説明

電磁放射線供給機器

本発明は、人間の組織に電磁放射線を当てる、特に光を皮膚に当てる装置に関する。装置は、その中で光が放出されその中の空気圧がポンプ(11)によって下げられ得る凹部(10)を有する処置ヘッドを有する。装置は更に、凹部内の圧力を測定する圧力ゲージ(8)を有する。特定の閾値以上では装置は機能しない。何故なら、このことは、皮膚に対する装置の正しくない位置付けを示すからである。これは、人を負傷させてしまいうる。圧力ゲージを設けることによって、操作者は、処置ヘッドの位置付けが正しいか否かを決定しうる。装置は、圧力ゲージが放射線源(3)を制御する制御手段(5)に接続されることによって有利に自動化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射線源と、電磁放射線源に光結合され、電磁放射線を放出可能な放出窓と、片側が開いている凹部とを有する放射線供給ヘッドと、凹部内の圧力を低下させる真空手段とを有する皮膚処置のための電磁放射線供給機器に係る。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レーザ脱毛用の機器を開示する。この機器は、レーザダイオードと、レーザダイオードを囲む吸引カップを有する。吸引カップから空気が吸い出され得る。機器は更に、空気の吸引及び時間的にレーザダイオードのオンオフを制御する制御ユニットを有する。機器は、脱毛装置としての使用のためのものである。
【0003】
特許文献1から公知である装置、また、一般的に電磁放射線に支援された体部位の処置のための多くの装置は、熟練者によってのみ操作される。これは、処置されるべき身体部に放射線を当てすぎてしまうことが容易に可能であるという事実による。更に、公知の機器では、機器が正確な位置になくても機器をスイッチオンにすることが可能である。その場合、目や目の付近の人間又は動物の皮膚部といった処置されるべきではない身体部や、更にはレーザ放射線によって損傷を受けやすい他の対象に当たるレーザ放射線が放出されてしまうことが可能である。これは、危険で且つ望ましくない状況である。
【0004】
一般的に、未熟練者がそのような装置を操作する傾向がますます強まっている。従って、電磁放射線の不適当な供給の危険性が低減された安全な方法で操作し得る機器がますます必要となってきている。
【特許文献1】欧州公開特許第1285600号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より安全に操作可能な上述したような種類の機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、主の請求項の前提部分に記載されるような種類の電磁放射線供給機器であって、凹部内の圧力を測定する圧力ゲージを更に有することを特徴とする機器によって達成される。圧力ゲージは、機器が、身体部又は処置されるべき他の表面に正しく当てられているか否か確認することを未熟練者であっても可能にする簡単な手段を提供する。凹部を有する放射線供給ヘッドが正しく適用されてのみ、真空、即ち、周囲圧力より低い圧力が発生されうる。供給機器を偶然に作動させてしまう危険は劇的に少なくなる。
【0007】
真空ゲージは、ディスプレイ、スイッチ、又は他の制御手段と組み合わせられた圧力メータでありうる。本発明の機器の好適な実施例は更に、圧力ゲージ及び電磁放射線源に接続される制御手段を更に有し、制御手段は、圧力ゲージによって測定された圧力が所定の閾値より高い場合は、電磁放射線源が電磁放射線を放出することを阻止可能であることを特徴とする。このように機器の動作を自動化することによって不適切な使用の危険は更に一層少なくなる。
【0008】
適当な閾値が設定される場合、圧力が所定の値より上である場合は機器を動作することができない。従って、例えば、小さな子供といった不適切な人々による動作の場合でも、被害又は危険の可能性は少なくされる。尚、本願のコンテキストにおいて、圧力の「測定」とは、絶対値を決定する、又は、所定の閾値に対する相対値を決定するかのいずれかを意味する。相対値の場合、真の圧力値を決定する必要はなく、圧力が、閾値より上か下であるか否かのみを決定すればよい。
【0009】
