説明

電磁波減衰板

【課題】携帯電話等の電子機器から発する電磁波を減衰させる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【解決手段】青12a、赤12b、紫12c、黄12d、緑12eの順に、外側から内側に、一面を連続して着色してある着色部12、12を磁石板の両面に設けてあり、該一面は、青12a、赤12b、紫12c、黄12dの、外形が相似な六角形の環状模様が外側から内側に連続して配してあり、中央に、緑12eの六角形が配してある色パターンを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発する電磁波を減衰させる電磁波減衰板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁波を発する小型の携帯電話が連絡手段として広く用いられており、携帯電話から発せられる電磁波の電子機器への影響が懸念されている。厚生労働省には、図書館に設置してある盗難防止装置から発せられた電磁波により、心臓ペースメーカのプログラムがリセットされ、初期設定に戻ったという事例が報告されている。また病院内で携帯電話を使用すると、携帯電話から発せられた電磁波により、心電計にノイズが発生する又は輸液ポンプが停止する等の電子機器が誤作動する事例が病院から発表されている。
【0003】
前記事実に鑑み、電磁波は金属等の導電性物質を有する物体を通過するときにエネルギを消費して減衰されるので、電磁波を遮断・減衰するために、導電性物質を有する物体で、電磁波を発する製品を包囲することが一般に行われている。例えば金属コーティングを施したエプロンが発明されており、該エプロンで携帯電話を包囲すると、携帯電話の送受信が不可能な状態になることが確認されており、前記エプロンには電磁波を遮断・減衰する効果がある。
【0004】
また金属コーティングを施してある布で作成されており、腰ベルトに取付けて使用する携帯電話用収容ケースがあり、携帯電話を該収容ケースに収容することで、携帯電話から発する電磁波を遮断・減衰することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000―23725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記エプロンにあっては、電磁波を遮断・減衰することができるが、携帯電話を前記エプロンで包囲すると、該携帯電話の送受信が不可能になり、携帯電話の機能を発揮することができなくなるという問題点があった。
【0006】
これに対し特許文献1に記載の携帯電話用収容ケースにあっては、携帯電話のアンテナ部分を包囲することなく、携帯電話を前記収容ケースに収容する構成としてあり、前記収容ケースに収容した携帯電話を送受信可能な状態に置くことができる。しかし前記収容ケースから携帯電話を取り出すためには前記収容ケースを開蓋する必要があり、携帯電話の取り出しに長時間が必要になるという問題点があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本願に係る第1発明は、導電性物質を有する導電板部を設け、着色部を前記導電板部に設けることにより、前記導電板部を携帯電話に取付けても、アンテナ部分を包囲しないので、携帯電話を送受信可能な状態に置くことができ、また前記導電板部は携帯電話全体を包囲しないので、携帯電話の取り出しに必要な時間を短縮でき、また前記着色部を通過した電磁波は減衰され、電子機器の誤作動を防止できる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【0008】
また本願に係る第2発明は、前記着色部をシート状物にすることにより、前記導電板部に着色部を設けやすくなり、製造時間を短縮することができる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【0009】
また本願に係る第3及び第4発明は、前記着色部に特定の色パターンを設けることにより、着色部を通過する電磁波の減衰が促進され、電子機器の誤作動を防止することができる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【0010】
また本願に係る第5発明は、前記色パターンを六角形の模様にすることにより、電磁波を発する電子機器に取付けたときに、該電子機器の外観意匠性を向上させることができる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【0011】
また本願に係る第6発明は、前記導電性物質を磁石にすることにより、電磁波を発する電子機器の筐体が磁性体を有する場合には、前記導電板部を磁力で前記電子機器に取付け、前記導電板部の前記電子機器への取付けを容易に行うことができる電磁波減衰板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る電磁波減衰板は、導電性物質を有する導電板部と、該導電板部の少なくとも一面に設けてあり、青、赤、紫、黄、緑で着色してある着色部とを備えることを特徴とする。
【0013】
第1発明においては、導電性物質を有する導電板部を設け、前記導電板部の少なくとも一面に青、赤、紫、黄、緑で着色してある着色部を設けることにより、電磁波は前記導電板部を通過して減衰され、また理由は不明であるが、着色部を通過すると更に電磁波が減衰される。また前記導電板部を携帯電話に取付けても、アンテナ部分を包囲することはないので、携帯電話の送受信は妨げられず、また携帯電話全体を包囲することはないので携帯電話の取出しも妨げられない。
【0014】
また第2発明に係る電磁波減衰板は、前記着色部はシート状物であることを特徴とする。
【0015】
