説明

電線のコーティング方法

コーティング液を一定量ずつ電線の外表面に向かって確実に噴出できかつ電線の外表面に付着したコーティング層が電線の色落ちを確実に防止できる電線のコーティング方法を提供する。電線のコーティング装置1は電線3の外表面3aの一部にコーティング層を形成する。コーティング層はアクリル樹脂からなる。電線のコーティング装置1は噴出ユニット32を備えている。噴出ユニット32は一対のベルト送りユニット13によって送り出される電線3の外表面3aに向かってコーティング液を一定量ずつ噴出する。コーティング液はコーティング層を構成するアクリル樹脂からなるコート剤とこのコート剤を溶かす溶媒とからなる。コート剤のコーティング液中の濃度は0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、導電性の芯線と、この芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線の外表面にコーティング層を形成する電線のコーティング方法に関する。
【背景技術】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線の端部などに取りつけられかつ該電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部などに端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさと、被覆部の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力伝達系統などの電線が用いられる自動車の系統(システム)である。
ワイヤハーネスの電線は、前述した使用目的(系統)を識別するために、例えば、外表面が互いに異なる2色でストライプ模様に形成されてきた。そこで、従来から芯線の周りに合成樹脂を押し出し被覆して、被覆部を形成する際に、まず被覆部を構成する合成樹脂に所望の色の着色剤を混入する。そして、芯線を被覆した合成樹脂即ち被覆部の外表面に一部に、前記着色剤と異なる色の着色剤を付着させる。こうして、被覆部の外表面の一部を着色して、電線をストライプ模様に着色してきた。
このように、ストライプ模様に着色した電線では、時間の経過とともに、特に後に付ける着色剤が電線の外表面から落ちる虞があった。このため、前記電線のストライプ模様が識別しづらくなる虞があった。このため、従来から、前述したようにストライプ模様に着色した電線の外表面を、例えば透明なアクリル樹脂などからなるコーティング層で被覆してきた。
例えば、前述したアクリル樹脂などからなるコート剤と、このコート剤を溶かす有機溶剤とからなるコーティング液中に、前述したようにストライプ模様に着色した電線を漬けることが行われている。また、前述したコーティング液を加圧された気体とともにエアロゾルとして前記電線の外表面に向かって吹き付けることが行われている。さらに、前述したワイヤハーネスの生産効率を向上するために、前記電線の外表面にコーティング層を被覆する作業を、例えば、電線を所定の長さに切断する工程などのワイヤハーネス組立工程の一部で行うことが望まれている。
前記電線を所定の長さに切断する工程では、コンベアなどで前記電線を所定の長さ送り出した後、電線を切断する。このため、電線を切断する工程では、電線の移動速度が速くなったり遅くなったりする。前述したコーティング液中に電線を漬ける方法を用いると、電線の切断工程では電線の移動速度が速くなったり遅くなったりするため、前記電線の外表面に形成されるコーティング層の厚みが、電線の移動速度とともに、厚くなったり薄くなる。このように、電線の外表面に形成されるコーティング層の厚みにむらが生じる。このため、電線の外表面を必要以上の厚みのコーティング層で被覆する虞があって、省資源化の観点から望ましくない。
また、前記コーティング液をエアロゾルとして電線の外表面に吹き付ける場合では、電線の外表面に向かって吹き付けたコーティング液の8割から9割のコーティング液が電線の外表面に付着しないことが考えられる。このため、所定の厚みのコーティング層を形成するために、極めて多量のコーティング液が必要となり、この場合も省資源化の観点から望ましくない。
前述した課題を解決するために、本発明の出願人は、前記コーティング層を構成するアクリル樹脂からなるコート剤と、該コート剤を溶かす溶媒とからなるコーティング液を、一定量ずつ電線の外表面に向かって噴出することを提案している。そして、前記電線の外表面に付着したコーティング液中の溶媒が蒸発して、前記コーティング層を形成する。
このとき、前記コーティング液中のコート剤の濃度が濃すぎると、コーティング液を一定量ずつ電線の外表面に向かって噴出することが困難となることが考えられる。また、前記コーティング液中のコート剤の濃度が薄すぎると、コーティング層を通して電線の外表面に後から塗った着色剤が落ちて、前述した電線の色落ちを十分に防止できないことが考えられる。なお、色落ちとは、着色剤が落ちることをいう。
したがって、本発明の目的は、コーティング液を一定量ずつ電線の外表面に向かって確実に噴出できるとともに、電線の外表面に付着したコーティング層が電線の色落ちを確実に防止できる電線のコーティング方法を提供することにある。
