、一定の固定された長さのストロークよりも、より複雑なパターンで動いてもよい。このような動きは、偏心クランクシャフト、方向が反転するか、または速度が変化するクランクシャフト、もしくはピストンとクランクシャフトとの間の活性接続であり、それらの相対位置を変化させる(例えば、活物質素子を用いることによって)もの等の手段によって概ね達成される。または、クランクシャフトは、カム‐トラックまたは斜板機構等の代替の、機械的に連結される装置によって置き換えられ得、上記機構のうちのいくつかは、1つ以上のピストンの動きにおける任意の複雑なパターンを生成することができる。
【0080】
図面に描かれる実施形態は、略静止状態のコイルを通過して動く磁石と、略静止状態のコイルの外側に動く磁石と、略静止状態の磁界を通過して動く伝導体とを有する。これらの構成のそれぞれは、図面に描かれているような、または本明細書で記載されているような、他のピストン‐シリンダー構成と関連して用いられ得ることが分かるであろう。さらに、当業者であれば、伝導体、磁気物質、および磁界以外の構成についても、エンジンにおいて機械的エネルギーを電気的エネルギーに、または電気的エネルギーから変換するために用いられ得ることを理解するであろう。例えば、第1種超伝導物質は磁界を放出する(マイスナー効果)ので、移動する第1種超伝導体は、変換器コイルにおける電流を含めて、磁気回路における磁束を変化させることができる。第2種超伝導物質は、磁界を捕捉し、このため、受動的に安定した磁気ベアリングとして機能する等、付加的な独特の特徴を与えつつ、変換器において永久磁石または電磁石の代わりとして用いられ得る。概して、任意の可変磁気抵抗または可変インダクタンス磁気回路によって、エネルギーは、ピストンへ、また、ピストンから伝達され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、エンジンは永久磁石または電磁石を有する。それぞれの場合、エンジンは熱遮蔽、絶縁、または、選択されたエンジン部品の温度を所望の範囲に維持する機能を有する他の熱制御装置(例えば、冷却システム)を有してもよい。特に、熱制御システムは、磁気物質をそのキューリー温度より低く維持するように作用し得る。
【0082】
図面は、シリンダーにおける単一または二重のピストンの、いくつかの異なる構成を描く。いくつかの実施形態では、エンジンは、同じであるか、または異なる種類である複数のシリンダーを有してもよい。異なるシリンダーにおけるピストンは、独立して作動し得るか、または作動可能に連結され得る(例えば、共通のクランクシャフトへの接続として機械的に連結される)。特に、エンジンは、決定された実際の、または予測される状態(例えば、エンジンの傾斜、またはエンジンによって動力を与えられる車両の傾斜、温度、電流引き込み、速度、加速、ブレーキ、車両総重量等の荷重、燃料組成、エンジン排気、パワー、排気制限等の局所規則、またはエンジン設定)に応じて、ピストンを操作するかどうか、およびどのピストンを操作するのかを選択する、制御エレクトロニクスを有してもよい。例えば、パワー引き込みが相対的に重いときは、制御エレクトロニクスは、より頻繁にピストンを操作してもよいし、またはより多くのシリンダーを操作してもよい。パワー引き込みが相対的に軽いときは、制御エレクトロニクスは、ピストンを全く操作しないことを含めて、ほとんどピストンを操作しなくてもよい。
【0083】
相対的位相を維持する(例えば、共通クランクシャフトへの接続を介して)構成において、ピストンが互いに連結されない実施形態において、それらは同期的に、または非同期的に操作されてもよい。ピストンタイミングに関連して本明細書において用いられるように、“非同期的”という用語は、シリンダーとシリンダーとの間で、異なる期間または速度プロフィールを有する少なくとも1つのストロークを用いてシリンダーが操作され、一定の位相関係が略同時のピストンサイクルの間で維持されないことを意味する。非同期ピストン操作の例としては、異なるサイクル頻度において2つのピストンを操作すること、または、1つのピストンを略静止状態に置きながら、1つのピストンを操作することが挙げられる。
【0084】
図示する実施形態のそれぞれにおいて、変換器(コイルまたは他の可変磁気抵抗または可変インダクタンス回路を含む)は、エネルギーマネージメントシステムに接続される。エネルギーマネージメントシステムは、パワーストロークの間にピストンからパワーを引き込むとともに、他のストロークの間はパワーをピストンに戻す、エネルギーソースおよびシンクとして作動する。長さまたは振幅が可変であるパワーの入力を受け入れることができ、それらを変換して略一定の電圧を供給するパワー変換システムが、例えば本明細書に参照として含まれる米国特許番号4,399,499に記載されている。このような変換システムは、エンジンからのパワー吸気を調節し、それを他の目的に、例えば車両を走行させる等の目的に、より有効となるようにする。エネルギーマネージメントシステムはまた、他のソースから、例えば回生式ブレーキングシステムから、パワー入力を受け入れてもよい。エネルギーマネージメントシステムは、バッテリーまたは蓄電器(スーパー蓄電器、ウルトラ蓄電器、またはハイパー蓄電器を含む)等のエネルギー蓄積装置にパワーを蓄積してもよい。本明細書に参照として含まれる米国特許番号6,590,360は、この目的で使用され得るバッテリーおよびモーター/発電機の間の方向にエネルギーを伝達するように設計された切り替え回路が記載されている。いくつかの実施形態では、エネルギーマネージメントシステムはまた、水ポンプ、オイルポンプ、燃料ポンプ、ファン、またはコンプレッサ等の補助装置に動力を与えてもよい。
【0085】
