説明

電線格納部品の図面作成装置とその方法、およびプログラム

【課題】電線格納部品の三次元データを利用して、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用かつ簡素な図面を自動作成し、自動出力可能とする。
【解決手段】二次元データ作成部120の判定制御部121は、データ読み込み部122により読み込んだ電線格納部品の三次元データを、線図作成部123により部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分または部分的に重なる部分を交点に変換することで、線分と交点からなる線図を作成する。判定制御部121は、同一平面化部125により、線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する。判定制御部121は、作成した電線格納部品の二次元データを、ファイル出力部127によって、インタフェース部110からファイル形式で出力すると共に記憶部130にファイル形式で格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元配置調整CADで作成された電線格納部品の三次元データを、コンピュータを利用して二次元データに変換して図面出力する電線格納部品の図面作成装置とその方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力・原子力・水力プラントの電線格納部品の図面に関しては、プラント計画時に配置計画を行って作成している。この配置計画は、データ入力とその後の下流展開と管理の利便性から、最近は三次元配置調整CADによって行われている。
【0003】
電線格納部品の配置計画に際して、設計者は、三次元配置調整CADによって、三次元仮想空間上に電線格納部品を配置して電線格納部品のルートを作成することにより、電線格納部品の配置データを作成する。
【0004】
一方、客先提出図面や建設サイト資料図面としては二次元の図面データが必要であるため、三次元データからの変換が求められている。
【0005】
しかしながら、電線格納部品は、鉛直方向に重なる位置に多段で配置して据付されることが特徴であるため、その形態がネックとなって、電線格納部品の図面は、自動的な図面出力としての機能を用意しにくい図面であった。
【0006】
また、電線格納部品の主流と分岐の交点、直列に連続に配置する部品の交点を表現することも困難だった。
さらに、電線格納部品のルート情報、鉛直方向高さなどの情報を図面に付与しようとしても、重複して表現された平面図では、どの部分から引き出し線を引き出して表現すればよいかも課題だった。
【0007】
これに対して、従来の三次元データの二次元データへの変換方法としては、例えば、三次元データをトップ方向から俯瞰して見て、平面図として出力する方法がある。しかしながら、この方法を電線格納部品の三次元データに適用した場合、電線格納部品が鉛直方向に重なる位置に多段で配置されているため、上下の電線格納部品が重なってしまい、下方の電線格納部品が平面図上で見えなくなってしまうことがある。
【0008】
また、平面図とは別の方法として、昨今のツールの中には、三次元配置調整CADの配管データから、アイソメトリック図面を自動出力するものがある。この場合のアイソメトリック図面は、簡素で据付に必要な最低限の情報しか保有していないが、これさえ出力していれば据付には最低限問題ないという価値観で生成されている。
【0009】
配管と同じ長物部品として、電線格納部品をアイソメトリック図面で表現することも考えられるが、アイソメトリック図面においても、鉛直方向に重なる位置に多段で配置されている電線格納部品の上下関係を明確に表現する図面を描くことは難しい。
【0010】
その結果、従来の技術では、電線格納部品の三次元データを有しながらも、この三次元データを利用して二次元データとして有用な図面の自動出力を行うことは困難であったため、手動による二次元データの作図が必要となることがあった。このような手動による二次元データの作図には手間がかかり、設計者にとって大きな負担となっていたため、三次元データの活用による作業の改善が求められていた。
【0011】
電線格納部品の配置計画に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、電路布設図を入力データとして使用して電線のルートを算出する技術が記載されている。また、特許文献2には、電圧降下を考慮してケーブルサイズおよびケーブルルートを選定する技術が記載されている。また、特許文献3には、プラント機器の配置計画に関する従来技術として、三次元CADにより機器配置設計図面を作成する技術が記載されている。
【0012】
しかしながら、これらの特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも、三次元データを利用して二次元データとして有用な図面の自動出力を行うものではない。
【特許文献1】特開2007−257136
【特許文献2】特開2006−195544
【特許文献3】特開2006−330887
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のように、従来の技術では、電線格納部品の三次元データを有しながらも、手動による二次元データの作図が必要となることがあり、その手間のかかる作業が設計者にとって大きな負担となっていたため、三次元データの活用による作業の改善が求められていた。
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、電線格納部品の三次元データを利用して、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用かつ簡素な図面を自動作成し、自動出力することのできる電線格納部品の図面作成装置とその方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記の目的を達成するために、三次元配置調整CADで作成された電線格納部品の三次元データを、コンピュータを利用して二次元データに変換して図面出力する電線格納部品の図面作成装置において、コンピュータが、各種指示およびデータの入出力を行うインタフェース手段と、電線格納部品の三次元データを処理して二次元データの図面を作成する二次元データ作成手段と、インタフェース手段または別の手段により取得された電線格納部品の三次元データおよび二次元データ作成手段による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する記憶手段を備え、二次元データ作成手段が、次のような技術的特徴を有するものである。
【0016】
すなわち、二次元データ作成手段は、データ読み込み手段、線図作成手段、同一平面化手段、ファイル出力手段を有する。データ読み込み手段は、記憶手段に格納されている電線格納部品の三次元データを読み込む手段である。線図作成手段は、データ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データを部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換することで、電線格納部品の三次元データを変換して線分と交点からなる線図を作成する手段である。同一平面化手段は、線図作成手段により作成された線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する手段である。ファイル出力手段は、線図作成手段および同一平面化手段にて得られた電線格納部品の二次元データをインタフェース手段からファイル形式で出力すると共に記憶手段にファイル形式で格納する手段である。
【0017】
本発明の電線格納部品の図面作成方法、および電線格納部品の図面作成プログラムは、上記システムの特徴を、方法とコンピュータプログラムの観点からそれぞれ把握したものである。
【0018】
以上のような本発明によれば、電線格納部品の三次元データから、三次元データにおける部品同士の接触や部分的な重なりに関する情報を保持したまま、線分と交点からなる簡素な線図を自動的に作成することができる。そして、上下方向に重なった部品を同一平面上でずらして作図することにより、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用な図面を容易に作成できる。また、作成した電線格納部品の図面は、二次元データとして有用なそのままの状態で自動的に出力でき、画面表示またはプリントアウトとして出力できると共に、記憶手段に格納しておくことで、必要に応じて随時出力できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電線格納部品の三次元データを利用して、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用かつ簡素な図面を自動作成し、自動出力することのできる電線格納部品の図面作成装置とその方法、およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下には、本発明の電線格納部品の図面作成装置を適用した一つの実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
[構成]
