説明

電磁界分布測定装置

【課題】測定環境に関わらず、より高精度に測定位置を同定して電界分布又は磁界分布を測定することが可能な電磁界分布測定装置を提供することである。
【解決手段】電磁界分布測定装置は、赤外光又は紫外光を発光する光源を取り付けた電磁界センサと、前記光源からの赤外光又は紫外光を検出する検出器と、前記検出器における前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記電磁界センサにより測定された電磁界強度に基づいて前記電磁界センサの位置ごとの電磁界分布情報を求める電磁界分布情報生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁界分布測定装置及び電磁界分布測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁界が生体に与える影響について関心が高まっている。このため電磁界分布の可視化が求められている。また、生体への影響調査に限らず様々な目的のために、電磁界分布の測定が行われている。
【0003】
電磁界分布の測定では、空間的な測定位置の同定が重要である。従来の電磁界分布測定における測定位置の同定手法としては、磁気式位置センサを用いる方式やカメラを用いる方式が提案されている。
【0004】
磁気式位置センサを用いる方式は、位置センサとして磁気式トラッカを用いる方式である(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。磁気式トラッカは、位置特定の精度が高く、3次元座標や角度情報いった詳細な位置情報が得られるため、位置センサとして広く利用されている。
【0005】
一方、カメラを用いる方式は、CCD (Charge Coupled Device)カメラ等で撮影した画像に対して特徴点検出処理を行うことによって光学的に位置特定を行なう方式である(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−45899号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Sato, N. Miyata, Y. Kamimura and Y. Yamada, "A Freehand Scanning Method for Measuring EMF Distributions Using Magnetic Tracker", IEICE Trans E93.B(7), pp1865-1868, July 2010.
【非特許文献2】K. Sato, H. Kawata and Y. Kamimura, "A Measurement Method for 2-D EMF Distributions Using Optical Tracker", 4th Pan-Pacific EMC Joint Meeting, May 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の磁気式トラッカを用いた測定位置の同定法によれば、十分な位置の検出精度が得られるものの、測定環境に金属が存在すると測定精度が著しく低下するという問題がある。加えて、磁気式トラッカの送信器から発せられる電磁界による測定領域への影響を十分に低減させる仕組みが必要である
【0009】
一方、従来のカメラを用いた光学式トラッキングでは、測定領域の明るさによって位置の特定が困難になる場合がある。例えば、蛍光灯周辺等の輝度の高い領域が測定対象となる場合や、テレビ周辺等の測定中に明るさが変化する領域が測定対象となる場合には、測定位置の同定を十分な精度で行うことができない。このため、光学式トラッキングでは、測定領域の明るさを十分に暗い一定の明るさに保つ必要がある。
【0010】
このような背景から、明るさや金属の有無等の測定環境に依存せずに、簡易に測定位置を同定して電磁界分布を測定する技術の開発が望まれる。
【0011】
本発明は、測定環境に関わらず、より高精度に測定位置を同定して電界分布又は磁界分布を測定することが可能な電磁界分布測定装置及び電磁界分布測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る電磁界分布測定装置は、赤外光又は紫外光を発光する光源を取り付けた電磁界センサと、前記光源からの赤外光又は紫外光を検出する検出器と、前記検出器における前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記電磁界センサにより測定された電磁界強度に基づいて前記電磁界センサの位置ごとの電磁界分布情報を求める電磁界分布情報生成手段とを備える。
【0013】
また、本発明に係る電磁界分布測定方法は、赤外光又は紫外光を発光する光源を取り付けた電磁界センサを用いて電磁界強度を計測し、前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記電磁界センサにより測定された前記電磁界強度に基づいて前記電磁界センサの位置ごとの電磁界分布情報を求めるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電磁界分布測定装置及び電磁界分布測定方法によれば、測定環境に関わらず、より高精度に測定位置を同定して電界分布又は磁界分布を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電磁界分布測定装置の構成図。
