説明

電磁妨害源を特定する測定装置及びその推測方法並びにそれらの動作をさせるコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体

【課題】電子機器から発生される妨害電磁波により生ずるEMC問題について、その妨害電磁波発生源の近傍の電磁波を測定することにより、妨害電磁波の発生源を特定することができる装置、方法並びにコンピュータプログラムを記憶した情報記録媒体を提供する。
【解決手段】妨害を受けているアンテナ3で受信される電磁波の波形と、妨害電磁波を発している電子機器1の近傍を走査するセンサ2で検出した電磁波の時間変動を比較して、これらの波形すなわち信号電力の大きさの変化が一致した場合、或いは信号の位相差がほぼ一定の値で安定したときのセンサ2の位置の近傍が妨害電磁波の発生源であると特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発生される妨害電磁波により生ずるEMC問題について、その妨害電磁波の発生源の近傍電磁界を測定することにより、その発生源を特定する測定装置、その特定の方法並びにそれらの動作を駆動するコンピュータプログラムを記憶した情報記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能携帯端末では、複数チャンネルのDC−DCコンバータ、低消費の電力機能、保護回路等の多機能を1チップ化した半導体を採用し、スイッチング周波数の高周波化、低電圧駆動が進んでいる。さらに、無線通信機能を具備する携帯型電子機器から放射される電磁波が特に問題となってきており、各国の業界団体においても放射電磁波の強度について規格を設けている。そこで、電子機器メーカーでは、不要な放射電磁波を低減させるべく開発設計の際に種々のEMC対策を行っている。このEMC対策には、対象となる電子機器が前記規格を満たしているかを確認するために、オープンサイトや電波暗室において被測定物から数m程度の遠方での測定を条件として、電磁界強度の測定を実施する必要がある。
【0003】
さらに、上述の電子機器から発せられた電磁波が該電子機器自体の機能に妨害を及ぼしたり或いは他の機器の機能に妨害を及ぼすイントラシステムEMCやEMI(Electro Magnetic Interference)が顕在化し問題とされている。
【0004】
このような問題を低減するために、電子機器の近傍の電磁界分布を測定し、原因や妨害メカニズムを推定し、対策を施すという手法が行われてきた。例えば、引用文献1〜4を参照されたい。
【0005】
従来の電磁界分布測定としては、電磁界センサを走査し、その出力をスペクトラムアナライザで測定し、電磁界の強度分布を表示する方法等が行われてきた。スペクトラムアナライザでは、時間変動を考慮しないその時々の強度の評価を行っている。つまり、表示された時間変動を考慮しない電磁界強度が強いところが妨害源であると推定する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−372558号公報
【特許文献2】特開2006−201007号公報
【特許文献3】特開2006−337082号公報
【特許文献4】特開2011−17718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電磁界の時間変動を考慮しない強度のみの分布からでは、同じ周波数の信号が複数の場所に存在していると、妨害源の推定が十分にできない可能性があった。例えば、ICの出力端子が複数ある場合にはどの出力端子から出力されている信号が妨害源となっているのかがわかると、ピンポイントでの有効な対策が可能となる。しかしICの複数の出力端子から出力される信号が同じ動作クロック信号に同期していると同じ周波数の電磁界が生ずるため、ICの各出力端子から発生する電磁界の強度のみを測定したのでは妨害源を区別することができない。
【0008】
このように、発生する電磁界の強度分布の測定のみでは、イントラシステムEMCにおける妨害源や不要輻射EMIの原因である根本ノイズとは無関係な信号も同時に検出してしまい、その発生源の位置特定は困難であった。このため、原因となっていないポイントを含む対策を余儀なくされていた。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、電子機器から発生される妨害電磁波により生ずるEMC問題について、その妨害電磁波の発生源の近傍電磁界を測定することにより、妨害電磁波の発生源を特定することができる測定装置、その特定方法並びにそれらの動作をさせるコンピュータプログラムを記憶した情報記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の目的を達成するために、妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、前記コンピュータ装置は、前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、前記第1メモリに記憶した前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶した前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較して該2つの推移の一致度もしくは不一致度を求め、前記一致度もしくは不一致度を報知する電磁妨害源特定方法を提案する。
【0011】
さらに、本発明は上記の目的を達成するために、妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、前記コンピュータ装置は、前記第1信号検出部から出力される前記第1位相デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、前記第2信号検出部から出力される前記第2位相デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、前記第1メモリに記憶した前記第1位相デジタル値と、前記第2メモリに記憶した前記第2位相デジタル値の差分、即ち位相差の時間経過に伴う安定性から一致度もしくは不一致度を求め、前記一致度もしくは不一致度を報知する電磁妨害源特定方法を提案する。
【0012】
また、本発明は上記目的を達成するために、上記方法を実施する装置並びに上記コンピュータ装置を動作させるコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体を提案する。
【発明の効果】
【0013】
妨害電磁波を受信しているアンテナから出力された雑音の信号電力と一致している信号電力を有する妨害電磁波の発生源を特定することができる。これにより、EMC問題の有効な対策が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態における電磁妨害源の特定装置の電気系回路を示すブロック図
【図2】第1メモリに記憶される信号電力の大きさと時間の関係を示す図
【図3】第2メモリに記憶される信号電力の大きさと時間の関係を示す図
【図4】本発明の第1実施形態における電磁妨害源の特定装置の動作を示すフローチャート
【図5】一実施例におけるアドレスバス又はデータバスなどのデジタル信号線を伝送する信号の電圧波形を示す図
【図6】一実施例におけるアドレスバス又はデータバスなどのデジタル信号線を伝送する信号の電圧波形の詳細を示す図
【図7】本発明の第1実施形態における他の構成例を示す電気系回路のブロック図
【図8】本発明の第1実施形態における他の構成例を示す電気系回路のブロック図
【図9】本発明の第2実施形態における電磁妨害源の特定装置の動作を示すフローチャート
【図10】本発明の第2実施形態における電子機器の平面図
【図11】本発明の第2実施形態における不一致度を表すマッピング図
【図12】本発明の第2実施形態におけるアンテナで受信した電磁波の信号波形を示す図
【図13】本発明の第2実施形態におけるセンサが段階D3の範囲内で検出した電磁波の信号波形を示す図
【図14】本発明の第2実施形態におけるセンサが段階D4の範囲内で検出した電磁波の信号波形を示す図
【図15】本発明の第2実施形態におけるセンサが段階D6の範囲内で検出した電磁波の信号波形を示す図
【図16】本発明の第3実施形態における電磁妨害源の特定装置の電気系回路を示すブロック図
【図17】本発明の第3実施形態において測定した位相差の一例を示す図
【図18】本発明の第3実施形態において測定した位相差の一例を示す図
