電磁放射により表面をスキャンする装置
電磁放射により表面をスキャンする装置が、開示される。この装置は、スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと、光軸に沿って伝搬する電磁放射により、スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと、光学ヘッドユニットに接続され、スキャン表面の上の光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面とスキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットと、光軸に対して流体皮膜の位置を制御する制御手段を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタやスキャナーのような、電磁放射により表面をスキャンする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射により表面をスキャンすることは、多くの用途で使用されている。
【0003】
特に、多くのプリンタは、ビームの電磁放射に感応する印刷表面を有する印刷媒体を露光するために、電磁ビームを使用している。所定のデジタル入力データに従って印刷物を露光するために、電磁ビームは一般的にその印刷表面を横切ってスキャンされ、デジタルデータに従って変調される。印刷表面が平面である場合には、そのようなプリンタは一般的に、フラットベッドプリンタと呼称される。
【0004】
さらに、光学スキャナーは、半導体カメラまたはその他の放射検出器を使用して、縦方向には連続的に、横方向には当該部分を越えて、例えば書類である原稿をスキャンすることにより、原稿からデジタル情報を取得するために、電磁放射を使用している。
【0005】
そのような用途においては、スキャン工程に使用されている光学システムとスキャンされる表面との間の距離を、一定に維持することが一般的に望ましい。この光学システムを含むユニットは、光学ヘッドまたはプリンタの場合には、プリントヘッドと呼称される。
【0006】
米国特許第4,941,065号は、横方向に配置され縦方向には変位可能な、門形のデバイス内部の、原稿上または原稿を覆うガラス板上を、半導体カメラがガイドされるスキャン装置を開示している。
【0007】
上記の従来技術の装置によれば、原稿または原稿を覆うガラス板とカメラの間の距離は、原稿またはガラス板のそれぞれの上を直接移動するカメラにより維持されている。後者の場合、中間のガラス板は完全には平面でないにもかかわらず、これはカメラと原稿との間の距離の正確な調整を可能にする。ガラス板の表面にキズがつくことを避けるために、カメラと原稿、または原稿を覆うガラス板との間の距離は、流体皮膜生成ユニットを使用して維持され、流体皮膜生成ユニットは、カメラユニットを加圧空気の皮膜上に「浮揚」させている。流体皮膜生成ユニットは、加圧空気がそれを通して提供される下向きの開口を有するリング形の部材を含んでいる。カメラは、リングの中心の開孔を通して受光するように配置されている。これは、半導体カメラが原稿またはガラス板のそれぞれに物理的に接触することなく、カメラから原稿またはガラス板(どちらが上方であっても)までの距離の調整ができるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特に印刷用途では、印刷媒体を保護ガラス板で覆うことは、しばしば望ましくない。多くの用途ではスキャンビームは、ガラス板により歪ませられる紫外線(UV)領域の光ビームである。従って、ベースプレート上に配置された印刷版上を、直接プリントヘッドユニットがスキャンすることが望ましい。他方、UVビームでスキャンすることは、そのようなシステムでは光学系の開孔が一般的に大きく、焦点深度が小さくなるので、印刷表面とプリントヘッドの間の距離を特に正確に制御することを必要とする。
【0009】
さらに、印刷版のエッジに未露光の領域を残すことなく、印刷版の全領域を印刷することが、しばしば特に望ましい。しかしながら、印刷表面のエッジでは、上記の従来技術のシステムの流体皮膜は、印刷版の上面と、印刷版が配置されたその下のベースプレートの上面の間の高さの差異のために、妨害されている。従って、光学ヘッドと、媒体のエッジでもスキャンされる媒体表面の間の距離を正確に制御することは、上記の従来技術の装置では問題になっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記およびその他の問題は、電磁放射により表面をスキャンする装置であって、その装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
光学ヘッドユニットに接続され、スキャン表面の上の光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面とスキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットと、を含み、
装置がさらに、光軸に対して流体皮膜の位置を制御する制御手段を含むことを特徴とする、装置により解決される。
【0011】
特に、光軸に対して流体皮膜の位置を制御するための制御手段を提供することにより、光学ヘッドユニットがその上に「浮揚」している流体皮膜がスキャン表面のエッジを越えることなく、光軸を有する光学ヘッドがスキャン表面のエッジに位置されてもよく、これにより、光学ヘッドとスキャン表面の間の距離を正確に維持する。
【0012】
エッジを損傷することなく、またはプリントヘッドそれ自身に損傷を与えることなく、光学ヘッドが印刷表面のエッジを越えてスキャンすることができるのは、さらなる利点である。
【0013】
スキャン表面は、印刷版や印刷シートのような、露光される印刷媒体の表面である。代替の実施形態では、スキャン表面は、例えば原稿、画像等のスキャンされるオリジナルの物体の表面である。いくつかの実施形態では、例えばガラス板である保護層により、媒体がカバーされている。このように用語スキャン表面は、流体皮膜生成ユニットの滑空面に最も接近し、それから所定の距離が維持されている表面に言及することを意味している。
【0014】
好ましくは、特にスキャン表面に対する光学ヘッドの位置に応じて、流体皮膜の位置を光学ヘッドのスキャン動作に同期して制御するように、制御手段が構成されている。いくつかの実施形態では、スキャン表面の位置およびサイズは、例えばオペレータにより、予め設定されている。他の実施形態では、スキャン表面のエッジの位置は、例えばスキャン表面への距離の変化を検出することにより、または光学ヘッドの下の表面の反射率の変化を検出すること等により、自動的に装置によって検出される。スキャン表面のエッジの自動的な検出は、起こりうる媒体の配列ずれに起因する、スキャン表面および/または光学ヘッドの損傷が避けられるという利点を有する。
【0015】
表面をスキャンする一方で、スキャン表面と光学ヘッドの間の正確な距離が維持される、任意の型式のスキャン/プリントシステムに、本発明が適用されることが理解される。特に、その用途に依存して、電磁放射は任意の適切な波長であってよい。例えば光学スキャナーは、電磁スペクトルの可視領域で動作されてもよい。他方印刷版を製造する多くのプリンタは、スペクトルの赤外線領域、可視領域または紫外線領域で動作される。スキャンビームは、レーザーによりまたは異なる光源により、発生されてもよい。特に、液晶ディスプレイまたはマイクロミラーアレイのような、2次元空間光変調器を用いる、種々の型式のデジタルイメージ露光システムが開示されている。さらに、用途に依存して、光学ヘッドは放射源であって、スキャン表面に向かってビームを導いてもよく、または光学ヘッドはスキャン表面から放射を受領してもよい。どの状況であっても、光学システムの焦点距離に応じて、正確に維持される距離は、スキャン結果の品質に対して重要である。
【0016】
スキャン表面に面した流体皮膜生成ユニットの表面の所定の一部のみを流体皮膜にカバーさせるように、流体皮膜生成ユニットが構成されている場合には、スキャン表面に不規則性/不均一性があっても、特に不規則性がある小領域を越えていても、光学ヘッドとスキャン表面の間の距離はより正確に制御される。
【0017】
好ましい実施形態では、一つまたはそれ以上の流体皮膜を、流体皮膜の中心の周囲に分布させるように流体皮膜生成ユニットが構成され、かつ、光軸からの流体皮膜の中心のずれを制御するように制御手段が構成されている。
【0018】
特に好ましい実施形態では、流体皮膜生成ユニットが、光学ヘッドに移動可能に搭載されている。
【0019】
従って、流体皮膜生成ユニットの相対的な動作を光学ヘッドユニットのスキャン動作と同期させるように、制御手段を構成することにより、好ましくはずれが制御される。特に、光学ヘッドがスキャン表面のエッジに接近する場合には、流体皮膜生成ユニットが光軸に対して移動し、それにより光軸に対する流体皮膜の位置が移動して、流体皮膜がスキャン表面のエッジを越えないことを保証する。
【0020】
特に、光学ヘッドのスキャン方向に対してスキャン表面の横エッジに、光学ヘッドが接近する場合には、流体皮膜生成ユニットがスキャン方向に沿って、スキャン表面の中心部に向かって横エッジから離れて、好ましくは光軸に対して移動する。これは、エッジでは、常に流体皮膜がエッジを越えることなく光軸が配置されることを保証する。このようにして、流体皮膜は光学ヘッドの完全なサポートを常に提供し、一定の浮揚高さ、即ち光学ヘッドとスキャン表面の間の一定の距離を保証する。
【0021】
好ましい実施形態では、流体皮膜生成ユニットが、光学ヘッドユニットの底面に接続された少なくとも一つのガイド部材に搭載されていることにより、流体皮膜生成ユニットの縦の移動が保証され、従って光軸の方向のゆらぎを引き起こすことなく、流体皮膜生成ユニットの安定した縦の移動を提供する。適切なガイド部材の例は、一つまたはそれ以上のレールまたはシャフト、プリズムガイド等を含んでいる。
【0022】
他の好ましい実施形態では、相対的な移動が、光軸周りの流体皮膜生成ユニットの回転移動を含んでいる。これにより、光軸に対する流体皮膜の位置は、スキャン方向に対する縦方向と、スキャン方向に対する横方向の双方で制御される。従って、スキャン表面の縦のエッジに直に沿ってスキャンする時には、流体皮膜生成ユニットは縦のエッジから横方向にずれて離れることができる。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態に従えば、流体皮膜生成ユニットが、スキャン表面に向かって指向する、流体を供給するための多数の開口を含んでいる。これにより、滑空面の平面内部の流体皮膜の広がりと幾何学的構成は、開口の分布により制御される。好ましくはこの開口は、滑空面内部の少なくとも第1の所定の領域内部に分布し、この第1の所定領域は、好ましくは滑空面より小さい。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態に従えば、多数の開口の少なくとも一つが、流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされている。用語多孔質材料は、流体が貫通するが、流体の流れに所定の抵抗を与える、任意の材料を含むことを意味している。適切な多孔質材料の例は、炭素、青銅および鋼を含んでいる。従って、開口がスキャン表面のエッジに接近して、流体皮膜がスキャン表面のエッジに接近し、またはそれを越えた場合でさえも、多孔質材料の抵抗は開口を通る流体の流れを減衰させ、従って一定の圧力、即ち一定の浮揚高さの維持に貢献する。
【0025】
他の好ましい実施形態では開口は、穴、例えばドリルで開けたノズルの形式を有する。この穴またはノズルは、好ましくは滑空面の小さな窪みまたはポケットにつながる。大きな浮揚高さが正確に維持されることが、この実施形態の利点である。印刷表面として感応性乳剤を有する印刷版に印刷する場合に、これは特に重要である。そのような用途では、乳剤を損傷しないように、例えば35−40μmである、数十マイクロメートルの浮揚高さを必要とする。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、多数の開口が、第1および第2の開口の組を含み、各々の組が滑空面内のそれぞれの所定領域内に分布され、光軸からそれぞれの距離でそれぞれの流体皮膜の中心の周りに配置され、かつ制御手段が第1および第2の開口の組へのガスの供給を別個に制御するように構成されている。このようにして、光軸に対する流体皮膜の位置は、それぞれの開口の組の一つまたはそれ以上を通して選択的に流体を供給することにより、制御されることができる。光軸に対する流体皮膜生成ユニットの機械的な移動が不要であることが、この実施形態の利点である。
【0027】
好ましい実施形態では、流体は加圧ガスであり、好ましくは加圧空気である。従ってこの実施形態では、流体皮膜は「エアクッション」の形式を有する。
【0028】
好ましい実施形態ではガスは、ガス供給ユニットによりガス供給ライン、または多数の開口の組の場合には、各々がそれぞれの開口の組にガスを供給する複数のガスラインを経由して、開口へ供給される。従ってガスの供給は、一つまたはそれ以上のバルブを介して個別に制御される。さらに、開口に供給されるガスの圧力は、光学ヘッドの浮揚高さを決定する。
【0029】