【図2】図1に示すIRマーカの回路構成例を示す回路図。
【図3】図1に示す電磁界センサへのIRマーカの取り付け方法を示す拡大図。
【図4】図1に示すコンピュータのデータ補間部における補間処理の方法の一例を説明する図。
【図5】図1に示すコンピュータの表示装置に表示される画面の構成例を示す図。
【図6】図5に示す画面に電磁界分布マップを表示させた例を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電磁界分布測定装置に備えられるIR検出器の構成例を示す上面図。
【図8】図7に示すIR検出器の側面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る電磁界分布測定装置に備えられるデータ収集系の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る電磁界分布測定装置及び電磁界分布測定方法について添付図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
(構成および機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電磁界分布測定装置の構成図である。
【0018】
電磁界分布測定装置1は、蛍光灯等の電磁波を放射する物体O周辺における2次元(2D: two dimensional)の測定領域における電磁界分布を測定する装置である。そのために、電磁界分布測定装置1は、電磁界センサ2、赤外線(IR: Infrared)マーカ3、CCDカメラ4、IR検出器5、ガイドシート6及びコンピュータ7を備えている。
【0019】
電磁界センサ2には、IRマーカ3が取り付けられる。また、電磁界センサ2、CCDカメラ4及びIR検出器5の出力先にコンピュータ7が有線又は無線で接続される。図1は、電磁界センサ2及びCCDカメラ4の出力側をUSB (Universal Serial Bus)ケーブル等の信号線でコンピュータ7と接続する一方、IR検出器5の出力側を無線でコンピュータ7と接続した例を示している。
【0020】
電磁界センサ2は、電磁界強度を測定する携帯用のEMF (electromagnetic field)ドシメータである。電磁界センサ2は、電界の強度を測定する電界センサ部及び磁界の強度を測定する磁界センサ部を備える。そして、電磁界センサ2は、電界センサ部又は磁界センサ部において検出された電界強度及び磁界強度の一方又は双方を電磁界強度のデジタル信号として出力する機能を有する。例えば、電界の周波数レンジが3MHz〜7GHzで磁界の周波数レンジが3MHz〜1GHz等の所望の周波数帯域の電界及び磁界を測定することが可能なEMFドシメータを電磁界センサ2として用いることができる。
【0021】
IRマーカ3は、赤外光を発光する光源を用いて構成される。実用性の高い光源としては、IR発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)が挙げられる。
【0022】
図2は、図1に示すIRマーカ3の回路構成例を示す回路図であり、図3は、図1に示す電磁界センサ2へのIRマーカ3の取り付け方法を示す拡大図である。
【0023】
図2に示すように、IRマーカ3は、IR LEDに抵抗、電圧及びスイッチを直列接続した閉回路によって構成することができる。図2は、順電圧が1.35V、赤外光の発光強度が20mW/sr、赤外光のエネルギが11mW、半値角が±23.5°のIR LEDに33Ωの抵抗及びスイッチを直列に接続し、3Vの直流電圧を印加する回路でIRマーカ3を構成した例を示している。
【0024】
このような回路構成を有するIRマーカ3は、電磁界センサ2に固定される。図3に示すように、電磁界センサ2は、例えばグリップを兼ねた柱状のボディ2Aの1つの面にセンサ部2Bを設けて構成される。IRマーカ3は、電磁界センサ2のセンサ部2Bを測定領域側に向けた場合に、IR検出器5に向けて赤外光を照射できる位置に設けられる。従って、IRマーカ3はセンサ部2Bとは逆側のボディ2Aの面に取り付けられる。図3は、板状のIRマーカ3とセンサ部2Bとをボディ2Aの両側に設けた例を示している。
【0025】
また、IRマーカ3は、IRマーカ3を構成する回路により生成される電磁界のセンサ部2Bへの影響が十分に無視できる位置に配置される。そのために、IRマーカ3とセンサ部2Bとの間の距離を調整するためのシム部材8が必要に応じて設けられる。図3の例では、ボディ2AとIRマーカ3との間に板状のシム部材8が設けられている。IRマーカ3とセンサ部2Bとの間における距離方向に相当するシム部材8の厚さは、センサ部2BによってIRマーカ3から発せられる電磁界が無視できない信号値として検出されるか否かを調べることによって実験的に決定することができる。
【0026】
CCDカメラ4は、電磁界センサ2を含む電磁界の測定領域をモニタリングし、映像として2Dの画像データをリアルタイムに出力する装置である。従って、CCDカメラ4は、電磁界の測定領域を視野内に含めることが可能な位置に設置される。
【0027】
IR検出器5は、IRマーカ3から照射された赤外光を2次元的に検出し、赤外光の検出情報をIRマーカ3の2Dの位置情報としてリアルタイムに出力する機能を有する。そのために、IR検出器5において検出可能な赤外光の周波数レンジは、IRマーカ3から照射される赤外光の周波数に合わせられる。このため、IR検出器5によれば、IRマーカ3の時間的な位置変化をトラッキングし、IRマーカ3の軌跡情報として取得することができる。