閾値、即ち、この閾値より下の圧力値では、機器はオフにされるか又は制御手段によって自動的にオフにされるのだが、身体部又は処置されるべき表面の特性に応じて適切に選択されうる。閾値は、周囲圧力より10乃至250ミリバール(mbar)下であることが有利である。身体部又は処置されるべき表面が滑らかで、弾力があり、圧縮性がある場合、低い圧力差、例えば、周囲圧力より10又は20ミリバール下が選択されうる。処置されるべき表面が粗く非圧縮性である場合、放射線供給ヘッドの位置の正しい確認を確実にするために、閾値は、周囲圧力より非常に低い、例えば、200ミリバールであるべきである。何故なら、供給ヘッドが正しい位置にあっても凹部内に空気が漏れ込む可能性があるからである。真空手段の力は、空気の漏れ込みがあっても十分な圧力差が維持されるよう十分に高いべきである。
【0010】
当然ながら、閾値は、周囲圧力に依存する。これは、低圧又は高い高度の地域では、対応して閾値は、高圧又は海水位の地域における閾値よりも低いことを意味する。一般的に、閾値は、周囲圧力に依存し、周囲圧力との圧力差として表現されうる。好適な実施例において、閾値は、10乃至250ミリバールの周囲圧力との(負の)圧力差として定義することが可能である。
【0011】
凹部内の測定された圧力が閾値以下である時間の間、制御手段は、電磁放射線源が、所定の最大エネルギー量より上の電磁放射線を放出することを阻止可能であることが好適である。1つのセッション時に、特定の最大エネルギー量のみが放出可能とすることによって、可能な(増加された)不快さ又は負傷を伴う皮膚の過度の照射が回避され得る。更に、皮膚の特定な部分が放射線を受けたか否かに関する不確かさがもはやなくなる。
【0012】
閾値、又は、即ち、周囲圧力との圧力差を決定する際のもう1つの可能な基準は、比較的低い圧力(又は高い圧力差)が、特に皮膚である身体部を電磁放射線に向かって「吸い込む」ことである。このことは、電磁放射線源と身体部又は処置されるべき表面との間の制御された距離の可能性を与えるだけではなく、皮膚及び他の身体部の場合、低圧は、放射線を受信するまたそれに反応するためにこれらの身体部の特性を改善するか、又は、従来技術において周知である望ましくない副作用を低減しうる。
【0013】
身体部又は処置されるべき表面にもたらされる電磁放射線は、人体部又は表面に影響を与えるので、供給される放射線の総量を制限することが重要でありうる。好適な実施例では、制御手段は、機器の再動作を阻止可能であり、それにより、供給ヘッドを持ち上げ、従って真空をなくすことなく所定の最大エネルギー量より多くの放射線エネルギーを供給することができないことが確実にされる。
【0014】
制御手段は、電磁放射線の放出を阻止可能なシャッターを有することが有利である。このようなシャッターは任意の形状、例えば、電気光学シャッター、機械シャッター、切替え可能ミラー等を取りうる。そのようなシャッターの存在の利点は、電磁放射線源が、機器が放射線を放出しないときにスイッチオフにされる必要がないことである。多くの電磁放射線源について、このことは、電磁放射線源の寿命の為に有益である。しかし、電磁放射線源のオンオフの頻繁な切替えが、電磁放射線源の寿命を実質的に短くはしない場合、制御手段が、例えば、LEDの場合、放射線源の電源を単純に切り替えることも可能である。
【0015】
好適な実施例では、凹部内に放出窓がある。「放出窓」という用語は、放射線供給ヘッドの1つの領域に関連し、この領域を通り電磁放射線が放出される。これは、例えば、光学光線の場合はガラスである放出されるべき電磁放射線を透過させる材料の一部の形で得られる。しかし、放出窓は、例えば、管の出口端といったように任意の材料によって覆われていない空洞の開いた片側も意味する。凹部に放出窓があることによる利点は、凹部が正しい位置に位置付けられると判断されると、放出窓も自動的に正しく位置付けられる。多くの場合において、1つの放出窓が存在する。しかし、複数の放出窓が存在することも可能であることに留意されたい。
【0016】