少なくとも一つのガス供給ラインが、ガス供給ユニットと開口の間にバッファタンクを含む場合には、流体皮膜内で維持される圧力はより正確に維持される。
【0030】
さらに別の実施形態では、装置はベースプレートに面する滑空面を有する光学ヘッドを吊り下げる懸架手段をさらに含む。
【0031】
一般的に光学ヘッドは、実質的に水平なスキャン表面上に懸架されており、即ち光軸は下向きに指向され、流体皮膜は光学ヘッドの重量を相殺する上向きの力を、光学ヘッド上に生成する。流体皮膜を介した光学ヘッドの重量が、スキャン媒体上に作用する下向きの対応する力を生成し、従って、スキャン媒体をベースサポート上に押圧して、スキャン表面の平坦性を増加させることは、さらなる利点である。
【0032】
好ましくは、懸架手段が、光軸の方向に沿った光学ヘッドの移動を可能にするサポートユニットに対する平行四辺形のリンクを含む。
【0033】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0034】
本発明の他の態様に従えば、上記およびその他の問題は、電磁放射により表面をスキャンする装置であって、その装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
光学ヘッドユニットに接続され、スキャン表面の上の光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面とスキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットであって;流体皮膜生成ユニットが、スキャン表面に向かって指向する、それを通って流体が分配される少なくとも一つの開口を含むものと;を含み、
少なくとも一つの開口が、流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされていることを特徴とする、装置により解決される。
【0035】
従って、開口がスキャン表面のエッジに接近して、流体皮膜がスキャン表面のエッジに接近し、またはそれを越えた場合でさえも、多孔質材料の抵抗は開口を通る流体の流れを減衰させ、従って一定の圧力、即ち一定の浮揚高さの維持に貢献する。
【0036】
用語多孔質材料は、流体が貫通するが、流体の流れに所定の抵抗を与える任意の材料を含むことを意味している。適切な多孔質材料の例は、炭素、青銅および鋼を含んでいる。
【0037】
本発明の第2の態様に従う装置は、第1に言及された装置に関して記述された好ましい実施形態に対応して従属請求項に開示された、一つまたはそれ以上の好ましい実施形態を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の上記およびその他の態様は、添付の図面を参照して、以下に記述される実施形態から、明らかに説明される。
【0039】
図面では、同じ参照番号は同じまたは類似の部品、特徴等を表わす。
【0040】
図1は、移動可能な流体皮膜生成ユニットを有する、フラットベッドプリンタの概略の斜視図を示す。図1のフラットベッドプリンタは、縦方向には連続的に、横方向には点線110で示される短冊形を越えて、印刷表面をスキャンすることにより、印刷版106の印刷表面119を露光する。プリンタは、光軸104に沿って光ビームを印刷表面に向かって指向させる光学系を内蔵する、100で示される光学プリントヘッドを一般的に有している。光ビームは、印刷されるイメージ/パターンを表わすデジタルデータに従って変調される。このようにして、プリントヘッドは、均一な印刷品質と、特に光学系の均一な焦点を保証するために、プリントヘッドと印刷表面の間を一定の距離隔てて、表面の上を横切って移動されなければならない。
【0041】
プリントヘッド100は、印刷表面を横切って縦方向109に移動できるように、門型の支持構造101に移動可能に取り付けられている。この支持構造はさらに、横方向118に移動可能なように、ガイドまたはネジ付きのシャフト102に取り付けられている。このようにして、縦方向のスキャンの後に、次の縦方向のスキャンで、新しい短冊形を露光できるように、プリントヘッドは横方向に移動される。横方向の変位量111は、縦方向のスキャンライン110の幅に対応している。支持構造に沿ったプリントヘッドの縦方向移動と、支持構造の横方向移動は、ステップモーターのような適宜のモーター(図示せず)により引き起こされる。門型の支持構造を有する光学スキャナー用のスキャン装置の例は、その全部が参照により以下に引用される、米国特許第4,941,056号に開示されている。
【0042】
プリントヘッドと印刷表面との相対的な運動を提供するための、代替の手段が与えられることが理解される。例えば、プリントヘッドではなく支持板が移動してもよい。
【0043】
印刷版106は、ベースプレート105上に配置され、かつ好ましくは固定されている。一般的に印刷版は、ベースと放射線感応印刷層を含んでいる層構造として構成されている。例えば、グラフィック産業で使用される一般的な印刷版は、放射線感応エマルジョンを伴うアルミニウムベースを有する。
【0044】
好ましい実施形態では、印刷版106は、真空吸着によりベースプレートに固定されている。この目的のためにベースプレートは、真空ポンプ(図示せず)に接続された複数の小さい上向きの開口を備えている。このようにして、印刷版はスキャン動作中のずれから保護されており、また同時に印刷版は平らに維持されて、即ち印刷表面119の平坦性が増加する。代替案として印刷版は、他の手段、例えばガラス板のような保護層により、またはフレーム構造等により固定されてもよい。
【0045】
多くの場合、印刷表面119とベースプレートの表面の間には、一般的に印刷版の厚みに対応する高さの差異が存在する。一般的に印刷版は、0.1mm−0.4mm、例えば0.3mmである。図1では印刷版は、縦のスキャン方向109の方向の縦のエッジ107、またスキャンの方向とは直行する横のエッジ108を有して、ベースプレート上に配置されている。多くのアプリケーションでは、印刷版の全部が、即ち余白を残すことなく、スキャンされることが望ましい。従って縦方向のスキャン110は、横のエッジ108を通り過ぎて延伸する。図1では縦方向のスキャンは、横のラインセグメント111により表わされるように、印刷版を越えてさえも延伸し、これによりスキャンビームが印刷版の領域外にある時に、プリントヘッドが減速および加速されることができるようにする。
【0046】
プリントヘッド100は、プリントヘッドと支持構造の間の平行四辺形のリンクを提供する、平行板バネ103により形成される懸架構成により、支持構造101に搭載され、それによりプリントヘッドが垂直方向、即ち光軸の方向に移動できるようにしている。代替の実施形態では、例えば垂直のシャフト、レールまたはその他のガイドである、他の懸架構成が使用されてもよい。流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッドと、プリントヘッドがその上に浮揚する印刷表面106の間に、加圧空気の皮膜を提供するために、プリントヘッド100の底部に搭載されている。このようにしてプリントヘッドは、印刷表面上を非接触で滑空する。流体皮膜生成ユニット112は、印刷版に不規則性が存在する場合にさえも、プリントヘッドと印刷表面106の間の距離を、一定に保つことを可能にする。
【0047】
流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッドに対する流体皮膜生成ユニット112の縦方向の移動を可能にするガイド113を介して、プリントヘッド100に移動可能に取り付けられている。以下にその詳細が示されるように、この相対的な移動は、プリントヘッドが印刷表面の横エッジ108に接近し、またはそれを横切った時さえも、流体皮膜が維持されることを可能にする。
【0048】
プリントヘッド100のスキャン動作、光ビームの変調および流体皮膜生成ユニット112の動作は、それぞれの制御信号の接続115,116,117を介して、制御ユニット114によりそれぞれ制御される。制御ユニット114は、適宜にプログラムされたマイクロプロセッサ、適宜にプログラムされたコンピュータ、専用の制御回路またはその他の適宜の処理手段であってよい。特に用語処理手段には、汎用または専用のプログラム可能なマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定目的電子回路等またはそれらの組合せも含んでいる。ある実施形態では制御ユニットは、ベースプレート上の印刷版の位置と大きさについての情報をその内部に記憶している。いくつかの実施形態ではこの情報は、予め設定されたデフォルト値および/またはオペレータにより入力された値を含んでいる。代替案として、または追加として、一つまたはそれ以上の距離センサおよび/または一つまたはそれ以上の反射率センサおよび/または類似物のようなセンサにより、例えば印刷版のエッジを検出することにより、この情報は自動的に検出および/または確認される。
【0049】
図2は、移動可能な流体皮膜生成ユニットを有する、プリントヘッドの斜視図を示す。プリントヘッド100は、光学系により定義される光軸104に沿って、ビーム出口225から下方に向かって導かれる光ビームを生成するための光学系を含んでいる。光変調器を含む光学系の例は、以下にその全部が参照により引用される、欧州特許出願第1394732号に開示されている。
【0050】
プリントヘッド100は、その底表面に搭載されたレール113を有する。流体皮膜生成ユニット112は、スライダ223を介してこのレール113に移動可能に接続され、プリントヘッド100に対する流体皮膜生成ユニット112の正確な並進移動を可能にしている。流体皮膜生成ユニット112は、スライダ223の一つに接続されたベルト224を介して、ステップモーター220によりレール113に沿って移動される。流体皮膜生成ユニット112は、スキャンビームがそれを通してビーム出口225から印刷表面に向かって伝搬する、開孔/切り抜き228を有している。開孔228は、スキャン方向の縦方向に延伸されている。この開孔228の縦側に隣接して、流体皮膜生成ユニット112は、それぞれの滑空面と印刷表面の間に、流体皮膜を生成するために構成された滑空面221,222を備えている。以下でより詳細に記述されるように、プリントヘッドが印刷表面上に浮揚した場合に、滑空面と印刷表面の間のギャップ内にガスの皮膜を生成する、加圧空気を放出するための開口を、各々の滑空面は備えている。流体皮膜生成ユニット112はさらに、滑空面221,222の開口のそれぞれに加圧空気を供給するための、二つの空気供給通路226,227を含んでいる。
【0051】
図2は、ビーム出口225と光軸104が、滑空面の間、即ち滑空面221,222により生成される流体皮膜の中心の延伸された開孔228の中心に配置される位置における流体皮膜生成ユニットを示す。これにより、この実施形態では、各々がそれぞれの開口の組を有する、二つの別個の領域221,222を滑空面が含んでいる。流体皮膜生成ユニットが図1で示される位置にあり、かつ加圧空気が二つの滑空面の開口を通して流れる場合には、縦方向と横方向の双方の光軸の両側に流体皮膜が形成される。しかしながら、流体皮膜生成ユニットがレールに沿って移動した場合、滑空面とそれによりそれらの下に生成された流体皮膜は、光軸104に対して移動する。特に光軸104は滑空面221,222の間に配置されないが、それでも開孔228を通して放射されるように、流体皮膜生成ユニットを変位させることができる。
【0052】
滑空面221と222は、流体皮膜生成ユニット112の底面の外に、突部が延伸するように形成される。従って滑空面は、印刷表面に最も近接した流体皮膜生成ユニットの底面の一部であり、それにより流体皮膜生成ユニットと印刷表面の間の最短距離を決定する。さらに滑空面は、延伸された開孔228の直近に配置されている。
【0053】
図3は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの、詳細な斜視図を示す。
【0054】
図3aは、スライダ223を介してレール113に移動可能に搭載され、ベルト224を介してステップモーター220により駆動される、流体皮膜生成ユニット112の斜視図を示す。
【0055】
図3bは、流体皮膜生成ユニットの断面図を示す。この断面図は、スキャンビームのための延伸された開孔228の縦側上の滑空面221,222を示している。各々の滑空面は、それぞれの滑空面で下側に向いた開口/オリフィスを有する、穴330,331をそれぞれが備えている。空気供給通路226が滑空面221の穴330に加圧空気を供給する一方で、空気供給通路227が滑空面222の穴331に加圧空気を供給するために、この穴は、空気供給通路226,227それぞれと流体接続されている。このように、滑空面の各々が別個の空気供給を行うので、開孔228の各々の側の流体皮膜は、個々に制御されることができる。
【0056】
好ましくは、流体皮膜を備える滑空面221,222は可能な限り小さく維持され、可能な限り光軸104に近接して配置され、それにより小領域の方が光軸に近接している、印刷表面の小領域とプリントヘッドの間の正確な距離を提供する。このようにして、印刷表面に不規則性がある場合にさえも、正確な露光が達成される。
【0057】