【発明の開示】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電線のコーティング方法は、アクリル樹脂からなるコート剤とこのコート剤を溶かす溶媒とからなるコーティング液を、電線の外表面に向かって一定量ずつ噴出して前記電線の外表面にコーティング層を形成する電線のコーティング方法において、前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満であることを特徴としている。
このことによれば、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセント(重量パーセントともいう)を下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちを確実に防止できる。
請求項2に記載の本発明の電線のコーティング方法は、請求項1記載の電線のコーティング方法において、前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下であることを特徴としている。
このことによれば、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちをより確実に防止できる。
請求項3に記載の本発明の電線のコーティング方法は、請求項1記載の電線のコーティング方法において、前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下であることを特徴としている。
このことによれば、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちをより一層確実に防止できる。
前述したコート剤を構成するアクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate:PMMA)などを用いることができる。本明細書に記したアクリル樹脂とは、主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を示している。アクリル樹脂とは、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリルなどの重合体を包含する高分子化合物の総称である。多くの場合、アクリル酸エステル樹脂をさすが、特にメタクリル酸エステル樹脂を意味することが多い。これは透明性が優れ、耐油性、耐光性があり、装飾品、看板、透明ケースなどに使用されている。また、酸型の場合には、ラテックスの増粘剤、高分子凝集剤、土壌改良剤などの用途がある。
また、コート剤を溶かす溶媒は、前述したコート剤を構成する樹脂に応じて、アルコール、多価アルコール、ケトン、エステル、ヘキサン、酢酸メチル、クロロホルムから適宜選ばれるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態にかかる電線のコーティング装置が取り付けられた電線切断装置の構成を示す斜視図である。
第2図は、第1図に示された電線のコーティング装置の構成を示す説明図である。
第3図は、第2図に示された電線のコーティング装置の主に制御装置の構成を示す説明図である。
第4図は、第2図に示された電線のコーティング装置の噴出ユニットが動作した状態を示す説明図である。
第5図は、第2図に示された電線のコーティング装置でコーティング層が形成された電線の斜視図である。
第6図は、第5図に示された電線の平面図である。
第7図は、第6図中のVII−VII線に沿う断面図である。
第8図は、第1図に示された電線のコーティング装置で電線の被覆部と同じ材質のシート材に向かって噴出するコート剤の濃度を変化させた時の着色材の色落ちの度合いの変化を示す説明図である。
第9図は、色落ちの度合いを測定した時の条件などを示す説明図であり、(a)は、第8図に示された色落ちの度合いを測定した時の条件などを模式的に示す説明図であり、(b)は、第9図(a)で用いられたシート材と比較対象のシート材とを示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線のコーティング方法を行う電線のコーティング装置(以下単にコーティング装置と呼ぶ)を第1図ないし第9図を参照して説明する。コーティング装置1は、第1図などに示すように、電線切断装置2に取り付けられて、この電線切断装置2が所定の長さに切断する電線3の外表面3aの一部にコーティング層6(第5図ないし第7図に示す)を形成する装置である。
電線切断装置2は、第1図に示すように、工場などのフロア上などに設置される本体10と、検尺機構11と、切断機構12とを備えている。本体10は、箱状に形成されている。検尺機構11は、一対のベルト送りユニット13を備えている。ベルト送りユニット13は、駆動プーリ14と、複数の従動プーリ15と、無端ベルト16とを備えている。駆動プーリ14は、本体10内などに収容された駆動源としてモータなどにより回転駆動される。従動プーリ15は、本体10に回転自在に支持される。無端ベルト16は、輪状(無端状)のベルトであり、駆動プーリ14と従動プーリ15とに掛け渡されている。無端ベルト16は、これらのプーリ14,15の周りを回転する。