図1は、本発明を適用した一つの実施形態に係る電線格納部品の図面作成装置100の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の電線格納部品の図面作成装置100は、各種指示およびデータの入出力を行うインタフェース部110、電線格納部品の三次元データを処理して二次元データに変換する二次元データ作成部120、インタフェース部110により入力された電線格納部品の三次元データおよび二次元データ作成部120による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する記憶部130、電線格納部品の三次元データを作成する三次元配置調整CAD部140を備えている。電線格納部品の図面作成装置100は、汎用性を有するパーソナルコンピュータ上に、本発明の特徴的な機能を実現するために特化されたプログラム(電線格納部品の図面作成プログラム)を組み込んで実現される。各部の詳細は次の通りである。
【0023】
インタフェース部110は、データ入力部111と、データ出力部112を備えている。ここで、データ入力部111は、ユーザの操作に応じた各種指示とデータをコンピュータに入力するマウスやキーボード等の入力装置であり、データ出力部112は、データ入力部111で入力されたデータや記憶部130に格納されているデータ、二次元データ作成部120、三次元配置調整CAD部140で処理された結果をユーザに対して表示または出力するディスプレイ、プリンタ等の出力装置である。すなわち、インタフェース部110は、コンピュータとユーザとの間のやり取りを行う部分であり、一般的に「ユーザインタフェース」等と呼ばれる部分である。
【0024】
二次元データ作成部120は、判定制御部121、データ読み込み部122、線図作成部123、線分統合部124、同一平面化部125、属性情報付与部126、ファイル出力部127を備えている。このような二次元データ作成部120を構成する各部121〜127は、コンピュータの主要構成要素であるマイクロプロセッサとメモリ、および各部の機能を実現するために特化されたプログラムモジュールとの組み合わせにより実現される。
【0025】
判定制御部121は、二次元データ作成部120による二次元データの作成処理の主体となって処理の状態を判定しながら他の各部を制御して作成処理を進める手段である。データ読み込み部122は、記憶部130に格納されている電線格納部品の三次元データを読み込む手段である。線図作成部123は、読み込んだ電線格納部品の三次元データを部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換することで、電線格納部品の三次元データを変換して線分と交点からなる線図を作成する手段である。線分統合部124は、読み込んだ複数の電線格納部品の三次元データが直列に連続して配置されている場合に、前記線図作成手段により作成された線図中の当該複数の部品の線分を統合する手段である。
【0026】
同一平面化部125は、作成された線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する手段である。属性情報付与部126は、読み込んだ電線格納部品の三次元データの属性情報を示す属性情報指標の記載を当該部品の線分の近傍に付与する手段である。ファイル出力部127は、線図作成部123、線分統合部124、同一平面化部125、属性情報付与部126にて得られた電線格納部品の二次元データをインタフェース部110のデータ出力部112からファイル形式で出力すると共に記憶部130にファイル形式で格納する手段である。
【0027】
記憶部130は、コンピュータに固定的に取り付けられたハードディスク、あるいは、取り外し可能なCD、DVD、MO、または、その他の補助記憶装置、の中から選択された1種類以上の記憶装置により実現される。このような記憶部130の記憶領域内には、電線格納部品の三次元データベース131と、電線格納部品の二次元データベース132が構築されている。
【0028】
電線格納部品の三次元データベース131は、インタフェース部110により入力されるか、または、三次元配置調整CAD部140により作成された電線格納部品の三次元データを格納する。電線格納部品の二次元データベース132は、二次元データ作成部120による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する。
【0029】
三次元配置調整CAD部140は、インタフェース部110のデータ入力部111による利用者からのデータ入力に応じてデータ出力部112のディスプレイ上で電線格納部品の三次元データを表示しながら作成して、完成した三次元データを記憶部130に格納する手段である。この三次元配置調整CAD部140はまた、記憶部130に格納した電線格納部品の三次元データを、データ入力部111による利用者からのデータ出力指示に応じてデータ出力部112により随時出力する。
【0030】
このような三次元配置調整CAD部140は、コンピュータの主要構成要素であるマイクロプロセッサとメモリ、および、三次元配置調整CAD機能を実現するために特化されたプログラムモジュールとの組み合わせにより実現される。
【0031】
[作用]
次に、以上のような構成を有する本実施形態の電線格納部品の図面作成装置100の作用について説明する。
【0032】
[処理フローの概略]
図2は、本実施形態の電線格納部品の図面作成装置100による処理フローの概略を示すフローチャートである。この図2に示すように、三次元配置調整CAD部140は、利用者からのデータ入力に応じて電線格納部品の三次元モデルデータを作成し、作成した三次元モデルデータを記憶部130に格納する(三次元モデルデータ作成処理S210)。
【0033】
この三次元モデルデータ作成処理(S210)において、三次元配置調整CAD部140はまず、データ入力部111による利用者からのデータ入力に応じてデータ出力部112のディスプレイ上で電線格納部品の三次元モデルデータを表示しながら作成する。三次元配置調整CAD部140は次に、作成した三次元モデルデータを、記憶部130の電線格納部品の三次元データベース131に格納する。
【0034】
三次元配置調整CAD部140は、三次元モデルデータ作成処理(S210)で作成した電線格納部品の三次元モデルデータとそれに対する利用者からのデータ入力に応じて電線格納部品の三次元モデルの配置データを作成し、作成した三次元モデルの配置データを、記憶部130に格納する(三次元配置データ作成処理S220)。
【0035】
この三次元配置データ作成処理(S220)において、三次元配置調整CAD部140はまず、三次元モデルデータ作成処理(S210)で作成し、記憶部130の電線格納部品の三次元データベース131に格納した三次元モデルデータを、データ出力部112のディスプレイ上に表示し、このディスプレイ上でデータ入力部111による利用者からのデータ入力に応じて電線格納部品の三次元モデルの配置データを作成する。三次元配置調整CAD部140は次に、作成した三次元モデルの配置データを、記憶部130の電線格納部品の三次元データベース131に格納する。
【0036】
ここで、電線格納部品の三次元モデルの配置データの具体的なデータ形式は、スプレッドシート形式、テキスト形式、データベース形式のいずれでも構わないが、少なくとも他の各種のアプリケーションプログラムによりそのまま読み込める形式とされる。なお、本実施形態において、電線格納部品のルート番号、ルート種別、部品の鉛直方向高さ、などの電線格納部品の属性情報は、三次元モデルデータ作成処理時(S210)、もしくは、三次元配置データ作成処理時(S220)に、データの一部として入力が完了していることとする。
【0037】
また、電線格納部品の三次元モデルデータおよびその配置データの具体的な作成手法自体は、本発明の特徴ではなく、既存の各種の技術を適宜採用可能であるため、説明を省略する。
【0038】
二次元データ作成部120は、GUI画面を表示して利用者から二次元データ作成開始の指示が入力された時点(開始指示入力支援処理S230)で、一連の二次元データ作成処理(S240)を開始する。
【0039】
開始指示入力支援処理(S230)において、二次元データ作成部120の判定制御部121はまず、データ読み込み部122により、電線格納部品の三次元データの二次元データ作成開始の指示を利用者に入力させるためのGUI画面をデータ出力部112のディスプレイ上に表示する(S231)。利用者がそのGUI画面上でデータ入力部111により二次元データ作成開始の指示を入力する(S232のYES)と、それをトリガとして、二次元データ作成部120は、一連の二次元データ作成処理(S240)を開始する。
【0040】
この二次元データ作成処理(S240)において、二次元データ作成部120の判定制御部121はまず、データ読み込み部122により、記憶部130の電線格納部品の三次元データベース131に格納した電線格納部品の三次元データ(三次元モデルデータおよびその配置データ)をメモリの作業領域上に読み込む(データ読み込み処理S241)。
【0041】
判定制御部121は次に、読み込んだ電線格納部品の三次元データを、線図作成部123により変換して「部品毎の線分」と「部品同士の接触部分または部分的な重なり部分である交点」からなる線図を作成し(線図作成処理、S242)、作成された線図中の線分のうち、「直列に連続して配置された同一ベクトルの複数の部品の線分」を、線分統合部124により統合する(線分統合処理S243)。
【0042】