図3cは、流体皮膜生成ユニットの底面図を示す。この底面図は、開孔228の各々の側上の滑空面221,222を示す。滑空面は、スキャン方向に延伸されている。ある実施形態では、各々の滑空面は60mm×16mmの大きさを有する。滑空面のこの大きさは、プリントヘッドに充分なサポートを提供するために見いだされたものである。図3の流体皮膜生成ユニットは、各々の滑空面に5つの開口を有し、それらの開口は、開孔228の縦側に沿って1直線に配置されている。さらに、延伸された開孔228は、滑空面221、222を縦方向に越えて延伸し、即ち開孔が滑空面より大きな縦方向の大きさを有する。従って、プリントヘッドの光軸が、矢印332により表わされる領域内部に開孔228を通して延伸するように、流体皮膜生成ユニットが配置されている場合には、光軸は、流体皮膜によりカバーされる領域の外側の印刷表面に向かって延伸している。
【0058】
図4は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの動作の概略を示す。
【0059】
図4aは、印刷版106の中心部上に配置されたプリントヘッド100の概略を示す。印刷版は、ベースプレート105上に配置されている。プリントヘッド100は、以上および以下に記述されるように、流体皮膜生成ユニット112により生成される流体皮膜上を浮揚している。プリントヘッドは、矢印435により表わされる縦方向に、印刷表面119を横切ってスキャンする。上記の図1−3に関して記述したように、流体皮膜生成ユニット112はレール113上に搭載され、流体皮膜生成ユニットがプリントヘッド100に対して、縦方向435に移動されることができるようにする。図4aでは、流体皮膜生成ユニットは、光軸が滑空面の中心に整列されるように、即ち流体皮膜が光軸の周囲に分布されるように、光学ヘッドに対して配置されている。
【0060】
図4bは、プリントヘッド100が印刷版のエッジ108に達した場合、即ちスキャンビームの光軸がエッジ108に整列される場合を、模式的に表わす。この位置では流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッド100に対して縦方向にずれている、即ち滑空面221,222の下の流体皮膜は、光軸とはずれた中心の周囲に分布している。このずれは、流体皮膜が全部印刷表面119上に生成されるようにし、従ってプリントヘッドの重量を完全に支持するようにさせる。従って、プリントヘッドと印刷表面の間の距離が一定に保たれて、プリントヘッドが印刷版のエッジ108からスライドしてはずれることが避けられる。図4bに示されるように、この位置ではレール113は、まだ流体皮膜生成ユニット112を越えて延伸しており、それにより光軸と印刷表面のエッジの整列に要求される以上のさらなる流体皮膜生成ユニットの相対的なずれを可能にしている。
【0061】
このようにして、図4cに示されるように、浮揚高さを顕著に減少することなく、プリントヘッドは印刷版のエッジを越えて移動されてもよい。図4cは、プリントヘッド100が印刷版のエッジ108を越えて移動された場合、即ち光軸104がもはや印刷表面と交わらない場合を、模式的に表わす。この追加の移動は、反対方向への縦方向のスキャンを起動するために、プリントヘッドが減速され、反対方向に再度加速されることを可能にする。
【0062】
このようにして光軸は、一定の速度で、かつプリントヘッドと印刷表面の間の距離を一定にして、印刷表面全部を横切ってスキャンすることができる。ここに記述される装置により、プリントヘッドの浮揚高さは、±5μmの精度で、35−40μmに維持される。この精度は、400μm/秒に達する、高い縦方向のスキャン速度でさえも維持されることができる。このようにしてこの装置は、高いスキャン品質を提供する一方で、高いスキャン速度を可能にする。
【0063】
浮揚高さに対する精度の要求は、光学系の焦点距離が維持される必要がないので、減速/加速領域では厳密ではないことが理解される。
【0064】
印刷表面への、特に印刷表面のエッジへの損傷が避けられることは、さらなる利点である。滑空面と印刷表面の間のギャップに入って詰まる微粒子が原因の、印刷表面の損傷が防げることは、大きな浮揚高さのさらなる利点である。
【0065】
図5は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの、制御およびガス供給回路を模式的に示す。図3に関して既に記述したように、流体皮膜生成ユニット112は、一つの滑空面の開口に各々が接続された、二つの空気供給通路226,227を含んでいる。こうして、開孔228の各々の側に生成された流体皮膜は、個々に制御することが可能であり、従ってプリントヘッドを支持する、流体皮膜の位置の制御を可能にする。
【0066】
この目的のために、各々の空気供給通路226,227は、対応するガス供給ライン540,541にそれぞれ接続されている。加圧空気は、2−3バール、例えば2.5バールのような所定の圧力で乾燥した加圧空気を生成する、空気供給ユニット545により生成される。好ましくは空気の圧力は、浮揚高さを調整できるように調整可能である。この空気は、ライン549、バッファタンク544を経由して、ライン540,541に供給される。供給ライン540,541の各々は、バルブ542,543をそれぞれ備えている。バルブ542,543の動作は、制御信号546,547のそれぞれを介して、制御ユニット114により制御されている。従って二つの滑空面への空気の流れは、対応するバルブ542,543の開閉により個々に制御される。バッファタンク544は、特に一方のバルブが動作されている時に、供給ライン540,541の圧力の安定性を改善する。代替の実施形態では、二つの別個のバルブ542,543の代わりに、二つのガスラインの間のガスの流れを切り換えるために、バッファタンクと二つの供給ライン540,541の間に、2方向バルブが備えられている。いくつかの実施形態では、ガスライン540,541の少なくとも一つが、滑空面221,222の下の圧力の相対的な調整を可能にするスロットルバルブを含んでいる。さらに別の代替の実施形態では、各々の滑空面は別個の空気系から供給される。
【0067】
制御ユニット114はさらに、制御信号548を介してステップモーター220を制御する。このようにして制御ユニットは、レール113に沿った流体皮膜生成ユニット112の移動と、それぞれの滑空面内の開口への空気の供給の双方を制御することにより、流体皮膜の相対的な位置を制御している。
【0068】
それぞれの滑空面内の開口への空気の供給の制御による流体皮膜の位置の制御は、図6から図9を参照して以下に示される。
【0069】
図6は、流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す。
【0070】
図6aは、滑空面221,222の双方が印刷表面上に配置されるような、印刷表面119上の位置における、以上に記述された流体皮膜生成ユニット112を示す。この位置ではバルブ542,543の双方が開かれて、加圧空気は双方の滑空面の開口に供給される。こうして流体皮膜は、点線650,651により示されるように、滑空面と印刷表面の間のギャップに生成される。従ってこの位置では、流体皮膜は光軸104の周囲に分配される。
【0071】
図6bは、縦のエッジに沿った縦のスキャンラインに対応する、印刷表面の縦のエッジ107に近接する位置における、流体皮膜生成ユニット112を示す。この位置では滑空面222のみが印刷表面上に配置され、一方滑空面221は印刷表面のエッジ107を越えて、即ちベースプレートの表面上に直接配置されている。こうして、滑空面222のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供している。この位置で滑空面221の開口を通して空気が注入される場合には、滑空面221とベースプレートの表面の間のギャップが大きすぎて流体皮膜が維持できないので、流体皮膜は決して形成されない。従って、ガス供給システムにおける一定の圧力を維持するために、バルブ542が開かれたままである一方で、バルブ543は閉じられて、光軸に関してずれた、結果としての流体皮膜が提供される。
【0072】
図6cは、印刷表面の反対の縦のエッジ107に近接した位置の流体皮膜生成ユニット112を示す。従ってこの位置では、バルブ543が開いたままである一方で、バルブ542は閉じられている。
【0073】
図7は、他の実施形態の流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作を模式的に示す。
【0074】
この実施形態では、以上に記述された流体皮膜生成ユニットの滑空面への空気の供給は、図6の実施形態と同様に制御される。しかしながらこの実施形態では、空気は一時には一つの滑空面の開口にのみ供給される。特に、印刷表面上に位置する二つの滑空面と共に流体皮膜生成ユニット112が配置されている場合には、滑空面222のみが動作される。この状態は、図7aに示されている。ただ一つの滑空面のみが印刷表面上に位置している図7b、7cの状態は、対応する図6b、6cのそれぞれの状態と同一であり、即ち印刷表面上に配置された滑空面に対応するただ一つのバルブのみが開かれている。
【0075】
従ってこの実施形態では、図7cに示されるように、滑空面222が印刷表面の領域の外側に位置する場合以外は、滑空面222のみの下の流体皮膜によりプリントヘッドが支持されている。これは、一時に動作する二つまたは一つの流体皮膜に起因する可能性のある浮揚高さの差異が避けられるので、プリントヘッドの浮揚高さが印刷表面全部について、より均一に制御されることができるという利点を有している。
【0076】
さらに、多くの印刷版は、再生用の印刷版の再装填の際に使用するために、印刷版の一つのエッジに沿って整列穴を備えている。この穴を含むマージンは、印刷版に基づいて形成されるべき、最終の文書の一部としては意図されない、例えば印刷作業者のための情報、バーコード等の情報のために、しばしば使用される。従ってその場合は、このマージンにプリントされたこの情報の品質への要求は、印刷領域の残りよりも厳密ではない。
【0077】
図7には、マージン760と整列穴761を有する印刷版が示されている。好ましくは図7の実施形態では、マージンでない領域762は、一方の滑空面222を動作させてスキャンされ、一方マージンの領域760は、他方の滑空面221を動作させてスキャンされるように、流体皮膜生成ユニットを制御して、それにより、マージンでない領域762内部では均一な印刷品質を達成し、一方滑空面222と滑空面221の間の切り換えにより起こされる、起こりうる浮揚高さの差異がマージン領域760にのみ影響するようにする。
【0078】
図8は、4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの底面図である。図8の流体皮膜生成ユニット812は、光軸104がそれを通って延伸する中心の切り抜き828の周囲に配置された、4組の開口865,866,867,868を含んでいる。この例では、各々の開口の組は、円形に配置されている。しかしながら、他の配置が同様に可能である。各々の開口の組は、別個の空気供給通路869,870,871,872とそれぞれ流体接続されている。このようにして、各々の開口の組を通る空気の流れは、別個に制御される。従って、プリントヘッドを支持する流体皮膜の位置は、図9を参照して示されるように、一つまたはそれ以上の開口の組へ空気を選択的に提供することにより制御されることができる。
【0079】
図9は、4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの動作を模式的に示す。図9a−dは、例えば一点鎖線975により示されるようなスキャン経路に沿ったスキャン動作の際の、印刷表面119上の図8の流体皮膜生成ユニット812の異なる位置を示す。
【0080】
図9aは、4つの開口の組865,866,867,868の全部が、印刷表面119上に完全に配置されている、印刷表面119の中心部上の流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、加圧された空気は、例えば対応するバルブ(図示せず)の制御により、4つの開口の組全部に供給される。こうして、流体皮膜が光軸104の周囲に分配されるように、流体皮膜生成ユニット812の底面と印刷表面の間のギャップに、流体皮膜が生成される。
【0081】
図9bは、縦のスキャンラインに対応する印刷表面の横エッジ108に近接した位置における、流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組867,868のみが印刷表面119上に配置され、一方組865,866は印刷表面のエッジ108を越えて配置されている。従って開口の組867,868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口867,868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0082】
図9cは、縦のスキャンラインに対応する印刷表面の縦エッジ107に近接した位置における、流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組865,868のみが印刷表面119上に配置され、一方組866,867は印刷表面のエッジ107を越えて配置されている。従って開口の組865,868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口865,868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0083】