一対のベルト送りユニット13は、鉛直方向に沿って並べられている。一対のベルト送りユニット13は、互いの間に電線3を挟み、駆動プーリ14を同回転数で逆向きに同期して回転することにより、無端ベルト16を回転させて電線3を所定長さ送り出す。このとき、一対のベルト送りユニット13は、電線3の長手方向と平行な第1図中の矢印Kに沿って、該電線3を移動する。なお、矢印Kは、本明細書に記した一方向をなしており、水平方向に沿っている。このため、ベルト送りユニット13は、電線3の長手方向に沿って、該電線3を移動する。
切断機構12は、一対のベルト送りユニット13の矢印Kの下流側に配されている。切断機構12は、一対の切断刃17,18を備えている。一対の切断刃17,18は、鉛直方向に沿って並べられている。即ち、一対の切断刃17,18は、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。一対の切断刃17,18は、互いに近づくと、一対のベルト送りユニット13によって送り出された電線3を互いの間に挟んで、切断する。一対の切断刃17,18は、互いに離れると、勿論、前記電線3から離れる。
前述した構成の電線切断装置2は、切断機構12の一対の切断刃17,18を互いに離した状態で、一対のベルト送りユニット13間に電線3を挟んで、該電線3を矢印Kに沿って送り出す。所定の長さの電線3を送り出した後、一対のベルト送りユニット13の駆動プーリ14が停止する。そして、一対の切断刃17,18が互いに近づいて、これら切断刃17,18間に電線3を挟んで切断する。こうして、電線切断装置2は、電線3を矢印Kに沿って移動する。
コーティング装置1は、第5図に示すように、電線3の外表面3aの一部にコーティング層6を形成する。電線3は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。電線3は、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線4を構成する素線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の素線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。こめため、電線3の外表面3aとは、被覆部5の外表面をなしている。
また、被覆部5は、単一の色(以下、単色と呼ぶ)Pである。なお、被覆部5を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入して、電線3の外表面3aを単色Pにしても良く、被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入することなく、単色Pを合成樹脂自体の色として良い。被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、単色Pが合成樹脂自体の色の場合、被覆部5即ち電線3の外表面3aは、無着色であるという。このように、無着色とは、被覆部5を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、電線3の外表面3aが合成樹脂自体の色であることを示している。
また、前記コーティング層6は、透明なアクリル樹脂からなる。コーティング層6を構成するアクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate:PMMA)などを用いることができる。本明細書に記したアクリル樹脂とは、主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を示している。アクリル樹脂とは、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリルなどの重合体を包含する高分子化合物の総称である。多くの場合、アクリル酸エステル樹脂をさすが、特にメタクリル酸エステル樹脂を意味することが多い。これは透明性が優れ、耐油性、耐光性があり、装飾品、看板、透明ケースなどに使用されている。また、酸型の場合には、ラテックスの増粘剤、高分子凝集剤、土壌改良剤などの用途がある。
コーティング層6が形成された電線3の外表面3aの一部には、印23が形成されている。印23は、点21を備えている。点21は、色B(第5図及び第6図中に平行な二点鎖線で示す)である。色Bは、単色Pと異なる。点21は、染料が電線3の外表面3aにしみ込む又は顔料が電線3の外表面3aに接着して得られる。
点21の平面形状は、第6図に示すように、丸形である。点21は、複数設けられており、予め定められるパターンにしたがって、電線3の長手方向に沿って並べられている。図示例では、電線3の長手方向に沿って、点21が六つ形成されている。また、互いに隣り合う点21の中心間の間隔Dと、各点21の大きさは、予め定められている。印23の各点21の色Bが、種々の色に変更されることで電線3同士を識別可能とする。印23の各点21の色Bは、ワイヤハーネスの電線3の線種、系統(システム)の識別などを行うために用いられる。即ち、前述した印23の各点21の色Bは、ワイヤハーネスの各電線3の使用目的を示しているとともに、この使用目的を識別するために用いられる。