【0028】
IR検出器5は、電磁界の測定領域を有効視野の範囲内とし、電磁界センサ2に取り付けられたIRマーカ3から照射される赤外光を直接受光可能な位置に設置される。図1は、IR検出器5とCCDカメラ4とを一体化した例を示しているが、IR検出器5及びCCDカメラ4を個別に設置してもよい。
【0029】
より具体的には、IR検出器5は、IRカメラ5A、ADC (analog to digital converter)5B、演算装置5C及び無線送信アンテナ5Dを内蔵している。演算装置5Cには、IRカメラ5Aで撮影された赤外光の2Dデジタル画像情報に基づいてIRマーカ3の位置情報の生成処理を行うためのプログラムが予め読み込まれる。そして、IR検出器5は、IRカメラ5Aで撮影された赤外光の2Dデジタル画像情報とIRカメラ5Aの有効視野領域情報に基づいて演算装置5Cにおいて順次計算されたIRマーカ3の2D位置を示す時系列のベクトル情報を、位置情報として無線送信アンテナ5Dから無線送信するように構成される。
【0030】
尚、ADC (analog to digital converter)5Bや演算装置5C等のIR検出器5の一部の構成要素或いは演算装置5Cが有する機能をコンピュータ7側に設けてもよい。
【0031】
ガイドシート6は、電磁界の測定対象となる2D面に合わせて必要に応じて配置される。図1は、蛍光灯付近の平面領域を電磁界の測定領域とした例を示している。このため、電磁界の被測定面と一致するように平面を形成するガイドシート6が配置されている。このガイドシート6の設置によって、ユーザは、電磁界センサ2を容易に測定面上で2次元的に移動させることが可能となる。ガイドシート6は、測定対象となる電磁界への影響が無視できるよう非金属の不導体材料で構成される。測定領域が曲面や不連続な面である場合には、測定領域の形状に合わせてガイドシート6の形状を決定することができる。
【0032】
コンピュータ7は、演算装置9、記憶装置10、入力装置11、表示装置12、入出力端子13及び無線受信アンテナ14を有する。記憶装置10には、電磁界分布の測定結果を可視化するためのデータ処理を行う電磁界分布可視化プログラムが予め保存される。演算装置9は、電磁界分布可視化プログラムを読み込むことにより、映像情報生成部15、電磁界分布情報生成部16及び画面情報生成部17として機能する。電磁界分布情報生成部16は、電磁界マップ生成部18、位置補正部19及びデータ補間部20を有する。
【0033】
映像情報生成部15は、CCDカメラ4から入出力端子13を介して2D画像データをリアルタイムに取得して、表示装置12に表示させるための測定領域の映像情報を生成する機能と、生成した映像情報を画面情報生成部17に与える機能とを有する。
【0034】
2D画像データの取得及び映像情報の生成等の映像情報生成部15における処理の開始及び終了の指示は、入力装置11から入力することができる。このため、映像情報生成部15は、映像情報の他、指示情報の入力に必要となる電子キー等の画像情報を含む画面情報を画面情報生成部17に与えるように構成される。
【0035】
電磁界分布情報生成部16は、入出力端子13を介して電磁界センサ2から電磁界強度をリアルタイムに取得する一方、無線受信アンテナ14を介してIR検出器5からIRマーカ3の2D位置情報をリアルタイムに取得する機能、電磁界強度及びIRマーカ3の2D位置情報に基づいて電磁界センサ2の位置ごとの電磁界強度を示す電磁界分布情報を生成する機能及び生成した電磁界分布情報を画面情報生成部17に与える機能を有する。
【0036】
電磁界強度及びIRマーカ3の2D位置情報の取得及び電磁界分布情報の生成等の電磁界分布情報生成部16における処理の開始及び終了の指示についても、入力装置11から入力することができる。このため、電磁界分布情報生成部16は、指示情報の入力に必要となる電子キー等の画像情報を含む画面情報を画面情報生成部17に与えるように構成される。
【0037】
電磁界マップ生成部18は、IRマーカ3の2D位置情報、IRマーカ3と電磁界センサ2のセンサ部2Bとの相対的な位置関係及び電磁界センサ2により検出された電磁界強度に基づいて、電磁界センサ2の位置、すなわち電磁界強度が測定された測定点の2D位置を順次同定する機能と、時系列のデータとして取得した複数の電磁界強度に対応する各測定点の同定処理の結果に基づいて、測定領域の各位置における電磁界強度を示す電磁界分布マップを生成する機能とを有する。電磁界分布マップは、IRマーカ3の2D位置情報にそれぞれ対応し、電磁界の測定領域内の各位置を表す2Dの配列位置に電磁界強度の値を順次格納していくことによりリアルタイムに作成することができる。
【0038】
位置補正部19は、IRマーカ3の2D位置情報に対応する電磁界強度の測定点の2D位置の履歴情報に基づいて、同定された測定点の2D位置の異常値をエラーとして検出する機能と、エラーと判定された測定点の2D位置を他の測定点の2D位置に基づいて補正する機能とを有する。過去の測定点の2D位置は、電磁界強度の取得時刻に対応する軌跡情報として電磁界マップ生成部18において得ることができる。そこで、各時刻に対応する2D位置を、他の時刻に対応する2D位置と比較することによって、各2D位置が異常値であるか否かのエラー判定処理を行うことができる。