最後に図9dは、印刷表面119の隅に近接した位置における流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組868のみが印刷表面119上に配置され、一方組865,866,867は印刷表面の外側に配置されている。従って開口の組868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0084】
図10は、流体皮膜生成ユニットの開口を示す。
【0085】
図10aは、流体皮膜生成ユニットの開口の断面図を示す。この開口は、流体皮膜生成ユニット1012の滑空面1082内の穴1079の形式を有している。滑空面は、穴1079の周囲に、小さい窪み1080またはポケットを有する。ある実施形態では、直径1.2mmの穴と直径6mmの窪みが使用されている。滑空面1082と印刷媒体106の印刷表面119の間のギャップ内に、穴1079を通して加圧空気の流れを下の方向に提供するために、この穴1079は空気供給通路1078に延伸している。この空気の流れは、滑空面1082と印刷表面119の間のギャップに流体皮膜1081が生成され、その皮膜上に流体皮膜生成ユニットが浮揚するようにさせる。皮膜1081の厚みhは、穴と流体皮膜生成ユニットの形状寸法、支持される重量、および加圧空気の圧力に依存する。このようにして、ある所与の流体皮膜生成ユニットに対しては、加圧空気の圧力を介して浮揚の高さが制御されることができる。
【0086】
図10bは、穴1079の中心からの半径距離rの関数としての、流体皮膜の圧力分布1083を示す。
【0087】
図11は、流体皮膜生成ユニットの開口の断面図を示す。この開口は、炭素、青銅または鋼のような多孔質材料1180で満たされた窪みに供給する、穴1178の形式を有する。加圧空気の流れがこの穴1178を通して供給されると、空気は多孔質材料1180を貫通して、滑空面1182と印刷媒体106の印刷表面119の間のギャップに入り、それにより以上に記述されたように、流体皮膜1181を生成させる。多孔質材料が空気の流れを減衰させることは、その利点の一つである。従って、プリントヘッドが印刷表面のエッジを越えて、その下に流体皮膜が形成されている領域の部分がエッジを越えたような場合でさえも、多孔質材料の減衰効果のために、流体皮膜内の圧力低下は減少される。これはプリントヘッドに、印刷表面からの一定の距離を維持させ、それにより印刷表面の損傷の危険性を減少させる。
【0088】
図12は、多孔質材料を有する流体皮膜生成ユニットの斜視図を示す。流体皮膜生成ユニットは、それを通って光軸104が延伸する中心穴1228を有する環状体1290の形式を有している。環状体1290の底面1286は、図11に関して記述されたような多孔質材料で満たされた、環状の開口1285を含んでいる。環状の開口1285は、加圧空気を開口1285に供給するために、空気供給通路1288に接続されている。
【0089】
図13は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの他の実施形態の底面図を模式的に示す。この実施形態では、流体皮膜生成ユニット1312は、スキャンビームの光軸1304を定義する光学ヘッド1300の下に搭載されている。流体皮膜生成ユニット1312は、以上に記述されたように、流体皮膜を生成するために、その底面に一つまたはそれ以上の開口1379を有する。流体皮膜生成ユニット1312は、シャフト1395上の軸部材1396を介して旋回可能に搭載されている。シャフト1395は、それを通って光軸1304が延伸する穴1328を有する。このようにしてこの実施形態では、流体皮膜生成ユニット1312を光軸1304の周囲で回転させることにより、流体皮膜の位置が制御され、それにより、光軸が印刷表面のエッジまたは隅に接近するように、光学ヘッドが配置された場合でも、流体皮膜生成ユニット1312を印刷表面上に保持している。
【0090】
以上に記述された装置は、例えばコンピュータ製版の工程におけるような、図形産業で使用される印刷版の露光に、有利に適用されることが留意される。
【0091】
以上に記述された制御手段は、いくつかの個別の要素を有するハードウェアにより、および適宜にプログラムされたマイクロプロセッサ、コンピュータ等により、具体化されることが留意される。種々の制御手段、処理手段等を列挙する装置の請求項では、これらの手段のいくつかは、例えば適宜にプログラムされたマイクロプロセッサまたはコンピュータである、同一のハードウェアにより具体化されることができる。ある手段が、互いに異なる従属請求項において言及され、または異なる実施形態において記述されている事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを意味していない。
【0092】
この明細書で用いられた用語「含む/包含」は、言及された特徴、整数、ステップまたは部品の存在を特定するために用いられているが、一つまたはそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、部品またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】 移動可能な流体皮膜生成ユニットを有するフラットベッドプリンタの概略斜視図である。
【図2】 移動可能な流体皮膜生成ユニットを有するプリントヘッドの斜視図である。
【図3】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの詳細図である。
【図4】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの動作の概略斜視図である。
【図5】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの制御およびガス供給回路の概略斜視図である。
【図6】 流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す図である。
【図7】 他の実施形態の流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す図である。
【図8】 4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの底面図である。
【図9】 4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの動作の概略を示す図である。
【図10】 流体皮膜生成ユニットの開口を示す図である。
【図11】 多孔質材料の流体皮膜生成ユニットの開口を示す図である。
【図12】 多孔質材料の流体皮膜生成ユニットの斜視図である。
【図13】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの他の実施形態の概略底面図である。
【符号の説明】
【0094】
100,1300 光学ヘッドユニット
105 ベースプレート
106 スキャン表面
112,1312 流体皮膜生成ユニット
221,222,1082,1182 滑空面
330,331,1078,1179 開口
1180 多孔質材料
1181 流体皮膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタやスキャナーのような、電磁放射により表面をスキャンする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射により表面をスキャンすることは、多くの用途で使用されている。
【0003】
特に、多くのプリンタは、ビームの電磁放射に感応する印刷表面を有する印刷媒体を露光するために、電磁ビームを使用している。所定のデジタル入力データに従って印刷物を露光するために、電磁ビームは一般的にその印刷表面を横切ってスキャンされ、デジタルデータに従って変調される。印刷表面が平面である場合には、そのようなプリンタは一般的に、フラットベッドプリンタと呼称される。
【0004】
さらに、光学スキャナーは、半導体カメラまたはその他の放射検出器を使用して、縦方向には連続的に、横方向には当該部分を越えて、例えば書類である原稿をスキャンすることにより、原稿からデジタル情報を取得するために、電磁放射を使用している。
【0005】
そのような用途においては、スキャン工程に使用されている光学システムとスキャンされる表面との間の距離を、一定に維持することが一般的に望ましい。この光学システムを含むユニットは、光学ヘッドまたはプリンタの場合には、プリントヘッドと呼称される。
【0006】
米国特許第4,941,065号は、横方向に配置され縦方向には変位可能な、門形のデバイス内部の、原稿上または原稿を覆うガラス板上を、半導体カメラがガイドされるスキャン装置を開示している。
【0007】
上記の従来技術の装置によれば、原稿または原稿を覆うガラス板とカメラの間の距離は、原稿またはガラス板のそれぞれの上を直接移動するカメラにより維持されている。後者の場合、中間のガラス板は完全には平面でないにもかかわらず、これはカメラと原稿との間の距離の正確な調整を可能にする。ガラス板の表面にキズがつくことを避けるために、カメラと原稿、または原稿を覆うガラス板との間の距離は、流体皮膜生成ユニットを使用して維持され、流体皮膜生成ユニットは、カメラユニットを加圧空気の皮膜上に「浮揚」させている。流体皮膜生成ユニットは、加圧空気がそれを通して提供される下向きの開口を有するリング形の部材を含んでいる。カメラは、リングの中心の開孔を通して受光するように配置されている。これは、半導体カメラが原稿またはガラス板のそれぞれに物理的に接触することなく、カメラから原稿またはガラス板(どちらが上方であっても)までの距離の調整ができるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特に印刷用途では、印刷媒体を保護ガラス板で覆うことは、しばしば望ましくない。多くの用途ではスキャンビームは、ガラス板により歪ませられる紫外線(UV)領域の光ビームである。従って、ベースプレート上に配置された印刷版上を、直接プリントヘッドユニットがスキャンすることが望ましい。他方、UVビームでスキャンすることは、そのようなシステムでは光学系の開孔が一般的に大きく、焦点深度が小さくなるので、印刷表面とプリントヘッドの間の距離を特に正確に制御することを必要とする。
【0009】
さらに、印刷版のエッジに未露光の領域を残すことなく、印刷版の全領域を印刷することが、しばしば特に望ましい。しかしながら、印刷表面のエッジでは、上記の従来技術のシステムの流体皮膜は、印刷版の上面と、印刷版が配置されたその下のベースプレートの上面の間の高さの差異のために、妨害されている。従って、光学ヘッドと、媒体のエッジでもスキャンされる媒体表面の間の距離を正確に制御することは、上記の従来技術の装置では問題になっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記およびその他の問題は、電磁放射により表面をスキャンする装置であって、その装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
光学ヘッドユニットに接続され、スキャン表面の上の光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面とスキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットと、を含み、
装置がさらに、光軸に対して流体皮膜の位置を制御する制御手段を含むことを特徴とする、装置により解決される。
【0011】
特に、光軸に対して流体皮膜の位置を制御するための制御手段を提供することにより、光学ヘッドユニットがその上に「浮揚」している流体皮膜がスキャン表面のエッジを越えることなく、光軸を有する光学ヘッドがスキャン表面のエッジに位置されてもよく、これにより、光学ヘッドとスキャン表面の間の距離を正確に維持する。
【0012】
エッジを損傷することなく、またはプリントヘッドそれ自身に損傷を与えることなく、光学ヘッドが印刷表面のエッジを越えてスキャンすることができるのは、さらなる利点である。
【0013】
スキャン表面は、印刷版や印刷シートのような、露光される印刷媒体の表面である。代替の実施形態では、スキャン表面は、例えば原稿、画像等のスキャンされるオリジナルの物体の表面である。いくつかの実施形態では、例えばガラス板である保護層により、媒体がカバーされている。このように用語スキャン表面は、流体皮膜生成ユニットの滑空面に最も接近し、それから所定の距離が維持されている表面に言及することを意味している。
【0014】
好ましくは、特にスキャン表面に対する光学ヘッドの位置に応じて、流体皮膜の位置を光学ヘッドのスキャン動作に同期して制御するように、制御手段が構成されている。いくつかの実施形態では、スキャン表面の位置およびサイズは、例えばオペレータにより、予め設定されている。他の実施形態では、スキャン表面のエッジの位置は、例えばスキャン表面への距離の変化を検出することにより、または光学ヘッドの下の表面の反射率の変化を検出すること等により、自動的に装置によって検出される。スキャン表面のエッジの自動的な検出は、起こりうる媒体の配列ずれに起因する、スキャン表面および/または光学ヘッドの損傷が避けられるという利点を有する。
【0015】