判定制御部121は次に、線図作成処理および線分統合処理の結果として得られた線図における「上下方向に重なった複数の部品の線分」を、同一平面化部125により同一平面上に移し、上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する(同一平面化処理S244)。その結果、電線格納部品の二次元データの線図(部品画像を示す線図)が完成する。
【0043】
判定制御部121は続いて、線図作成処理、線分統合処理、および同一平面化処理の結果として得られた線図中に、属性情報付与部126により、電線格納部品の三次元データの属性情報を示す属性情報指標の記載を当該部品の線分の近傍に付与する(属性情報付与処理、S245)。ここで、属性情報指標として記載される電線格納部品の属性情報は、前述した通り、電線格納部品のルート番号、ルート種別、部品の鉛直方向高さ、などを含む。
【0044】
このように、属性情報付与部126により、電線格納部品の三次元データの属性情報を示す属性情報指標の記載を当該部品の線分の近傍に付与することによって、部品画像を示す線図とその近傍に記載された属性情報を含む電線格納部品の二次元データの図面が完成する。
【0045】
判定制御部121は、このようにして完成した電線格納部品の二次元データの図面をファイル出力部127によりファイル形式のデータとし、データ出力部112のディスプレイ上に表示すると共に、記憶部130の電線格納部品の二次元データベース132に格納する(ファイル出力処理、S246)。なお、ファイル出力部127は、電線格納部品の二次元データの図面をファイル形式のデータとする際に、寸法線、背景CADデータ、キープランなどを自動的に付与する。
【0046】
ここで、電線格納部品の二次元データの図面の具体的なデータ形式は、典型的にはCAD形式とされるが、各種のアプリケーションプログラムによりそのままイメージ表示可能なファイル形式のデータであれば、各種のデータ形式が採用可能である。
【0047】
[二次元データ作成処理の詳細]
図3〜図6は、図2に示した電線格納部品の図面作成装置100による処理フローにおいて、本発明の特徴である二次元データ作成処理(S240)に含まれる線図作成処理(S242)、線分統合処理(S243)、同一平面化処理(S244)、属性情報付与処理(S245)、の処理フローの一例をそれぞれ示すフローチャートである。以下には、これらの図3〜図6を用いて、各処理の詳細について順次説明する。
【0048】
[線図作成処理]
図3は、線図作成部123による線図作成処理(S242)の処理フローの一例を示すフローチャートである。この図3に示すように、線図作成処理(S242)において、線図作成部123はまず、線分変換処理(S310)を行う。この線分変換処理(S310)において、線図作成部123は、線分変換処理(S310)中で未選択の電線格納部品の三次元データを一つずつ選択して(S311)、選択した部品の特定部分の軌跡を線分に変換する(S312)。この場合、線図作成部123は、線分変換処理(S310)中で未選択の部品がある限り(S313のNO)、部品の選択と線分への変換を繰り返す(S311、S312)。
【0049】
線図作成部123は、全ての部品を線分に変換した時点で(S313のYES)、線分変換処理(S310)を終了し、交点変換処理(S320)に進む。
【0050】
交点変換処理(S320)において、線図作成部123は、当該交点変換処理(S320)中で未選択の電線格納部品の三次元データを一つずつ選択して(S321)、選択した部品に対して所定の位置関係にある部品、すなわち、「選択した部品と接触する部品または部分的に重なる部品」の有無を判定する(接触・重なり判定、S322)。そして、「選択した部品と接触する部品または部分的に重なる部品」がある場合、すなわち、「部品同士の接触部分または部品同士が部分的に重なる部分」がある場合(S322のYES)には、その接触部分または部分的な重なり部分を交点に変換する(S323)。この場合、線図作成部123は、交点変換処理(S320)中で未選択の部品がある限り(S324のNO)、部品の選択と接触・重なり判定、交点への変換を繰り返す(S321〜S323)。
【0051】
線図作成部123は、全ての部品に対する接触・重なり判定および交点への変換を完了した時点で(S324のYES)、交点変換処理(S320)を終了し、線図作成処理(S242)を終了する。
【0052】
図7は、以上のような線図作成処理(S242)の具体例を示す図である。図7の(a)は、電線格納部品の三次元データの一例を上方から見た平面図である。この図7の(a)に示す三次元データにおいては、長尺形状の3個の電線格納部品701〜703が、そのベクトルが同一となるように直列に並べられ、隣接する部品の端部同士が接触することで連続しており、部品同士の接触部分711,712が存在している。これにより、直列に連続して配置された同一ベクトルの3個の電線格納部品701〜703からなる部品直列721が形成されている。
【0053】
また、部品直列721を形成する3個の電線格納部品701〜703のうち、左側の電線格納部品701の近傍には、長尺形状の別の電線格納部品704が電線格納部品701に対して直交方向に配置されてその一方の端部で電線格納部品701の側面と接触しており、部品同士の接触部分713が存在している。
【0054】
また、部品直列721の中央の電線格納部品702の近傍には、長尺形状の別の電線格納部品705が電線格納部品702に対して直交方向に配置されてその一方の端部で電線格納部品702と交差しており、部品同士の部分的な重なり部分714が存在している。さらに、部品直列721の右側の電線格納部品703の近傍には、長尺形状の別の電線格納部品706が電線格納部品703に対して斜め方向に配置されてその一方の端部で電線格納部品703と交差しており、部品同士の部分的な重なり部分715が存在している。
【0055】
図7の(a)に示す電線格納部品701〜706の三次元データは、線分変換処理(S310)により部品毎に線分に変換される。ここでは、部品の三次元データを線分に変換する具体的な手法の一例として、部品の部品形状の三次元データから中心線を計算する手法を採用している。この手法は、言い換えれば、「部品の部品形状」の三次元データを用いて、「部品の特定部分の軌跡」の一つである「部品形状」を「線分」の一つである中心線に変換する手法に他ならない。
【0056】
図7の(b)は、このように部品の中心線を計算することによって、図7の(a)に示す電線格納部品701〜706の三次元データを部品毎の線分731〜736に変換した結果を示している。図7の(b)において、線分731〜733は、3個の電線格納部品701〜703からなる部品直列721を部品毎に変換した結果であり、これらの線分731〜733から線分直列741が形成されている。
【0057】
なお、一般的に作成される電線格納部品の三次元配置データには、部品の軌跡の情報が含まれているため、部品の中心線を計算する手法の別の例として、この軌跡の情報をそのまま利用して部品を線分に変換する手法も採用可能である。
【0058】
図7の(a)に示す電線格納部品701〜706の三次元データは、線分変換処理(S310)により図7の(b)に示すように部品毎に線分731〜736にそれぞれ変換されるが、それに加えて、交点変換処理(S320)により部品同士の接触部分711〜713または部分的な重なり部分714,715が図7の(c)に示すような交点751〜755にそれぞれ変換される。
【0059】
ここでは、接触・重なり判定の具体的な手法の一例として、三次元データの平面から見た部品形状から部品同士の接触または重なりを判定する手法を採用している。なお、部品同士が接しているか否かを決める公差は、電線格納部品の寸法に応じて予め設定しておくものとする。また、図7の(b)における左側の部品同士の接触部分713および右側の部分的な重なり部分715のように、線分変換された部品の線分が交点まで達していない部分は補間する。
【0060】
以上のような線分変換処理(S310)および交点変換処理(S320)により、図7の(a)に示す三次元データは、図7の(c)に示すように線分731〜736と交点751〜755からなる線図に変換される。この図7の(c)に示すように、線図作成処理(S242)により図面として記載するのは、線分と交点からなる変換後の線図データのみであり、変換元となった三次元データは記載しない。
【0061】
また、図7の(c)においては、交点を示すシンボルとして小円を用いているが、これは一例であり、他にも例えば、三角や四角、あるいは「×」印など、任意のシンボルを用いることが可能である。また、形状またはサイズの異なる複数種類のシンボルを用いることも可能である。
【0062】
[線分統合処理]
図4は、線分統合部124による線分統合処理(S243)の処理フローの一例を示すフローチャートである。この図4に示すように、線分統合処理(S243)において、線分統合部124は、線分統合処理(S243)中で未選択の電線格納部品の線分を一つずつ選択して(S401)、「選択した部品と直列に連続して配置されている隣接部品」の有無を判定する(直列判定、S402)。
【0063】
そして、「選択した部品と直列に連続して配置されている隣接部品」がある場合(S412のYES)には、「隣接部品の特定部分の軌跡が選択した部品の特定部分の軌跡と同一ベクトル」であるか否かを判定する(ベクトル判定、S403)。ここで、「隣接部品と選択した部品が同一ベクトル」である場合には、隣接部品の線分と選択した部品の線分を統合する(S404)。この場合、線分統合部124は、線分統合処理(S243)中で未選択の部品がある限り(S405のNO)、部品の選択と直列判定、ベクトル判定、線分の統合を繰り返す(S401〜S404)。