【図19】本発明の第3実施形態において測定した位相差の一例を示す図
【図20】本発明の第3実施形態において測定した位相差の頻度分布を示す図
【図21】本発明の第3実施形態において測定した位相差の頻度分布を示す図
【図22】本発明の第3実施形態において測定した位相差の頻度分布を示す図
【図23】本発明の第3実施形態における電磁妨害源の特定装置の動作を示すフローチャート
【図24】本発明の第3実施形態における他の構成例を示す電気系回路のブロック図
【図25】本発明の第3実施形態における他の構成例を示す電気系回路のブロック図
【図26】本発明の第4実施形態における電磁妨害源の特定装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0016】
最初に第1の実施形態を説明する。
【0017】
第1の実施形態は、妨害を受けているアンテナで受信される電磁波の大きさの時間波形と、妨害電磁波を発している電子機器の近傍を走査するセンサで検出した電磁波の大きさの時間波形が近いときのセンサの位置の近傍が妨害電磁波の発生源であると特定する装置について説明する。ここでは電磁波の受信信号の大きさの推移を比較してその不一致度を算出し、これにより発生源を特定している。
【0018】
例えば、受信した電磁波の信号の大きさの時間変化に着目すれば妨害を受けているアンテナで受信した信号がある時間間隔毎に強(a dB)弱(−b dB)強(c dB)弱(−d dB)と変化したときに、電磁波センサで検出した信号が(a、−b、c、−d dB)とアンテナで受信した信号と同じように強弱強弱と変化すれば100%の一致で誤差率0dB/点となり、電磁波センサで検出した信号が(e、f、g、h dB)と変化した場合は、誤差率(不一致度)=(|(a−e)|+|(−b−f)|+|(c−g)|+|(−d−h)|)/4 [dB/点]と表すことができる。なお、異なる熱雑音同士は一致度が極めて低いので、この熱雑音同士の誤差率の値と同様であれば一致度は十分低いと判断しても良い。このように電磁波の大きさの一致度を目安として正確に妨害電磁波の発生源を特定することが可能になる。
【0019】
図1は本発明の第1実施形態における電磁妨害源特定装置の電気系回路を示すブロック図である。
【0020】
図において、1は妨害電磁波を発生するとともに、自己が発生した妨害電磁波によって妨害を受けている電子機器であり、例えば携帯電話の回路基板などである。2は走査用のセンサであって、例えばシールデッドループ構造のプローブアンテナである。3は妨害電波受信用のアンテナで、例えばモノポールアンテナからなる。4は走査装置で、センサ2を電子機器1の周囲に設定した所定の走査面において走査させる。5,6はミキサ、7は第1信号検出部、8は第2信号検出部、9は発振器、10は分波器、11はコンピュータ装置、12は測定部、13は不一致度算出部、14は表示制御部、15は表示部、16は操作装置制御部である。
【0021】
上記のうち電子機器1を除くその他の構成要素によって本実施形態における電磁妨害源の特定装置が構成される。
【0022】
センサ2はミキサ5を介して第1信号検出部7に接続され、アンテナ3はミキサ6を介して第2信号検出部8に接続されている。
【0023】
ミキサ5,6には、発振器9で生成された周波数変換用の基準信号が分波器10により分配されて入力される。これにより、第1信号検出部7と第2信号検出部8へ入力される信号はミキサ5,6によってダウンコンバートされる。
【0024】
図示していないが、ダウンコンバート時にはフィルタが挿入され、ミキシングで発生する不要信号等が第1信号検出部7と第2信号検出部8に影響を与えないように、測定に必要な信号のみを第1信号検出部7と第2信号検出部8に入力される。
【0025】
第1信号検出部7は、直交変調器とアナログデジタルコンバータとを有し、直交変調器で使用される内部の基準信号を基にした90度位相の異なるI,Q2つのデジタルデータを得ることができる。このデータにデジタルフィルタリングを行い、測定する周波数成分を取り出すことで、第1信号検出部7に入力された測定周波数帯域の入力信号電力の大きさをデジタル値A1(第1デジタル値)、位相の情報をデジタル値θ1(第1位相デジタル値)、を出力する。この位相θ1は、直交変調器で使用している信号を基準としたものとなる。また、第1信号検出部7から出力された大きさ及び位相の2つのデジタル値はコンピュータ装置11の測定部12に入力される。
【0026】
第2信号検出部8は、同様に入力信号電力の大きさをデジタル値A2(第2デジタル値)、位相の情報をデジタル値θ2(第2位相デジタル値)、を出力する。また、第2信号検出部8から出力された大きさ及び位相の2つのデジタル値はコンピュータ装置11の測定部12に入力される。
【0027】
コンピュータ装置11は、図示せぬ記憶部に予め格納されているコンピュータプログラムによって動作するものであり、第1メモリ12aと第2メモリ12bからなる測定部12と、不一致度算出部13、表示制御部14、表示部15、操作装置制御部16を備えている。コンピュータ装置11に備わるこれらの構成部はコンピュータプログラムとハードウェアによって構成されている。
【0028】
測定部12は、走査装置制御部16から出力されるセンサ2のXY平面内における座標情報(位置情報)を入力し、この座標情報とともに第1信号検出部7から出力される大きさのデジタル値A1(第1デジタル値)及び位相のデジタル値θ1(第1位相デジタル値)を所定のサンプリング時間ts毎に記録アドレスを順次変えながら第1メモリ12aに記憶する。さらに測定部12は、上記座標情報とともに第2信号検出部8から出力される大きさのデジタル値A2(第2デジタル値)及び位相のデジタル値θ2(第2位相デジタル値)を所定のサンプリング時間ts毎に記録アドレスを順次変えながら第2メモリ12bに記憶する。
【0029】
不一致度算出部13は、第1メモリ12aと第2メモリ12bに記憶されている信号電力の大きさの値を、センサ2の位置情報に基づくセンサ2の位置毎に読み出す。この読み出した大きさの値を用いて、センサ2によって検出した信号電力の大きさとアンテナ3によって受信した信号電力の大きさの不一致度を算出する。
【0030】
すなわち、第1メモリ12aにはセンサ2によって検出した信号電力の大きさの値A1={A11、A12、・・・A1n}とその位相の値θ1={θ11、θ12、・・・θ1n}が記憶され、第2メモリ12bにはアンテナ3によって受信した信号電力の大きさの値A2={A21、A22、・・・A2n}とその位相の値θ2={θ21、θ22、・・・θ2n}が記憶される。本実施例ではこれらの大きさの値A1,A2を用い、位相θ1,θ2の値は使用しない場合について述べる。
【0031】
第1メモリ12aに記憶されている信号電力の大きさの値は、例えば、センサ2のそれぞれの位置毎に図2に示すように変化するものであり、サンプリング時間ts(=T(m+1)−Tm : mは自然数)毎に記憶されたものである。また、第2メモリ12bに記憶されている信号電力の大きさの値は、例えば、センサ2のそれぞれの位置毎に対応し、図3に示すように変化するものであり、サンプリング時間ts毎に記憶されたものである。
【0032】
なお、測定時間=サンプリング時間ts×サンプリング数n(nは自然数)である。サンプリング時間ts及びサンプリング数nは被測定雑音に合わせて適宜設定することが好ましい。また、不一致度の算出には全測定データを使用しても良いし、間引いたデータを使用しても良い。
【0033】
不一致度は次の(1)式によって算出される。
【0034】
【数1】

ここでは、センサ2によって検出した信号電力の大きさのサンプリング時間単位の変動量と、アンテナ3によって受信した信号電力の大きさのサンプリング時間帯の変動量の差の値の絶対値を前記測定時間の開始から終了まで積算した値を不一致度としている。
【0035】
上記式(1)によって算出した不一致度が小さいほどセンサ2によって検出した信号電力の大きさの推移とアンテナ3によって受信した信号電力の大きさの推移が等しいことになりセンサ2の位置によって妨害電磁波の発生源を特定することができる。
【0036】
なお、次の(2)式のように積算値の平均値を算出して不一致度としても良い。
【0037】
【数2】

このように積算値の平均値を不一致度として用いることにより、積算値を不一致度として用いるよりもサンプリング数nが大きくなっても不一致度の値が小さくなるとともに、サンプリング数nが異なる不一致度を比較することもできる。
【0038】