表面をスキャンする一方で、スキャン表面と光学ヘッドの間の正確な距離が維持される、任意の型式のスキャン/プリントシステムに、本発明が適用されることが理解される。特に、その用途に依存して、電磁放射は任意の適切な波長であってよい。例えば光学スキャナーは、電磁スペクトルの可視領域で動作されてもよい。他方印刷版を製造する多くのプリンタは、スペクトルの赤外線領域、可視領域または紫外線領域で動作される。スキャンビームは、レーザーによりまたは異なる光源により、発生されてもよい。特に、液晶ディスプレイまたはマイクロミラーアレイのような、2次元空間光変調器を用いる、種々の型式のデジタルイメージ露光システムが開示されている。さらに、用途に依存して、光学ヘッドは放射源であって、スキャン表面に向かってビームを導いてもよく、または光学ヘッドはスキャン表面から放射を受領してもよい。どの状況であっても、光学システムの焦点距離に応じて、正確に維持される距離は、スキャン結果の品質に対して重要である。
【0016】
スキャン表面に面した流体皮膜生成ユニットの表面の所定の一部のみを流体皮膜にカバーさせるように、流体皮膜生成ユニットが構成されている場合には、スキャン表面に不規則性/不均一性があっても、特に不規則性がある小領域を越えていても、光学ヘッドとスキャン表面の間の距離はより正確に制御される。
【0017】
好ましい実施形態では、一つまたはそれ以上の流体皮膜を、流体皮膜の中心の周囲に分布させるように流体皮膜生成ユニットが構成され、かつ、光軸からの流体皮膜の中心のずれを制御するように制御手段が構成されている。
【0018】
特に好ましい実施形態では、流体皮膜生成ユニットが、光学ヘッドに移動可能に搭載されている。
【0019】
従って、流体皮膜生成ユニットの相対的な動作を光学ヘッドユニットのスキャン動作と同期させるように、制御手段を構成することにより、好ましくはずれが制御される。特に、光学ヘッドがスキャン表面のエッジに接近する場合には、流体皮膜生成ユニットが光軸に対して移動し、それにより光軸に対する流体皮膜の位置が移動して、流体皮膜がスキャン表面のエッジを越えないことを保証する。
【0020】
特に、光学ヘッドのスキャン方向に対してスキャン表面の横エッジに、光学ヘッドが接近する場合には、流体皮膜生成ユニットがスキャン方向に沿って、スキャン表面の中心部に向かって横エッジから離れて、好ましくは光軸に対して移動する。これは、エッジでは、常に流体皮膜がエッジを越えることなく光軸が配置されることを保証する。このようにして、流体皮膜は光学ヘッドの完全なサポートを常に提供し、一定の浮揚高さ、即ち光学ヘッドとスキャン表面の間の一定の距離を保証する。
【0021】
好ましい実施形態では、流体皮膜生成ユニットが、光学ヘッドユニットの底面に接続された少なくとも一つのガイド部材に搭載されていることにより、流体皮膜生成ユニットの縦の移動が保証され、従って光軸の方向のゆらぎを引き起こすことなく、流体皮膜生成ユニットの安定した縦の移動を提供する。適切なガイド部材の例は、一つまたはそれ以上のレールまたはシャフト、プリズムガイド等を含んでいる。
【0022】
他の好ましい実施形態では、相対的な移動が、光軸周りの流体皮膜生成ユニットの回転移動を含んでいる。これにより、光軸に対する流体皮膜の位置は、スキャン方向に対する縦方向と、スキャン方向に対する横方向の双方で制御される。従って、スキャン表面の縦のエッジに直に沿ってスキャンする時には、流体皮膜生成ユニットは縦のエッジから横方向にずれて離れることができる。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態に従えば、流体皮膜生成ユニットが、スキャン表面に向かって指向する、流体を供給するための多数の開口を含んでいる。これにより、滑空面の平面内部の流体皮膜の広がりと幾何学的構成は、開口の分布により制御される。好ましくはこの開口は、滑空面内部の少なくとも第1の所定の領域内部に分布し、この第1の所定領域は、好ましくは滑空面より小さい。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態に従えば、多数の開口の少なくとも一つが、流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされている。用語多孔質材料は、流体が貫通するが、流体の流れに所定の抵抗を与える、任意の材料を含むことを意味している。適切な多孔質材料の例は、炭素、青銅および鋼を含んでいる。従って、開口がスキャン表面のエッジに接近して、流体皮膜がスキャン表面のエッジに接近し、またはそれを越えた場合でさえも、多孔質材料の抵抗は開口を通る流体の流れを減衰させ、従って一定の圧力、即ち一定の浮揚高さの維持に貢献する。
【0025】
他の好ましい実施形態では開口は、穴、例えばドリルで開けたノズルの形式を有する。この穴またはノズルは、好ましくは滑空面の小さな窪みまたはポケットにつながる。大きな浮揚高さが正確に維持されることが、この実施形態の利点である。印刷表面として感応性乳剤を有する印刷版に印刷する場合に、これは特に重要である。そのような用途では、乳剤を損傷しないように、例えば35−40μmである、数十マイクロメートルの浮揚高さを必要とする。
【0026】
さらに別の好ましい実施形態では、多数の開口が、第1および第2の開口の組を含み、各々の組が滑空面内のそれぞれの所定領域内に分布され、光軸からそれぞれの距離でそれぞれの流体皮膜の中心の周りに配置され、かつ制御手段が第1および第2の開口の組へのガスの供給を別個に制御するように構成されている。このようにして、光軸に対する流体皮膜の位置は、それぞれの開口の組の一つまたはそれ以上を通して選択的に流体を供給することにより、制御されることができる。光軸に対する流体皮膜生成ユニットの機械的な移動が不要であることが、この実施形態の利点である。
【0027】
好ましい実施形態では、流体は加圧ガスであり、好ましくは加圧空気である。従ってこの実施形態では、流体皮膜は「エアクッション」の形式を有する。
【0028】
好ましい実施形態ではガスは、ガス供給ユニットによりガス供給ライン、または多数の開口の組の場合には、各々がそれぞれの開口の組にガスを供給する複数のガスラインを経由して、開口へ供給される。従ってガスの供給は、一つまたはそれ以上のバルブを介して個別に制御される。さらに、開口に供給されるガスの圧力は、光学ヘッドの浮揚高さを決定する。
【0029】
少なくとも一つのガス供給ラインが、ガス供給ユニットと開口の間にバッファタンクを含む場合には、流体皮膜内で維持される圧力はより正確に維持される。
【0030】
さらに別の実施形態では、装置はベースプレートに面する滑空面を有する光学ヘッドを吊り下げる懸架手段をさらに含む。
【0031】
一般的に光学ヘッドは、実質的に水平なスキャン表面上に懸架されており、即ち光軸は下向きに指向され、流体皮膜は光学ヘッドの重量を相殺する上向きの力を、光学ヘッド上に生成する。流体皮膜を介した光学ヘッドの重量が、スキャン媒体上に作用する下向きの対応する力を生成し、従って、スキャン媒体をベースサポート上に押圧して、スキャン表面の平坦性を増加させることは、さらなる利点である。
【0032】
好ましくは、懸架手段が、光軸の方向に沿った光学ヘッドの移動を可能にするサポートユニットに対する平行四辺形のリンクを含む。
【0033】
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0034】
本発明の他の態様に従えば、上記およびその他の問題は、電磁放射により表面をスキャンする装置であって、その装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
光学ヘッドユニットに接続され、スキャン表面の上の光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面とスキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットであって;流体皮膜生成ユニットが、スキャン表面に向かって指向する、それを通って流体が分配される少なくとも一つの開口を含むものと;を含み、
少なくとも一つの開口が、流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされていることを特徴とする、装置により解決される。
【0035】
従って、開口がスキャン表面のエッジに接近して、流体皮膜がスキャン表面のエッジに接近し、またはそれを越えた場合でさえも、多孔質材料の抵抗は開口を通る流体の流れを減衰させ、従って一定の圧力、即ち一定の浮揚高さの維持に貢献する。
【0036】
用語多孔質材料は、流体が貫通するが、流体の流れに所定の抵抗を与える任意の材料を含むことを意味している。適切な多孔質材料の例は、炭素、青銅および鋼を含んでいる。
【0037】
本発明の第2の態様に従う装置は、第1に言及された装置に関して記述された好ましい実施形態に対応して従属請求項に開示された、一つまたはそれ以上の好ましい実施形態を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の上記およびその他の態様は、添付の図面を参照して、以下に記述される実施形態から、明らかに説明される。
【0039】
図面では、同じ参照番号は同じまたは類似の部品、特徴等を表わす。
【0040】
図1は、移動可能な流体皮膜生成ユニットを有する、フラットベッドプリンタの概略の斜視図を示す。図1のフラットベッドプリンタは、縦方向には連続的に、横方向には点線110で示される短冊形を越えて、印刷表面をスキャンすることにより、印刷版106の印刷表面119を露光する。プリンタは、光軸104に沿って光ビームを印刷表面に向かって指向させる光学系を内蔵する、100で示される光学プリントヘッドを一般的に有している。光ビームは、印刷されるイメージ/パターンを表わすデジタルデータに従って変調される。このようにして、プリントヘッドは、均一な印刷品質と、特に光学系の均一な焦点を保証するために、プリントヘッドと印刷表面の間を一定の距離隔てて、表面の上を横切って移動されなければならない。
【0041】
プリントヘッド100は、印刷表面を横切って縦方向109に移動できるように、門型の支持構造101に移動可能に取り付けられている。この支持構造はさらに、横方向118に移動可能なように、ガイドまたはネジ付きのシャフト102に取り付けられている。このようにして、縦方向のスキャンの後に、次の縦方向のスキャンで、新しい短冊形を露光できるように、プリントヘッドは横方向に移動される。横方向の変位量111は、縦方向のスキャンライン110の幅に対応している。支持構造に沿ったプリントヘッドの縦方向移動と、支持構造の横方向移動は、ステップモーターのような適宜のモーター(図示せず)により引き起こされる。門型の支持構造を有する光学スキャナー用のスキャン装置の例は、その全部が参照により以下に引用される、米国特許第4,941,056号に開示されている。
【0042】
プリントヘッドと印刷表面との相対的な運動を提供するための、代替の手段が与えられることが理解される。例えば、プリントヘッドではなく支持板が移動してもよい。
【0043】
印刷版106は、ベースプレート105上に配置され、かつ好ましくは固定されている。一般的に印刷版は、ベースと放射線感応印刷層を含んでいる層構造として構成されている。例えば、グラフィック産業で使用される一般的な印刷版は、放射線感応エマルジョンを伴うアルミニウムベースを有する。
【0044】
好ましい実施形態では、印刷版106は、真空吸着によりベースプレートに固定されている。この目的のためにベースプレートは、真空ポンプ(図示せず)に接続された複数の小さい上向きの開口を備えている。このようにして、印刷版はスキャン動作中のずれから保護されており、また同時に印刷版は平らに維持されて、即ち印刷表面119の平坦性が増加する。代替案として印刷版は、他の手段、例えばガラス板のような保護層により、またはフレーム構造等により固定されてもよい。
【0045】
多くの場合、印刷表面119とベースプレートの表面の間には、一般的に印刷版の厚みに対応する高さの差異が存在する。一般的に印刷版は、0.1mm−0.4mm、例えば0.3mmである。図1では印刷版は、縦のスキャン方向109の方向の縦のエッジ107、またスキャンの方向とは直行する横のエッジ108を有して、ベースプレート上に配置されている。多くのアプリケーションでは、印刷版の全部が、即ち余白を残すことなく、スキャンされることが望ましい。従って縦方向のスキャン110は、横のエッジ108を通り過ぎて延伸する。図1では縦方向のスキャンは、横のラインセグメント111により表わされるように、印刷版を越えてさえも延伸し、これによりスキャンビームが印刷版の領域外にある時に、プリントヘッドが減速および加速されることができるようにする。
【0046】
プリントヘッド100は、プリントヘッドと支持構造の間の平行四辺形のリンクを提供する、平行板バネ103により形成される懸架構成により、支持構造101に搭載され、それによりプリントヘッドが垂直方向、即ち光軸の方向に移動できるようにしている。代替の実施形態では、例えば垂直のシャフト、レールまたはその他のガイドである、他の懸架構成が使用されてもよい。流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッドと、プリントヘッドがその上に浮揚する印刷表面106の間に、加圧空気の皮膜を提供するために、プリントヘッド100の底部に搭載されている。このようにしてプリントヘッドは、印刷表面上を非接触で滑空する。流体皮膜生成ユニット112は、印刷版に不規則性が存在する場合にさえも、プリントヘッドと印刷表面106の間の距離を、一定に保つことを可能にする。
