説明

電磁駆動装置

【課題】永久磁石を用いることなく、高温においても安定して可動部材を効率よく揺動させることのできる電磁駆動装置を提供する。
【解決手段】可動部材であるレンズホルダー12と、レンズホルダー12を揺動可能に支持する固定部材としてのケース11とを備えるとともに、ケース11に非磁性導電材料から成る板状の駆動用反発部材15を取り付けレンズホルダー12に軸線方向が前記駆動用反発部材の厚さ方向を向くように駆動用コイル14を装着するか、もしくは、ケース11に駆動用コイル14を装着しレンズホルダー12に駆動用反発部材15を取り付けて、駆動用コイル14に交流電流を印加して駆動用反発部材15に渦電流を発生させることにより、駆動用コイル14と駆動用反発部材15との間に渦電流による斥力を発生させ、この斥力により、レンズホルダー12を軸線方向に移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、撮影用光学機器などの自動焦点駆動や手振れの抑制を行うことのできる電磁駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等に搭載されるカメラはイメージセンサーの画素数が増大されて撮影画像の高品質化が進んでいる。これに伴って、搭載されるレンズ系についても、従来の固定焦点のレンズ駆動装置から可動焦点のレンズ駆動装置へと移行しつつある。これは、固定焦点のレンズ駆動装置では、焦点ボケが生じて、高画素数イメージセンサーの分解能に対応することができないためである。
可動焦点のレンズ駆動装置におけるレンズ系の駆動方式としては、永久磁石の作る磁界中に配置された駆動用コイルに通電し、ローレンツ力により駆動用コイルを駆動してレンズホルダーをレンズの光軸方向に移動させるボイスコイルモータ型のレンズ駆動装置が多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、携帯電話等に搭載されるカメラでは、撮影時に手振れが発生しやすいことから、永久磁石と手振れ抑制用のコイルとを用いてレンズホルダーを揺動させて手振れを抑制する機能を有する撮影用光学装置が提案されている。これにより、レンズホルダーをレンズの光軸方向に駆動する機能に加えて、手振れを抑制できるので、イメージセンサー上に鮮明な画像を結像させることができる(例えば、特許文献2参照)。
また、前記ボイスコイルモータ型のレンズ駆動装置や電磁駆動装置では、近年、大きな推進力を発揮させるため、永久磁石としてネオジウムマグネット等の希土類元素を多量に含有する飽和磁束密度の高い希土類マグネットが用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−280031号公報
【特許文献2】特開2009−294393号公報
【特許文献3】特開2010−14920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記希土類マグネットは耐熱温度が低く、100℃前後の温度においても保存中に磁気劣化し易いだけでなく、磁気特性の温度依存性が大きいため、高温動作時において駆動力が変化するなどの問題点があった。
また、前記ボイスコイルモータ型のレンズ駆動装置や電磁駆動装置では、駆動用コイルの一部の辺に発生するローレンツ力によりレンズホルダーなどの可動部材を揺動させる構成であるため、駆動効率が悪いといった問題点があった。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、永久磁石を用いることなく、高温においても安定して可動部材を効率よく揺動させることのできる電磁駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討の結果、コイルとコイルに向き合うように配置された非磁性導電部材との対を電磁駆動手段とし、コイルに交流電流を供給することで非磁性導電部材に渦電流を生じさせ、この渦電流による反磁界によりコイルと非磁性導電部材との間に発生する斥力を駆動力とすれば、永久磁石を用いない、小型で性能の安定した電磁駆動装置を得ることができることを見出し本発明に到ったものである。
すなわち、本願発明は、柱状もしくは筒状の可動部材と、前記可動部材を揺動可能に支持する固定部材と、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動させる駆動手段とを備えた電磁駆動装置であって、前記駆動手段は、非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の駆動用反発部材と、前記駆動用反発部材の厚さ方向の一方の側と他方の側のいずれか一方または両方に、巻線の軸線方向が前記駆動用反発部材の厚さ方向を向くように配置された駆動用コイルとを備え、前記駆動用反発部材及び前記駆動用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする。

このように、非磁性導電材料から成る板状の駆動用反発部材と駆動用コイルとを対向させて配置するとともに、駆動用コイルに交流電流を通電して駆動用反発部材に渦電流を発生させるという簡単な構成で、可動部材に、直線往復運動や軸周りの回転を伴う振り子運動を含む揺動を与えることができる電磁駆動装置を得ることができる。
【0007】
また、本願発明は、前記可動部材がバネ部材により前記固定部材に対して揺動可能に支持されていることを特徴とする。
これにより、簡単な構成で可動部材を固定部材に揺動可動に取付けることができる。
また、本願発明は、前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、前記駆動用コイルを前記駆動用反発部材の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するとともに、前記可動部材に設けられて前記可動部材の軸線方向に延長するガイド孔と、両端がそれぞれ前記固定部材に固定されて前記ガイド孔を貫通するガイドピンとを更に備えたことを特徴とする。
これにより、可動部材は、当該可動部材の軸線方向において、一方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力と他方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力との釣り合う位置までガイドピンに沿って移動するので、可動部材を固定部材に取り付けることなく、可動部材を安定して当該可動部材の軸線方向に往復運動させることができる。
【0008】
また、本願発明は、前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、前記駆動用反発部材と前記駆動用コイルとの組を前記可動部材の軸線方向に沿って複数組配置するとともに、厚さ方向が前記可動部材の軸線方向とは直交する方向になるように配置された非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の支持用反発部材と、前記支持用反発部材の厚さ方向に、巻線の軸線方向が前記支持用反発部材の厚さ方向を向くように配置された支持用コイルとの組を少なくとも3組備え、前記支持用反発部材及び前記支持用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする。
これにより、可動部材は、3組の支持用反発部材と支持用コイルとの間に作用する斥力により当該可動部材の軸線方向に移動可能に浮上しながら、複数の駆動用反発部材と駆動用コイルとに作用する斥力の釣り合う位置に沿って移動するので、可動部材を固定部材に取り付けることなく、可動部材を安定して当該可動部材の軸線方向に往復運動させることができる。