【0039】
エラー判定処理は2D位置の履歴情報に基づく任意の特異点検出処理によって行うことができる。例えば、各時刻に対応する2D位置を直前の時刻に対応する2D位置と比較して乖離量が閾値を超える場合には、エラーと判定することができる。或いは、各時刻に対応する2D位置を時間的に前後の複数の時刻に対応する2D位置から補間やカーブフィッティングにより算出される2D位置と比較して乖離量が閾値を超える場合には、エラーと判定することもできる。
【0040】
エラーと判定された2D位置は、所望の補正処理によって補正することができる。補正方法の例としては、他の2D位置に基づく補間処理やカーブフィッティングによる補正方法が挙げられる。すなわち、他の2D位置に基づく補間処理やカーブフィッティングにより算出された2D位置と、エラーと判定された2D位置を置換又は重み付け加算することによって、エラーと判定された2D位置を補正することができる。
【0041】
データ補間部20は、電磁界強度の未測定の位置における電磁界強度の値を、他の位置において測定された電磁界強度の値に基づく補間処理によって求める機能と、求めた電磁界強度の計算値を、電磁界分布マップを構成する配列位置に格納する機能とを有する。補間は、線形補間及び非線形補間のいずれとしてもよい。但し、線形補間を行うことにより簡易な処理で十分な精度を有する電磁界強度を計算することができる。
【0042】
図4は、図1に示すコンピュータ7のデータ補間部20における補間処理の方法の一例を説明する図である。
【0043】
図4(A), (B), (C), (D)において、横軸は電磁界の測定領域に設定されたX軸を示し、縦軸はX軸に直交するY軸を示す。すなわち、図4の各図は、2D測定領域を表すXY平面座標系を示す。
【0044】
図4(A)に示すように、複数の離散的な2Dの配列位置において電磁界強度が測定されている場合を例に説明する。この場合、一方向、例えば、同一のY座標においてX軸方向に複数の電磁界強度が測定されていれば、図4(B)に示すように、同一のY座標における測定値間の値をX軸方向の線形補間によって計算することができる。
【0045】
同様に、図4(C)に示すように、同一のX座標における測定値間の値をY軸方向の線形補間によって計算することができる。この場合、X軸方向の線形補間によって得られた計算値をY軸方向の線形補間に利用することができる。これにより、より少ない測定値に基づいて多くの配列位置をカバーする電磁界強度分布マップを作成することが可能となる。図4(D)は、線形補間によって全ての配列位置における電磁界強度の値が得られた例を示している。
【0046】
補間処理によって推定された電磁界強度の計算値と、電磁界センサ2による電磁界強度の測定値とは、識別できるようにすることが電磁界分布マップの信頼性を把握する観点から望ましい。図4(B), (C), (D)の例では、電磁界強度の計算値は、イタリック体で示されているが、表示装置12に表示させる場合には、識別表示させることが好適である。
【0047】
そして、補間によって値が推定された配列位置における電磁界強度の測定値が得られた場合には、補間による計算値を測定値に置き換えることができる。これにより、より少ない電磁界強度の測定データに基づいて速やかに電磁界強度分布マップを生成しつつ、新たに測定データが得られた場合には電磁界強度分布マップを更新して精度を向上させることができる。
【0048】
画面情報生成部17は、映像情報生成部15により生成された測定領域の映像情報と電磁界分布情報生成部16により生成された電磁界分布情報とを用いて表示装置12に表示させるための画面情報を生成する機能と、画面情報を表示装置12に出力させる機能とを有する。例えば、測定領域の映像情報と電磁界分布マップとを表示装置12に並列表示させたり、測定領域の映像情報に電磁界分布マップを重畳表示させることができる。
【0049】
(動作および作用)
次に電磁界分布測定装置1の動作および作用について説明する。
【0050】
電磁界分布測定装置1により、蛍光灯等の物体O付近における2Dの測定領域における電磁界分布を可視化する場合には、予め電磁界分布測定装置1を構成するハードウェアが適切な位置に配置される。すなわち、2Dの測定領域に沿って平面状のガイドシート6が設置される。また、CCDカメラ4及びIR検出器5が、それぞれ電磁界分布の測定領域を視野内に含めることが可能な位置に設置される。
【0051】
そして、CCDカメラ4の動作をオン状態にすると、測定領域を含む視野内の映像が時系列の2Dの画像データとしてコンピュータ7に出力される。そうすると、コンピュータ7の映像情報生成部15は、入出力端子13を介して2D画像データを取得し、画面情報生成部17に与える。
【0052】
また、IR検出器5の動作をオン状態にすると、測定領域を含む有効視野内において赤外光の有無及び位置を検出することが可能となる。IR検出器5からは、検出された赤外光の位置情報の他、IR検出器5の有効視野情報をコンピュータ7に無線送信することができる。
【0053】
IR検出器5から無線送信された情報は、コンピュータ7の無線受信アンテナ14で受信することができる。受信された情報は、コンピュータ7の電磁界分布情報生成部16に与えられる。IR検出器5の有効視野情報が電磁界分布情報生成部16に与えられた場合には、IR検出器5の有効視野を表示させるための画像情報を生成することができる。生成されたIR検出器5の有効視野情報は、指示情報の入力に必要となる電子キー等の画像情報とともに電磁界分布情報生成部16から画面情報生成部17に与えられる。