【0047】
流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッドに対する流体皮膜生成ユニット112の縦方向の移動を可能にするガイド113を介して、プリントヘッド100に移動可能に取り付けられている。以下にその詳細が示されるように、この相対的な移動は、プリントヘッドが印刷表面の横エッジ108に接近し、またはそれを横切った時さえも、流体皮膜が維持されることを可能にする。
【0048】
プリントヘッド100のスキャン動作、光ビームの変調および流体皮膜生成ユニット112の動作は、それぞれの制御信号の接続115,116,117を介して、制御ユニット114によりそれぞれ制御される。制御ユニット114は、適宜にプログラムされたマイクロプロセッサ、適宜にプログラムされたコンピュータ、専用の制御回路またはその他の適宜の処理手段であってよい。特に用語処理手段には、汎用または専用のプログラム可能なマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定目的電子回路等またはそれらの組合せも含んでいる。ある実施形態では制御ユニットは、ベースプレート上の印刷版の位置と大きさについての情報をその内部に記憶している。いくつかの実施形態ではこの情報は、予め設定されたデフォルト値および/またはオペレータにより入力された値を含んでいる。代替案として、または追加として、一つまたはそれ以上の距離センサおよび/または一つまたはそれ以上の反射率センサおよび/または類似物のようなセンサにより、例えば印刷版のエッジを検出することにより、この情報は自動的に検出および/または確認される。
【0049】
図2は、移動可能な流体皮膜生成ユニットを有する、プリントヘッドの斜視図を示す。プリントヘッド100は、光学系により定義される光軸104に沿って、ビーム出口225から下方に向かって導かれる光ビームを生成するための光学系を含んでいる。光変調器を含む光学系の例は、以下にその全部が参照により引用される、欧州特許出願第1394732号に開示されている。
【0050】
プリントヘッド100は、その底表面に搭載されたレール113を有する。流体皮膜生成ユニット112は、スライダ223を介してこのレール113に移動可能に接続され、プリントヘッド100に対する流体皮膜生成ユニット112の正確な並進移動を可能にしている。流体皮膜生成ユニット112は、スライダ223の一つに接続されたベルト224を介して、ステップモーター220によりレール113に沿って移動される。流体皮膜生成ユニット112は、スキャンビームがそれを通してビーム出口225から印刷表面に向かって伝搬する、開孔/切り抜き228を有している。開孔228は、スキャン方向の縦方向に延伸されている。この開孔228の縦側に隣接して、流体皮膜生成ユニット112は、それぞれの滑空面と印刷表面の間に、流体皮膜を生成するために構成された滑空面221,222を備えている。以下でより詳細に記述されるように、プリントヘッドが印刷表面上に浮揚した場合に、滑空面と印刷表面の間のギャップ内にガスの皮膜を生成する、加圧空気を放出するための開口を、各々の滑空面は備えている。流体皮膜生成ユニット112はさらに、滑空面221,222の開口のそれぞれに加圧空気を供給するための、二つの空気供給通路226,227を含んでいる。
【0051】
図2は、ビーム出口225と光軸104が、滑空面の間、即ち滑空面221,222により生成される流体皮膜の中心の延伸された開孔228の中心に配置される位置における流体皮膜生成ユニットを示す。これにより、この実施形態では、各々がそれぞれの開口の組を有する、二つの別個の領域221,222を滑空面が含んでいる。流体皮膜生成ユニットが図1で示される位置にあり、かつ加圧空気が二つの滑空面の開口を通して流れる場合には、縦方向と横方向の双方の光軸の両側に流体皮膜が形成される。しかしながら、流体皮膜生成ユニットがレールに沿って移動した場合、滑空面とそれによりそれらの下に生成された流体皮膜は、光軸104に対して移動する。特に光軸104は滑空面221,222の間に配置されないが、それでも開孔228を通して放射されるように、流体皮膜生成ユニットを変位させることができる。
【0052】
滑空面221と222は、流体皮膜生成ユニット112の底面の外に、突部が延伸するように形成される。従って滑空面は、印刷表面に最も近接した流体皮膜生成ユニットの底面の一部であり、それにより流体皮膜生成ユニットと印刷表面の間の最短距離を決定する。さらに滑空面は、延伸された開孔228の直近に配置されている。
【0053】
図3は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの、詳細な斜視図を示す。
【0054】
図3aは、スライダ223を介してレール113に移動可能に搭載され、ベルト224を介してステップモーター220により駆動される、流体皮膜生成ユニット112の斜視図を示す。
【0055】
図3bは、流体皮膜生成ユニットの断面図を示す。この断面図は、スキャンビームのための延伸された開孔228の縦側上の滑空面221,222を示している。各々の滑空面は、それぞれの滑空面で下側に向いた開口/オリフィスを有する、穴330,331をそれぞれが備えている。空気供給通路226が滑空面221の穴330に加圧空気を供給する一方で、空気供給通路227が滑空面222の穴331に加圧空気を供給するために、この穴は、空気供給通路226,227それぞれと流体接続されている。このように、滑空面の各々が別個の空気供給を行うので、開孔228の各々の側の流体皮膜は、個々に制御されることができる。
【0056】
好ましくは、流体皮膜を備える滑空面221,222は可能な限り小さく維持され、可能な限り光軸104に近接して配置され、それにより小領域の方が光軸に近接している、印刷表面の小領域とプリントヘッドの間の正確な距離を提供する。このようにして、印刷表面に不規則性がある場合にさえも、正確な露光が達成される。
【0057】
図3cは、流体皮膜生成ユニットの底面図を示す。この底面図は、開孔228の各々の側上の滑空面221,222を示す。滑空面は、スキャン方向に延伸されている。ある実施形態では、各々の滑空面は60mm×16mmの大きさを有する。滑空面のこの大きさは、プリントヘッドに充分なサポートを提供するために見いだされたものである。図3の流体皮膜生成ユニットは、各々の滑空面に5つの開口を有し、それらの開口は、開孔228の縦側に沿って1直線に配置されている。さらに、延伸された開孔228は、滑空面221、222を縦方向に越えて延伸し、即ち開孔が滑空面より大きな縦方向の大きさを有する。従って、プリントヘッドの光軸が、矢印332により表わされる領域内部に開孔228を通して延伸するように、流体皮膜生成ユニットが配置されている場合には、光軸は、流体皮膜によりカバーされる領域の外側の印刷表面に向かって延伸している。
【0058】
図4は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの動作の概略を示す。
【0059】
図4aは、印刷版106の中心部上に配置されたプリントヘッド100の概略を示す。印刷版は、ベースプレート105上に配置されている。プリントヘッド100は、以上および以下に記述されるように、流体皮膜生成ユニット112により生成される流体皮膜上を浮揚している。プリントヘッドは、矢印435により表わされる縦方向に、印刷表面119を横切ってスキャンする。上記の図1−3に関して記述したように、流体皮膜生成ユニット112はレール113上に搭載され、流体皮膜生成ユニットがプリントヘッド100に対して、縦方向435に移動されることができるようにする。図4aでは、流体皮膜生成ユニットは、光軸が滑空面の中心に整列されるように、即ち流体皮膜が光軸の周囲に分布されるように、光学ヘッドに対して配置されている。
【0060】
図4bは、プリントヘッド100が印刷版のエッジ108に達した場合、即ちスキャンビームの光軸がエッジ108に整列される場合を、模式的に表わす。この位置では流体皮膜生成ユニット112は、プリントヘッド100に対して縦方向にずれている、即ち滑空面221,222の下の流体皮膜は、光軸とはずれた中心の周囲に分布している。このずれは、流体皮膜が全部印刷表面119上に生成されるようにし、従ってプリントヘッドの重量を完全に支持するようにさせる。従って、プリントヘッドと印刷表面の間の距離が一定に保たれて、プリントヘッドが印刷版のエッジ108からスライドしてはずれることが避けられる。図4bに示されるように、この位置ではレール113は、まだ流体皮膜生成ユニット112を越えて延伸しており、それにより光軸と印刷表面のエッジの整列に要求される以上のさらなる流体皮膜生成ユニットの相対的なずれを可能にしている。
【0061】
このようにして、図4cに示されるように、浮揚高さを顕著に減少することなく、プリントヘッドは印刷版のエッジを越えて移動されてもよい。図4cは、プリントヘッド100が印刷版のエッジ108を越えて移動された場合、即ち光軸104がもはや印刷表面と交わらない場合を、模式的に表わす。この追加の移動は、反対方向への縦方向のスキャンを起動するために、プリントヘッドが減速され、反対方向に再度加速されることを可能にする。
【0062】
このようにして光軸は、一定の速度で、かつプリントヘッドと印刷表面の間の距離を一定にして、印刷表面全部を横切ってスキャンすることができる。ここに記述される装置により、プリントヘッドの浮揚高さは、±5μmの精度で、35−40μmに維持される。この精度は、400μm/秒に達する、高い縦方向のスキャン速度でさえも維持されることができる。このようにしてこの装置は、高いスキャン品質を提供する一方で、高いスキャン速度を可能にする。
【0063】
浮揚高さに対する精度の要求は、光学系の焦点距離が維持される必要がないので、減速/加速領域では厳密ではないことが理解される。
【0064】
印刷表面への、特に印刷表面のエッジへの損傷が避けられることは、さらなる利点である。滑空面と印刷表面の間のギャップに入って詰まる微粒子が原因の、印刷表面の損傷が防げることは、大きな浮揚高さのさらなる利点である。
【0065】
図5は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの、制御およびガス供給回路を模式的に示す。図3に関して既に記述したように、流体皮膜生成ユニット112は、一つの滑空面の開口に各々が接続された、二つの空気供給通路226,227を含んでいる。こうして、開孔228の各々の側に生成された流体皮膜は、個々に制御することが可能であり、従ってプリントヘッドを支持する、流体皮膜の位置の制御を可能にする。
【0066】
この目的のために、各々の空気供給通路226,227は、対応するガス供給ライン540,541にそれぞれ接続されている。加圧空気は、2−3バール、例えば2.5バールのような所定の圧力で乾燥した加圧空気を生成する、空気供給ユニット545により生成される。好ましくは空気の圧力は、浮揚高さを調整できるように調整可能である。この空気は、ライン549、バッファタンク544を経由して、ライン540,541に供給される。供給ライン540,541の各々は、バルブ542,543をそれぞれ備えている。バルブ542,543の動作は、制御信号546,547のそれぞれを介して、制御ユニット114により制御されている。従って二つの滑空面への空気の流れは、対応するバルブ542,543の開閉により個々に制御される。バッファタンク544は、特に一方のバルブが動作されている時に、供給ライン540,541の圧力の安定性を改善する。代替の実施形態では、二つの別個のバルブ542,543の代わりに、二つのガスラインの間のガスの流れを切り換えるために、バッファタンクと二つの供給ライン540,541の間に、2方向バルブが備えられている。いくつかの実施形態では、ガスライン540,541の少なくとも一つが、滑空面221,222の下の圧力の相対的な調整を可能にするスロットルバルブを含んでいる。さらに別の代替の実施形態では、各々の滑空面は別個の空気系から供給される。
【0067】
制御ユニット114はさらに、制御信号548を介してステップモーター220を制御する。このようにして制御ユニットは、レール113に沿った流体皮膜生成ユニット112の移動と、それぞれの滑空面内の開口への空気の供給の双方を制御することにより、流体皮膜の相対的な位置を制御している。
【0068】
それぞれの滑空面内の開口への空気の供給の制御による流体皮膜の位置の制御は、図6から図9を参照して以下に示される。
【0069】
図6は、流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す。
【0070】
図6aは、滑空面221,222の双方が印刷表面上に配置されるような、印刷表面119上の位置における、以上に記述された流体皮膜生成ユニット112を示す。この位置ではバルブ542,543の双方が開かれて、加圧空気は双方の滑空面の開口に供給される。こうして流体皮膜は、点線650,651により示されるように、滑空面と印刷表面の間のギャップに生成される。従ってこの位置では、流体皮膜は光軸104の周囲に分配される。
【0071】