前述したコーティング層6は、第7図など示すように、前記印23の各点21上に形成されて、これらの点21を覆っている(被覆している)。コーティング層6は、前記点21を構成する染料又は顔料が外表面3aから落ちる(取れる)ことを防止する。
前述した構成の電線3は、複数束ねられるとともに端部などにコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線3は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
コーティング装置1は、前述した構成の印23を電線3の外表面3aに形成した後、この印23上にコーティング層6を形成する装置である。コーティング装置1は、第2図に示すように、着色材噴出手段としての着色材噴出ユニット31と、噴出手段としての噴出ユニット32と、検出手段としてのエンコーダ33と、制御装置34とを備えている。着色材噴出ユニット31と噴出ユニット32とは、矢印Kに沿って並べられている。
着色材噴出ユニット31は、第1図に示すように、検尺機構11の一対のベルト送りユニット13と、切断機構14の一対の切断刃17,18との間に配されている。着色材噴出ユニット31は、第2図に示すように、ノズル35と弁36とを備えている。ノズル35は、一対のベルト送りユニット13によって矢印Kに沿って移動される電線3に相対している。ノズル35内には、着色材供給源37(第2図に示す)から液状の着色材T(第4図に示す)が供給される。着色材Tは、前述した色Bである。
弁36は、ノズル35と連結している。また、弁36には、更に、加圧気体供給源38(第2図に示す)が連結している。加圧気体供給源38は、加圧された気体を、弁36を介してノズル35に供給する。また、加圧気体供給源38は、加圧された気体を、後述の弁40を介してノズル39に供給する。弁36が開くと、加圧気体供給源38から供給される加圧された気体により、ノズル35内の着色材Tが電線3の外表面3aに向かって噴出する(滴射される)。
弁36が閉じると、ノズル35内の着色材Tの噴出(滴射)が止まる。前述した構成によって、第4図に示すように、着色材噴出ユニット31は、制御装置34の後述のCPU47などからの信号により、弁36が予め定められる時間開いて、一定量の着色材Tを電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。
前述した着色材Tは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、着色材とは、着色液または塗料である。着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線3の外表面3aに付着すると、染料が被覆部5内にしみ込み、塗料が電線3の外表面3aに付着すると、顔料が被覆部5内にしみ込むことなく外表面3aに接着する。
即ち、着色材噴出ユニット31は、電線3の外表面3aの一部を染料で染める又は電線3の外表面3aの一部に顔料を塗る。このため、電線3の外表面3aをマーキングする(印23を形成する)とは、電線3の外表面3aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線3の外表面3aの一部に顔料を塗ることとを示している。
また、前記溶媒と分散液は、被覆部5を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部5内に確実にしみ込んだり、顔料が外表面3aに確実に接着することとなる。
噴出ユニット32は、第1図に示すように、検尺機構11の一対のベルト送りユニット13と切断機構12の一対の切断刃17,18との間に配され、着色材噴出ユニット31より一対のベルト送りユニット13から離れている。このため、着色材噴出ユニット31は、噴出ユニット32より前記電線3の移動方向の上流に設けられている。
噴出ユニット32は、第2図に示すように、ノズル39と弁40とを備えている。ノズル39は、一対のベルト送りユニット13によって矢印Kに沿って移動される電線3に相対している。ノズル39内には、コーティング液供給源41(第2図に示す)から液状のコーティング液C(第4図に示す)が供給される。コーティング液Cは、透明である。
弁40は、ノズル39と連結している。また、弁40には、更に、前述した加圧気体供給源38が連結している。弁40が開くと、加圧気体供給源38から供給される加圧された気体により、ノズル39内のコーティング液Cが電線3の外表面3aに向かって噴出する(滴射される)。弁40が閉じると、ノズル39内のコーティング液Cの噴出(滴射)が止まる。前述した構成によって、第4図に示すように、噴出ユニット32は、制御装置34のCPU47などからの信号により、弁40が予め定められる時間開いて、一定量のコーティング液Cを電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。
コーティング液Cは、コート剤と、このコート剤を溶かす溶媒とからなり、ゾル状またはゲル状をなしている。コート剤は、前述したコーティング層6を構成するアクリル樹脂からなる。即ち、コート剤として、ポリメタクリル酸メチルを用いることができる。