【0054】
画面情報生成部17は、映像情報生成部15から取得した映像情報としての2D画像データ及び電磁界分布情報生成部16から取得した電子キー等の画像情報を用いて表示装置12に表示させるための画面情報を生成する。生成された画面情報は、表示装置12に表示される。
【0055】
図5は、図1に示すコンピュータ7の表示装置12に表示される画面の構成例を示す図である。
【0056】
例えば図5に示すように、表示装置12に表示される画面には、CCDカメラ4の映像を表示させるエリア及び測定領域の電磁界分布をマップするためのXY座標を表示させるエリアが設けられる。図5の例では、画面の左側のエリアに蛍光灯付近における映像が表示され、右側のエリアにXY座標系が表示されている。更に、CCDカメラ4の映像には、IR検出器5の有効視野が矩形枠として重畳表示されている。
【0057】
また、図5の例では、電磁界分布の測定開始を指示するためのスタートボタンと、測定終了を指示するためのエンドボタンが表示されている。更に座標(X, Y)におけるじかい電界強度[mV/m]及び磁界強度[μA/m]を数値として表示させるためのエリアを設けることもできる。尚、電界強度及び磁界強度として電束密度[C/m2]及び磁束密度[T]を表示させるようにしてもよい。
【0058】
これにより、ユーザは測定領域周辺の映像を確認しながらリアルタイムに測定領域の電磁界分布を測定することが可能となる。電磁界分布の測定は、携帯型の電磁界センサ2を用いてフリーハンドで行なうことができる。すなわち、ユーザが電磁界センサ2のセンサ部2Bを、測定領域の各測定点を経由するように移動させることにより、各測定点における磁界強度又は電界強度を測定することができる。
【0059】
このとき電磁界センサ2の位置決めのためにガイドシート6を用いることができる。すなわち、ガイドシート6に沿って電磁界センサ2を移動させることにより、電磁界分布の測定点を2Dの測定領域に合わせることができる。
【0060】
電磁界センサ2を測定点に配置すると、測定点における電磁界強度が測定される。電磁界強度の測定値は、電磁界センサ2から順次コンピュータ7に出力される。一方、電磁界センサ2に固定されたIRマーカ3から発せられる赤外光は、IR検出器5により検出される。IR検出器5では、赤外光の検出結果に基づいてIRマーカ3の2Dの位置が求められる。求められたIRマーカ3の2D位置情報は、IR検出器5から順次コンピュータ7に無線送信される。
【0061】
このため、電磁界センサ2が移動すると、コンピュータ7には、電磁界センサ2による電磁界強度の測定データ、IRマーカ3の2D位置情報及びCCDカメラ4の映像が順次入力される。そうすると、電磁界マップ生成部18では、IRマーカ3の2D位置情報に基づいて電磁界センサ2により測定された電磁界強度の測定点が順次同定される。
【0062】
そして、電磁界マップ生成部18は、測定点の同定結果及び電磁界センサ2による電磁界強度の測定データを用いて、測定点ごとの電磁界強度を示す電磁界分布マップ情報を生成する。すなわち、測定領域における各測定点に対応する2Dの配列位置に、電磁界強度の測定値が順次格納される。
【0063】
また、位置補正部19は、電磁界強度の測定点の軌跡として得られる履歴情報に基づいて、測定点のエラー検出処理を実行する。エラーが検出された場合には、位置補正部19により、他の測定点の2D位置情報に基づく補間やカーブフィッティング等の測定点の補正処理が実行される。このため、電磁界強度の測定領域付近において赤外光を発する物体が存在し、仮にIR検出器5により物体がIRマーカ3であると誤認識された場合であっても、電磁界強度の測定点を適切に補正することができる。
【0064】
更に、データ補間部20は、未測定の位置における電磁界強度の値を、測定データを用いた補間処理によって求める。求められた電磁界強度の計算値は、電磁界分布マップ情報を構成する2D配列位置に格納される。これにより、測定領域における大局的な電磁界分布マップ情報を速やかに得ることができる。
【0065】
図6は、図5に示す画面に電磁界分布マップを表示させた例を示す図である。
【0066】
図6に示すように、XY座標上に電磁界分布マップを表示させることができる。また、CCDカメラ4の映像に電磁界強度の測定点及び測定結果を表すマークを重畳表示させることもできる。電磁界強度の値は、値に応じたグレーススケールやカラースケールを用いて表示させることができる。図6の例では、蛍光灯付近における電磁界強度の測定点及び測定値の分布を容易に把握することができる。
【0067】
また、IRマーカ3の軌跡をCCDカメラ4の映像及び電磁界分布マップに重畳表示させることもできる。すなわち、時間的に近い測定点同士を線で繋いでIRマーカ3の軌跡として表示させることができる。図6は、250 msごとの測定データを用いてIRマーカ3の軌跡を折れ線で表示させた例を示している。
【0068】
このため、ユーザは、蛍光灯等の物体O周辺における所望の測定領域における電磁界分布を画像として視認することができる。また、電磁界分布測定装置1では、電磁界強度の測定位置をフリーハンドで自由に決定できるため、図6に示すような電磁界分布マップを参照しながらより詳細な測定を継続して行うことが可能である。
【0069】