第2発明においては、前記着色部をシート状物にすることにより、前記導電板部に着色部を設けやすくなり、電磁波減衰板の製造時間が短縮される。
【0016】
また第3発明に係る電磁波減衰板は、前記着色部は、青、赤、紫、黄の、外形が相似な多角形の環状模様が、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように、青、赤、紫、黄の順に配してあり、黄の環状模様の内側に緑の多角形が配してある色パターンを備えることを特徴とする。
【0017】
また第4発明に係る電磁波減衰板は、前記着色部は、緑、黄、紫、赤の、外形が相似な多角形の環状模様が、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように、緑、黄、紫、赤の順に配してあり、赤の環状模様の内側に青の多角形が配してある色パターンを備えることを特徴とする。
【0018】
第3及び第4発明においては、前記着色部に特定の色パターンを設けることにより、理由は不明であるが、着色部を通過する電磁波の減衰が促進される。
【0019】
また第5発明に係る電磁波減衰板は、前記多角形は、対向する一対の辺が他の辺よりも長い六角形であることを特徴とする。
【0020】
第5発明にあっては、前記色パターンを六角形の模様にすることにより、電磁波を発する電子機器に電磁波減衰板を取付けたときに、該電子機器の外観意匠性を向上させる。
【0021】
また第6発明に係る電磁波減衰板は、前記導電性物質は磁石であることを特徴とする。
【0022】
第6発明においては、前記導電性物質を磁石にすることにより、電磁波を発する電子機器の筐体が磁性体を有する場合には、前記導電板部は磁力で該電子機器に取付けられる。
【発明の効果】
【0023】
第1発明にあっては、導電性物質を有する導電板部を設け、前記導電板部の少なくとも一面に青、赤、紫、黄、緑で着色してある着色部を設けることにより、電磁波は前記導電板部を通過して減衰され、理由は不明であるが、着色部を通過すると更に電磁波が減衰され、電子機器の誤作動を防止することができる。また前記導電板部を携帯電話に取付けても、アンテナ部分を包囲することはないので、携帯電話の送受信は妨げられず、また携帯電話全体を包囲することはないので携帯電話の取出しも妨げられない。
【0024】
また第2発明にあっては、前記着色部をシート状物にすることにより、前記導電板部に着色部を設けやすくなり、電磁波減衰板の製造時間が短縮され、電磁波減衰板の量産性が向上する。
【0025】
また第3及び第4発明にあっては、前記着色部に特定の色パターンを設けることにより、理由は不明であるが、着色部を通過する電磁波の減衰が促進され、電子機器の誤作動を防止することができる。
【0026】
また第5発明にあっては、前記色パターンを六角形の模様にすることにより、電磁波を発する電子機器に取付けたときに、該電子機器の外観意匠性を向上させることができる。
【0027】
また第6発明にあっては、前記導電性物質を磁石にすることにより、電磁波を発する電子機器の筐体が磁性体を有する場合には、前記導電板部を磁力で該電子機器に取付け、前記導電板部の電子機器への取付けを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下本発明を実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は実施の形態に係る電磁波減衰板の正面図、図2は電磁波減衰板の拡大側面図である。
【0029】
図において1は電磁波減衰板であり、該電磁波減衰板1は、対向する一対の辺が他の辺よりも長い六角形の磁石板11と、該磁石板11の両面に設けてあり、磁石板11と略同寸の着色部12、12とを備える。
【0030】
磁石板11は、合成樹脂材料を使用した基板部11aの一面に、粉末状のフェライト磁石を加熱した合成ゴムに混入させてシート状に成形したマグネットシート11bを貼付して構成されている。着色部12は、合成樹脂フィルムの一面に青12a、赤12b、紫12c、黄12d、緑12eを着色してあり、他面に粘着層を設けてあるシート状物である。前記粘着層により着色部12、12は磁石板11の両面にそれぞれ貼付されている。
【0031】
着色部12の一面には、青12a、赤12b、紫12c、黄12dの、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、青12a、赤12b、紫12c、黄12dの順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように、描いてある。また前記黄12dの前記環状模様の内側領域全体に、緑12eを着色してある。
【0032】
したがって青12a、赤12b、紫12c、黄12d、緑12eの順に、外側から内側に着色部12の一面は連続して着色してあり、該一面は、青12a、赤12b、紫12c、黄12dの、外形が相似な六角形の環状模様が外側から内側に連続して配してあり、中央に、緑12eの六角形が配してある色パターンを備える。
【0033】
次に実施の形態に係る電磁波減衰板1を携帯電話等の電子機器に取付けた場合の効果について説明する。発明者は、携帯電話から発する電磁波の減衰効果を確認すべく以下の実験を行った。図3は有減衰板実験に使用する実験器具の状態を示す模式図、図4及び図5は心電計により計測された波形を示す心電図である。
【0034】
(有減衰板実験)
実験器具:有減衰板実験おいては心電計20、携帯電話30、電磁波減衰板1及び弾性素材で構成された固定部材40を使用する。電磁波減衰板1は携帯電話30に取着されている。心電計20及び携帯電話30は固定部材40により、図3に示す如く、電磁波減衰板1を間に挟んで隣接して固定されている。なお心電計20はオムロン社製HCG−801、携帯電話30はNEC社製N900−iである。