複数の凹部が存在することも可能である。放出窓の周りの多数の孔の形で多数の小さな凹部が存在することが考えられうる。全ての孔が正しく位置付けられると、これも、供給機器が正しく位置付けられたという安全の指示である。しかし、放出窓を凹部が囲むことが好適である。これは、放出窓が凹部内にある場合の僅かにより一般的な場合である。放出窓を凹部が囲む場合、凹部内の適切な減圧は、放出窓の正しい位置付けを保証する。この場合、凹部は放出窓の周りの溝の形でありうる。このようにすると、凹部及び放出窓に対して様々な形状を有することが可能である。これは、例えば、均質性の理由から放射線が円形パターンで供給されることが好適であり、一方で、処置されるべき部分の周りの表面の様々な部分が放射を受けるべきではない場合に利点を提供する。
【0017】
凹部は、周囲縁を有することが好適である。このようにすると、周囲縁を調べることによって正しい位置決めを視覚的に確認することが比較的簡単である。
【0018】
周囲縁は、弾力的に変形可能であることが有利である。この実施例は、放出窓又は凹部の平面にぴったりと適合しない身体部又は表面への適応を可能にする。変形不可能な供給ヘッドを使用し、また、身体部及び処置されるべき表面の変形可能性を使用することが可能であるが、弾力的に変形可能な周囲縁は、身体部又は表面に与えられる圧力があまり異ならないという利点を提供する。
【0019】
放出窓が、透明材料部の形である場合、この材料部は、身体部又は処置されるべき表面上に圧力を与えるよう使用されうる。この場合、特に皮膚の場合、身体部を通る血流が影響を受ける。例えば、光脱毛の場合、処置されるべき組織における血液循環が低減されることが有利である。何故なら、目的の部分(発色団、毛嚢)以外の組織部分による放射線の吸収が少なくなるからである。更に、処置の可能な副作用の危険性も少なくされる。
【0020】
弾力的に変形可能な周囲縁は、ゴムといった弾性材料のリムとして設計されうる。任意の他の弾力的に変形可能な材料又は構成が可能である。
【0021】
有利な実施例では、周囲縁は、平面上、凹面上、又は凸面上に位置する。これらの単純な幾何学では、処置されるべき多くの身体部又は他の表面は、効率よく処置されることが可能である。平面は、人工対象、又は、例えば、脚といったように大きく、従って比較的平らな身体部の小さい面積を処置するために使用されうる。周囲縁用の凹面は、例えば、指や、鼻といった非常に強く湾曲した他の身体部といった比較的小さい身体部といった凸状の身体部を処置するのに有用でありうる。周囲縁用の凸面は、脇の下の脱毛のためといったように幾分凹面の処置用に有利である。特定の場合において、周囲縁用の他の表面もより一層有利でありうる。
【0022】
本発明の機器の1つの好適な実施例では、電磁放射線は、赤外線、可視光学放射線、又は紫外線を有する。この出願の目的のために、赤外線、可視光学放射線、又は紫外線は、「光学放射線」と称する。光学放射線は、未熟練者又は他の私人によって身体部の処置の為にしばしば使用される電磁波スペクトルの一部である。しかし、原則的に、例えば、マイクロ波放射線又はX線といった他のタイプの電磁波放射線を使用することも可能である。本発明の好適な電磁放射線(光学放射線)は、筋肉痛の治療の為の熱(赤外線)による処置、可視光学放射線による脱毛、高ビリルビン血症の治療等、及び人工日焼け、白斑及び乾癬といった様々な皮膚疾患の治療を包含する。日焼け及び脱毛といった一部の処置は、未熟練者又は非専門家によって行われうるが、多くの場合では、専門家の熟練者が処置を行うことが好適でありうる。しかしながら、専門家の場合でも、本発明の機器の改善された安全性及び他の有利な特徴は、有効である。
【0023】
本願全体において、「身体部」及び「処置されるべき表面」は、電磁放射線による処置に影響をうける任意の人間組織表面に関する。特に、これは皮膚(人間の皮膚)に関する。しかし、一般的に、任意の他の処置可能な表面も考えられる。例えば、材料研究、及び材料の硬化の分野における。しかし、本発明は、人間又は動物の処置に関連して使用される際に特別な利点を有する。何故なら、事故などによる偶然の被害が非常に少なくなるからである。
【0024】