表示制御部14は、不一致度算出部13によって算出された不一致度と該不一致度に対応するセンサ2の位置情報を不一致度算出部13から入力し、センサ2の位置情報と不一致度を表示部15に表示する。
【0039】
また、走査装置制御部16は、電子機器1の近傍に設定された所定の測定面(XY平面)をセンサ2が走査するように走査装置4の駆動を制御するとともに、センサ2の位置情報(XY座標)を第1メモリ12aと第2メモリ12bに出力する。
【0040】
なお、測定結果を表示する際には、現在のセンサ2の位置における不一致度のみを表示するようにしても良い。また、測定した全てのセンサ2の位置と不一致度を対応付けた表形式で表示しても良い。表示形式は適宜設定することが好ましい。
【0041】
次に、本実施形態における電磁妨害源特定装置の動作を図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
コンピュータ装置11は測定を開始すると、センサ2の位置毎に以下のSA1〜SA5(図4参照)の処理を行う。
【0043】
すなわち、センサ2の位置情報と第1信号検出部7の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第1メモリ12aに記憶するとともに、センサ2の位置情報と第2信号検出部8の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第2メモリ12bに記憶する(SA1)。
【0044】
つぎに、第1メモリ12aに記憶された大きさの値のサンプリング時間ts毎の変化量を第1変化量(=(A1(m+1)−A1m))として算出する(SA2)。さらに第2メモリ12bに記憶された大きさの値のサンプリング時間ts毎の変化量を第2変化量(=(A2(m+1)−A2m))として算出する(SA3)。
【0045】
この後、第1変化量と第2変化量の差の値(=(A1(m+1)−A1m)−(A2(m+1)−A2m))の積算値の平均値を上記(2)式を用いて算出する(SA4)。次いで、算出した平均値を不一致度として表示部15に表示する(SA5)。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、被測定物1の近傍を走査するセンサ2を走査させながら、その検出信号とアンテナ3による受信信号との不一致度を比較することにより、センサ2の走査位置における電磁波とアンテナ3によって受信した電磁波の時間変動が似ている位置を特定することができる。
【0047】
次に、本実施形態における具体的な実施例について説明する。
【0048】
被妨害アンテナ3の近くに設置され、基本クロック周波数が27MHzのデジタル回路を有する電子機器1では、例えばその回路に接続されるDRAMのアドレスバス又はデータバスなどのデジタル信号線には、基本クロックが5逓倍された135MHzの周波数を元に生成された図5に示されるようなデジタル情報に対応した論理値0または論理値1を表す電圧波形が観測できる。
【0049】
そしてこのDRAMは周辺に接続されるICなどの半導体部品との間にて、あるまとまった数の所望される情報列(ビット列)を送信または受信を行う。その情報はとぎれることなく常時伝送さえるわけではなく、各々の半導体類と調歩をとりながらやや間欠的に情報を伝送する。このため情報伝送がなされている間は論理値0と論理値1が情報に合わせて繰り返され、情報伝送が止まっている間は論理値0または論理値1にて固定される。そしてその情報伝送のされている期間と止まっている期間は半導体のブロック毎または端子毎にある程度の時間的に変動を伴っている。
【0050】
電圧波形を観測すると図6のように約15msの期間情報伝送して、約1.5ms伝送が止まっている。すなわち約16.5ms毎に情報伝送と停止が繰り返されていることが確認できる。このような時間的に変動する特性を、妨害源の特定に使用するのが、この実施例である。
【0051】
一方、このDRAMが持つようなデジタル信号は論理値0または論理値1が遷移する瞬間に電界または磁界又はこれらの両方を放出し、そのエネルギーが電磁波となって空間を伝わり離れた場所にあるアンテナで受信されることがある。
【0052】
アンテナが電界型の場合、電界エネルギーを多く受信し、磁界型の場合は磁界エネルギーを多く受信する。通常は電界又は磁界のどちらか一方だけを受信するのではなく電界と磁界の両方を受信するアンテナが一般的である。何れにしても、前記のようなデジタル回路(DRAMのような半導体)の近隣にアンテナを配置すると前記デジタル信号が発するエネルギーをアンテナが受信してしまうことがある。このときのアンテナを被妨害アンテナと称する。前述した実施形態ではアンテナ3が被妨害アンテナとなる。
【0053】
被妨害アンテナが受信した電界又は磁界或いはそれらの両方のエネルギーはアンテナの基本的機能として電力に変換されて同軸コネクタに出力される。被妨害アンテナの同軸コネクタと測定器の同軸コネクタを50Ωの特性インピーダンスを持った同軸ケーブルで接続することで被妨害アンテナが受信した電力信号を測定器に導くことができる。この測定器が前述した実施形態における第2信号検出部8である。第2信号検出部8の前段にはミキサ6が設けられ、ミキサ6には分波器10と発振器9が接続されている。これらの回路は周波数を変換する働きを持ち、例えばアンテナ3からミキサ6に入力された電力がA[MHz]の時に発振器9の周波数をB[MHz]に設定すると、ミキサ6の出力にはA+B[MHz]および|A−B|[MHz]が得られる。すなわち発振器9の周波数を適宜設定することによりアンテナ3からミキサ6に入力される信号電力の周波数が高くなっても、ミキサ6の後段に接続される第2信号検出部8が扱うことのできる周波数に変換することができる。例として被妨害アンテナ3で受信された240MHzの電力の測定を行う場合に、発振器の周波数を170MHzに設定して、ミキサ6の出力周波数として240+170=410MHzと240−170=70MHzを得て後段の第2信号検出部8に入力する。また、この場合の70MHz以外の信号はフィルタリング(除去)される必要がある。
【0054】
第2信号検出部8では95MSa/sのサンプリングを行い、10.5ns毎にミキサ6から入力された電力信号をアナログからデジタル値に変換する。そして、直交復調を行い、デジタルフィルタリング(除去)することにより、所望帯域の信号の大きさと位相のデジタルデータを得る。そして、第2メモリ12bがこの大きさのデジタル値を順次記憶する。第2メモリ12bに格納されたデジタル値は後段に接続される不一致度算出部13に伝送される。
【0055】
なお、このときのメモリブロック長は32768ポイントで波形の取り込み時間は約44msであり、サンプリング間隔やデータ数など適切に諸条件を設定すると被妨害アンテナ3が受信した電磁波エネルギーの繰り返し周期より長い時間の測定を行うことができる。
【0056】
前記の構成を用いて得られたデータは第1信号検出部、第2信号検出部ともに1.34μs毎にデジタル値に変換された32768点の振幅データである。
【0057】
前述したように、アドレスバス又はデータバスなどのデジタル信号線を伝搬する信号はそれぞれ特徴のある時間的な変動を有する場合がほとんどであるため、妨害信号の時間的な変動と比較することで、ICの何れの出力端子から出力される信号が妨害電磁波の発生源であるかを特定することができる。このため、妨害電磁波の発生を抑制する対策も必要最小限に留めることができるので、対策にかかる費用を従来よりも低減することができる。
【0058】
なお、基本クロック周波数は27MHz等が使用されるが半導体の仕様に従いおおよそ32kHz〜1GHzの範囲で任意に設定される。
【0059】
クロック周波数の逓倍数は3倍、5倍などが用いられるが半導体に仕様に従い任意に設定される。
【0060】
DRAM等による情報伝送の周期性は半導体の仕様により任意に設定される。
【0061】
ミキサ5,6の出力は70MHzに限定されることはなく、後段に使用される第1及び第2信号検出部7,8の仕様に従い任意に設定することができる。
【0062】
第1及び第2信号検出部7,8のサンプリングは95MSa/sに限られるわけではなく使用されるA/D変換器の仕様に従い任意に設定できる。
【0063】
コンピュータ装置11でのデジタル信号処理は、測定したい条件に合わせて、周波数と帯域の幅を調整することができる。
【0064】
また、妨害電波受信用のアンテナ3として図7に示すように妨害を受けている電子機器1のアンテナ1aを用いても良い。また、妨害電波受信用のアンテナ3として図8に示すようにEMI測定アンテナ3Aを用いても良い。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0066】