【0064】
線分統合部124は、全ての部品に対する直列判定、ベクトル判定、および線分の統合を完了した時点で(S405のYES)、線分統合処理(S243)を終了する。
【0065】
図8は、以上のような線分統合処理(S243)の具体例を示す図である。図8の(a)は、電線格納部品の三次元データの一例を斜め上方向から見た斜視図である。この図8の(a)に示す三次元データにおいては、直方体形状の3個の電線格納部品801〜803が、その中心線のベクトルが同一となるように直列に並べられ、隣接する部品の端部同士が接触することで連続しており、部品同士の接触部分811,812が存在している。これにより、直列に連続して配置された同一ベクトルの3個の電線格納部品801〜803からなる部品直列821が形成されている。
【0066】
図8の(a)に示す電線格納部品801〜803の三次元データは、前述したような線図作成処理(S242)により、図8の(b)に示すように線分直列841を形成する線分831〜833とこれらの線分間の交点851,852からなる線図に変換された後、線分統合処理(S243)により、図8の(c)に示すように、線分直列841が一つの線分861に統合される。
【0067】
ここでは、線図中の線分を統合する具体的な手法の一例として、「直列に連続して配置された同一ベクトルの複数の部品の線分」からなる線分直列を統合して、複数の部品間の不要な交点を削除する手法を採用している。図8の(c)は、図8の(b)に示す複数の部品の線分831〜833を統合して交点851,852を削除することによって、3個の部品を示す一つの線分861に簡素化した結果を示している。
【0068】
[同一平面化処理]
図5は、同一平面化部125による同一平面化処理(S244)の処理フローの一例を示すフローチャートである。この図5に示すように、同一平面化処理(S244)において、同一平面化部125は、同一平面化処理(S244)中で未選択の電線格納部品の線分を一つずつ選択して(S501)、「選択した部品と上下方向に重なる部品」の有無を判定する(多段判定S502)。
【0069】
そして、「選択した部品と上下方向に重なる部品」がある場合(S502のYES)には、重なる部品の線分と選択した部品の線分とを同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔でずらして作図する(S503)。ここで、「所定間隔」は、上下方向の重なりを表現するために予め設定された間隔であり、少なくとも、この所定間隔を挟んで並べられた2つの線分が視覚的に明確に識別できる程度の間隔とされる。同一平面化部125は、同一平面化処理(S244)中で未選択の部品がある限り(S504のNO)、部品の選択と多段判定、同一平面化を繰り返す(S501〜S503)。
【0070】
同一平面化部125は、全ての部品に対する多段判定および同一平面化を完了した時点で(S504のYES)、同一平面化処理(S244)を終了する。
【0071】
図9は、以上のような同一平面化処理(S244)の具体例を示す図である。図9の(a)は、電線格納部品の三次元データの一例を斜め上方向から見た斜視図である。この図9の(a)に示す三次元データにおいては、上下方向に重なるようにして3段の部品直列9211〜9213が配置されており、これら3段の部品直列9211,9212,9213の各々は、いずれも、図8の(a)に示す部品直列821と同様に、直列に連続して配置された同一ベクトルの3個の電線格納部品9011〜9013,9021〜9023,9031〜9033からそれぞれ形成されている。
【0072】
図9の(a)に示す3段の部品直列9211〜9213の三次元データは、前述したような線図作成処理(S242)および線分統合処理(S243)により処理され、その結果、図9の(b)に示すように、3段の部品直列9211〜9213の各々は、それぞれ1つの線分9611〜9613に統合される。この段階において、3段の部品直列9211〜9213の各線分9611〜9613は、軸と直交する断面から見た場合には、図9の(c1)に示すように上下方向に重なっており、平面から見た場合には、図9の(c2)の平面図に示すように、上段の線分9611に下段の線分9612,9613が重なっている。
【0073】
このような図9の(c1)(c2)に示す段階から、上下方向に重なる3段の部品直列9211〜9213の各線分9611〜9613は、同一平面化処理(S244)により、図9の(d1)(d2)に示すように、同一平面上に移され、上下方向の重なりを表現する所定間隔でずらして作図される。
【0074】
ここでは、上下方向に重なる複数の線分を同一平面上に移して作図する具体的な手法の一例として、上下方向に重なる複数の部品の線分のうちの一つの線分と同じ高さの同一平面上に他の線分を移し、この平面上で所定間隔で線分をずらして本来の高さ順に並べて作図する手法を採用している。
【0075】
図9の(d1)(d2)は、図9の(c1)(c2)に示す上下方向に重なる3段の線分9611〜9613のうちの上段の線分9611と同じ高さhの同一平面上に中段と下段の線分9612,9613を移し、この高さhの平面上で所定間隔iで線分をずらして本来の高さ順(9611,9612,9613)に並べて作図した結果を示している。なお、線分を移す先の平面の高さhは、例えば、“h=0”とすることにより、後段の属性情報付与処理あるいはファイル出力処理を行う際のデータ処理が容易になる。
【0076】
[属性情報付与処理]
図6は、属性情報付与部126による属性情報付与処理(S245)の処理フローの一例を示すフローチャートである。この図6に示すように、属性情報付与処理(S245)において、属性情報付与部126は、属性情報付与処理(S245)中で未選択の電線格納部品の線分を一つずつ選択して(S601)、「選択した部品の属性情報」の有無を判定する(属性判定、S602)。ここで、「属性情報」は、電線格納部品の三次元データに含まれる属性情報を意味しており、例えば、ルート番号、ルート種別、部品の鉛直方向高さ等の情報である。
【0077】
そして、「選択した部品の属性情報」がある場合(S602のYES)には、選択した部品の線分の近傍に属性情報を示す属性情報指標の記載を付与する(S603)。ここで、「属性情報指標」は、属性情報を示すために、文字列、記号、シンボルマーク、図形、あるいはそれらの2種類以上の組み合わせから構成されたイメージ指標である。属性情報付与部126は、属性情報付与処理(S245)中で未選択の部品がある限り(S604のNO)、部品の選択と属性判定、属性情報付与を繰り返す(S601〜S603)。
【0078】
属性情報付与部126は、全ての部品に対する属性判定および属性情報付与を完了した時点で(S604のYES)、属性情報付与処理(S245)を終了する。
【0079】
図10は、以上のような属性情報付与処理(S245)の具体例を示す図である。図10の(a)は、電線格納部品の三次元データの一例を上方から見た平面図である。この図10の(a)に示す三次元データにおいては、上下方向に重なるようにして3段の部品直列10211〜10213が配置されており、これら3段の部品直列10211,10212,10213の各々は、いずれも、図9の(a)に示す部品直列9211〜9013と同様に、直列に連続して配置された同一ベクトルの3個の電線格納部品10011〜10013,10021〜10023,10031〜10033からそれぞれ形成されている。
【0080】
また、3段の部品直列10211〜10213をそれぞれ形成する左側の3段の電線格納部品10011,10021,10031の近傍には、同じく3段の電線格納部品10014,10024,10034が電線格納部品10011,10021,10031に対して直交方向に配置されており、その一方の端部で同じ段の電線格納部品10011,10021,10031の側面とそれぞれ接触している。
【0081】
また、3段の部品直列10211〜10213をそれぞれ形成する中央の3段の電線格納部品10012,10022,10032の近傍には、同じく3段の電線格納部品10015,10025,10035が電線格納部品10012,10022,10032に対して直交方向に配置されており、その一方の端部で同じ段の電線格納部品10012,10022,10032とそれぞれ交差している。
【0082】
図10の(a)に示す3段の部品直列10211〜10213と、その左側部分と接触する3段の電線格納部品10014,10024,10034、および、中央部分と交差する3段の電線格納部品10015,10025,10035の三次元データは、前述したような線図作成処理(S242)、線分統合処理(S243)、および同一平面化処理(S244)により処理される。
【0083】
その結果、図10の(b)に示すように、3段の部品直列10211〜10213の各々は、それぞれ1つの線分10611〜10613に統合され、同一平面上に所定間隔でずらされ、本来の高さ順に並べて作図される。また、3段の部品直列10211〜10213の左側部分と接触する3段の電線格納部品10014,10024,10034、および、中央部分と交差する3段の電線格納部品10015,10025,10035もまた、それぞれ1つの線分10341〜10343、および、10351〜10353に変換され、同一平面上に所定間隔でずらされ、3段の部品直列10211〜10213の本来の高さ順に並べて作図される。
【0084】