実験目的:携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験方法:(1)携帯電話30を着信状態にする。
(2)携帯電話30が着信状態にあるときに、心電計20を人体の左胸に接触させて心臓の拍動を約30秒間計測する。なお人体は不整脈等の心臓疾患を有していない。
(3)心電計20による計測を終了した後、携帯電話30の着信状態を終了させる。
(4)心電計20の内部メモリに記録された心臓の拍動を示す心臓波形を確認する。内部メモリに、図4に示す如く、同じ形状の心臓波形が繰り返し記録されている場合は、心電計20は正常に作動していると判断される。一方、図5に示す如く、繰り返される同じ形状の心臓波形の中に、異なる形状の心臓波形(以下、異常波形という。)が記録されている場合は、心電計20は誤作動していると判断される。
(5)(1)乃至(4)の手順を多数回繰り返す。
実験結果:図7は、有減衰板実験を含む複数の実験でのそれぞれのデータを示す図表である。有減衰板実験は63回試行され、異常波形は1回検出された。したがって誤作動率は1.6%となる(図7参照)。電子機器の誤作動が電磁波により引き起こされることが、社団法人日本船舶品質管理協会が著した「電磁波による舶用機器の誤作動防止に関する調査研究報告書」で明らかにされており、有減衰板実験での心電計20の誤作動の原因としては、着信時に携帯電話30から発せられる電磁波が考えられる。有減衰板実験での誤作動率は低い値を示しており、これは電磁波減衰板1を携帯電話30に取着することにより、携帯電話30から発せられた電磁波が電磁波減衰板1を通過して減衰されたためと考えられる。
【0035】
有減衰板実験では携帯電話30と心電計20とを隣接させて実験しており、携帯電話30と心電計20とを離隔して実験した場合には、電磁波は距離の二乗に比例して減衰するので、心電計20の誤作動率は更に低下するものと考えられる。
【0036】
次に電磁波減衰板1を携帯電話に取付けなかった場合の効果について説明する。発明者は電磁波減衰板1を携帯電話に取付けなかった場合の効果を確認するために以下の実験を行った。図6は無減衰板実験に使用する実験器具の状態を示す模式図である。
【0037】
(無減衰板実験)
実験器具:無減衰板実験においては心電計20、携帯電話30及び弾性素材で構成された固定部材40を使用する。心電計20及び携帯電話30は固定部材40により、図6に示す如く、隣接して固定されている。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:無減衰板実験は300回試行され、異常波形は65回検出された。したがって誤作動率は21.7%となる(図7参照)。無減衰板実験の誤作動率は、有減衰板実験の誤作動率に比べ大きな値を示しており、電磁波減衰板1を携帯電話30に取付けることにより、心電計20の誤作動率は低下することが確認された。
【0038】
次に従来技術の効果について説明する。発明者は、従来技術の効果を確認するために以下の実験を行った。
【0039】
(従来技術実験)
実験器具:従来技術実験おいては心電計20、携帯電話30、前記磁石板11及び弾性素材で構成された固定部材40を使用する。磁石板11は携帯電話30に取着されている。心電計20及び携帯電話30は固定部材40により、有減衰板実験の場合と同様に、磁石板11を間に挟んで隣接して固定されている。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:従来技術実験は98回試行され、異常波形は18回検出された。したがって誤作動率は18.4%となる(図7参照)。従来技術実験の誤作動率は、無減衰板実験の誤作動率に比べれば若干小さくなっているが、有減衰板実験の誤作動率に比べると大きな値を示している。したがって磁石板11を携帯電話30に取着するだけでは、電磁波を大きく減衰させることはできないと考えられ、電磁波の減衰を促進するには着色部12が必要であることがわかる。
【0040】
次に比較例について説明する。発明者は、前記着色部12に備えてある色パターンとは異なる色パターンを備える着色部を、磁石板11に貼付して以下の実験を行った。
【0041】
(比較実験1)
実験器具:比較実験1においては心電計20、携帯電話30、前記磁石板11、該磁石板11の両面に設けてある二つの着色部及び弾性素材で構成された固定部材40を使用する。該着色部は磁石板11と略同寸であって、赤が一面全体に着色してあり、他面に粘着層が設けてある。該粘着層により、該着色部は磁石板11の両面にそれぞれ貼付してある。磁石板11は携帯電話30に取着されている。有減衰板実験と同様に、心電計20及び携帯電話30は固定部材40により、磁石板11を間に挟んで隣接して固定されている。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験1は57回試行され、異常波形は13回検出された。したがって誤作動率は22.8%となる(図7参照)。比較実験1の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験1の誤作動率は大きいので、赤が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0042】
(比較実験2)
実験器具:比較実験2においては、着色部の一面全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験2は67回試行され、異常波形は12回検出された。したがって誤作動率は17.9%(図7参照)となる。比較実験2の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験2の誤作動率は大きいので、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0043】