当業者であれば、一般的に、本明細書で用いられる用語、特に添付の請求項で用いられる用語は、一般的に“広い”用語であると理解されるであろう(例えば、“含む”という用語は、“含むがそれに限定されない”と解釈されるべきであり、“有する”という用語は“少なくとも有する”と解釈されるべきであり、“備える”という用語は“備えるが、それに限定されない”などと解釈されるべきである)。特定の数を示すような請求項の文言が意図して記載される場合、そのような意図は請求項に明示され、このような文言が無い場合、数を特定するという意図も存在しないということが当業者にさらに理解されるであろう。例えば、理解の一助として、以下の添付の請求項は、請求項の文言を記載するにあたって、“少なくとも1つ”または“1つ以上”などの語句の使用を含んでもよい。しかしながら、このような表現の意味合いで、数を特定しない要素を記載すると、このような要素を含む特定の請求項が、上記要素を1つしか含まない発明として限定されると捉えかねないが、そのように解釈してはならない。たとえ、同一の請求項が“1つ以上”または“少なくとも1つの”という語句、および数を限定しない表現(例えば、“シリンダー”は概ね、“少なくとも1つのシリンダー”を意味するものとして解釈されるべきである)を含んでいても、そのように“1つしか含まない”と解釈をしてはならない。これについては請求項の文言に用いられる“上記”と記載されている用語についても当てはまる。さらに、特定数を示すように記載された請求項文言が明確な場合でも、当業者は、このような文言が概ね、少なくとも文言される数を示すものと解釈されるべきであることを認識しているであろう(例えば、他の修飾語を有さない最低限の文言“2つのシリンダー”または“複数のシリンダー”は概ね、少なくとも2つのシリンダーを意味する)。さらに、“A、B、およびCのうちの少なくとも1つ”“A、B、またはCのうちの少なくとも1つ”または“A、B、およびCからなるグループから選択される1つ(のもの)”という表現が用いられる場合、一般的にこのような構成は、当業者が習慣として理解している観点に基づいて意図される(例えば、これらの表現のうちのいずれも、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとともに、AとCとともに、BとCとともに、および/またはA、B、およびC全部を有するシステムを含むがそれに限定されない)。詳細な説明、請求項、または図面においてなど、2つ以上の代替物を示す実質的に任意の選択的用語および/または表現は、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、用語のうちの両方を含む可能性を考慮するものと理解されるべきであるということを当業者ならさらに理解するであろう。例えば、“AまたはB”という表現は、“A”または“B”または“AとB”の可能性を含むものと理解されるであろう。
【0086】
本明細書において様々な側面および実施形態を開示してきたが、他の側面および実施形態は当業者にとって明らかであろう。本明細書において開示される様々な側面および実施形態は、解説を目的とするものであって、限定を意図するものではなく、真の範囲および精神は、以下の請求項によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】クランクシャフトのないピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【図2】クランクシャフトに連結されているピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【図3】単極発電機に連結されているピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【図4】4ストロークピストンサイクルの間の、シリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【図5】電磁変換器を用いて改良された従来のエンジンの概略図である。
【図6】二重端部を有する自由ピストンシリンダーアセンブリの概略図である。
【図7】6ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【図8】代替6ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおけるピストンの位置を示す図である。
【図9】4ストロークピストンサイクルの間の、二重端部を有するシリンダーにおける非対称ピストンの位置を示す図である。
【図10】4ストロークピストンサイクルの共通シリンダーにおける2つの相対するピストンの位置を示す図である。
【図11】8ストロークピストンサイクルの共通シリンダーにおける2つの相対するピストンの位置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンであって、
閉じた端部を有する第1シリンダーの中に、スライド可能に配置される第1ピストンと、
反応物を第1シリンダーに導入するように構成される第1ポートと、
ピストンサイクル内で、上記第1ピストンの機械的エネルギーを、電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーに変換するために、第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを備え、
上記ピストンサイクルに含まれるパワーストロークおよび吸気ストロークについて、パワーストロークは吸気ストロークより長く設定されている、内燃エンジン。
【請求項2】
上記第1変換器は、パワーストロークの間に、上記第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するように構成され、排出ストローク、吸気ストローク、および圧縮ストロークからなるグループより選択される少なくとも1つのストロークの間、上記第1ピストンを駆動するようにさらに構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
上記第1変換器は、排出ストローク、吸気ストローク、および圧縮ストロークの間、上記第1ピストンを駆動するように構成される、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
上記エンジンの少なくとも一部の熱偏倚を制限するように作用する熱コントローラをさらに備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
上記第1ピストンは、可変磁気抵抗磁気回路を介して、磁界と相互作用するように構成される電機子を含む、請求項1に記載のエンジン。
【請求項6】
上記第1ピストンは、可変インダクタンス磁気回路を介して、磁界と相互作用するように構成される電機子を含む、請求項1に記載のエンジン。
【請求項7】