コート剤を溶かす溶媒として、アルコール、多価アルコール、ケトン、エステル、ヘキサン、酢酸メチル、クロロホルムなどを用いることができる。コート剤を溶かす溶媒は、コート剤として用いるアクリル樹脂に応じて、適宜選択して用いることができる。
また、前述したコーティング液供給源41内のコーティング液C中のコート剤の濃度は、0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満に保たれている。本明細書に記したコート剤の濃度(質量パーセント)とは、コーティング液C中のコート剤の質量をコーティング液Cの質量で割って得られた値である。このため、噴出ユニット32は、コート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満のコーティング液Cを一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。
さらに、滴射とは、着色材噴出ユニット31のノズル35から液状の着色材Tが、液滴の状態即ち滴の状態で、一定量電線3の外表面3aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。また、滴射とは、噴出ユニット32のノズル39から液状のコーティング液Cが、液滴の状態即ち滴の状態で、一定量電線3の外表面3aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。
このため、本実施形態のコーティング装置1の着色材噴出ユニット31のノズル35は、液状の着色材Tを、液滴の状態即ち滴の状態で、一定量電線3の外表面3aに向かって付勢して打ち出す。また、本実施形態のコーティング装置1の噴出ユニット32のノズル39は、液状のコーティング液Cを、液滴の状態即ち滴の状態で、一定量電線3の外表面3aに向かって付勢して打ち出す。
エンコーダ33は、第2図に示すように、回転子42を備えている。回転子42は、軸芯周りに回転可能である。回転子42の外周面は、一対のベルト送りユニット13間に挟まれた電線3の外表面3aと接触している。回転子42は、矢印Kに沿って、芯線4即ち電線3が走行(移動)すると、回転する。即ち、回転子42は、矢印Kに沿った芯線4即ち電線3の走行(移動)とともに、軸芯周りに回転する。勿論、矢印Kに沿った芯線4即ち電線3の走行(移動)距離と、回転子42の回転数とは比例する。
エンコーダ33は、制御装置34に接続している。エンコーダ33は、回転子42が所定角度ずつ回転すると、制御装置34に向かってパルス状の信号を出力する。即ち、エンコーダ33は、矢印Kに沿った電線3の移動速度に応じた情報を、制御装置34に向かって出力する。このように、エンコーダ33は、電線3の移動速度に応じた情報を測定して、電線3の移動速度に応じた情報を制御装置34に向かって出力する。通常、エンコーダ33では、電線1,2とエンコーダ取付ロール(回転子)42の摩擦で電線3の移動量に応じたパルス信号が出力される。しかし、電線3の外表面3aの状態により移動量とパルス数とが必ずしも一致しない場合は、別の場所で速度情報を入手し、その情報をフィードバックし、比較演算しても良い。
制御装置34は、第3図に示すように、箱状の装置本体43(第1図に示す)と、記憶手段としてのメモリ44と、周知のROM(Read−only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、CPU(Central Processing Unit)47と、複数の弁駆動回路48と、コネクタとしての複数のインターフェース(第3図中にI/Fと示し、以下I/Fと記す)49とを備えている。制御装置34は、コンピュータである。
制御装置34は、エンコーダ33と各噴出ユニット31,32の弁36,40などに接続して、コーティング装置1全体の制御をつかさどる。装置本体43は、前述したメモリ44とROM45とRAM46とCPU47などを収容している。メモリ44は、前述した電線3の外表面3aに形成する印23のパターンを記憶している。具体的には、メモリ44は、電線3の外表面3aにおいて前記印23のうち最も矢印Kの下流側の点21を形成する位置と、点21の数と、前記点21の中心間の間隔Dと、一つの点21を形成するために必要な弁36の開度と、該弁36を開き続ける時間とを記憶している。
また、メモリ44は、前記点21を覆うことのできる量のコーティング液Cを噴出ユニット32のノズル39が噴出するための、弁40の開度と、該弁40を開き続ける時間を記憶している。さらに、メモリ44は、着色材噴出ユニット31のノズル35と、噴出ユニット32のノズル39との間隔Lを記憶している。なお、この間隔Lは、噴出ユニット31,32間即ち噴出手段と着色材噴出手段との間隔をなしている。メモリ44は、EEPROMなどの周知の不揮発性メモリなどからなる。ROM45は、CPU47の動作プログラムなどを記憶している。RAM46は、CPU47の演算実行時に必要なデータを一時的に保持する。
CPU47は、本明細書に記した制御手段をなしている。CPU47は、エンコーダ33から前記電線3の移動速度に関する情報が入力する。また、CPU47には、前記メモリ44から前述した印23のパターンが入力する。さらに、CPU47には、前記間隔Lと、印23の点を覆うことのできる弁40の開度と該弁40を開き続ける時間と、が入力する。CPU47は、前記エンコーダ33から入力する電線3の移動速度に基づいて、所定の位置に最も下流側の点21が形成されるタイミングで、弁36を開く。