つまり以上のような、電磁界分布測定装置1は、電磁界センサ2の位置検出のためにIRマーカ3を用いたものである。
【0070】
(効果)
このため、電磁界分布測定装置1によれば、従来の磁気式位置センサを用いた方式と異なり、被測定電磁界に対する位置測定系の電磁干渉がなく、かつ電磁界強度の測定領域に付近に金属等の導体が存在する場合であっても正確に電磁界強度の測定点を同定することができる。
【0071】
また、従来の光学式トラッキングと異なり、測定領域の明るさに依存することなく安定して電磁界強度の測定点を求めることができる。特に、電磁界分布測定装置1によれば、電磁界強度の測定領域が暗い場合であっても、正確に電磁界強度の測定点を特定して電磁界分布情報を得ることができる。
【0072】
更に、IRマーカ3としてIR LEDを用いれば、磁気式位置センサに比べて安価に位置センサを構成することができる。
【0073】
(変形例)
上述の例では、電磁界センサ2による電磁界強度の測定点を同定するために赤外光を用いたが、紫外光(UV: ultraviolet)を用いてもよい。紫外光を用いる場合には、IRマーカ3及びIR検出器5の代わりにIRマーカ3及びIR検出器5と同等の機能をそれぞれ有するUVマーカ及びUV検出器が電磁界分布測定装置1に備えられる。
【0074】
すなわち、電磁界強度の測定領域から観測される可視光等の電磁波との識別が可能であり、かつ測定対象となる電磁界への干渉が無視できる波長の電磁波であれば、電磁界強度の測定点の同定のために利用することができる。
【0075】
尚、赤外光は波長が可視光よりも長く、ミリ波長の電波よりも短い電磁波である。赤外光の波長は、0.7μm〜1mm程度である。一方、紫外光は波長が可視光より短く軟X線より長い電磁波である。紫外光の波長は、10nm〜400nm程度である。波長が760nm〜830nm程度の可視光に対して赤外光及び紫外光は不可視光と呼ばれる。
【0076】
また、可視光であっても、電磁界強度の測定領域から観測される可視光と識別可能であれば、電磁界強度の測定点の同定のために利用することができる。従って、所定のパターンで点滅する可視光や振幅及び周波数の一方又は双方を変調した可視光であれば、電磁界強度の測定点の同定のために利用することができる。
【0077】
この場合には、可視光を発光する可視光LED等の光源に可視光を点滅させるための回路又は変調回路を接続して可視光マーカを構成することができる。更に、可視光検出器としてCCDカメラ4を利用することができる。もちろん、CCDカメラ4とは別に位置センサとして専用の可視光検出器を電磁界分布測定装置1に設けてもよい。そして、可視光検出器に内蔵される演算装置又はコンピュータ7において、所定のパターンで点滅する可視光又は変調された可視光の位置を特定する画像処理によって可視光マーカの位置を求めることができる。
【0078】
尚、不可視光を用いる場合においても、不可視光を点滅又は変調させて使用することができる。この場合、測定領域において赤外光又は紫外光が発生しても、電磁界センサ2の位置同定のための赤外光又は紫外光を識別することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る電磁界分布測定装置に備えられるIR検出器の構成例を示す上面図であり、図8は図7に示すIR検出器の側面図である。
【0080】
第2の実施形態に係る電磁界分布測定装置1Aは、複数のIR検出器5を備える点及び複数のIR検出器5により検出されたIRマーカ3の2D位置情報を用いたコンピュータ7の情報処理方法が図1に示す第1の実施形態に係る電磁界分布測定装置1と相違する。他の構成および作用については図1に示す電磁界分布測定装置1と実質的に同一である。このため、複数のIR検出器5の構成例のみ図示し、他の構成要素については説明を省略する。
【0081】
図7に示すように、電磁界分布測定装置1Aは、複数のIR検出器5を備えている。図7は、2つのIR検出器5を、連結部材30を介して連結した例を示している。各IR検出器5は、それぞれ連結部材30にスライド機構31を介してスライド可能に取り付けられる。このため、IR検出器5間の間隔は、スライド機構31を用いてIR検出器5を連結部材30の長手方向にスライドさせることにより調整することができる。
【0082】
また、連結部材30には、IR検出器5間の距離を確認するためのメモリ32が振られている。このため、IR検出器5間の間隔を容易に確認することができる。
【0083】
互いに連結された2つのIR検出器5は、図1に示す電磁界分布測定装置1と同様にCCDカメラ4とも一体化することができる。
【0084】
このようにIR検出器5を構成すると、IR検出器5間における相対的な位置関係及び各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置情報に基づいて、幾何学的にIRマーカ3とIR検出器5との間における距離を求めることができる。
【0085】
そこで、電磁界マップ生成部18には、IR検出器5間の間隔及び各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置情報に基づいて、IRマーカ3の空間位置を求める機能が備えられる。このため、電磁界マップ生成部18では、電磁界センサ2の空間位置ごとの3次元(3D: three dimensional)の電磁界分布情報を求めることができる。
【0086】