(比較実験3)
実験器具:比較実験3においては、着色部の一面全体に茶色が着色してあることを除けば、比較実験1又は2の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験3は62回試行され、異常波形は15回検出された。したがって誤作動率は24.2%となる(図7参照)。比較実験3の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験3の誤作動率は大きいので、茶色が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0044】
(比較実験4)
実験器具:比較実験4においては、着色部の一面全体に黒が着色してあることを除けば、比較実験1乃至3の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験4は58回試行され、異常波形は10回検出された。したがって誤作動率は17.2%となる(図7参照)。比較実験4の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験4の誤作動率は大きいので、黒が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0045】
(比較実験5)
実験器具:比較実験5においては、着色部の一面に紫、水色、桃色、茶色の、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、紫、水色、桃色、茶色の順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように描いてあり、茶色の前記環状模様の内側領域全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1乃至4の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験5は68回試行され、異常波形は16回検出された。したがって誤作動率は23.5%となる(図7参照)。比較実験5の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験5の誤作動率は大きいので、紫、水色、桃色、茶色、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0046】
(比較実験6)
実験器具:比較実験6においては、着色部の一面に緑、水色、桃色、茶色の、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、緑、水色、桃色、茶色の順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように描いてあり、茶色の前記環状模様の内側領域全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1乃至5の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験6は53回試行され、異常波形は14回検出された。したがって誤作動率は26.4%となる(図7参照)。比較実験6の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験6の誤作動率は大きいので、緑、水色、桃色、茶色、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波を減衰させることはできないと考えられる。
【0047】
(比較実験7)
実験器具:比較実験7においては、着色部の一面に赤、水色、桃色、茶色の、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、赤、水色、桃色、茶色の順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように描いてあり、茶色の前記環状模様の内側領域全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1乃至6の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験7は55回試行され、異常波形は10回検出された。したがって誤作動率は18.2%となる(図7参照)。比較実験7の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験7の誤作動率は大きいので、赤、水色、桃色、茶色、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0048】
(比較実験8)
実験器具:比較実験8においては、着色部の一面に、青、水色、桃色、茶色の、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、青、水色、桃色、茶色の順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように連続して描いてあり、茶色の前記環状模様の内側領域全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1乃至7の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験8は59回試行され、異常波形は12回検出された。したがって誤作動率は20.3%となる(図7参照)。比較実験8の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験8の誤作動率は大きいので、青、水色、桃色、茶色、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0049】