そして、CPU47は、前記エンコーダ33から入力する電線3の移動速度に応じて、電線3の外表面3aに形成される点21の中心間の間隔が、前述した間隔Dとなるように、前記弁36を開閉する。さらに、電線3の外表面3aに形成される点21の大きさが予め定められる大きさとなるメモリ44が記憶した開度で、弁36を前記メモリ44が記憶した時間開く。こうして、CPU46は、着色材噴出ユニット31に、電線3の外表面3aに向かって液状の着色材Tを噴出(滴射)させて、前述した印23を形成する。
また、CPU47は、前記エンコーダ33から入力する電線3の移動速度に応じて、前記弁36が一度開いてから前記間隔L分電線3が移動したか否かを判定する。CPU47は、弁36が一度開いてから電線3が間隔L分移動したと判定すると、噴出ユニット32の弁40を、メモリ44が記憶しているコーティング液Cで点21を覆うことのできる開度で開く。さらに、CPU47は、メモリ44が記憶している時間、弁40を開いた後、該弁40を閉じる。このように、CPU47は、コーティング液Cで点21即ち電線3の外表面3aに付着した着色材を覆うように、噴出ユニット32を制御する。CPU47は、電線3の外表面3aに付着した着色材に向かって噴出ユニット32に液状のコーティング液Cを噴出(滴射)させる。
弁駆動回路48とI/F49は、噴出ユニット31,32と同数設けられており、それぞれ各噴出ユニット31,32に対応している。弁駆動回路48には、CPU47と接続している。また、弁駆動回路48は、I/F49を介して、対応する噴出ユニット31,32の弁36,40が接続している。弁駆動回路48は、CPU47から対応する弁36,40を開く信号が入力すると、該信号をI/F49などを介して弁36,40に向かって出力する。弁駆動回路48が対応する弁36,40を開く信号を弁36,40に向かって出力すると、対応する弁36,40が開く。
こうして、弁駆動回路48は、前述した信号を対応する弁36,40に向かって出力することによって、対応する弁36,40を開閉する。I/F49は、弁駆動回路48などが対応する弁36,40と電気的に接続するために用いられる。I/F49は、装置本体43の外壁などに取り付けられている。
前述した構成のコーティング装置1が、電線3の外表面3aに印23を形成した後、該印23上にコーティング層6を形成する際には、電線切断装置2の一対のベルト送りユニット13が電線3を矢印Kに沿って移動させている。すると、エンコーダ33から所定の順番のパルス状の信号がCPU47に入力すると、まず、メモリ44に記憶した開度とメモリ44に記憶した時間で、CPU47が弁36を前記間隔Dに応じて6回開閉する。すると、着色材噴出ユニット31は、第4図に示すように、液状の着色材Tを一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。着色材Tは、電線3の外表面3aに付着すると、溶媒または分散液が蒸発して、電線3の外表面3aに染料がしみ込むまたは顔料が接着する。
そして、着色材噴出ユニット31の弁36が一度開いてから、エンコーダ33からの電線3の移動速度に基づいて、CPU47が前記間隔L電線3が移動したと判定すると、CPU47がメモリ44に記憶した開度とメモリ44に記憶した時間で弁40を前記間隔Dに応じて開閉する。すると、噴出ユニット32は、第4図に示すように、液状のコーティング液Cを一定量ずつ電線3の外表面3aに付着した点(着色材)21に向かって噴出(滴射)する。CPU47は、着色材噴出ユニット31の弁36が一度開いてから、電線3が間隔L移動すると、噴出ユニット32の弁40を開閉する。電線3の外表面3aに付着したコーティング液Cは、前述した溶媒が蒸発して、コート剤で前記印23を覆うこととなる。こうして、印23上即ち電線3の外表面3aの一部にコーティング層6を形成する。
そして、電線切断装置2のベルト送りユニット13が電線3を所定の長さ送り出した後、停止する。切断機構12の切断刃17,18が、外表面3aに印23が形成された電線3を切断する。こうして、第5図などに示された外表面3aに印23が形成されかつ該印23がコーティング層6で覆われた電線3が得られる。
次に、本発明の発明者らは、コート剤の濃度が異なるコーティング液Cを複数生成した。これら複数のコーティング液Cを前述したコーティング装置1の噴出ユニット32から電線3の被覆部5と同じ材質からなりかつ電線3の同様に外表面が着色されたシート材100a(第9図に示す)の外表面に向かって一定量ずつ噴出(滴射)した。そして、コーティング層6を前記シート材100aの表面上に形成した。