第2実施形態の装置構成は前述した第1実施形態とほぼ同じであり、第2実施形態と第1実施形態との相違点は、測定結果の不一致度を表示部15にマッピング表示するようにしたことにある。つまり、不一致度を複数の段階に区分して、この段階毎に表示色を変えて表示部15のモニタ画面に電子機器1の平面(XY平面)上の不一致度を表示するようにした。
【0067】
このときのコンピュータ装置11の動作を図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0068】
コンピュータ装置11は測定を開始すると、センサ2の位置を走査しながら以下のSB1〜SB9の処理を行う。
【0069】
すなわち、センサ2の位置情報と第1信号検出部7の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第1メモリ12aに記憶するとともに、センサ2の位置情報と第2信号検出部8の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第2メモリ12bに記憶する(SB1)。
【0070】
全ての測定対象位置における測定データを第1メモリ12a及び第2メモリ12bに記憶した後、第1メモリ12a及び第2メモリ12bに記憶されている位置情報を取得する(SB2)。つづいて、同一の位置情報毎に、第1メモリ12aに記憶された大きさの値のサンプリング時間ts毎の変化量を第1変化量(A1(m+1)−A1m)として算出する(SB3)。さらに、第2メモリ12bに記憶された大きさの値のサンプリング時間ts毎の変化量を第2変化量(A2(m+1)−A2m)として算出する(SB4)。
【0071】
この後、第1変化量と第2変化量の差の値、すなわち、(A1(m+1)−A1m)−(A2(m+1)−A2m)の積算値の平均値を、上記(2)式を用いて算出する(SB5)。この算出した平均値を不一致度として位置情報に対応させて図示せぬハードディスクなどの記憶部に記憶する(SB6)。
【0072】
次いで、XY平面状の全ての測定対象位置に関して上記平均値(不一致度)の算出を行ったか否かを判定する(SB7)。同様に、全ての測定対象位置について上記平均値(不一致度)の算出を行っていないときは位置情報を更新して(SB8)、上記SB2の処理に移行する。
【0073】
また、全ての測定対象位置について上記平均値、すなわち、不一致度の算出が終了したとき、XY平面上のセンサ2の位置情報に対応させて算出した平均値を不一致度とし、上記のように段階に色分けして表示部15に表示する(SB9)。
【0074】
このとき、電子機器1の平面形状が図10であるとき、図11に示すように不一致度が色分けしてマッピング表示される。図11では段階D1〜D6の6段階に分けて色分け表示されており、D1>D2>D3>D4>D5>D6のように段階D1の不一致度が最も大きく、段階D6の不一致度が最も小さい。すなわち、段階D6として表示されている位置に妨害電磁波の発生源が存在することになる。
【0075】
例えば、妨害電磁波を受信しているアンテナ3から出力される信号の大きさの時間波形が図12に示されるものであるとする。ここで、図12の横軸は時間であり縦軸は信号の大きさ(レベル)である。このときの、段階D3の位置における信号の大きさの波形は図13に示すものであり、段階D4の位置における信号の大きさの波形は図14に示すものであり、段階D6の位置における信号の大きさの波形は図15に示すものである。このように、段階D6の位置における信号の大きさの波形はアンテナ3で受信した信号の大きさの波形とほぼ一致している。これにより、妨害電磁波の発生源は段階D6として表示されている位置に存在することになる。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、被測定物1の近傍を走査するセンサ2を走査させながら、その検出信号とアンテナ3による受信信号とを比較し、その不一致度をマッピング表示する。このマッピング表示を見ることにより、センサ2の走査位置における電磁波とアンテナ3によって受信した電磁波の時間軸の変動がほぼ同じになる位置すなわち妨害電磁波の発生源を特定することができる。
【0077】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0078】
第3実施形態は、妨害を受けているアンテナ3で受信される電磁波の位相と、妨害電磁波を発している電子機器の近傍を走査するセンサで検出した電磁波の位相差がある一定の値で安定して測定できるセンサの位置の近傍が妨害電磁波の発生源であると特定する装置について説明する。ここでは2つの入力部に入力される電磁波の受信信号の位相差を測定してその値の安定度を一致度として算出し、これにより発生源を特定している。
【0079】
妨害を受けているアンテナで受信した電力信号の位相と、電磁波センサによって検出した電力信号の位相の差が安定しているか否かによってコヒーレンシーのある同じ信号であるか否かを判断する。
【0080】
一般に同じ発生源から発生された電磁波の信号はコヒーレンシーがあるため、異なる2つの、発生源の近傍の位置に置かれた電磁波センサで受信した信号と、妨害を受けているアンテナで受信した電磁波の位相差はある値となるためその位相差は安定して一定の値を示す。たとえ同じ周波数であっても信号の発生源が異なれば位相にズレが生じるため位相差は一定の値にならず、これにより信号源を判別することができる。
【0081】
なお、この信号が時間的に変動する場合、信号が大きい時間には安定した位相差が測定できるが、信号が小さい時間では測定機等の熱雑音も含む測定になるため位相差は不安定になる。このように、常に安定した位相差が得られるのではなく、ある時間安定した値であれば、同じ信号であると判断できる。
【0082】
所定時間2つの電力信号間の位相を測定する場合、その信号が完全に同期していない、すなわち、一致が全くない場合で、その位相差の値は±180度の範囲で満遍なくばらつく。これに位相が一致する信号が混ざって入っている場合、位相差の値のばらつきが特定の値の付近に集まってくる。このばらつきの大きさ、すなわち、ばらつき幅、半値幅、ヒストグラムの最小値と最大値の差、等が一致度の大きさの目安となる。例えば、ばらつき幅が位相差±5度の範囲で位相差の値が安定しているときは、一致していると判断できる。
【0083】
図16は本発明の第3実施形態における電磁妨害源特定装置の電気系回路を示すブロック図である。
【0084】
図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を下記以外に省略する。
【0085】
この第3実施形態では第2信号検出部8と同様の構成を持った第1信号検出部7を備えている。第1信号検出部7と第2信号検出部8は同等の回路構成であり、分配器10からミキサ5,6へ配線される同軸ケーブルの長さを同等の長さにする。センサ2からミキサ5へ配線される同軸ケーブルの長さとアンテナ3からミキサ6へ配線される同軸ケーブルの長さを同等にする。さらにミキサ5から第1信号検出部7へ配線される同軸ケーブルの長さとミキサ6から第2信号検出部8へ配線される同軸ケーブルの長さを同等の長さとする。このことによって、第1信号検出部7に入力される信号の位相と第2信号検出部8に入力される信号の位相は等しく保たれる。すなわち第1信号検出部7への入力電力と第2信号検出部8への入力電力の位相関係をセンサ2及びアンテナ3で受信したときと同じに保つことができる。第1及び第2信号検出部7,8のサンプリングにおいても両方のサンプリングが位相差を持たずに同時にデジタル変換することで両入力電力の位相関係を保ちデジタル化されている。
【0086】
すなわち、第2信号検出部8を通して得られた被妨害アンテナ3が受信した信号電力と、第1信号検出部7を通して得られたセンサ2が受信した信号電力の位相関係が保たれ一定時間間隔毎の信号の振幅をデジタル値としたデータが得られる。
【0087】
また、第3実施形態と前述した第1実施形態との相違点は、第1実施形態では信号電力の大きさのデジタル値A1,A2を用いて不一致度を算出していたことに代えて、第3実施形態では信号電力の位相のデジタル値θ1,θ2を用いて一致度を算出するようにコンピュータ装置11のプログラムを変更したことであり、第1実施形態における不一致度算出部13に代えて一致度算出部17を設けた。
【0088】