【0009】
また、本願発明は、前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、前記駆動用コイルを前記駆動用反発部材の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するとともに、前記駆動用コイルの内周側に、厚さ方向が前記可動部材の軸線方向とは直交する方向になるように配置された非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の支持用反発部材を更に備え、前記2種類の反発部材(駆動用反発部と支持用反発部材)及び前記駆動用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする。
これにより、可動部材は、駆動用コイルと支持用反発部材との間に作用する斥力により当該可動部材の軸線方向に移動可能に浮上しながら、一方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力と他方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力との釣り合う位置に沿って移動するので、可動部材を固定部材に取り付けることなく、可動部材を安定して当該可動部材の軸線方向に往復運動させることができる。
【0010】
また、本願発明は、前記駆動用反発部材を、円錐台側面を有し前記可動部材と同軸に配置された環状の部材とし、前記駆動用コイルを前記環状の駆動用反発部材の厚さ方向の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するととともに、前記駆動用反発部材の円環部がそれぞれ前記2つの駆動用コイルの巻線部に対向するように配置されていることを特徴とする。
これにより、可動部材には、可動部材の軸線方向と交差しかつ軸線方向に対して線対称な方向の斥力が作用するので、可動部材を軸線方向に移動可能に浮上させながら、一方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力の軸線方向の成分と他方の側の駆動用コイルと駆動用反発部材との間に作用する斥力の軸線方向の成分との釣り合う位置に沿って移動させることができる。したがって、可動部材を固定部材に取り付けることなく、可動部材を安定して当該可動部材の軸線方向に往復運動させることができる。
【0011】
また、本願発明は、前記可動部材をバネ部材により前記固定部材に対して揺動可能に支持するとともに、前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向と直交する方向とし、前記駆動用反発部材の厚さ方向に、巻線の軸線方向が前記駆動用反発部材の厚さ方向を向くように前記駆動用コイルを配置したことを特徴とする。
これにより、可動部材を、当該可動部材の軸線方向と直交する軸周りに揺動させることができるので、簡単な構成で可動部材に作用する揺動を効果的に抑制することができる。
また、本願発明は、前記駆動用コイルの内周側、外周側、及び、前記駆動用反発部材とは反対側の面である背面側のいずれか1つまたは複数または全部に軟磁性材料から成るコア部材を配置したことを特徴とする。
これにより、駆動用コイルからの交流磁界を駆動用反発部材や支持用反発部材に有効に導くことができるので、可動部材を効率よく揺動させることができる。また、駆動用コイルからの磁界は主にコア部材内を通るので、コア部材の外側に磁界を弱める、いわゆるシールド効果を有するので、駆動コイルからの磁界の漏れを少なくできる。
また、本願発明は、前記駆動用反発部材の外縁部から前記駆動用コイルの外周側に突出する突出部、もしくは、前記駆動用反発部材の内周部から前記駆動用コイルの内周側に突出する突出部のいずれか1つまたは両方を前記駆動用反発部材に設けたことを特徴とする。
駆動用反発部材もシールド効果を有するので、駆動コイルからの磁界の漏れを少なくできるとともに、これに伴って、駆動用反発部材自身に印加される磁界が強まるので、可動部材を効率よく揺動させることができる。
【0012】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態1に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】駆動用反発部材の他の形状を示す図である。
【図4】駆動用コイルに交流電流を供給したときの磁界分布の一例を示す図である。
【図5】駆動用コイルと駆動用反発部材との間の距離と推力との関係を示す図である。
【図6】駆動電流とレンズホルダーの変位量との関係を示す図である。
【図7】巻線部の断面形状と推力との関係を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図9】コア部材の他の形状を示す図である。
【図10】駆動用コイルの背面側のみに軟磁性部材が配置されている場合の磁界分布の一例を示す図である。
【図11】実施の形態2における駆動用コイルに交流電流を供給したときの磁界分布の一例を示す図である。
【図12】円環部の内縁部と外縁部とに突出部を有する駆動用反発部材を用いた場合の磁界分布の一例を示す図である。
【図13】実施の形態2における駆動用コイルと駆動用反発部材との間の距離と推力との関係を示す図である。
【図14】実施の形態2における駆動電流とレンズホルダーの変位量との関係を示す図である。
【図15】コア部材の内側壁部と外側壁部とを駆動用反発部材に対向するようにした場合の磁界分布の一例を示す図である。
【図16】図15の構成における駆動用コイルと駆動用反発部材との間の距離と推力との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図18】本発明によるレンズ駆動装置の他の構成を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態4に係る電磁駆動装置の構成を示す図である。
【図20】本発明による簡易構造の電磁駆動装置の構成を示す図である。
【図21】本実施の形態5に係る電磁駆動装置の構成を示す図である。
【図22】本実施の形態6に係る手振れ抑制装置の構成を示す図である。
【図23】本実施の形態7に係る電磁駆動装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電磁駆動装置としてのレンズ駆動装置10の構成を示す縦断面図で、図2は分解斜視図である。
レンズ駆動装置10は、固定部材としてのケース11と、可動部材としてのレンズホルダー12と、ケース11にレンズホルダー12を懸架する支持手段としてのバネ部材13A,13Bと、駆動用コイル14と、駆動用反発部材15とを備える。
以下、レンズホルダー12の軸線方向、すなわち、レンズホルダー12にレンズ16を搭載した時の被写体側をZ軸方向前方(+Z側)とし、Z軸に直交する2方向をそれぞれX軸及びY軸とする。なお、図1ではレンズ16を省略している。
【0016】
ケース11は円筒状の枠体11aと、枠体11aの被写体側(+Z側)に配置される+Z側に開口部が形成されレンズホルダー12側が開放された筒状のカバー部11bと、枠体11aの−Z側に配置される後方側(−Z側)に開口部が形成されレンズホルダー12側が開放された基部11cとを備える。基部11cの開口部の周縁部には駆動用コイル14を取付けるための段差部11kが設けられている。