尚、各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置情報に基づいて、IRマーカ3又は電磁界センサ2の空間位置を解析的に計算する代わりに、各IR検出器5間の距離、各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置及び各IRマーカ3又は電磁界センサ2の空間位置の対応関係を予め実験的に取得してデータベース化又は数式化することによってIRマーカ3又は電磁界センサ2の空間位置を求めるようにしてもよい。実測値に基づいて各IRマーカ3又は電磁界センサ2の空間位置を求めるようにすれば、ハードウェアと解析に用いられるモデルとの間における誤差を低減させることができる。
【0087】
この場合、電磁界マップ生成部18に各IR検出器5間の距離、各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置及び各IRマーカ3又は電磁界センサ2の空間位置の関係を示すテーブル又は近似関数が保存される。そして、電磁界マップ生成部18は、各IR検出器5間の距離及び各IR検出器5において検出されたIRマーカ3の2D位置を入力として、テーブル又は近似関数を参照し、各マーカ3又は電磁界センサ2の空間位置を出力させるように構成される。
【0088】
すなわち電磁界分布測定装置1Aは、複数のIR検出器5を設けることによって、IRマーカ3と各IR検出器5との間における距離を求めてIRマーカ3の3D位置を取得できるようにしたものである。
【0089】
このため電磁界分布測定装置1Aによれば、3Dの電磁界分布情報を求めることができるのみならず、IRマーカ3がIR検出器5側を向いていない場合や、IRマーカ3のIR検出器5に対する仰角が傾いている場合であっても、電磁界センサ2の空間位置を精度よく特定することができる。
【0090】
尚、複数のIR検出器5を連結部材30で連結せずに、所定の位置に配置することによってIR検出器5間における相対的な位置関係を特定するようにしてもよい。
【0091】
(第3の実施形態)
図9は本発明の第3の実施形態に係る電磁界分布測定装置に備えられるデータ収集系の構成図である。
【0092】
第3の実施形態に係る電磁界分布測定装置1Bは、電磁界センサ2、CCDカメラ4及びIR検出器5を含むデータ収集系の構成及び電磁界センサ2の位置を求めるためのコンピュータ7における情報処理方法が図1に示す第1の実施形態に係る電磁界分布測定装置1と相違する。他の構成および作用については図1に示す電磁界分布測定装置1と実質的に同一である。このため、データ収集系の構成例のみ図示し、他の構成要素については説明を省略する。
【0093】
電磁界分布測定装置1Bでは、電磁界センサ2のセンサ部2Bとは逆側のボディ2Aに、シム部材8を挟んで同種又は異種の光を発光する複数の光マーカが取り付けられる。すなわち、電磁界センサ2には、波長帯の異なる光を発光する複数の光源及び波長帯が同一の光を発光する複数の光源が設けられる。図9は、電磁界センサ2に、2つのIRマーカ3、2つのUVマーカ40及び1つの可視光マーカ41を設けた例を示している。但し、可視光マーカ41は、点滅する可視光又は変調された可視光を発光する光源で構成される。
【0094】
一方、CCDカメラ4には、電磁界センサ2に設けられた光マーカの種類に対応する光の検出器がそれぞれ少なくとも1つ連結部材30により連結される。図9の例では、IRマーカ3及びUVマーカ4からの不可視光を検出するための2つのIR検出器5及び2つのUV検出器42がCCDカメラ4と連結されている。
【0095】
尚、可視光マーカ41からの可視光は、CCDカメラ4により検出することができる。すなわち、CCDカメラ4を可視光マーカ41から発せられる可視光の検出器として用いることができる。CCDカメラ4により撮影された画像データから可視光マーカ41からの可視光の位置を検出する処理は、可視光の点滅のパターン又は変調情報に基づく特徴点検出処理によって電磁界マップ生成部18において行うことができる。
【0096】
同種又は異種の波長帯の光を発光する複数の光マーカを電磁界センサ2に取り付ければ、光マーカ間における相対的な位置関係及び各光マーカからの光の検出情報に基づいて、電磁界センサ2の空間位置を幾何学的に求めることができる。また、同種又は異種の波長帯の光を検出する複数の光検出器を用いれば、光検出器間における相対的な位置関係及び各光検出器における光の検出情報に基づいて、電磁界センサ2の空間位置を幾何学的に求めることができる。このため、所望の組合せのマーカ及び検出器を用いることによって、電磁界マップ生成部18において電磁界センサ2の空間位置ごとの3Dの電磁界分布情報を求めることができる。
【0097】
加えて、互いに異なる波長帯の光を発光する複数の光マーカを電磁界センサ2に取り付ければ、電磁界マップ生成部18において光の種類ごとに電磁界強度の測定点の位置情報及び位置情報の履歴を得ることができる。このため、位置補正部19では、赤外光、紫外光及び可視光についてそれぞれ測定点の履歴に基づいて異常値を検出するエラー検出処理を実行することができる。そして、異常値と判定された測定点の位置を、他の波長帯の光の検出情報から得られる正常な電磁界強度の測定点の位置に基づいて補正することができる。
【0098】
すなわち、異常値として検出された測定点の位置を他の波長帯の光の検出情報に基づく測定点の位置に置き換える補正処理や異常値として検出された測定点の位置と他の波長帯の光の検出情報に基づく測定点の位置とを重み付け加算する補正処理によって測定点の位置補正を行うことができる。