すなわち、本実施形態における一致度算出部17は、第1メモリ12aと第2メモリ12bに記憶されている信号電力の位相の値のデジタル値θ1,θ2を、センサ2の位置情報に基づくセンサ2の位置毎に読み出して、読み出した位相のデジタル値θ1,θ2を用いて、センサ2によって検出した信号電力の位相とアンテナ3によって受信した信号電力の位相との位相差の時間経過に伴う安定性から一致度を算出する。
【0089】
すなわち、第1メモリ12aにはセンサ2によって検出した信号電力の大きさの値A1={A11、A12、・・・A1n}とその位相の値θ1={θ11、θ12、・・・θ1n}が記憶され、第2メモリ12bにはアンテナ3によって受信した信号電力の大きさの値A2={A21、A22、・・・A2n}とその位相の値θ2={θ21、θ22、・・・θ2n}が記憶されている。本実施例ではこれらの大きさの値A1,A2を使用せず、位相θ1,θ2の値のみを使用する。この位相θ1,θ2は、前述の信号検出部7,8の直交変調器で使用している信号を基準としたものである。このため、通常では一定の値とはならない。しかしながら、2つの信号入力が同じコヒーレンシーを有していれば、その信号の位相差θd=θ1−θ2は、ある一定の値となる。
【0090】
第1メモリ12aに記憶されている信号電力の位相の値θ1(第1位相デジタル値)と第2メモリ12bに記憶されている信号電力の位相の値θ2(第2位相デジタル値)の差の値、すなわち、位相差θd=θ1−θ2は、例えば、センサ2の位置の違いに応じて例えば図17〜図19に示すように変化するものである。
【0091】
なお、測定時間=サンプリング時間ts×サンプリング数n(nは自然数)である。サンプリング時間ts及びサンプリング数nは被測定雑音に合わせて適宜設定することが好ましい。また、一致度の算出には全測定データを使用しても良いし、間引いたデータを使用しても良い。
【0092】
本実施形態において一致度はセンサ2の位置毎に各位相差θdのヒストグラムを描き、出現頻度を求め、各位相差θdの頻度のうち最も大きな値と均一にばらついたとした場合の出現頻度の差を一致度としている。この一致度が大きいほどセンサ2によって検出した信号電力の位相とアンテナ3によって受信した信号電力の位相がコヒーレンシーを示すことになりセンサ2の位置によって妨害電磁波の発生源を特定することができる。つまり、図17に示すように位相差が変化するときの頻度分布は図20に示すようになり、図18に示すように位相差が変化するときの頻度分布は図21に示すようになり、図19に示すように位相差が変化するときの頻度分布は図22に示すようになる。このように、位相差θdが一定の値に収束するほどセンサ2によって検出した信号電力の位相とアンテナ3によって受信した信号電力の位相の差がある値となることになり、コヒーレンシーが高いことを示している。つまり、このときの頻度と均一にばらついている場合の出現頻度、すなわち、測定母数/値範囲の分割数:サンプリング数3600測定回を10度刻みで頻度分布を描いた場合の出現頻度100における差は、一致度である。
【0093】
また、サンプリング数をnとすると一致度は時間ごとの位相差の値の変化の無さと考えることもできるため、次の(3)式、
【0094】
【数3】

あるいは、次の(4)式、
【0095】
【数4】

と定義しても良い。
【0096】
表示制御部14は、一致度算出部17によって算出された一致度と該一致度に対応するセンサ2の位置情報を一致度算出部17から入力し、センサ2の位置情報と一致度を表示部15に表示する。
【0097】
本実施形態においても前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、測定結果を表示する際には、現在のセンサ2の位置における一致度のみを表示するようにしても良いし、測定した全てのセンサ2の位置と一致度を対応付けた表形式で表示しても良い。表示形式は適宜設定することが好ましい。
【0099】
また、イントラシステムEMCの場合、妨害電波受信用のアンテナ3として図24に示すように妨害を受けている電子機器1のアンテナ1aを用いても良い。また、妨害電波受信用のアンテナ3として図25に示すようにEMI測定アンテナ3Aを用いても良い。
【0100】
次に、本実施形態における電磁妨害源特定装置の動作を図23に示すフローチャートを参照して説明する。
【0101】
コンピュータ装置11は測定を開始すると、センサ2の位置毎に以下のSC1〜SC4の処理を行う。
【0102】
すなわち、センサ2の位置情報と第1信号検出部7の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第1メモリ12aに記憶するとともに、センサ2の位置情報と第2信号検出部8の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第2メモリ12bに記憶する(SC1)。
【0103】
つぎに、第1メモリ12aに記憶された位相の値θ1と第2メモリ12bに記憶された位相の値θ2との差の値(位相差θd)算出する(SC2)。
【0104】
この後、SC2において求めた位相差θdの逆数を算出することにより、一致度を算出する(SC3)。次いで、算出した一致度を表示部15に表示する(SC4)。
【0105】
以上のように、本実施形態によれば、被測定物1の近傍を走査するセンサ2を走査させながら、その検出信号とアンテナ3による受信信号との位相を比較することにより、センサ2の走査位置における電磁波とアンテナ3によって受信した電磁波のコヒーレンシーが高くなる位置すなわち妨害電磁波の発生源を特定することができる。
【0106】
したがって、本実施形態においても前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
また、本実施形態では、信号の位相差を比較してコヒーレンシーの有無を判断しているので、第1及び第2実施形態のように信号の大きさの時間変動を比較する場合とは異なる条件で信号の特定を行っている。これらの異なる方法を組み合わせて使用すれば、より正確な妨害電波の発生源特定が可能になる。
【0108】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
【0109】
第4実施形態の装置構成は前述した第3実施形態とほぼ同じであり、第4実施形態と第3実施形態との相違点は、測定結果の一致度を表示部15にマッピング表示するようにしたことにある。つまり、一致度を複数の段階に区分して、この段階毎に表示色を変えて表示部15のモニタ画面に電子機器1の平面(XY平面)上の一致度を表示するようにした。
【0110】
このときのコンピュータ装置11の動作を図26に示すフローチャートを参照して説明する。
【0111】
コンピュータ装置11は測定を開始すると、センサ2の位置を走査しながら以下のSD1〜SD8の処理を行う。
【0112】
すなわち、センサ2の位置情報と第1信号検出部7の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第1メモリ12aに記憶するとともに、センサ2の位置情報と第2信号検出部8の出力データ(上記大きさの値と位相の値)を第2メモリ12bに記憶する(SD1)。
【0113】
全ての測定対象位置における測定データを第1メモリ12a及び第2メモリ12bに記憶した後、第1メモリ12a及び第2メモリ12bに記憶されている位置情報を取得し(SD2)、同一の位置情報毎に、第1メモリ12aに記憶された位相の値θ1と第2メモリ12bに記憶された位相の値θ2との差の値(位相差θd)算出する(SD3)。
【0114】
この後、位相差θdの頻度を算出し(SD4)、この頻度の値を位置情報に対応させて図示せぬハードディスクなどの記憶部に記憶する(SD5)。
【0115】
次いで、XY平面状の全ての測定対象位置に関して上記頻度の算出を行ったか否かを判定し(SD6)、全ての測定対象位置について上記頻度の算出を行っていないときは位置情報を更新して(SD7)、上記SD2の処理に移行する。
【0116】
また、全ての測定対象位置について上記頻度の算出が終了したときは、XY平面上のセンサ2の位置情報に対応させて算出した一致度とし、上記のように段階に色分けして表示部15に表示する(SD8)。
【0117】
このとき、電子機器1の平面形状が前述した図10であるとき、図11に示すように一致度が色分けしてマッピング表示される。図11では段階D1〜D6の6段階に分けて色分け表示されており、D1<D2<D3<D4<D5<D6のように段階D6が一致度が最も大きく、段階D1が一致度が最も小さい。すなわち、段階D6として表示されている位置に妨害電磁波の発生源が存在することになる。