レンズホルダー12は、例えば円筒状の本体12aを備え、本体12aの内側に対物レンズや接眼レンズの組み合わせから成るレンズを保持する。本例では、本体12aの後方側(−Z側)に径が本体12aの径よりも小さな段差部12bを設け、この段差部12bに駆動用反発部材15を装着するようにしている。
バネ部材13A,13Bは、内側と外側とにそれぞれ配置された円環状の外周部13aと内周部13bと、外周部13aと内周部13bとを連結する略円弧状の4本の腕部13cとを備えている。外周部13aがケース11に固定され、内周部13bがレンズホルダー12に固定される。4本の腕部13cがレンズホルダー12をケース11に懸架するバネとして機能する。
【0017】
駆動用コイル14は、Z軸周りに巻き回されてケース11の基部11cに設けられた段差部11kに装着される。この駆動用コイル14には、駆動用反発部材15の材質と厚さとにより決まる周波数の交流電流が供給される。
駆動用反発部材15は、レンズホルダー12の段差部12bに設けられて厚さ方向がZ軸方向になるように取付けられた非磁性導電材料から成る円環状の部材で、駆動用コイル14の巻線端面においてZ軸方向に対向するように配置される。駆動用反発部材15に好適に用いられる非磁性導電材料としては、例えば、銅やアルミニウムなどのような、比抵抗が小さな非磁性材料が用いられる。
渦電流の届く表皮深さは周波数と非磁性導電材料の比抵抗により決まるので、駆動用反発部材15の厚さを表皮深さ以上にすれば渦電流を有効に発生させることができる。駆動用反発部材15を、例えば、銅から構成した場合、駆動用コイル14に供給する交流電流の周波数と駆動用反発部材15の厚さとの関係は、例えば、1kHzなら2mm以上、100kHzなら0.2mm以上、10MHzなら20μm以上とすればよい。
また、アルミニウムの場合には、比抵抗が銅の約1.7倍なので、厚さとしては銅の場合の1.3倍厚くすればよい。
【0018】
駆動用コイル14に交流電流を供給すると駆動用反発部材15には渦電流が発生する。この渦電流により駆動用コイル14の作る磁界を弱めようとする磁界(反磁界)が生じ、その結果、駆動用コイル14と駆動用反発部材15との間には斥力が発生する。
本例では、駆動用コイル14を固定部材であるケース11に装着し、駆動用反発部材15を可動部材であるレンズホルダー12に取付けているので、駆動用コイル14に交流電流を供給すると、前記斥力がレンズホルダー12をZ軸方向前方(+Z側)に押し出す推力となり、レンズホルダー12を前側及び後側のバネ部材13A,13Bの復元力と釣り合う位置まで移動させることができる。なお、レンズホルダー12には常に−Z方向にバネ部材13A,13Bの復元力が作用しているので、駆動用コイル14に通電する電流値を小さくすれば、レンズホルダー12を−Z方向に移動させることができる。
したがって、簡単な構成で、永久磁石を使用することなく、レンズホルダー12を被写体方向に自動焦点駆動させることのできるレンズ駆動装置10を得ることができる。
【0019】
なお、実施の形態1では、駆動用コイル14をケース11に装着し駆動用反発部材15をレンズホルダー12に取付けたが、駆動用コイル14をレンズホルダー12に装着し駆動用反発部材15をケース11に取付けても同様の効果を得ることができる。この場合にも、駆動用反発部材15の円環部を駆動用コイル14の巻線端面においてZ軸方向に対向するように配置することが肝要で、これにより、駆動用反発部材15に効率よく渦電流を発生させてレンズホルダー12を被写体方向に移動させることができる。
また、前記例では、駆動用コイル14の巻線部のZ軸方向から見た大きさである内径及び外径と駆動用反発部材15のZ軸方向から見た大きさである内径及び外径とを同じとしたが、駆動用反発部材15の円環部が駆動用コイル14の巻線部に対向するように配置されていれば、駆動用コイル14の大きさと駆動用反発部材15の大きさが異なっていてもよい。
また、前記例では、駆動用反発部材15を、図3(a)に示すような円環状の部材としたが、図3(b)に示すような円板状や、図3(c)に示すような、複数の円弧状の部材を環状に配列したものであってもよい。また、駆動用コイル14の形状が角型である場合には、駆動用反発部材15を、図3(d)に示すような角型の環状部材や、図3(e)に示すような矩形板状や、図3(f)に示すような、複数の棒状の部材を矩形状に配列したものを用いるなど、駆動用コイル14の形状に合わせて適宜選択すればよい。
あるいは、図3(g)に示すように、駆動用反発部材15を凹部15sが形成された円環状の部材として、前記凹部15sに配置された駆動用コイル14の巻線部を囲うようにしてもよい。また、駆動用反発部材15を、図3(g)と同様の凹部15sが形成された複数の円弧状の部材を円環状に配置した構成としてもよい。
【0020】
[実験例1]
図4は、駆動用コイル14に交流電流を供給した場合の磁界分布の一例を示す図で、駆動用コイル14としては、内径が6mm、外径が14mm、厚さが0.6mmの領域内に被覆導線を巻回したものを用いた。交流電流の周波数は100kHzである。また、駆動用反発部材15としては、銅から成る、内径が6mm、外径が14mm、厚さが0.3mmの円環状のものを用いた。
本発明のレンズ駆動装置10では、駆動用反発部材15をその環状部が駆動用コイル14の巻線端面に対向するように配置するとともに、駆動用コイル14に交流電流を供給することで、非磁性導電部材である駆動用反発部材15を通る磁界を変化させて駆動用反発部材15に渦電流を発生させる。その結果、可動部材であるレンズホルダー12に装着された駆動用反発部材15と固定部材であるケース11に取付けられた駆動用コイル14との間には渦電流による斥力が発生し、この斥力が可動部材であるレンズホルダー12をZ軸方向に移動させるための推力となる。
図5は、駆動用コイル14に100kHz、約720AT(アンペア・ターン)の交流電流を供給して駆動用コイル14と駆動用反発部材15との隙間の大きさ(図4に示すギャップ長g)を変化させたときの、レンズホルダー12に作用する1AT当たりの推力(mN)の大きさの変化を示す図で、図6は駆動電流の大きさ(AT)とレンズホルダー12の変位量(mm)との関係を示す図である。なお、このときのバネ部材13A,13Bのバネ係数は0.04N/mmである。
図5及び図6に示すように、駆動用反発部材15に生じた渦電流により、レンズホルダー12に十分な推力を与えることができるので、永久磁石を使用することなく、レンズホルダーを電磁駆動できる実用的なレンズ駆動装置を得ることができることが確認された。
【0021】
なお、図5に示す駆動用コイル14の巻線部の幅Xwと厚さYwとの比は、周囲の部材との関係を考慮して扁平や縦長等適宜決めてもよいが、電流効率を重視して幅Xwと厚さYwとを決めることが好ましい。
図7は巻線部の断面積(Xw・Yw)を2.4mm2に保って、幅Xwと厚さYwとを変えた場合の推力の変化を示した例で、横軸はコイル幅Xw(mm)、縦軸は推力(mN/AT)である。なお、図7において、駆動用反発部材15の寸法は図4〜図6の場合と同じである。図7に示すように、駆動用コイル14の形状としては、縦長よりも扁平の方が大きな推力が得られることがわかる。また、扁平でかつコイル幅Xwが2mm以上では、推力はコイル幅の変化に対する推力の変化が小さいことも分かる。
また、図4の磁界分布図に示すように、駆動用反発部材15の外側の磁界が駆動用コイル14の駆動用反発部材15とは反対側の磁界よりも弱まっていることから、非磁性導電部材である駆動用反発部材15は、駆動用コイル14の発生する磁界を遮断する磁気シールド効果を有することがわかる。
【0022】
実施の形態2.