【0099】
もちろん、異常値の補正に限らず、測定点の位置の同定自体を、異なる波長帯の光の検出情報に基づく複数の位置の重み付け加算や平均値の算出によって行うようにしてもよい。
【0100】
このような構成を有する電磁界分布測定装置1Bでは、電磁界強度の測定領域に赤外光又は紫外光を発生させる物体が存在する場合であっても、物体からの不可視光の干渉を受けない光の検出情報に基づいて正確に電磁界センサ2の空間位置を求めることができる。また、電磁界の測定領域に赤外光及び紫外光の双方が発生している場合であっても、点滅又は変調によって識別可能な可視光の検出情報に基づいて正確に電磁界センサ2の空間位置を求めることができる。
【0101】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0102】
1、1A、1B 電磁界分布測定装置
2 電磁界センサ
2A ボディ
2B センサ部
3 IRマーカ
4 CCDカメラ
5 IR検出器
5A IRカメラ
5B ADC
5C 演算装置
5D 無線送信アンテナ
6 ガイドシート
7 コンピュータ
8 シム部材
9 演算装置
10 記憶装置
11 入力装置
12 表示装置
13 入出力端子
14 無線受信アンテナ
15 映像情報生成部
16 電磁界分布情報生成部
17 画面情報生成部
18 電磁界マップ生成部
19 位置補正部
20 データ補間部
30 連結部材
31 スライド機構
32 メモリ
40 UVマーカ
41 可視光マーカ
42 UV検出器
O 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光又は紫外光を発光する光源を取り付けた電磁界センサと、
前記光源からの赤外光又は紫外光を検出する検出器と、
前記検出器における前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記電磁界センサにより測定された電磁界強度に基づいて前記電磁界センサの位置ごとの電磁界分布情報を求める電磁界分布情報生成手段と、
を備える電磁界分布測定装置。
【請求項2】
前記電磁界センサには、赤外光又は紫外光で構成される不可視光を発光する第1の光源及び点滅する可視光又は変調された可視光を発光する第2の光源が取り付けられ、
前記第1の光源及び第2の光源からの前記不可視光及び前記可視光を検出する複数の検出器を備え、
前記電磁界分布情報生成手段は、前記複数の検出器における前記不可視光及び前記可視光の検出情報並びに前記複数の検出器間における相対的な位置関係に基づいて前記電磁界センサの空間位置ごとの3次元の電磁界分布情報を求め、かつ前記不可視光及び前記可視光の一方の検出情報から得られる前記電磁界強度の測定点の履歴に基づいて前記測定点の位置の異常値を検出し、異常値と判定された前記測定点の位置を、他方の検出情報から得られる前記電磁界強度の測定点の位置に基づいて補正するように構成される請求項1記載の電磁界分布測定装置。
【請求項3】
前記電磁界センサには、赤外光を発光する第1の光源及び紫外光を発光する第2の光源が取り付けられ、
前記第1の光源及び第2の光源からの前記赤外光及び紫外光を検出する複数の検出器を備え、
前記電磁界分布情報生成手段は、前記複数の検出器における前記赤外光及び紫外光の検出情報並びに前記複数の検出器間における相対的な位置関係に基づいて前記電磁界センサの空間位置ごとの3次元の電磁界分布情報を求め、かつ前記赤外光及び紫外光の一方の検出情報から得られる前記電磁界強度の測定点の履歴に基づいて前記測定点の位置の異常値を検出し、異常値と判定された前記測定点の位置を、他方の検出情報から得られる前記電磁界強度の測定点の位置に基づいて補正するように構成される請求項1記載の電磁界分布測定装置。
【請求項4】
前記光源からの赤外光又は紫外光を検出する複数の検出器を備え、
前記電磁界分布情報生成手段は、前記複数の検出器における前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記複数の検出器間における相対的な位置関係に基づいて前記電磁界センサの空間位置ごとの3次元の電磁界分布情報を求めるように構成される請求項1記載の電磁界分布測定装置。
【請求項5】
前記電磁界分布情報生成手段は、前記赤外光又は紫外光の検出情報から得られる前記電磁界強度の測定点の履歴に基づいて前記測定点の位置の異常値を検出し、異常値と判定された前記測定点の位置を他の測定点の位置に基づいて補正するように構成される請求項1又は4記載の電磁界分布測定装置。
【請求項6】
赤外光又は紫外光を発光する光源を取り付けた電磁界センサを用いて電磁界強度を計測し、前記赤外光又は紫外光の検出情報及び前記電磁界センサにより測定された前記電磁界強度に基づいて前記電磁界センサの位置ごとの電磁界分布情報を求める電磁界分布測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159479(P2012−159479A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21255(P2011−21255)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(304036743)国立大学法人宇都宮大学 (209)