【0118】
以上のように、本実施形態によれば、被測定物1の近傍を走査するセンサ2を走査させながら、その検出信号とアンテナ3による受信信号とを比較し、その一致度をマッピング表示しているので、マッピング表示を見ることによりセンサ2の走査位置における電磁波とアンテナ3によって受信した電磁波のコヒーレンシーが高くなる位置すなわち妨害電磁波の発生源を特定することができる。
【0119】
したがって、本実施形態においても前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
前述した各実施形態における妨害電磁波の発生源特定方法は単独で用いても良く、または複数の方法を組み合わせることでも発生源の特定は可能である。また、ノイズ測定に一般的に見られるランダム性を考慮して、同一条件で複数繰り返して測定し、不一致度或いは一致度の平均値や標準偏差をとるなどの統計処理も考えられる。
【0121】
電磁波を検出するセンサ2を移動させる2軸(互いに直交するX軸とY軸)または3軸(互いに直交するX軸とY軸とZ軸)の走査装置4を用いて、センサ2の位置を変えながら測定を行い、それぞれの箇所での上記の不一致度或いは一致度をマッピング表示することで、従来技術より正確に妨害電磁波の発生原を特定することができる。
【0122】
前述したように、上記各実施形態では、妨害電磁波を受信しているアンテナから出力された雑音の信号電力と時間変動やコヒーレンシー等の一致している可能性が高い信号電力を有する妨害電磁波の発生源を特定することができる。このため、イントラシステムEMCにおけるにおける妨害電磁波発生源や不要輻射EMIの原因である根本ノイズの電磁波発生源を特定することができ、有効なEMC問題の対策が可能になる。
【0123】
これにより、イントラシステムEMCにおいて、機器内部に配置されたアンテナが受信した信号を基準信号として標本化することで、その妨害源を特定することができる。また、10m法電波暗室などの不要輻射EMIにおいて、測定アンテナの信号を基準信号として標本化することで、EMIの発生源を特定することができる。
【0124】
また、上記センサ2としてシーデッドループアンテナを用いたが、これに限定されることはなく、これ以外のアンテナ、例えばモノポールアンテナ等を用いても同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0125】
また、上記コンピュータ装置を上記各実施形態のように動作させるコンピュータプログラムを記録したフロッピー(登録商標)ディスクやCD或いはDVDなどのコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体を作成することにより、任意のコンピュータ装置を上記コンピュータ装置11と同様に使用する際に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
走査可能なセンサにより妨害電磁波を発生している電子機器の近傍を走査し、センサによって検出した電磁波の信号電力と妨害電磁波を受信しているアンテナから出力される信号電力を比較することにより、センサの位置によって妨害電磁波の発生源を特定することができる。このため、イントラシステムEMCにおけるにおける妨害電磁波発生源や不要輻射EMIの原因である根本ノイズの電磁波発生源を特定することができ、EMC問題の有効な対策が可能になる。
【符号の説明】
【0127】
1…電子機器、1a…アンテナ、2…センサ、3…アンテナ、3A…EMI測定アンテナ、4…走査装置、5,6…ミキサ、7…第1信号検出部、8…第2信号検出部、9…発信器、10…分波器、11…コンピュータ装置、12…測定部、12a…第1メモリ、12b…第2メモリ、13…不一致度算出部、14…表示制御部、15…表示部、16…走査装置制御部、17…一致度算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定装置において、
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1デジタル値と前記第2デジタル値を入力し、前記第1信号電力及び前記第2信号電力のそれぞれの大きさの時間経過に伴う推移を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記第1信号電力の大きさの推移と前記第2信号電力の大きさの推移とを比較して推移の一致度あるいは不一致度を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された一致度あるいは不一致度を報知する報知部とを備えている
ことを特徴とする電磁妨害源特定装置。
【請求項2】
電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定装置において、
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1デジタル値と前記第2デジタル値を入力し、前記第1信号電力及び前記第2信号電力のそれぞれの大きさの時間経過に伴う推移を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記第1信号電力の大きさの推移と前記第2信号電力の大きさの推移とを比較して推移の一致度あるいは不一致度を算出する算出部と、
前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングするマッピング手段と、を備えた
ことを特徴とする電磁妨害源特定装置。
【請求項3】
前記算出部は、所定時間内における前記第1信号電力の大きさの時間変化量と前記第2信号電力の大きさの時間変化量の差の値を算出し、該算出した2つの時間変化量の差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定する手段を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項4】
前記第2信号電力は、前記妨害を受けている電子機器に搭載されているアンテナから出力される信号電力である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項5】
前記第2信号電力はEMI測定アンテナから出力される信号電力である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項6】
電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源の特定装置において、
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力センサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力し、前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相に基づいて前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の差の時間経過に伴う安定性から一致度あるいは不一致度を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された一致度あるいは不一致度を報知する報知部と、を備えている
ことを特徴とする電磁妨害源特定装置。
【請求項7】
電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源の特定装置において、
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力センサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力し、前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相に基づいて前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の差の時間経過に伴う安定性から一致度あるいは不一致度を算出する算出部と、
前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングするマッピング手段と、を備えた