このような同一平面化処理(S244)の後、属性情報付与処理(S245)により、属性情報がある部品の線分の近傍には、図10の(b)に示すように、属性情報を示す属性情報指標が付与される。この図10の(b)においては、属性情報指標の一例として、部品直列の線分10611〜10613に、ルート番号を示すルート番号指標10711〜10713、ルート種別を示すルート種別指標10721〜10723、および、部品の鉛直方向高さを示す鉛直方向高さ指標10731〜10733が付与されている。
【0085】
これらの属性情報指標10711〜10713、10721〜10723、10731〜10733は、文字列とそれを囲むボックスから構成されており、対応する線分10611〜10613と同じ並び順(したがって、3段の部品直列10211〜10213の本来の高さ順と同じ並び順)でボックス間の間隔を空けずに記載されている。
【0086】
また、ルート番号指標10711〜10713のうち、対応する線分10611〜10613に最も近い指標10711のボックスと、このボックスに最も近い線分10613との間は、引き出し線1081を用いて接続されている。同様に、ルート種別指標10721〜10723のうち、対応する線分10611〜10613に最も近い指標10723のボックスと、このボックスに最も近い線分10611との間は、引き出し線1082を用いて接続されている。同様に、鉛直方向高さ指標10731〜10733のうち、対応する線分10611〜10613に最も近い指標10733のボックスと、このボックスに最も近い線分10611との間は、引き出し線1083を用いて接続されている。
【0087】
さらに、属性情報付与処理(S245)により、図10の(b)に示すように、電線格納部品と位置的に関連付けて建築構造物の柱芯情報を示す柱芯情報指標を付与してもよい。図10の(b)の例では、柱芯情報指標の一例として、柱名を示すラベル1091と柱芯を示す破線1092からなる柱名「0」の柱芯情報指標、および、柱名を示すラベル1093と柱芯を示す破線1094からなる柱名「AA」の柱芯情報指標が付与されている。
【0088】
[効果]
以上のような本実施形態の電線格納部品の図面作成装置によれば、次のような効果が得られる。
【0089】
まず、本実施形態によれば、電線格納部品の三次元データから、三次元データにおける部品同士の接触や部分的な重なりに関する情報を保持したまま、線分と交点からなる簡素な線図を自動的に作成することができる。そして、上下方向に重なった部品を同一平面上でずらして作図することにより、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用な図面を容易に作成できる。また、作成した電線格納部品の図面は、二次元データとして有用なそのままの状態で自動的に出力でき、画面表示またはプリントアウトとして出力できると共に、記憶手段に格納しておくことで、必要に応じて随時出力できる。
【0090】
したがって、本実施形態によれば、電線格納部品の三次元データを利用して、部品同士の上下関係を明確に表現する二次元データとして有用かつ簡素な図面を自動作成し、自動出力することのできる電線格納部品の図面作成装置とその方法、およびプログラムを提供することができる。その結果、手動による二次元データの作図という手間のかかる作業が不要となるため、設計者の業務負担を大幅に軽減することができる。
【0091】
また、本実施形態においては、電線格納部品の図面作成装置100内に、利用者からのデータ入力に応じて電線格納部品の三次元データを作成する三次元配置調整CAD部140を設けているため、設計者は、電線格納部品の図面作成装置100上で電線格納部品の三次元データを作成した後、この三次元データを同じ装置100上でそのまま利用して、二次元データとして有用な図面を作成できる。その結果、電線格納部品の三次元データを利用した図面の作成に当たって、三次元データを装置間で送受信するなどの手間が不要となり、作業効率に優れている。
【0092】
また、本実施形態では、線図作成部123による線図作成処理(S242)において、電線格納部品の三次元データに対して、電線格納部品の部品形状から中心線を計算し、この中心線を線分の情報として当該部品を作図することにより、電線格納部品の部品形状に対応する形状の線分を容易かつ自動的に作成できるという利点もある。
【0093】
なお、線分の情報に変換する元となる電線格納部品の「特定部分の軌跡」は、電線格納部品の部品形状に限らず、例えば、長尺形状の部品の長尺方向の両端面部分を「特定部分の軌跡」として、線分の情報に変換してもよい。さらに、前述したように、電線格納部品の三次元配置データに一般的に含まれる部品の軌跡の情報をそのまま利用して部品を線分に変換してもよい。
【0094】
また、本実施形態では、線図作成部123による線図作成処理(S242)において、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換する際に、予め設定された公差(設定範囲)に基づき部品同士が接したか否かを判定し、公差の範囲内であれば、連続する電線格納部品として認識し、部品同士の交点を計算して、交点としてのシンボルを挿入するようにしている。この手法を採用することにより、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を容易かつ自動的に抽出し、機械的に交点に変換できることから、部品同士の接触部分や部分的に重なる部分を利用者が抽出する手間は不要であるため、作業効率に優れている。
【0095】
また、本実施形態の線図作成部123による線図作成処理(S242)において、分岐部の線分が主流部の部品の線分までの交点に達していない場合は、当該分岐部の線分を当該主流部の線分まで延長して補間するようにしている。この手法を採用することにより、部品を線分に変換した際に、部品同士の接触部分または部品同士が部分的に重なる部分に、線分同士の不連続部分が発生した場合であっても、その不連続部分を自動的に補間して連続させることができるため、線分の変換手法に拘らず、変換後の線図に、本来の部品同士の連続性と合致する連続性を持たせることができる。
【0096】
また、本実施形態では、線分統合部124による線分統合処理(S243)において、複数の電線格納部品の三次元データが直列に連続して配置されている場合に、線図作成部123による線図作成処理(S242)により作成された線図中の当該複数の部品の線分を統合するようにしている。この手法を採用することにより、直列に連続して配置された複数の部品の線分を統合して線図を簡略化できるため、後段の処理の効率を向上可能であり、最終的に作成される二次元データの簡略化につながる。
【0097】
特に、本実施形態の線分統合部124による線分統合処理(S243)においては、複数の電線格納部品の三次元データが直列に連続して配置されており、かつ、当該複数の部品の中心線(特定部分の軌跡)のベクトルが同一である場合に、線図作成部123による線図作成処理(S242)により作成された線図中の当該複数の部品の線分を一つの線分に統合し、かつ、当該複数の部品間の不要な交点を削除するようにしている。この手法を採用することにより、直列に連続して配置された同一ベクトルの複数の部品の線分を交点のない一つの線分にまとめるという大幅な簡略化が可能となるため、後段の処理の効率をより向上可能であり、最終的に作成される二次元データの一層の簡略化につながる。
【0098】
また、本実施形態では、同一平面化部125による同一平面化処理(S244)において、複数の電線格納部品の三次元データが上下方向に重なっている場合に、当該複数の部品の線分のうちの一つの線分の高さと同じ高さの同一平面上に他の線分を移し、この平面上で所定間隔で線分をずらして部品本来の高さ順に並べて作図するようにしている。この手法を採用することにより、全ての線分の高さを変更することなく、一部の線分の高さのみを変更するだけで、全ての線分を効率よく同一平面上に移すことができる。また、移した先の平面上で、それらの線分を部品本来の高さ順に並べることができるため、線分の並び順により、部品同士の上下関係を視覚的に明確に表現することができる。
【0099】
また、本実施形態では、属性情報付与部126による属性情報付与処理(S245)において、電線格納部品の三次元データの属性情報を示す属性情報指標の記載を当該部品の線分の近傍に付与するようにしている。これにより、最終的な二次元データに対する要求に応じて、必要な部品の属性情報をその部品の近傍に自動的に記載できるため、二次元データとしてより有用な図面を作成することができる。
【0100】
特に、本実施形態の属性情報付与部126による属性情報付与処理(S245)においては、上下方向に重なっている複数の部品の属性情報指標を、それらの部品の線分と同様に、部品本来の高さ順と同じ並び順で並べるようにしている。この手法を採用することにより、上下方向に重なっている複数の部品の上下関係を視覚的に明確に表現できる上、記載された属性情報指標とそれら複数の部品との対応関係についても視覚的に明確に表現できる。その結果、二次元データとしてより有用な図面を作成することができる。
【0101】
さらに、本実施形態の属性情報付与部126による属性情報付与処理(S245)においては、電線格納部品の線分の近傍に記載した属性情報指標を、引き出し線を用いて当該線分と接続するようにしている。この手法を採用することにより、図10の(b)のように、複数の部品が比較的近接配置されている場合であっても、部品と属性情報指標との対応関係を、これらの間を接続する引き出し線により明確に表現できる。なお、図10の(b)においては、一例として、直線の引き出し線を示したが、引き出し線の形状は直線に限らず、方向の異なる直線の組み合わせ、あるいは、曲線、あるいは、直線と曲線との組み合わせ等、自由に選択可能である。