このとき、コーティング液C中のコート剤の濃度が、5.0質量パーセントを越えると、ノズル39から一定量ずつコーティング液Cを電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)することが困難となることが明らかとなった。また、前述した濃度の異なるコーティング液Cでコーティング層6を形成した際に、着色材が外表面から落ちる度合いを測定した。結果を第8図に示す。この実験では、コート剤としてPMMAを用い、溶剤としてケトンの一種であるアセトンを用いた。コート剤の濃度が0.1質量パーセントであるものから5.0質量パーセントを超えるコーティング液Cを用いた。さらに、第9図(a)に示すように、シート材100aを無着色でかつコーティング層6が形成されていないとともに被覆部5と同じ材質からなるシート材100cと重ねる。これらのシート材100a,100cをガラスなどからなる一対の部材101間に挟んで、シート材100a,100cが互いに近づく方向に圧力P(例えば140kgf/cm)を加えた。そして、圧力Pを加えた状態で80℃に加熱された室内などに24時間放置した。24時間放置した後に、シート材100cの外表面の色と、シート材100cと同様に無着色のシート材100bの外表面の色とを比較した。シート材100aからシート材100cに移った(移行した)色の度合いを測定した。結果を第8図に示す。
第8図の縦軸の色差(ΔE)とは、比較対象としてのシート材100b(第9図(b)に示す)を基準として、第9図(a)に示す条件で24時間経過したシート材100aのコーティング層6下の着色材がシート材100cに移った(移行した)色の度合いを示している。則ち比較対象としてのシート材100b(第9図(b)に示す)を基準として、第9図(a)に示す条件で24時間経過したシート材100aのコーティング層6下の着色材が外表面から落ちた度合い(以下色落ちと呼ぶ)を示している。シート材100bは、シート材100cと同様に無着色でかつコーティング層6が形成されていないとともに被覆部5と同じ材質からなり前述した加圧及び加熱などが施されていないものである。第8図では、色差(ΔE)が大きくなる即ち色落ちが大きくなると、着色材が外表面からより落ちることとなって、コーティング層6の効果が小さくなることを示している。また、色差(ΔE)が小さくなる即ち色落ちが小さくなると、着色材が外表面から落ちにくくなって、コーティング層6の効果が大きくなることを示している。
また、第8図中に点線で示す色差(ΔE)68とは、コーティング層6を形成していない場合の着色材が外表面から落ちる度合いを示している。このため、色差(ΔE)が68を越えると、コーティング層6を形成していないものより色落ちが大きくなることを示している。このため、色差(ΔE)が68を越えると、コーティング層6の効果が全くないことを示している。
さらに、色差(ΔE)が20を下回ると、着色材が殆ど落ちないことを示しており、色差(ΔE)が20と40の間では、着色材が若干落ちることを示している。
第8図によると、コート剤の濃度を0.1質量パーセントから1.0質量パーセントまで徐々に濃くしていくと、色差(ΔE)即ち色落ちの度合いが徐々に小さくなって、コーティング層6の効果が徐々に高くなることが明らかとなった。また、コート剤の濃度を1.0質量パーセントから徐々に濃くしていくと、色差(ΔE)即ち色落ちの度合いが徐々に大きくなって、コーティング層6の効果が徐々に低くなることが明らかとなった。さらに、コート剤の濃度が3.75質量パーセントを超えると、色差(ΔE)が68を上回ることが明らかとなった。
本実施形態によれば、コーティング液C中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液Cを確実に電線3の外表面3aに向かって一定量づつ噴出(滴射)できる。また、コーティング液C中のコート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満であるので、第8図に示すように、色差(ΔE)が68を下回るこことなって、印23の着色材が電線3の外表面3aから落ちることをコーティング層6が防止できることが明らかとなった。したがって、コーティング液Cにより形成されたコーティング層6により電線3の色落ちを確実に防止できる。
また、噴出ユニット32が電線3の外表面3aに一定量ずつコーティング液Cを噴出(滴射)する。このため、コーティング層6に必要な厚みに応じて、コーティング液Cを噴出(滴射)する間隔及び量を調整することができる。このため、コーティング液Cを効率良く電線3の外表面3aに付着させることができる。したがって、コーティング液Cを無駄にすることなく、コーティング層6を形成できる。
また、エンコーダ33が電線3の移動速度を検出する。CPU47が電線3の移動速度に基づいて外表面3a上の着色材に向かって噴出ユニット32にコーティング液Cを噴出(滴射)させる。このため、コーティング層6を電線3の外表面3a上の着色材上に確実に形成できる。したがって、時間の経過とともに着色材が落ちることを防止できる。また、着色材上にコーティング層6を形成することにより、コーティング液Cを効率良く電線3の外表面3aに付着させることができる。したがって、コーティング液Cを無駄にすることなく、コーティング層6を形成できる。
また、コーティング装置1は、電線切断装置2に取り付けられている。このため、長尺の電線3を所定の長さに切断する際に、該電線3の外表面3aにコーティング層6を形成できる。このため、設置にかかるスペースを抑制できるとともに、電線3の加工にかかる工数などを抑制できる。
前述した実施形態では、着色材噴出ユニット31を一つのみ設けている。しかしながら、本発明では、着色材噴出ユニット31を複数設けて、複数の着色材即ち複数の色で印23を形成しても良いことは勿論である。