本発明の機器では、電磁放射線源は、放射線送信ヘッド内に含まれ得る。これは、例えば、LED又は高圧ガス放電ランプといった光源が、放射線供給ヘッド内に組み込まれることを意味する。しかし、1つの有利な実施例では、電磁放射線源は、電磁放射線発生手段と、該電磁放射線発生手段に光学的に接続される電磁放射線案内手段を有する。電磁放射線発生手段と電磁放射線案内手段の存在は、これらの2つの機能の分離の可能性を提供する。これは、高出力レーザといった複雑な大きく且つ重い電磁放射線発生手段が、供給ヘッドから特定の距離においてありうることを意味する。電磁放射線発生手段によって発生された放射線を最終的に放出する供給ヘッドは、電磁放射線案内手段に光学的に接続され、電磁放射線案内手段は、電磁放射線を放射線供給ヘッド、最終的には放出窓に案内することが可能である。このことは、比較的小さく軽量の供給ヘッドを可能にし、これは、機器の使い易さを非常に向上する。
【0025】
有利な実施例では、電磁放射線案内手段は、ミラー、中空の電磁放射線ガイド、又は光ファイバーを有する。当業者は、適切な案内手段を選択する方法が分かるであろう。例えば、レーザの場合、光ファイバーが選択される案内手段であろう。レーザが電磁放射線発生手段であり、レーザビームが処置されるべき特定の領域をスキャンするために使用される場合にミラーが使用されうる。このことは、この特定の領域を、操作者が放射供給ヘッドを動かすことなくレーザビームによって均等に照射することを可能にする。これは、非常に、処置の効率及び均質性を向上する。
【0026】
電磁放射線源は、レーザ、フラッシュランプ、LED、ガス放電ランプ、又は白熱ランプを有することが有利である。電磁気放射線源は、本発明の機器の様々な可能な使用において効率がよく且つ有用であることが分かっている。電磁気放射線源は、様々な波長、パワー等で使用可能である。しかし、特定の場合では、例えばX線源といったように他の放射線源を使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の電磁放射線供給機器の実施例を、添付図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0028】
図1a、bは、本発明の装置1の第1の実施例の断面図及び底面図をそれぞれ示す。ここでは、2は、ランプ3及び反射器4用の筐体である。制御手段5が、供給ケーブル6を介してランプ3に、また、スイッチ7及び真空ゲージ8に接続される。放出窓9は、凹部10に隣接する。真空ポンプ11は、真空出口12と排気管13に接続される。装置1は、処置ヘッドを有し、この操作のためには、本線、又は、可能ならば幾つかの種類のみの電池、又は、自分自身の他の電源への接続のみを必要とする。
【0029】
筐体2は、任意の種類の材料から形成されうる。好適には、人間の皮膚に適合可能な材料、即ち、多くのプラスチックや、アルミニウム又はスチールのような金属といった毒性がなくアレルギー誘発性材料のない材料が使用される。任意選択的に、材料はコーティングされていてもよい。
【0030】
筐体2は、他の種類の光源を排除することなく、例えば、フラッシュランプ、ハロゲン白熱ランプ、又はレーザといったランプ3を収容する。本願全体では、「光」は、約300ナノメートル(nm)乃至1500ナノメートル(nm)、即ち、紫外線から(中波)赤外線までの波長を有する電磁スペクトルの一部をさす。このスペクトルは、連続的であっても単色性であってもよく、また、放射線は、連続的、又は、パルスレーザ或いはフラッシュランプにおけるように断続的に放出されうる。
【0031】
制御手段5は、供給ケーブル6を介してランプ3の動作を制御する。供給ケーブル6は、一般的な2心電気ケーブル及びデータケーブルの組合せ、又は、当該技術において周知の任意の他の適切なケーブルでありうる。制御手段5は、ROM、コンピュータ等として具現化されうる。ランプ3を実際にオンオフ切り替えるよう別個のスイッチ7が設けられうる。
【0032】
制御手段は更に、真空ゲージ8に接続される。真空ゲージからの圧力信号が、圧力差が低すぎる、即ち、絶対圧力が高すぎることを示す場合、制御手段は、ランプ2をスイッチオフにする、若しくは、スイッチオンを阻止するか、又は、同じ効果のためにスイッチ7に信号を送信する。
【0033】
真空ゲージ8は、凹部10内の圧力を測定する。凹部10内の圧力は、真空出口12及び環境に接続される排気管13を介して凹部内の空気を吸引するポンプ11によって低下される。ポンプの力は、凹部10内の圧力が、周囲圧力より10乃至250ミリバール低い値に低下するよう好適に選択されるべきである。高さと気圧に依存して、これは、約1020ミリバール乃至約600ミリバールの絶対気圧に相当しうる。圧力差は、好適には、処置される人に不快感を与えるほど大きくないべきである。このために、また、皮膚から処置ヘッドを外すことが可能であるために、凹部に通気する弁が凹部内に又は真空手段内に有利に設けられる。このランプがスイッチオン可能であるか否か、また、安全弁が開くべきか否かを決定するのは、周囲圧力との圧力差であることに留意されたい。