【0102】
[ケーブルの電線格納部品のデータ作成に関する具体例]
以下には、上記のような本実施形態の電線格納部品の図面作成装置により、発電所用機器を接続するケーブルの電線格納部品のデータを作成する場合の「三次元データの作成方法の詳細」とその結果としての「三次元データの作成例」、そのような「三次元データを利用した二次元データの作成例」について、より具体的に説明する。
【0103】
[三次元データの作成方法の詳細]
まず、電線格納部品の三次元データの作成方法の詳細について説明する。
三次元配置調整CAD部140により、三次元CAD操作画面を介した設計者とコンピュータとの対話型処理を行うことで、電線格納部品の三次元モデルデータを作成する(三次元モデルデータ作成処理S210)。個々の三次元モデルは、直方体、角エルボ、円筒、円エルボに代表されるシンプルな基本形状にて作成する。電線格納部品のうち、ケーブルトレイは、直方体、角エルボを使用して作成する。他方、電線管は、円筒、円エルボを使用して作成する。
【0104】
設計者は、三次元CAD操作画面上で表現される三次元空間の適切な位置に、適切な部品の三次元モデルを選択して、配置することにより、三次元モデルの配置データを作成する(三次元配置データ作成処理S220)。ここで、設計者は、部品の寸法の他、平面的位置、高さ、角度を考慮して、三次元モデルを配置していくことにより、電線格納部品の三次元モデルの配置データを作成する。
【0105】
このような電線格納部品の三次元データ作成(S210、S220)に際して、ケーブルトレイ、電線管は、設計、調達に使用する部品サイズにて入力する。そのため、ケーブルトレイについては、直線に伸ばせば良い部分でも、部品サイズどおりに分割して、直方体を直列に配置して、ケーブルトレイを三次元データで模擬する。電線管についても同様に、溶接などの接続が必要な部分で分割して、円筒を直列に配置して三次元データを作成する。
【0106】
なお、部品同士を接続する場合には、面接触で配置することが多いが、勾配や分岐、斜めに配置などの空間的条件によっては、面接触でなく、部分的に重ねて(オーバーラップして)配置する場合も多い。逆に、締結部品を考慮して、部品同士を接触させずにギャップを介して配置する場合もあり得る。このように、一口に部品同士の接続といっても、面接触、オーバーラップ、ギャップという異なる形態があるため、これらの形態を含む電線格納部品の三次元データを利用した二次元データ作成処理において、個々の部品を線分に変換する際には、それらの形態の公差をそれぞれ設定する必要がある。
【0107】
また、このような電線格納部品の三次元データ作成時において、設計者は、三次元配置調整CADが通常有している属性情報入力機能を用いて、各部品の属性情報を入力する。具体的な属性情報としては、電線格納部品のルート番号、ルート種別、部品の鉛直方向高さ、などの情報を入力し、電線格納部品の三次元データの一部として、電線格納部品の三次元モデルデータおよび三次元配置データと共に、電線格納部品の三次元データベース131に格納する。なお、「ルート種別」は、電圧などの条件に応じて適宜変更される。
【0108】
このようにして、電線格納部品の三次元データを作成する。作成した三次元データは、CADデータとして扱えるだけでなく、他のアプリケーションソフトで読める形式であることが望ましい。そのために、作成した三次元データを、具体的には、スプレッドシート形式にて出力することにより、他の各種のアプリケーションソフトによってデータとして読み込むことができる。その結果、作成した三次元データは、例えば、電線格納部品の物量集計に使用することができる。
【0109】
[三次元データの作成例]
図11と図12は、三次元配置調整CAD部140により、以上のような作成方法によって作成した電線格納部品の三次元データの一例を示す図であり、図11は斜め上方向から見た斜視図、図12は、Z軸方向(上方)から見たXY平面図である。この図11と図12に示す三次元データにおいては、直方体形状の3個の電線格納部品1101〜1103が、その中心線のベクトルが同一となるようにXY平面上で直列に並べられ、隣接する部品の端部同士が接触することで連続しており、X軸方向の部品直列1121を形成している。
【0110】
そして、このX軸方向の部品直列1121を形成する3個の電線格納部品1101〜1103のうち、左側の電線格納部品1101の近傍には、直方体形状の別の電線格納部品1104が電線格納部品1101に対して直交方向であるY軸方向(マイナス方向)に配置され、その一方の端部で電線格納部品1101の側面と接触している。
【0111】
また、部品直列1121の中央の電線格納部品702の近傍には、直方体形状の別の電線格納部品1105が電線格納部品1102に対して直交方向であるY軸方向(マイナス方向)に配置され、その一方の端部で電線格納部品1102と部分的に重なるように交差している。さらに、部品直列1121の右側の電線格納部品1103の近傍には、直方体形状の別の電線格納部品1106が電線格納部品1103に対して斜め方向(X軸のプラス方向とY軸のマイナス方向の間の斜め45度方向)に配置され、その一方の端部で電線格納部品1103と部分的に重なるように交差している。
【0112】
また、図13は、図11と図12に示す三次元データを、スプレッドシート形式で出力した場合のデータ例を示す図である。このスプレッドシートの1行目には、タイトル情報として、電線格納部品の名称(Part Name)、部品カテゴリー(Part Category)、部品番号(Piece No.)、幾何学形状(Geometry)、基準線(Reference Line)、配置座標(Coordinates)、長さ・曲げ半径(Length or Bending Radius)、幅・直径(Width or Diameter)、高さ・曲角度(Coordinates)、ヨー角(Yaw-Angle)、ピッチ角(Pitch-Angle)、ロール角(Roll-Angle)、色(color)、軌跡(Trajectory)、ルート番号(Route No.)等が示されている。
【0113】
また、図13のスプレッドシートの2行目には、名称「CABLETRAY_201」のケーブルトレイについてのグループ始点情報が、部品番号「0」として記載されている。この部品番号「0」のグループ始点情報は、幾何学形状を「ゼロポイント(0PT: 0 point)」、部品配置座標の値(x,y,z)を(0,0,0)とすると共に、部品サイズ(長さ・幅・高さ)の「不適用(NA: not applicable)」を示すことで、3行目以下に記載の部品番号「1」〜「6」のケーブルトレイグループの始点が(0,0,0)であることを表現している。
【0114】
そして、図13のスプレッドシートの3行目以下には、名称「CABLETRAY_201」の部品番号「1」〜「6」の計6個のケーブルトレイについて、各部品の三次元データがそれぞれ示されている。すなわち、これらのケーブルトレイの幾何学形状が「BOX」である点が示されると共に、基準線の「不適用(NA: not applicable)」、および、部品配置座標の値が示されている。さらに、これらのケーブルトレイについて、部品サイズ(長さ・幅・高さ)の値、各部品の回転角度(ヨー角、ピッチ角、ロール角)の値が示されると共に、部品の色がいずれも「YELLOW」である点、軌跡がいずれも「座標の中央値(MC: median of coordinates)」である点、および、ルート番号がいずれも「SAMPLE201」である点などが示されている。
【0115】
[三次元データを利用した二次元データの作成例]
以上のように、三次元配置調整CAD部140により作成された三次元データは、他のアプリケーションソフトで読めるように、図13に示すようなスプレッドシート形式で出力され、電線格納部品の名称、部品サイズ、部品配置座標、角度などの情報を読み込めるようになっている。この場合、図13に示すように、スプレッドシートには1行目にタイトル情報が記載されているため、二次元データ作成部120の判定制御部121は、そのタイトル情報に基づき、各列に記載されている項目を判定することができる。
【0116】
前述したように、二次元データ作成部120の判定制御部121は、GUI画面を表示して、利用者からの二次元データ作成開始の指示の入力を支援し、入力された二次元データ作成開始の指示をトリガとして、一連の二次元データ作成処理(図2のS240)を開始する。具体的には、GUI画面上で三次元データのファイル名を一覧表示して、利用者によるファイル名の選択と、選択した三次元データについての二次元データ作成開始の指示の入力を支援することにより、利用者が選択した全ての三次元データのスプレッドシートを読み込むようにする。
【0117】
以上のような二次元データ作成開始方法を採用することによって、利用者が選択した全ての三次元データのスプレッドシートを一括的に読み込み、一括処理して二次元データを一括的に作成することができる。したがって、部品種別毎やルート種別毎などに細分割して三次元データのファイルを作成した場合であっても、それら複数ファイルの三次元データを一度に一括処理して二次元データを一括的に作成することが可能である。
【0118】
図14は、三次元配置調整CAD部140により、前述したような三次元データの作成方法によって作成した電線格納部品の三次元データの一例を斜め上方向から見た斜視図である。この図14に示す三次元データにおいては、上下方向に重なるようにして4段の電線格納部品群1401〜1404が同一形状で配置されている。