ことを特徴とする電磁妨害源特定装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の位相差の値を算出し、該算出した位相差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定する手段を有する
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記位相差の値の時間統計値を計算し、該時間統計値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定する手段を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項10】
前記第2信号電力は、前記妨害を受けている電子機器に搭載されているアンテナから出力される信号電力である
ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項11】
前記第2信号電力はEMI測定アンテナから出力される信号電力である
ことを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の電磁妨害源特定装置。
【請求項12】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、
前記コンピュータ装置は、
前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、
前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、
前記第1メモリに記憶した前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶した前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較して該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求め、前記一致度あるいは不一致度を報知する
ことを特徴とする電磁妨害源特定方法。
【請求項13】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、
前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を検出し、該検出した位置情報を前記コンピュータ装置に出力する手段と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、
前記コンピュータ装置は、
前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、
前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、
前記第1メモリに記憶した前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶した前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較して該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求め、
サンプリング毎に前回サンプリングしたときの前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を取得し、
前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングする
ことを特徴とする電磁妨害源特定方法。
【請求項14】
前記コンピュータ装置は、
所定時間内における前記第1信号電力の大きさの時間変化量を算出するとともに、前記第2信号電力の大きさの時間変化量を算出し、この後、前記2つの時間変化量の差の値を算出し、該算出した2つの変化量の差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定する
ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電磁妨害源特定方法。
【請求項15】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、
前記コンピュータ装置は、
前記第1信号検出部から出力される前記第1位相デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、
前記第2信号検出部から出力される前記第2位相デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、
前記第1メモリに記憶した前記第1位相デジタル値と、前記第2メモリに記憶した前記第2位相デジタル値の該2つの位相差の時間経過に伴う安定性から一致度あるいは不一致度を求め、前記一致度あるいは不一致度を報知する
ことを特徴とする電磁妨害源特定方法。
【請求項16】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するための電磁妨害源特定方法であって、
前記コンピュータ装置は、
前記第1信号検出部から出力される前記第1位相デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶するとともに、
前記第2信号検出部から出力される前記第2位相デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶し、
前記第1メモリに記憶した前記第1位相デジタル値と、前記第2メモリに記憶した前記第2位相デジタル値の該2つの位相差の時間経過に伴う安定性から一致度あるいは不一致度を求め、
サンプリング毎に前回サンプリングしたときの前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を取得し、
前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングする
ことを特徴とする電磁妨害源特定方法。
【請求項17】
前記コンピュータ装置は、
前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の位相差の値を算出し、該算出した位相差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定する
ことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の電磁妨害源特定方法。
【請求項18】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するときに、前記コンピュータ装置を動作させるためのコンピュータプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1メモリに記憶されている前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶されている前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較させて該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求めさせるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記一致度あるいは不一致度を報知させるステップと、を有する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項19】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するときに、前記コンピュータ装置を動作させるためのコンピュータプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1メモリに記憶されている前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶されている前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較させて該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求めさせるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、所定時間内における前記第1信号電力の大きさの変化量を算出させるとともに、前記第2信号電力の大きさの変化量を算出させ、この後、前記2つの変化量の差の値を算出させ、該算出させた2つの変化量の差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定させるステップと、を有する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項20】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、該第1信号電力の大きさに対応する第1デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、該第2信号電力の大きさに対応する第2デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1及び第2デジタル値を入力するコンピュータ装置と、