【0034】
ポンプ11は、必要に応じてスイッチオン及びオフされるよう制御手段5に有利に接続される。より有利には、制御手段は、変化する周囲条件に適応するようポンプ11の力を設定しうる。
【0035】
真空ゲージ8は、アナログ又はデジタル信号を発する何らかの種類の圧力差メータ又は絶対圧力メータでありうる。絶対圧力メータの場合、所望の閾値(即ち、その圧力値を越えるとランプはオンにされるべきではない)が、圧力メータにおいて設定されうる。もう1つの可能性は、圧力メータが、制御手段5に圧力値信号を供給し、制御手段5が、ランプはスイッチオンにされるべきかオフにされるべきか判断するようその信号を評価してもよい。
【0036】
ランプ3からの光は、反射器4によって放出窓9に向かって反射される。ここでは、放出窓9は、筐体における開口である。放出窓9は、凹部10、即ち、筐体2内の中空空間と、環境との間の接続である。装置1が皮膚上に正しく配置されると、凹部は、皮膚によってしっかりと閉じられ、従って、凹部内には周囲空気が入らない。この場合、ポンプ11が凹部内の十分に低い圧力値、即ち、閾値以下に到達することが容易である。その一方で、装置が正しく配置されない場合、凹部内に空気が漏れ込み、真空密閉をなくし、凹部内の圧力が十分に低下することを阻止してしまう。このことは、図3の議論において更に説明する。
【0037】
凹部から空気を吸い出すことのもう1つの利点は、処置の間又は処置によって発生する任意の臭い、堆積物等も吸い出されるということである。例えば、堆積物から排ガス又は切れた毛が取り除かれる。このために、ポンプ手段及び/又は真空出口には、好適なフィルタが設けられうる。これは、ポンプの損傷又は汚れが回避され、また、廃物の安全且つきれいな除去並びに排ガスの良い香りを保証する。
【0038】
この場合、処置ヘッドは、この装置である。その他の場合では、装置の一部分が処置ヘッドに対して外部でありうる。特に、処置ヘッドは、凹部と放出窓を有する装置の部分であると考えられる。その場合、装置は全体として、処置ヘッドと外部部分、例えば、真空ポンプ及び制御手段から構成される。
【0039】
制御手段5は、1回の「セッション」中に特定量のエネルギーのみが放出されることを可能にするよう調整されうる。この点について、セッションとは、皮膚の特定のスポット上への処置ヘッドの位置付け、気圧の閾値以下の動作値への低下、放射線の放出、及び、気圧の上述の閾値以上、特に周囲圧力への増加を示す。セッション中に特定の最大エネルギー量が放出可能とすることによって、可能性のある(増加される)不快感又は負傷を伴う皮膚の過剰の照射が回避されうる。皮膚の特定部分が放射線を受けたか否かに関する不確かさがなくなる。装置の操作者は、装置を持ち上げて、そして、装置を再び皮膚に当てなくてはならなくなる。操作者は、例えば、皮膚の負傷を回避するために次の処置の為に違う領域を選択することが可能である。或いは、例えば、より深い(皮膚)組織層の処置の場合、操作者は、皮膚の同じ領域に装置を当てることが可能であるが、皮膚又は他の組織部分が冷却することを可能にするために幾らか時間が経過した後にのみ当てられることが好適である。有利には、制御手段は、遅延時間を設定する手段を有し、この遅延時間の間は、装置は放射線を放射することができない。
図2a、bは、本発明の装置の第2の実施例の断面図及び底面図をそれぞれ示す。ここでは、全図面でも同様に、同様の部分は、同じ参照番号によって示される。筐体2はここでも光源3及び反射器4を有する。光源は、供給ケーブル6に接続される。筐体は、真空ゲージ8及び真空出口12に接続される周囲凹部14と、放出窓9と、周囲縁15を有する。この第2の実施例では、ランプ3は、圧力が低下される空間内に位置付けられていない。その代わり、別個の空間が、放出窓9によって閉じられている。放出窓9は、ガラス、婦素チック、クオーツ等の窓である。放出窓は、例えば、材料に色を付けることによって放射線のフィルタとして作用するよう取り扱われる。ランプの為の空間を閉じることが有利でありうる。例えば、何故なら、時としてランプは非常に熱くなり、オゾンなどを生成し、これは、人間にとって危険である。