反応トリガをさらに備え、上記反応トリガは、上記第1ピストンと、上記第1シリンダーにおける上記閉じた端部との間に配置される反応物における化学反応を開始するように構成されている、請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
上記第1ポートは少なくとも1つのバルブを含む、請求項1に記載のエンジン。
【請求項9】
自身の回転によって少なくとも1つのバルブを、開くまたは閉じるように構成されるカムシャフトをさらに備える、請求項8に記載のエンジン。
【請求項10】
上記バルブは電磁的に作動される、請求項8に記載のエンジン。
【請求項11】
反応生成物が上記第1シリンダーから逃れることを可能にするように構成される第2ポートをさらに備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項12】
上記第1ポートは吸気バルブを含み、かつ、上記第2ポートは排出バルブを含む、請求項11に記載のエンジン。
【請求項13】
上記吸気バルブおよび上記排出バルブはそれぞれ、ピストンサイクルの間、選択された時間において、開くおよび閉じるように構成される、請求項12に記載のエンジン。
【請求項14】
バルブタイミングを制御するために、上記吸気バルブおよび上記排出バルブは機械的に上記第1ピストンと連結される、請求項13に記載のエンジン。
【請求項15】
バルブタイミングを制御するために、上記吸気バルブおよび上記排出バルブは電気的に上記第1ピストンと連結される、請求項13に記載のエンジン。
【請求項16】
上記第1ポートは、反応生成物が上記第1シリンダーから逃れることを可能にするように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項17】
吸気通路との接続から、排出通路との接続へと、上記第1ポートを切り替えるように構成されるバルブをさらに備える、請求項16に記載のエンジン。
【請求項18】
反応混合物を上記第1ポートに届けるように構成されるキャブレターをさらに備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項19】
上記第1ポートを介して反応物を上記第1シリンダーへと届けるように構成されるインジェクターをさらに備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項20】
上記第1ポートは、燃料を上記第1シリンダーへと導入するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項21】
上記第1ポートは、酸化剤を上記第1シリンダーへと導入するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項22】
反応物を上記第1シリンダーへと導入するように構成される第2ポートをさらに備え、上記第1ポートは第1反応物を導入するように構成され、かつ、上記第2ポートは第2反応物を導入するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項23】
上記第1ピストンはクランクシャフトに接続される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項24】
上記エンジンは、実際の、または予測される動作状態に応じて、ピストンストロークの速度プロフィールを決定するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項25】
上記エンジンは、実際の、または予測される動作状態に応じて、ピストンストロークの長さを決定するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項26】
上記エンジンは、実際の、または予測される動作状態に応じて、圧縮比を決定するように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項27】
上記第1変換器に電気的に連結されるエネルギーマネージメントシステムをさらに備える、請求項1に記載のエンジン。
【請求項28】
上記第1ピストンは、ピストン移動を回転運動へと変換する機構に連結される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項29】
上記第1ピストンは、電気的エネルギーを生成するために適用される力に応答するように構成される活物質素子に動作可能に連結される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項30】
第1シリンダーの中にスライド可能に配置される第1ピストンと、上記第1ピストンの機械的エネルギーを電気的エネルギーから、また、電気的エネルギーに変換するために、上記第1ピストンとともに動作可能な第1変換器とを備える内燃エンジンを操作する方法であって、
吸気ストロークによって、反応物を上記第1シリンダーにおける閉じた端部の中へと導入する工程と、
上記第1シリンダーの中の上記第1ピストンを上記閉じた端部に向けてスライドさせるために、電気的エネルギーを上記第1変換器に加える工程と、
上記導入された反応物の化学的反応を誘発し、化学ポテンシャルエネルギーを上記第1ピストンの機械的エネルギーに変化させ、上記吸気ストロークより長いパワーストロークを生む工程と、
上記パワーストロークの間に、上記第1ピストンの機械的エネルギーを、上記第1変換器を介して電気的エネルギーに変換する工程とを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−79650(P2013−79650A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281724(P2012−281724)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2010−528000(P2010−528000)の分割
【原出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(508156546)シーレイト リミテッド ライアビリティー カンパニー (54)
【氏名又は名称原語表記】SEARETE LLC
【住所又は居所原語表記】1756−114th Ave.Se,Suite 110,Bellevue,WA 98004,United States of America