前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を検出し、該検出した位置情報を前記コンピュータ装置に出力する手段と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するときに、前記コンピュータ装置を動作させるためのコンピュータプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号検出部から出力される前記第1デジタル値と前記位置情報とを所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第2信号検出部から出力される前記第2デジタル値と前記位置情報とを前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、同一の位置情報を有する前記第1デジタル値と前記第2デジタル値に対して、前記第1メモリに記憶されている前記第1デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶されている前記第2デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較させて該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求めさせるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記位置情報に基づいて、前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングさせるステップと、を有する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項21】
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、所定時間内における前記第1信号電力の大きさの時間変化量を算出させるとともに、前記第2信号電力の大きさの時間変化量を算出させ、この後、前記2つの時間変化量の差の値を算出させ、該算出させた2つの変化量の差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定させるステップを有する
ことを特徴とする請求項20に記載のコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項22】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力するコンピュータ装置と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するときに、前記コンピュータ装置を動作させるためのコンピュータプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号検出部から出力される前記第1位相デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第2信号検出部から出力される前記第2位相デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1メモリに記憶されている前記第1位相デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶されている前記第2位相デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較させて該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求めさせるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記一致度あるいは不一致度を報知させるステップと、を有する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項23】
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の位相差の値を算出させ、該算出させた位相差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定させる
ことを特徴とする請求項22に記載のコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項24】
妨害電磁波を発生している電子機器の近傍空間を移動可能なように設けられ、近傍電磁界を受波して該受波した近傍電磁界の信号電力を第1信号電力として出力するセンサと、
前記センサから出力される前記第1信号電力が入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第1信号電力の位相に対応する第1位相デジタル値を出力する第1信号検出部と、
妨害を受ける電子機器で受信する妨害電磁波の信号電力が第2信号電力として入力され、所定の基準信号を基準としたときの前記第2信号電力の位相に対応する第2位相デジタル値を出力する第2信号検出部と、
前記第1位相デジタル値と前記第2位相デジタル値を入力するコンピュータ装置と、
前記妨害電磁波を発生している電子機器に対する前記センサの位置情報を検出し、該検出した位置情報を前記コンピュータ装置に出力する手段と、を備えた電磁妨害源特定装置を用いて、電子機器が発生する妨害電磁波の発生位置を特定するときに、前記コンピュータ装置を動作させるためのコンピュータプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号検出部から出力される前記第1位相デジタル値を所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第1メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第2信号検出部から出力される前記第2位相デジタル値を前記所定サンプリング時間毎に取得して順次メモリアドレスを変化させて第2メモリに記憶させるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1メモリに記憶されている前記第1位相デジタル値の時間経過に伴う推移と、前記第2メモリに記憶されている前記第2位相デジタル値の時間経過に伴う推移とを比較させて該2つの推移の一致度あるいは不一致度を求めさせるステップと、
前記コンピュータ装置に対して、前記位置情報に基づいて、前記センサの位置と該位置における前記一致度あるいは不一致度をマッピングさせるステップと、を有する
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
【請求項25】
前記コンピュータプログラムは、
前記コンピュータ装置に対して、前記第1信号電力の位相と前記第2信号電力の位相の位相差の値を算出させ、該算出させた位相差の値に基づいて前記一致度あるいは不一致度を決定させる
ことを特徴とする請求項24に記載のコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−53859(P2013−53859A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190268(P2011−190268)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)