図6bは、縦のエッジに沿った縦のスキャンラインに対応する、印刷表面の縦のエッジ107に近接する位置における、流体皮膜生成ユニット112を示す。この位置では滑空面222のみが印刷表面上に配置され、一方滑空面221は印刷表面のエッジ107を越えて、即ちベースプレートの表面上に直接配置されている。こうして、滑空面222のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供している。この位置で滑空面221の開口を通して空気が注入される場合には、滑空面221とベースプレートの表面の間のギャップが大きすぎて流体皮膜が維持できないので、流体皮膜は決して形成されない。従って、ガス供給システムにおける一定の圧力を維持するために、バルブ542が開かれたままである一方で、バルブ543は閉じられて、光軸に関してずれた、結果としての流体皮膜が提供される。
【0072】
図6cは、印刷表面の反対の縦のエッジ107に近接した位置の流体皮膜生成ユニット112を示す。従ってこの位置では、バルブ543が開いたままである一方で、バルブ542は閉じられている。
【0073】
図7は、他の実施形態の流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作を模式的に示す。
【0074】
この実施形態では、以上に記述された流体皮膜生成ユニットの滑空面への空気の供給は、図6の実施形態と同様に制御される。しかしながらこの実施形態では、空気は一時には一つの滑空面の開口にのみ供給される。特に、印刷表面上に位置する二つの滑空面と共に流体皮膜生成ユニット112が配置されている場合には、滑空面222のみが動作される。この状態は、図7aに示されている。ただ一つの滑空面のみが印刷表面上に位置している図7b、7cの状態は、対応する図6b、6cのそれぞれの状態と同一であり、即ち印刷表面上に配置された滑空面に対応するただ一つのバルブのみが開かれている。
【0075】
従ってこの実施形態では、図7cに示されるように、滑空面222が印刷表面の領域の外側に位置する場合以外は、滑空面222のみの下の流体皮膜によりプリントヘッドが支持されている。これは、一時に動作する二つまたは一つの流体皮膜に起因する可能性のある浮揚高さの差異が避けられるので、プリントヘッドの浮揚高さが印刷表面全部について、より均一に制御されることができるという利点を有している。
【0076】
さらに、多くの印刷版は、再生用の印刷版の再装填の際に使用するために、印刷版の一つのエッジに沿って整列穴を備えている。この穴を含むマージンは、印刷版に基づいて形成されるべき、最終の文書の一部としては意図されない、例えば印刷作業者のための情報、バーコード等の情報のために、しばしば使用される。従ってその場合は、このマージンにプリントされたこの情報の品質への要求は、印刷領域の残りよりも厳密ではない。
【0077】
図7には、マージン760と整列穴761を有する印刷版が示されている。好ましくは図7の実施形態では、マージンでない領域762は、一方の滑空面222を動作させてスキャンされ、一方マージンの領域760は、他方の滑空面221を動作させてスキャンされるように、流体皮膜生成ユニットを制御して、それにより、マージンでない領域762内部では均一な印刷品質を達成し、一方滑空面222と滑空面221の間の切り換えにより起こされる、起こりうる浮揚高さの差異がマージン領域760にのみ影響するようにする。
【0078】
図8は、4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの底面図である。図8の流体皮膜生成ユニット812は、光軸104がそれを通って延伸する中心の切り抜き828の周囲に配置された、4組の開口865,866,867,868を含んでいる。この例では、各々の開口の組は、円形に配置されている。しかしながら、他の配置が同様に可能である。各々の開口の組は、別個の空気供給通路869,870,871,872とそれぞれ流体接続されている。このようにして、各々の開口の組を通る空気の流れは、別個に制御される。従って、プリントヘッドを支持する流体皮膜の位置は、図9を参照して示されるように、一つまたはそれ以上の開口の組へ空気を選択的に提供することにより制御されることができる。
【0079】
図9は、4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの動作を模式的に示す。図9a−dは、例えば一点鎖線975により示されるようなスキャン経路に沿ったスキャン動作の際の、印刷表面119上の図8の流体皮膜生成ユニット812の異なる位置を示す。
【0080】
図9aは、4つの開口の組865,866,867,868の全部が、印刷表面119上に完全に配置されている、印刷表面119の中心部上の流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、加圧された空気は、例えば対応するバルブ(図示せず)の制御により、4つの開口の組全部に供給される。こうして、流体皮膜が光軸104の周囲に分配されるように、流体皮膜生成ユニット812の底面と印刷表面の間のギャップに、流体皮膜が生成される。
【0081】
図9bは、縦のスキャンラインに対応する印刷表面の横エッジ108に近接した位置における、流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組867,868のみが印刷表面119上に配置され、一方組865,866は印刷表面のエッジ108を越えて配置されている。従って開口の組867,868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口867,868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0082】
図9cは、縦のスキャンラインに対応する印刷表面の縦エッジ107に近接した位置における、流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組865,868のみが印刷表面119上に配置され、一方組866,867は印刷表面のエッジ107を越えて配置されている。従って開口の組865,868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口865,868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0083】
最後に図9dは、印刷表面119の隅に近接した位置における流体皮膜生成ユニット812を示す。この位置では、開口の組868のみが印刷表面119上に配置され、一方組865,866,867は印刷表面の外側に配置されている。従って開口の組868のみが、印刷表面から特定の距離でプリントヘッドへの支持を提供することができる。これにより、加圧空気は開口868にのみ供給され、従って光軸に対して変位された結果としての流体皮膜を提供する。
【0084】
図10は、流体皮膜生成ユニットの開口を示す。
【0085】
図10aは、流体皮膜生成ユニットの開口の断面図を示す。この開口は、流体皮膜生成ユニット1012の滑空面1082内の穴1079の形式を有している。滑空面は、穴1079の周囲に、小さい窪み1080またはポケットを有する。ある実施形態では、直径1.2mmの穴と直径6mmの窪みが使用されている。滑空面1082と印刷媒体106の印刷表面119の間のギャップ内に、穴1079を通して加圧空気の流れを下の方向に提供するために、この穴1079は空気供給通路1078に延伸している。この空気の流れは、滑空面1082と印刷表面119の間のギャップに流体皮膜1081が生成され、その皮膜上に流体皮膜生成ユニットが浮揚するようにさせる。皮膜1081の厚みhは、穴と流体皮膜生成ユニットの形状寸法、支持される重量、および加圧空気の圧力に依存する。このようにして、ある所与の流体皮膜生成ユニットに対しては、加圧空気の圧力を介して浮揚の高さが制御されることができる。
【0086】
図10bは、穴1079の中心からの半径距離rの関数としての、流体皮膜の圧力分布1083を示す。
【0087】
図11は、流体皮膜生成ユニットの開口の断面図を示す。この開口は、炭素、青銅または鋼のような多孔質材料1180で満たされた窪みに供給する、穴1178の形式を有する。加圧空気の流れがこの穴1178を通して供給されると、空気は多孔質材料1180を貫通して、滑空面1182と印刷媒体106の印刷表面119の間のギャップに入り、それにより以上に記述されたように、流体皮膜1181を生成させる。多孔質材料が空気の流れを減衰させることは、その利点の一つである。従って、プリントヘッドが印刷表面のエッジを越えて、その下に流体皮膜が形成されている領域の部分がエッジを越えたような場合でさえも、多孔質材料の減衰効果のために、流体皮膜内の圧力低下は減少される。これはプリントヘッドに、印刷表面からの一定の距離を維持させ、それにより印刷表面の損傷の危険性を減少させる。
【0088】
図12は、多孔質材料を有する流体皮膜生成ユニットの斜視図を示す。流体皮膜生成ユニットは、それを通って光軸104が延伸する中心穴1228を有する環状体1290の形式を有している。環状体1290の底面1286は、図11に関して記述されたような多孔質材料で満たされた、環状の開口1285を含んでいる。環状の開口1285は、加圧空気を開口1285に供給するために、空気供給通路1288に接続されている。
【0089】
図13は、移動可能な流体皮膜生成ユニットの他の実施形態の底面図を模式的に示す。この実施形態では、流体皮膜生成ユニット1312は、スキャンビームの光軸1304を定義する光学ヘッド1300の下に搭載されている。流体皮膜生成ユニット1312は、以上に記述されたように、流体皮膜を生成するために、その底面に一つまたはそれ以上の開口1379を有する。流体皮膜生成ユニット1312は、シャフト1395上の軸部材1396を介して旋回可能に搭載されている。シャフト1395は、それを通って光軸1304が延伸する穴1328を有する。このようにしてこの実施形態では、流体皮膜生成ユニット1312を光軸1304の周囲で回転させることにより、流体皮膜の位置が制御され、それにより、光軸が印刷表面のエッジまたは隅に接近するように、光学ヘッドが配置された場合でも、流体皮膜生成ユニット1312を印刷表面上に保持している。
【0090】
以上に記述された装置は、例えばコンピュータ製版の工程におけるような、図形産業で使用される印刷版の露光に、有利に適用されることが留意される。
【0091】
以上に記述された制御手段は、いくつかの個別の要素を有するハードウェアにより、および適宜にプログラムされたマイクロプロセッサ、コンピュータ等により、具体化されることが留意される。種々の制御手段、処理手段等を列挙する装置の請求項では、これらの手段のいくつかは、例えば適宜にプログラムされたマイクロプロセッサまたはコンピュータである、同一のハードウェアにより具体化されることができる。ある手段が、互いに異なる従属請求項において言及され、または異なる実施形態において記述されている事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを意味していない。
【0092】
この明細書で用いられた用語「含む/包含」は、言及された特徴、整数、ステップまたは部品の存在を特定するために用いられているが、一つまたはそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、部品またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】 移動可能な流体皮膜生成ユニットを有するフラットベッドプリンタの概略斜視図である。
【図2】 移動可能な流体皮膜生成ユニットを有するプリントヘッドの斜視図である。
【図3】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの詳細図である。
【図4】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの動作の概略斜視図である。
【図5】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの制御およびガス供給回路の概略斜視図である。
【図6】 流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す図である。
【図7】 他の実施形態の流体皮膜生成ユニットの複数の組の開口の動作の概略を示す図である。
【図8】 4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの底面図である。
【図9】 4組の開口を有する流体皮膜生成ユニットの動作の概略を示す図である。
【図10】 流体皮膜生成ユニットの開口を示す図である。
【図11】 多孔質材料の流体皮膜生成ユニットの開口を示す図である。
【図12】 多孔質材料の流体皮膜生成ユニットの斜視図である。
【図13】 移動可能な流体皮膜生成ユニットの他の実施形態の概略底面図である。
【符号の説明】
【0094】
100,1300 光学ヘッドユニット
105 ベースプレート
106 スキャン表面
112,1312 流体皮膜生成ユニット
221,222,1082,1182 滑空面
330,331,1078,1179 開口
1180 多孔質材料
1181 流体皮膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射により表面をスキャンする装置であって、前記装置が、