【0040】
第2の実施例は、皮膚上の装置1の正しい位置を確認するために周囲凹部14を使用する。閾値より低い周囲凹部14における圧力値は、装置の正しい位置を保証する。何故なら、皮膚は連続的な表面だからである。
【0041】
この第2の実施例では、真空ゲージ8のみが装置(又は処置ヘッド)内にある。処置ヘッドに対して外部であるポンプ、制御手段、及びスイッチといった他の部分は、ケーブル6及び/又は真空出口12によって処置ヘッドにおける関連部分に接続される。このことは、より軽量及び取り扱い易い処置ヘッドを保証する。尚、真空ゲージ8も処置ヘッドの外部、例えば、外部ポンプ付近の真空出口内に取り付けられることも可能である。しかし、圧力は、例えば、(周囲)凹部と真空ゲージ8との間の真空出口の遮断といった危険性を回避するよう圧力が分かるべきその場所において測定されることが安全である。このことは、真空出口の遮断は、不正確な凹部内の実際の圧力を想定してしまい、可能な危険な状態をもたらしてしまいうる。
【0042】
この場合でも、周囲凹部がランプの空間に接続されていなくても排ガスの安全且つ効率のよい除去を確実にすることが可能である。正しい低圧に到達すると、ポンプはスイッチオフにされ、処置が開始し得る。処置を終了後、処置ヘッドは持ち上げられる。その瞬間、真空はなくなり、圧力は上昇し始める。これが真空ゲージ8及び制御手段をトリガして、制御手段はポンプをスイッチオンにする。ポンプは次に、周囲縁15を介してガス等を吸い込み始める。
【0043】
周囲縁15は、単純に、第1の実施例における対応する特徴のより「角張った」変形である。これは、処置される人にとっては幾らか快適ではないかもしれないが、装置が皮膚上に正しく位置付けられているか否かのより安全な視覚的な確認を確実にする。縁15が皮膚に係合しているか否か視覚的に確認するので十分である。より丸みのある変形では、このことはあまり信頼度が高く行うことは可能ではなく。何故なら、正しい位置にあっても、外から見える縁は皮膚と係合する必要がないからである。縁の下部の見えない部分のみが皮膚と係合しなければならない。
【0044】
図3a、bは、正しい位置と、正しくない位置にそれぞれある装置1の第3の実施例を示す断面図である。装置は、凹部と真空出口12を有する筐体2を有する。電磁放射線源は、それぞれ放射線束18を放出する複数の個々のファイバー17に分割されるファイバー束16である。この場合、凹部内に光を放出する装置の部分、特に、(光)ファイバーの発光端が、光源と考えられる。
【0045】
この第3の実施例では、処置ヘッドが最小軽量及び寸法を有するよう真空ゲージ及び実際の電磁放射線(又は「光」)発生手段さえも、実際の処置ヘッドにはない。当然ながら、光発生手段は、処置ヘッドに光結合される。例えば、レーザといった光発生手段は、ファイバー束16の反対の端に直接接触して位置付けられる。この実施例の重要な利点は、処置ヘッド自体内に任意の電気的な部分がないということであり、これは人間にとって非常に安全である。
【0046】
図3aでは、処置ヘッドは正しく位置付けられる。即ち、凹部内には任意の周囲空気が入ることができない。ポンプ(図示せず)は、凹部内の空気圧を閾値より下の値に下げることは困難ではない。装置は、安全に動作することが可能であり、また、スイッチオンされることが可能である。
【0047】
図3aを参照するに、凹部内の低い空気圧は、少なくとも特定の距離分凹部内に皮膚を引き込むよう使用されてもよい。このことは、血液循環を好都合に変化させる。これは更に、光源への距離を特定の度合いで低下させる。
【0048】
図3bでは、正しくなく位置づけされた装置の例を与える。外側の空気は、矢印によって示すように凹部内に漏れ込むことが可能であり、これは、ポンプが凹部内の圧力を十分に低下させることを阻止する。従って、装置は、スイッチオンにされない。何故なら、装置は、放射線が漏れ出ることによって安全に動作しないからである。更に、装置が皮膚のしわや他の均等ではない部分上に配置される場合も正しい真空が得られず、装置は、スイッチオンにされない。当然ながら、正しい動作の間に、例えば、処置される人間の予期しない動作によって、凹部の真空「密閉」がなくなり、空気圧の上昇といったように位置が突然不適切になっても装置はスイッチオフにされる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1a】本発明の装置の第1の実施例を示す断面図である。