前記実施の形態1では、駆動用コイル14を空芯コイルとしたが、図8に示すように、駆動用コイル14の内周側と外周側と駆動用反発部材とは反対側(以下、背面側という)とに軟磁性材料から成るコア部材17を配置する構成とすれば、駆動用コイル14からの交流磁界を駆動用反発部材15に有効に導くことができる。
本例のレンズ駆動装置10Yでは、レンズホルダー12の本体12aのほぼ中央に径方向外側に突出するフランジ部12cを設け、このフランジ部12cの被写体側とは反対側に駆動用反発部材15を取り付けるとともに、段差部11kに代えて凹部11jを設け、この凹部11jに駆動用コイル14とコア部材17とを装着する構成としている。なお、本例のケース11では、基部11cの側面のZ軸方向の長さを長くして枠体11aを省略している。
コア部材17は円環状の基部17aと、基部17aの内縁部と外縁部からそれぞれ前方に突出する内側壁部17bと外側壁部17cとを備えたもので、これら基部17aと内側壁部17bと外側壁部17cとにより駆動用コイル14の巻線部を収納するための収納凹部17kが形成される。本例では、駆動用反発部材15の環状部も前記凹部17kに収納されるように、コア部材17の凹部17kの深さを深くしている。
これにより、駆動用コイル14の巻線端面は駆動用反発部材15の環状部に対向するように配置されるとともに、駆駆動用コイル14の内周側と外周側とZ軸方向後側、及び、駆動用反発部材15の環状部の内周側と外周側とに軟磁性材料が配置される。その結果、駆動用コイル14からの磁界は軟磁性材料から成るコア部材17に導かれて駆動用反発部材15に導かれるので、駆動用反発部材15に印加される磁界の磁束密度を高めることができる。したがって、コア部材17がない場合と同じ大きさの交流電流を駆動用コイル14に通電しても、駆動用コイル14と駆動用反発部材15との間に作用する斥力、すなわち、レンズホルダー12に作用する推力を大きくできるので、駆動効率を大幅に高めることができる。
なお、コア部材17を構成する材料としては、フェライトや珪素鋼等の比抵抗の比較的大きな材料を使用することが好ましい。
【0023】
なお、前記実施の形態2では、駆動用コイル14とコア部材17とをケース11に装着し、駆動用反発部材15をレンズホルダー12に取付けたが、駆動用反発部材15をケース11に取付け、駆動用コイル14とコア部材17とをレンズホルダー12に取付けてもよい。
また、コア部材17の形状も前記例に限定されるものではなく、例えば、図9(a)に示すように、コア部材17を駆動用コイル14の内径よりも小さな径を有する環状の部材とし、このコア部材17を駆動用コイル14の内周側のみに配置しても駆動用反発部材15に印加される磁界の磁束密度を高めることができる。逆に、図9(b)に示すように、コア部材17を駆動用コイル14の外径よりも大きな径を有する環状の部材とし、このコア部材17を駆動用コイル14の外周側のみに配置してもよい。なお、図9(a),(b)において、コア部材17のZ軸方向の長さを、駆動用コイル14の内周側から延長して駆動用反発部材15に到達する長さとしてもよい。
また、図9(c)に示すような、凹部17kの深さの浅いコア部材17を用いてもよい。
あるいは、図9(d)に示すような、駆動用コイル14の巻線部と駆動用反発部材15とを包含する中空部17sを有するコア部材17を用いてもよい。
また、図9(e)に示すような、駆動用コイル14の背面側のみに円環状のコア部材17を配置する構成としてもよい。
更には、図9(f)に示すような、内側壁部17bと外側壁部17cとが駆動用反発部材15に対向する構成のコア部材17を用いてもよい。
【0024】
[実験例2]
図10は、駆動用コイル14の背面側のみに軟磁性部材が配置した場合の磁界分布の一例を示す図である。駆動用コイル14の寸法と駆動用反発部材15の寸法及び材質は前記実験例1と同じである。また、コア部材17の寸法は、駆動用コイル14の寸法と同じく、内径が6mm、外径が14mmのものを用いた。図10と図4とを比較して明らかなように、コア部材17を配置することで駆動用反発部材15に印加される磁界の磁束密度が高くなり、推力も図4の空芯コイルを用いた場合の約1.3倍になることが確認された。
また、背面側に軟磁性部材を配置することにより、交流磁界の遮蔽効果はより効果的となり、コア部材17の背面側の磁界が大幅に弱められる。
図11は、レンズ駆動装置10Yに記載の、内周側と外周側と背面側とに軟磁性材料が配置された駆動用コイル14に交流電流を供給した場合の磁界分布の一例を示す図である。駆動用コイル14の寸法と駆動用反発部材15の寸法及び材質は前記実験例1と同じである。また、コア部材17としては、外径が14.8mm、内径が5.2mm、凹部深さが1.35mm、肉厚が0.3mmのものを用いた。図11と図10とを比較して明らかなように、背面側に加えて内周側と外周側とに軟磁性材料を配置することで駆動用反発部材15に印加される磁界の磁束密度が更に高くなっていることが確認された。なお、推力も図10の背面側に軟磁性部材を配置した場合よりも更に大きく、図4の空芯コイルを用いた場合の約1.5倍になることが確認された。
また、図12に示すように、駆動用コイル14の背面側に円環状のコア部材17を配置するとともに、駆動用反発部材15の円環部の内縁部と外縁部から駆動用コイル14とコア部材17の内周側と外周側とにそれぞれ突出する突出部15m,15nを設けるようにしても、駆動用反発部材15に印加される磁界の磁束密度を高めることができるとともに、駆動用コイル14の周囲の交流磁界を低減することができる。
なお、この場合には、シールド効果については、図10の駆動用コイル14の背面側に円環状のコア部材17を配置した場合よりも大きいが、推力は図10の場合よりも小さかった。
【0025】
また、図13は、図11に示した駆動用コイル14の内周側と外周側と後方側とに軟磁性材料を配置した構成(実施の形態2の構成)において、駆動用コイル14と駆動用反発部材15との間のギャップ長gを変化させたときの、駆動用反発部材15に作用する推力の大きさの変化を示す図で、図14は、駆動電流の大きさとレンズホルダー12の変位量との関係を示す図である。なお、バネ部材13A,13Bのバネ係数は実験例1と同じで0.04N/mmである。
図13に示すように、駆動用コイル14の内周側と外周側と後方側とに軟磁性材料を配置することで、レンズホルダー12に与える推力を大きくできることが確認された。また、キャップ長gが大きくなっても推力の変化が少ないので、コア部材17がない場合に比較して安定した推力を得ることができる。また、図14に示すように、変位感度も向上するので、空芯コイルを用いた場合に比較して装置を小型化することが可能となる。
また、図15に示すように、コア部材17の内側壁部17bと外側壁部17cとが駆動用反発部材15に対向する構成とすれば、内側壁部17bと外側壁部17cとが駆動用反発部材15の円環部の内縁部と外縁部に位置した場合(図11;実施の形態2の構成)と比較してレンズホルダー12に与える推力を更に大きくできる。
図16は、コア部材17の内側壁部17bと外側壁部17cとを駆動用反発部材15に対向させたときの駆動用コイルと駆動用反発部材間の距離と推力との関係を示す図で、図15,16において、駆動用反発部材15の寸法は、外径が14mm、内径が6mm、厚さが0.3mmで、駆動用コイル14の寸法は、外径が12.4mm、内径が7.6mm、厚さが1mm、巻線部の断面積が2.4mm2のものを用いた。また、コア部材17としては、外径が14mm、内径が6mm、凹部深さが1.1mm、肉厚が0.7mmのものを用いた。
図16から明らかなように、図13に示した実施の形態2の構成に比較してレンズホルダー12に与える推力が更に大きくなっていることがわかる。
【0026】
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3に係るレンズ駆動装置20の構成を示す縦断面図で、同図において、21は固定部材としてのケース、22は可動部材としてのレンズホルダー、24Aは前方駆動用コイル、24Bは後方駆動用コイル、25は駆動用反発部材、26はガイド孔、27はガイドピンである。