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、前記スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
前記光学ヘッドユニットに接続され、前記スキャン表面の上の前記光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面と前記スキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、前記スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットと、を含み、
前記装置がさらに、前記光軸に対して前記流体皮膜の位置を制御する制御手段を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記スキャン表面に面した前記流体皮膜生成ユニットの前記表面の所定の一部のみを前記流体皮膜にカバーさせるように、前記流体皮膜生成ユニットが構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
一つまたはそれ以上の流体皮膜を、前記流体皮膜の中心の周囲に分布させるように前記流体皮膜生成ユニットが構成され、かつ、前記光軸からの前記流体皮膜の中心のずれを制御するように前記制御手段が構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光学ヘッドユニットに移動可能に接続されている、請求項1〜3の1つに記載の装置。
【請求項5】
前記流体皮膜生成ユニットの相対的な動作を前記光学ヘッドユニットの前記スキャン動作と同期させるように、前記制御手段が構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スキャン表面上の前記光学ヘッドユニットのスキャン方向に沿って、前記流体皮膜生成ユニットを前記光軸に対して移動させるように、前記制御手段が構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光学ヘッドユニットに接続された少なくとも一つのガイド部材に搭載されている、請求項4〜6の1つに記載の装置。
【請求項8】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光軸の周りに回転可能に搭載されている、請求項4〜7の1つに記載の装置。
【請求項9】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記スキャン表面に向かって指向する、流体を供給するための多数の開口を含んでいる、請求項1〜8の1つに記載の装置。
【請求項10】
前記多数の開口の少なくとも一つが、前記流体が貫通可能である、多孔質材料で少なくとも部分的に満たされている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記多数の開口が、第1および第2の開口の組を含み、各々の組が前記滑空面内のそれぞれの所定領域内に分布され、かつ前記制御手段が前記第1および第2の開口の組への前記ガスの供給を別個に制御するように構成されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記開口の組の各々が、前記光軸からそれぞれの距離で、それぞれの流体皮膜の中心の周りに配置されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電磁放射により表面をスキャンする装置であって、前記装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、前記スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
前記光学ヘッドユニットに接続され、前記スキャン表面の上の前記光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面と前記スキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、前記スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットであって;前記流体皮膜生成ユニットが、前記スキャン表面に向かって指向する、それを通って流体が分配される少なくとも一つの開口を含むものと;を含み、
前記少なくとも一つの開口が、前記流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされていることを特徴とする、装置。
【請求項14】
前記装置が、少なくとも一つのガス供給ラインを経由して、加圧空気を前記開口に提供するためのガス供給ユニットを含む、請求項9〜13の1つに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つのガス供給ラインが、前記ガス供給ユニットと前記開口の間にバッファタンクを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記滑空面と前記スキャン表面の間に加圧空気の皮膜を生成するように構成されている、請求項1〜15の1つに記載の装置。
【請求項17】
前記ガスが空気である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、原稿からデジタルデータを取得するための光学スキャナーである、請求項1〜17の1つに記載の装置。
【請求項19】
前記装置がプリンタである、請求項1〜17の1つに記載の装置。
【請求項20】
前記放射が紫外光である、請求項1〜19の1つに記載の装置。
【請求項21】
前記ベースプレートに面する前記滑空面を有する前記光学ヘッドユニットを吊り下げる懸架手段をさらに含む、請求項1〜20の1つに記載の装置。
【請求項22】
前記懸架手段が、前記光軸の方向に沿った前記光学ヘッドユニットの移動を可能にする、サポートユニットに対する平行四辺形のリンクを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項1】
電磁放射により表面をスキャンする装置であって、前記装置が、
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、前記スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
前記光学ヘッドユニットに接続され、前記スキャン表面の上の前記光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面と前記スキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、前記スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットと、を含み、
前記装置がさらに、前記光軸に対して前記流体皮膜の位置を制御する制御手段を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記スキャン表面に面した前記流体皮膜生成ユニットの前記表面の所定の一部のみを前記流体皮膜にカバーさせるように、前記流体皮膜生成ユニットが構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
一つまたはそれ以上の流体皮膜を、前記流体皮膜の中心の周囲に分布させるように前記流体皮膜生成ユニットが構成され、かつ、前記光軸からの前記流体皮膜の中心のずれを制御するように前記制御手段が構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光学ヘッドユニットに移動可能に接続されている、請求項1〜3の1つに記載の装置。
【請求項5】
前記流体皮膜生成ユニットの相対的な動作を前記光学ヘッドユニットの前記スキャン動作と同期させるように、前記制御手段が構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スキャン表面上の前記光学ヘッドユニットのスキャン方向に沿って、前記流体皮膜生成ユニットを前記光軸に対して移動させるように、前記制御手段が構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光学ヘッドユニットに接続された少なくとも一つのガイド部材に搭載されている、請求項4〜6の1つに記載の装置。
【請求項8】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記光軸の周りに回転可能に搭載されている、請求項4〜7の1つに記載の装置。
【請求項9】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記スキャン表面に向かって指向する、流体を供給するための多数の開口を含んでいる、請求項1〜8の1つに記載の装置。
【請求項10】
前記多数の開口の少なくとも一つが、前記流体が貫通可能である、多孔質材料で少なくとも部分的に満たされている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記多数の開口が、第1および第2の開口の組を含み、各々の組が前記滑空面内のそれぞれの所定領域内に分布され、かつ前記制御手段が前記第1および第2の開口の組への前記ガスの供給を別個に制御するように構成されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記開口の組の各々が、前記光軸からそれぞれの距離で、それぞれの流体皮膜の中心の周りに配置されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
電磁放射により表面をスキャンする装置であって、前記装置が
スキャンされるスキャン表面を有する媒体を支持するベースプレートと;
光軸に沿って伝搬する電磁放射により、前記スキャン表面をスキャンするように構成された光学ヘッドユニットと;
前記光学ヘッドユニットに接続され、前記スキャン表面の上の前記光学ヘッドユニットのスキャン動作の際に、滑空面と前記スキャン表面の間に所定の距離を維持するための流体皮膜を、前記スキャン表面と流体皮膜生成ユニットの滑空面の間に生成するように構成された流体皮膜生成ユニットであって;前記流体皮膜生成ユニットが、前記スキャン表面に向かって指向する、それを通って流体が分配される少なくとも一つの開口を含むものと;を含み、
前記少なくとも一つの開口が、前記流体が貫通可能である多孔質材料で少なくとも部分的に満たされていることを特徴とする、装置。
【請求項14】
前記装置が、少なくとも一つのガス供給ラインを経由して、加圧空気を前記開口に提供するためのガス供給ユニットを含む、請求項9〜13の1つに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つのガス供給ラインが、前記ガス供給ユニットと前記開口の間にバッファタンクを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流体皮膜生成ユニットが、前記滑空面と前記スキャン表面の間に加圧空気の皮膜を生成するように構成されている、請求項1〜15の1つに記載の装置。
【請求項17】
前記ガスが空気である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置が、原稿からデジタルデータを取得するための光学スキャナーである、請求項1〜17の1つに記載の装置。
【請求項19】
前記装置がプリンタである、請求項1〜17の1つに記載の装置。
【請求項20】
前記放射が紫外光である、請求項1〜19の1つに記載の装置。
【請求項21】
前記ベースプレートに面する前記滑空面を有する前記光学ヘッドユニットを吊り下げる懸架手段をさらに含む、請求項1〜20の1つに記載の装置。
【請求項22】
前記懸架手段が、前記光軸の方向に沿った前記光学ヘッドユニットの移動を可能にする、サポートユニットに対する平行四辺形のリンクを含む、請求項21に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−536881(P2007−536881A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513678(P2007−513678)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000282
【国際公開番号】WO2005/107233
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506345421)サイン−トロニツク・アクチエンゲゼルシヤフト (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000282
【国際公開番号】WO2005/107233
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506345421)サイン−トロニツク・アクチエンゲゼルシヤフト (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]