【0119】
図15は、図14に示す三次元データから作成した二次元データの図面の一例を示す図である。この図15に示す二次元データの図面は、二次元データ作成部120による一連の二次元データ作成処理(S240)の結果、そのファイル出力部127によりCAD形式などのファイル形式で出力される。
【0120】
図15に示すこの二次元データの図面において、図14に示す4段の電線格納部品群1401〜1404に対応する各段の部品の線分1501〜1504は、前述したように、同一平面化部125によって上下方向の重なりを表現する所定間隔でずらして本来の高さ順に並べて描画されているが、さらに、互いに異なる段毎の固有色で塗り分けられている。図15の線分1501〜1504においては、このような段毎の固有色の違いを、実線、破線、一点鎖線、二点鎖線、というパターンの違いで表現している。
【0121】
また、各段の部品の線分1501〜1504の近傍には、前述したように、属性情報付与部126によって、ルート種別などの属性情報を示す各段の部品の属性情報指標1511〜1514の記載が線分と同じ順序で付与されているが、これらの属性情報指標1511〜1514もまた、線分と同じ段毎の固有色で塗り分けられている。図15の属性情報指標1511〜1514においては、このような段毎の固有色の違いを、塗りつぶしパターンの違いで表現している。
【0122】
このような出力形態とすることにより、利用者は、線分で表された電線格納部品が、レイアウト上でどの部分に配置されているかを容易に確認できるようになっている。特に、上下方向に重なっている部品については、重複を避けて見やすくするために所定間隔でずらして描かれているので、レイアウトを正確に表現したものではないが、ルート種別などの属性情報指標と併せて、どの部分にどのような属性を持つ電線格納部品が据え付けられているかが一目瞭然で分かるため、建設サイトでは有効である。
【0123】
しかも、図15の例のように、部品の線分や属性情報指標を段毎の固有色で塗り分けることにより、多段の線分やその属性情報指標が近接配置された部分においても、上下方向の関係をさらに明瞭に表現できるため、上下方向の関係を取り違えるなどの不都合の発生を効果的に防止できる。
【0124】
なお、図15に示すような電線格納部品の二次元データの図面は、実際の建設を前に事前確認を行う目的などにより、例えば、機器、鉄骨、建築構造物、配管などの他の部品群との干渉チェック用のレビューデータとして、それらの部品群の三次元データまたは二次元データと画面上で重ねて目視するために、または、自動処理によって干渉チェックを行うために極めて有効である。
【0125】
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。すなわち、図面に示した装置の構成は本発明の実現に必要な最小限の機能構成を示す一例にすぎず、周辺機器を含めた具体的なシステム構成やハードウェア構成およびソフトウェア構成は適宜選択可能である。同様に、図面に示したフローチャートは本発明の装置の処理フローの一例を示すにすぎず、具体的な処理フローは、装置構成や使用するデータ構成などに応じて適宜変更可能である。
【0126】
例えば、前記実施形態においては、二次元データ作成処理を開始する際に、利用者に対してGUI画面により開始の指示の入力を支援し、入力された開始の指示をトリガとして、一連の二次元データ作成処理を開始する場合について説明したが、さらに、利用者を介さずに新規の三次元データの取得を条件とするバッチ処理として自動的に二次元データ作成処理を開始するようにしてもよい。
【0127】
このようなバッチ処理としては、例えば、三次元データを取得した時点で自動的に二次元データ作成処理を開始したり、あるいは、三次元データの取得を定期的にチェックして、新たな三次元データを検出した場合に自動的に二次元データ作成処理を開始するなどの手法が考えられる。
【0128】
逆に、一連の二次元データ作成処理における、線図作成処理、線分統合処理、同一平面化処理、属性情報付与処理、などの下位の処理を終了した段階で、その処理結果を対話的に利用者に確認させるようにしてもよい。
【0129】
また、前記実施形態においては、図面作成装置に三次元配置調整CAD部を設けた場合について説明したが、本発明は、図面作成装置に三次元配置調整CAD部を設けずに、外部装置により作成された三次元データを入力して利用する構成も可能である。
【0130】
また、前記実施形態においては、線分統合処理、同一平面化処理、属性情報付与処理をこの順序で行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、これらの処理を異なる順序で行うことも可能である。さらに、線分統合処理や属性情報付与処理を省略することも可能であるが、図面の簡略化や有用性の観点からは、一般的にはこれらの処理を行うことが望ましい。
【0131】
また、前記実施形態においては、属性情報付与処理を自動的に行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、利用者から手動で入力された属性情報を付与したり、あるいは、自動的な属性情報付与処理と手動入力による属性情報付与処理の両方を行うようにしてもよい。このように、自動的な処理と手動入力による処理の両方を実行することにより、属性情報付与処理をより柔軟に行うことができるため、より有用な情報を含む実用性の高い二次元データ図面を作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明を適用した一つの実施形態に係る電線格納部品の図面作成装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示す電線格納部品の図面作成装置による処理フローの概略を示すフローチャート。
【図3】図2に示す線図作成処理の処理フローの一例を示すフローチャート。
【図4】図2に示す線分統合処理の処理フローの一例を示すフローチャート。
【図5】図2に示す同一平面化処理の処理フローの一例を示すフローチャート。
【図6】図2に示す属性情報付与処理の処理フローの一例を示すフローチャート。
【図7】図3に示す線図作成処理の具体例を示す図。
【図8】図4に示す線分統合処理の具体例を示す図。
【図9】図5に示す同一平面化処理の具体例を示す図。
【図10】図6に示す属性情報付与処理の具体例を示す図。
【図11】図1に示す三次元配置調整CAD部により作成した電線格納部品の三次元データの一例を斜め上方向から見た斜視図。
【図12】図11に示す三次元データを上方から見たXY平面図。
【図13】図11に示す三次元データをスプレッドシート形式で出力した場合のデータ例を示す図。
【図14】図1に示す三次元配置調整CAD部により作成した電線格納部品の三次元データの一例を斜め上方向から見た斜視図。
【図15】図14に示す三次元データから作成した二次元データの図面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0133】
100…電線格納部品の図面作成装置
110…インタフェース部
111…データ入力部
112…データ出力部
120…二次元データ作成部
121…判定制御部
122…データ読み込み部
123…線図作成部
124…線分統合部
125…同一平面化部
126…属性情報付与部
127…ファイル出力部
130…記憶部
131…電線格納部品の三次元データベース
132…電線格納部品の二次元データベース
140…三次元配置調整CAD部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元配置調整CADで作成された電線格納部品の三次元データを、コンピュータを利用して二次元データに変換して図面出力する電線格納部品の図面作成装置において、
前記コンピュータは、
各種指示およびデータの入出力を行うインタフェース手段と、
電線格納部品の三次元データを処理して二次元データの図面を作成する二次元データ作成手段と、
前記インタフェース手段または別の手段により取得された電線格納部品の三次元データおよび前記二次元データ作成手段による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する記憶手段を備え、
前記二次元データ作成手段は、
前記記憶手段に格納されている電線格納部品の三次元データを読み込むデータ読み込み手段と、
このデータ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データを部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換することで、電線格納部品の三次元データを変換して線分と交点からなる線図を作成する線図作成手段と、
この線図作成手段により作成された線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する同一平面化手段と、
前記線図作成手段および同一平面化手段にて得られた電線格納部品の二次元データを前記インタフェース手段からファイル形式で出力すると共に前記記憶手段にファイル形式で格納するファイル出力手段
を有することを特徴とする電線格納部品の図面作成装置。
【請求項2】
利用者からのデータ入力に応じて電線格納部品の三次元データを作成する三次元配置調整CAD手段を備え、
前記二次元データ作成手段は、前記三次元配置調整CAD手段で作成した電源格納部品の三次元データを処理するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項3】