ケース21は被写体側(+Z側)に配置される+Z側に開口部が形成されレンズホルダー22側)が開放された筒状のカバー部21bと、カバー部21bの−Z側に配置される後方側(−Z側)に開口部が形成されレンズホルダー22側が開放された基部21cとを備える。
レンズホルダー22は本体22aと取付部22bと取付凹部22cとガイド孔26とを備える。本体22aは内側に対物レンズや接眼レンズの組み合わせから成るレンズを保持する円筒状の部材で、取付部22bは、本体22aの+Z側の外周から径方向外側に突出するように設けられる。取付凹部22cは、取付部22bの外周のほぼ中央に形成された凹部で、この取付凹部22cに駆動用反発部材25が取付けられる。
また、ガイド孔26は、レンズホルダー22の軸方向に延長するようにレンズホルダー22を貫通する孔で、取付凹部22cと本体22aとの間に形成される。
一方、ガイドピン27は、ガイド孔26を貫通する棒状の部材で、両端がそれぞれケース21のカバー部21bと基部21cに固定される。
【0027】
前方及び後方駆動用コイル24A,24Bは、実施の形態1,2の駆動用コイル14と同様の構成で、Z軸周りに巻き回されて、カバー部21bの−Z側と基部21cの+Z側とにそれぞれ配置される。
駆動用反発部材25は、実施の形態1,2の駆動用反発部材15と同様に、非磁性導電材料から成る円環状の部材で、レンズホルダー22の取付凹部22cに厚さ方向がZ軸方向になるように取付けられる。
すなわち、本例では、駆動用反発部材25を厚さ方向が可動部材であるレンズホルダー22の軸線方向を向くようにレンズホルダー22の外周側に取付けるとともに、前方駆動用コイル24Aを駆動用反発部材25の+Z側に配置し、後方駆動用コイル24Bを−Z側に配置する構成としている。なお、駆動用反発部材25と前方及び後方駆動用コイル24A,24Bとは、駆動用反発部材25の円環部と前方及び後方駆動用コイル24A,24Bの巻線端面とがそれぞれ対向するようにレンズホルダー22とケース21とにそれぞれ装着される。
【0028】
このような構成を採ることにより、駆動用反発部材25には、前方駆動用コイル24Aから−Z方向の斥力が作用し、後方駆動用コイル24Bから+Z方向の斥力が作用するので、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bに通電するとともに、一方の電流値を他方の電流値より大きくすれば、駆動用反発部材25は電流値の小さな方の駆動用コイル側へ向かう推力が作用することになる。したがって、レンズホルダー22はガイドピン27に沿って電流値の小さな方の駆動用コイル側へ移動する。
ところで、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bと駆動用反発部材25との間に作用する斥力は、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bと駆動用反発部材25との間の距離が近いほど大きくなるので、レンズホルダー22が電流値の小さな方の駆動用コイル側へ移動すると、電流値の小さな方の駆動用コイルからの斥力が増大する。その結果、レンズホルダー22は、電流値の大きな方の駆動用コイルからの斥力と電流値の小さな方の駆動用コイルからの斥力とが釣り合う位置まで移動し静止する。したがって、バネ部材を用いることなく、レンズホルダー22を所望の位置まで移動させることができる。
なお、レンズホルダー22には、通常、−Z方向と+Z方向の斥力しか作用しないが、レンズ駆動装置20の向きによっては、ガイドピン27がガイド孔26の内側に接触しながら移動する恐れがあるので、ガイド孔26の内側に潤滑材を塗ったり、ガイドピン27として潤滑性のある樹脂などを用いて接触摩擦によるロスを少なくするようにすることが好ましい。
【0029】
なお、前記実施の形態3では、駆動用反発部材25をレンズホルダー22に取付け、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bをケース21に装着した構成としたが、駆動用コイルをレンズホルダー22の外周側に取付け、駆動用反発部材をケース21に取付ける構成としてもよい。この場合には、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bをレンズホルダー22の+Z側と−Z側とにそれぞれ配置し、駆動用反発部材25をケース21の中央で、前方及び後方駆動用コイル24A,24Bと駆動用反発部材25との間に配置する。これにより、前方駆動用コイル24Aには+Z方向の推力が作用し、後方駆動用コイル24Bには−Z方向の推力が作用するので、前記実施の形態3と同様に、レンズホルダー22を、電流値の大きな方の駆動用コイルからの斥力と電流値の小さな方の駆動用コイルからの斥力とが釣り合う位置まで移動させることができる。
【0030】
また、前記例では、レンズホルダー22はガイドピン27に沿って摺動しながら移動する形態としたが、図18に示すように、ガイドピン27を非磁性導電材料で構成するとともに、ガイド孔26にZ軸周りに巻き回されたピン用コイル28を設ける構成とし、レンズホルダー22の駆動時にピン用コイル28に交流電流を供給するようにすれば、レンズホルダー22をガイドピン27に沿ってスムーズに移動させることができる。
すなわち、ピン用コイル28を巻線がガイドピン27を囲むように配置し、このピン用コイル28に交流電流を供給することで、非磁性導電部材であるガイドピン27にはピン用コイル28の中心に向う斥力が作用する。ガイドピン27は固定部材であるケース21に固定され、ピン用コイル28は可動部材であるレンズホルダー22に取付けられているので、レンズホルダー22はガイドピン27から反発力を受けながら移動する。したがって、ガイド孔26とガイドピン27との間に接触摩擦がなくなるので、レンズホルダー22をガイドピン27に沿ってスムーズに移動させることができる。
【0031】
実施の形態4.
図19(a),(b)は、本発明の実施の形態4に係る電磁駆動装置30の構成を示す図で、(a)図は縦断面図、(b)図は分解斜視図である。
電磁駆動装置30は、固定部材31と、可動部材32と、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bと、前方及び後方支持用コイル34A,34Bと、前方及び後方駆動用反発部材35A,35Bと、駆動用コア部材36と、前方及び後方支持用コア部材37A,37Bとを備える。
固定部材31は円筒状の部材で、可動部材32は固定部材31の内側に固定部材31と同軸に配置される円筒状もしくは円柱状の部材である。以下、固定部材31と可動部材32の軸線方向をZ軸方向とし図19の上方向をZ軸前方(+Z側)とする。
固定部材31は、−Z側に+Z側の内径よりも内径の大きな段差部31pが形成された筒状の上側固定部材31aと、+Z側に−Z側の内径よりも内径の大きな段差部31qが形成された筒状の下側固定部材31bとを備える。
可動部材32は非磁性導電材料から成る円筒状の部材で、本例では、図19に示すように、可動部材32を上側部32a、中間部32b、及び、下側部32cの3つの円筒部に分け、上側部32aの−Z側の端部に円環状の前方駆動用反発部材35Aを取付けた部品と、下側部32cの+Z側の端部と中間部32bとの間に円環状の後方駆動用反発部材35Bを取付けた部品とを作製して組み立てている。
【0032】
前方及び後方駆動用コイル33A,33Bは、いずれも、+Z軸方向に巻き回されて、所定距離隔てて駆動用コア部材36に取付けられ、駆動用コア部材36とともに、固定部材31に形成された段差部31p,31qに装着される。駆動用コア部材36は、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bの内側及び外側及び挟間に配置されて前方及び後方駆動用コイル33A,33Bの発生する磁界を前方及び後方駆動用反発部材35A,35Bに有効に導くことで、前方及び後方駆動用反発部材35A,35Bに印加される磁界の磁束密度を高める機能を有する。