前述した実施形態では、コーティング液C中のコート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満である。しかしながら、本発明では、コーティング液C中のコート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下であっても良い。勿論、この場合、噴出ユニット32は、コート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下のコーティング液Cを一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。
この場合、第8図に示すように、色差(ΔE)が40を越えないこととなって、コーティング層6によって覆われた印23の着色材が電線3の外表面3aから若干落ちることが明らかとなった。したがって、コーティング液Cにより形成されたコーティング層6により電線3の色落ちをより確実に防止できる。
さらに、本発明では、前記コーティング液供給源41内のコーティング液C中のコート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下であっても良い。勿論、この場合、噴出ユニット32は、コート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下のコーティング液Cを一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって噴出(滴射)する。
この場合、第8図に示すように、色差(ΔE)が20を越えないこととなって、コーティング層6によって覆われた印23の着色材が電線3の外表面3aから殆ど落ちないことが明らかとなった。したがって、コーティング液Cにより形成されたコーティング層6により電線3の色落ちをより一層確実に防止できる。
前述した実施形態では、制御装置34をROM45、RAM46、CPU47などを備えたコンピュータから構成している。しかしながら、本発明では、制御装置34を周知のデジタル回路などから構成しても良い。この場合、前記エンコーダ33からのパルス状の信号を数える回路と、何番目のパルス状の信号が入力した時に前記弁36,40を開閉するかを判定する回路などを用いるのが望ましい。
さらに、前述した実施形態では、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する電線3に関して記載している。しかしながら本発明では、電線3を自動車に限らず、ポータブルコンピュータなどの各種の電子機器や各種の電気機械に用いても良いことは勿論である。
さらに、本発明では、着色液及び塗料として、アクリル系塗料、インク(染料系、顔料系)、UVインクなどの種々のものを用いても良い。
【産業上の利用の可能性】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちを確実に防止できる。
請求項2に記載の本発明は、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちをより確実に防止できる。
請求項3に記載の本発明は、コーティング液中のコート剤の濃度が5.0質量パーセントを下回っている。このため、コーティング液を確実に電線の外表面に向かって一定量づつ噴出できる。また、コーティング液中のコート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下であるので、コーティング液により形成されたコーティング層により電線の色落ちをより一層確実に防止できる。
【図1】

【図7】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル樹脂からなるコート剤とこのコート剤を溶かす溶媒とからなるコーティング液を、電線の外表面に向かって一定量ずつ噴出して前記電線の外表面にコーティング層を形成する電線のコーティング方法において、
前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.1質量パーセント以上3.75質量パーセント未満であることを特徴とする電線のコーティング方法。
【請求項2】
前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.3質量パーセント以上2.4質量パーセント以下であることを特徴とする請求項1記載の電線のコーティング方法。
【請求項3】
前記コーティング液中の前記コート剤の濃度が0.6質量パーセント以上1.4質量パーセント以下であることを特徴とする請求項1記載の電線のコーティング方法。

【国際公開番号】WO2004/061871
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564522(P2004−564522)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016711
【国際出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】