【図1b】本発明の装置の第1の実施例を示す底面図である。
【図2a】本発明の装置の第2の実施例を示す断面図である。
【図2b】本発明の装置の第2の実施例を示す底面図である。
【図3a】正しく当てられた第3の実施例を示す断面図である。
【図3b】正しくなく当てられた第3の実施例を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線源と、該電磁放射線源に光結合され、電磁放射線を放出可能な放出窓と、片側が開いている凹部とを有する放射線供給ヘッドと、
前記凹部内の圧力を低下させる真空手段と、
を有する、皮膚処置のための電磁放射線供給機器であって、
前記凹部内の圧力を測定する圧力ゲージを更に有することを特徴とする機器。
【請求項2】
前記圧力ゲージ及び前記電磁放射線源に接続される制御手段を更に有し、
前記制御手段は、前記圧力ゲージによって測定された圧力が所定の閾値より高い場合は、前記電磁放射線源が電磁放射線を放出することを阻止可能であることを特徴とする請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記閾値は、周囲圧力より10乃至250ミリバール下であることを特徴とする請求項2記載の機器。
【請求項4】
前記凹部内の測定された圧力が前記閾値以下である時間の間、前記制御手段は、前記電磁放射線源が、所定の最大エネルギー量より上の電磁放射線を放出することを阻止することを特徴とする請求項2又は3記載の機器。
【請求項5】
前記制御手段は、電磁放射線の放出を阻止可能なシャッターを有することを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項6】
前記凹部内に放出窓があることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項7】
前記放出窓を凹部が囲むことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項8】
前記凹部は、周囲縁を有することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項9】
前記周囲縁は、弾力的に変形可能であることを特徴とする請求項8記載の機器。
【請求項10】
前記周囲縁は、平面上、凹面上、又は凸面上に置かれることを特徴とする請求項8又は9記載の機器。
【請求項11】
前記電磁放射線は、赤外線、可視光学放射線、又は紫外線を有する請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項12】
前記電磁放射線源は、電磁放射線発生手段と、該電磁放射線発生手段に光学的に接続される電磁放射線案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の機器。
【請求項13】
前記電磁放射線案内手段は、ミラー、中空の電磁放射線ガイド、又は光ファイバーを有することを特徴とする請求項12記載の機器。
【請求項14】
前記電磁放射線源は、レーザ、フラッシュランプ、LED、ガス放電ランプ、又は白熱ランプを有することを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の機器。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate


【公表番号】特表2007−500033(P2007−500033A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521727(P2006−521727)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051263
【国際公開番号】WO2005/009266
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】