一方、前方支持用コイル34Aは、+Z軸方向に巻き回されて上側固定部材31aの上部の内側に取付けられた前方支持用コア部材37Aの内周側に取付けられ、後方支持用コイル34Bは、+Z軸方向に巻き回されて下側固定部材31bの下部の内側に取付けられた後方支持用コア部材37Bの内周側に取付けられる。前方及び後方支持用コア部材37A,37Bは、前方及び後方支持用コイル34A,34Bの+Z側、−Z側、及び、外周側に配置されて前方及び後方支持用コイル34A,34Bの発生する磁界を可動部材32の上側部32aと下側部32cとにそれぞれ有効に導くことで、可動部材32に印加される磁界の磁束密度を高める機能を有する。
可動部材32と駆動用コア部材36との間、及び、可動部材32と前方及び後方支持用コイル34A,34Bとの間には、可動部材32が移動可能な隙間が設けられている。ここで、可動部材32と前方及び後方支持用コイル34A,34Bとの間の隙間の大きさをsとする。なお、可動部材32と駆動用コア部材36との間の隙間の大きさについてはs以上あればよい。
前方及び後方駆動用反発部材35A,35Bは、いずれも、非磁性導電材料から成り、内周側が可動部材32に取付けられて固定部材の内周側に突出する円環状の部材で、前記実施の形態1〜3と同様に、円環部がそれぞれ前方及び後方駆動用コイル33A,33Bの巻線部に対向するように配置されている。具体的には、前方駆動用反発部材35Aの円環部が、前方駆動用コイル33Aの+Z側にて、前方駆動用コイル33Aの巻線部に対向するように配置され、後方駆動用反発部材35Bの円環部が、後方駆動用コイル33Bの−Z側にて、後方駆動用コイル33Bの巻線部に対向するように配置される。
【0033】
次に、電磁駆動装置30の動作について説明する。
まず、前方及び後方支持用コイル34A,34Bに交流電流を印加することで、前方及び後方支持用コイル34A,34Bに対向して配置されている非磁性導電材料から成る可動部材32に渦電流を発生させる。前方及び後方支持用コイル34A,34Bからの磁界は、それぞれ、前方及び後方支持用コア部材37A,37Bにより、可動部材32の上側部32aと下側部32cとに有効に導かれるので、可動部材32の上側部32aと下側部32cとには可動部材32の中心に向かう斥力が作用する。前方及び後方支持用コイル34A,34Bと非磁性導電材料から成る可動部材32との間に作用する斥力は同軸位置で釣り合っていて、前方及び後方支持用コイル34A,34Bと可動部材32との間の距離が近いほど大きくなる。したがって、可動部材32が中心軸から偏心して前方支持用コイル34Aまたは後方支持用コイル34Bの何れか一方に近づくと、その部分の斥力が大きくなって可動部材32は中心に押し戻される。
このように、可動部材32の上側部32aと下側部32cに生じる渦電流による斥力がバネのように可動部材32の支持姿勢を維持して可動部材32を中心軸上に保持するので、バネ部材やガイドピンがなくても、可動部材32を中心軸上に保持することができる。すなわち、可動部材32を、前方及び後方支持用コイル34A,34Bの内周面と予め設定された隙間sを保って空中に浮遊させることができる。
【0034】
次に、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bにそれぞれ交流電流を印加すると、前方駆動用コイル33Aの+Z側に配置されている前方駆動用反発部材35Aには+Z方向の斥力が作用し、後方駆動用コイル33Bの−Z側に配置されている後方駆動用反発部材35Bには−Z方向の斥力が作用する。そこで、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bの一方に通電する電流値を他方に通電する電流値より大きくすれば、可動部材32には電流値の小さな方の駆動用コイル側へ向かう推力が作用するので、可動部材32は電流値の小さな方の駆動用コイル側へ移動した後、電流値の大きな方の駆動用コイルからの斥力と電流値の小さな方の駆動用コイルからの斥力とが釣り合う位置で静止する。
このとき、可動部材32は、前方及び後方支持用コイル34A,34Bからの斥力により中心軸上に保持されているので、可動部材32を摩擦なくZ軸方向に移動させることができる。
なお、駆動用コア部材36、及び、前方及び後方支持用コア部材37A,37Bについては省略してもよいが、本例のように、駆動用コア部材36、及び、前方及び後方支持用コア部材37A,37Bを設けるようにすれば、駆動効率を向上させることができる。
【0035】
ところで、前方駆動用コイル33Aに供給する電流値と後方駆動用コイル33Bに供給する電流値との和である合計の電流値が小さい場合は、バネ的な性質としては弱いバネとなるので、静止時の振動等が収まって静止するまでに要する時間は長くなる。一方、合計の電流値が大きい場合は、バネ的な性質としては強いバネとなるので、静止するまでに要する時間は短くなる。
すなわち、本実施の形態4の電磁駆動装置30では、従来のバネ懸架の電磁駆動装置とは異なり、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bの合計の電流値を制御することでバネ特性を変化させることができる。したがって、必要に応じてバネ強さを強めたり弱めたりできるので、合計の電流値を増減させつつ可動部材32を移動させれば、緩やかに移動させた後急激に静止させるなど、可動部材32に様々な動作を行わせることができる。
【0036】
なお、前記実施の形態4では、前方及び後方駆動用コイル33A,33Bと前方及び後方支持用コイル34A,34Bの4つのコイルを用いて可動部材32を中心軸上に保持しながらZ軸方向に移動させるようにしたが、駆動用コイルと支持用コイルを共用する構成としてもよい。
図20(a)は、その一例である簡易構造の電磁駆動装置30Dの構成を示す図で、同図において、31は円筒状の固定部材、32は非磁性導電材料から成る円筒状の可動部材、33U,33DはそれぞれZ軸周りに巻き回された前方コイルと後方コイル、35は非磁性導電材料から成る円環状の反発部材、36は軟磁性体から成るコア部材である。
簡易構造の電磁駆動装置30Dにおいては、可動部材32の外周部の中央に反発部材35を取付けるともに、反発部材35の+Z側に前方コイル33Uを配置し、−Z側に後方コイル33Dを配置している。前方コイル33Uと後方コイル33Dとは、固定部材31の内壁に取付けられたコア部材36の凹部に装着される。
図20(b)は、前方コイル33Uと後方コイル33Dに交流電流を通電したときに発生する磁界分布の一例を示す図である。図20(b)から、前方コイル33Uと後方コイル33Dの作る磁界の磁束流の中心が非磁性導電材料から構成されている可動部材32と反発部材35から離れ、Z軸前方、Z軸後方、及び、可動部材の中心軸に向けて斥力が作用する状態となっていることが理解できる。
このように、簡易構造の電磁駆動装置30Dにおいても、前方及び後方コイル33D,34Uに交流電流を印加することで、可動部材32には中心軸方向を向く斥力が作用するとともに、反発部材35には前方コイル33Uから−Z方向の斥力が作用し、後方コイル33Dには+Z方向の斥力が作用するので、前方及び後方コイル33U,33Dに通電する電流値を制御することで、可動部材32を中心軸上に保持しつつZ軸方向に移動させることができる。
なお、前方及び後方コイル33U,33Dのそれぞれに印加する交流電流はどのような位相関係にあってもよく、また、周波数が異なっていてもよい。
【0037】
なお、前記実施の形態4の電磁駆動装置30及び前記簡易構造の電磁駆動装置30Dにおいて、可動部材32をレンズホルダーとし、固定部材をケースとすれば、バネ部材やガイドピンを用いない、空中浮遊型のレンズ駆動装置を構成することができる。
また、可動部材32を固定部材31の前後まで伸ばしこれを可動シャフトとすれば、ストロークは短いものの、摺動抵抗のないリニアアクチュエータを構成することができる。
また、前記実施の形態4の電磁駆動装置30及び前記簡易構造の電磁駆動装置30Dは、個々に製作した各部品を組み上げて製造してもよいが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として、シリコン等の基板上に、集積回路の製造技術と同様の技術を用いたウェハレベルの電磁駆動装置として製造してもよい。
【0038】
実施の形態5.