前記線図作成手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データに対して、電線格納部品の特定部分の軌跡を線分の情報に変換するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項4】
前記線図作成手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データに対して、電線格納部品の部品形状から中心線を計算し、この中心線を線分の情報として当該部品を作図するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項5】
前記線図作成手段は、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換する際に、
予め設定された設定範囲に基づき部品同士が接したか否かを判定し、設定範囲内であれば、連続する電線格納部品として認識し、部品同士の交点を計算して、交点としてのシンボルを挿入可能であり、かつ、
分岐部の線分が主流部の部品の線分までの交点に達していない場合は、当該分岐部の線分を当該主流部の線分まで延長して補間するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項6】
前記二次元データ作成手段は、
前記データ読み込み手段により読み込んだ複数の電線格納部品の三次元データが直列に連続して配置されている場合に、前記線図作成手段により作成された線図中の当該複数の部品の線分を統合する線分統合手段
を有することを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項7】
前記線分統合手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ複数の電線格納部品の三次元データが直列に連続して配置されており、かつ、当該複数の部品の特定部分の軌跡のベクトルが同一である場合に、前記線図作成手段により作成された線図中の当該複数の部品の線分を一つの線分に統合し、かつ、当該複数の部品間の不要な交点を削除するように構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項8】
前記同一平面化手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ複数の電線格納部品の三次元データが上下方向に重なっている場合に、当該複数の部品の線分のうちの一つの線分の高さと同じ高さの同一平面上に他の線分を移し、この平面上で前記所定間隔で線分をずらして本来の高さ順に並べて作図するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項9】
前記同一平面化手段は、上下方向に重なっている複数の電線格納部品の三次元データから、当該複数の部品の線分を同じ高さに移す際に、本来の高さ順に応じて予め設定された固有色で線分を作図するように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項10】
前記二次元データ作成手段は、
前記データ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データの属性情報を示す属性情報指標の記載を当該部品の線分の近傍に付与する属性情報付与手段
を有することを特徴とする請求項1に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項11】
前記同一平面化手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ複数の電線格納部品の三次元データが上下方向に重なっている場合に、当該複数の部品の線分のうちの一つの線分の高さと同じ高さの同一平面上に他の線分を移し、この平面上で前記所定間隔で線分をずらして本来の高さ順に並べて作図するように構成され、
前記属性情報付与手段は、複数の電線格納部品の三次元データの前記属性情報を示す属性情報指標を、当該複数の部品の本来の高さ順に応じた並び順で記載するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項12】
前記同一平面化手段は、上下方向に重なっている複数の電線格納部品の三次元データから、当該複数の部品の線分を同じ高さに移す際に、本来の高さ順に応じて予め設定された固有色で線分を作図するように構成され、
前記属性情報付与手段は、複数の電線格納部品の三次元データの前記属性情報を示す属性情報指標を、当該部品と同じ固有色で記載するように構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項13】
前記属性情報付与手段は、前記データ読み込み手段により読み込んだ電線格納部品の三次元データの前記属性情報として、ルート番号、ルート種別、部品の鉛直方向高さ、の少なくとも1種以上を含む複数種類の属性情報を示す属性情報指標を当該部品の線分の近傍に記載するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項14】
前記属性情報付与手段は、前記線図作成手段により作成された線図中の電線格納部品の線分と位置的に関連付けて、当該部品が設置される建築構造物の柱芯情報を示す柱芯情報指標を当該図面中に記載するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項15】
前記属性情報付与手段は、前記線図作成手段により作成された線図中の電線格納部品の線分の近傍に記載した属性情報指標を、引き出し線を用いて当該線分と接続するように構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電線格納部品の図面作成装置。
【請求項16】
三次元配置調整CADで作成された電線格納部品の三次元データを、コンピュータを利用して二次元データに変換して図面出力する電線格納部品の図面作成方法において、
前記コンピュータは、
各種指示およびデータの入出力を行うインタフェース手段と、
電線格納部品の三次元データを処理して二次元データの図面を作成する二次元データ作成手段と、
前記インタフェース手段または別の手段により取得された電線格納部品の三次元データおよび前記二次元データ作成手段による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する記憶手段を備え、
前記二次元データ作成手段によって、
前記記憶手段に格納されている電線格納部品の三次元データを読み込むデータ読み込み処理と、
このデータ読み込み処理により読み込んだ電線格納部品の三次元データを部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換することで、電線格納部品の三次元データを変換して線分と交点からなる線図を作成する線図作成処理と、
この線図作成処理により作成された線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する同一平面化処理と、
前記線図作成処理および同一平面化処理にて得られた電線格納部品の二次元データを前記インタフェース手段からファイル形式で出力すると共に前記記憶手段にファイル形式で格納するファイル出力処理
を行うことを特徴とする電線格納部品の図面作成方法。
【請求項17】
三次元配置調整CADで作成された電線格納部品の三次元データを、コンピュータを利用して二次元データに変換して図面出力する電線格納部品の図面作成プログラムにおいて、
前記コンピュータが、
各種指示およびデータの入出力を行うインタフェース手段と、
電線格納部品の三次元データを処理して二次元データの図面を作成する二次元データ作成手段と、
前記インタフェース手段または別の手段により取得された電線格納部品の三次元データおよび前記二次元データ作成手段による処理結果として得られた電線格納部品の二次元データを格納する記憶手段を備えている場合に、
前記二次元データ作成手段によって、
前記記憶手段に格納されている電線格納部品の三次元データを読み込むデータ読み込み処理と、
このデータ読み込み処理により読み込んだ電線格納部品の三次元データを部品毎の線分に変換すると共に、部品同士の接触部分、または、部品同士が部分的に重なる部分を交点に変換することで、電線格納部品の三次元データを変換して線分と交点からなる線図を作成する線図作成処理と、
この線図作成処理により作成された線図中における上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面上に移し、この平面上で上下方向の重なりを表現する所定間隔で線分をずらして作図する同一平面化処理と、
前記線図作成処理および同一平面化処理にて得られた電線格納部品の二次元データを前記インタフェース手段からファイル形式で出力すると共に前記記憶手段にファイル形式で格納するファイル出力処理
を行わせることを特徴とする電線格納部品の図面作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−301365(P2009−301365A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155979(P2008−155979)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】