(比較実験9)
実験器具:比較実験9においては、着色部の一面に、黄、水色、桃色、茶色の、外形が互いに相似な同じ幅の六角形の環状模様が、黄、水色、桃色、茶色の順に、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように描いてあり、茶色の前記環状模様の内側領域全体に白が着色してあることを除けば、比較実験1乃至8の実験器具と同じ実験器具を使用するので、その詳細な説明を省略する。
実験目的:有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行い、携帯電話30が着信状態にあるときの心電計20の誤作動率を算出する。
実験結果:比較実験9は55回試行され、異常波形は13回検出された。したがって誤作動率は23.6%となる(図7参照)。比較実験9の誤作動率と有減衰板実験の誤作動率とを比較した場合に、比較実験9の誤作動率は大きいので、黄、水色、桃色、茶色、白が着色してある着色部を磁石板11に設けることにより、電磁波の減衰を促進させることはできないと考えられる。
【0050】
有減衰板実験、無減衰板実験、従来技術実験及び比較実験1乃至9の結果から、電磁波減衰板1を携帯電話30に取り付けることにより、携帯電話30から発せられる電磁波は着色部12を通過して減衰され、心電計20の誤作動を防止できることが分かる。
【0051】
なお緑12e、黄12d、紫12c、赤12b、青12a、の順に外側から内側に一面を連続して着色してあり、該一面は、緑12e、黄12d、紫12c、赤12b、の外形が相似な六角形の環状模様を外側から内側に連続して配してあり、中央に、青12aの六角形を配してある色パターンを備える着色部を使用して、有減衰板実験と同じ実験方法で実験を行った結果、有減衰板実験と同様の実験結果を得た。
【0052】
電磁波減衰板1は、携帯型音楽再生機等その他の電磁波を発する電子機器に取付けてもよい。また誤作動を防止する対象は、心電計20に限らず、血圧計、ペースメーカ等その他の電子機器でも良く、特に感度の高い電子機器を対象とした場合に誤作動を防止する効果が高い。また着色部12は磁石板11の一面にのみ設けても良い。また着色部12を磁石板11に設けず、磁石板11の少なくとも一面を青、赤、紫、黄、緑に着色し、着色してある磁石板11の表面を着色部としてもよい。また着色部12の色パターンは、環状模様に限らず、縦縞模様等その他の模様を用いても良い。
【0053】
電磁波を発する電子機器の筐体が磁性体を有する場合には、電磁波減衰板1は磁力で該電子機器に取付けられ、電磁波減衰板1の前記電子機器への取付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態に係る電磁波減衰板の正面図である。
【図2】実施の形態に係る電磁波減衰板の拡大側面図である。
【図3】有減衰板実験に使用する実験器具の状態を示す模式図である。
【図4】心電計により計測された波形を示す心電図である。
【図5】心電計により計測された波形を示す心電図である。
【図6】無減衰板実験に使用する実験器具の状態を示す模式図である。
【図7】有減衰板実験を含む複数の実験でのそれぞれのデータを示す図表である。
【符号の説明】
【0055】
1 電磁波減衰板
11 磁石板
11a 基板部
11b マグネットシート
12 着色部
12a 青
12b 赤
12c 紫
12d 黄
12e 緑
20 心電計
30 携帯電話
40 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性物質を有する導電板部と、該導電板部の少なくとも一面に設けてあり、青、赤、紫、黄、緑で着色してある着色部とを備えることを特徴とする電磁波減衰板。
【請求項2】
前記着色部はシート状物であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波減衰板。
【請求項3】
前記着色部は、青、赤、紫、黄の、外形が相似な多角形の環状模様が、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように、青、赤、紫、黄の順に配してあり、黄の環状模様の内側に緑の多角形が配してある色パターンを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波減衰板。
【請求項4】
前記着色部は、緑、黄、紫、赤の、外形が相似な多角形の環状模様が、大径の環状模様の内側に小径の環状模様の外側が隣接するように、緑、黄、紫、赤の順に配してあり、赤の環状模様の内側に青の多角形が配してある色パターンを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波減衰板。
【請求項5】
前記多角形は、対向する一対の辺が他の辺よりも長い六角形であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電磁波減衰板。
【請求項6】
前記導電性物質は磁石であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の電磁波減衰板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−117803(P2008−117803A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296912(P2006−296912)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(595075469)
【出願人】(595075458)
【Fターム(参考)】