前記簡易構造の電磁駆動装置30Dでは、前方及び後方コイル33U,33Dと非磁性導電材料から成る可動部材32により可動部材32を中心軸上に保持し、前方及び後方コイル33U,33Dと反発部材35とにより可動部材32をZ軸方向に移動させるようにしたが、図21(a),(b)に示すように、円錐台側面形状(コニカル形)の前方及び後方コイル33P,33Qと円錐台側面形状の反発部材35Rとを用いれば、非磁性導電材料から成る可動部材を用いることなく、可動部材32を中心軸上に保持しながらZ軸方向に駆動することができる電磁駆動装置30Cを構成することができる。
このとき、反発部材35Rの円環部を前方コイル33Pの巻線部と後方コイル33Qとの間に前記巻線部とそれぞれ対向するように配置することが肝要で、これにより、前方コイル33P、反発部材35R、及び、後方コイル33Qの各側面の法線と可動部材32の軸線とが交差するので、前方コイル33Pと、後方コイル33Qとに通電すると、反発部材35Rには、図21(a)の矢印に示すように、可動部材32の軸線と交差する方向の斥力が作用する。この斥力のZ軸方向成分が可動部材32をZ軸方向に沿って移動させる推力となり、前記Z軸に垂直な方向の成分が可動部材32を可動部材32の中心軸に保持する保持力となるので、可動部材32が非磁性導電部材でなくても、可動部材32を中心軸上に保持しながらZ軸方向に駆動することができる。
なお、前方コイル33P、反発部材35R、及び、後方コイル33Qの内径及び外径は、図21(a)に示すように、前方コイル33P、反発部材35R、後方コイル33Qの順に大きくしてもよいし、図21(c)に示すように、同じにしてもよい。
また、本例の電磁駆動装置30Cにおいても、可動部材32をレンズホルダーとし固定部材31をケースとすれば、バネ部材やガイドピンを用いない、空中浮遊型のレンズ駆動装置を構成することができる。
【0039】
実施の形態6.
図22(a),(b)は、本発明の実施の形態6に係る電磁駆動装置としての手振れ抑制装置40の構成を示す図で、(a)図は縦断面図、(b)図は分解斜視図である。
手振れ抑制装置40は、固定部材41と、可動部材としてのレンズ駆動装置42と、固定部材41にレンズ駆動装置を懸架する揺動用バネ部材43と、第1〜第4の揺動用コイル441〜444と、第1〜第4の揺動用反発部材451〜454とを備える。なお、図を簡単にするため、レンズ駆動装置42についてはレンズホルダーを支持するケースのみを図示した。
以下、レンズ駆動装置42の軸線方向をZ軸方向前方(+Z側)とし、Z軸に直交する2方向をそれぞれX軸及びY軸とする。
固定部材41はZ軸方向から見た時に、X軸及びY軸にそれぞれ直交する側面411〜414を備えた筒状の枠体で、前記4つの側面411〜414の内壁に、それぞれ、第1〜第4の揺動用コイル441〜444が取付けられている。具体的には、第1の揺動用コイル441はX軸周りに巻き回されて固定部材41の+X側の側面411の内壁に取付けられ、第2の揺動用コイル442はX軸周りに巻き回されて−X側の側面412の内壁に取付けられる。また、第3の揺動用コイル443はY軸周りに巻き回されて固定部材41の+Y側の側面413の内壁に取付けられ、第4の揺動用コイル444はY軸周りに巻き回されて−Y側の側面414の内壁に取付けられる。
第1〜第4の揺動用反発部材451〜454は、それぞれが非磁性導電材料から成る板状の部材で、それぞれレンズ駆動装置42の外周面に第1〜第4の揺動用コイル441〜444と対向するように取付けられる。なお、第1〜第4の揺動用反発部材451〜454は正方形枠状の部材であってもよい。
また、揺動用バネ部材43としては、例えば、図22(b)に示すような、外周枠43aと、内周枠43bと、外周枠43aと内周枠43bとの間に位置する可動枠43cと、外周枠43aと可動枠43cを+X側及び−X側の中央部において連結する連結片43pと、可動枠43cと内周枠43bとを+Y側及び−Y側の中央部において連結する連結片43qとを備えた板バネが好適に用いられる。
【0040】
次に手振れ抑制装置40の動作について説明する。
揺動用コイル441に交流電流を供給すると、レンズ駆動装置42に第1の揺動用コイル441に対向して取付けられた第1の揺動用反発部材451には渦電流による反磁界が生じ、その結果、第1の揺動用コイル441と第1の揺動用反発部材451との間には斥力が発生し、この斥力により、レンズ駆動装置42は−X方向に移動しながらY軸周りに右回転する。したがって、レンズ駆動装置42に+X方向に移動しながらY軸周りに左回転する手振れが生じた場合には、第1の揺動用コイル441に交流電流を流すことで前記手振れを抑制することができる。また、レンズ駆動装置42に−X方向に移動しながらY軸周りに右回転する手振れが生じた場合には、第2の揺動用コイル442に交流電流を供給することで前記手振れを抑制することができる。
Y方向に移動しながらX軸周りに回転する手振れが生じた場合には、第3の揺動用コイル443もしくは第4の揺動用コイル444に交流電流を供給することで前記手振れを抑制することができる。
【0041】
実施の形態7.
図23(a),(b)は、本発明の実施の形態7に係る電磁駆動装置としてのレンズ駆動装置50の構成を示す図で、(a)図は縦断面図、(b)図は分解斜視図である。
レンズ駆動装置50は、ケース51と、可動部材としてのレンズホルダー52と、前方及び後方駆動用コイル53A,53Bと、前方及び後方駆動用反発部材54A,54Bと、第1〜第4の支持用コイル551〜554と、第1〜第4の支持用反発部材561〜564とを備える。
レンズホルダー52は、例えば、平面視正方形の筒状の部材で、軸線方向、すなわち、レンズホルダー52に図示しないレンズを搭載した時の被写体側をZ軸方向前方(+Z側)とし、Z軸に直交する2方向をそれぞれX軸及びY軸とする。
【0042】
ケース51は、+Z側に配置される正方形の枠形状のカバー51aと、−Z側に配置される正方形の枠形状の台座51bと、カバー51aと台座51bとの間に配置される枠部51cとを備えており、カバー51aの開口部のレンズホルダー52側(−Z側)の周縁部にZ軸周りに巻き回された前方駆動用コイル53Aが装着され、台座51bの開口部のレンズホルダー52側(+Z側)の周縁部にZ軸周りに巻き回された後方駆動用コイル53Bが装着される。枠部51cは、詳細には、Z軸方向から見た時に、X軸及びY軸にそれぞれ直交する側面511〜514を備え、前記4つの側面511〜514の内壁に、それぞれ、第1〜第4の支持用コイル551〜554が取付けられている。具体的には、第1の支持用コイル551はX軸周りに巻き回されて枠部51cの+X側の側面511の内壁に取付けられ、第2の支持用コイル552はX軸周りに巻き回されて−X側の側面512の内壁に取付けられる。また、第3の支持用コイル553はY軸周りに巻き回されて枠部51cの+Y側の側面513の内壁に取付けられ、第4の支持用コイル554はY軸周りに巻き回されて−Y側の側面514の内壁に取付けられる。
第1〜第4の支持用反発部材561〜564は、それぞれが非磁性導電材料から成る板状の部材で、それぞれレンズホルダー52の外周面に第1〜第4の支持用コイル551〜554と対向するように取付けられる。なお、第1〜第4の支持用反発部材561〜564は正方形枠状の部材であってもよい。
前方及び後方駆動用反発部材54A,54Bは非磁性導電材料から成る円環状の部材で、レンズホルダー52の+Z側の端部と−Z側の端部とに、前方及び後方駆動用コイル53A,53Bと対向するように取り付けられる。
【0043】
次に、レンズ駆動装置50の動作について説明する。
まず、第1〜第4の支持用コイル551〜554に交流電流を印加することで、第1〜第4の支持用コイル551〜554に対向して配置されている非磁性導電材料から成る第1〜第4の支持用反発部材561〜564に渦電流を発生させ、レンズホルダー52に+X方向、−X方向、+Y方向、及び−Y方向の斥力を作用させる。これにより、バネ部材やガイドピンがなくても、レンズホルダー52を中心軸上に保持することができる。すなわち、レンズホルダー52を空中に浮遊させることができる。
次に、前方及び後方駆動用コイル53A,53Bにそれぞれ交流電流を印加すると、前方駆動用コイル53Aの−Z側に配置されている前方駆動用反発部材54Aには−Z方向の斥力が作用し、後方駆動用コイル53Bの+Z側に配置されている後方駆動用反発部材54Bには+Z方向の斥力が作用する。したがって、前方及び後方駆動用コイル53A,53Bの一方に通電する電流値を他方に通電する電流値より大きくすれば、レンズホルダー52には電流値の小さな方の駆動用コイル側へ向かう推力が作用するので、レンズホルダー52は電流値の小さな方の駆動用コイル側へ移動した後、電流値の大きな方の駆動用コイルからの斥力と電流値の小さな方の駆動用コイルからの斥力とが釣り合う位置で静止する。このとき、レンズホルダー52は、第1〜第4の支持用コイル551〜554からの斥力により中心軸上に保持されているので、レンズホルダー52を摩擦なくZ軸方向に移動させることができる。
【0044】
なお、前記実施の形態7では、第1〜第4の支持用コイル551〜554と第1〜第4の支持用反発部材561〜564とを用いてレンズホルダー52を中心軸上に空中浮遊させたが、レンズホルダー52を中心軸上に空中浮遊させるには、必ずしも+X方向、−X方向、+Y方向、及び−Y方向の斥力を作用させる必要はなく、少なくとも、Z軸方向に直交する3方向から斥力を作用させればよい。したがって、レンズホルダー52の外径は四角筒の他に三角筒、六角筒、八角筒等の多面筒でもよいし、円筒形であってもよい。
また、前記例では、レンズホルダー52を中心軸上に空中浮遊させたが、第1〜第4の支持用コイル551〜554に印加する交流電流の大きさを変化させることで、レンズホルダー52をX軸方向またはY軸方向に移動させることができる。したがって、レンズ駆動装置50にX軸方向またはY軸方向の手振れが生じた場合には、第1〜第4の支持用コイル551〜554に通電する交流電流の大きさを制御することで、前記手振れを抑制することができる。すなわち、本例のレンズ駆動装置50を手振れ抑制機能付きのレンズ駆動装置として使用することができる。
また、前記実施の形態7において、レンズホルダー52をレンズ駆動装置に置き換え、ケース51を固定部材とすれば、バネ部材やガイドピンを用いることなく、レンズ駆動装置を空中浮遊させながら手振れを抑制することのできる手振れ抑制装置を構成することができる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【符号の説明】
【0046】
10 レンズ駆動装置、11 ケース、11a 枠体、11b カバー部、
11c 基部、11k 段差部、12 レンズホルダー、12a 本体、
12b 段差部、13A,13B バネ部材、14 駆動用コイル、
15 駆動用反発部材、16 レンズ、17 コア部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状もしくは筒状の可動部材と、前記可動部材を揺動可能に支持する固定部材と、前記可動部材を前記固定部材に対して揺動させる駆動手段とを備えた電磁駆動装置であって、
前記駆動手段は、
非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の駆動用反発部材と、
前記駆動用反発部材の厚さ方向の一方の側と他方の側のいずれか一方または両方に、巻線の軸線方向が前記駆動用反発部材の厚さ方向を向くように配置された駆動用コイルとを備え、
前記駆動用反発部材及び前記駆動用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする電磁駆動装置。
【請求項2】
前記可動部材がバネ部材により前記固定部材に対して揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項3】
前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、前記駆動用コイルを前記駆動用反発部材の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するとともに、
前記可動部材に設けられて前記可動部材の軸線方向に延長するガイド孔と、
両端がそれぞれ前記固定部材に固定されて前記ガイド孔を貫通するガイドピンとを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項4】
前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、
前記駆動用反発部材と前記駆動用コイルとの組を前記可動部材の軸線方向に沿って複数組配置するとともに、
厚さ方向が前記可動部材の軸線方向とは直交する方向になるように配置された非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の支持用反発部材と、前記支持用反発部材の厚さ方向に、巻線の軸線方向が前記支持用反発部材の厚さ方向を向くように配置された支持用コイルとの組を少なくとも3組備え、
前記支持用反発部材及び前記支持用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項5】
前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向とし、前記駆動用コイルを前記駆動用反発部材の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するとともに、
前記駆動用コイルの内周側に、厚さ方向が前記可動部材の軸線方向とは直交する方向になるように配置された非磁性導電材料から成る板状もしくは環状の支持用反発部材を更に備え、
前記2種類の反発部材及び前記駆動用コイルのいずれか一方が前記可動部材に装着され、他方が前記固定部材に装着されることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項6】
前記駆動用反発部材を、円錐台側面を有し前記可動部材と同軸に配置された環状の部材とし、前記駆動用コイルを前記環状の駆動用反発部材の厚さ方向の一方の側と他方の側とにそれぞれ配置するととともに、前記駆動用反発部材の円環部がそれぞれ前記2つの駆動用コイルの巻線部に対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項7】
前記可動部材をバネ部材により前記固定部材に対して揺動可能に支持するとともに、
前記駆動用反発部材の厚さ方向を前記可動部材の軸線方向と直交する方向とし、前記駆動用反発部材の厚さ方向に、巻線の軸線方向が前記駆動用反発部材の厚さ方向を向くように前記駆動用コイルを配置したことを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動装置。
【請求項8】
前記駆動用コイルの内周側、外周側、及び、前記駆動用反発部材とは反対側の面である背面側のいずれか1つまたは複数または全部に軟磁性材料から成るコア部材を配置したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電磁駆動装置。
【請求項9】
前記駆動用反発部材の外縁部から前記駆動用コイルの外周側に突出する突出部、もしくは、前記駆動用反発部材の内周部から前記駆動用コイルの内周側に突出する突出部のいずれか1つまたは両方を前記駆動用反発部材に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の電磁駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−57872(P2013−57872A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197132(P2011−197132)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(507186609)マイクロウインテック株式会社 (26)
【出願人】(502426061)大立光電股▲ふん▼有限公司 (34)
【出願人】(509035613)
【出願人】(511116177)厦▲門▼新▲鴻▼洲精密科技有限公司 (10)
【氏名又は名称原語表記】XINHONGZHOU PRECISION TECHNOLOGY CO,.LTD
【住所又は居所原語表記】No.11 Xintian Road,Xinchun,Houxi Town,Jimei District,Xiamen,China
【Fターム(参考)】